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10/3/2015作成:村田弘志 1– ダヴィンチ・ドームの作り方 構造編 村田弘志 制作

Hiroshi Murata, Japanese, Reciprocal Frame Dome

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DIY a Wood Reciprocal Geodome Frame.

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ダヴィンチ・ドームの作り方構造編

村田弘志 制作

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http://www.hiroshi-murata.com

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はじめに

このファイルは、ドーム構造の部材の作り方ならびに構造を組み立てるマニュアル

で成り立っています。構造部材の設計はプログラム化されて付属のエクセルファイ

ルにおさめておきましたので平行してご利用ください。

本ファイルには模型制作や構造の組立を容易にするための立体チャートの作り方も

載せてあります。実際に、この設計プログラムを基に数メートル大のドーム構造を

組み立てることも可能です。実物を組立の際は、模型と照らし合わせながら組み立

てることをお薦めします。しかし、模型制作を省いて直接実物の組立を行ないたい

場合、先の立体チャートを参考に組み立てることも可能です。

なお、このファイルでは構造のマニュアル・データのみを提供することに留めてあり

ます。

住むための屋根やシート等の二次的の施工方法、いわゆるルーフィングについては

今後の研究や開発を通して段階的に発表していく予定です。

しかし、このルーフィングに関しては必ずしも構造のように限定されたものではな

く、その方法や材料の選択には自由度があります。私個人としてはある程度このデ

ータをご利用の皆さんに委ねていきたいと思っております。

さりとて、ドームの外殻である屋根やシートの形状は構造を基に成り立つものなの

で、マニュアルの最後の章にルーフィングに必要となるデータを記しておきました

。参考にしてみてください。

実際にドームを組み立てる際は、部材にしなりのある材料を選択してください。主

に杉板・割り竹や帯状の金属等が最適です。

部材の長さで設定の円弧に相当する曲げが不可能な材料を使用した場合、部材接合

が困難、または不可能となる他、素材によっては破損するケースも考えられます。

あらかじめ曲げる値をご確認し、テストを行なってから材料の選択を行なってくだ

さい。曲げる値の算出については、本ファイルの15・16ページに記しておきました。

始めるにあったっては、本ファイルの内容を一通りお読みになってから材料の確保

に取り掛かってみて下さい。

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【目次】

1.制作の流れ 4

2.立体チャートの組立 5

3.部材説明 8

3-1.基本部材 8

3-2.脚部部材 9

4.部材諸量表の説明 10

5.立地面の設定と脚部調整 11

1.立地平面における各寸法と角度 11

2.脚部の調整 12

6.模型制作 14

7.ドームの制作 16

1.材料の選択 16

2.諸量の算出 17

3.部材加工 17

4.組立の手順 17

8.ルーフィングを考える 19

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1.制作の流れ1.立体チャートの制作。最初に簡易の模型を作り、グリット(格子)の構成を確認します。その後、このチャートを頼りに模型や実際のドームを組み立てていきます。

本ファイルP5

2.模型の制作。できれば模型を制作してグリットの構成を体感してから実際のドームの制作に入っていくことをお勧めします。

本ファイルP14‐15

3.グリット構成の把握。マニュアルの部材説明をお読みになって各部材の位置関係ならびにグリットの構成を把握します。

本ファイルP8‐9

4.模型部材寸法の算出。模型制作を行なうため、エクセルのファイルを開けて希望する模型の直径を入力してください。各部材の寸法が算出されます。

エクセルファイルP1

5.部材の調整。基本的な部材以外に、入り口や窓を設けるための部材やドーム高さを調整することによって生じる延長部材などが必要となってきます。希望の設定に基づいて必要となる部材の寸法を算出します。

