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C13(4) (第10回)
薬物の排泄①(肝クリアランス、胆汁排泄)
(p.155 〜 162、178~184)
薬剤学講座(3号館6階) 崔 吉道
平成20年6月19日 13:15〜14:30 355講義室
バイオアベイラビリティー、BA、F経口投与された薬物がどれだけ体循環に移行するか?
初回通過効果:吸収過程で代謝や排泄により除去されること
代謝: 消化管壁と肝臓排泄: 消化管腔と胆汁
ネオメディカル 薬の生体内運命中島 恵美 編 p.146 (2008)
排泄: 消化管腔と胆汁
F = Fa・Fg・Fh例)80% 80% 80%
0.8x0.8x0.8 = 0.512
BAは、約 51%
薬物の肝からの消失機構 ネオメディカル 薬の生体内運命中島 恵美 編 p.23 (2008) 肝クリアランス
大切なのは定量的評価! 肝臓の処理能力を[mL/min]で表す!
[mL/min] [μg/mL]流入速度 = Qh x Cin
-) 流出速度 = Qh x Cout
消失速度 = Qh x (Cin -Cout) [μg/min]
・・・ (1)
ネオメディカル 薬の生体内運命中島 恵美 編 p.156 (2008)
Qh・ (Cin - Cout)
Cin
~消失速度を血中濃度で標準化したもの
変形すると、
Qh ・ (Cin- Cout) = CLh ・ Cin
消失速度 = クリアランス x 血中濃度
(2)
(3)
肝クリアランス CLh = [mL/min]
肝抽出率(比) Eh (hepatic extraction)
つまり肝クリアランスは
(Cin - Cout)
Cin
= Eh ・・・肝抽出率
肝で除去される割合(%)
(4)
ネオメディカル 薬の生体内運命中島 恵美 編 p.157 (2008)
つまり肝クリアランスは、
CLh = Qh・ Eh ・・・流入血中の何%が除去されたか
逆に、除去されずに流出する割合(肝アベイラビリティ Fh)は、
Fh = 1 – Eh
(5)
(6)
肝固有クリアランス(CLint,h)
↓肝細胞内で代謝される
ネオメディカル 薬の生体内運命中島 恵美 編 p.157 (2008)
肝クリアランスは血流速度
を超えない
⇒ 代謝能力を過小評価
している場合がある
肝細胞内で代謝される非結合形薬物濃度をもとに考える!
↓
肝固有クリアランス
薬物消失速度 = CLint,h・ (fb ・Cout) ・・・(7)
fb: 血中タンパク非結合形分率
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肝クリアランスと肝固有クリアランスとの関係薬物消失速度 = CLh・Cin = CLint,h・fb・Cout
(4)式, (5)式, (8)式から C、Ehを消去すると…(Cin - Cout)
CinEh = (4)
CLh = Qh・ Eh (5)
(8)
Qh ・ fb・ CLint,h
CLh =Q C
(i) Qh << fb・CLint,h のとき
CLh =Qh ・・・肝血流律速
ネオメディカル 薬の生体内運命中島 恵美 編 p.158 (2008)
CLh Qh + fb・CLint,h
fb ・ CLint,h
Eh = Qh + fb・ CLint,h
Qh
Fh = Qh + fb ・ CLint,h
h Qh 肝 流律
(肝抽出率Ehは0.7以上)
(ii) Qh >> fb・CLint,h のとき
CLh =fb・CLint,h
・・・肝固有クリアランス律速
(iii) その上タンパク結合率が小さい(< 60%)薬物は
CLh = CLint,h
・・・肝固有クリアランス律速
タンパク結合非感受性
肝代謝型薬物の分類(図20)
(i)
ネオメディカル 薬の生体内運命中島 恵美 編 p.159 (2008)
(iii) (ii)
肝臓の構造と機能・栄養物質等の代謝・アルブミン合成・薬物代謝・胆汁排泄
(十二指腸に排泄)
・肝臓重量成人男性 1~1.3 kg成人女性 0.9~1.1 kg
薬物の胆汁排泄機構(ちょっと先回り…)ネオメディカル 薬の生体内運命
中島 恵美 編 p.178 (2008)
成人 性 g
・小葉(1~2mmの多角形)の集合体
・中心静脈 (中心)・門脈、肝動脈、胆管
(小葉の周辺部3本組)
・肝細胞は放射状に分布
・類洞側と毛細胆管側に分極
胆汁酸と胆汁
糖タンパク質、ビリルビン等・・・
リン脂質・・・
胆汁:肝臓で生成し胆嚢で蓄え濃縮
ネオメディカル 薬の生体内運命中島 恵美 編 p.180 (2008)
肝臓で生成し胆嚢で蓄え濃縮十二指腸に分泌1日当り 700~1,200 mL胆汁酸の界面活性作用で
脂肪球を分散、消化を助ける
