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103 武田・鈴木・森・遊間:スクールカウンセラーによる反社会的問題行動生徒への関わり Ⅰ 問題 近年,学校現場におけるスクールカウンセ ラー(以下,SCと表記)の社会的役割が増 大している。平成年度に試行的に導入され た公立学校へのSC配置事業は,年々配置校 数が増加し,平成17年度には公立中学校を中 心に,全国で9546校に配置されるまでに至っ た。しかし,国内全ての公立中学校への配置 には至らず,また小学校や高等学校への配置 はほとんど進んでいないのが現状である (1) 学校現場におけるSCの役割は,生徒や保 護者へのカウンセリングや教師へのコンサル テーションに加え,児童生徒や保護者への講 演,「相談室だより」などによる広報活動, 校内研修の講師など広範囲にわたってい (2)(3) 。また具体的な支援対象は,SC導入 当初のいじめや不登校の問題だけでなく,集 スクールカウンセラーによる反社会的問題行動生徒への関わり ―実践からの課題― 武 田 明 典 鈴 木 明 美 森   慶 輔 遊 間 千 秋 School Counselor’s Support for the Students with Anti-Social Behavior Problems: Solutions TAKEDA Akenori SUZUKI Akemi MORI Keisuke YUMA Chiaki 【要旨】 平成年度に調査研究として始まった公立中学校におけるスクールカウンセラー派 遣事業の主な役割は,不登校やいじめ問題への対応が主な活動であったが,現在は支援 対象が広まり,反社会的問題行動を示す生徒への関わりも求められるようになってい る。しかしながら,スクールカウンセラー自身がもつ苦手意識や教師のスクールカウン セリングに対する理解不足など,スクールカウンセラーがこうした生徒に十分関われて いないのが現状である。本稿では,反社会的問題行動を示す生徒に対してスクールカウ ンセラーがなしうる支援について,)スクールカウンセラーの立場から反社会的問題 行動を示す生徒の特徴と,それに基づいた生徒への対応,そして,)外部機関として の警察の立場からみた,学校と外部機関の連携に関する検討と,その連携を促進させる ために必要な効果的なアセスメント,のつの観点から検討を行い,最後に,今後の実 践における課題点を指摘した。 【キーワード】 スクールカウンセラー,反社会的問題行動,連携,コーディネーション,居場所 神田外語大学(Kanda University of International Studies帝京平成大学(Teikyo Heisei University昭和女子大学(Showa Women's University千葉県警察少年センター(Chiba Prefectural Police Juvenile Center

スクールカウンセラーによる反社会的問題行動生徒への関わ …第3は,「SC自身の資質の問題」である。羽間(15)は,SCが反社会的問題行動を示す生

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  • 103武田・鈴木・森・遊間:スクールカウンセラーによる反社会的問題行動生徒への関わり

    Ⅰ 問題

     近年,学校現場におけるスクールカウンセラー(以下,SCと表記)の社会的役割が増大している。平成7年度に試行的に導入された公立学校へのSC配置事業は,年々配置校数が増加し,平成17年度には公立中学校を中心に,全国で9546校に配置されるまでに至った。しかし,国内全ての公立中学校への配置

    には至らず,また小学校や高等学校への配置はほとんど進んでいないのが現状である(1)。 学校現場におけるSCの役割は,生徒や保護者へのカウンセリングや教師へのコンサルテーションに加え,児童生徒や保護者への講演,「相談室だより」などによる広報活動,校内研修の講師など広範囲にわたっている(2)(3)。また具体的な支援対象は,SC導入当初のいじめや不登校の問題だけでなく,集

    スクールカウンセラーによる反社会的問題行動生徒への関わり ―実践からの課題―

    武 田 明 典1   鈴 木 明 美2   森   慶 輔3   遊 間 千 秋4

    School Counselor’s Support for the Students with Anti-Social Behavior Problems: Solutions

    TAKEDA Akenori SUZUKI Akemi MORI Keisuke YUMA Chiaki

    【要旨】

     平成7年度に調査研究として始まった公立中学校におけるスクールカウンセラー派遣事業の主な役割は,不登校やいじめ問題への対応が主な活動であったが,現在は支援対象が広まり,反社会的問題行動を示す生徒への関わりも求められるようになっている。しかしながら,スクールカウンセラー自身がもつ苦手意識や教師のスクールカウンセリングに対する理解不足など,スクールカウンセラーがこうした生徒に十分関われていないのが現状である。本稿では,反社会的問題行動を示す生徒に対してスクールカウンセラーがなしうる支援について,1)スクールカウンセラーの立場から反社会的問題行動を示す生徒の特徴と,それに基づいた生徒への対応,そして,2)外部機関としての警察の立場からみた,学校と外部機関の連携に関する検討と,その連携を促進させるために必要な効果的なアセスメント,の2つの観点から検討を行い,最後に,今後の実践における課題点を指摘した。

    【キーワード】

     スクールカウンセラー,反社会的問題行動,連携,コーディネーション,居場所

    1 神田外語大学(Kanda University of International Studies)2 帝京平成大学(Teikyo Heisei University)3 昭和女子大学(Showa Women's University)4 千葉県警察少年センター(Chiba Prefectural Police Juvenile Center)

