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地域包括ケアシステムの構築を目途に、 モデル地域を設定して“地域診断”を試み ることにした。それは、当該地域に①支援を 提供しなければいけない人がどれだけい て、②その地域に現在どのような資源・サー ビスがあり、③対象者は既存サービスをど のように利用しているのかを把握・分析した うえで、④足りない資源・サービスは何かを 把握する作業である。 地域包括ケア推進の ための地域診断書 日の出、入船、仲崎、花暮の場合 社会福祉法人三浦市社会福祉協議会 地域包括支援センター「おまかせ」 平成 28 3 15

地域包括ケア推進の ための地域診断書地域包括ケアシステムの構築を目途に、 モデル地域を設定して“地域診断”を試み ることにした。それは、当該地域に①支援を

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地域包括ケアシステムの構築を目途に、

モデル地域を設定して“地域診断”を試み

ることにした。それは、当該地域に①支援を

提供しなければいけない人がどれだけい

て、②その地域に現在どのような資源・サー

ビスがあり、③対象者は既存サービスをど

のように利用しているのかを把握・分析した

うえで、④足りない資源・サービスは何かを

把握する作業である。

地域包括ケア推進の

ための地域診断書 日の出、入船、仲崎、花暮の場合

社会福祉法人三浦市社会福祉協議会

地域包括支援センター「おまかせ」

平成 28 年 3 月 15 日

地域包括ケア推進のための地域診断書 1

社会福祉法人三浦市社会福祉協議会 地域包括支援センターおまかせ |2016.3

地域診断

2016 March

2

3

4

6

6

7

9

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10

11

11

15

18

19

19

20

20

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25

26

26

30

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33

33

34

34

40

42

42

45

contents

はじめに

対象地域

人口の推移

治安

産業

衛生

仮説と持続可能な地域社会の構築に向けたビジョン

日の出区の踏査の結果

■直撃!キーマンに聞いた 日の出区区長 相澤 正さん

■日の出区における地域踏査の概要

●ソフト面(人々の暮らし、助け合いの仕組みなど)

●ハード面(ユニバーサルデザインによるまちづくりは進んでいるか?)

■直撃!キーマンに聞いた 日の出区民生委員 川﨑 節子さん

入船区の踏査の結果

■直撃!キーマンに聞いた 入船区区長 神田 健二さん

■入船区における地域踏査の概要

●ソフト面(人々の暮らし、助け合いの仕組みなど)

●ハード面(ユニバーサルデザインによるまちづくりは進んでいるか?)

■直撃!キーマンに聞いた 入船区民生委員 池田 美和子さん

仲崎区の踏査の結果

■直撃!キーマンに聞いた 仲崎区区長 平井 吉一さん

■仲崎区における地域踏査の概要

●ソフト面(人々の暮らし、助け合いの仕組みなど)

●ハード面(ユニバーサルデザインによるまちづくりは進んでいるか?)

■直撃!キーマンに聞いた 仲崎区民生委員 板倉 美子さん

花暮区の踏査の結果

■直撃!キーマンに聞いた 花暮区区長 木村 信英さん

■花暮区における地域踏査の概要

●ソフト面(人々の暮らし、助け合いの仕組みなど)

●ハード面(ユニバーサルデザインによるまちづくりは進んでいるか?)

