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「全通研がめざす手話通訳 「全通研がめざす手話通訳 制度」理解のために 制度」理解のために 2016/1021 全通研副会長:近藤幸一

「全通研がめざす手話通訳 制度」理解のために · ・基本は、日本語。日本語が通じない場合は、手話通訳者(通事)の配置 ・聾学校の先生が中心

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「全通研がめざす手話通訳「全通研がめざす手話通訳制度」理解のために制度」理解のために

2016/1021/全通研副会長:近藤幸一

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1969(昭和44)年開所

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京都での公務員手話通訳者の配置状況

手話通訳者の自治体採用

1969(S44)京都市1970(S45)宇治市1970(S45)宇治市1972(S47)綾部市1973(S48)舞鶴市・

長岡京市1975(S50)亀岡市・

城陽市1976(S51)田辺町1978(S53)八幡市・1978(S53)八幡市

向日市

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~1960年代~1960年代

手話通訳 制度なし• 手話通訳 制度なし

• 聴覚障害者センターなし

運転免許取得資格なし• 運転免許取得資格なし

• 民法11条の規定により、ローンできず

• ない!ない!ない!

• ろう者の人権無視ないし軽視の時代

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1960~70年代「ろうあ者大会スローガン」1960~70年代「ろうあ者大会スローガン」

①すべての聴力障害者の生活と権利を守ろう①すべての聴力障害者の生活と権利を守ろう

②ろうあ者にも自動車運転免許を与えよ

③あらゆる公共機関に手話通訳を③あらゆる公共機関に手話通訳を

◎公営選挙の立会演説会に手話通訳を配置せよ

◎われわれのコミュニケーションを拡大しよう◎われわれのコミュニケ ションを拡大しよう

④ろうあ会館、聴力障害者は手をつなぎ、団結しよう

⑤テレビに字幕とろうあ者向け番組を⑤テレビに字幕とろうあ者向け番組を

⑥すべての聴力障害者はてをつなぎ、団結しよう

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京都ろうあセンターの事業京都ろうあセンターの事業

今日の聴覚障害者福祉事業の萌芽今日の聴覚障害者福祉事業の萌芽

①生活相談①生活相談

②手話通訳②手話通訳

③一時保護

④聴言検査 訓練④聴言検査・訓練

⑤巡回訪問事業

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行政の通訳者雇用・法人による福祉事業・手話サ クル行政の通訳者雇用・法人による福祉事業・手話サークル

①1963年手話学習会「みみずく」発足 手話サ クル①1963年手話学習会「みみずく」発足・・手話サークル

② 年京都ろうあセ タ 開設 聴覚障害者福祉事業②1968年京都ろうあセンター開設。・・・聴覚障害者福祉事業• 1977年 丹後6町ろうあセンター分室を設置し、以後(1998年までに、4か所の郡部に地方センターの開設)の郡部に地方センタ の開設)

③1970年京都市、宇治市を皮切りとした各自治体への手話通訳者の公務員配置。

以後、(1978年までに 9市1町)・・・自治体雇用

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地域の手話手話サークルの様子地域の手話手話サークルの様子

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手話サークル活動の様子2013年みみずく50周年シンポからろう者とサ クル員の思いで話からろう者とサークル員の思いで話から

①ろうあセンターが設立する前 難聴の娘のために 手話サーク①ろうあセンターが設立する前、難聴の娘のために、手話サークルの会員が家に来て勉強をみてくれた。

②家で晩ご飯を一緒に食べた。②家 晩 飯を 緒 食 。

③映画に行き、餃子を食べ、風呂を一緒に、共にした。

④交通手段は自転車、不便はあったが、楽しかった。④交通手段 自転車、不便 あ 、楽 。

⑤くらしを共にすることが基本であった。

⑥サークルで出会いろうあ者の奥さんをもらった⑥サ クルで出会 ろうあ者の奥さ をもら た

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当基時に構想さ

本的な枠組さ

れた施設

組み。(一設

((案)

