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● 昭和 43 年 3 月 1 日創刊 ● 毎月 15 日発行 ●【発行所】株式会社伸樹社 ●【発行人】立石伸雄 ● 〒 160-0006 東京都新宿区舟町 4-4-101 ● TEL.03-3353-9508  ● FAX.03-3357-4846 ● 年間購読料 10,800 円(税込)・一部 980 円(税込) http://www.videojournal.co.jp [email protected] 5 2016 Vol.1312 May ◆ INDEX ◆ ◎ 1-2 面:宏哉の Next-Gadget; Vol.002 NAB2016 レポート 〜 SONY 〜 ◎ 5 面:NAB2016 レポート 〜 Panasonic 〜 ◎ 6 面:NAB2016 レポート 〜池上通信機〜 ◎ 7 面:NAB2016 レポート 〜朋栄〜 ◎ 8 面:NAB2016 レポート 〜キヤノン〜  ◎ 9 面:NAB2016 レポート 〜ブラックマジックデザイン〜 ◎ 10 面:業界ニュース ◎ 10 面:岡英史の ViewFinder Vol.166 〜 NAB2016 レポート〜 ◎ 11 面:ブラックマジックデザイン「URSA mini 4.6K」〜タカハシケイ氏 インタビュー〜 SONY は、4K 放送を見据えた幅広 い製品ラインナップで、撮影・スイッ チング・モニタリング・収録、そして アーカイブズにいたるまでの豊富な新 製品を発表した。特に、従来の ENG スタイルを踏襲した 4K 60p カメラ の発表は市場から切望されていた製品 であり、多くの来場者が熱心に担当者 の説明を受けていた。 ・PXW-Z450 PXW-Z450 は、4K 60p 収 録 可 能なショルダーマウントスタイルの XDCAM カムコーダである。B4 マウ ントレンズ対応で、撮像素子は 2/3 インチ Exmor R CMOS センサーを 搭載した単板仕様となる。グローバル シャッターには非対応だが、会場でカ メラ振り回してみた限りでは動体歪み は大きくは出ていなかった。 収録可能な最大解像度は、3840× 2160 pix の QFHD。 感 度 は、 現 行 の PXW-X400 程度(F12)を目指し ているそうだが、S/N とのバランス で 4K 利用時は少し感度が落ちること も考えられる。収録メディアは、SxS で2スロットを備える。収録は、4K 収録時の2スロット同時収録や 4K と HD のサイマル収録も検討中とのこと で、内部処理的には限界近い負担が掛 かっており、発売に至るまでにはまだ まだクリアすべき課題が多いようだ。 NAB Show 2016 開催 アフォーダブル4K の充実と/映像機器の IP 化が加速 世界各地で開催される放送映像機材展示会の中で、最も注目を集める展示会と 言えば、毎年 4 月に米国ネバダ州ラスベガス ラスベガスコンベンションセン ター (LVCC) で開催される NAB Show だろう。ここ数年は国内の Inter BEE にこそ毎年足を運んでいる筆者だが、NAB Show は 2007 年に一度行ったの み。今回、久々に NAB Show へ行く機会を得られ、プレスカンファンレンス を含む全期間を駆使して各社・各ブースを視察した。 最近の Inter BEE や過去の NAB Show の傾向から、今年は アフォーダブル な 4K はもちろんのこと、HDR や BT.2020 といった 4K バリューの向上技 術の展示というのは予想していたが、制作ソリューションを持つ各社がそれ 以上に謳っていたのが、「IP 化」であった。SONY・Panasonic・FOR-A・ Grass Valley など、基幹となる制作システムを提供しているメーカーは各社 共に機器の IP 化を提案し、またコンバーターやサーバーなどの周辺機器を提 供するメーカーでも IP 対応の機器が数多く展示されていた。 (→ 2 面へ) ■■■■■■■■ SONY■■■■■■■■ NAB Show 2016 外観。広大な敷地に 2000 近くのブースと 10 万人前後の来場者がひしめく。 SONY ブース。広く落ち着いたブースに設計されて いる印象。どの展示も多くの来場者の関心を集めた。

VIDEO JOURnAL(ビデオジャーナル) - 2016年5月号

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Page 1: VIDEO JOURnAL(ビデオジャーナル) - 2016年5月号

● 昭和 43 年 3 月 1 日創刊 ● 毎月 15 日発行●【発行所】株式会社伸樹社 ●【発行人】立石伸雄● 〒 160-0006 東京都新宿区舟町 4-4-101● TEL.03-3353-9508  ● FAX.03-3357-4846● 年間購読料 10,800 円(税込)・一部 980 円(税込)● http://www.videojournal.co.jp ● [email protected] 2 0 1 6