  • 104 国立青少年教育振興機構研究紀要,第8号,2008年

    団不適応などの非社会的問題行動,抑うつ状態や身体表現性障害を中心とした精神医学的問題,注意欠陥多動性障害(ADHD)や広汎性発達障害(PDD)などの発達障害への支援,そして,反社会的問題行動を示す生徒への支援などにも拡大している。こうした中で,反社会的問題行動を示す生徒への支援について,SCは十分に対応できていないと考えられる。 不登校やいじめへのSCの関わりに関する研究は蓄積されつつある。しかし,SCの配置がはじまり,まだ歴史の浅いことが起因してか,スクールカウンセリングに関する研究は多いとはいえない。特に,児童生徒の反社会的問題行動については,心理職者による援助に関する研究(4)(5),およびSCによる援助の報告(6)(7)(8)(9)が少ないことが現状である。 以下,スクールカウンセラーが反社会的問題行動を示す生徒に関わることへの学校ニーズについて,近年の研究を紹介する。伊藤(10)

    は,全国の3000校を対象としたSC活動の評価に関する調査を行い,SCの活動が学校現場で「概して好評」であり,SC配置のさらなる拡大を望む声が強い一方で,SC活動に対する満足度は生徒指導担当教諭以外の職種では高いとは言えず,管理職の評価は全職種で最も低いことを明らかにしている。また,教師を対象とした調査(11)(12)(13)では,(1)反社会的問題行動に対するSCへの援助ニーズは(特に中学校で)高いが,(2)SCの反社会的問題行動を示す生徒への関わりに対する満足度は,管理職,担任,養護教諭といった職種を問わず,総じて低いことが示されている。また,SCを対象とした調査(14)では,(1)反社会的問題行動を示す生徒と直接関わりを持った経験があるSCは全体の25%,教師や保護者から相談を受けたことがあるSCも全体の26%と低く,(2)SCの活動によって反社会的問題行動(調査では「暴力行為」)の改善が可能であるとの回答は,全体の50%であるこ

    とが示されている。これらの結果から,SC自身の関わりが少ないか,あるいは関わりがあっても自信を持って対応できていない状況であることが推測され,こうした状況が反社会的問題行動を示す生徒へのSCの活動の評価を厳しくしていることが考えられるのである。SCの活動への教師の満足度を低くしてしまう原因について,先行研究などを基に検討したところ,以下にあげるような原因の存在が考えられた。 第1は,「SCの勤務形態に起因する問題」である。反社会的問題行動を示す生徒は,日々行動に変化が生じる場合が多い。現行のSC制度では,週1日8時間,年間35週という勤務形態が一般的である。問題行動の生徒と何らかの関わりを持ったとしても,翌週の勤務の時には状況が一変しているということがあろう。問題行動を示す生徒に対しては日々の対応が重要であるが,SCが毎日勤務することは現行制度では不可能であり,日々の変化に臨機応変に対応することは至難の業である。また,SCは基本的に単年度契約であり,任期満了に伴うカウンセリングの中断が生徒に“見捨てられ不安”を生じさせ,かえって問題行動をより悪化させてしまう可能性があるため,こうした生徒との関わりを回避せざるを得ない状況も起こりうるであろう。 第2は,「学校組織のあり方の問題」である。羽間(15)は,従来の「学校風土」自体が,SCによる反社会的行動を示す生徒への支援に対する阻害要因となっていると指摘する。校務分掌において,「生徒指導」と「教育相談」を分けている学校が多く,こうした組織形態は「反社会的問題行動は生徒指導」,「不登校・いじめなどの非社会的問題行動は教育相談」という“棲み分け”が行われやすい。SCは不登校やいじめへの対応として導入された経緯があり,また,教師は反社会的行動を心の問題やつまずきとしてとらえようとしない,反社会的問題行動はカウンセリングの対象と

  • 105武田・鈴木・森・遊間:スクールカウンセラーによる反社会的問題行動生徒への関わり

    考えない(16)傾向があるため,教師の間では「SCは教育相談」「不登校,いじめと反社会的問題行動は異なる」との認識が生じ,結果として反社会的問題行動を示す生徒とSCとの接点が奪われてしまう可能性があるのではないか。 第3は,「SC自身の資質の問題」である。羽間(15)は,SCが反社会的問題行動を示す生徒にうまく関われない原因の1つとして,SC自身の「苦手意識」を指摘している。SCは,その多くが臨床心理士の資格を持ち,子どもの心理・発達に関する専門的知識を有するものであると一般に認識されている。しかし,学校教育をよく理解しているSCは多いとはいえず,まして反社会的問題行動を専門とするSCはごく少数である。また,教育相談に限らず,臨床経験が豊かな人材が特に地方で不足しているため,臨床経験の浅い,いわゆる「若手」を多く配置せざるをえない地域数は多いであろう。このようなことから,「相談への動機づけが乏しく,言葉でのやりとりを苦手とし,加害者でありながらも被害者意識が強い」(10)反社会的問題行動を示す生徒を目の前にしたとき,SC自身が躊躇し,積極的に関与できなくなってしまうことが考えられる。また,このような状況は,教師に対してSCの専門性に疑問を生じさせる可能性があり,教師がSCと積極的に協働することを回避させてしまう可能性は否定できない。 他には,野澤(17)が明らかにした,「カウンセリングや教育相談に対する教師の考え方と知識(興味関心があるかどうか)」,「教師とSCの接触の度合い(どの程度SCが教師集団に溶け込めているかどうか)」,「過去における成功経験(反社会的問題行動へのSCを含めた連携的指導が効果を上げたかどうか)」など,教師側の要因も満足度に影響を及ぼすことが考えられる。 このように,SCの行う反社会的問題行動を示す生徒への支援については,不十分であ

