土岐プレミアム・アウトレットが東濃地域に与える経済効果

～地域活性化に向けた観光施設の現状と発展～

愛知学院大学 経済学部

４年：亀山 将太郎 川本 真士

２年：宇川 裕太 小木曽 巨和

目次

研究の背景①東濃地区

研究の背景②東濃経済の現状

研究の背景③研究の動機

土岐プレミアム・アウトレット/概要

アンケート/考察

（１）土岐プレミアム・アウトレットモールの東濃への経済効果

（２）観光面での地域活性化の可能性について

ヒアリング調査結果

まとめ

提言

研究の背景①東濃地域

東濃

研究の背景②東濃経済の現状

80

85

90

95

100

105

1986

1987

1988

1989

1990

1991

1992

1993

1994

1995

1996

1997

1998

1999

2000

2001

2002

2003

2004

2005

2006

2007

2008

2009

2010

2011

2012

2013

2014

2015

2016

人口推移（2005=100)

多治見市 中津川市 瑞浪市 恵那市

土岐市 東濃圏域 岐阜市

80.0

85.0

90.0

95.0

100.0

105.0

110.0

115.0

120.0

市内総生産（平成16年度＝100）

多治見市 中津川市 瑞浪市 恵那市

土岐市 東濃 岐阜市 岐阜県

研究の背景③研究の動機東濃は、地場産業の衰退、人口減少と高齢化など厳しい経済状況にある。その中で、土岐プレミアム・アウトレットモールは、2005年の開業以来、遠方客も含めて大きな集客を誇り、地域から大きな期待が寄せられている。

（１）土岐プレミアム・アウトレットモールの東濃への経済効果を調べる。

（２）特に観光面での地域活性化の可能性について探る。

アンケートやヒアリングによる調査を行う。

土岐プレミアム・アウトレット

・2005年３月開業・中央アルプスの眺望に優れた、国内外の著名ブランドが約150店舗揃うアウトレットモール。

・子どもの遊ぶスペースもあり子連れの方にもおすすめ。

・営業時間・10:00～20:00

土岐プレミアム・アウトレットの場所

・所在地・岐阜県土岐市土岐ヶ丘1-2

【電車・バス】

・JR中央本線多治見駅より路線バスで約30分

・土日祝、セールやバーゲン時には

星が丘から直行バス

【車】

・東海環状自動車道「土岐南多治見IC」より約70分

・駐車料金無料

・駐車場３０００台

アウトレット開業前後の主要経済指標の推移

0

0.2

0.4

0.6

0.8

1

1.2

1.4

1.6

1.8

2

平成

13

14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27

有効求人倍率(全数)

多治見(＋土岐) 恵那(瑞浪) 中津川 岐阜市 年度

0

50

100

150

200

250

1986

1987

1988

1989

1990

1991

1992

1993

1994

1995

1996

1997

1998

1999

2000

2001

2002

2003

2004

2005

2006

2007

2008

2009

2010

2011

2012

2013

2014

2015

土岐市の税収の推移（2005=100)

市民税 法人 固定資産税 都市計画税

→アンケートとヒアリングで詳しく調査したい！

アンケート調査の概要 実施日時

第１回 １０月２８日（金曜日） １３時～ １７時

第２回 １１月 ７日（月曜日） １３時～ １８時

第３回 １１月１２日（土曜日） １１時～ １５時

回答者数＝１００

１１月１２日には、土岐プレミアム・アウトレットモールへの来訪客の自家用車のナンバープレートもカウントした。（合計６２８台）

場所

・・・テラスゲート土岐(まちゆいSHOP・よりみち温泉)