■直撃!キーマンに聞いた 花暮区民生委員 松岡 育子さん

考察

おわりに

地域包括ケア推進のための地域診断書 2

社会福祉法人三浦市社会福祉協議会 地域包括支援センターおまかせ |2016.3

はじめに

平成27年10月30日付で発布された「新しい総合事業への社協の取り組み~住民主体の地域包括

ケアシステムの推進に向けて」は、全国社会福祉協議会が、改正介護保険法による新しい総合事

業の構築にむけて、社会福祉協議会が取り組むべき喫緊の課題を整理し、提言したものである。

中には「これまで社会福祉協議会が進めてきた地域福祉活動が制度の中に位置づけられること

で、本来の住民主体の姿とは異なる形に変質してしまう危険性をはらんでおり、地域における社

会福祉協議会の存在意義そのものが問われている」といった具合に強い危機感と危惧が示されて

いる。

もとより新しい総合事業の実施主体は市町村であり、行政の責任においてこれらの事業は推進

されねばならない。とはいえ「住民主体」の取り組みが期待されている中で、それこそ「住民主

体の原則に則って」活動してきた社会福祉協議会が手を拱いているわけにはいかない。行政の取

り組みを強力に後押しし、地域包括ケアシステム(下図参照)の構築に寄与したい考えである。そ

こで、モデルとなる小地域を設定し、地域診断をおこなうことにした。地域診断により、客観的

なデータに基づいて諸種の課題を把握することは、当該地域が持つ潜在能力の顕在化のみならず、

事業の見直し、新たな事業の創出(あるいは今後三浦市が予算を積算するにおいて)のための根

拠となると考えたからだ。また、

それによって、保健・医療・介護・

福祉に関わる様々な課題が明ら

かになれば、分野横断的なアプロ

ーチを推進することにもつなが

るだろう。

しかし、我々がこの取り組みを

進める理由はそれだけではない。

「これまでの専門職とされる人

材がケースをマネジメントする

仕組みだけでは、住民を“一社会

資源”として、どのように活用す

ればよいか―という発想しか生

まれて来ないのではないか」。そ

うではなく、「その意思決定、つ

まり、住み慣れた地域社会の中で

どのように生きていくのか―と

いう選択を住民の側に戻すこと

こそが、地域包括ケアの新しい理

念なのではないか」と考えるよう

今、三浦市では「財政危機下」の「少子高齢社会」において、高齢

者を在宅で支える仕組みとして、次の①~⑥からなる「地域包括ケア

システム(上図はその概念図)」の推進をおこなっている。

①医療が必要な高齢者や重度の要介護高齢者についても、可能な限り在宅

で生活できるよう支える仕組み

②一人暮らし高齢者や、虚弱な長寿高齢者を在宅で支える仕組み

③長寿化に伴い、増加が見込まれる「認知症高齢者」を在宅で支える仕組

④入院しても、円滑に退院が可能となる仕組み

⑤在宅での看取りができる仕組み

⑥利用者や家族の生活の質の確保ができる仕組み

これを行政の力(公助)だけではなく、自分や家族でできること(自助)、近

隣の助け合いでできること(互助)、社会保障制度や介護サービスなど社会

全体が担うこと(共助)を組み合わせることによって、地域社会全体で支え合

う仕組みをつくろうというのである。

地域包括ケア推進のための地域診断書 3

社会福祉法人三浦市社会福祉協議会 地域包括支援センターおまかせ |2016.3

になったからである。

我が国の「地域包括ケア」は、「自助」「互助」「共助」「公助」の4つの構成要素からなる。

もちろんこれらは、独立して存在しているわけではなく、複雑に折り重なっている。その厚みが

増すほどに重層的なサービスが展開されているということになろう。今般の地域診断は、地域包

括ケアにおける「自助」「互助」「共助」「公助」の考え方の多義的な可能性について考察する

ことをも目的としている。それは単に「医学モデル」から「生活モデル」へ―といったトレンド

を追駆するのではなく、また、医療と福祉の間に存在する「縦割り」の制約から脱却することの

みをめざすのでもなく、フォーマル、そして、インフォーマルな介護資源の融合を果たすには何

を成すべきか―を顕在化するといった意味合いも包含する。

もう一つ、とても重要な目的がある。高齢者のニーズと社会資源の状況を把握したうえで、地

域における取組を総合的に支援・推進する役割を担う「生活支援コーディネーター」とコーディ

ネーターを組織的に補完する役割を持つ地域内の関係機関や組織による「協議体」の設置が、地

域支援事業の「生活支援体制整備事業」として位置付けられたにも関わらず、いまだ未設置であ

ることに対する危惧がそれだ。この地域診断を当該住民の参加のもとで進めることによって「協

議体」の設置に向け、一定の根拠に基づいた提言を三浦市に対しておこないたい意図がある。先

の全国社会福祉協議会による提言でも「協議体については、ボランティア、NPO、協同組合、

民間企業、社会福祉法人、地縁型組織など多様な関係者の参画が想定されており、社協は、地域

福祉を推進する協議体としての特性を発揮し、これまで地域を構築してきたネットワークを生か

して積極的に推進していく必要がある」としている。さらに「第1層の協議体だけでなく、中学

校区を想定した第2層の協議体づくりが急がれる。さらに、従来からの地域福祉活動の圏域を踏

まえて、より人々の生活に身近な圏域での協議の場づくりや既存の仕組みの活性化も必要になっ

ていくであろう」とあることから、今般の“地域診断”の取り組みを通して、協議体の設置にも

寄与したい考えだ。“人々の生活に身近な圏域での協議体”づくりから始め、第2層、第1層へと

ボトムアップしていく手法である。

対象地域

この試みを実践する舞台を選定するにあたり、「三浦市の縮図ともいうべき地域」を念頭に置

いた。そこで、対象とするエリアを三崎城跡の真下に位置し、天然の良港たる北条湾に面する日

の出区から入船区、仲崎区、花暮区まで、相互に隣接する地域をモデルとすることにした。日の

出区から連なるこの地域は、漁業の隆盛とともに栄え、また、市内随一の商店街を有する商業地

域でもあった。近くに船着き場(入船区の名称の由来である)があったことから、花柳界として

も知られ、同一区域内には旅館や料亭がひしめいていたという。また、明治5年~41年までの期

間、区域内初となる小学校も開校(日の出区)されていた(元禄9年浦賀奉行の所管となるまで

三崎奉行の番所が置かれた跡地に三崎郷学校(後に東岬学舎と改称)が開校していた。現在の三

崎小学校の前身である)。しかし、昭和30年以降、漁業の衰退や大規模小売店の出店といった社

地域包括ケア推進のための地域診断書 4

社会福祉法人三浦市社会福祉協議会 地域包括支援センターおまかせ |2016.3

会情勢に気押され景気は徐々に低迷。就労機会の減少と相まって、市内でも特に高齢化率の高い

地域となってしまった。

この地域の人口は、平成

27年9月1日現在、849人、世

帯数は410(大字町別でいう

と三崎地区に属し、三崎1

丁目~3丁目とニアイコー

ルである。左地図赤枠線

内。)。限界集落の足音が

聞こえ始めて久しい、予備

軍だ。もとより、人口の減

少傾向は、都市部の郊外住

宅地でも生じており、いわ

ばこのエリアは、都市部よ

りも早く少子高齢化、人口

減少が生じた「先進地」で

もある。当然のことながら、

そこに住み続けている人々

から学ぶことは多いに違い

ない。

人口の推移

上グラフからもわかるように、三浦市の人口は、ここ10年で8%も減少している。これを調査

エリアで見ると、17%の減で、三浦市全域での比較では2倍強の速度で過疎化が進んでいること

になる。当然このままでは、地域社会の機能が低下し、住民が一定の生活水準を維持することに

困難を来す恐れがある。

それでは世帯人員はどうだろう。平成22年国勢調査結果確定数に基づく推計人口によると、神

奈川県の世帯人員は2.27人(2015年9月30日発表)。これに対し三浦市は2.70人(平成22年1月1

日)と核家族化の波は緩やかだといえる。一方で、これを調査エリアで見ると、2.11人(平成22

日の出、入船、仲崎、花暮

43,000

44,000

45,000

46,000

47,000

48,000

49,000

50,000

平成十八年

平成十九年

平成二十年

平成二十一年

平成二十二年

平成二十三年

平成二十四年

平成二十五年

平成二十六年

平成二十七年

三浦市の人口の推移

850870890910930950970990101010301050

平成十八年

平成十九年

平成二十年

平成二十一年

平成二十二年

平成二十三年

平成二十四年

平成二十五年

平成二十六年

平成二十七年

三崎1丁目~3丁目の人口の推移

地域包括ケア推進のための地域診断書 5

社会福祉法人三浦市社会福祉協議会 地域包括支援センターおまかせ |2016.3

年1月1日)と神奈川県のそれを0.16ポ

イント下回る。但し、ここ10年の推移

で見ると、三浦市全域の世帯人員の減

少が8%に対し、調査エリアは9%と人

口の減少率に比して核家族化の波は緩

やかだといえる。子育て世帯など人員

の多い若年世帯が多い地域ではないの

で、この結果は意外であったが、世帯

人員は消費や治安にも大きく関わるの

でここは優位に捉えるべきであろう。

人口の減少に関しては、死亡が出生

を上回り、転出が転入を上回っている

ことから、自然的にも、社会的にも人

口の移動減少に歯止めがかからない状

況だといえよう(データは三浦市全域)。

日本創成会議・人口減少問題検討分科

会の推計によると、三浦市は、存続が

危ぶまれると指摘された896市区町村

(全国の49.8%)の一つに数えられて

いる。2010年からの30年間で、20~39

歳の女性の人口が5割以上減少するこ

とが指標だそうだ。

次に世帯人員の男女比であるが、女

性が53%、男性が47%とほぼ同数であ

った。これは、三浦市全域の男女比と

も近似する。なお、この比率であるが

10年前と比べてもさほど大きな変化は

見られない。調査エリアは第1次産業たる漁師町であり、また、漁師町であることをベースに商

業地域として発展してきたことを鑑みると、男女の区別なく就労し、その役割を担ってきたであ

ろうことは想像に難くない。

ともあれ、この地域の人口の推移を鑑みると、「社会の脆弱性」の進行に抗うことは難しいと

いえよう。今後さらにスマートシュリンク(Smart Shrink)の概念を用いて、「賢い縮小」に

向け、絶対的な人口減少下で住民の生活の質(Quality Of Life)を維持・向上していくための地域

マネジメントを実践する必要が求められる。

1.902.002.102.202.302.402.502.602.702.802.90

平成十八年

平成十九年

平成二十年

平成二十一年

平成二十二年

平成二十三年

平成二十四年

平成二十五年

平成二十六年

平成二十七年

世帯人員の推移

三浦市全域

調査エリア

47%女

53%

男女比

平成27年1月1日

0

200

400

600

800

1,000

1,200

1,400

1,600

1,800

2,000

平成十五年

平成十六年

平成十七年

平成十八年

平成十九年

平成二十年

平成二十一年

平成二十二年

平成二十三年

平成二十四年

人口の移動

出生

死亡

転入

転出

地域包括ケア推進のための地域診断書 6

社会福祉法人三浦市社会福祉協議会 地域包括支援センターおまかせ |2016.3

治安

平成25年から過去10年間の三浦市全域の犯罪発生件数の推移を見ると、ゆるやかな減少傾向

にあるといえるが、平成22年以降微増している。殺人、強盗、放火といった凶悪犯罪は稀で、治

安は概ね良好だといえるだろう。出入りが激しい地域ほど犯罪の発生率は高いと結論付ける社会

学者もいるようだが、その限りでいえば三浦市などは、農漁村的互助関係が強く、出入りもさほ

ど多くはない。スキャンダルが後世まで語り継がれる“田舎町”では、規範遵守へのインセンテ

ィブが強く働くというわけだ。その多く

は顔見知りで文化や経済に等質性をもっ

て生活している。犯罪が発生しにくい環

境にあるといえるのかも知れない。

一方で、三浦市の観光政策が奏功し、

三崎地区の来遊客は増加傾向にある。京

急電鉄と地元飲食店がタイアップした

「みさきまぐろきっぷ」の売れ行きも好

調で、来遊客の獲得に一役買っているよ

うだ。しかしながら、「旅の恥は掻き捨て」というように、人間の出入りが激しい地域では、規

範遵守の意識が薄くなる。前述のとおり、それが犯罪の微増に繋がっているのかも知れない。

産業

三浦市の産業別就業人口を神奈川県全体で比較すると、農業・漁業といった第1次産業に占め

る割合が高く、基幹産業となっている。これも半島の南端に位置する地形・地勢によるものと考

えられる。市域の大部分は台地で水はけもよく、気候も温暖であることから野菜栽培に適してい

たのだろう。年間を通じて様々な野菜がつくられ、大根、キャベツは国の、スイカは県の主要野

菜指定産地となっており、京浜市場への重要な供給地としての役割も担ってきた。

併せて、三方を海に囲まれた立地から沖合、沿岸、遠洋と幅広い形態で営まれてきたのが、漁

業である。特にマグロを主体とした遠洋漁業は三崎漁港を中心に漁船が集まり、全国の拠点とし

て繁栄してきた経緯を持つ。ところが(生鮮食料品を冷凍設備によって生産地から直接消費者に

0

100

200

300

400

500

600

700

800

平成一六年

平成十七年

平成十八年

平成十九年

平成二十年

平成二十一年

平成二十二年

平成二十三年

平成二十四年

平成二十五年

三浦市の犯罪発生件数

強盗

1件0% 暴行

35件9%

傷害

19件5%

脅迫

11件0%

屋内外盗

253件62%

詐偽

11件3%

猥せつ行為

5件1%

その他

84件21%

平成25年度における三浦市の犯罪発生件数

0

500,000

1,000,000

1,500,000

2,000,000

2,500,000

平成十六年

平成十七年

平成十八年

平成十九年

平成二十年

平成二十一年

平成二十二年

平成二十三年

平成二十四年

平成二十五年

三崎地区の来遊客の推移

地域包括ケア推進のための地域診断書 7

社会福祉法人三浦市社会福祉協議会 地域包括支援センターおまかせ |2016.3

送り届けられるようになる)、冷凍マグロの時代に入ると、水揚げは保冷力と買付力で差のある

東京、清水に吸引され、昭和43年をピークにオイルショック、200海里規制の強化、さらには輸

入の増大などから徐々に活力を失ってしまう。また乱獲による海洋資源の枯渇に始まり、原油価

格の高騰といった社会情勢から、沖合、沿岸漁業も遠洋漁業の後を追うが如く衰退の一途を辿る。

一方で、三浦市では「もてなしの心」

を標榜し、シティーセールスに傾注して

きた経緯があり、これが奏功し、観光産

業も再生の兆しをみせつつある。

そんな中にあって、三浦市の農業は、

温室やビニールトンネルを使わずに露地

栽培ができる地の利を生かし、また、近

隣に大市場を抱えるなどの条件をもって、

高い収益をあげている。しかしながら、

調査エリアにおいて、農業を営む者はい

ない。一方で、三浦市の卸売業・小売業

別商店数を見ると、調査エリアで三浦市

全体の1/4を占めていることがわかる。

遠洋マグロの基地として栄えた時期に産

業形態を決定付けたのであろう。衰退し

たとはいえ隆盛を極めた三浦市の中心地

であったことを伺わせる。それでは、そ

の漁業は今どうなっているのか。

結論は、明らかな減少傾向にあるとい

わざるを得ない。10年前との比較でいえば、個人会社共に約半数にまで減少している。おそらく

このまま衰退の一途を辿ることであろう。調査エリアにおいて、漁業がかつての輝きを取り戻す

ことは極めて困難であると考える。

衛生

三浦市全域における、主要な死因を昭

和50年から概ね10年毎に比較してみた。

悪性新生物、いわゆる「癌」によって他

界する人の数が年々増加していることが

わかる。呼吸器疾患で他界する人の数も

同様の傾向を示し、平成24年にはついに、

悪性新生物に次ぐ死因となっている。

三崎

1丁目6% 三崎

2丁目8%

三崎3丁目10%

三崎4丁目6%

三崎5丁目12%

城山町4%

東岡町3%

白石町1%

海外町1%

天神

町4%

栄町5%原町

4%

岬陽町4%

宮川町1%

諏訪町3%

向ヶ崎町4%

晴海町1%

六合3%

諸磯9%

小網代8%

城ヶ島5%

三浦市の卸売業・

小売業別商店数

平成25年度

28

17 17 17 17 16 16 16 16 16

21

15 15 15 15

11 11 11 11 11

平成十六年度

平成十七年度

平成十八年度

平成十九年度

平成二十年度

平成二十一年度

平成二十二年度

平成二十三年度

平成二十四年度

平成二十五年度

経営組織別漁業経営対数

個人

会社

悪性新生物

心疾患

脳血管疾患

呼吸器系疾患

その他全死因

-

20

40

60

80

100

120

140

160

180

200

昭和50年 昭和60年 平成7年 平成17年 平成24年

主要死因別死亡者数

地域包括ケア推進のための地域診断書 8

社会福祉法人三浦市社会福祉協議会 地域包括支援センターおまかせ |2016.3

医療機関の状況では、三浦市立病院が、

昭和27年、三浦市唯一の総合病院として

開設され、それ以来急性期医療の一翼を

担ってきた。病院としては他に医療法人

財団青山会福井記念病院が精神科・神経

科、そして、認知症の専門病院として、

また、介護保険事業等にも積極的に取り

組むなど地域社会に貢献してきた。同院

は、調査エリアから車で22分の距離にあ

る。

その他一般診療所と歯科診療所の推移であるが、診療所

は増加傾向に、歯科診療所は減少傾向にある。

果たして、調査エリアの状況はというと、歯科診療所が

1箇所あるのみだが、いずれの区からも三浦市立病院まで

車で7分と、医療サービスの享受に困るといった状況には

ない。路線バスに関しては、その運行回数(往路で午前7

時と8時に1本ずつ)から利便性は低いが、その代わり、路

線バスが通る海岸線に面した入船区には、三浦市立病院が

無料運行するマイクロバスの送迎ポイントがある(ここに

掲載した地図は、市立病院や市内スーパーの無料送迎バス

運行表。非常にきめ細やかに地域を巡回している。)。

平成6年の地域保健法の改正以降、その機能が縮小傾向に

あるとはいえ、昭和19年に三崎保健所が開設されて以来、

この三浦市に総合的な健康づくり対策の拠点があったこと

は特筆に値する。同所は、鎌倉保健福祉事務所の支所とな

0

5

10

15

20

25

30

平成十一年

平成十二年

平成十三年

平成十四年

平成十五年

平成十六年

平成十七年

平成十八年

平成十九年

平成二十年

平成二十一年

平成二十二年

平成二十三年

三浦市の病院・診療所等の推移

病院

歯科診療所

診療所

地域包括ケア推進のための地域診断書 9

社会福祉法人三浦市社会福祉協議会 地域包括支援センターおまかせ |2016.3

った今も存立している。同支所へは、調査エリアから車で7分、バスで8分の距離にある。なお、

介護保険事業所に関しては、特定施設入居者生活介護事業所、居宅介護支援事業所、認知症対応

型通所介護事業所が、それぞれ1箇所ずつある。

仮説と持続可能な地域社会の構築に向けたビジョン

以上のような統計的データをもとに調査エリアの都市像について次のような仮説を立てた。

「三浦半島の最南端に位置し、かつては漁業で隆盛を誇った港町。産業の衰退に伴い生産年齢人

口の流出が著しく高齢者化率の高いまち。消費の減退により商店街がシャッター通りとなってしまったま

ち。坂が多く、交通が不便なまち。年をとった時、罹患した時、障害を負った時、小さな子どもを育てる時、

『きっと不便に感じるだろうな』と思うまち。だけど…人情に厚く、独自に互助活動を育んできたまち。」

果たして、この仮説を立証するために我々は、地域踏査(フィールドワーク)を実施すること

にした。主にその任にあたったのは、地域福祉課(三浦市ボランティアセンター)から杉崎悠子、

総務課(自立相談支援セ

ンター「いっしょ」)か

ら鈴木光永、そして、地

域包括支援センター「お

まかせ」から看護師の古

川彩香、生活支援コーデ

ィネーターの齋藤清香

がこれに加わり、齋藤清香が作業を主導した。

彼らは、自らが立てた“仮説”に基づき、調査エリアにおいて、“互助”を範疇とする「生活

支援サービス」の構築に向けて、下記のとおり、一つのビジョンを共有するに至る。目的は「住

み慣れた地域社会の中で『誰もが』『いつまでも』『安心して』生活できるようにすること」に

ある。

このビジョンの具現化を目途に、仮説の立証を試み、そこに乖離があるとするなら、逐次それ

に修正を加え、新たな、しかし、現実的な“都市像”を形成したいと考えた。

ゆえに、四則演算で求められるような量的データ(統計的)のみならず、足で稼ぐ質的データ

を重視することにした。当然そこには、地域住民に対するヒアリングや住民懇談会で得られた情

報も加味されることになり、結果的に“人間的”地域診断を可能にするのではないかとの結論を

得たからである。

■■ビジョン■■

連綿と築き上げてきた“支え合いの仕組み”を次代に引き継ぎ、住み慣れた地域社会の中で、

誰もが安心してこれまでの生活を“継続”できるよう“ちょっとした困りごと”なら相互に助け合えるよ

な“まちづくり”をめざす!

