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日本血管外科学会雑誌 2021; 30: 125–129 125 保存的加療で軽快した上行結腸憩室炎に続発した上腸間膜静脈血栓症の 1 月岡 祐介 * ,立石 烈,大西 遼,塩屋 雅人,中原 嘉則,金村 賦之 上行結腸憩室炎に続発した上腸間膜静脈血栓症(Superior Mesenteric Vein Thrombosis: SMVT)に対し保 存的加療を行った 1 例を報告する.症例は 78 歳の男性.右下腹部痛と発熱を発症し前医に搬送され上行結腸憩室 炎の診断で前医に入院となった.点滴抗生剤加療で改善しないため造影 CT が施行され SMVT と診断され当院に 搬送.当院では腹部症状は消失しており保存的加療の方針とした.未分画ヘパリン持続静注から開始しワーファ リン内服に切り替え入院 5 日後の CT で血栓縮小を確認したため 7 日目に退院した.退院 2 カ月後の CT で血栓の消 失を確認した.文献検索では,腸間膜静脈血栓症に先行する大腸憩室炎の部位としては上行結腸が多く,SMVT IMVTInferior Mesenteric Vein Thrombosis: 下腸間膜静脈血栓症)よりも発生頻度が高かった. (日血外会誌 2021; 30: 125–129索引用語上腸間膜静脈血栓症,大腸憩室炎,保存的療法 上行結腸の憩室炎に続発した上腸間膜静脈血栓症(Su- perior Mesenteric Vein Thrombosis: SMVT)は稀な疾患であ る.今回われわれは同疾患に対して保存的加療を行った ので,最近の文献的考察も交えここに報告する. 78 歳,男性 :右下腹部痛 現病歴:発熱と軽度の右下腹部痛でかかりつけ医を受 診し内服の抗生剤が処方された.10 日間自宅で様子を 見ていたが改善しないため,前医に救急搬送された.単 CT で急性上行結腸憩室炎と診断され,ワイスタール (スルバクタムナトリウム,セフォペラゾンナトリウム) が開始された.症状が改善しないため造影 CT が施行さ れ,SMVT と診断された.専門的加療目的に当院に紹介 となった. 既往歴:高血圧,手術歴なし,血栓症の既往なし, COVID-19 患者との濃厚接触なし 入院時現症:体温 39.0°C,血圧 117/63,脈拍 62 /分, 酸素飽和度 95%.右下腹部痛は軽度,腹膜刺激症状もな かった.排便はあり,血便はなかった. 前医の入院時検査所見WBC 36000/μL, CRP 16.1 mg/dL と異常高値.肝・胆道系酵素は ALP: 577 IU/mL, γ-GTP: 187 IU/L, T.Bil: 1.4 mg/dL と軽度上昇していた.D イマーは 8.0 μg/mL と上昇していた.CK 31 IU/L, LDH 173 IU/L と正常範囲内. 当院の入院時検査所見(前医入院時から 3 日後) WBC 11400/μg と改善も,CRP 18.44 mg/dL と異常高 値.肝・胆道系酵素はγ-GTP: 174 IU/L, T.Bil: 1.1 mg/dL 改善傾向であった.抗カルジオリピン抗体は 12 U/mLVIII 因子凝固活性は 200% 以上,Von Willebrand 因子活 性は 414% と高値であった.プロテイン C 活性は 54% ごく軽度低下していた(正常値は 55140%).総ホモシ ステインは 10.3 nmol/mL,プロテイン S 活性は 99%,第 XIII 因子活性は 82% と正常範囲内であった. 前医の腹部単純 CT 所見:上行結腸憩室は腫脹し,周 囲脂肪織濃度の上昇を認めた.膀胱直腸窩に腹水を認め た. 前医の腹部造影 CT 所見:上腸間膜静脈・回結腸静脈 内に血栓による造影欠損域を認めたが,完全閉塞はして いなかった.SMV 血管壁は造影効果を認めた.門脈内 に血栓は認めなかった(Figs. 1, 2).上行結腸には憩室 が多発しており周囲の脂肪織濃度は上昇していた.回盲 部から上行結腸肝彎曲にかけて腸管は浮腫様に肥厚して いた.これらの所見から上行結腸憩室炎が疑われた.虫 垂にも炎症の波及が見られた.上行結腸に造影効果の異 常や壁内ガス像はなく腸管壊死は否定的であった. イムス葛飾ハートセンター 124–0006 東京都葛飾区堀切3 丁目30–1 * E-mail: [email protected] 受付:2020 12 14 日 受理:2021 3 3 doi: 10.11401/jsvs.20-00095 ■症