※土岐アウトレット・モールで実施したかったが、許可が下りなかったので、隣接のテラスゲート土岐内で実施した。

アンケート調査に協力していただいた皆様とNEXCO中日本（中日本高速道路株式会社）様に感謝の意を表します。

アンケート回答者の属性

36%

64%

性別

男性 女性

6%

11%

22%

15%

18%

17%

8%

2% 年齢

10～19才 20～29才 30～39才 40～49才

50～59才 60～69才 70～79才 80～才

93%

1%6%

交通手段

自家用車

公共交通機関（鉄道・バス）

徒歩・自転車

36%

15%

45%

1%1%1% 1%現在の住まい

岐阜県（東濃） 岐阜県（東濃以外）

愛知県 三重県

長野県 その他5

無回答

（１）土岐プレミアム・アウトレットモールの東濃への経済効果

県名 一人当たりの平均支出額（円）

岐阜県（東濃） 3,576

岐阜県（東濃以外） 3,503

愛知県 3,821

三重県 2,500

長野県 1,500

その他5 11,300

無回答 0

総計 3,685

土岐アウトレットへの来訪者の居住地別割合

11.1%

65.8%

2.2%

5.7%

8.1%7.0%

岐阜 愛知

三重 長野

静岡 その他

県名 車のナンバープレート（台）

岐阜県 70

愛知県 413

三重県 14

長野県 36

静岡県 51

その他 44

土岐アウトレット以外の東濃への経済効果の推計①

合計年間支出額（17,249,921,993円）＝土岐プレミアム・アウトレットモールへの年間観光入込客数（5,665,000人）×〔岐阜県からの客の割合（11.1％）×岐阜県からの一人当たり平均支出額（3,503円）＋愛知県からの客の割合（65.8％）×愛知県からの一人当たり平均支出額（3,821円）＋三重県からの客の割合（2.2％）×三重県からの一人当たり平均支出額（2,500円）＋長野県からの客の割合（5.7％）×長野県からの一人当たり平均支出額（1,500円）〕

