66
― 17 ― 第 50 回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集 (2019) 特別企画 目次 記念講演 8月8日(木)10:20~11:05 ····························· 41 第 1 会場 2F 大ホール 第 50 回記念講演 日本看護学会学術集会のこれまでとこれから 講 師:福井 トシ子 公益社団法人日本看護協会会長 座 長:廣原 惠子 公益社団法人滋賀県看護協会会長 基調講演 8月8日(木)11:10~12:10 ····························· 43 第 1 会場 2F 大ホール これからの看護基礎教育 講 師:坂本 すが 東京医療保健大学副学長、医療保健学部長、看護学科長、教授 座 長:古川 紀子 公益社団法人和歌山県看護協会会長 特別講演1 8月8日(木)13:30~14:30 ····························· 45 第 1 会場 2F 大ホール パンダの子育てを通して学ぶ人材育成 講 師:熊川 智子 アドベンチャーワールド飼育部セクションマネージャー 座 長:藤本 由美子 和歌山県立医科大学保健看護学部特任教授 特別講演2 8月9日(金)9:30~10:30 ······························ 46 第 1 会場 2F 大ホール 基礎教育で学ぶ「看護師の責務」 講 師:井伊 久美子 公益社団法人日本看護協会副会長 座 長:岡島 さおり 公益社団法人日本看護協会常任理事

特別企画 目次 - Japanese Nursing Association第50回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集(2019) ― 21 ― 第50回日本看護学会―看護教育―学術集会

  • Upload
    others

  • View
    0

  • Download
    0

Embed Size (px)

Citation preview

Page 1: 特別企画 目次 - Japanese Nursing Association第50回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集(2019) ― 21 ― 第50回日本看護学会―看護教育―学術集会

第 50 回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集 (2019)

― 17 ―

第 50 回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集 (2019)

特別企画 目次

記念講演 8月8日(木)10:20~11:05 ····························· 41

第 1 会場 2F 大ホール

第 50 回記念講演 日本看護学会学術集会のこれまでとこれから

講 師:福井 トシ子 公益社団法人日本看護協会会長

座 長:廣原 惠子 公益社団法人滋賀県看護協会会長

基調講演 8月8日(木)11:10~12:10 ····························· 43

第 1 会場 2F 大ホール

これからの看護基礎教育

講 師:坂本 すが 東京医療保健大学副学長、医療保健学部長、看護学科長、教授

座 長:古川 紀子 公益社団法人和歌山県看護協会会長

特別講演1 8月8日(木)13:30~14:30 ····························· 45

第 1 会場 2F 大ホール

パンダの子育てを通して学ぶ人材育成

講 師:熊川 智子 アドベンチャーワールド飼育部セクションマネージャー

座 長:藤本 由美子 和歌山県立医科大学保健看護学部特任教授

特別講演2 8月9日(金)9:30~10:30 ······························ 46

第 1 会場 2F 大ホール

基礎教育で学ぶ「看護師の責務」

講 師:井伊 久美子 公益社団法人日本看護協会副会長

座 長:岡島 さおり 公益社団法人日本看護協会常任理事

Page 2: 特別企画 目次 - Japanese Nursing Association第50回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集(2019) ― 21 ― 第50回日本看護学会―看護教育―学術集会

― 18 ―

第 50 回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集 (2019) 第 50 回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集 (2019)