杉崎 悠子 鈴木 光永 齋藤 清香 古川彩香

地域包括ケア推進のための地域診断書 10

社会福祉法人三浦市社会福祉協議会 地域包括支援センターおまかせ |2016.3

日の出区の踏査の結果

地域踏査を実践するにあたって留意したのは、調査エリアのネガティブな部分を顕在化するこ

とに優先して、むしろ、その“強み”をより多く発見することに比重を置いたことにある。そこ

で「まちで発見した“あれこれ”沢山見つけよう!このまちの“強み(ストレングス)”」とい

う惹句のもとに作業を進めた。

はたして、日の出区では、どのような“発見”を得ることができたのであろうか?

日の出区は 164 世帯、水産関係や市場で働いている若い人もいるが、ほと

んどが高齢夫婦世帯か一人暮らし世帯。原因としては働き場所がなく、転入者

もおらず、勤め先が遠方の人は交通の便が良い駅近くに居住しているからだと

思う。隣近所は一人暮らし高齢者の方がほとんどだが、ゴミ出しなど近隣同士

で助け合っている。お互い大変な時は支え合い生活をしている。買い物や通

院など無料送迎バスを利用している人は多い。高齢になり免許を返却する人も

多く、足がない人もいるので循環バスの本数が多ければ便利。接骨院に高齢

者の方が多く集まっている。空き家も多いのでそのような場所を利用して地域

に誰でも集まれる“場”があると良い。365 日開所(誰でも開け閉めできるよう

に)して、椅子やテーブル、お茶・持ち寄ったお菓子等があればお年寄りの方

が気軽に集まって、会話を楽しんだり、住民同士の交流ができていいと思う。

夫婦世帯や一人暮らしの方がほとんどで、皆会話をしたい、会話をするのが楽

しみとなっている。

直撃!キーマンに聞いた

た!

日の出区区長

相澤 正さん

④⑤

⑧⑨

民生委員宅

区長宅

㉕㉖㉗

⑫⑬⑭

地域包括ケア推進のための地域診断書 11

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ソフト面(人々の暮らし、助け合いの仕組みなど)

① (有)鈴広米酒店 常連客多い。日用品も取り扱う。米や酒の配達あり。

八百兵商店 野菜以外に生鮮食品も取り扱っている。希望の品が店に

ない場合は店主が品物を調達。常連さんは商品と一緒に自宅まで送迎。

店内でお茶出し、飲むことができる。

日の出区民会館 第1・3木曜日14時-15時 体操

第3水曜日10時-11時半 コーラス

第1月曜日13時半- カラオケ

ルックス美容院 常連客は年に何回か訪問カット。来店時に迎えが必要

な方は要望があればお迎えに行く。寝たきり高齢者出張理容・美容サー

ビス事業も実施しているが、利用者なし。

みうら映画舎 店舗内スペースにて三浦診療所健診実施。必ず5~6人

は健診を受けている。団体等の活動利用のため店舗スペース貸出しあ

り。料金は1人ワンドリンク。

⑥ 包丁研ぎ1本300円 H27.夏頃~日曜日のみ実施。

⑦ 個人宅前にベンチが置いてあり誰でも利用が可能。近所の方の集いの場

となっている。

住民より~ヒアリング

この辺りは皆親切で、郵便物を受け取ったり、洗濯物を取り込むなど、

日常的に助け合ってきた。荷物の受け取りやゴミ出しは、今も互いにお

こなっている。一人暮らし高齢者宅の合鍵も預かり、雨戸が空いていな

い時などは、安否の確認もおこなっている。近所のつながりが強く、付

き合いは良好。

地域包括ケア推進のための地域診断書 12

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住民より~ヒアリング

近隣には、一人暮らし高齢者が多い。隣人は、ゴミ出しが厳しいため家

族が手伝っている。近隣トラブルは、警察も状況を把握している。  ̄

⑨ 空き家 解体を進めることができず、倒壊の危険性がある。

⑩ 空き家 ゴミ問題や倒壊の危険性がある。

⑪ 理容Sleeper's 訪問カット1,500円(出張料900円プラス)で実施。月

に2~3人の利用があり新規の方、リピーターの方もいる。

⑬ 溝川酒店 H27.11閉店 ―

⑭ レディースファッションNAGOYA 27.10閉店 ―

みうら接骨院

○利用客は40代以上で1日平均20人程、近所の方が多く顔見知り。送

迎や訪問サービスはなし。

○交通の便が悪いため、誰でも気軽に利用できる移動支援があればいい

と思う。

ジュ・ルビアン 12時-18時 30~40年程営業

*店の名前はフランス語でまた君の所へ戻ってくるよ=また三崎に来

たら来店してねとの意味で名づけた。

○要介護者が毎日来店しコーヒーを飲みながら30分程会話をする。

○オーナー1人で店を営業。以前は日の出区会館で民謡の踊りを教えて

いたが、時間帯が夜から午前中に変更となり店舗勤務があるため参加

できなくなった。

○地域住民はおせっかいが多く、隣組の中も良好。コミュニケーション

もよくとれている。何日も雨戸が閉まっていたり、新聞がたまってい

る家があると近隣が心配し民生委員へ連絡する等して安否確認をし

ている。

地域包括ケア推進のための地域診断書 13

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尼野風呂店 日・祝日休み 60年前から営業 昔は風呂桶をつくって

いた

○利用客は三浦市、横須賀市、逗子市。

○給湯器やシステムキッチン、風呂釜取り付けなどをおこなっている。

○ガスや排水関係でパッキン交換やガス配管の修理、灯油入れなどちょ

っとした頼みごとを受けておこなっている。給湯器等設置したお客さ

んなら無料で対応。

○三浦市内では仕事が減っているが浴槽組合に加入していて、入札で仕

事(東京23区、東京市内)を受けて生計を立てている。横須賀市・

三浦市で加入しているのは当店のみ。

○三崎は人口が少なく、働き場所がない。小さい商店もあるが求人がな

い。将来のことを考えると経営も厳しいので子どもに後を継いでほし

いとはいえない。

くろば亭 11時-20時 水休み まぐろ料理の前は洋食屋を営んでい

た(和洋中のオーダー可能)

○平日100人程の来客がある。土日祝日やGW、お盆時期は3倍以上の

来客。

○地域のイベント等に出店。みうら市民まつり、まぐろ祭、はつらつフ

ェスタ、朝市、武山、夜市等。デパートにも時々出店している。

○まぐろ切符利用客にはお土産をプラスしたり、こども連れのお客様を

優先して席に案内している。

○店主が商工会議所青年部に所属している。その活動の一環として28

年2月末、城ケ島を活性するためにちょうちん祭を実施した。市内の

親子100人程がちょうちんづくりに参加し、商店街を飾った。

浜島接骨院 日・祝日休み

○患者は1日40人程、以前より減少した。高齢の方が多い。近所以外

に市内からも来院する。

○ぎっくり腰などで通院できない方から連絡をいただいて、休憩時間に

訪問して施術をおこなうこともある。件数としては多くはない。病院

が休みの日に連絡が入り対応することもある。

○患者の方同士の話で「交通の便が良くない」「スーパーや日用品を購

入できる店があればいい」との声を聞くことがある。

○夜市や海南神社祭の時は三崎が地元の若い人たちが戻り集まってく

るが、一過性のもの。三崎が活性化するような働き口があり、若者が

転入してくれればと思う。

リリー美容室

1人で店を営業している。高齢で体力低下があるのでお客さんの数を減

らして対応。訪問カット等はおこなっていない。

地域包括ケア推進のための地域診断書 14

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マツダ薬局 50年ほど営業

○漢方を専門に扱っているが、今はどの薬局でも処方箋があれば漢方対

応はしており、来所した方の相談事を聞くことがほとんど。

○80歳になり今年の3月末で閉店を考えている。

○三崎は働き口もないので、将来どうなっていくのか分からない。少し

でも活性化すればと思う。

梶原電気

○電話で注文を受けてカタログや商品を届けるという形で仕事を受け

ていくことがほとんど。訪問した際に特殊な機械の電池交換やエアコ

ンのフィルター掃除等ついでに頼まれたことも無料で対応している。

○ご高齢の方は、石油ストーブは危ないのでエアコンを利用されてい

る。

ひものや友兵衛 9時半-17時 雨天時は閉店 69年程営業

○原料の買い付け、味付け、販売全て1人でおこなっている。無添加、

美味しい原料で美味しい商品をつくること、地元のお客さんを大事に

することを心掛けて商売をしている。変わらずに美味しい味を継続し

て提供できるように地産地消にはこだわらず全国から良い原料をま

とめて買い付けている。製造は1日に販売する分のみ。試食を用意し

ており味を確かめてから購入できるようにしている。

○利用客は観光客よりも地元の人が多い。来店以外でも全国から注文が

入り配送を実施。

○17時過ぎ閉店してからとなってしまうが、来店できない方のために

注文を受けて、商品を焼いて食べられる状態にしてから配達をしてい

る。入所施設の方や諏訪に居住している要介護の方などから注文があ

り対応。

○店舗に椅子を用意しており、お年寄りの方が何人か毎日集まって話を

することができる“たまり場”になっている。

小津商店(プラモデル・文具)

○最近はプラモデルを作る子どもがいない。

○店主がスズメに餌(お米5合ぐらい)をあげている。

㉖ miura 火休み 12時-14時 17時半-22時

○飲食店、市役所職員等利用している。

地域包括ケア推進のための地域診断書 15

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○六(魚屋)

以前は○六という魚屋だったが、現在は閉店している。現在もお客さん

から頼まれると魚の仕入れ、さばきをおこなう。自宅前で魚をさばくの

で、タイミングが合えば商店街の通行人にも安く販売をしている。

ハード面(ユニバーサルデザインによるまちづくりは進んでいるか?)