Vol.1312May

◆ INDEX◆

◎ 1-2 面:宏哉の Next-Gadget; Vol.002 NAB2016 レポート 〜 SONY 〜◎ 5 面:NAB2016 レポート 〜 Panasonic 〜 ◎ 6 面:NAB2016 レポート 〜池上通信機〜◎ 7 面:NAB2016 レポート 〜朋栄〜 ◎ 8 面:NAB2016 レポート 〜キヤノン〜 ◎ 9 面:NAB2016 レポート 〜ブラックマジックデザイン〜 ◎ 10 面:業界ニュース◎ 10 面:岡英史の ViewFinder Vol.166 〜 NAB2016 レポート〜◎ 11 面:ブラックマジックデザイン「URSA mini 4.6K」〜タカハシケイ氏 インタビュー〜

 SONY は、4K 放送を見据えた幅広い製品ラインナップで、撮影・スイッチング・モニタリング・収録、そしてアーカイブズにいたるまでの豊富な新製品を発表した。特に、従来の ENGスタイルを踏襲した 4K 60p カメラの発表は市場から切望されていた製品

であり、多くの来場者が熱心に担当者の説明を受けていた。

・PXW-Z450 PXW-Z450 は、4K 60p 収 録 可能なショルダーマウントスタイルの XDCAM カムコーダである。B4 マウ

ントレンズ対応で、撮像素子は 2/3インチ Exmor R CMOS センサーを搭載した単板仕様となる。グローバルシャッターには非対応だが、会場でカメラ振り回してみた限りでは動体歪みは大きくは出ていなかった。 収録可能な最大解像度は、3840×2160 pix の QFHD。感度は、現行の PXW-X400 程度(F12)を目指しているそうだが、S/N とのバランスで 4K 利用時は少し感度が落ちることも考えられる。収録メディアは、SxS で2スロットを備える。収録は、4K

収録時の2スロット同時収録や 4K と HD のサイマル収録も検討中とのことで、内部処理的には限界近い負担が掛かっており、発売に至るまでにはまだまだクリアすべき課題が多いようだ。

NAB Show 2016 開催アフォーダブル4K の充実と/映像機器の IP 化が加速世界各地で開催される放送映像機材展示会の中で、最も注目を集める展示会と言えば、毎年 4 月に米国ネバダ州ラスベガス ラスベガスコンベンションセンター (LVCC) で開催される NAB Show だろう。ここ数年は国内の Inter BEE にこそ毎年足を運んでいる筆者だが、NAB Show は 2007 年に一度行ったのみ。今回、久々に NAB Show へ行く機会を得られ、プレスカンファンレンスを含む全期間を駆使して各社・各ブースを視察した。最近の Inter BEE や過去の NAB Show の傾向から、今年は アフォーダブルな 4K はもちろんのこと、HDR や BT.2020 といった 4K バリューの向上技術の展示というのは予想していたが、制作ソリューションを持つ各社がそれ以上に謳っていたのが、「IP 化」であった。SONY・Panasonic・FOR-A・Grass Valley など、基幹となる制作システムを提供しているメーカーは各社共に機器の IP 化を提案し、またコンバーターやサーバーなどの周辺機器を提供するメーカーでも IP 対応の機器が数多く展示されていた。

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■■■■■■■■ SONY ■■■■■■■■

NAB Show 2016 外観。広大な敷地に 2000 近くのブースと 10 万人前後の来場者がひしめく。

SONY ブース。広く落ち着いたブースに設計されている印象。どの展示も多くの来場者の関心を集めた。

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VIDEO JOURNAL May 2016 | VOL.1312 |(2)REPORT

 また注意すべきなのは、4K 出力において現状では 2 本の 3G ー SDI 接続による 4K 30p までの出力にしか対応しないということだ。HDMI も搭載されているが、そちらも同様に 30p出力までとなる。そのため、4K 60p を外部レコーダで収録することはできず、またモニター出しも 4K 30p の映像になるという点に留意しておくべきだろう。S-Log や BT.2020 などの対応も現時点では検討中。重量は、PXW-X400 と同程度(本体のみ 3.2kg)で、消費電力も約 22W(本体のみ)と低消費電力を実現する。 今の PXW-Z450 は稼動しているモデルではあるが、検討中・調整中の部分が多分にあり、本年中の発売を目指して今後仕様が変更されていく可能性はある。今回の NAB Show での来場者の声は貴重な意見となっているはずだ。PXW-Z450 を同社の 4K カメラのラインナップで全体を見た場合、型番から Z シリーズ上位機種であると想定される。つまり PXW-Z100 やZ150 のハンドヘルド機の上位機種という位置づけで、ハイエンドの放送用 4K ENG カメラのカテゴリではないということだ。その点から考えると、PXW-Z450 は本体価格のみならば意外とリーズナブルな価格で発売される可能性もある。問題は、一緒に使うレンズであったりするのだが、この辺りは過去に SONY が「業務用カメラ」レンジで行ってきたラインナップ戦略に何かヒントがあるかも知れない。 従来の ENG スタイルを踏襲したカメラに仕上がった事で、PXW-Z450は映像制作の現場において 4K 60p 制作を加速していく分水嶺的なカメラとなるだろう。

