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【はじめに】 甲状腺ホルモンのTSH、freeT3、freeT4は、甲 状腺機能のマーカーとして有用であり、当院では RIA法による院内測定を行っている。しかし微量 化や迅速化の要望も高く、ビトロス5600を用いて CLEIA法による対応を試みた。 今回、データ評価として、2法の依頼があった 結果を比較したので報告する。 【方法】 2010年1月から2011年10月までにRIA法と CLEIA法の2法の同時依頼があり、TSH、freeT3、 freeT4の3項目が全て測定された100件中、同一 患者を除いた60件について比較検討した。 【結果】 RIA法とCLEIA法の回帰式と相関係数をそれぞ れの相関図に示した。相関は、TSHがr=0.9709と 一番良かったが、回帰式としてはいずれの項目も RIA法より低値になる結果であった。 RIA法とCLEIA法の差(RIA-CLEIA)につい て、横軸にTSHの差、縦軸にfreeT3、freeT4それ ぞれの差を図に示した。差による関連性は見られ なかった。 TSHでRIA法とCLEIA法で差の大きかったもの を矢印で示した。本事例は、甲状腺機能が低下す る時点での結果で、その後はCLEIA法のみで経過 観察をしている。 【考察】 RIA法と比較してCLEIA法は、微量で迅速に結 果が出る。しかし従来のRIA法と乖離する症例も 見られる。現在、当院ではCLEIA法は新生児の管 理ならびに緊急検査として、RIA法は精査と位置 付け、院内検査を行っている。 CLEIA法の結果では臨床と合わない症例もあり、 乖離データの解析が必要と考える。 生物試料分析 Vol.35 No.1 2012 61 演題No12 ●ビトロス5600を用いた甲状腺ホルモンのRIA法との比較 高木 義弘 静岡県立こども病院 診療支援部 検査技術室

ビトロス5600を用いた甲状腺ホルモンのRIA法との …abs-kyushu.kenkyuukai.jp/images/sys\information...RIA法による院内測定を行っている。しかし微量

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【はじめに】

甲状腺ホルモンのTSH、freeT3、freeT4は、甲

状腺機能のマーカーとして有用であり、当院では

RIA法による院内測定を行っている。しかし微量

化や迅速化の要望も高く、ビトロス5600を用いて

CLEIA法による対応を試みた。

今回、データ評価として、2法の依頼があった

結果を比較したので報告する。

【方法】

2010年1月から2011年10月までにRIA法と

CLEIA法の2法の同時依頼があり、TSH、freeT3、

freeT4の3項目が全て測定された100件中、同一

患者を除いた60件について比較検討した。

【結果】

RIA法とCLEIA法の回帰式と相関係数をそれぞ

れの相関図に示した。相関は、TSHがr=0.9709と

一番良かったが、回帰式としてはいずれの項目も

RIA法より低値になる結果であった。

RIA法とCLEIA法の差(RIA-CLEIA)につい

て、横軸にTSHの差、縦軸にfreeT3、freeT4それ

ぞれの差を図に示した。差による関連性は見られ

なかった。

TSHでRIA法とCLEIA法で差の大きかったもの

を矢印で示した。本事例は、甲状腺機能が低下す

る時点での結果で、その後はCLEIA法のみで経過

観察をしている。

【考察】

RIA法と比較してCLEIA法は、微量で迅速に結

果が出る。しかし従来のRIA法と乖離する症例も

見られる。現在、当院ではCLEIA法は新生児の管

理ならびに緊急検査として、RIA法は精査と位置

付け、院内検査を行っている。

CLEIA法の結果では臨床と合わない症例もあり、

乖離データの解析が必要と考える。

生物試料分析 Vol.35 No.1 2012 61

演題No12

●ビトロス5600を用いた甲状腺ホルモンのRIA法との比較

高木 義弘

静岡県立こども病院 診療支援部 検査技術室