    ることに加え,本問題についての研究自体が少ないことが指摘される。

    Ⅱ 目的

     本稿では,(1)SCの立場から,事例を基にした反社会的問題行動を示す生徒の特徴と,それに基づいた生徒の居場所作りのための対応に着目し,主としてSCの学校内における活動に関して,(2)外部機関としての警察の立場からみた,学校と外部機関の連携モデルの提示と,学校と外部機関が連携するための効果的なアセスメントについて,主としてSCが学校と外部機関の連携に果たしうる役割に関して,それぞれ検討を行い,最後に今後の実践における課題を指摘することを目的とした。

    Ⅲ 反社会的問題行動を示す生徒の特徴とスクールカウンセラーの関わり

    1.反社会的問題行動を示す生徒への関わり

    -チーム援助の視点-

     馬殿(18)によると,SCの役割は「学校教育活動の支援」にあり,その任務は「学校での指導に有効な情報を提供すること」であり,そのためにSCは教師集団とともに援助チームの一員として活動することが重要であると指摘している。また石隈(19)は,SCが適切なアセスメントを実施し,教師集団と連携し援助チームを立ち上げ,「コンサルタント」として機能することが重要であると指摘している。こうした指摘からも,SCと反社会的問題行動を示す生徒との関わりは,①「直接的なカウンセリングを通じた関わり」というより「間接的コーディネーション」を中心にすること,②援助方針を立てるために必要なアセスメントを実施すること,の2点が重要であると考えられる。小田・羽間(20)は,反社会的問題行動の生徒への関わりについて,サポートチームと個別支援会議を設け,SCが個別支援会議に加わり,個別支援計画作成に

  • 106 国立青少年教育振興機構研究紀要,第8号,2008年

    携わった事例を紹介し,サポートチームや個別支援会議を設けることにより,SCと教師の持っている情報が統合されると同時に相互信頼感が高まり,一貫した指導が可能になったことを報告している。こうしたことから,反社会的問題行動の生徒への関わりについて,援助チームが円滑に機能するようにSCがコーディネーションを主眼とした支援を行うことは重要であるといえる。

    2.反社会的問題行動を示す生徒への関わり

    -直接的援助の視点-

     植山(21)は,反社会的問題行動の事例に対して,SCが果たしうる6つの機能をあげ,「児童生徒」「保護者」「教師(集団)」という3つの対象に対する心理学的援助の内容を示している。SCが援助チームの一員として,“黒子”のような存在として支援するだけでなく,それぞれの対象に対して,特に生徒自身やその保護者に対して直接的な関わりを持つことが有効であるといえるだろう。反社会的問題行動を示す生徒への関わりを考える上で最も重要なことは,彼らを「排除」するのではなく「積極的に抱えていく」ことである(7)(22)。よって,彼らの問題行動が改善されるためには,SCが積極的に,物理的,心理的の両面において彼らの「居場所」を確保するように努めることが重要である。また,高井・羽間(23)

    が指摘するように,保護者が子どもを抱えることができるよう,SCが保護者面接を行う際は,保護者自身の問題に焦点を当てたカウンセリング的な対応を行うより,むしろ保護者を子どもへの「共同援助者」と捉え,コンサルテーション的な対応を行なうことの方が反社会的問題行動の事例に対しては有効であ

    ろう。また,こうした生徒や保護者に対処する教師のストレスはいわゆる「バーンアウト」につながりやすい(24)ことから,個々の教師に対しての心理的サポート,バーンアウトを防ぐような関わりも必要であろう。

    3.反社会的問題行動を示す生徒の心理的特

     反社会的問題行動を示す生徒は,対人不安や疎外感が強く,物事を被害的にとらえやすい傾向がある。また他者から肯定的な評価を受けることが少ないので,自己評価が低く,自尊心が傷ついている(25)。特に,教師や親,大人対する不満や不信感が強く,学校では教師への反発から,暴力や暴言,授業妨害,服装違反,遅刻・早退などが見られる。このような態度によって,周りの友だちや大人から肯定的な評価を受けることが少なくなり,学校での居場所がなくなっていく。「いつも自分たちばかり怒られる」「どうせ自分たちは嫌われている。いないほうがいいんだ」という自尊心の傷つきや見捨てられ感,自己評価の低下によって,逸脱行動がエスカレートしていくという悪循環が生じている(図1)。 彼らは周囲の大人たちとの人間関係のもつれがきっかけとなり問題行動を起こしていることが多い(26)(27)が,こうした生徒に対して「力で抑える」というようにとらえられかねない“生徒指導的”な関わりをすると,かえって教師への反発を強め,不適切な行動を増長させることとなる。このような状況が続くと,学級への所属感,人間関係が希薄になり,学級の規則やルールは無視され,学級としての秩序がなくなってしまう。この状況下では教師の疲労感は増すばかりで,教師自身が,「何