エクセルファイルP2-3・本ファイルP11‐13

6.設置面の設計。円周上に接地する部材の位置を算出します。エクセルファイルP4・本ファイルP11

7.模型材料の調達。適切な材料を入手し、加工します。本ファイルP14

模型の組立。最初に用意しておいた立体チャートを参照にしながら組み立てます。本ファイルP14‐15

8.ドーム部材の諸量算出。希望する大きさのドームに合わせた部材の寸法と数量を再度エクセルのファイルを求めておきます。

エクセルファイルP1

9.材料の調達。エクセルファイルP5・本ファイルP16

10.材料の加工。本ファイルP17

11.組立。立体チャートもしくは模型に照らし合わせながら組立作業を行います。本ファイルP17

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2.立体チャートの組立

模型を組み立てるにしても、実際の構造を組み立てるにしても、部材の配置や作業

の順序など何らかの視覚的なガイドが必要となります。

そのため先ず取り掛かるべき最初の作業は、自分自身を目的地へと導く地図のよう

なものを作ります。ここではガイドとなる地図を立体化します。

すでに皆さんは、当方のブログやサイトでおおよそのドームの構造は視覚として捉

えていると思います。その一見複雑な構成も単純なパターンの繰り返しからなって

いることに気づいていらっしゃる方もいるかと思います。

ドームの形態は半球ですが、その基は球体です。

球を均等に分割し、更にその分割を細分化する球面分割からこの幾何解析が始まり

ます。

ここでは端的に球面を均等に20分割する方法を取っています。

これから作る立体チャートが正20面体であることがお分かりになるでしょう。

図1

ドームとして利用する範囲は、その上部3分の2です。図2で示すように下部の5

つの三角形を取り除いた形です。

図2

図3で示す三角形は、その正20面体を構成する面です。

一番上の三角形は、頂点をなす上段5枚を構成します。

図をコピーして厚紙に貼り切り抜いてください。のりしろと三角形をつなぐ辺には

カッターで浅めに切込みを入れ、折り目を付けておくときれいにつなぐことができ

ます。

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図3

図3下の三角形2枚は正20面体の中段10枚を構成します。

よってこの図3を5枚コピーすることで全ての面を用意できます。

破線はドームの水平ラインです。このラインが設置面になるので、それより下方に

ある部材は必要ありません。そのためそれらの部材は灰色で示しています。

図4は以上説明した三角形のパーツをつなげたもので、展開図を示しています。

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図4

一見複雑そうに見える構成ですが、作業としては一つの三角形の連続から成り立っ

ているので単純な繰り返しとなります。

このようなパターンの構成をユニット構成といいます。またその構成要素をモジュ

ールといいます。

さて、そのモジュール内の部材構成ですが、これにもユニット構成となっています

次の図5でそれを示していますが、これは図3で示した三角形、すなわちモジュー

ルを三分割した部分です。この分割を三つ合わせると一つのモジュールとなります

。このように同じ形や模様などが回転して繰り返し、元の位置に戻るパターンを回

転対称といいます。

図5

以上のことから、同じことの繰り返しが回転対象によってつながり、全体の形が出

来上がることに気付くでしょう。

そして、おおよそ察しが付くと思いますが、模型においても、実際のドームにおい

ても組立作業における思考体験ではこの慣れない回転対称の感覚に先ず戸惑いが生

じます。そのためにも、この立体チャートは良き導き手となることでしょう。

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3.部材説明3-1.基本部材

部材説明以下、部材をご説明をします。平行して簡易の組立チャートならびにエクセルファイルにおさめられた部材諸量表を参照にしていただければより理解しやすくなります。

ドームの基本部材は4種類からなります。P ・PH・WH・Hです。各部材は色で識別します。Pは赤・PHは緑・WHは青・Hはオレンジです。それ以外に、ドームの脚部を構成する部材があり、それらは基本部材の延長であったり、短縮であったりする部材です。 部材の各接合間の長さには、一定の規則性があります。接合部は三箇所あります。両端の接点間は五角形もしくは六角形のグリットを形成する一辺となります。以降、この接点間を側部と呼ぶことにします。また、中間部とどちらかの側部は合わせて三角形のグリットを形成します。 なお、各部材の両端接合点より外方の長さは図では示されていません。この長さは選択する部材の幅により異なりなすが、部材幅の半分以上、接合した時に部材の角が出ない程度が好ましいでしょう。以降、この箇所を端部と呼びます。

図6

識別符号としてexは延長を意味し、sは短縮です。その他、頭と尾は端部の方向を示しています。この略号は文中でも使いますが、頭とは材の端部の一方が六角形か五角形を形成し、尾とはその逆の端部を表わします。以下、各部材をご説明します。

