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● 昭和 43 年 3 月 1 日創刊 ● 毎月 15 日発行 ●【発行所】株式会社伸樹社 ●【発行人】立石伸雄 ● 〒 160-0006 東京都新宿区舟町 4-4-101 ● TEL.03-3353-9508  ● FAX.03-3357-4846 ● 年間購読料 10,800 円(税込)・一部 980 円(税込) http://www.videojournal.co.jp [email protected] 6 2016 Vol.1313 June ◆ INDEX ◆ ◎ 1-7 面:宏哉の Next-Gadget; NAB Show2016 後編 ◎ 8 面:夏目信之の Different View 〜 AG-DVX200 レビュー〜 ◎ 9 面:FOR-A Post NAB 2016 開催 ◎ 9 面:池上通信機、テレビ朝日へ自動番組送出・コンテンツ制作システムを納入 ◎ 10 面:岡英史の ViewFinder Vol.166 〜ミドルレンジ的クリップオンマイク考察〜 ◎11面: 最新の仮想現実技術を駆使したエンターテインメント「VR ZONE Project i Can 」にクレッセントが協力! (→ 2 面へ) 非常に混雑した通路。広い会場を大勢の来場者が行き交う。 今年も大盛況のうちに幕を閉じた NAB Show。主催者発表によると、 来場者数は 10 万 3 千人を超え、また 出展社数も 1870 社以上に及ぶなど、 改めてその規模に驚かされる。 既 に、NAB Show か ら も 2 ヶ 月 近く経ち、また東京・大阪で After NAB が開催されるなどして、読者の 皆様のもとには新しい情報が入って きていると思うが、この NAB Show 2016 レポートの後編では、前編で紹 介しきれなかった国内企業を中心に新 製品を案内していきたい。 ■ JVC 日本国内の InterBEE では、ブース サイズが縮小傾向にある近年の JVC だが、NAB Show では日本メーカー の中でも広いブースを持って展示を 行っており、放送・映像機材おいては 国内とワールドワイドでのマーケット の差を感じさせる物があった。 ・GY-HM660 / HM620 さて、そのワールドワイドマーケッ トとの差は製品のラインナップにあ ら わ れ て い る。NAB 直 前 の 4 月 上 旬 発 表 と な っ た GY-HM660 と GY- HM620 は HD 対応のハンドヘルド 機である。 両 機 は、 従 来 機 の GY-HM650 / HM600 のマイナーチェンジ版に当 たるカメラで、この時期に満を持し て「……HD カメラか」と、ある意味 おどろきを持ってその発表を受けた が、世界市場で見るとアメリカやヨー ロッパ、さらには中国で従来機の GY- HM600 シリーズは好調であり、それ らの市場での改善要望を受けてのアッ プグレードとなる。 この HM600 シリーズは、進化す るカメラとして国内外でも評価され、 実際 2012 年秋のローンチ当時と現 在では、機能をはじめ画質から収録可 能なフォーマットまでがファームウェ アアップデートにより大幅に変化して いる。そうしたソフトウェアの成熟の 上に、新しいハードウェアを搭載して NAB Show 2016 アフォーダブル4K の充実と映像機器の IP 化が加速 JVC KENWOODブース。カメラ展示の他、 業務用液晶モニターの展示コーナーもある。 JVC GY-HM660。 外観は既存機の HM650 と殆ど変わらないが、心臓部でもあ る CMOS や液晶モニターが進化。 JVC GY-HM200SP。小型機ながらユー ザーインターフェイスの使いやすさは、上 位機譲り。スポーツ向けのスコアテロップ を生成できる。 JVC GY-HM200SP。カメラの液晶モニ ターに生成されたスコアテロップが表示さ れている。

VIDEO JOURnAL(ビデオジャーナル) - 2016年6月号

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Page 1: VIDEO JOURnAL(ビデオジャーナル) - 2016年6月号

● 昭和 43 年 3 月 1 日創刊 ● 毎月 15 日発行●【発行所】株式会社伸樹社 ●【発行人】立石伸雄● 〒 160-0006 東京都新宿区舟町 4-4-101● TEL.03-3353-9508  ● FAX.03-3357-4846● 年間購読料 10,800 円(税込)・一部 980 円(税込)● http://www.videojournal.co.jp ● [email protected] 2 0 1 6

Vol.1313June

◆ INDEX ◆

◎ 1-7 面:宏哉の Next-Gadget; NAB Show2016 後編◎ 8 面:夏目信之の Different View 〜 AG-DVX200 レビュー〜◎ 9 面:FOR-A Post NAB 2016 開催◎ 9 面:池上通信機、テレビ朝日へ自動番組送出・コンテンツ制作システムを納入◎ 10 面:岡英史の ViewFinder Vol.166 〜ミドルレンジ的クリップオンマイク考察〜◎11面:最新の仮想現実技術を駆使したエンターテインメント「VR ZONE Project i Can 」にクレッセントが協力!