    教師や友人の批判的・回避的反応

    自分たちの居場所喪失

    の感覚

    自尊感情と自己肯定感の傷つき

    不適切行動の亢進

    逸脱行動

    図1 反社会的問題行動を示す生徒に対する生徒理解の枠組み(鈴木(7))

  • 107武田・鈴木・森・遊間:スクールカウンセラーによる反社会的問題行動生徒への関わり

    をやってもうまくいかない」という無力感や「自分の指導力が足りないからだ」という自責の念などで自信を喪失し,学級崩壊という事態までも引き起こしかねない(28)。

    4.反社会的問題行動の理解とカウンセリン

    グ介入の枠組み

     藤森(29)は「援助者が非行少年のやり切れない怒り,悲しみ,敵意といったものをあるがままに受け入れ,真に共感的理解を示すならば,自己洞察,自己受容へと結びつき,人格の変容につながる」とし,非行少年においても,受容・共感を基本姿勢とするカール・ロジャーズのクライエント中心療法的なアプローチが有効であると指摘する。また藤田(30)

    は,自らの不幸な境遇に意地になって突っ張り,劣等感に悩んでいる非行少年には,受容・共感的なアプローチが適していると述べている。このような知見に基づき,鈴木(7)は以下のような問題理解とカンセリング的介入の枠組みを提示し,問題行動を示す生徒へのアプローチを試みた。つまり,彼らの逸脱行動が教師や友だちの回避的・批判的な対応を引き起こし,それによって自分たちの居場所をなくし,自尊感情や自己肯定感が低下し,不適切な行動が増えると考えられるので,こうした枠組みを理解した上で,図2のように,SCが学校での居場所作りを援助し,信頼関係を築くことを行った。このような関わりにより,鈴木の事例(7)では,反社会的問題行動を示していた生徒の自尊感情と自己肯定感は回復に向かい,不適切行動が減少され,肯定的な行動が促進されたことにつながった。

    5.学校におけるスクールカウンセラーの3

    つの機能(3C機能)

    (1)児童・生徒に対するカウンセリング機能 反社会的問題行動を示す生徒は,自分の否定的な感情を「言葉」ではなく「暴力」という不適切な形で表現してしまうことが多い。感情を制御できるようになるためには,否定的な感情も肯定的な感情と同等に,価値のあるものとして大人から承認されることが必要である(31)。そこで,相談室を単なる「居場所」でなく「感情表現の場=強がりも弱音も吐ける場」とし,SCにさまざまな感情を承認されることによって,次第に「キレやすい」気持ちの制御が可能になっていくことを体験させていくことが重要である。また,リラクセーションや動作法などを用いて,キレそうな気持ちをどうおさめるかという感情の“クールダウン”の方法を問題の生徒と一緒に考えることは,SCならではの関わり方である(32)。また,仲間意識の強さや仲間と一緒にいることで安心できるという心理的特徴を考慮すると,個別のカウンセリングにこだわらず,積極的に集団の個に対する治癒力を活用したグループカンセリング的な要素を取り入れることは重要であろう。その場合,相談室が「たまり場」とならないように,予約制にすることや,利用時間帯を制限するなどの枠組みは必要であろう。また,当該生徒への対応だけでなく,彼らの言動で傷ついている他の生徒や,彼らの逸脱行動に我慢しかねている生徒へのケアや励ましも必要である(33)。(2)教師に対するコンサルテーション機能 問題行動を起こしている生徒にSCとして

    居場所づくり

    受容と共感的理解

    信頼関係の構築

    自尊感情と自己肯定感の回復

    積極的,肯定的行動の促進

    不適切行動の減少

    図2 反社会的問題行動を示す生徒へのカウンセリング的介入の枠組み(鈴木(7)を一部改変)

  • 108 国立青少年教育振興機構研究紀要,第8号,2008年

    直接かかわることが困難な場合は,教師や外部機関と協働しながら支援チームの一員として役割を担う方が,限られた時間の中では効率的な支援ができるといえる。SCが生徒の問題行動のアセスメントと今後の心理職的な見立てを行うことにより,教師に対して問題の理解や今後の対応の手がかりを提供でき,コンサルテーションを通して,教師自身がこれまで行ってきた自分の指導をふりかえるきっかけになり,同時に安心感にもつながるといえる。このように,担任一人が抱え込むのではなく,校内支援チームを組み,その中にSCを組み入れさせることにより,SCが教職員への“サポーター”となることは有効である(34)。SCが教師の心情を理解し,日常の努力や苦労に共感することにより,教師の疲労感が緩和され自信を回復し,本来のリーダーシップが発揮できるようになるなどの効果が期待できるであろう。(3)外部機関に対するコーディネーション機能 生徒の問題行動に苦慮している学校では,「なるべく問題を大きくしたくない」「できるだけ学校内で解決したい」と外部に対して防衛的になっていることが少なくない。実際に児童相談所や警察などの外部機関がどのような支援をしてくれるのか,よく理解できていない場合があり,援助を求めにくいということもある。SCが問題行動を的確にアセスメントした上で,学校側にそれぞれの外部機関がどのような支援ができるのかを提示し,外部機関の心理職の人脈を生かして情報交換や関係者会議など,学校内部から外部機関への“橋渡し”の「コーディネーター役」を果たすことが期待されよう。