九七八年

聴覚障害者

・・京都)者

福祉事業

業の

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手話通訳と手話通訳組織の誕生手話通訳と手話通訳組織の誕生

①司法場面での配置が公的」配置の始まり①司法場面での配置が公的」配置の始まり・基本は、日本語。日本語が通じない場合は、手話通訳者(通事)の配置

・聾学校の先生が中心

②手話サークルの誕生②手話サークルの誕生● 1963年、「手話学習会 みみずく」(京都)● 家族やろう学校の教師だけでなく一般の健聴者が手話を学ぶ組織● ボランティアで手話通訳活動を開始

③全国手話通訳者会議の開催(1968年)・福島市で第1回・全国の手話通訳者の交流、通訳論の論議(技術論・政策論)全国 手話通訳者 交流、通訳論 論議(技術論 政策論)

④全国手話通訳問題研究会の結成(1974年)・会員は、手話通訳者だけでなく手話や通訳に関心のある人を対象

・研究と運動の両立・研究と運動の両立

・全日本聾唖連盟と連携

・現在、全国47都道府県に支部組織、会員は約11,000名、予算規模約1億円

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(旧)刑事訴訟法第一七五条 第一七六条(旧)刑事訴訟法第一七五条、第一七六条

「弁論 与ル者カ日本語 通セサルトキ又 聾若 唖ナルトキ 通• 「弁論ニ与ル者カ日本語ニ通セサルトキ又ハ聾若ハ唖ナルトキハ通事ヲ立会ハシム。但シ聾者又ハ唖者ニハ文字ヲ以テ問ヒ陳述ヲ為サシムルコトヲ得」<(旧)刑事訴訟法第一七五条、第一七六条>サシムル トヲ得」<(旧)刑事訴訟法第 七五条、第 七六条>

• 第176条 耳の聞えない者又は口のきけない者に陳述をさせる場合第176条 耳の聞えない者又は口のきけない者に陳述をさせる場合には、通訳人に通訳をさせることができる。

• 第178条 前章の規定は、通訳及び翻訳についてこれを準用する。

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1980年代、自治体通訳者の業務(討論集会での討議内容から)①通訳依頼の応え 伝達を主とするサ ビスを提供する①通訳依頼の応え、伝達を主とするサービスを提供する

②通訳サービスのきめ細かな供給体制を確立し、その調整、管理を行う

③通訳者集団の組織 研修③通訳者集団の組織、研修

④聴障者の生活問題に対応する個別相談、カウンセリング

⑤手話サ クル 手話協力者などの育成 組織 研修⑤手話サークル、手話協力者などの育成、組織、研修

⑥身障相談員の組織、調整、研修

⑦社会教育講座の企画 運営 講師⑦社会教育講座の企画、運営、講師

⑧聴障者のグループワーク、自主活動の援助

⑨聴障者の家族に対するグル プワ ク⑨聴障者の家族に対するグループワーク

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1980年代、自治体通訳者の業務(討論集会での討議内容から)⑩家族訪問活動• ⑩家族訪問活動

• ⑪関係機関への連絡、照会、依頼、紹介

⑫啓蒙講座 企画 立案 講師• ⑫啓蒙講座の企画、立案、講師

• ⑬関連機関及び施設の情報収集

⑭• ⑭聴障者に関する情報収集

• ⑮調査、研究、出版、統計

• ⑯実習生の受け入れ

• ⑰専門職、手話通訳者の養成

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手話通訳の全体像(1997(平成9)年10月伊東氏)手話通訳の全体像(1997(平成9)年10月伊東氏)

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福祉領域における手話通訳の役割福祉領域における手話通訳の役割

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コミュニケーションの通信モデルコミュニケ ションの通信モデル

• 情報伝達重視情報伝達重視• 仲介者としての手話通訳者

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コミ ニケ ションの関係モデル2000年1月29日 於 静岡 近藤幸一

