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病院から在宅まで食事の考え方
社会福祉法人東京優貴会
特別養護老人ホーム「古川親水苑」
栄養管理室 佐藤 健一
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本日の内容
①栄養必要量・・・
エネルギー・たんぱく質・水分等
②病院での食事
(急性期・回復期リハ・療養(適応疾患と注意点))
③老健・特養での食事
(食べやすい食事形態を中心に)
④嚥下ピラミッドの理解と活用方法!
(㈱ヘルシーフード)
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あなたの栄養必要量は?
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基礎代謝量(BEE)
◼ 男性
◼ [BEE=66.47+13.75×W+5.0×H-6.76×A]女性
◼ [BEE=655.1+9.56×W+1.85×H-4.68×A]W:体重(kg)、H:身長(cm)、A:年齢(年)
◼ 患者の全エネルギー消費量はBEEをもとに
算出され下の式で表わされる。
◼ [TEE=BEE × activity factor × stress factor]
(BEE簡易式もある 男14.1w+620 女10.8w+620)
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適正カロリーの求め方
1日に必要なエネルギーの計算方法
標準体重(kg)×25~40kcal/日
例)身長165cmの場合
標準体重の求め方(身長(m)×身長(m)×22)
1.65(m)×1.65(m)×22=60kg
60kg×30kcal=1800kcal となります
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必要エネルギー量(簡易式)
1日に必要なエネルギーの計算方法
標準体重(身長㎡×22)×25~40kcal
例)身長165cmの場合
標準体重 1.65×1.65×22=60kg
60kg×30kcal=1800kcal となります
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たんぱく質必要量
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水分必要量の求め方
<体内の水分>
体重あたり 約60%
(高齢者50%位、子供70~80%)
<必要水分量の目安>
25~55歳:35ml/kg/日
56~65歳:30ml/kg/日
65歳以上 :25ml/kg/日
※例 高齢者の場合 体重50㎏で75歳の場合
25ml×50kg=約1250ml /日 必要となる
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水分出納例
<OUT>不感蒸泄(体重kg×15ml) 体温1℃上昇で15%増加する便(100~200ml前後)尿(500~1200ml前後)<IN>食事に由来するもの(800~1200ml)代謝水(体重×5ml)お茶や水などの飲料(OUTの不足分を補う量)
※体重50kgの人の場合は・・・(食事を全量摂取の場合)OUT 50kg×15ml+1250ml(便と尿)=2000mlIN 800ml+250ml+950ml(お茶等で補う)=2000ml
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病院での食事
基本的な考え方
病気の治療としての食事なので、各疾病の治療ガイドラインに沿って食品構成表を作成し、食品構成表を元に献立を作成調理・盛り付けして提供します。
一般食(常食)については、国が作成している日本人の食事摂取基準を元に食事を提供しています。
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治療食の種類
塩分コントロール食
エネルギーコントロール食
たんぱく質コントロール食
脂質制限食
嚥下訓練食
濃厚流動食 等々・・・
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減塩食(塩分6g未満)
【適応となる疾患】
①高血圧
②心臓疾患(心不全・狭心症・心筋梗塞等)
③腎臓病
等の方が塩分制限の指示を受けます。
※塩分摂取⇒血液中の濃度上昇⇒水分摂取⇒血流量増⇒血圧上昇⇒心臓負担増
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家での注意点(塩分表記!)
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塩分相当量を求めるには?
塩分換算係数を使用します。
ナトリウム量(g)×2.54=塩分相当量(g)
2.4g × 2.54
=約 6.09 g
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エネルギーコントロール食
主に糖尿病や脂質異常症など
糖質やたんぱく質・脂質などを適性な
バランスにした食事内容になっている。
(健康な方が召し上がってもよい食事です)
食事指示によって4段階設定
(1200・1440・1600・1840kcal)
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アルコール(お酒)のカロリーは?