(→ 2 面へ) 非常に混雑した通路。広い会場を大勢の来場者が行き交う。

 今年も大盛況のうちに幕を閉じた NAB Show。主催者発表によると、来場者数は 10 万 3 千人を超え、また出展社数も 1870 社以上に及ぶなど、改めてその規模に驚かされる。  既 に、NAB Show か ら も 2 ヶ 月近く経ち、また東京・大阪で After NAB が開催されるなどして、読者の皆様のもとには新しい情報が入ってきていると思うが、この NAB Show 2016 レポートの後編では、前編で紹介しきれなかった国内企業を中心に新製品を案内していきたい。

■ JVC 日本国内の InterBEE では、ブースサイズが縮小傾向にある近年の JVCだが、NAB Show では日本メーカーの中でも広いブースを持って展示を行っており、放送・映像機材おいては国内とワールドワイドでのマーケットの差を感じさせる物があった。

・GY-HM660 / HM620

 さて、そのワールドワイドマーケットとの差は製品のラインナップにあらわれている。NAB 直前の 4 月上旬発表となった GY-HM660 と GY-HM620 は HD 対応のハンドヘルド機である。 両機は、従来機の GY-HM650 /HM600 のマイナーチェンジ版に当たるカメラで、この時期に満を持して「……HD カメラか」と、ある意味おどろきを持ってその発表を受けたが、世界市場で見るとアメリカやヨーロッパ、さらには中国で従来機の GY-HM600 シリーズは好調であり、それらの市場での改善要望を受けてのアップグレードとなる。 この HM600 シリーズは、進化するカメラとして国内外でも評価され、実際 2012 年秋のローンチ当時と現在では、機能をはじめ画質から収録可能なフォーマットまでがファームウェアアップデートにより大幅に変化している。そうしたソフトウェアの成熟の上に、新しいハードウェアを搭載して

NAB Show 2016 アフォーダブル4K の充実と映像機器の IP 化が加速

JVC KENWOOD ブース。カメラ展示の他、業務用液晶モニターの展示コーナーもある。

JVC GY-HM660。 外 観 は 既 存 機 のHM650 と殆ど変わらないが、心臓部でもある CMOS や液晶モニターが進化。

JVC GY-HM200SP。小型機ながらユーザーインターフェイスの使いやすさは、上位機譲り。スポーツ向けのスコアテロップを生成できる。

JVC GY-HM200SP。カメラの液晶モニターに生成されたスコアテロップが表示されている。

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VIDEO JOURNAL June 2016 | VOL.1313 |(2)REPORT

のリニューアルである。 HM660 / HM620 は従来機どおり35mm 判 換 算 で 29mm ~ 667mm の光学 23 倍ズームレンズを搭載し、記録フォーマットも MXF・MP4・MOV・AVCHD とマルチフォーマットに対応している(MXF は HM660のみ)。マイナーチェンジとしては、1/3 インチイメージャー機ながらクラス最高の 2000Lux F12 という高感度を実現し低ノイズ化。 液晶画面のバックライトも改良され、従来機よりも更に明るくなり屋外でも見やすい画面になっているという。また、音声回路にも手が加えられ、アンプとアナログ回路の改善で音質も向上しているとのこと。 従来機 HM650 シリーズの特徴といえば、IP 機能であるが、ネットワーク機能対応となる上位機種の HM660 でも IP 機能がさらに拡充。海外マーケットでは、この IP 対応の機能が無いと売れないという。従来からの Zixiや MPEG2-TS、RTMP プ ロ ト コ ル対応はそのままに、新たに SMPTE 2022 -1/-2 プロトコルを追加。高品質なストリーミングを低コストで実現する。また、Zixi High Reliable Mode に対応し、Zixi ストリーミング時に強力なデータ損失補正を行う事ができるようになる。 さらに、IP 伝送によるオーディオリターンにも将来的なファームウェアアップデートで対応予定であり、放送局のサブやスタジオの音声をネットワーク経由で中継先にて受けることができるなど、ネットワーク機能がさらに強化されている。

・GY-HM200SP 今年の JVC は 4K カメラの新機種発表は無かったが、既存機のスペックアップ、オプション仕様がブースを賑わわせている。その 1 つが、Sport over IP を打ち出す GY-HM200SP だ。

 既存機である HM200 は、小型の単 板 4K 30p カ メ ラ で、150Mbpsの 4K 記録の他、50Mbps 4:2:2 のHD 記録にも対応する。  今 回 発 表 さ れ た HM200SP は、HM200 の仕様を継承しながら、IPを使ったスポーツストリーミングに特化した機種である。HM200SP の SP は Sports Production Camcorder のことである。 最大の特徴は、カメラ本体でゲームのスコアテロップを生成し、スーパーインポーズできる点だ。 専用アプリを入れたタブレットと繋なぎ、タブレットでチーム名と得点を入力すると、カメラ本体でテロップを生成して、画面にインポーズして、得点テロップ付きでそのまま直接ストリーム配信できる。 スポーツが盛んなアメリカでは、高校や大学で数多くのスポーツ競技が日常的に開かれており、それらを簡単に分かりやすく配信したい、という要望が多いそうだ。 ストリーム配信自体は誰でも簡単にできるようになったが、スポーツ中継は得点表示がないと配信を見ている視聴者には試合の状況が分かりづらいという状態が起こりうる。それをスマートに解決するのが、カメラ本体で得点テロップを生成してそのままストリーム配信するという方法だった。 タブレットを三脚のパン棒などに固定しておけば、カメラマンがワンマンオペレートできる。得点表示の形式も、現在は3種類ほどの競技に合わせたスコア画面が用意されており、競技のルールに沿って得点の入り方やセットの遷移などをコントロールできる。