コミュニケーションの関係モデル

• 人間関係の調整に重点人間関係 調整 重点

• コミュニケーション場面への手話通訳者参加

通通

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手話通訳者の実践力

手話通訳の

ジレンマ手話通訳の

価値・倫理◇言語レベル手話と日本語の翻訳・交換

マ克服を視

関連する知識

手話と日本語の翻訳 交換◇コミュニケーションレベル情報提供・当事者間の関係調整

視座においた

手話通訳技術・手話通

た実践

訳実践技術

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【表1】「ジレンマの原因」【表1】「ジレンマの原因」

「ジレンマの原因」

①手話通訳者の価値観と対象者(聴覚障害者や健聴者)の価値観の違い ②手話通訳者集団(同僚 先輩・・)内の関係ストレス

②手話通訳者集団(同僚、先輩・・)内の関係ストレス

③手話通訳者と所属する機関との価値観・目的概念などの違い(コーデ

通 ィネート担当者、行政所属部署、など) ④他の専門職や機関との価値観の違い(医療 教育 福祉 労働 司法訳

④他の専門職や機関との価値観の違い(医療、教育、福祉、労働、司法、

その他、など) 者

⑤コミュニケーション支援制度の不備、社会的評価の低さなど社会環境

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「全通研がめざす手話通訳制度」・「課題」

① 制度の基盤が弱い

② 担い手の身分保障が不十分

③ 事業内容が不十分③ 事業 不十分

④ 利用者が少ない

⑤ 利用者負担の考え方⑤ 利用者負担の考え方(現在の法律では利用者が

一割を負担することが基本)一割を負担することが基本)

⑥ モデル要綱の考え方が運用できていない

⑦ 広域的な派遣の調整が不十分

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①制度の基盤が弱い意思疎通支援事業を含む地域生活支援事業の負担割合意思疎通支援事業を含む地域生活支援事業の負担割合

国1/2

都道府県1/4

市町村1/41/2 1/4 1/4

ただし超えた分は全額市町村の負担となる

予算の範囲内 予算の範囲内ただし・・・ 村の負担となる。

実際は1/4以上の負担になることも。

地域生活支援事業は補助金事業で国の義務的経費と位置付けられていません。

制度を充実させるには予算の拡充が必要ですが、今の補助金事業のしくみでは困難です。

必要な経費は確実に予算化されるよう 国 義務的経費必要な経費は確実に予算化されるよう、国の義務的経費として位置づける必要があります。

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②担い手の身分保障が不十分

手話通訳者には専門的な知識や手話通訳技術が必要ですが 資格をと ても 安定技術が必要ですが、資格をとっても、安定して働ける環境が整っていません。

登録手話通訳者として活動している人が登録手話通訳者として活動している人が多く、人材の確保や働き方が課題です。

※現在、公的機関に雇用されている手話通訳者の9割が非正規雇用6割近くが50歳以訳者の9割が非正規雇用6割近くが50歳以上、平均月収は17万円以下

「雇用された手話通訳者の労働と健康についての実態調査」「雇用された手話通訳者の労働と健康についての実態調査」(2011.3)より

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全国調査概要

41% 36% 20% 12% 18%(246人) (303人) (229人)(159人)(268人)

増加率%(人)

手話通訳者は増加しているが、必要数に達しているのか

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手話通訳者の年齢構成と平均年齢の推移手話通訳者の年齢構成と平均年齢の推移

平均年齢 52歳

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③事業内容が不十分

長期間の通院治療、事故や虐待、生活困窮、育児や職場の問題等、健聴者にとっての困り事は聴覚障害者も同様にあり、情報収集や解決のための支援等が受けづらい状況では、さらに大きな困難となります。

生活相談や地域の社会資源の利用などは手話通訳だけでは解決できません。

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④利用者が少ない

手話通訳をこれまで利用したことがなく、手話通訳をこれまで利用したことがなく、不便なまま暮らしている聴覚障害者もいます。手話通訳の活用を必要とする人々が制度の内手話通訳の活用を必要とする人 が制度の内容を知り、使いやすい制度にするための検討が必要です。が必要です。