（注）ただし、上記の４県（岐阜、愛知、三重、長野）以外の県は、今回のアンケート調査では一人当たり平均支出額のデータが得られなかったので省略した。

（出所）土岐プレミアム・アウトレットモールへの年間観光入込客数：岐阜県「平成25年 岐阜県観光入込客統計調査」

東濃地区の市内総生産の内、合計年間支出額は1.6％を占めている。

土岐アウトレット以外への観光地・施設による経済効果は小さい。

土岐アウトレット以外の東濃への経済効果の推計②

1.6%

98.4%

東濃の市内総生産の割合

合計年間支出額

東濃の市内総生産（農業、製造業、金融等）

（２）観光面での地域活性化の可能性について

30%

70%

アウトレット以外の観光

地・施設へ行きましたか

はい いいえ

どこへ行きましたか

東濃 ・・・９７％東濃以外 ・・・１０％

「道路が渋滞してしまう」回答者が多いように、渋滞で時間が潰れてしまうため、「今日は時間が無い」と答える人が多い。

道路が渋滞しやすく、時間が足りなくなるため、

他の観光地・施設に立ち寄れない。

PR不足により、「東濃の観光地をよく知らない」と答える人が県外に多い。

アウトレットを目的としている人が多いため、選択肢がない「その他」を答える人が12％を占めている。

15%

1%

43%

7%

12%

よく知らない

魅力がない

今日は時間が無い

今日は予算が足りない

その他

0% 10% 20% 30% 40% 50%

なぜ東濃の観光地・施設に寄らないですか

○「ぶらぶら歩きながら…」の回答が62％占めているように、アウトレットのような観光地を開業することで寄ってもらえる可能性がある

○たじみそ焼きそばやうなぎ、栗などのご当地グルメをPRすれば観光客が増える

62%

31%

78%

25%

4%

ぶらぶら歩きながら楽しめるスポットや街並みが

ある

その土地ならではの体験を楽しめる

おいしい名物料理やご当地グルメがある

魅力的な宿泊施設がある

その他

0% 20% 40% 60% 80% 100%

東濃観光をするとしたらどのような場所を望みますか

32%

5%

27%

7%

15%

19%

4%

31%

0% 5% 10% 15% 20% 25% 30% 35%

鉄道・バスの本数が少ない・乗り継ぎが悪い

鉄道・バスでの移動に時間が掛かりすぎる

道路が渋滞しやすい

駐車場が少ない・駐車場の料金が高い

道路がわかりにくい

街や道路に観光地・施設の案内板が少ない

その他

特にない

東濃での移動に関して不満に思っていることはありますか ○他県に住んでいる人が鉄道・バスの本数や乗り継ぎに不満は東濃に比べて、あまり持ってない。

○自家用車での移動が大半を占めているため、道路の渋滞に不満を持つ人が多い。

○「道路がわかりにくい」や「街や道路に観光地・施設の案内板が少ない」と答えた多くが愛知県の人達。

○駐車場のスペースは大分確保できている。

○「特にない」と答えている人たちの多くは県外の人。

自家用車以外で行くことが難しい分若年層が東濃の観光地に行ける機会が少ないため、認知度が低くなりがち。

どの観光地においても３０代が観光地を知っている数がほとんど多かった。

シルバー世代である６０代は観光ツアーなどで情報を得ておりツアーに参加することが多いため、認知度が高い。

アウトレットの隣である瑞浪市の観光地の認知度が低い。

若者はアウトレットから観光地が遠いほど認知度が低い。

年齢層別の観光地認知度

0

20

40

60

80

100

120

140

160

10代 20代 30代 40代 50代 60代 70代 80代 無回答 年齢不明

その他

中津川温泉クアリゾート

明智鉄道

モンゴル村

恵那峡遊覧船

恵那峡ワンダーランド

恵那峡

サイエンスワールド

中山道

世界一の狛犬

道の駅 志野・織部

土岐美濃焼街道どんぶり会館

セラミックパーク MINO

天光の湯

虎渓山永保寺

どの年代も家族や友人・知人から多く情報を得ている。

特に、20～29才、40～49才、50

～59才、60～69才は家族より友人・知人から情報を得ている割合が高い。

旅行会社のホームページから情報を得ている人が10～19才から60

才～69才に掛けて少ない。

20～29才、40～49才が個人のホームページやSNSから情報を得ているが、割合は低い。

通勤、通学で鉄道を利用する人が多いため、どの年代も鉄道駅や観光案内所から情報を得ている人がいる。

土岐アウトレット以外の東濃の観光地・施設の情報を、どのような手段で入手したことがありますか。その①（複数回答）

30～39才、50～59才、70才～が書店で販売されているガイドブックから情報を得ている人が多い。

考察として、本を買いに行く機会が多く、ついでにガイドブックに目を通していると思われる。

どの年代もテレビから情報を得ている割合が高い。

ラジオやその他の手段から情報を得ている人はほとんど見られなかった。

土岐アウトレット以外の東濃の観光地・施設の情報を、どのような手段で入手したことがありますか。その②（複数回答）

若年層はSNSをよく使うため、SNSから得たいと思う人が多い。

30～39才から70才～にかけて、県・市町村や観光協会の公的なホームページから情報を得たい人が多い。

～考察～

20～29才は鉄道を使う頻度が多いが、そこから情報を得たいとは考えていない。

10～19才、20～29才は友人・知人から情報を得たいと思う割合が高いため、ブログやSNSからPR活動を活用すればより一層認知度が増えるだろう。

土岐アアウトレット以外の東濃の観光地・施設の情報を入手する手段として、あなたがどのような手段を望みますか。その①（複数回答）

どの世代でもテレビから情報を得たいと思っている割合が高い。

特に20～29才、30～39

才、40～49才の割合が高く、テレビから情報を得たい傾向がある。

ガイドブックから情報を得たいと思う40～49才、60～69才の割合が増えている。

ラジオやその他の手段から情報を得たいと思う人は少ない。

土岐アアウトレット以外の東濃の観光地・施設の情報を入手する手段として、あなたがどのような手段を望みますか。その②（複数回答）

ヒアリング調査の概要

実施日時

１０月１２日（水曜日） １１時～１２時

ヒアリング先

大手旅行代理店多治見支店

ヒアリング調査結果

回答：変化はない

理由

アウトレットに買い物をすることが目的だから

アウトレットで買い物するのに時間をかけない人が、時間をかける付き添いを待つために時間を潰せる施設がないから

アウトレットに来たついでに東濃を観光する旅行客の増加

周りにビジネスホテルはあるが、下呂や恵那峡のような宿泊施設や温泉がないから

中国人はツアーとしてバスに乗る程度で電車を利用しない

交通手段に問題はないが、立地に問題がある

長野に行く前に馬篭に寄るくらい

近いから行くのであって、土岐プレミアム・アウトレット自体に魅力がない

愛知・常滑のイオンは規模が大きく魅力がある

ジャズドリームには周りに長島スパーランドやなばなの里がある

人口減少により観光施設の経営が年々厳しくなるため、現状では爆発的な上昇はない

現状では土岐アウトレットから東濃に観光客が流れ込んでいない場合、その要因と考えられることについてお聞かせください。

陶磁器の認知度を上げる。焼き物で瀬戸物が全国で一番知名度がある。

土地はある（土岐、瑞浪、中津川）が、誘致するだけの予算がない（多治見以外）

理由：人がいないから増えない。

今後：土岐に日本最大のイオンが開業される（観光ではないが人は増える）

中津川を通るリニアが完成する

結果：利用者が増える

中津川を中心に人が集まり、おのずと企業も増える

人を増やすことが第一。そこから経営の維持や設備投資、観光施設を増やす。

土岐アウトレットの買い物客を東濃地域へ呼び込むにはどのような方策が考えられるかについてお聞かせください。

まとめ 東濃地域に与える経済効果は小さい。

道路の渋滞等により、他の観光地に足を運ぶ時間がない。

主に若年層が他の観光地を知らず、足を運ばない。

人口が減少しており、予算が少ないため、観光地の設備投資や企業誘致ができない。

宿泊施設が充実していないため、県外からの来訪者はいるが日帰りする。

土岐プレミアムアウトレットには、周りに若年層が興味を持つ施設が存在しない。

提言 道路を増やし、円滑な交通環境をつくる。

テレビやSNS等を活用し、若年者に向けたPR活動を行う。

若年者や家族連れの男性等が寄りやすい施設を開設する。

宿泊施設を増やし、他県からの観光客を招く。

歩きながら楽しめるような観光地やご当地グルメのある観光地を開業・紹介していく。

予定されている中津川のリニアや土岐のイオン開設に合わせて誘致を行い、人口増加を狙う。

御清聴ありがとうございました。