教育講演 8月9日(金)10:40~11:40 ····························· 47

第 1 会場 2F 大ホール

学ぶ力を育み共に成長する

講 師:米澤 好史 和歌山大学教育学部教授

座 長:石本 千珠 和歌山県立高等看護学院専任教員

シンポジウム 8月9日(金)13:40~15:10 ····························· 48

第 1 会場 2F 大ホール

人生 100 年時代における地域包括ケアシステムの構築

~地域で生活する人々を支える人材の育成~

講 師:野㞍 孝子 和歌山県福祉保健部技監、医師

竜田 登代美 和歌山県福祉保健部健康局健康推進課主幹、保健師

丸山 美智子 幹(みき)在宅看護センター代表

小長谷 恭史 和歌山高齢者生活協同組合社会福祉士・主任介護支援専門員、

和歌山県社会福祉士会理事、和歌山県介護支援専門員協会副会長

座 長:稲垣 伊津穂 医療法人共栄会名手病院看護部長

廣瀬 朱実 済生会和歌山病院看護部長

交流集会(指定)1 8月8日(木)13:30~14:30 ····························· 54

第 6 会場 4F 中会議室

看護基礎教育制度改革をふまえた保健師教育・助産師教育のあり方

講 師:岸 恵美子 東邦大学看護学部/大学院看護学研究科教授、

一般社団法人全国保健師教育機関協議会会長

井村 真澄 日本赤十字看護大学大学院国際保健助産学教授、

前 全国助産師教育協議会会長

座 長:鎌田 久美子 公益社団法人日本看護協会常任理事

井本 寛子 公益社団法人日本看護協会常任理事

交流集会(指定)2 8月9日(金)9:30~10:30 ······························ 57

第 6 会場 4F 中会議室

特定行為を組み込んだ新たな認定看護師教育とは

講 師:溝上 祐子 公益社団法人日本看護協会看護研修学校認定看護師教育課程課程長

渋谷 智恵 公益社団法人日本看護協会看護研修学校認定看護師教育課程課長、

感染管理認定看護師、特定行為研修修了者

座 長:荒木 暁子 公益社団法人日本看護協会常任理事

交流集会(指定)3 8月9日(金)10:40~11:40 ····························· 60

第 6 会場 4F 中会議室

ヘルシーワークプレイスの実現を目指して

看護学生そして現場の看護職への労働安全教育のあり方を考える

~ハラスメントが生じない組織づくり~

講 師:佐々木 美奈子 東京医療保健大学医療保健学部看護学科教授

眞野 惠子 藤田医科大学病院副院長・統括看護部長

座 長:奥村 元子 公益社団法人日本看護協会労働政策部看護労働・確保対策担当専門職

交流集会1 8月8日(木)14:40~15:40 ····························· 63

第 6 会場 4F 中会議室

チームサイエンス:医療安全教育における看護教員と臨床看護師の連携

~研鑽支援モデル「コンテンツ共有システム」活用の可能性~

企画代表者:竹中 泉 大阪信愛学院短期大学看護学科

交流集会2 8月8日(木)15:50~16:50 ····························· 64

第 6 会場 4F 中会議室

気になる学生のよりよい臨地実習指導方法の創造を目指して、

一緒に考えてみませんか?

企画代表者:富澤 弥生 東北福祉大学健康科学部保健看護学科

Page 3: 特別企画 目次 - Japanese Nursing Association第50回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集(2019) ― 21 ― 第50回日本看護学会―看護教育―学術集会

第 50 回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集 (2019)

― 19 ―

第 50 回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集 (2019)

交流集会(指定)2 8月9日(金)9:30~10:30 ······························ 57

第 6 会場 4F 中会議室

特定行為を組み込んだ新たな認定看護師教育とは

講 師:溝上 祐子 公益社団法人日本看護協会看護研修学校認定看護師教育課程課程長

渋谷 智恵 公益社団法人日本看護協会看護研修学校認定看護師教育課程課長、

感染管理認定看護師、特定行為研修修了者

座 長:荒木 暁子 公益社団法人日本看護協会常任理事

交流集会(指定)3 8月9日(金)10:40~11:40 ····························· 60

第 6 会場 4F 中会議室

ヘルシーワークプレイスの実現を目指して

看護学生そして現場の看護職への労働安全教育のあり方を考える

~ハラスメントが生じない組織づくり~

講 師:佐々木 美奈子 東京医療保健大学医療保健学部看護学科教授

眞野 惠子 藤田医科大学病院副院長・統括看護部長

座 長:奥村 元子 公益社団法人日本看護協会労働政策部看護労働・確保対策担当専門職

交流集会1 8月8日(木)14:40~15:40 ····························· 63

第 6 会場 4F 中会議室

チームサイエンス:医療安全教育における看護教員と臨床看護師の連携

~研鑽支援モデル「コンテンツ共有システム」活用の可能性~

企画代表者:竹中 泉 大阪信愛学院短期大学看護学科

交流集会2 8月8日(木)15:50~16:50 ····························· 64

第 6 会場 4F 中会議室

気になる学生のよりよい臨地実習指導方法の創造を目指して、

一緒に考えてみませんか?