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⑤利用者負担の考え方

障害者総合支援法では…利用者がサ ビス利用にかかる費用の1割を利用者がサービス利用にかかる費用の1割を自己負担することが基本となっています。

手話通訳は聴覚障害者だけが利益を受けるのではなく、両者のコミュニケーションをのではなく、両者のコミュニケ ションを成立させるためのものです。

利用者負担ではなく公的責任で保障するよ利用者負担ではなく公的責任で保障するよう現在のしくみを変える必要があります。

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⑥モデル要綱の考え方が運用できていない⑥モデル要綱の考え方が運用できていない

国の示す「手話通訳派遣に関するモデル要綱」では…

「意思疎通支援者の派遣の対象となる内容は、聴覚障害者等の日常生活及び社会生活を営むために必要なものとする(社会通念上、派遣することが好ましくないもの、公共の福祉に反するものは除く) としていますものは除く)」としています。

しかし 現実には…しかし、現実には…派遣を希望しても制度の対象とならず、不便な環境が強いられることもあります。環境が強いられることもあります。

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⑦広域的な派遣の調整が不十分地域生活支援事業実施要綱では、

「市町村域または都道府県域を超えた広域的「市町村域または都道府県域を超えた広域的な派遣を円滑に実施するため、市町村間では派遣調整ができない場合には、都道府県が市派遣調整ができない場合には、都道府県が市町村間の派遣調整を行う」と定められています。と定められています。

しかし、実際に広域派遣を円滑に行える制度設計にはなっていません設計にはなっていません。・制度運用の地域格差が大きい・都道府県の調整が難しい など・都道府県の調整が難しい など

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あるべき手話通訳事業に向けた提言あるべき手話通訳事業に向けた提言

2016年9月 聴覚障害者制度改革中央本部• 2016年9月 聴覚障害者制度改革中央本部

全 が ざ 基 全•「全通研がめざす手話通訳制度」を基に、全日本ろうあ連盟、全国手話通訳問題研究会、日本手話

ググ プ通訳士協会の3団体でワーキンググループを立ち上げ、まとめた。

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実態としての手話通訳業務の整理実態としての手話通訳業務の整理

聴覚障害者の生活相談や指導に直接携わる者は,手話によるコミュニケー

ションが十分にできるのが理想的であるが、現実には聴覚障害者と十分コミ

ュニケーションができる相談・指導の専門職が配置されていないために、手

話通訳者が相談・指導業務のかなりの部分を分担しなければならない状況で

ある。聴覚障害者の相談・指導にあたる者と手話通訳者の職務とは、基本的

には別なものと考えることが適当であり、今後は、本報告に示すように手話

通訳者の職務と、相談.指導に携わる専門職の職務は、明確に分離すべきで

ある。

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実態としての手話通訳業務の整理実態としての手話通訳業務の整理

(1)言語レベル通訳業務(1)言語レベル通訳業務

(2)情報提供・当事者間の関係調整業務

(3)相談・支援等業務(意思形成・決定に関与)(3)相談・支援等業務(意思形成・決定に関与)

• この3つの柱を求められる力に置き換えてみると• この3つの柱を求められる力に置き換えてみると、• ①手話・手話通訳の力(言語レベル通訳業務)• ②コミュニケーションを円滑に進めるために必要な力(情報提供・当事者間の関係調整業務)の関係調整業務)

• ③当事者が自らの手で自らの幸せを手に入れることを支援する相談・支援の力(相談・支援等業務(意思形成・決定に関与))

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福祉領域における手話通訳業務と相談支援業務の一体的提供について2016/4/6

手話通訳WG

目標設定 終結 生活問題の軽減・依

援助計画 再アセスメント

評価の交換 アフターケア

生活問題の軽減解決・予防主体形成

(エンパワメント)