    Ⅳ 反社会的問題行動への対処と外部機関との連携

    1.問題行動に対するアセスメントの視点

     反社会的問題行動を学校で取り扱うにあた

    り,外部機関のうちの警察機関との連携について,警察機関心理職としての実践に基づき,2つの視点を提示する。 1つは,反社会的問題行動をその生徒の心理的な問題という枠組みだけでとらえず,子どもを取り巻く全体の環境(つまり,家庭,学校,そして地域社会の問題)を含め,包括的に検討する必要があるということである。SCや教師が問題行動を示す生徒に関して,その生徒の心理的な問題のみに着目し,対応を進めると,問題が深刻化してしまう危険性がある。また,学校内だけで問題解決を図ろうとすることで,その生徒の抱える本質的な問題解決には至らず,かえって事態が複雑になってしまうこともありうる。問題行動を心理的な問題としてとらえることを否定するわけではないが,問題を抱える生徒への個別カウンセリングなどの心理的サポートよりも,早期に学校内外の環境整備を主眼としたサポート体制を確立することの方が,中・長期的には有効であるケースもある。このように,支援策の優先付けを含めた包括的な支援方針を行う必要があろう。 もう1つは,生徒の問題行動を「非行問題」としてひとくくりの枠組みでとらえることで,事態の本質が見えにくくなるということである。思春期の子どもたちは,この年齢特有の自我意識の高揚,大人社会への反発やその一番身近である教師への反発,そして授業妨害といった行動に出ることがある。それらを全て「非行」の萌芽として過度に反社会的な意味づけでとらえてしまうと,そのこと自体が問題となり,その生徒を学校生活や友人集団からさらに逸脱させてしまう原因となりかねない。SCや教師は,生徒の問題行動を「非行問題」の視点だけでとらえ,その行動のみに焦点を当てるような対応にならないよう留意する必要があろう。 以上の2つの視点から,反社会的問題行動を学校現場で扱う際には,生徒の問題行動を

  • 109武田・鈴木・森・遊間:スクールカウンセラーによる反社会的問題行動生徒への関わり

    どのようにとらえるかについて,包括的なアセスメントが求められているといえる。このアセスメントを校内で生徒指導担当教諭(生徒指導主事)などと協働で担える立場にあるのが,まさにSCであるといえよう。

    2.アセスメントにおける着目点

     校内で生徒の問題行動のアセスメントを行う際に大切なことは,子どもの発達という視点から問題行動をとらえることである。また,情報が得られれば,「学校と家庭がどのような協力関係が築けるか」という可能性も含めた家族のアセスメントを行い(35),さらに問題行動の程度についてアセスメントする必要がある。問題行動の意味を理解することが重要であるとの指摘(36)があり,著者らはその行動が,例えば,いたずらの延長線上でとらえてよいものか(いわゆる「やんちゃ」な子どもも逸脱行動をすることがある),あるいは,違法行為なのかという区別は重要であると考える。また,その問題行動を当該生徒自身の問題のあらわれとして捉えるのか,周囲に影響されたものか,あるいは強要されたものか,といった検討が必要である。これに加え,本人の成長や好ましい変化のみならず,状況の急速な悪化といった危険性をすばやく察知する意味で,状況の変化を正確にアセスメントする必要がある(37)。これらを総合的に判断し,SCは生徒指導担当教諭と協議し,外部機関との連携のタイミングを図ることが重要である。

    3.外部機関との連携

     従来,学校でよくみられた反社会的問題行動への対応は「なるべく学校内で改善に向け努力をし,問題が深刻化してから外部機関に委ねる」という方法であったといえよう。しかし,最近の子どもたちの特徴である問題の多様化,問題行動の複雑化にともない,問題行動が深刻にならないうちからの外部機関と

    の連携・協働が求められ,他機関連携によるサポートチーム(38)などが編成されるようになりつつあり,これの取り組みは,一定の成果をあげている(39)。外部機関との連携を図るべき問題行動とは,表1のような段階に分けて考えることが適切と思われる。ここで判断基準の中心に据えたのは,問題行動の深刻さの度合いに加え,学校生活の枠組みからの逸脱の度合い,その時点における家庭の養育力の評価などである。 表1に示した「タイプ0」は,校内サポートチームによる支援で十分に対応できると思われるものである。「タイプ1」は,現時点では,校内のサポートチームの支援を中心に展開すべきであるが,今後状況の変化によっては外部機関と連携しながら支えていくことを検討する必要があると考えられるものである。「タイプ2」は,学校だけの支援では困難が予想され,地域の関係機関が連携し,校内・外のサポートチームなどによって支えていくことが必要と思われるものである。そして,「タイプ3」は,校内支援の限界を越えており,司法機関の介入により子どもの問題行動に歯止めをかけることが最優先されると判断されるものである。このように,SCには,前述のアセスメントに基づき,学校に外部機関との連携について提言し,支援体制についてコーディネートする役割が求められよう。 なお司法機関,特に警察との連携については,“生徒の心を傷つけてしまう”という懸念があるためなのか,学校では抵抗感を持ちやすいようである。しかし,違法行為を見逃さず専門家とともに協働で取り扱うことが,実は生徒のその後の問題行動の“歯止め”にもなり,その生徒自身を守ることにつながることが多いのである。警察の介入によって,生徒の心を傷つける懸念があるのなら,むしろそのケアも念頭におきつつ支援を展開していくことが適切であろう。