企画代表者:富澤 弥生 東北福祉大学健康科学部保健看護学科

Page 4: 特別企画 目次 - Japanese Nursing Association第50回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集(2019) ― 21 ― 第50回日本看護学会―看護教育―学術集会

― 20 ―

第 50 回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集 (2019) 第 50 回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集 (2019)

交流集会3 8月9日(金)13:00~14:00 ····························· 65

第 6 会場 4F 中会議室

『できる!自信』をつくり、

次へのステップアップを支援するラダー対応教育の今

企画代表者:横山 しのぶ 公益財団法人天理よろづ相談所病院

ランチョンセミナー1 8月8日(木)12:20~13:20 ····························· 66

第 2 会場 2F 小ホール

相互接続防止コネクタに係る国際規格の導入について

講 師:平田 勇貴 ニプロ株式会社

座 長:西 未知子 橋本市民病院看護部長

共催企業:ニプロ株式会社

ランチョンセミナー2 8月8日(木)12:20~13:20 ····························· 67

第 5 会場 3F 特設会議室

『良く眠れる眠りのお話し!?』~睡眠の質を上げるヒケツとは!?~

講 師:青木 勝則 東洋羽毛工業株式会社マネージャー

共催企業:東洋羽毛工業株式会社

ランチョンセミナー3 8月9日(金)11:50~12:50 ····························· 68

第 2 会場 2F 小ホール

当院における働き方改革

講 師:佐藤 美幸 大阪府済生会吹田病院看護部長

座 長:仲澤 妙美 和歌山労災病院看護部長

共催企業:テルモ株式会社

Page 5: 特別企画 目次 - Japanese Nursing Association第50回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集(2019) ― 21 ― 第50回日本看護学会―看護教育―学術集会

第 50 回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集 (2019)

― 21 ―

第 50 回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集 (2019)

一般演題 第1日 第 1 ��口演� � 月 � 日��� 13�3��14�3� 第 2 会��2 � 小�ール�

学生の認識 1 ���前� �恵�和�山県立医�大学保健看護学部�

口演 1-1 バイセクシュアルの看護学生の学校生活の様相と支援 ······················ 71

北出 千春 奈良県 田北看護専門学校

口演 1-2 看護職志望動機に関する文献検討 -看護系大学の学生を対象とした研究の分析- ···························· 71

山口 幸恵 茨城県 常磐大学

口演 1-3 高齢者疑似体験における社会人基礎力の発揮できた要素 ···················· 72

岡田 陽子 東京都 昭和大学医学部附属看護専門学校

口演 1-4 看護学生の学習活動と実習体験による陰性感情および レジリエンス得点の検討 ················································ 72

榎並 智子 奈良県 社会福祉法人恩賜財団済生会中和病院

口演 1-5 実習前半と後半の実習ストレスの比較 ···································· 73

堀米 美智枝 宮城県 東北文化学園大学

第 2 ��口演� � 月 � 日��� 14�4��15�4� 第 2 会��2 � 小�ール�

新人教育 1 ����山 �子�和�山県立医�大学附属病院�

口演 2-1 看護師養成所の卒業時、就職 6ケ月時点の看護技術到達度調査と今後の課題 ·· 73

野崎 由美子 富山県 富山市立看護専門学校

口演 2-2 看護専門学校の新人看護教員が体験する教師教育の実態 ···················· 74

梶谷 薫 奈良県 田北看護専門学校

口演 2-3 新人看護師と指導看護師の評価に対する認識の差 -社会人基礎力評価表を用いて- ········································ 74

吉富 英花 福岡県 社会医療法人陽明会小波瀬病院

口演 2-4 新人看護師におけるインシデントの背景から先輩看護師の教育の振り返り -新人教育の今後の課題- ·············································· 75

佐藤 美佳 福岡県 公益社団法人地域医療振興協会飯塚市立病院

口演 2-5 教育担当者および新人看護職員に対する実地指導者のアサーティブ度 ········ 75

國分 さつき 東京都 東京都立多摩総合医療センター

第 3 ��口演� � 月 � 日��� 15�5��16�5� 第 2 会��2 � 小�ール�

新人教育 2 ����� ���和�山県立医�大学附属病院�

口演 3-1 看護専門学校の新任期にある看護教員の主体的学習行動とその影響要因 ······ 76

川村 直子 秋田県 学校法人二戸学院岩手保健医療大学

Page 6: 特別企画 目次 - Japanese Nursing Association第50回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集(2019) ― 21 ― 第50回日本看護学会―看護教育―学術集会

― 22 ―

第 50 回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集 (2019) 第 50 回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集 (2019)

口演 3-2 シミュレーション教育に携わる指導者の前向きな気持ちの変化 -新人看護師研修に携わった部署教育担当者のインタビューを通して- ······ 76

水島 康 北海道 市立札幌病院

口演 3-3 コーチング教育を受けた新人担当看護師の新人指導に関する 意識の変化と行動の変化 ················································ 77