① バス停(北条) 椅子がなくガードレールに

寄りかかりバスを待つ乗客がいた。

② 階段の1段目が崩れている。手すりがないた

め昇降時は注意が必要。

③ 側溝の蓋の網目が広く、傘や杖がひっかかり

転倒の恐れがある。

歩道表示の白線が薄れている。車通りは多い

が歩行者だけでなく自転車の通行もあり接

触事故の危険がある。

⑤ 歩道が狭くて危ないからか、小さな子ども連

れの親子が船着き場を歩いていた。

⑥ 坂道。ガードレールがあり整備されている。

地域包括ケア推進のための地域診断書 16

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階段に手すりがある。階段を降りきると側溝

になっていて、蓋などがなく躓いたり、転倒

の危険性がある。

生活道路は狭隘し、車が通ることはできな

い。住宅も密集しているので、火災が発生し

たときなどは心配である。他方、この街並み

が「昭和」の香りを残していることもまた事

実である。

⑩ 狭くて階段となっており車が入れない。

⑪ 傾斜がきついため、車はアクセルを踏み込ん

で登ってくる。通学路でもあるので危険。

⑫ 道端にコンクリートの塊があった。

小学生の通り道となっており、ガードレー

ル・LED照明の整備がされている。小学校の

下校時刻(16時頃)に警察官が見回りをし

ていた。

地域包括ケア推進のための地域診断書 17

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⑭ 高台へ避難の看板が設置されている。

⑮ 日の出区防災倉庫

日の出区内に居住する当法人会長の川﨑喜正によると「若者は雇用を求め次々と市外に転出し

たため、高齢者の多いまちとなりました。しかし区民の皆さんは、いつまでも若かりし頃の気持

ちを忘れず、互いに助け合い、住みよい明るいまちづくりのために頑張っています。」とのこと。

これまで日の出区では、防災隊の再編成、区の法人化といった案件に取り組み、老人会、青年

会、女性会も独自の活動を展開するなど地域発展のために尽力している。また、日の出会館とい

う固有の集会場を持ち、ここを活動拠点としている。

なお、防災隊を再編した際に、独自の防災対策体制を整備するに至った。ここに掲載した同区

のエリア地図は、その仕組みを図示したものだ。消火栓、防火水槽、消火器の位置を地図上に明

示するなどして、全区民に自主防災意識の醸成を促している。そればかりではない。地図上には、

■=一人世帯、★=夜間一人世帯、▲=昼間一人世帯といった具合に、要援護者がどこに居住し

ているのか、その生活様態も含めて“一目”でわかるようにマーキングされている。防災隊には、

こういった要援護者を避難所まで誘導する誘導班に加え、初期消火班も編成されており、それぞ

れが、それぞれの役割に沿った活動を展開することになっている。

地域包括ケア推進のための地域診断書 18

社会福祉法人三浦市社会福祉協議会 地域包括支援センターおまかせ |2016.3

日の出区における、こうした“互助”の取組みは、その先駆性から大いに評価されてしかるべ

きだと考える。一部には、プライバシーの保護に関し、懸念を示す向きもあろうが、当事者たる

要援護者が了解しているのであれば、殊更それを問題視する必要はないだろう。「命とプライバ

シー、どちらが大切ですか?」と問われているようでもある。

日の出区は一人暮らし世帯が約 40 軒ほどあり、お年寄りも多いが皆元気でしっか

りされている。家族、親戚が遠方の方も長期に渡り支援できない時は老健を利用し

たりと心配な方は今のところいない。

お祭り準備を協力しておこなうことで、町内同士がつながり連帯感がある。そのた

め近隣同士の変化や気になること、地域のちょっとした事柄でも随時、民生委員へ連

絡・情報提供をしてくれるのですぐに対応ができる。これまで、住民から近隣のことで

「布団が干したままである」「最近痩せてきている」等の情報があり関係機関へつな

いだり、防災みうらの音量が小さい・空き家問題等についても連絡が入り市役所や警

察へ連絡したこともあった。

商店だけでなく持家についても後継ぎがいないため、今後空き家は多くなると思

う。処分方法について考えている住民も多い。住民の方へは常に何かあってからで

は困るので、その前に行動するように伝えている。

日の出区民生委員

川﨑 節子さん

直撃!キーマンに聞いた

た!

地域包括ケア推進のための地域診断書 19

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入船区の踏査の結果

入船区民構成 84 軒 約 100 人 高齢化率 25~26%。

子どもの数が減少し商店街はさびれてしまっているが、皆元気に過ごしている。近

所付き合いは良好で、病気や怪我の情報をお互いに共有し、おかずを届けたり、安

否確認をするなど助け合っている。祭り(7 月第 3 土日に海南神社祭)が盛んで、住

民同士のつながりは強い。昔から、住民同士がバランスをとって盛り上げるようにし

ている。新築の家も何軒かある。祭り関係のつながりで、ここが気に入って移住して

きた人もいる。祭りは、青年会が中心となっておこなっている。今年は青年会の提案

で、神輿を制作しかついだ。青年会メンバーは 50 代が多く約 60 人。

自営業はもとより漁師も後継者がいない。船を所持していても燃料代が高く漁をし

ても利益にならず経営は厳しい。入船区会館で 15 日会という食事会を敬老の日と

年末に実施している。昔からの住民(後期高齢者)が中心になり準備等をおこなって

いる。住民がおこなった廃品回収の補助金を経費として食事会を開催している。

市の要援護者リストで独居、日中独居、65 歳以上世帯、障害者手帳所持者、要

介護認定者など支援が必要な方の把握をおこなっている。情報は毎年更新。

直撃!キーマンに聞いた

た!

入船区区長

神田 健二さん

⑧⑨

赤○字は「ソフト面」、青○字は「ハード

面」を表し、それぞれ次㌻以降の一覧表

と連動する。

区長宅

民生委員宅

地域包括ケア推進のための地域診断書 20

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入船区における地域踏査の概要

ソフト面(人々の暮らし、助け合いの仕組みなど)

花徳生花店 近所付き合いはあまりない、勤め先がないため子どももい

ない。自営業は後継ぎがいないため閉店してしまう店がほとんど。最近

は花屋の客も減っている、スーパー等で花を用意して墓参りに行く方が

増えているからだと思う。(海南区)

住民より~ヒアリング

○最近は住んでいる人が少なくなった。八百屋、肉屋、魚屋があるので

生活に不便はないが、スーパーがなくなってしまったので、京急スト

アまでバスを利用して買い物へ行く。食べ物やお土産のやりとりをす

るなど近所づきあいはある。一人暮らしの女性高齢者多いが支援して

くれる家族がいるので大丈夫。

○入船会館で区民のお茶会を2ヶ月に1回実施している。

○フジスーパーのバス停は椅子がないので荷物が置けないため京急ス

トアを利用している。

住民より~ヒアリング

○後継ぎの方がいないため閉店する店が多く、商店街が廃れてしまっ

た。同年代の方が少なくなり寂しい。近所の方は昔からの顔見知りで

互いに生活のことを知っている、しっかりしている方が多いように思

う。

○スーパーがあったが数年前に閉店。買い物は生協宅配を利用したり、

家族に付き添ってもらって買い物をしている。

○三崎4丁目の高福商店は購入した商品を配達してくれる。電話で注

文、配達もしてくれる。

つく志 17時-23時 水・木は休み

○横須賀に開店してから50年ほど、三浦市に移転してから30年位。昔

は船員さんがお客として多かったが、今は馴染みの方が来店。ママさ

んが1人で切り盛りしており、利益のためではなく自身の健康維持の

ために店を続けている。

○馴染みのお客さんより電話注文を受け料理を届けたり、お客さんが取

りに来ることもある。

○近隣は争いごとやもめことはなく関係良好。

クリーニング横須賀屋

○開店してから50年程、利用客は地域住民の方や配達利用客が多い。

電話で注文を受け、クリーニング用品を受け取りに行き、仕上がり次

第配達している。配達利用客は城ケ島、三浦海岸、武山、一騎塚まで

と様々。

○入船地区は近所づきあいが良好。

地域包括ケア推進のための地域診断書 21

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MF接骨院・スポーツジム H26.7~開店 9時-21時

○シニア料金4000円(月額)一般は男性6000円、女性5000円

○利用客は高齢者、女性が多く1日に何度も来る方多い。利用客は大体

顔見知り。男性は仕事後に利用する方が多い。

○接骨院はいつもロビーに人がいっぱいになり交流の場となっている。

○オーナーの親が三崎を活性化したいとのことで三崎に店を開業した。

三浦は自然豊かなところが魅力とのこと。

リサイクルハツネ(ハツネ薬局) 13時-16時半

○買い取りや委託商品はなく自身や家族の中古品を販売。利用客は近所

の方、高齢者が多いが、中には三浦海岸から来る人もいる。

○地域住民の情報をタカラヤさんに聞いたりして把握している。「買わ

なくてもよいので、ウィンドウショッピングや店員との会話を楽しん

で欲しい」と店主。店主自身、お客さんと交流が健康の維持につなが

っているという。

アムールおおやま 10時-16時 兄・妹で経営

○利用客は50~60代が多く、馴染みの方数名が来店。以前は制服受注

していたが体調を崩してやめてしまった。

○三崎地区については「若い人の働き口があるといい。後継者がいない

ため閉店してしまう商店が多い」とのこと。

嘉山精肉店

○店の肉が気に入ってくれた方が来店してくれているが、利用客は減少

した。

○閉店している店が多く商店街の元気がない。一人暮らしの高齢者が多

くなった。

魚龍

○4年前に閉店したが、馴染みの料理店より魚の下処理を依頼され、お

こなっている。

○三崎地区は昭和30年代位までは、活気もありよかった。今は若い人

が少なく年寄りばかりで寂しい。

VIVA MISAKI H25~営業 土日のみ開店

○三崎の商店街について観光客や足を運んでくれた人たちのために気

楽に休憩できる場所・スペースや公衆トイレの設置をした方がいいの

ではないか。

○夜市などのイベントには不参加。

○以前は「マグロの加工場」だった。

地域包括ケア推進のための地域診断書 22

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MISAKI Factory 仲崎区 古道具屋ROJIの店主が

オーナー

○4人のクリエイターで、各ブースで各々の商品を展示・販売。ワーク

ショップも開催。1日たっぷり三崎で過ごしてもらい、楽しい思い出

をつくりながらまちの魅力を知ってもらう目的で、9月に2日間「M

ISAKIぐるぐる秋祭り」というイベントを実施。若い世代も含め

た地元住民と交流を図るため地域の集まりを企画・参加し、コミュニ

ケ―ションをとるようにしている。情報発信はFacebook。

○三崎のまちについて、高齢者支援も大切だが転入者を増やしていくた

めには安心して子育てできるまち、次世代育成を目指した方がいい。

○ゆっくり仕事ができる環境が、クリエイターに注目されている。

○若い人はいないようでいる。若者のサポートをしている。今後も(外

から人を呼ぶというより)地元の人と何かやりたい。

○以前は「生花店」だった。

吉野屋

○入船会館で、月に一度区の高齢者が集まり食事会をおこなう15日会

の発起人。長年、民生委員や区の役員もおこなっていた。

○15日会は、高齢者の方が開催日を忘れないように名づけた。15日会

を始めてから10年程。当初は20人位の参加人数であったが、現在は

10名で全て80代以上の女性。年に3回の古着・廃品回収を参加者で

おこない、市からの補助金(2万円 ※現在は1万円)を経費として

足りない分は参加者負担としている。

○15日会では、青年部の集会時に飲食の後片付けや入船会館の清掃を1

回3000円で依頼されておこなっており、その収入も食事経費として

いたが、H26~足腰が弱くなり依頼を受けるのをやめた。

○店舗に椅子とテーブル、文庫があり夕方になるとほぼ毎日近所の方が

3~4人ほど集まり世間話をしている。時間は16時~19時ぐらい。

高齢単身世帯だと夕方から夜の時間が長く感じ、寝付きも悪くなるた

め自然と集まって会話を楽しむようになった。

○入船区のお年寄りは皆元気で、お祭りで若い世代と交流している。

ハード面(ユニバーサルデザインによるまちづくりは進んでいるか?)

① 集団登校の集合場所。

地域包括ケア推進のための地域診断書 23

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駐車スペースが地形によるものか崖のよう

になっている。「危険登るな!」の看板が掲

示されている。

③ 車は通行することができない。

④ 道が少し傾斜している。

⑤ 階段に手すりあり。

⑥ 階段に手すりはあるが、段差に高低差があり

昇降時に転倒の危険性がある。

⑦ 壁が崩れており耐震性が心配。

地域包括ケア推進のための地域診断書 24

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⑧ 車は通行できるが、道路の両端に段差があ

る。

電柱隣の街灯の部品が老朽化して落下して

いた(H28.1.20現在、落下物は回収されて

いる)。

⑩ 入船会館

⑪ 入船区防災倉庫

全世帯数84世帯 高齢者世帯は15~16世帯 子どもがいる世帯は5世帯以下。

高齢者世帯は多いが、単身世帯でもしっかりとされている方が多く、家族も区内在

住・市外在住等問わず定期的な訪問があり心配な方はいない。

近所付き合いも良好でおかずのやりとりがあったり、姿をみかけないと近所同士で

通院のため・家族のところへ遊びに行っているなどの状況を把握し、自然に見守りが

おこなわれている。また自宅や道端の休憩場所で住民同士が集まり話をして交流を

することできている。年番でお祭りの準備を担うことによって、新しい商店や若い世

代の方、転入者と交流し関係性をつくることができる、昔からの住民がまとめ役とな

ってくれていることが、入船地区のいい点だと思う。新築中のお宅の中にはお祭りの

関係で入船地区へ転入してくれた方がいる。三崎地区について閉店してしまう商店

も多く心配だが、肉屋や八百屋もあり、スーパーの無料送迎バスが巡回しているの

で、生活する分にはそれ程心配はない。

入船区民生委員

池田 美和子さん

直撃!キーマンに聞いた

た!