アルコール1gあたり≒ 7.1 Kcal
ということは・・・?
例: ビール350ml
(アルコール度数5.5%)
350ml×5.5%×7.1Kcal
≒ 約 137 Kcal
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糖質制限は有効?
アメリカのアトキンスダイエットから派生?!
短期間なら効果もあるが、長期的には推奨できない!
有効なエビデンスもない!
糖尿病学会も推奨していない!
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血糖値の上昇が気になる方は、低GIの食品をお勧めします。低GIとは、糖質の吸収をゆっくりにしてる食品
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体重を減らすには?
脂肪1㎏ ≒ 7,000 kcal
例: ご飯200g ≒ 320 kcal
ご飯を一食 150gに減らすと
ご飯のカロリー
50g ≒ 80 kcal × 3食 × 30日 ≒
7、200 kcal ≒ 1 ㎏ /月
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たんぱく質コントロール食
慢性腎臓病(CKD)の方のお食事です。
たんぱく質を制限しているため、特殊食品や
低たんぱく米の使用、主菜等が通常の方より
少なくなります。
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NPC/N 比って?
非たんぱくカロリー/窒素 比
アミノ酸は十分なエネルギー投与がなければ、いくら投与してもエネルギー源として消費され、たんぱく質が合成されない。
アミノ酸が有効にたんぱく質合成に
必要な指標となる数値は・・・
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デクがある方等の目標値は、100前後になるように調整(たんぱく質アップ)
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回復期(リハ)の食事
病院では嚥下の段階に応じて食事を
用意しています。
①嚥下開始食(嚥下ピラミッド 0j)
②嚥下Ⅰ食(嚥下ピラミッド 2-1)
③嚥下Ⅱ食(嚥下ピラミッド 2-2)
④嚥下Ⅲ食(嚥下ピラミッド 3)
⑤嚥下移行食(嚥下ピラミッド 4)
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病院食で困っている?!対応できない事!
治療食を嚥下食対応に出来ていない。
問題点
使用出来る食材が限られる
栄養価と飲み込みやすさ等の両立が厳しい
そもそも全部食べきる能力がない 等々
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老健や特養の食事
基本的な考え方(老健)疾病の継続的治療の為、療養食を用意し、必要な利用者には提供しています。(特養)高齢になる程、食事摂取量が落ちてくるので、食事量を ハーフ食にして栄養補助食品で補ったり嚥下能力も低下してくるので、通常の食形態では摂取が難しい為、食事形態に配慮した食事が多くなってきています
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老健・特養の食事
【提供している食事形態】
1、通常(形そのまま)
2、一口大(大スプーンにのる位)
3、キザミ(ゴマ粒大)
4、ソフト(ゼリー状、ムース状)※上記形態に汁トロミ、トロミあんかけ付の食事もあります
施設によって呼び名と形態は千差万別!
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嚥下ピラミッド(学会分類2013)
易
中
難
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通常(形)
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一口大(嚥下ピラミッド 4)
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キザミ(嚥下ピラミッド 3)
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キザミ・トロミあんかけ(嚥下ピラミッド 2-2)
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ソフト食(嚥下ピラミッド1j)
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多様な食形態が必要な背景(嚥下障害)
病気・老化などの原因により、
咀嚼や飲み込みが困難になる状態
↓
低栄養・脱水・体重減少・誤嚥性肺炎の危険
経口摂取が困難になると
胃ろう 腸ろう 経鼻栄養 TPN 等
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実際に体験してみましょう!
【ヘルシーフード提供】
同じ献立で食べやすさが異なる食品を用意
食べ比べて、実際の食形態の違いを
体験しましょう。
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病院から在宅まで!(まとめ)
病院では、
治療が目的(一般食は別)
回復期リハ病棟では、
治療と嚥下訓練
老健・特養では、
いかに食べやすい食事を提供するか
在宅では、
ライフスタイルに合わせた食事の調達