  • 110 国立青少年教育振興機構研究紀要,第8号,2008年

    表1  反社会的問題行動と外部機関との連携の目安-スクールカウンセラーの役割に焦点を当てて

    タイプ 0

    タイプ 1

    タイプ 2

    タイプ 3

    行動のレベル

    軽 度

    軽 度 ~ 中 度

    中 度 ~ 重 度

    重 度

    集団との関係

    単独または校内少人数の非行問

    題行動傾向のグループ

    単独または校内非行グループ

    校内非行グループや校外の非行

    グループとのつながり,など

    年長非行グループや非行グループ

    とのつながり,など

    学校適応

    普通~やや逸脱

    やや逸脱

    逸脱または不登校気味

    逸脱または不登校

    家庭の状態

    協力を期待できる

    あまり協力を期待できない

    あまり協力を期待できないか,

    家庭が機能していない

    協力を期待できないか,家庭が機

    能していない

    校内連携

    ・教育相談担当

    ・生徒指導担当

    ・(スクールカウンセラー)

    ・生徒指導担当

    ・教育相談担当

    ・スクールカウンセラー

    ・生徒指導担当

    ・教育相談担当

    ・スクールカウンセラー

    ・生徒指導担当

    校外連携

    特に必要ない

    状況の変化に応じて,児童相談

    所・教育相談機関・警察少年サ

    ポートセンターなどとの連携を

    検討

    地域の関係機関(児童相談所・

    教育相談機関・警察少年サポー

    トセンター・警察署ほか)でサ

    ポートチームを構築し,チーム

    での支援を実施

    司法機関(家庭裁判所・警察署な

    ど),福祉機関(児童相談所など)

    の介入を求める

    スクールカウン

    セラーの役割

    ・本人・家族への支援

    ・ 状況の変化に応じたアセスメ

    ント

    ・ 状況の変化に応じたアセスメ

    ント

    ・司法機関の介入を提言

    ・教師へのコンサルテーション・教師へのコンサルテーション

    ・教師へのコンサルテーション

    ・ 生徒への支援体制のアドバイス

    ・ 校内におけるサポート体制の

    コーディネーション

    ・ サポートチーム(学校内外の

    メンバーによる)のコーディ

    ネーション

    ・ 関係機関に援助を求める時期

    の判断

    問題行動の例

    校内での問題行動(教師に対す

    る反抗,授業妨害など)のみ

    授業のエスケープなど学校生活

    からの逸脱が目立ちはじめ,悪

    化の方向に向かっている

    地域の非行グループとの関係が

    深まり,学校・家庭から逸脱し

    た生活が常習化しつつある

    長期の家出,非行グループとの深

    いつきあい,薬物の問題など

  • 111武田・鈴木・森・遊間:スクールカウンセラーによる反社会的問題行動生徒への関わり

    Ⅴ 今後の課題

     以上,SCによる反社会的問題行動を示す生徒への支援について検討を行ったが,そのなかで幾つかの問題点が指摘された。その中から,以下の3点の課題点について検討する。

    1.治療構造のあいまいさ

     学校臨床の最大の特徴は,病院臨床に比べた,「治療構造,治療枠のあいまいさ」である。磯邉(40)は,学校臨床は一定の時間や場所が確保しづらく,任意で行われやすいために治療の構造度が低い(つまり,自由度が高い)ことを指摘している。しかし,この治療者とクライエントとの二者関係の「枠のなさ」が,逆に,反社会的問題行動をエスカレートさせてしまうことが考えられる。一定の「枠づけ」を行うことで,こうした行動に歯止めがかけられると期待されるが,そもそも学校臨床における枠の設定は難しいであろう。反社会的問題行動を示す生徒にSCが関わる際の「枠の設定」についての議論が求められる。 反社会的な生徒は生育環境に問題を抱えていることが多いといえる。反社会的な問題行動を繰り返す生徒は,家庭的に不遇であることも多く,そのためか適切な対人距離を取ることが苦手で,甘えや憎悪の感情を適切に表現できず,極端な行動に走りがちである。昨今では,いわゆる「ふつうの」生徒でも教師と信頼関係を結ぶことに困難を伴うことがあるが,SCが反社会的な問題行動を示す生徒と“カウンセラー・クライエント”の関係を築いていくことには,多くの困難が伴うであろう。つまり,一般的なカウンセリングの枠組みを,反社会的問題行動を抱える生徒に設定することには限界があるといえる。よってSCは,一般的なカウンセリングの枠組みにとらわれすぎず,学校臨床独特の「治療構造,治療枠のあいまいさ」を“活用してしまう”姿勢をもつことが有効であろう。この例とし