Jpn. J. Vas. Sur. 30(2): 125-129 (2021)

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日本血管外科学会雑誌 2021; 30: 125–129

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保存的加療で軽快した上行結腸憩室炎に続発した上腸間膜静脈血栓症の1例

月岡 祐介*,立石 烈,大西 遼,塩屋 雅人,中原 嘉則,金村 賦之

要 旨: 上行結腸憩室炎に続発した上腸間膜静脈血栓症(Superior Mesenteric Vein Thrombosis: SMVT)に対し保存的加療を行った1例を報告する.症例は78歳の男性.右下腹部痛と発熱を発症し前医に搬送され上行結腸憩室炎の診断で前医に入院となった.点滴抗生剤加療で改善しないため造影CTが施行されSMVTと診断され当院に搬送.当院では腹部症状は消失しており保存的加療の方針とした.未分画ヘパリン持続静注から開始しワーファリン内服に切り替え入院5日後のCTで血栓縮小を確認したため7日目に退院した.退院2カ月後のCTで血栓の消失を確認した.文献検索では,腸間膜静脈血栓症に先行する大腸憩室炎の部位としては上行結腸が多く,SMVTは IMVT(Inferior Mesenteric Vein Thrombosis: 下腸間膜静脈血栓症)よりも発生頻度が高かった.

(日血外会誌2021; 30: 125–129)

索引用語: 上腸間膜静脈血栓症,大腸憩室炎,保存的療法

背 景

上行結腸の憩室炎に続発した上腸間膜静脈血栓症(Su-

perior Mesenteric Vein Thrombosis: SMVT)は稀な疾患である.今回われわれは同疾患に対して保存的加療を行ったので,最近の文献的考察も交えここに報告する.

症 例

症 例:78歳,男性主 訴:右下腹部痛現病歴:発熱と軽度の右下腹部痛でかかりつけ医を受診し内服の抗生剤が処方された.10日間自宅で様子を見ていたが改善しないため,前医に救急搬送された.単純CTで急性上行結腸憩室炎と診断され,ワイスタール(スルバクタムナトリウム,セフォペラゾンナトリウム)が開始された.症状が改善しないため造影CTが施行され,SMVTと診断された.専門的加療目的に当院に紹介となった.既往歴:高血圧,手術歴なし,血栓症の既往なし,

COVID-19患者との濃厚接触なし入院時現症:体温39.0°C,血圧117/63,脈拍62回/分,

酸素飽和度95%.右下腹部痛は軽度,腹膜刺激症状もなかった.排便はあり,血便はなかった.前 医 の 入 院 時 検 査 所 見:WBCは36000/µL, CRPは

16.1 mg/dLと異常高値.肝・胆道系酵素はALP: 577 IU/mL,

γ-GTP: 187 IU/L, T.Bil: 1.4 mg/dLと軽度上昇していた.Dダイマーは8.0 µg/mLと上昇していた.CKは31 IU/L, LDHは173 IU/Lと正常範囲内.当院の入院時検査所見(前医入院時から3日後):