相談支援業務 アセスメント 事後評価援助活動

依頼受理

連携の課題情報の交換共同の受理

情報の交換援助計画へ

の組入ネットワーク共同援助

評価の交換チームによるモニタリング

アフタ ケア共同の社会資源開発

人権の尊重社会正義

※言語メッセージの解読と言語変換

終結 コミュニケーション問題の軽減 解決 予

依 解読と言語変換

※言語メッセージの解釈とコミュニケーション関係調整・情報の提

再依頼再コーディネート

題の軽減・解決・予

主体形成(エンパワメント)

手話通訳業務 事後評価頼受理

コーディネート

連携のために改善が必 インテーク面

意思疎通支援と意思形成・意思決定支援

記録・報告様式等方法論の

の確立

ス パ ビジョ

※手話通訳提供における「プロセス管理」体

制の確立アセスメントツールの開発改善

要と思われる通訳業務

接の構造化決定支援

の機能分担と連携方法の確立

スーパービジョンの実施体制

の確立

当事者参加

地域を基盤とした手話通訳供給体制の整

コーディネート業務の確立

※コミュニケーションは記号による相互の働きかけあい。働きかけあいの相互作用を発展させるためには、言語メッセージの解読と解釈の統一的な理解が不可欠。コミュニケーションニーズの適切な把握を前提としている。※「手話通訳提供のプロセス管理」は、ろうあ者の主体性の向上、地域コミュニケーション環境の整備、社会資源の開発を目的とするメゾレベルの支援からマクロレベルの課題解決への広がりを持った計画的支援をおこなうもの

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業務内容の整理

「高齢化」「男女の偏り」「健康問題の未解消」• 「高齢化」「男女の偏り」「健康問題の未解消」

• 身分保障を確立することが必要

身分保障 確立 た 在 話通 制度 事業 根本• 身分保障の確立のためには、現在の手話通訳制度(事業)の根本にある「手話通訳=ボランティア」の考え方を改める必要があります(※注3)。(※注3)。

• ※注3:現在の制度上意思疎通支援事業の担い手である手話奉仕員は「聴覚障害者等との交流活動の促進、市町村の広報活動など員 聴覚障害者等 交流活動 促進、市町村 広報活動なの支援者として期待される日常会話程度の手話表現技術を習得した」者であり専門性は期待されていない。

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養成課程の確立

手話通訳が専門職として確立されるためには 若年層が養成の対• 手話通訳が専門職として確立されるためには、若年層が養成の対象者の中心となる必要があります。欧米ではすでに実施されているように、大学や専門的な教育機関で手話通訳者を養成するしくみにように、大学や専門的な教育機関で手話通訳者を養成するしくみに切り替えていかなければ、今後の手話通訳制度を支える人材を増やすことはできません。

• また、聴覚障害者の社会参加の進展に伴って高度な知識や通訳技術が必要な手話通訳場面(例:司法、高等教育、重複障害者の相談)の増加が想定されるため 養成課程の内容を専門職としての内談)の増加が想定されるため、養成課程の内容を専門職としての内容とすることが必要です。

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正職員雇用の確立

大学など専門機関での教育ル トが確立するメリ トには「職場の• 大学など専門機関での教育ルートが確立するメリットには「職場の確保」があります。現在、障害者福祉事業を規定する障害者総合支援法では、手話通訳事業(意思疎通支援事業)の実施主体は地方援法では、手話通訳事業(意思疎通支援事業)の実施主体は地方自治体(都道府県または市町村)であり、手話通訳有資格者の正職員としての雇用が検討されても、募集が成立せずに嘱託や有期雇用などの非正規職員としての採用を選択せざるをえない状況があり用などの非正規職員としての採用を選択せざるをえない状況があります(※注4)。

• ※注4:手話通訳有資格者を対象にした市町村の正職員としての採• ※注4:手話通訳有資格者を対象にした市町村の正職員としての採用募集に対して応募がなかった事例は近年でも複数ある。