渡邉 里香 岐阜県 岐阜大学医学部附属病院

口演 3-4 小児専門病院で働く新人看護師が子どもの立場に立った看護を 実践できるようになる変化のプロセスとその要因 ·························· 77

伊東 香織 東京都 東京都立小児総合医療センター

口演 3-5 新卒訪問看護師が入職時に期待される看護実践能力 -訪問看護ステーションの管理者とスタッフおよび 在宅看護担当教員の立場から- ·········································· 78

鬼頭 浩美 大阪府 大阪医療看護専門学校

� 4 �(口演) 8 � 8 日(木) 13�30�14�30 � 5 会場(3 � 特�会��)

現�教育���リア支援 1 ���水田 真由美(和歌山県立医科大学��看護学部)

口演 4-1 看護専門基礎科目「人間工学」の臨床看護師による受講の効果 ·············· 78

石田 陽子 山形県 山形大学医学部看護学科

口演 4-2 救急看護認定看護師におけるレジリエンス特性 -救急看護師と他の領域看護師との比較- ································ 79

西林 百合 大阪府 大阪府看護協会

口演 4-3 術後せん妄予防ケアに対する看護師の認識 -アンケートを用いた実態調査- ········································ 79

藤山 かな 奈良県 大和高田市立病院

口演 4-4 病棟看護師のストーマケアに対する苦手意識の軽減を目指した取り組み ······ 80

古田 恵理 山口県 山口県済生会下関総合病院

口演 4-5 与薬業務の中断に関する実態調査 ········································ 80

森 厚憲 神奈川県 神奈川リハビリテーション病院

� 5 �(口演) 8 � 8 日(木) 14�40�15�40 � 5 会場(3 � 特�会��)

現�教育���リア支援 2 ���本田 �生(和歌山��病院)

口演 5-1 TeamSTEPPS 学習会が及ぼすチームワークに対する認識の変化 ················ 81

坂上 真未 徳島県 徳島赤十字病院

口演 5-2 急性期病院における病棟看護師の道徳的感性の現状 -日本語版道徳的感性尺度(MST)の質問紙を用いた実態調査研究- ········· 81

志村 彩代 神奈川県 東海大学医学部付属病院

口演 5-3 訪問看護入門研修を受講した看護師に対する研修の効果 ···················· 82

矢出 装子 和歌山県 訪問看護ステーションなだい

口演 5-4 卒後2年目看護師の業務遂行の困り事と相談支援体制 ······················ 82

鈴木 由香 静岡県 市立島田市民病院

Page 7: 特別企画 目次 - Japanese Nursing Association第50回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集(2019) ― 21 ― 第50回日本看護学会―看護教育―学術集会

第 50 回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集 (2019)

― 23 ―

第 50 回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集 (2019)

口演 5-5 転倒転落対策における精神科看護師への教育的介入 -インタビューから導き出されたシャドー研修の効果- ···················· 83

吉永 あかり 鹿児島県 公益財団法人慈愛会谷山病院

� 6 �(口演) 8 � 8 �(�) 15�5��16�5� � 5 会�(3 � ��会�室)

現�教育・�ャリア支援 3 ����山 美恵子(和�山��病院)

口演 6-1 中堅看護師が PNSⓇにおいて若手看護師から期待されること ················· 83

佐藤 幸菜 山梨県 市立甲府病院

口演 6-2 JNA ラダー活用の推進 -集中治療室におけるリフレクションシート導入後の現状と評価- ·········· 84

八田 大 岐阜県 医療法人澄心会岐阜ハートセンター

口演 6-3 急変時シミュレーションの反復学習後の看護師の意識調査 ·················· 84

森濱 明恵 広島県 尾道総合病院

口演 6-4 卒後 2 年目看護師への支援体制に関する実態調査 ·························· 85

矢野 真奈美 高知県 高知県・高知市病院企業団立高知医療センター

口演 6-5 遺体への医療的処置、情報提供に関する教育内容の検討 -看護師への実態調査から- ············································ 85

堀 奈津紀 石川県 浅ノ川総合病院

� 7 �(口演) 8 � 8 �(�) 13�3��14�3� � 7 会�(5 � 大会�室)

教育方法・教育評価 1 ���� 政�(東京医療��大学和�山看護学部)

口演 7-1 A 校における入学前授業(プレスクール)で協同学習を体験した学生の学び -卒業年次学生へのアンケート調査から- ································ 86