1.Pの部材が五本交差することで、五角形を形成します。よってPはPentagonの頭文字です。

2.Hの部材が六本交差することで、六角形を形成します。よってHはHexagonの頭文字です

3.PHは、PとHの尾部がをつなぐ部材です。4.WHはHの尾部と他のHの尾部とをつなぐ部材です。

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Hs Hs HsPHs

Hex頭 Hex尾 Hex頭WHex WHex

図 3

3-2.脚部部材

 次に、ドーム脚部の部材をご説明します。下の図を参照にご説明します。図は脚部の連続に繋がる部材の一部を抽出して示しており、両側は省略してあります。

5.PHsは、一方の側部がないPHの短縮で、脚部に5本取り付けられます。6.HsはHの短縮で脚部に一方の側部がないHの短縮で、脚部に10本取り付けられます。

7.Hex頭は、Hの延長部材で、頭の方向、すなわち六角形を形成する方向に延長します。

8.脚部では六角形は水平面で半分のみ見えるかたちです、全部で5本取り付けられます。

9.WHexは、WHの延長部材で、全部で5本取り付けられます。10.Hex尾は、Hの延長部材で、尾の方向に延長します。この場合頭側には六角形が形成されます。

脚部は、下の図で示すように、WHex -Hex頭-Hex尾の三つの部材が一つのセットとなり、その繰り返して繋がることで形成されています。このセットが5回繰り返されます。

図7

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4.部材諸量表の説明下の表にはエクセルのファイルにおさめられた諸量表と同様のもの埋め込まれてい

ます。

画面上でダブルクリックを行なうとエクセルの画面に変わります。戻る場合は画面

の外でワンクリックします。

画面右上にドームの直径を入力すれば、各部材の寸法が自動的に算出されます。

数値を確認するだけならこの画面で簡単にできますが、プリントアウトする場合は

、エクセルのファイルをご利用ください。そこから再度設定値を入力すれば、全て

の部材を一目で把握できます。

P-2 17.89 1170.6

P-3 24.89 1628.8

PH-1 6.14 401.9

PH-2 20.73 1356.4

PH-3 26.87 1758.3

PHs 5 10

H-1 7.38 483.0

H 60 140

H-2 20.08 1314.2

H-3 27.46 1797.3

Hex頭 5 10 H-4 0.00 0.0

H-5 1.30 85.1

Hex尾 5 10 H-6 27.46 1797.3

H-7 28.76 1882.3

WH-1 7.45 487.6

Hs

(注)ドームの直径が7500mm未満の場合、入り口を設ける関係で、地面に直立する Hex頭・Hex尾 を10本の長さを延長します。000を参照して下さい。

WH 15 40

P

PH 30

6030

60

10 20

-2

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:WHex

:Hex尾  

:Hex頭

出入り口

出入り口

出入り口

出入り口

出入り口

72°Ⓑ

23°

24.5°

24.5°

a

b

a

5.立地面の設定と脚部調整

1.立地平面における各寸法と角度

ドームの円周上に配置する脚部部材の位置を決めます。またそれに伴って入り口の設定を行います。

以下の図は、ドームの平面図で地面に垂直に位置する部材を示しています。       

図8

作図に必要な寸法を算出します。下の表内でダブルクリックを行なうとエクセルの画面に変わります。戻る場合は画面の外でワンクリックします。ドームの直径を入力すれば、部材間a,bの寸法が自動的に算出されます。なお、プリントアウトする場合、同様のプログラムがエクセルのファイル5ページ目におさめてあります。

ドームの直径 a b

寸法

単位:mm2500 1060 998

平面図を描くには、設定の円周を描き、5分割します。その位置に部材WHexがおかれます。そこを目安として他の部材の位置を決めます。

以下、部材間の内角は2種に分かれますので、注意してください。左回りで示すと、部材間Ⓐの内角は24.5°部材間Ⓑの内角は23°そして、以降残りの4区分もその繰り返しとなります。また出入り口は図で示しているように、部材WHexから左周りに部材Hex尾との間に最大5箇所設けることができます。

2.脚部の調整

1.脚部における部材の配置ドームの脚部に当る部材は垂直に位置する延長部材とそれに接続する短縮部材

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Hex頭 Hex尾 Hex頭WHex WHex

Hs Hs HsPHs

1セット

です。

延長部材は、Hex頭・Hex尾・WHexの三種類です。短縮部材は、HsとPHsの二種類です。

図9

図10

2.入り口の高さ設定とドームの高さ調整それに合わせて脚部の部材を調整します。

以下、当フォルダにおさめられたエクセルのファイルの2ページ目におさめてあるプログラムを参照に設定値の入力を行なってください。

ドームの直径を設定することで入り口の高さと幅が得られます。入り口の幅が狭いようでしたら、異なるパターンの入り口がファイルの3ページ目に載せてあります。調整してみてください。

また、入り口の高さが約2mに満たない場合はドームの脚部の部材(垂直に位置する部材)を延長してドームの高さをかさ上げすることで入り口の高さを満たすことが可能となります。ファイルの4ページ目を参照に部材寸法を確認してください。