WBCは11400/µgと改善も,CRPは18.44 mg/dLと異常高値.肝・胆道系酵素はγ-GTP: 174 IU/L, T.Bil: 1.1 mg/dLと改善傾向であった.抗カルジオリピン抗体は12 U/mL,第VIII因子凝固活性は200%以上,Von Willebrand因子活性は414%と高値であった.プロテインC活性は54%とごく軽度低下していた(正常値は55~140%).総ホモシステインは10.3 nmol/mL,プロテインS活性は99%,第XIII因子活性は82%と正常範囲内であった.前医の腹部単純CT所見:上行結腸憩室は腫脹し,周囲脂肪織濃度の上昇を認めた.膀胱直腸窩に腹水を認めた.前医の腹部造影CT所見:上腸間膜静脈・回結腸静脈内に血栓による造影欠損域を認めたが,完全閉塞はしていなかった.SMV血管壁は造影効果を認めた.門脈内に血栓は認めなかった(Figs. 1, 2).上行結腸には憩室が多発しており周囲の脂肪織濃度は上昇していた.回盲部から上行結腸肝彎曲にかけて腸管は浮腫様に肥厚していた.これらの所見から上行結腸憩室炎が疑われた.虫垂にも炎症の波及が見られた.上行結腸に造影効果の異常や壁内ガス像はなく腸管壊死は否定的であった.

イムス葛飾ハートセンター 〒124–0006 東京都葛飾区堀切3丁目30–1* E-mail: [email protected]受付:2020年12月14日 受理:2021年3月3日doi: 10.11401/jsvs.20-00095

■ 症 例

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日本血管外科学会雑誌 第30巻 第2号(2021)

当院の腹部エコー所見:SMV内腔に壁在血栓を認めたが,一部血流が存在した(Fig. 3).当院入院時に,右下腹部痛は軽度であったこと,腹膜

刺激症状がなく正常の排便がなされていたこと,採血上炎症反応が改善傾向であり腸管虚血を示唆する所見もなかったことから,保存的加療を行うこととした.未分画ヘパリン15000単位/日の持続静注を開始し,APTTが60

~80秒となるようにコントロールした.上行結腸憩室炎に対しては前医と同様に抗生剤を継続した.当院入院の翌日には症状が完全に消失したため食事を開始した.当院入院5日後の腹部造影CTでSMV血栓の縮小と上行結腸憩室周囲の炎症所見の改善と腹水の消失を確認した.症状増悪もなく,炎症反応も正常化したため入院後7日目に退院とした.外来ではワーファリンを内服しながらPT-INRが2.0~3.0となるようにコントロールしている.退院2カ月後の腹部造影CTでは血栓の消失を確認した.

考 察

SMVTは外科系緊急入院の0.01%,腸間膜血管閉塞性疾患の5~15%と比較的稀な疾患である 1, 2).発症年齢は6歳~80歳代と幅広い年齢に見られるが,40~60歳代に多く,男性が女性の2~4倍発症しやすいとの報告がある 3, 4).Abduらにより,①急性に腹痛,下血,腹膜刺激症状を呈する急性型,②軽度の発熱,腹痛を呈した後に数週~月後に増悪する亜急性型,③症状がないまま側副血行路が発達する慢性型に分類されている 5).本症例は前医に搬送される前の10日間,発熱と右下腹部痛が持続したことから②亜急性型に該当するものと考える.

SMVTでは腸間膜動脈の血流は保たれているものの,何らかの因子により腸間膜静脈内に血栓が生じる.通常は腸管膜の腸管近傍の分枝から始まり,中枢に伸展し本管が閉塞すると症状が増悪する 5–7).特発性のものと2次性のものがあり,後者が約80%を占める 5, 8).原因が不明のものは特発性とされる.2次性SMVTの原因には,

Fig. 1 The contrast enhanced abdominal CT on admission showed 1) enhanced SMV wall and 2) a thrombus in the SMV.⇨ enhanced SMV wall. showed a thrombus.

Fig. 2 The contrast enhanced abdominal CT on admission showed a thrombus in the proximal portion of SMV ( ).

Fig. 3 An abdominal ultrasound showed 1) a thrombus and 2) restricted venous flow in the SMV.⇨ showed a thrombus. △ showed restricted venous flow.

