Upload
-
View
173
Download
1
Embed Size (px)
Citation preview
「デジタル教科書」の位置付けに関する検討会議
• 開催期間 2015/05/12~2016/12/31
• 検討事項
1. 教科書の意義、形態など、教科書の基本的な在り方に関すること
2. いわゆる「デジタル教科書」の教育効果及びそれを踏まえた制度的な位置付けや費用負担の在り方等に関すること
2
検討会議・中間まとめ 2016/06
• デジタル教科書の定義付けを整理
→ 使用義務・検定制度・無償給与等の関係
デジタル教科書→ 「デジタル教科書」(指導者用・学習者用)→ デジタル版教科書
デジタル版教科書 = 学習者用デジタル教科書の
うち、教科書として位置付けることが適当であると考えられるもの
3
デジタル教科書あくまでも教材としての位置付け
検定教科書(紙)(教科用図書)
検定教科書(紙)||
デジタル版教科書紙教科書の使用義務はあるが、デジタル版との選択・併用を認める
指導者用デジタル教科書
学習者用デジタル教科書
動画・音声・ドリル等の検定対象外のリッチコンテンツを除外
教科用特定図書等点字教科書・拡大教科書・音声教材
教科書デジタルデータ
4
用語の再定義と整理• 「デジタル教科書」 デジタル機器や情報端末向けの教材のうち、紙の教科書の内容と、それを閲覧するためのソフトウェアに加え、編集、移動、追加、削除などの基本機能を最低限備えるもの。
• 「指導者用デジタル教科書」 「デジタル教科書」のうち、主に教員が電子黒板等により子供たちに提示して指導するためのもの。
• 「学習者用デジタル教科書」 「デジタル教科書」のうち、主に子供たちが個々の情報端末で学習するためのもの。
• デジタル版教科書(⇔紙の教科書) 学習者用デジタル教科書のうち、教科書として位置付けることが適当であると考えられるもの。
• デジタル版教科書の導入は、個々の児童生徒へのきめ細かい対応が可能となるだけではなく、情報のアクセシビリティの保障の観点からも、障害のある児童生徒の学習に有効であると考えられる。
5
無償給与制度等との関係
• 検定教科書(紙)→ 無償給与(義務教育)
• 点字教科書・拡大教科書→ 無償給与
• 音声教材→ 無償提供(ボランティア製作)
• デジタル教科書→ 教材として有償購入
• デジタル教科書閲覧用端末等→ 有償購入
• デジタル版教科書→ 無償給与対象外6
7
現行の教科書無償給与予算||
約417億円(2015年度)
デジタル教科書義務教育段階完全配備の初期投入予算
||約4,000~5,000億円?
導入後の追加的予算||
年間約500~1,000億円?
教育情報化のための地方財政措置 2014~2017年度
総額約6,700億円(一般財源)
DiTT教育情報化推進法(案)2016/02
• デジタル教科書正規化、1人1台端末、無線LAN整備、クラウド教育、ソーシャルメディア利用、ビッグデータ活用などの推進を目的。
• デジタル教科書正規化→デジタル教科書を教科用図書(検定教科書)として位置づけ、義務教育での無償給与対象とする。端末整備は原則保護者負担とし、経済的事情等ある場合は公費助成。障害者対応としてのアクセシビリティ確保。
8
文科省「学びのイノベーション事業実証研究」報告
9
デジタル教科書の効果について新井紀子氏(国立情報学研究所)の見解要旨
• 現状の(特にタブレット)PCを前提とした、特に小中学校へのデジタル教科書導入には、財政負担を上回るメリットはあまり感じられない。
• アンケートによる教育効果の測定は、科学的ではない(学力向上等のエビデンスはない?)。
• 発達障害などのある児童生徒に対し、必要なデジタル教材の提供は進められるべき。
10
11
教科書デジタルデータを活用した拡大教科書・音声教材等普及促進プロジェクト
1億3600万円(2014年度)
教科書・教材のデジタル化による最大のメリット
||アクセシビリティの確保
2016年4月施行障害者差別解消法
↓
合理的配慮の提供義務の制度化とそのための基礎的環境の整備充実
↓
アクセシブルなデジタル教科書の提供は国の責務
12
NIMAS||
National Instructional
Materials Accessibility
Standard
DAISY=Digital accessible Information SYstem
DAISY Digital accessible Information SYstem
• 国際NPO DAISY consortium(本部スイス)により
開発と維持が行われている、アクセシブルなデジタル図書の国際標準規格(ANSI/NISO Z39.98)。
• DAISY consortiumは電子書籍の国際標準規格EPUBを策定しているIDPFの主要メンバー。EPUBのアクセシビリティ仕様はDAISYに準拠しており、その開発と維持に関しても大いに貢献している。
13
中間まとめ(アクセシビリティ関係抜粋)
• 障害差別解消法の趣旨等を踏まえると、教科用特定図書等の製作については、教科書発行者の積極的な取組も必要。教科書発行者以外の者(ボランティア)が製作するものについても依然としてニーズがある。
• 教科書バリアフリー法に基づいて、国が一定程度関与しつつ、教科用特定図書等の製作・普及を行う現行の仕組みについては、「デジタル教科書」の導入後においても維持されることが必要。
14
中間まとめの問題点
• 合理的配慮の基礎的環境整備としての、アクセシブルな「デジタル教科書」という視点の欠落→ 現場対応での過度の負担をまねく
• 教科書バリアフリー法での「国の責務」の規定ぶりの不徹底による、教科書出版社や特にボランティア製作団体への過度の依存
15
具体的解決策の提案
• 「デジタル教科書」の事実上の標準フォーマットEPUBのアクセシビリティ仕様をDAISYが担保していることから、教科書出版社に対して提供が義務づけられている教科書デジタルデータとしてDAISYを追加(現行はPDFとテキストデータ)。
• 文部科学省主導によりDAISY教科書製作ボランティア団体と教科書出版社とでノウハウ共有のための協議体を設置し、効果的な教科書デジタルデータの活用を実現。
• アクセシブルな「デジタル教科書」として、DAISY教科書なども点字教科書・拡大教科書と同様に無償給与の対象とし、もって合理的配慮のための基礎的環境整備の充実。
16