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図11入り口を設ける脚部の位置

図12入り口のパターンⅠ

幅は狭いが腰の位置で壁にすれば窓になる。

図13入り口のパターンⅡ

パターンⅠよりも幅が広く取れる。

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6.模型制作

1.模型制作を行なう前には、簡易の組立チャートを作っておいてください。このチャートを参考に模型のグリットを組み立てていきます。

2.先ず本文全体をお読みいただいて、おおよそのしくみや用語を理解しておきます。その際、組立チャートを参照にしていただくと理解が一層深まります。

3.模型の大きさを決めます。最小でも直径25センチあればよいでしょう。あまり小さいと作りにくいし、大きいと場所をとります。

4.模型材料を用意する前に、エクセルのファイル(諸量表)を開き、模型の径を入力して部材の各寸法を求めておいてください。またその際数量も確認しておきます。この段階で、実際のドームにおける入り口や窓の大きさ、位置も決めておきます。また、固定板に設置するドームグリットの位置も求めておきます。

5.模型材料を用意します。グリットを形成する部材には柔軟なプラスチック(ポリプロピレン)などが適しています。厚さは0.5mm~1mmほど。アクリルは薄いと割れやすいので大きな模型ならば問題ないでしょう。どちらもホームセンターで容易に手に入ります。あるいは、いらなくなったブラインドの羽根を切って使っても良いでしょう。部材は穴を空けて接続します。被覆鉄線(緑色)か銅線の#19~22が適しています。その他、ドームを固定する合板を用意しておきます。

図14

6.工作道具としては、カッターナイフの他に小型のドリル、1ミリ前後のドリル歯、鉄線を切る小さなニッパーと曲げる小さなペンチが必要となります。ペンチは先の尖ったものを用意してください。また、基本部材の識別のためマジックペン4色をそろえておいて下さい。

7.加工においては、同寸法の部材が多くありますので、基本部材だけでもテンプレートを作っておくと便利です。部材接続は金属線の両端をペンチの先で丸めて固定します。

8.組む順番はドームの頂点から始める方が容易です。色で識別された部材を互いに接続していきますが、その作業はあらかじめ作っておいた立体チャートを参照にしながら行なっていきます。

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図15

9.出来上がったドームを固定板に取り付けます。ドーム脚部の垂直に位置する部材の下方端部に穴を空けておきます。固定板にはそれらの部材が配置される位置の両側に2箇所穴を空けておきます。そこに金属線を通して先に空けておいた穴を通して結束することでドーム本体を固定します。

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7.ドームの制作

1.材料の選択グリットを形成する部材には、しなりのある材料である竹や杉板のほか帯状の鉄やアルミニウムが適しています。合板やアクリルなどは強度的に適していません。希望とするドームの直径に合わせた部材の曲がり具合をあらかじめテストしておきましょう。円周の弧に相当する曲げが可能ならば使用できます。

図16

部材の線分は設定の円周(大円)の一部となっています。材の長さを円周で割って、それに360度を掛けて内角を導きます。先ずこの角度を鋭角としてはさむ2辺を半径rとし、部材の外方端部を結ぶラインを底辺とする二等辺三角形を描きます。次にこの三角形の底辺の中心から延びる垂線の線分pを求めます。そしてこの線分から半径rを差し引いた長さが部材の曲がる時に必要な長さとなります。部材の両端を固定して上から人力で押し下げてその長さ分が程よく沈めばOKです。

以下、その曲がる長さ(r-p)を求めます。下の表内でダブルクリックを行なうとエクセルの画面に変わります。戻る場合は画面の外でワンクリックします。目的とするドームの直径と任意の部材の長さを入力します。自動的に(r-p)の長さが求められます。なお、プリントアウトする場合、同様のプログラムがエクセルのファイル6ページ目におさめてあります。