久志 篤子 沖縄県 那覇市医師会那覇看護専門学校

口演 7-2 アクティブラーニングを取り入れた急性期看護方法の授業における 学習行動と学習意欲の評価 ·············································· 86

髙橋 由起子 岐阜県 岐阜大学医学部看護学科

口演 7-3 安全な静脈注射を実施するために -ヒヤリハットの現状分析アンケート- ·································· 87

安藤 美紀子 東京都 公立阿伎留医療センター

口演 7-4 西胆振地域におけるチーム医療を意識した緩和ケア研修の効果 ·············· 87

鶴見 紘子 北海道 総合病院伊達赤十字病院

口演 7-5 看護師 2 年課程通信制学生の倫理的行動に関する考察 ······················ 88

高見 清美 大阪府 学校法人大阪滋慶学園

� 8 �(口演) 8 � 8 �(�) 14�4��15�4� � 7 会�(5 � 大会�室)

教育方法・教育評価 2 ���西� 真由美(��赤十字�和�山医療センター)

口演 8-1 エビデンスに基づく精神科看護を促進する要因の基礎的調査 ················ 88

奥村 智志 愛知県 独立行政法人国立病院機構東尾張病院

Page 8: 特別企画 目次 - Japanese Nursing Association第50回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集(2019) ― 21 ― 第50回日本看護学会―看護教育―学術集会

― 24 ―

第 50 回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集 (2019) 第 50 回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集 (2019)

口演 8-2 看護専門学校教員の臨地実習におけるカンファレンス教授活動と 教師効力感との関連 ···················································· 89

寺島 公江 長野県 整形外科安藤クリニック

口演 8-3 「術後 1日目の患者の離床」のシミュレーション教育の効果 -臨地実習での活用に焦点をあてて- ···································· 89

平野 ゆき子 千葉県 千葉県立野田看護専門学校

口演 8-4 “書くこと”での気付きから始まるプロセスレコードの学習効果 -精神看護学実習におけるプロセスレコードに関する実態調査からの示唆- ·· 90

安藤 馨 神奈川県 神奈川県立精神医療センター

口演 8-5 中学生に対する精神障害啓発活動 -啓発パンフレットを用いた講習前後での意識調査- ······················ 90

岩佐 真奈美 和歌山県 国保野上厚生総合病院

� 9 �(口演) 8 � 8 日(�) 15�50�1��50 � � ��(5 � 大���)

教育方法・教育�� 3 �長�高村 ��(東京医療保健大学和歌山看護学部)

口演 9-1 看護師学校養成所二年課程(通信制)の学生の看護実践能力の現状と 技術教育の課題 ························································ 91

島田 恵子 大阪府 大阪保健福祉専門学校

口演 9-2 手指衛生遵守率の向上・維持を目指したインストラクショナル・デザインを 用いた教育プログラム ·················································· 91

北村 佳津江 東京都 東京医科歯科大学医学部附属病院

口演 9-3 2 年課程(通信制)教育における看護過程授業化の教育的効果 ··············· 92

中村 栄子 鹿児島県 鹿児島中央看護専門学校 2 年課程(通信制)看護科

口演 9-4 外国人医療コーディネーター看護師、文化人類学講師、 看護教員での異文化看護のコラボレーション授業の試み ···················· 92

金井 美香 東京都 都立広尾看護専門学校

口演 9-5 学習方法のプロジェクト学習による学びのプロセスと成果 ·················· 93

野上 聡子 新潟県 北里大学保健衛生専門学院

� 10 �(示説) 8 � 8 日(�) 14�40�15�40 � 3 ��(1 � 大展示�)

示説 10-1 看護学生の背景及び認知症高齢者イメージと関わり時に抱く気持ちとの関連 ·· 93

髙野 真由美 神奈川県 川崎市立看護短期大学

示説 10-2 子どもの環境に関する看護学生の認識 -小児看護学実習後の調査- ············································ 94

宮良 淳子 岐阜県 中京学院大学看護学部

示説 10-3 看護大学生における入学前課題学習への取り組み ·························· 94

釜屋 洋子 埼玉県 和洋女子大学

示説 10-4 実習カンファレンスを看護過程の展開に活かすための要因 ·················· 95

香川 里美 香川県 香川大学医学部看護学科

Page 9: 特別企画 目次 - Japanese Nursing Association第50回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集(2019) ― 21 ― 第50回日本看護学会―看護教育―学術集会

第 50 回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集 (2019)

― 25 ―

第 50 回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集 (2019)