    て,当初は,問題の生徒を寛容な態度で受け入れ,SCから本人に「歩み寄る」姿勢を示し,信頼関係が構築していく度合いによって「生徒指導的な関わり」も取り入れるといった柔軟な姿勢,また必ずしも相談室にこだわらず,家庭訪問を行うなどの広い支援方法が求められるのではないだろうか。 しかし,彼らが相談室を頻繁に利用するようになり,このことが他の生徒への「脅威」となってしまった場合,「治療構造,治療枠のあいまいさ」にSCが振り回されてしまうことが想定される。反社会的問題行動における「枠の設定」の問題については,今後も検討が必要である。

    2.外部機関との連携に対する学校の躊躇

     SCは非常勤職であることから,同じく多くが非常勤の形態を取る病院の心理士,児童相談所の心理判定員などを兼務していることが少なくない。そのため,心理職者同士の「ヨコ」の繫がりを持っていることが多い。学校が外部機関のことをよく知らないために連携を躊躇することがあるだろうが,SCにはそのネットワークを有している特性を生かし,外部機関に関する情報を校内の教職員に積極的に伝えることにより,学校にある不安感,不信感などを払拭し,自らが連携のコーディネーター役ないしは生徒指導担当を支える“黒子役”となり,連携がスムーズに運ぶように連絡調整を行うことが期待される。そのためには,普段からの教職員との信頼関係の構築に努めることが必要であろう。 また,学校現場では,いまだ外部機関との連携を「予防を目的とした積極的な生徒指導」ではなく「学校だけでは対応できない場合に力を借りる,いわゆる消極的な生徒指導」ととらえる傾向があるのではないだろうか。SCの役割として植山(21)は,外部機関への援助要請をあげているが,「どのタイミングで」「どのような形で」外部機関との連携を図る

  • 112 国立青少年教育振興機構研究紀要,第8号,2008年

    か,という明確な指針は学校現場に十分浸透しているとは言い難い。学校組織の運営に関して,今後の改善が望まれる部分である。

    3.スクールカウンセラー養成の課題

     反社会的問題行動を示す生徒への対応に関するSCへの潜在的ニーズは存在している。このニーズに応えるためには,SCの自己研鑽が前提となろう。前述したSCによる反社会的問題に対する「苦手意識」の背後には,臨床心理士を養成する学部・大学院教育の問題があると考える。つまり,臨床心理士を養成する指定大学院の多くは,臨床実習において病院での実習を重視し,学校での実習は必ずしも重視されていない。また,カリキュラム上でも,必修科目とされているのは「臨床心理学特論」「臨床心理学面接特論」「臨床心理査定演習」「臨床心理基礎実習」「臨床心理実習」などであり,「学校臨床心理学」や「犯罪心理学」などは選択科目であることが多い。従来の「病院臨床モデル」を主眼とした心理臨床養成だけではなく「学校教育臨床モデル」を教授できる専門家を教員に迎えたカリキュラムを編成するなど,さらなる改良が求められよう。今後,SC養成のための専門職大学院,および一般の養成大学院における学校臨床講座の充実,そしてその基礎となる学部教育の充実,さらには,SCに対する継続教育をどのように行っていくかなど検討を重ねることが課題である。 SC制度が進行しつつあるなか,本論文で議論したSCが反社会的問題行動に関わることについては,本質的に,少なからず障壁や問題点が含まれている。しかしながら,学校におけるさまざまなニーズとそれに応えるためには回避できないテーマである。今後さらに,SC,教員,および,学校関係者を中心として検討することが望まれる。

    引用文献⑴ 村山正治,「スクールカウンセラー事業の最近の動向」,日本臨床心理士会雑誌,第49巻第1号,2006,pp.29-34⑵ 中村恵子,「スクールカウンセラーによる学習援助を中心にしたひきこもり生徒への登校援助」,カウンセリング研究,第37巻,2004,pp.336-344⑶ 佐藤仁美,「スクールカウンセラーと教師の協働-合同面接から見えてきたもの-」,心理臨床学研究,第24巻,2006,pp.201-211⑷ 磯部美良・堀江健太郎・前田健一,「非行少年と一般少年における社会的スキルと親和動機の関係」,カウンセリング研究,第37巻,2004,pp.15-22⑸ 高井千鶴,「非行行動と心理的要因について-対象関係論的視点から-」,国立オリンピック記念青少年総合センター研究紀要,第6巻,2006,pp.21-32⑹ かしまえりこ・神田橋篠治,「スクールカウンセリングモデル100例」,創元社,2006⑺ 鈴木明美,「非行少年グループへのスクールカウンセラーの介入-学校での「居場所」作りを中心に-」,カウンセリング研究,第36巻,2003,pp.154-162⑻ 武田明典,「スクールカウンセラーによる中学非行生徒への包括的支援-相談室の枠組みを越えて」,カウンセリング研究,第38巻,2006,pp.385-392⑼ 竹森元彦,「家出を繰り返す女子中学生とその親へのスクールカウンセリング」,カウンセリング研究,第40巻,2007,pp.169-181⑽ 伊藤美奈子,「学校側から見た学校臨床心理士(スクールカウンセラー)活動の評価-全国アンケート調査の結果報告」臨床心理士会報,第20巻,2000,pp.21-42⑾ 下司昌一・小畔彩子・山田麗子・渡部瑞恵,「教員の問題意識とスクールカウンセラーへの期待」,心理学紀要(明治学院大学文学部心理学科),第12巻,2002,pp.17-29⑿ 下司昌一・青島朋子・上倉安代・益子洋人,「教師が対応に困る問題と必要としている支援に関する研究」,明治学院大学心理学部付属研究所紀要,第4巻,2006,pp.19-38⒀ 河村茂雄・武蔵由佳・粕谷貴志,「中学校のスクールカウンセラーの活動に対する意識と評価-配置校と非配置校との比較-」,カ