地域包括ケア推進のための地域診断書 25

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仲崎区の踏査の結果

世帯数 131

お年寄りが多く、小・中学生の子どもが少ない。商店街に活気はないが、同じ悩み

をもつ商店街は他にも多いと思う。青年部が高齢化していることも悩み。自分たちで

金銭を出し合い、商店街を活性化させようという動きは以前から見られない。

一方で、昔から住民同士のつながりや近所付き合いがあり互いに状況把握をす

ることができている。三崎のまちで安心して生活していくためには、魅力があるまち

づくりについて、若い世代の意見をどんどん取り入れていかなければならない。高齢

者は、自分の生活を守ることで精一杯。後継ぎの 30~40 代の人たちが中心となり、

その中からリーダーとなる人が 1 人、2 人と出てくれば、まちおこしはできると思う。自

身は有限会社みさきまぐろ倶楽部の社長を担い、加盟店が協力して商品開発(月に

何度か新商品候補を持ち寄り検討)をおこない、とろまん、鮪ジャーキーを商品化し

てきた。障害者手帳帳所持者、要介護認定者など支援が必要な方の把握をおこな

っている。その情報は、毎年更新している。

直撃!キーマンに聞いた

た!

仲崎区区長

平井 吉一さん

赤○字は「ソフト面」、青○字は「ハード

面」を表し、それぞれ次㌻以降の一覧表

と連動する。

民生委員宅

区長宅

地域包括ケア推進のための地域診断書 26

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仲崎区における地域踏査の概要

ソフト面(人々の暮らし、助け合いの仕組みなど)

タカラヤ 日・祝日休み 昭和初期創業。天神町店は33年位。

○利用客は近所の方が多く、毎日買いに来る常連さんがいる。常連客の

方が来店しない時は心配であるが、入院したとの情報やデイサービス

を利用するようになった等の情報から状況の把握をしている。

○来店できない方のために注文を受けて配達をおこなったり、昼の時間

帯のみ加工場や集会場付近で各15~30分程で移動販売を実施。販売

範囲は下町から油壺付近で曜日により販売箇所を変更している。城ケ

島にも加工場があり、週に1回移動販売している。

○足腰が弱い方のため少し休憩ができるようにと店内に椅子を設置。

○昔からの利用客の方はポイントカードがある。

○お客様から三崎について日常の買い物ができる店やスーパーがあれ

ばいいとの声が聞かれる。

タカラヤ来店の住民にヒアリング

80歳を過ぎたが毎日諏訪から徒歩にてパンを買いに来ている。タカラ

ヤ以外のパンは購入したことがない。三崎地区は皆安心して生活してい

ると思う。

② 三浦絵手紙協会の作品展が期間限定で開催されていた。

三崎昭和館 H22.3~開所 水・木休み

○三崎のまちおこしを目的に運用公社がチャッキラコや四季折々の各

地区の文化財を展示。館内は明治・大正・昭和初期の家を再現したつ

くり。観光客に三崎の文化や様式を知っていただくための資料館とな

っている。月に500~1000人、年間約1万人の来館がある。

○三崎の商店街では安く空き店舗を貸してくれる不動産が少ないため

新しく商業を始めるのが難しい。

④ ROJI

入船地区⑬ MISAKI Factory の店主が営業

⑤ しおん 火・日休み

昼カラオケを実施 13時-16時

地域包括ケア推進のための地域診断書 27

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(有)カネイチ魚店 月休み 古くから営業し現在5代目

○仲崎の民生委員を4期続けて担っていた。仲崎区はお年寄りが多い

が、しっかりされており、認知症があっても家族が支援、介護保険を

申請しサービスを利用しているため心配な高齢者はいない。毎日来店

して頼みごとをしに来る方もいるがケアマネがいてサービスを利用

している。

○民生委員から各申請や相談へつなげるようにしている。

○手足を引きずって歩いていたり、普段と様子が異なるときは、近隣同

士声をかけて様子や状況を把握することができている。一人暮らしの

方も多いが話を聞いてあげるだけでも違う。民生委員をやめてからも

地域住民の様子を確認したりすることは続けている。

キーCOFFEE 月・木休み 10時-18時

○利用客は地元の人たちがほとんどで観光客の利用は全体の1/5程度。

改装してから観光客の利用は増えた。子供の頃に親と来店し、その後

成長し自分の子供を連れて来店、3世代で利用してくれているお客様

も多い。

○常連客で来店していた方(50代)もいたが皆高齢化(70代~)して

きて亡くなる方も多く、常連客が減ってしまった。毎日来店している

常連客の方には電話番号を聞くようにして、来店しない日には電話連

絡することがある。以前、常連客の方が来店せずに心配で電話をした

時に自宅で倒れているということがあった。2年程施設入所された後

に亡くなられた。

○独自のサービスは、3年前の改装時店内外をバリアフリー化したこ

と、分煙から禁煙にしたこと、写真入りメニューをおいていること等。

○三崎について、若い人たちが増えるような子どもたちが住みやすいま

ちを目指してほしい。子育て世代を支援できるよう高校生まで医療費

免除・学費免除など子育て支援に力をいれていけば転入者も増えるの

ではないか。また公園や図書館も下町にはないため環境整備もあわせ

ておこなえればいいと思う。

英(はなぶさ) H25.3.1~営業開始 10時半-13時

○当日手作りの弁当や総菜を販売。もともと同店舗にてスナックを経営

していたがスナックを閉店してから弁当・惣菜屋を営むようになっ

た。

○利用客は近所の方や市場の水産課の方等でお年寄りはあまり来店し

ない。

○弁当は2個以上で配達可能。第1・3の金・土はカレーの日で1個300

円と安く販売。

⑨ 仲崎会館

月に4回清掃実施(役割分担で清掃担当の方が実施)

地域包括ケア推進のための地域診断書 28

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⑩ 和泉屋溝川酒店 閉店 ―

マツザキ泰山丸本店 10時-17時 日・祝日休み

○顧客は近所の方やアスクル通販もおこなっているので会社関係の方

が多い。

○来店できないお年寄りなどから注文を受けて配達を実施。以前、天神

町に支店があり近隣住民から注文を受けることがある。

○商店街唯一の文具店のため近所の子どもが来店していたが最近は少

なくなった。

○仲崎のバス停が一番近い停留所だが、1時間に1本位とバスの本数が

少ない。三崎港の停留所は本数が多いが店舗までは少し距離がある。

商店街の駐車場を利用しているお客様もいたが現在、商工会議所を建

設中で利用ができない。現商工会議所跡地が駐車場になるとのことだ

がまだ先のことなのでお客様の店舗までの交通の便が悪い状況。

譜 開店してから約28年

○昼カラオケを実施、夜はスナック。三浦には娯楽施設がないので開店

当初から昼カラオケを実施。昼カラオケは1名1000円で飲み放

題、歌い放題。利用客は70歳以上の女性が多く10名程。一人暮らし

世帯の方が多く話す機会がないので、世間話をしてたくさん話をし、

その後歌を歌うようにしている。夜の利用客は若い方が多い。

○オーナーは救急法の資格を所有し、夜中も営業しているため近隣や利

用客に何か困ったことがあれば連絡・来店するよう伝えている。場合

(緊急時等)により訪問もすることもできるとのこと。

○以前、オーナーの提案で隣のビル地下で障害者施設(はまゆう・きく

な・たんぽぽ)の利用者の方20~30名程を招待して無償でカラオケ

をおこなっていた。場所が地下のためオーナーの友人5~6名に依頼

し介助をおこなってもらっていた。

○できることは少しずつ始めないといけない、お年寄りや障害のある方

が過ごせる場所が各地区にあるといいと思う。

ホシノ無線電機商会 開店してから20年ほど

船の電機関係の店、専門的なお客様のニーズにこたえるようにしてい

る。

井上商店 75年程営業

○飲食店(食堂や飲み屋等)が常連客。近所の方でも配達している方が

いる。

○小売業が衰退していて、利用客が減少。横須賀・三浦の酒屋は以前

400件ほどあったが、現在は200件ほどに減少。コンビニでも手軽

に酒類を購入できるようになったことが影響していると思う。

○自営業の経営が厳しいので子どもに後を継がせない店が多い。

地域包括ケア推進のための地域診断書 29

社会福祉法人三浦市社会福祉協議会 地域包括支援センターおまかせ |2016.3

しまや旅館

○宿泊者は月に何人かと減少。旅館は下町に4~5件あったが全て閉店

し当旅館のみが残っている。1人で切り盛りしているため料理の提供

はしていない。おもてなしの心を大事に営業している。

○老人会は10人程入っていたが市老人クラブに団体申請できないため

登録解消されてしまったようだ。自身も会費のみ支払い、活動は欠席。

同年代の方と月に一度昼食を食べに行き交流している。

○以前、旅館周りの植木の花を何者かに折り取られてしまったが、見か

けた近隣住民が声掛けして注意するということがあった。

(株)吉沢石油店 8時-17時

○利用客は船関係や市役所関係の方が多い。

○独自でおこなっているサービスとしては公衆トイレがないため観光

客へのトイレ貸出しをおこなっている。また、お年寄り等で重いもの

を運ぶことが大変な方に、灯油を家の中まで運び対応している。

角井商店(漁具) 9時-17時 日・祝祭日休み

○船員、漁師向けの漁具店。漁師の方、40~60代で親子や孫でおこな

っている方が多い。三崎の漁師は金田や松輪に比べると後継者が少な

く高齢。

○船員の方が利用客のため、船が就航する時間に対応して開店・営業す

るようにしている。配送も実施。

⑲ 石井魚店 閉店

⑳ 溝川釣具店 閉店

日本刃物店おとがわ 9時半-18時 木曜日休み 60年程営業

○利用客は一般のご家庭、板前や魚屋、漁師の方。加工等の機械化が進

み刃物自体の需要が減っている。また、良いものを長く使用するとい

う文化ではなくなり、100円ショップでも包丁や刃物を販売してい

ることも売り上げ減少につながっている。修理費は送料程で手間賃を

かけず赤字にならない位の費用で対応。

○現在、三崎では日常品や食料品を取り扱っている店が少なく東岡のス

ーパーまで行かなければならない。無料送迎バスを利用している人が

多い。水・金は諏訪の八百屋が移動販売に来ている。

○三浦市立病院でおこなっている健康大学に参加。健康に関する講義を

受け健康に対する意識が高まり参加してよかった。定期的に開催した

くさんの方が参加するといいと思う。

○老人会があるが現在は5人程。70代位の方で入会する人が少ない。

地域包括ケア推進のための地域診断書 30

社会福祉法人三浦市社会福祉協議会 地域包括支援センターおまかせ |2016.3

個人で趣味を楽しむ方が多くなったことが影響しているのかもしれ

ない。40~60代の方は母の会に入会している方が多い。年間行事

があり会館掃除をおこなったりしている。地区を超えた老人会やサー

クルで集合することで同年代の方の交流が図れると思う。

(有)磯部商店 年中無休 8時40分-16時

○まぐろ船専用の物品を取り扱っている。他には免税煙草も販売してお

り、外交変更の手続きをおこなった船が購入可能。1カートン1500

円程で年間2000万円程の収入がある。

○日本人の船員が少なくなり、外国人(インドネシアの方)の船員は金

銭を持ち合わせていない為、購買力がなく収入減となっている。

○花暮地区で船関係の専門店はかねしろ商店、木村商店、山西金物店、

山星船具店、翔洋船具店。

ハード面(ユニバーサルデザインによるまちづくりは進んでいるか?)