示説 10-5 看護系大学生 1年生の入学時におけるキャリア発達に関する実態調査 -保健師、助産師、認定看護師、専門看護師に関する認識- ················ 95

石井 俊行 兵庫県 兵庫大学

示説 10-6 看護学生のメンタルヘルスリテラシーの現状調査(第 1報) -精神看護学受講前後のメンタルヘルスリテラシーの変化- ················ 96

原田 佳織 岡山県 川崎医療短期大学

示説 10-7 老年看護学実習におけるポジティブ体験から得られた 2つの成長 ············ 96

岡本 さゆり 岡山県 吉備国際大学

示説 10-8 専門用語に対する看護学生の理解と臨地実習での使用経験 -看護行為に関する専門用語に焦点をあてて- ···························· 97

皆川 敦子 愛知県 藤田医科大学

示説 10-9 看護学生の統合実習における看護師に対するイメージ変化(第 1報) -統合実習前後の看護師に対するイメージ変化- ·························· 97

林 裕子 群馬県 NHO 高崎総合医療センター附属高崎看護学校

示説 10-10 看護学生の統合実習における看護師に対するイメージ変化(第 2報) -看護師に対するイメージ変化に影響を与える要因- ······················ 98

古市 清美 群馬県 NHO 高崎総合医療センター附属高崎看護学校

第 11 群(示説) 8 月 8 �(�) 15�50�16�50 第 3 会場(1 � 大�示�)

示説 11-1 救急センターにおける災害学習会の学習効果についての検討 ················ 98

加納 春洋 富山県 富山市民病院

示説 11-2 看護記録および電子カルテの多職種参加型学習会の効果 -電子カルテ導入に伴い学習会を実施して- ······························ 99

本吉 美也子 北海道 名寄市立大学

示説 11-3 臨床助産師が母性看護学の講義を行う効果 ································ 99

大場 景子 岩手県 岩手県立釜石病院

示説 11-4 基礎看護教育で行われているシミュレーション教育に関する文献レビュー ··· 100

大和 広美 埼玉県 防衛医科大学校

示説 11-5 看護職員クリニカルラダーの評価からみた現状と課題 -教育研修の再構築にむけて- ········································· 100

西井 由紀子 埼玉県 ジャパンメディカルアライアンス東埼玉総合病院

示説 11-6 サッカークラブチームに所属する中学生を対象とした BLS 研修の効果(第 1報) -BLS に関する知識の研修前後および3か月後の比較- ···················· 101

杉原 真裕子 茨城県 茨城キリスト教大学

示説 11-7 サッカークラブチームに所属する中学生を対象とした BLS 研修の効果(第 2報) -BLS 自己効力感の研修前後および3か月後の比較- ······················ 101

小野 加奈子 茨城県 茨城キリスト教大学

示説 11-8 看護大学生の対人関係能力の育成を目指した EQ 教育プログラムの 効果に関する研究 ····················································· 102

直正 恵津子 千葉県 江戸川看護専門学校

示説 11-9 A 病棟における夜間急変時シミュレーション学習の評価 ···················· 102

三上 遥奈 岡山県 岡山済生会総合病院

Page 10: 特別企画 目次 - Japanese Nursing Association第50回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集(2019) ― 21 ― 第50回日本看護学会―看護教育―学術集会

― 26 ―

第 50 回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集 (2019) 第 50 回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集 (2019)

示説 11-10 看護基礎教育における多重課題シミュレーション演習の教育効果 -卒後 3か月が経過した卒業生へのアンケート調査から- ················· 103

山田 ひづる 愛知県 独立行政法人国立病院機構名古屋医療センター附属名古屋看護助産学校

示説 11-11 リフレクションシャトルカードの学習への効果 -ID 学習ツールを活用して-··········································· 103

富山 美佳子 群馬県 足利大学看護学部

示説 11-12 看護技術習得におけるフィードバック方法の検討 -ビデオ映像と口頭フィードバックの比較(第 2報)- ··················· 104

小倉 久美子 千葉県 了德寺大学

第 12 群(示説) 8 月 8 �(木) 14�40�15�40 第 4 会場(1 � 中�示�)

示説 12-1 PNSⓇ自己評価と、看護経験年数・病棟特徴との関連 ······················· 104

柴 裕子 岐阜県 中部学院大学看護リハビリテーション学部看護学科

示説 12-2 小規模病院における新人看護職員研修に対する新人看護師の思い ··········· 105

湯山 通世 静岡県 公益社団法人有隣厚生会富士小山病院

示説 12-3 新人看護師ローテーション研修における効果的な指導 -技術演習を取り入れた指導案作成- ··································· 105