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月岡ほか:上腸間膜静脈血栓症の保存的療法

炎症性疾患(虫垂炎,膵炎,大腸憩室炎),プロテインC欠損症,プロテインS欠損症,AT-III欠損症,プラスミノーゲン異常症,抗リン脂質抗体症候群,肝硬変,門脈圧亢進症,腹部手術の既往,食道静脈瘤治療後,内視鏡検査後,腹腔内感染,外傷,経口避妊薬,悪性腫瘍,妊娠,ネフローゼ症候群などがある 5).診断のついたものの中で約45%が特発性であったという報告もある 9).本症例では全身検索を行ったが明らかな悪性腫瘍はなく,プロテインCは軽度低下していたもののほぼ正常下限であったことから,上行結腸憩室炎が原因でSMVTに至ったものと考え,抗生剤と抗凝固薬での治療を行った.当初,抗リン脂質抗体症候群も疑ったが,抗カルジオリピン抗体弱陽性12 IU/mL(<40 IU/mL)と,APSの札幌基準(シドニー改変)10)を満たさないため否定的と考えた.医中誌Webで検索を行うと,本邦での上行結腸憩室炎に合併したSMVTの報告は20例あり,そのうち原著症例報告は5例であった.その5例全例でヘパリンを用いた抗凝固による保存的加療がなされ軽快が得られていた 7, 11–13).SMVTに先行する小腸・大腸憩室炎の部位を検索すると,空腸0例,回腸1例,上行結腸20例,横行結腸0例であった.近い病態のものとして考えられる虫垂炎に続発するSMVTの報告は48例存在した.また,虫垂炎術後に発症したSMVTも11例の報告があった.同様に,下腸間膜静脈血栓症(Inferior Mesenteric Vein Throm-

bosis: IMVT)に先行する大腸憩室炎の部位を検索したところ,横行結腸0例,下行結腸0例,S状結腸2例,直腸0例であった.また,SMVTの報告は800例以上存在したのに対し,IMVTの報告は20例程度であった.これは我が国においては大腸憩室炎が右側結腸に好発することが理由の一つと考えられる.大腸憩室炎に占める右側結腸憩室炎と左側結腸憩室炎はそれぞれ約70%と14%と報告されている 14).それ以外の理由としては,可動性の高い小腸・横行結腸と後腹膜固定されている上行結腸の両方につながるSMVが捻じれを生じて静脈血流が鬱滞してしまう可能性や,SMVと膵臓との接点である膵鉤部で閉塞起点を生じやすい可能性を考えた.腸間膜静脈血栓症(Mesenteric Vein Thrombosis: MVT)

の発生機序としては,前述の解剖学的理由による静脈血流の鬱滞の可能性に加えて,腸管の感染と炎症が血管内皮細胞を障害しプロスタグランジンなどの産生が阻害され血小板凝集が引き起こされるものと考察されている 15).静脈アーケードでできた血栓は伸展し,これにより腸管壁で静脈の鬱血性梗塞が生じる.側副血行路の存在が腸管壊死を免れる上で重要であると考えられている 5, 8).

診断は,本症例のように早期診断が困難な場合が多く,75%以上の症例では48時間以内に診断がつかなかったとの報告もある 8).また,腸管虚血が存在する症例でも,静脈還流が途絶しているために採血データでCKやLDHの上昇やアシドーシスの進行を示さないことがあるため注意が必要である 16).画像診断ではCT

が最も検出力の高い検査と考えられており,単純CTでは腸壁および腸間膜の浮腫や腹水貯留を認め,造影CT

ではSMV血管壁のvasa vasorumが造影される一方で血管内腔は透亮像となる central lucent signが特徴的である(Figs. 1, 2).また,SMVの拡張所見,胃周囲の側副血行路や門脈の cavernous transformationの存在も非常に重要な所見である 17).本症例は上腸間膜静脈が完全閉塞していなかったため軽度の症状にとどまったものと考えられる.腹部超音波は迅速に施行できSMV内の血栓を描出す

ることが可能な場合もあるが,腸管ガスのため困難であることが多い 16).本症例では腹部エコーで静脈内血栓が明瞭に描出できたため供覧する(Fig. 3).腹部血管造影検査においては,SMA血流の遅延,静脈における血栓像や血流の欠如などの所見を認める 16).治療としては,抗凝固療法,線溶療法,開腹下の血栓