道が少し傾斜している。

③ 防火用品が設置、隣はゴミ収集場所となって

おり収集場所の清掃当番が掲示されている。

④ 傾斜となっており、道路幅が広く車の通りも

ある。

⑤ 家と道路の間に少しの段差がある。

地域包括ケア推進のための地域診断書 31

社会福祉法人三浦市社会福祉協議会 地域包括支援センターおまかせ |2016.3

⑥ 幅広の階段、手すりがない。

空き家

周辺の住居が隣接しているため火事の際の

被害が心配。

⑧ 車は通ることができない。

⑨ 車は通りづらい。

⑩ ブロック塀が壊れている。

⑪ 道路に段差(マンホール?)があり躓く危険

性がある。

地域包括ケア推進のための地域診断書 32

社会福祉法人三浦市社会福祉協議会 地域包括支援センターおまかせ |2016.3

⑫ 京急ストア運行バスの停留所になっている。

この道は速度をあげて通行する車が多い。

⑬ 臨時駐車場に利用可能。仲崎区防災隊の倉庫

あり。

⑭ 歩道箇所が壊れていて穴が開いている。

⑮ 車は通れない。

日の出区内に一部仲崎区の土地があり、仲崎

区防災倉庫が設置されている。仲崎区民が定

期的に草むしり等の管理をおこなっている。

全世帯数は 110 世帯

転入や転出はほとんどない。住民はほぼ 65 歳以上で皆しっかりされていて、本当

に心配な方は1人くらい。アットホームな地域で住民同士が周りのことを気にかけるこ

とが自然とおこなえている。

気になるお宅や心配な方は声をかけたりしているが、実際に入院や施設入所した

際は、随時情報をいただけると把握しやすいのだが、事後に状況を把握することが

多く、あまり頼りにされていないのかなと感じることもある。

三崎は働き場所がない、バスが終電まで運行していない(終電は東岡までの運

行)ため若い人たちの転入につながっていかない。また市立病院行きの京浜急行バ

スがないため、通院はもとよりお見舞いに行くのも不便。住民の方はフジスーパーの

無料送迎を利用したり、車での送迎をしてもらい対応している。 仲崎区民生委員

板倉 美子さん

直撃!キーマンに聞いた

た!

地域包括ケア推進のための地域診断書 33

社会福祉法人三浦市社会福祉協議会 地域包括支援センターおまかせ |2016.3

花暮区の踏査の結果

地区の要援護者は20名程度。

地区の住民は昔から居住している方が多いので近所付き合いや繋がりはある。

一人暮らし高齢者世帯も多いが、長男嫁が頑張って支援している。自営店の後継

者はほとんどいない。花暮地区は商店が多く、店舗は三崎、居住地は東岡等と他地

区在住の世帯も多いので夜間帯の居住者は少なくなる。花暮地区は12月頃に幹部

や人事等の重役が決まる。1月頃に副区長等が決まり、新年会で地区の行事や段

取りを決めていく。本宮会という旧青年会があり、葬式の人出が足りない時は親族

から依頼があれば本宮会が手伝う。人手については区長が弔辞へ行き、必要の可

否を聞いて確認している。海南神社祭は準備等各地区でまとまって実施。祭り終了

後に飲んで反省会をおこなう。集まって話をすることが大事。祭りには住所がある

方、通勤してくる方、実家がある、友人がいるという方も参加が可能。町内の色々な

役割は年の順で決まっていく。~60代は青年会長や祭りの総頭長、60代後半~70

代は区長や青少年指導員を担当していく。年配者から声をかけて次代へと引き継ぐ

ようになっている。若い頃に上の世代がやっている姿をみた者たちが、自然と役割を

担当していく。子ども会や母親クラブはなくなってしまったが婦人会があり、祭りの準

備や会館掃除、三崎港報や市報の配布の段取りを担ってくれている。会員は20名

程度。老人会は70代の方が多く、会館清掃等の手伝いを要請すると動いてくれる。

新しい商店や転入者の方との付き合いは人にもよるが、地域に溶け込んでくれる方

なら歓迎、町内会への参加は声をかけるようにしている。地域でできること、ボラン

ティア等は自分たちのためにもおこなった方がいいと思う。

"

直撃!キーマンに聞いた

た!

花暮区区長

木村 信英さん

民生委員宅

区長宅

赤○字は「ソフト面」、青○字は「ハード

面」を表し、それぞれ次㌻以降の一覧

表と連動する。

地域包括ケア推進のための地域診断書 34

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花暮区における地域踏査の概要

ソフト面(人々の暮らし、助け合いの仕組みなど)

まったり庵

○モーニングも実施。寝たきりで来店できない方のため注文を受けて配

達をしているお宅がある。

○三崎地区で安心して生活できるためには高齢者を支えるためのネッ

トワークが必要。健康診断の案内など分かりやすくしてもらえるとい

い。

花風 饂飩 H27.10.20~営業

○家賃が低いので、若い人や開業したい人にとっては、起業しやすい環

境にある。

○Facebookをやっている。情報は入りづらい。

尾張屋 水休み 9時-18時 昭和8年より営業、下町に移転してか

らは40年程

○配送や配達はおこなっていないが商品の3%引きを実施。

○利用客は地元の方で女性客が多い。以前は学校の指定靴も取り扱って

いたが、現在は横須賀の店舗が取り扱いをおこなっている。

○商店街の活性化を図るためには飲食店だけでなく物販店の活気がな

いといけない。物販店がないと商店街にお客さんが来ない。また、商

店街に休憩場所やトイレを常設した方がいいと思う。

○人口増加のために定住者を増やしていければと思う。

三崎堂書店 日休み 10時-18時半 現在三代目で75年程営業

○利用客は地元の年配者、昔からのお客さんが多い。ツクイ三浦へ入所

者からの注文を受けて(職員がとりまとめ)商品を定期的に届けてい

る。

○商店街で月例会を実施している。若い人がいないので人が集まるよう

にしたい。商品を購入してもらうためにどうすればいいか商店街全体

で取り組む必要があると思う。

⑥ミサキドーナツ H24.12.7~開店

○平日は近所の方で子どもからお年寄り、家族連れやお一人様など色々

な方が来店。土日は観光客の方が多い。H27にテレビ番組(アド街)

に取り上げられてから有名となった。

○出張販売を不定期でおこなっている。場所は追浜から二子玉川までと

様々。デパートやアウトレットなどに営業、催事で販売。

○三崎の商店街がシャッター通りになっているので活性化したいとい

う目的から老若男女のおやつ=ドーナツという発想でドーナツ店を

開店。地元のパン屋(充麦)に一から指導を受けて準備をおこなった。

現在は逗子、鎌倉と3店舗まで拡大している。

○港祭りや夜市に参加し、地元の商店や地域の方と交流をしている。

○三崎のまちがこれからも自然を大切に1日楽しむことができるよう

なまちであればと思う。

地域包括ケア推進のための地域診断書 35

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ミサキプレッソ 火・水休み

○シェフの都合により金曜日夜、土日に営業。

○商店街活性化のためガラス工房、昭和館と同時に開店。

かわさき園芸 無休

○利用客は昔からの近所の方で自宅用や墓参り用で花を購入される方

が多い。花暮地区には花屋が他にはない。注文を受けて配達実施。

○お年寄りや一人暮らしの方多くなっているが、近隣同士の助け合いで

当たり前のように見守り・声掛けをおこなうことができている。新し

い住民や店舗の方も祭を通じて交流し、関係をつくることができてい

ると思う。

○お年寄りが亡くなり、転入者もいないため人口がどんどん減少しいて

いる。商店街も閉店している店が多く、今は下町で買い物をするとい

う感覚がなくなっている。観光客頼みだと土日やシーズンのみと一時

的で顧客・売り上げ増にはつながらない。商店街の活性については後

継者の問題もある。商店同士で集まり定期的に話し合いをおこなって

いる。

保住米穀店 日・祭日休み 9時-17時

○コンビニ(ファミリーマート)も横須賀市から三浦市までで10店舗

経営しており、コンビニの商品(天然水やノンアルコール飲料等)も

注文を受けて配達することがある。また、支払いを経営しているコン

ビニでも対応。配達時は前日に電話連絡し在宅しているかどうか確認

し商品を届けるようにしている。重たいもの、灯油やビールの配達注

文が多い。近所の方からの配達注文の際にパート職員が退勤時に商品

を届けることもある。

○地区の近隣同士のつながりや付き合いは良好で、一人暮らしの方のデ

イサービス送迎時に近所の方が出迎えや見送りをしている姿を見か

ける。

○常連客の来店が途絶えると近所の方や家族から状況(施設入所や入院

した等)を教えていただき把握することができている。

サトウ薬局 日休み 9時-19時半 ※祭日は9時-18時

○店舗内にある商品については全て電話注文を受けて配達可(三浦市

内)。個人宅以外にも飲食店や病院、学校にも洗剤や消毒、トイレッ

トペーパー等受注の契約をしており適宜配達。

○介護保険居宅療養管理指導サービス提供事業所

○近隣はお年寄りの方が多いが、お互いが自然と気遣い見守りができて

いる。体調が悪い方の代わりに近所の方が市販薬を購入しに来店する

こともある。薬剤師等が健康相談に対応。

○道端や玄関先等で住民同士がコミュニケーションをとっており住民

の交流は密に図ることができていると思う。

○来店客より病院行きのバスが限られており不便との声が聞かれる。シ

ャトルバスの本数が増えればいいと思う。

地域包括ケア推進のための地域診断書 36

社会福祉法人三浦市社会福祉協議会 地域包括支援センターおまかせ |2016.3

かじめ 木休み 11時-18時

○ツアー客向けにミニ漬け丼とまぐろカツの定食1400円をH27.11

~販売開始、評判が良い。

○店主は三崎まぐろ地魚協会会長を務め、イベント(夜市・まぐろ祭・

ピザーラ大会等)等で加盟店の各々の評判がいい商品を販売。

○目の前の仕事をこなしていくことが三浦市のためになると思い頑張

っている。三浦市と協働して商店やまちの活性化につながることをや

っていかなければと思う。

古今アンティークス 月・火休み 10時-17時

○利用客は地元の方(グローイングやヨット関係の方)、商売をおこな

っている店のインテリアとして購入する方が多い。

○三崎下町の住民は排他的な風土はなく12年程前に転入してきて店舗

を始めたが、近隣住民との関係で嫌な思いをしたことはない。地域の

方とは祭りを通じて関係ができ、地域の役員を担当したりして交流し

ている。また地元の色々な会(本宮会・老人会・商店会・町内会・チ

ャッキラコ)に所属し交流ができている。

○老人会は40数名会員だが2ヶ月に1回の活動(カラオケ・昼食・入浴

のため老人センターへ行く)参加者はいつも同じメンバーで6~7名。

その他の活動としては古着・古紙回収をおこない収益を老人会費とし

ている。60~70代の方は勤務しているため活動参加者は70歳以上

の方が多い。娯楽がなかった時代と異なり、個々人で趣味や外出をす

る時代なので老人会の活動に参加する人が少ないのではないか。

○花暮会館は祭り関係・お囃子の練習、各会の集まり、ワークショップ

などで利用されている。茶話会など住民が交流する目的のためには使

われていない。花暮地区は、他地区とは異なり集まって何かをすると

いうことはあまりないように感じる。

嶋清菓子店 水休み

○利用客は近隣、年配の方が多い。お祝い事の商品(赤飯や餅)を電話

注文で受け配達対応可。

○後継ぎがいても経営不振、将来不安のため閉店してしまう店が多いと

思う。

○70~80歳の方が多く、その方がいつまでしっかりできるか心配。共

働きで子どもを祖父母にみてもらうために転入してくる方がほとん

どで、親戚関係がいない全くのよその方が転入してくるのは少ないと

思う。人口、若い人が増えるように子どもの救急医療を整備したり、

病院行きのバスの本数を増やしたり、交通網を発展させたりと行政・

環境面を整えていくことが必要。

地域包括ケア推進のための地域診断書 37

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中華料理 牡丹 木休み 11時半-21時半※お客さんの状況により