  • 113武田・鈴木・森・遊間:スクールカウンセラーによる反社会的問題行動生徒への関わり

    ウンセリング研究,第38巻,2005,pp.12-21⒁ 兵庫県立教育研修所心の教育総合センター,「平成12年度スクールカウンセラー研究連絡会報告書 スクールカウンセラー,さらなる活用に向けて Ⅲ -スクールカウンセラーと児童生徒の問題行動-」,2002,pp.18-46⒂ 羽間京子,「スクールカウンセラーをめぐって-歴史,現状と課題-」犯罪と非行,第136巻,2003,pp.122-132⒃ 村尾泰弘,「非行カウンセリングの二層性について」,人間の福祉(立正大学),第5巻,1999,pp.103-112⒄ 野澤真琴,「問題行動への対応における教師の意識に関する研究:スクールカウンセラーの役割について(臨床心理系,2004年度社会福祉学研究科博士前期課程修士論文要旨)」岩手県立大学社会福祉学部紀要,第7巻,2005,p.60⒅ 馬殿礼子,「生徒の非行とスクールカウンセ ラ ー」, 教 育 と 医 学, 第46巻,1998,pp.220-227⒆ 石隈利紀,「学校心理学-教師・スクールカウンセラー・保護者のチームによる心理教育的援助サービス-」,誠信書房,1999⒇ 小田将史・羽間京子,「校内サポートチームについて」,千葉大学教育実践研究,第12巻,2005,pp.47-54� 植山起佐子,「非行とスクールカウンセリン グ」, 臨 床 心 理 学, 第 2 巻,2002,pp.184-189� 廣井いずみ,「『居場所』という視点からの非行事例理解」,心理臨床学研究,第18巻,2000,pp.129-138� 高井千鶴・羽間京子,「サインとしての非行行動-母親とカウンセラーとの共同作業による援助-」,千葉大学教育実践研究,第10巻,2003,pp.73-83

    � 森 慶輔,「公立中学校教員のバーンアウト・プロセスモデルの検討」,昭和女子大学大学院生活機構研究科紀要,第16巻,2007,pp.61-72

    � 村松 励,「暴力をふるう子-そのメッセージの理解と指導技法-」,学事出版,2002,pp.14-22

    � 衣斐哲臣,「子どもの反社会的問題行動に

    対する家族援助-児童相談所における介入モデル試案-」,心理臨床学研究,第17巻,1999,pp.225-236

    � 鈴木康明,「教師が行う発達援助活動-暴力的で無気力な男子高校生の事例から-」,カ ウ ン セ リ ン グ 研 究, 第31巻,1998,pp.43-51

    � 河村茂雄,「学級崩壊に学ぶ-崩壊のメカニズムを絶つ教師の知識と技術-」,誠信書房,1999

    � 藤森晋一,「クライエント中心療法に基づく援助」,非行の心理臨床,福村出版,1990,pp.32-50

    � 藤田博康,「非行臨床における実践的アプローチモデル」,心理臨床学研究,第20巻,2002年,pp.76-88

    � 大河原美以,「非行臨床-臨床心理という立場から-子どもの発達という視点」,こころの科学,第102巻,2002,pp.41-47

    � 松本 繁・宮脇宏司・高田みぎわ,「教師とスクールカウンセラーでつくるストレスマネジメント教育」,あいり出版,2004

    � 大河原美以,「怒りをコントロールできない子の理解と援助」,金子書房,2004

    � 石隈利紀・田村節子,「チーム援助入門-学校心理学・実践編-」,図書文化,2003

    � 村松 励,「非行臨床の実践」,金剛出版,1998,pp.15-27

    � 内山喜久雄・坂野雄二,「子どもをとりまく問題と教育 第4巻 問題行動の見方・考え方」,開隆堂出版,2003,pp.53-55

    � 遊間千秋,「非行の相談」,臨床心理学,第2巻,2002,pp.197-202

    � 龍島秀広・梶 裕二,「非行における臨床心理的地域援助」,臨床心理学,第2巻,2002,pp.223-231

    � 矢作由美子,「少年サポートチームの現状と課題-非行少年の心のサインが聞けるチーム作りへ」,教育研究所紀要,第12巻,2003,pp.69-78

    � 磯邉 聡,「『治療構造論』と学校臨床」,千葉大学教育学部研究紀要,第52巻,2004,pp.141-147

  • 114 国立青少年教育振興機構研究紀要,第8号,2008年

    付記

     本稿は,スクールカウンセラーが企画した自主シンポジウム(武田明典・鈴木明美・森 慶輔・遊間千秋・沢崎達夫,「スクールカウンセラーは学校現場で非行問題にどのように関与できるか」,日本カウンセリング学会第39回大会発表論文集,2006,S12)に基づき,再検討を行ったものである。指定討論者の目白大学沢崎達夫教授,および,フロア参加者に謝辞を申し上げます。