ドームの半径 ドームの円周 任意の部材の長さ 内角度A 曲がる距離

寸法

単位:mm

50

11.5 2450

2500 15708 1000 23

2.諸量の算出模型制作同様の手順で行なってください。部材の他、入り口や敷地円周上の部材間の寸法出しも模型同様の手順で行なってく

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ださい。

3.部材加工4種類の部材を区別するため小口には水性ペイントで色付けしておきます。小口だけでなく材を正面から見て識別できるように端部も塗っておくことをお奨めします。入り口や窓となる部材も識別できるように元となる基本部材の識別色を塗っておきましょう。部材の切断・各接合間の墨付けが終わって穴あけ作業です。材料の種類によって異なりますが、材木でも金属でも接続はネジ式で組立取り外しが容易な方法が好ましいです。木材を使うのでしたら、トラスネジに鬼目ナットがお勧めできます。外方に重なって接続する部材にトラスネジを挿入し、内方の部材には鬼目ナットをあらかじめねじ込んでおきます。鬼目ナットとは、木ネジ等の強度不足や反復使用に対応する為に挿入して使用するナットです。ワッシャーは部材の端部を押さえ、割れを防ぐ役割をしまさす。比較的大き目のサイズを選んだ方が良いでしょう。

トラスネジ・鬼目ナット・ワッシャーの入手先:http://www.neji­no1.com/トラスネジ:https://ssl24.net/~maruei/lineup/W0000060.htm

鬼目ナット Dタイプ):https://ssl24.net/~maruei/order/imgstep3.php?clid=54ワッシャー:https://ssl24.net/~maruei/lineup/W0000060.htm

4.構造の位置決め第5章の図8を参照に構造の脚部部材、その中でも垂直に位置する部材15本の位置をあらかじめ定めておきます。敷地内の中心を定めて金属の細長い棒を打ち込みます。そして被覆針金を半径分コンパス代わりに伸ばしその棒にくくりつけます。次に、コンパスの指す位置に仮杭を打ち込み、部材間の寸法に合わせた棒を用意して次の仮杭を打ち込んでいきます。簡易設置ならば正式な杭を後に打ち直してそれに垂直部材を固定していきます。ある程度長期的な設置ならばコンクリートの沓石をあらかじめ地面に半分埋めて動かないようにしておいたほうが良いでしょう。この沓石は金属の羽板付きを選んでください。

5.組立の手順組立前、H2本とPH1本で組むグリットはあらかじめ組み立てておくと現場での作業が効率的です。全部で60セットになります。

図17

 組立の感覚は模型同様ですが、部材が比較的軽いならばドーム頂部からじかに組み

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立てることも可能です。しかし、たいてい最後の方で持上げながらの作業となり重量が増してくるので、ドームの脚部より始めたほうが無難です。2段目、3段目と順に円を描く順番で部材を組んでいきます。この側面に当る段ではドーム特有の横圧力が生じます。設計とは反して部材が外側に向く場合があります。特に部材の曲がる度合いがドームの大きさに対して低い場合その傾向にあります。部材が開きすぎて素手による接続作業が困難な場合、二人作業ならば全く問題はないでしょうが、一人作業ならばロープを使って手繰り寄せてみてください。

6.構造の固定仮杭の位置に垂直部材を正します。簡易設置では、地面と垂直部材の間にはレンガでも敷いておけばよいでしょう。金属や丈夫な杭を打ち込み、それに垂直部材を結束します。長期的なドームの設置の場合、沓石の上に垂直材を乗せ、金属の羽板付にボルトか木ネジで固定します。

図18 図19

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8.ルーフィングを考える

ジオデシックドームのルーフィングの方法は大別すると3つほどあります。 自然素材の植物の茎を葺く、いわゆる藁葺きの方法。 動物の毛皮や植物繊維の布で覆う、いわゆるテント張り。 板状の素材を取り付ける、いわゆる板葺きやパネル張り。

現在、フォルムデザイン事務所ではこのルーフィングについて模索中であり、未開発の段階です。今後、多くの方が頻発する災害や急激な社会構造の変化によって避難や移住を余儀なくされることと思われます。当方としてはそのためにこのドームをモバイルハウスとして開発していこうと考えております。簡易の設置や移設が容易であるように、極力軽量素材をと思案しております。

ドームの構造は設計のほか材料の耐久性など制約が多いものです。しかし一方のルーフィングは様々な材料の選択に可能性があり、利用目的や好みに応じてアレンジする幅もあります。是非、多くの方が自らルーフィングに挑戦していただきたいと願っております。

ここでは念のため、パネル張りを選択する方のため、参考に各グリットの内角を記しておきます。

図20

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更にパネル形状の見本を参考のため示しておきましょう。グリット構造は球面に沿って形成されているため、各部材は湾曲しています。当然それに平面のパネルを張るならば歪みが生じます。そのため以下の図 で示すようにグリットの接続箇所で角度をつけたほうが良いでしょう。

図21

最後に、このようなパネルを板金で行なうならば、雨仕舞いを考慮して、はぜ折りを施した一例を示しておきます。

図22