河田 清美 香川県 香川県済生会病院

示説 12-4 新人看護職員への思考過程を中心とした多重課題シミュレーション研修 -評価と今後の課題- ················································· 106

吉城 民恵 岡山県 岡山赤十字病院

示説 12-5 A 病院の新人看護職員が抱えるストレスを可視化し 職場適応を支援する取り組み ··········································· 106

佐藤 由貴 栃木県 社会医療法人博愛会菅間記念病院

示説 12-6 ストレスコントロール力の向上に向けた取り組み ························· 107

野田 彩 栃木県 社会医療法人博愛会菅間記念病院

示説 12-7 急変対応を体験した後の新人看護師のリフレクションからの学び ··········· 107

新村 智宏 北海道 砂川市立病院

第 13 群(示説) 8 月 8 �(木) 15�50�16�50 第 4 会場(1 � 中�示�)

示説 13-1 回復期リハビリテーション病棟で終末期へ移行した患者の看護 -院内 認定看護師間での協働を振り返って- ··························· 108

木部 由紀 大阪府 医療法人協和会協和会病院

示説 13-2 終末期がん患者・家族の感情表出を促すコミュニケーション研修の評価 -がん看護に関する看護師の困難感に着目して- ························· 108

矢野 沙織 香川県 香川県立中央病院

示説 13-3 中途採用看護師に必要な教育支援の検討 -新しい職場環境に抱く感情と行動から考える- ························· 109

亀川 久美子 長崎県 重工記念長崎病院

示説 13-4 看護職者の仕事と家庭との間で生じる葛藤と仕事に対する キャリア意識の実態 ··················································· 109

森 雄太 福岡県 国際医療福祉大学福岡看護学部

Page 11: 特別企画 目次 - Japanese Nursing Association第50回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集(2019) ― 21 ― 第50回日本看護学会―看護教育―学術集会

第 50 回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集 (2019)

― 27 ―

第 50 回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集 (2019)

示説 13-5 新卒看護師の就職 6か月後の職場適応状況に影響する要因(第 1報) -職場適応を促進させる要因の検討- ··································· 110

佐野 友美 静岡県 地方独立行政法人静岡県立病院機構静岡県立総合病院

示説 13-6 新卒看護師の就職 6か月後の職場適応状況に影響する要因(第 2報) -就職 3か月後時点での予測因子の検討- ······························· 110

増田 誠一郎 静岡県 地方独立行政法人静岡県立病院機構静岡県立総合病院

示説 13-7 整形外科病棟における術後せん妄に対する教育的介入後の看護師の意識変化 -アクティブラーニングを用いて- ····································· 111

中神 莉菜 広島県 総合病院三原赤十字病院

Page 12: 特別企画 目次 - Japanese Nursing Association第50回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集(2019) ― 21 ― 第50回日本看護学会―看護教育―学術集会

特別企画

Page 13: 特別企画 目次 - Japanese Nursing Association第50回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集(2019) ― 21 ― 第50回日本看護学会―看護教育―学術集会

― 41 ―

第 50 回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集 (2019)

第1日

記念講演 日本看護学会学術集会のこれまでとこれから

日本看護学会学術集会のこれまでとこれから

福井 トシ子 公益社団法人日本看護協会 会長

日本看護協会は、2017 年に創立 70 周年を迎え、現在では、保健師・助産師・看護師・

准看護師あわせて約 74 万人の会員を有する職能団体となりました。 70 年の歴史の中で、日本の社会保障制度は大きく変化し、「治す医療」から「治し支える

医療」への転換が図られています。そして、今、地域包括ケアシステムの構築が進められ

る中、医療と生活の両方の視点を持つ看護職への期待はさらに高まっています。超高齢多

死社会の中、看取りへの対応も含め、人々の尊厳を守るために、看護職が役割を発揮し、

対応していくことが求められています。また、このような社会の期待に応えることができ

るように、必要な能力を高めていくことも必要です。 日本看護学会は、1967(昭和 42)年の発足以来、実践にねざした看護研究の推進と看護

実践の質の向上を目的に、将来を見据えた看護職に求められる能力や、役割拡大などに関

連する情報を発信するとともに、職能、専門、看護実践の場の枠をこえた看護職との相互

交流の重要な場として学術集会を開催しています。 日本看護学会は、非会員を含む看護職の実践にねざした学術研究の振興を通して、看護

の質の向上を図り、人々の健康と福祉に貢献することを目的(公益社団法人日本看護協会

日本看護学会規程第 2 条)とし、2011 年に本会が公益法人へ移行し日本看護学会は公益目

的事業となり、2013 年からは、都道府県看護協会と協定書に基づく共同開催に変更、2014年からはライフサイクルを軸にした 10 領域から、病態、経過、実践の場の特徴等を捉えた