胆汁酸:一次および二次胆汁酸タウリン抱合体、グリシン抱合体
としても存在腸肝循環(小腸下部で再吸収)トランスポーターが関与
一次胆汁酸
二次胆汁酸
薬物の胆汁中排泄ネオメディカル 薬の生体内運命
中島 恵美 編 p.181 (2008)
・・・肝機能検査薬
比較的疎水性の薬物
ネオメディカル 薬の生体内運命中島 恵美 編 p.182 (2008)
・・・肝機能検査薬
比較的疎水性の薬物が胆汁排泄型である
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分子量350~5,000程度の薬物は胆汁排泄されやすい
ネオメディカル 薬の生体内運命中島 恵美 編 p.183 (2008)
腸肝循環
親油性が高い胆汁酸や薬物↓
抱合体として胆汁中排泄↓
(腸内細菌が脱抱合)
・・・胆汁中排泄された薬物が消化管で再吸収されて肝臓に戻る現象
ネオメディカル 薬の生体内運命中島 恵美 編 p.184 (2008)
(腸内細菌が脱抱合)↓
消化管下部で吸収
例) インドメタシン、クロラムフェニコール、ジギトキシン、ジクロフェナク、モルヒネ、プラバスタチン
薬物の唾液中排泄
唾液1~1.5 L/日分泌α-アミラーゼを含有顎下線由来(70%)耳下腺由来(25%)
ネオメディカル 薬の生体内運命中島 恵美 編 p.184 (2008)
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耳下腺由来(25%)舌下腺由来(5%)
体内不要物の排泄作用もある
単純拡散で排泄される薬物はpH分配仮説に従う(リチウムは能動的に分泌される)タンパク非結合形が唾液腺の上皮細胞を透過すると仮定
→ TDMへの応用が期待(未だ臨床応用されていない)S/P比(唾液/血漿濃度比を用いる)
薬物の母乳中排泄母乳
600-1,000 mL/日分泌87-95%が水分pHは6.35-7.65
分泌上皮細胞に・イオン勾配、膜電位勾配・ヨード、コリン、カルニチン、
グルコース、アミノ酸のトランスポーター発現
ネオメディカル 薬の生体内運命中島 恵美 編 p.187 (2008)
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薬物代謝酵素とトランスポーターの協調作用が肝と小腸で異物排泄・解毒機構として働く
Influx Liver
Efflux
Portal Vein
CYP3A4
Phase I
Intestine
NTCP
P-gp
Parent DrugMetabolite
Conjugate
Phase ICyclePhase II
Phase III
Phase I
Phase III
CYP3A4
OATP
OCT
etc.
Phase II
P-gpBileMRP2
BSEP
肝抽出率・肝クリアランスの求め方 ①(血中薬物濃度を用いて算出する方法)
ラットにプロプラノロール塩酸塩 を静脈内投与後、ある時間における肝動脈血中および肝静脈中のプロプラノロールの濃度を測定したところ、それぞれ 1 5μg/mLおよび0 15μg/mLであった
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それぞれ、1.5μg/mLおよび0.15μg/mLであった。プロプラノロールの肝抽出率と肝クリアランスを求
めなさい。ただし、ラットの肝血流速度を15 mL/minとする。
(Eh=0.9, CLh=13.5)
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肝抽出率・肝クリアランスの求め方 ②(肝固有クリアランスと血漿タンパク非結合率を用いて算出する方法)
ほとんど肝代謝で消失する薬物 A の肝固有クリアランスは80 L/min、血漿タンパク結合率は90%である。この薬物の肝抽出率および肝クリアランスを
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求めなさい。但し、ヒト肝血流速度を1.5 L/minとする。
(Eh=0.84, CLh=1.26)
[練習問題]薬物Aの肝固有クリアランスは80 L/min、血漿タンパク結合率は
90%である。ヒト肝血流速度を1.5 L/minとして以下の問いに答えよ。(1.26)
1.薬物Bの作用により薬物Aの肝代謝活性が50%阻害されたときの肝クリアランスを求めよ。(ただし、薬物Bの併用により肝代謝活性以外のパラメータに変動はないものとする。)
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(1.09)
2.心疾患の併発により肝血流速度が50%低下したときの肝クリアランスを求めよ。
(0.68)