閉店時間は変更

○店舗改装し、2/5~リニューアルオープン

○平日は地元の方で30~40代の働いている方が昼食をとるため、土日

は観光客の利用が多い。出前も対応。店の人気商品は焼売。

○三崎のまちはスーパーがなく買物が不便。特にお年寄りには不便だと

思う。若い世代、人口が増えればいい。商店街も活性化に向けてそれ

ぞれ取り組んでいる。商店街の月例会ではイベント情報等の共有を

し、他は世間話をしている。世間話の中から問題発見や問題の解決に

つながっている。

まるいち魚店 水・不定期で火休み 10時頃市場の魚が並ぶ

○魚店は地元客、食堂は観光客、地元客の利用が多い。地元の方は何世

代にもわたり利用されている方が多い。

○昔ながらのお客さんが年をとり、来店ができない方は注文を受けて配

達をおこなっている。三崎町から三浦海岸まで配達へ行くことがあ

る。お刺身の盛り合わせも対応可。

○下町にお店が少なすぎることで人もどんどん少なくなり悪循環とな

っている。スーパーなどのお店があればいいと思う。

華丸 日休み 9時-17時 18年程営業

来店客にヒアリング

○利用客は地元の方がほとんど。散歩の休憩がてらコーヒーを飲みに来

店。地元の人たちの交流場となっている。利用客からは和む、気分が

落ち着くとの声が聞かれた。

○三崎は医療機関やリハビリ施設が少ない。憩いの場所もないので交流

できるような場、気軽に立ち寄ることができる場があるといい。老人

保健福祉センターもあるがバスの停留所や本数が限られており、通う

のが大変で利用が不便。

かねしろ商店

○船専用の仕込み店。以前は仕込み店が10件ほどあった。現在は2件。

○船員の方が60~70代と高齢化、病気で亡くなる等少なくなってい

る。交通網が発達、養殖技術が発展し漁業が衰退していることが後継

ぎの問題にも影響している。

○花暮地区は商店が多いからか住民同士の集まりが他の地区に比べる

とあまりない。近所付き合いは良好、本宮神社付近は住民同士が集ま

り交流している。

○三崎のまちは買い物が不便。スーパーまで買いに行くしかない。「い

なげや」は通路が広くて買い物しやすい。

○仲崎区の昭和会という男性のみの集まりに13年前から参加。参加者

は20~60代。祭り関係の話をしたり、旅行や火の用心パトロール、

忘年会・新年会、ゴルフコンペ、お盆の時期にはカラオケ・BBQ大

会も実施(飲食の屋台も出る)。

地域包括ケア推進のための地域診断書 38

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みさきまぐろ倶楽部

○まちおこしの一環で結成、現在9店舗加入。月1回集まり報告会実施。

○とろまん販売をおこなっている。うらり売店、京急百貨店、三崎口・

三浦海岸駅、マホロバマインズ等で販売。東日本大震災以降売り上げ

が落ち込んでいる。新商品の桜饅頭を開発中。

ホワイトクリーニング 日休み 8時-19時 60年位営業

○利用客は地元客、集配実施している。店主が80歳過ぎと高齢のため

営業活動はおこなっておらず、現在の仕事量を維持している。

○三崎は近所付き合い良好だが、5年後10年後どうなるか心配。地域

で子どもやお年寄りをみることができていたが、小さい頃から何十年

もの付き合いがあるからおこなえること。若い世代の方たちが引き継

いでいけるか、打ち解けることができるかわからない。

○店舗裏の本宮神社で子どもたちが遊んでいるが、近隣が目配りしてい

て危ない時は注意しているので、今まで遊んでいて大きな怪我をした

ことはない。

三浦ガラス工芸館きらり 水・木休み※祝日翌日休み 10時-17時

○利用客の方はほとんどガラス工芸体験者。まぐろ切符利用、学生の卒

業旅行や家族連れ、社員旅行、女性グループの旅行者と様々な方が利

用している。また、うらりの観光船欠航の時に工房体験に振替対応す

ることがある。ホームページをH23より開設、H26からはまぐろ切

符も利用できるようになり、利用客が増えている。土日は70~80名、

GWは100~200名程の来客数。

○商店街がシャッター通りで人を集めるためにミサキプレッソ、昭和館

と同時に開店した。H22.3.27~

○商店街の月例会に出席、行事についての報告などイベント情報を共有

している。

○下町に入っていくのは受け入れてもらえないのではないかと気にな

ったが、商店街の方は協力的に対応してくれた。近所付き合いや住民

同士が顔なじみということが、地域の強みだと思う。今後、若い人た

ちが働けるような場所があるといい。

イワノ薬局公園店 日祝日休み 9時-19時半 50~60年程営業

○利用客は地元の方が多い。注文を受けて配達実施。年配で来店できな

い方への個人宅配達多い。配達商品は店舗にあるもの全て対応。オム

ツや処方箋も対応。

○居宅療養管理指導、在宅患者訪問薬剤管理指導サービス対応。

○利用客から病気の相談や薬の飲みあわせについての相談がある。

○買い物が不便との声があるが、スーパーの無料送迎バスがあることで

自営店の売り上げに影響し、閉店してしまっている店舗もある。個人

商店も配達をおこなっていることをもっとアナウンスして活用でき

るようにするといいと思う。来店したお客様の相談にもきちんと対応

できることがスーパーにはできない個人商店の強み。

地域包括ケア推進のための地域診断書 39

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村松商店 法人化してから55年、60年程営業

○まぐろ粕漬けの加工場、地方の市場に発送や店舗にて小売りもおこな

う。小売りでは近所の方が多く、お中元やお歳暮で利用される。近所の

方、何世代にも渡り利用してくれている。

○従業員は地元の女性でパート勤務がほとんど。水産業自体が衰退して

仕事がない、働き口がないことが問題。

みさき海業センター 第3月曜日休み 11時-15時 H4~営業

○三浦市漁協女性部連絡協議会の会員9名で運営。(平日は4名、土日

は5名勤務体制)H6~食堂を始めた。利用客は観光客の方が7割、

その他は地元の方やサラリーマン。東日本大震災後客足が遠のいてい

たが、徐々に戻りつつある。

○近所の方に日中独居の祖父の見守りを頼んだところ、引き受けてくれ

た。地域住民の付き合いは良好。長年の居住者がほとんどなのでどん

な方が住んでいるかは皆互いに把握している。イベントや祭りで新し

い商店や転入者の方とは交流している。若い人が増えていけばいい。

○三浦市漁協女性部連絡協議会では魚食の普及啓発のため、小学校で魚

の料理教室やイベント(三浦市民マラソン、港祭り、市民まつり等)

において練り物販売をおこなっている。学生の職業体験受け入れも実

施。

海の幸 木休み 11時-18時半

○たち吉の支店。店舗2階部分が食堂兼ギャラリースペースとなってい

る。店主が絵画教室先生と知り合いとのことで絵画教室の方の作品を

壁に展示。

○利用客はツアーバスの観光客が多い。地元の方の利用は少ないがたま

に船員さんの来店がある。また、スポーツクラブや学校生徒の保護者

が父母会等の集まりで利用することもある。

○たち吉が地魚協会組合に加入、地元のイベントにも時々参加してい

る。

○利用客から駐車場がなくて困る、年配の方からはうらりに停めて歩い

て来るには距離があるとの声が聞かれる。沿岸に路上駐車している方

も多い。また、バスの本数が少ない、遅い時間までバスが通っていな

いのでゆっくり食事や観光ができないとの声もある。最終のバスは2

1時半、東岡のバス停で22時。

山星船具店 土日休み 7時-19時 80年程営業 現在の社長が3

代目

○まぐろ船専門の仕込み店で船具だけでなく生活用品全般、三浦市の電

球・乾電池の取り扱いもおこなっている。

○まぐろ船の数は全盛期の約半分、燃料費がかかり利益がない・漁獲高

が減っていることが影響。船員の高齢化も進んでいる。

○地域の近所付き合いは良好。地域の集まりや会には店としてではな

く、従業員個人でそれぞれ参加している。三崎小学校評議員や児童委

員、青少年指導員など。

○下町まで電車が通ること、遊泳できるところがあればいいと思う。

地域包括ケア推進のための地域診断書 40

社会福祉法人三浦市社会福祉協議会 地域包括支援センターおまかせ |2016.3

理容ナガセ 火休み 8時半-18時

○老健なぎさ(月2回)、はまゆうグループホーム、在宅の方の訪問理

容を実施。老健なぎさは理容協会の組合員でローテーションして担

当。在宅の方は常連客だった方が高齢になり来店できなくなり訪問理

容をおこなうようになった。

○店舗が休みの時には老人会の活動と一緒に海南神社清掃やこどもの

見守りパトロールをおこなっている。

○一人暮らしの高齢者が生活していけるようにちょっとした手伝いや

見守りの近所ボランティアがあるといいのではないか。また、緊急時

や何かあった時の対応・支援は専門機関でないとできないことなので

緊急時の体制があるといい。

ハード面(ユニバーサルデザインによるまちづくりは進んでいるか?)

① 歩道ブロック部分が壊れていて躓きの危険

性がある。

② ゆるやかな傾斜となっている。

③ ベンチがあり休憩スペースとなっている。

④ 駐車場出入口部分に段差があり躓きや転倒

の危険性がある。

⑤ 車は通ることができない。傾斜がある。

地域包括ケア推進のための地域診断書 41

社会福祉法人三浦市社会福祉協議会 地域包括支援センターおまかせ |2016.3

⑥ 道に物が出ている。車は通ることができな

い。

本宮神社

子どもたち数名が遊んだり、近所の方が立ち

話をしたりと交流場となっている。

⑧ 車は通ることができない。傾斜がある。

⑨ 傾斜がある。

⑩ 花暮会館

⑪ 三浦市防災倉庫(消防署内)

地域包括ケア推進のための地域診断書 42

社会福祉法人三浦市社会福祉協議会 地域包括支援センターおまかせ |2016.3

考 察

地域の活性化には「“よそもの・わかもの・ばかもの”が必要」と力説するのは、追手門学院

大学社会学部長の小畑力人教授である。「よそ者が来ないと自分たちが持っている宝物に気づか

ない。特産物や観光スポットなど、現地の人には当たり前で見過ごされるものが、よそ者の視点

や若者の発想を使えば大いなる武器となる。さらに知恵が働くと、やる前から『こんなのダメだ

ろう』と決めつけてしまう。バカ者になって何でもやってみることから始めなければならない」

というわけだ。

この主張、ある一面においては、真理かも知れないが、それはあくまでも傾向を示す定理であ

って、真理と断定するのは性急であろう。

確かなのは、ここ数十年に亘って、行政頼みだった“地域再生”が、捗々しい成果を上げるに

至っていないという現実である。「国」が、「お役所」が、「何とかしてくれる」という幻想を

払拭し、行政依存の“まちづくり”から脱却しなくてはならない時期は、もうすぐそこにまで迫

っているのかも知れない。誰かがなんとかしてくれるのを待つのではなく、我がまちの進路を自

らが決し、自らの責任において、地域課題に取り組むような社会へとシフトしないと、これから

先も同じことが繰り返されるに違いない。

はたして、今般調査したエリアの“自律度”は、概して非常に高いものとして捉えられる。そ

ういった意味において、当初の我々の仮説と現実に大きな齟齬はなかったといっていい。盛大に

おこなわれる“夏祭り”を地域住民がとても大切に共有していることも特筆せねばならない。こ

のエリアには、祭りに魅せられて、転入してきた住民がいるほどだ。いわゆる“よそもの”が、

このエリアの「宝」を再発見した格好である。一方で、“わかもの”がいないことを憂うる声は

後を絶たなかった。実はこの点こそが、当該エリアの10年先を展望できない最大の要因となって

いる。基礎的サービスの維持が困難になる恐れもある地方都市圏において、そこに居住する住民

全世帯数 112 そのうち商業が半分程。

高齢者単身世帯は 6~7 世帯程。元気な方や家族が近くに居住し、しっかり支援

をされているので心配な方はいない。また、何かあればすぐに連絡をくれ、住民同士

状況の把握をおこなうことができている。

スーパーの無料バス送迎により買い物が便利になった。買い物へ行くことが難しい

人には宅配弁当の利用や配達を勧めたりしている。

三崎地区はお祭りで地区や世代を超えて関係しつながることができる。お祭りの

時期には市外、国外からも地元の人達が帰省し参加している。

子どもたちが少ないので子育て世代とは赤ちゃん訪問で顔を合わせる程度で関

係する機会が少ない。以前は子ども会もあったが子どもが減ったため、なくなってしま

った。子どもが住みやすいまちにするためには小児科で入院できる病院が必要だと

思う。三浦にはないため横須賀や横浜まで行く必要があり不便。

個人情報の制限があり民生委員が情報を把握することや活動することへの影響

がある。昔からの住民同士のつながりや関係性の中で情報を補ったり、地区を越え

て民生委員同士で情報共有をしている。

花暮区民生委員

松岡 育子さん

直撃!キーマンに聞いた

た!