 また、さらにデモでは競技場など で 使 わ れ る DAKTRONICS 社 のスコア表示コントロールパネルと Serial/IP コ ン バ ー タ の ScoreBOT

(Sportzcast 社)を組み合わせて、専用の得点コンソールから HM200SP

に得点情報を送り、カメラ内部でテロップを生成・重畳。そのままストリームするというソリューションも紹介されていた。 現在の HM200SP の仕様は、ストリーム映像・録画映像(SDXC カード)・HD-SDI アウトの全てにテロップが載る状態だが、テロップ無しの映像も出力・保存したいという要望も多いようなので、ファームウェアアップデートにより、テロップの有無を出力系統別に選択できるようになるかも知れない。他にも、テロップ画面をカスタマイズできるシステムも展示されており、レポーターの名前などが入れられるなど、スポーツ配信に限らず様々な展開が考えられるソリューションであると、可能性を感じた。

■ FUJINON 2015 年に世界で初めて B4 マウントの放送用 4K カメラに対応する放送用ズームレンズを発表した FUJINONだが、今年は新たに放送用 4K レンズを 3 機種ラインナップし、4K 放送業務のフィールドにおいて、その存在感を固持している。

  先 月 号 で レ ポ ー ト し た よ う に、SONY から遂に 2/3 インチイメージャー(B4 マウント)の 4K ENGカムコーダが登場したが、他にも各社から B4 マウント対応のシステムカメラが登場してきており、B4 マウントタイプの 4K レンズは今後ますます需要が増えてくるはずだ。 FUJINON は、4K レンズのラインナップに「4K Plus Premier」と「4K Premier」を用意し、前者が 4K オーバーの光学性能を備えるフラグシップシリーズとなる。

・UA13×4.5 UA13×4.5 は、4K Plus Premier

DAKTRONICS 社のスコア表示コントロールパネル(手前)と Sportzcast 社 Serial/IP コンバータ ScoreBOT(奥)。HM200SP へのスコア入力が可能。

FUJINON ブース。新製品の 4K レンズを中心とした展示が行われていた。

対応のショートズームレンズである。4.5mm からの 13 倍光学ズームと、既存の HD レンズと殆ど変わらない焦点距離をカバーする。HD レンズと大きく変わらない重量やサイズを目指して設計されており、重量 2.28kg と同社の HD ショートズームレンズとほぼ同じ重量となっている。大口径非球面レンズ採用し、広角側での歪曲や周辺解像力の低下を抑制。また同社の多層コーティング処理「HT-EBC」によりフレアが少なく色再現性の高いレンズに仕上がっている。また、絞り羽根が従来の 6 枚羽根から 9 枚羽根となり、美しい光芒と自然なボケを得られるなど、4K カメラで用いるのはもちろんのこと、全体としての光学性能が向上しているため、HD カメラ用レンズとしても高品質レンズとして活用できる。

・UA80×9BESM 1.2 EXT UA80×9BESM 1.2 EXT は、既にリリースされている UA80×9BE に1.2 倍光学エクステンダーを追加したモ デ ル。×1.0・×1.2・×2.0 の 3 ポジションを選べる。この 1.2 倍という倍率が絶妙であり、UA80×9BE の場合、エクステンダー無しの状態での望遠側の焦点距離は 720mm であるが、1.2 倍エクステンダーを入れる事により、864mm まで寄ることができる。これは、現在主流となっている HDレ ン ズ の XA99×8.4BE や XA101×8.9BE の間に位置する焦点距離であり、従来の HD レンズとほぼ同じ望遠端を得られる。一方で、F ドロップを抑える事が可能であり、1.2 倍エクステンダーを用いる場合のテレ端のF 値は F4.2 となり XA99×8.4BE のF4.15 と同水準を保つことができる。もちろん、1.2 倍エクステンダーを入れている時のワイド端は 10.8mm とテレサイドシフトしてしまうが、望遠側で違和感の無い画角や明るさを得ることができる設計となっている。

・UA107×8.4 FUJINON は「世界最高倍率に挑戦し続ける」と公言しているが、それを今回インパクトのある形で実現して

FUJINON UA13 × 4.5。B4 マウント対応 4K ショートズームレンズ。大きさや重量も現行 HD モデルと殆ど変わらない。