・HDC-4800 HDC-4800 は 4K 60p を最大 8倍スロー再生可能な、スーパースロー撮影対応影のライブシステムカメラである。

 撮像素子は、Super 35mm 単板CMOS イメージセンサー で 3840×2160 pix の QFHD ま で 対 応。 レンズマウントは PL マウントとなり、HD 収録時は専用のマウント変換アダプタを使うことで、B4 マウント系レンズの利用が可能になる。 4K 収録時の 8 倍スロー(480fps)再生というのも凄いが、HD 収録時には 16 倍(960fps)というハイスピードカメラ並みのスローモーション映像を得ることができる。一般的に、スロー再生を行うと通常再生よりもノイズが目立ってくる傾向があるが、HDC-4800 ではスロー時の S/N も良く、暗部のノイズなども殆ど気にならないレベルまで抑え込まれている。 HDC-4800 は ベ ー ス バ ン ド プ ロセッサユニットの BPU-4800 との組み合わせでスロー再生が可能であり BPU-4800 にはプロセッシングユニットの他にリプレイ・スロー再生用のストレージが内蔵されており、標準容量で実時間1時間(スロー再生8時間分)、オプションによる拡張で最大4時間(スロー再生32時間分) の収録が可能になっている。  ま た、 同 社 の XAVC サ ー バ ー PWS-4500 と IP 接続することも可能で、サーバー間ファイル共有機能

の Share Play に対応。同一ネットワーク上にある複数の PWS-4500 とBPU-4800 との間で素材を共有し、ハイライト編集や送出作業を効率よく行う事ができる。 カメラ自体の感度は 4K 8 倍速時は 2000lux T5.6 程度で明るさを維持。また、B4 マウントレンズが使える HD 専用マウントアダプタを使うと、イメージサークルの拡大処理が光学的に行われるものの、拡大倍率が 1.2 ~ 1.3 倍程度に抑えられる新設計のため F4 程度を維持できるということだ。HDCU(CCU)は別途用意する必要があるが、既存の HDC-2500シリーズの CCU が使えるため、システムの入れ替えなども行いやすい。

・PVM-X500 同社の業務用 4K モニターには、有 機 EL を 採 用 し た 30 型 の BVM-X300 が あ る が、 さ ら な る 大 画 面化が要望されており、業務用モニターとして 55 型の PVM-X500 が発表された。型番からも分かるように、BVM-X300 がマスターモニタークラスの最上位機種となり、PVM-X500 はピクチャーモニタという扱いになる。しかしながら、信号処理回路は X300 と同じ物を採用し、またTRIMASTER EL 技術も搭載。さらに、HDR 映像の表示にも対応するなど上位機と比べても遜色のない性能を有している。有機 EL パネルの為、黒は引き締まっておりコントラスト比は 100 万 :1 以上。動画応答性も高く、文字スクロールや画面のパンなどでも残像は少ない。 また「Quad View」表示を搭載。55 型という大画面を利用し HD 信号を1画面に4分割表示するものだが、特徴は分割表示されたそれぞれの映像に個別に色域やコントラストのパラ

メータを設定できる点。例えば色域やダイナミックレンジが異なるモニタ環境で上映する映像などを1画面内に共存させて比較するなどの使い方ができる。

・IP Live Production System  さて、今回の NAB Show の最大のテーマの 1 つとも言えるのが、映像制作環境の IP 化だ。 SONY は 以 前 よ り、Networked Media Interface (NMI)という独自規格を打ち出し、映像機器同士を IPを使って結ぶことを提唱してきた。一 方 で、Grass Valley 社 を 中 心 とし た AIMS(Alliance for IP Media Solutions) も SMPTE 2022-6 に準拠した IP 伝送ソリューションを拡大させており、日本メーカーでは Panasonic や Ikegami が賛同していた。今年は、NAB 開催前に SONY が AIMS への賛同を表明、また反対に Grass Valley や朋栄などのスイッチャーなどを持つ代表的なメーカーが NMI に参加したことで両者の融合は一気に進むとみられ、今年の NAB Show での IP ソリューションは大いに盛り上がっていた。そうした業界の動きの中で、SONYは IP対応のスイッチャラインナップを充実。 IP Live Production System という IP を用いたライブ制作システムを普及推進しており、既に発表済みの4K 対応のマルチフォーマットプロダクションスイッチャー XVS-8000 に加えて、中型モデルとなる XVS-7000 や 小型の XVS-6000 が新登場。何れも、IP インターフェイスに対応しており、ベースバンドの SDI と IP を混在させたシステム構築が可能であるなど、既存システムとの共存ならびに移行を可能にするソリューションが実現している。

SONY PXW-Z450。外見上、筐体側面の 4K ロゴ以外は HD 機と殆ど変わらない。

SONY PXW-Z450。使い慣れた ENG カメラの操作部分。TV カメラマンとしてはホッとする。

SONY HDC-4800。HDC-4300 同様、外側面はカーボンファイバー製でその柄も活かしたデザイン。

SONY BPU-4800 と PWS-4500 による SHAE PLAY のデモ。IP による接続が見られる。

SONY IP Live Production。表向きは従来のスイッチャーのようだが、各接続は NMI による接続。

SONY XVS Switcher。スイッチャユニットと各デバイスは SDI と NMI が混在して接続されている。