地域包括ケア推進のための地域診断書 43

社会福祉法人三浦市社会福祉協議会 地域包括支援センターおまかせ |2016.3

が真に豊かさを実感できる生活圏域を形成するためには何を成すべきか。その際の行政と住民の

役割分担はどうあるべきか―が今まさに問われているのである。

それは、社会の関心を強く集めた「認知症徘徊事故訴訟」における、JR東海側の逆転敗訴と

いう最高裁判決にも色濃く反映されているように感じる。

今回の最高裁判決は、認知症高齢者の家族の負担、ないし、これまでの労苦に配慮した画期的

な判決であると評価される一方で、本人に責任能力がなく、監督義務者もいないということにな

れば、誰も賠償責任を負わず、また、被害者は「泣き寝入り」するしかない―というある種の矛

盾を内包することになる。たまたまJR東海が被害者で、営業(遅延)損害にとどまり、加害者

とされる男性が死亡したことから、世間の同情は介護者に集まった。しかし、同じく男性が加害

者で、一般人を巻き込んだ死亡事故だったらどうだろう。最高裁の判決を世論は手放しで歓迎し

ただろうか。「認知症の高齢者を閉じ込めるのではなく、地域社会の中で暮らし続けられるよう

に」という強いメッセージとともに、今回の最高裁判決は、我々国民一人ひとりに大きな「宿題」

を残したようにも感じる。「認知症高齢者が抱えるリスクは、社会全体で負うべきだ」といえば

確かに耳障りはいいが、とするなら、それ相応の救済制度がなければ、単なる精神論に過ぎない。

新たなファンドを創設し、保険制度を整備するなどの措置を早急に講じなければならないだろう。

同様に「地域包括ケア」システムの重要性を今回の最高裁判決が、改めて浮き彫りにした事実も

忘れてはならない。とはいえ地域は疲弊している。「何もかも地域社会の中で」といわれても、

それを受け止める体力やキャパシティが地域社会にどれだけあるというのだろう。その「答え」

を握っているのは、まさに地域住民に他ならない。そして、今回の最高裁判決が我々に課した「宿

題」の「答え」もその中にある。

以下は、実際に地域踏査に携わった者による考察である。

最後になるが、地域包括ケアシステムの構築に寄与すべく、三浦市社会福祉協議会が平成28

年度中に取り組もうと考えている事業を簡単に紹介したい。次㌻の 内は、平成28年度社会

連綿と引き継がれた人間関係の中で、工夫の余地はあるものの、インフォーマルな“支え合

い”活動は充実している。但し、まち全体が高齢化する中で、インフォーマルな活動にのみ頼

っていては、このエリアを「住みやすいまち」として持続・再生させるのは難しいだろう。「人

口減少」「経済の不振」「少子高齢化」「空き家問題」「災害対策(木造建築・標高の低さ)」と

いった諸課題はまさに、当該自治体が抱える問題点を解決するための政策(施策)課題でもあ

るからだ。この諸課題に道筋を付けなければ、“魅力あるまち”には到底ならない。「三崎下町

を誰もが住みやすい“まち”にする」ことを、夢物語で終わらせないためにも、まずは、あら

ゆるステークホルダーが協働する体制をつくる必要がある。議論のための「協議体」ではなく、

今そこにある生活問題を一つずつ解決するための実践力を伴った「協議体」を組織し、それが

機能し、また、有機的にその役割を果たすことによって、理想の地域社会づくりは実現に近づ

く。

そのためにも「協議体」を形骸化させることなく、機能させるための弛まぬ努力が今、求め

られている。

地域包括ケア推進のための地域診断書 44

社会福祉法人三浦市社会福祉協議会 地域包括支援センターおまかせ |2016.3

福祉法人三浦市社会福祉協議会事業計画の抜粋である。

また、平成28年度においては、これまで地域包括支援センターに所属していた「生活支援コー

ディネーター」を地域福祉課(三浦市ボランティアセンター)に配属し、ボランティアセンター、

インストラクター

インストラクター

インストラクター

ボランティアセンター(生活支援コーディネーター)

介護職従事者等

人材育成・研修センター

協議体地域包括支援

センター

要支援者

理学療法士

看護師

管理栄養士

歯科医師

要支援状態からの「卒業」支援

住民主体ミニデイ

住民主体ミニデイ

住民主体ミニデイ

専門職による短期集中予防デイサービス

卒業後の行先を選択できるように「居場所」づくりを推進

生活困窮者支援対策と

してのインストラクター

の養成も実現!

通所だけでなく、状況に

応じて、スタッフが訪問

も実施!

連携

連携

ボランティアセンターに属する

生活支援コーディネーターが

中心となって、支援の担い手

と当該高齢者の居場所づくり

を推進!

人材育成・研修センターは、

ボランティアセンターと協働し、

介護予防インストラクターを養

成する。

地域包括支援センター

は、社協が運営主体で

あることのメリットを最大

限活かす!

(前 略)

そこで、三浦市社会福祉協議会では、昨年度に引き続き「介護予防インストラクター」の

養成を重点事業の一つに据えた。「リハビリ体操の普及」がその主たる目的である。一方で、

住民(参加型)主体の小地域密着型ミニデイサービスを市内各所で展開したいとも考えてい

る。“地域住民による地域住民のための”互助システムを当該地域社会に根付かせるためだ。

ここでもマンパワーの一角を担う人材として「介護予防インストラクター」を想定している。

これを生業とし生計を立てるのは、困難かも知れない。しかし、リタイヤした“若き高齢者”

がインストラクターとなるのなら話は別だ。今、年金だけでは暮らしていけない「老後の危

機」が浮き彫りになっている。こうした層を戦略的にインストラクターとして養成し、年金

プラスアルファの報酬で生計を安定させようというのだ。生活困窮やいわゆる「下流老人」

の問題を“生きがい”“やりがい”の創出とともに、地域包括ケアシステムの構築に絡めて解

決しようという新たな試みである。

(中 略)

新総合事業への移行を図る中で、もう一つ重要な事業に着手しようと考えている。通所型

サービスC(短期集中予防サービス)の理念に基づいた「専門職(理学療法士・看護師・栄

養士・歯科医師)」による要支援・介護状態からの脱却を目途としたデイサービスの実践がそ

れだ。通所による短期集中予防サービスの展開は、介護予防の機能強化に欠かせないサービ

スとなるだろう。めざすは、当該高齢者の要支援・介護状態からの「卒業」である。当然の

ことながら、卒業後の行先(社会参加の「場」)として、前述の住民主体の小地域密着型ミニ

デイサービスが想定される。増大の一途を辿る社会保障費の抑制という観点からも、今後強

く求められるサイクルである(上のフローはそのイメージ図)。(平成 28年度社会福祉法人三

浦市社会福祉協議会事業計画書より抜粋)

地域包括ケア推進のための地域診断書 45

社会福祉法人三浦市社会福祉協議会 地域包括支援センターおまかせ |2016.3

介護職従事者等人材育成・研修センターが、地域包括ケアシステムの構築に不可欠な①人づくり

②要支援者らの「居場所」づくりを推進する地域包括支援センターを全面的にバックアップでき

る体制をつくりたいと考える。

そのうえで、「事業計画書」にも通所・訪問による短期集中予防型のサービスを実施し、当該

要支援者を住民主体のミニデイサービスなどの地域社会内にある「居場所」に戻すサイクルを確

立したいと考える。

当然のことながら、今般地域踏査をおこなったエリアは、これを実践する最有力候補地となっ

ている。まずは、モデル地域を設定して、その有用性を実証する。

おわりに

モデル地区の地域踏査を無事終えることができました。まずは、お忙しい中、地域の実情につ

いて丁寧に、そして、率直なご意見をお聞かせくださいました関係各位に、心より感謝を申し上

げます。

今回の地域踏査は、住み慣れた地域社会の中で、誰もが安心してこれまでの生活を“継続”す

るため、ちょっとした困りごとなら住民同士の助け合いで解決できるように生活支援を開発・定

着させることを目的におこないました。大切にした視点は「誰もがこのまちに住み続けられるよ

うに」。この視点で、地域の良い点・改善すべき点をハード、ソフトの両面から“歩いて調べる

こと”にしたわけです。

そして、地域住民の皆さま、商店を営む皆さまから伺ったことを踏まえ、このエリアにおいて

誰もが安心して生活を継続していくためには、次のことが必要であると考えました。

①地域住民同士の助け合いが継続できるよう自分たちの地域の現在、将来についての情報を共有

する

具体的には、今後住民懇談会などを開催し、今回の地域踏査結果を提示するとともに、地域の

現状、将来のデータ予測などを分かりやすく当該住民に説明し、助け合いによる見守り・ネット

ワークの強み、重要性を再認識していただくとともに、例えば友愛チームの結成など住民同士の

関係性を維持するために、今何が求められているのかを住民の皆さまからご提案いただきたいと

思います。

②第2層(日常圏域)の協議体を設置する

地域住民の交流や関係性づくりの機会となっている「お祭り」の中心メンバーである青年部の

皆さんや商店会の月例会参加者、まちの活性化を図ることを目的とした各組合の皆さんに協議体

の構成員となっていただき、誰もが安心して生活を継続するために“地域住民が自分たちのまち

づくりをどのようにおこなっていくか”を軸として、地域の困りごとを発見、課題の共有をおこ

ない、また、地域の中で解決が図れるように協議をおこなう「協議体」が必要だと考えます。

地域包括ケア推進のための地域診断書 46

社会福祉法人三浦市社会福祉協議会 地域包括支援センターおまかせ |2016.3

③地域における多世代の交流の場づくり、次世代の育成を図る

地域住民が、誰でも利用できる拠点をつくり(※1)、これを住民同士の助け合いによる見守り・

ネットワークの拠点とします。また、この場を多世代交流の場にしていきたいと考えます。子育

て親子が一息つけるよう高齢者による託児(※2)機能を付帯させるなど、高齢者自身にも生き甲

斐をもって活躍していただきながら、互助意識の醸成に役立てていくのです。

そして、地域の未来を担う子どもたちにも、地域の見守りパトロール(※3)やゴミ出し支援、

点検(※4)など、彼らにもできる役割を与え、地域住民との交流や接点、関係づくりを幼少期か

ら図るとともに、「我がまち」に対する意識を強く動機付けます。

聞き取り調査をおこなう中で、三崎のまちは5年、10年先どうなっていくのか…今は、目の前

の生活を考えるだけで精一杯だ―との声を耳にしました。ますます高齢化が進み、人口減少に拍

車がかかる中で、将来への不安を抱くのは当然のことです。けれど、住民同士の助け合いや見守

り活動がごく自然におこなわれているということは、このまちの大きな強みであり、この先もこ

の強みを活かして、住み慣れた地域社会での生活を継続できるように、地域住民の地域住民によ

るまちづくりを一緒におこなっていければと思っています。

(生活支援コーディネーター 齋藤清香)

※1=(仮称)ぷらっとホーム(専門職とも連携しながら、高齢者のみならず全ての地域住民が“プラッと立ち寄れる場”。

健康管理や随時相談に応じられるようにする「場」)

※2=三浦市には、ママカフェやホットハートのような先例もある。

※3=防災用品の点検や祭りの準備をツールに(仮称)地域見守りパトロール隊を組織化。

※4=(仮称)ゴミだし点検・お助け隊を組織化。

地域包括ケア推進のための地域診断書

社会福祉法人三浦市社会福祉協議会

〒238-0102 三浦市南下浦町菊名 1258-3 三浦市総合福祉センター

地域包括支援センターおまかせ

発行人:川﨑喜正

編集責任者:出口道夫

編集人:齋藤清香 杉崎悠子

TEL 046-888-7347 FAX 046-889-1561