除去,小腸切除などがある.明らかな腸管壊死の所見がなく血行動態が安定している場合は前2者を考慮する 7, 11–13).抗凝固療法としては,ヘパリン静脈内持続注射でAPTT

60~80秒もしくはACT160~200秒でコントロールするか,ワーファリンを用いてPT-INRが2.0~3.0となるようにコントロールするか,DOACを用いる.2016年の第10版Ameri-

can College of Chest Physicians(ACCP)ガイドラインでは出血性合併症のリスクの低さと用量調節の簡便さからDOAC

の使用を推奨しており18),本邦でもDOACが有用であったという報告が散見される 19, 20).本症例では患者の経済状況を考慮してワーファリンを使用した.線溶療法としては経上腸間膜動脈的血栓溶解療法の報告が最も多く,ウロキナーゼをSMAに選択的に投与する 16).同手技では,SMA

にウロキナーゼ10~100万単位ボーラス投与後,5000~24

万単位/時間で数時間から数日間持続動注および持続静注が行われている報告が多い 16, 21).また,門脈が閉塞している症例では,経頸静脈的に肝内門脈までカテーテルを留置して門脈内血栓溶解療法を行った報告もある 22–24).開腹下に血栓除去を行った報告もあるが,SMV末梢の血栓摘除が困難であり6, 25),再発リスクと死亡率はそれぞれ11~29%と33~37%と高い 25, 26).いずれの治療中においても,腹膜刺激症状などの腸管壊死の所見を認めた場合には小

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腸切除を行わなければならない.血栓の広がりが腸管壊死の範囲と必ずしも合致するわけではないことは非常に重要な点であり,術後の縫合不全や腸管壊死の再発には注意するべきである 27, 28).長期的な再発リスクもあるため,長期的な抗凝固療法が有用であると考えられる 28).本疾患の死亡率は8~55%と報告されている 5, 8, 28, 29).

利益相反

主著者および共著者全員が利益相反なし.

付 記

第49回日本血管外科学会学術総会(2021年5月19~21日,名古屋国際会議場)に演題提出予定(一般演題ポスター,34. 静脈疾患(その他)).

文 献

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月岡ほか:上腸間膜静脈血栓症の保存的療法

A Conservatively Treated Case of Superior Mesenteric Vein Thrombosis Secondary to Diverticulitis in the Ascending Colon

Yusuke Tsukioka, Retsu Tateishi, Ryo Ohnishi, Masato Shioya, Yoshinori Nakahara, and Takeyuki Kanemura

IMS Katsushika Heart Center

Key words: superior mesenteric vein thrombosis, diverticulitis, conservative therapy

We report a case of superior mesenteric vein thrombosis (SMVT) secondary to diverticulitis in the ascending colon which was diagnosed with contrast enhanced abdominal CT scan and treated conservatively. The patient is a 78-year-old male who was admitted to a hospital since his symptom worsened despite the use of oral antibiotics prescribed by his GP for his right abdominal pain and mild fever. A blood test demonstrated elevated CRP and WBC, and a plain CT scan showed signs of appendicitis, for which intravenous antibiotics were com-menced. A contrast enhanced CT scan was performed to further investigate the cause of his persistent symptoms after the commencement of intravenous antibiotics, which revealed SMVT. He was transferred to our unit and started on conservative anticoagulation therapy, considering that his symptoms had almost disappeared, and hemodynamics were stable. Continuous infusion of heparin was started and changed to oral warfarin therapy. As we confirmed a significant decrease in the size of a thrombus in the SMV on a contrast enhanced CT scan and improvements of his data and symptoms on the 5th day of admission, he was discharged on the 7th day. A CT scan taken 2 months after discharge showed no thrombus in the SMV. The ascending colon was considered the most common site of diverticulitis that can lead to mesenteric vein thrombosis on literature searches. The incidence of SMVT is considered higher compared to that of IMVT.

(Jpn J Vasc Surg 2021; 30: 125–129)