7 領域に変更するなど、時代に合わせて変革を遂げてきました。 我が国における医療・ケアと生活が一体化した地域完結型の新たな体制への転換期にお

ける本学会のあり方について、看護の将来ビジョンを踏まえ 2017 年度より検討を開始しま

した。2018 年度日本看護学会参加者アンケートによると、本学会は発表経験の少ない看護

職が全体の 7 割強を占めていることから、研究者および発表者に向けた支援強化が必要で

あることや、地域包括ケア推進時代における領域ごとの開催の適切性などが課題として抽

出されました。 また、本学会の目的を達成するためには、研究倫理を遵守しつつ、研究手法に基づく看

護実践の問題解決を図る研究を推進すること、看護の質向上に資する医療及び看護政策に

関する情報共有の場となること、社会のニーズに積極的に応えていくために地域包括ケア

システムの推進に資する情報共有および連携の場とすることを目指す場であることを確認

しました。 約 2 年間の検討により、2021 年度から日本看護学会は、3 職能が連携し、地域包括ケア

を推進するための課題や解決策を共有し実現するために、本会主催で領域を一元化し、年 2回開催とすることを、2019 年 5 月の本会理事会にて決定しました。

Page 14: 特別企画 目次 - Japanese Nursing Association第50回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集(2019) ― 21 ― 第50回日本看護学会―看護教育―学術集会

― 42 ―

第 50 回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集 (2019) 第 50 回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集 (2019)

第1日

2019 年度に、日本看護学会は第 50 回を迎え、記念すべき年となります。 地域で看護職が役割を果たし活躍できるために、本学会は、看護実践の問題解決を図る

研究の推進と地域包括ケアシステムの推進に資する情報共有および連携の場へと転換を図

ってまいります。 さて、世界に目を向けてみると、2020 年はナイチンゲール生誕 200 年を迎えます。英国

の議員連盟がスタートさせた Nursing Now は、2020 年に向けて、看護職がもつ可能性を

最大限に発揮し、看護職が健康課題に積極的に取組み、人々の健康の向上に貢献するため

に行動する世界的なキャンペーンで、WHO(世界保健機関)と ICN(国際看護師協会)が

賛同して、いま世界的に広がっています。 保健医療制度や人々のニーズが大きく変化する中、看護職がこの変化に対応し、一層活

躍するには、看護職が適切に評価され、保健医療政策に影響を及ぼすことが重要であり、

そのための様々な条件や環境を整える必要があります。 そこで、私たち公益社団法人日本看護協会と日本看護連盟は、このたび、この趣旨に賛

同して 2020 年までの 2 年間、Nursing Now キャンペーンに取組むことになりました。 看護職がもつ可能性を最大限に活用し、社会が求める役割を果たし、人々の健康な暮ら

しに貢献できるよう、一人でも多くの看護職、そして国民の皆様の本キャンペーンへのご

賛同、ご協力とご支援をお願いいたします。詳細は下記 URL をご参照ください。 https://www.nurse.or.jp/nursing/practice/nursing_now/index.html

日本看護学会が保健医療政策に影響を及ぼす一助となり、看護職がさらに社会的な役割

を果たすことができるような場となることを視野に入れ、日本看護学会学術集会のこれま

でとこれからについて述べます。

プロフィール

公益社団法人日本看護協会 会長 1983 年より東京女子医科大学病院母子総合医療センター、糖尿病センター勤務。

1991 年杏林大学医学部付属病院入職、2003 年から看護部長。この間、経営情報学

修士、保健医療学博士を取得。2010 年から日本看護協会常任理事。2017 年 6 月よ

り現職。

Page 15: 特別企画 目次 - Japanese Nursing Association第50回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集(2019) ― 21 ― 第50回日本看護学会―看護教育―学術集会

第 50 回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集 (2019)

― 43 ―

第 50 回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集 (2019)

第1日

調

基調講演 これからの看護基礎教育

これからの看護基礎教育

講師 坂本 すが 東京医療保健大学副学長 医療保健学部長 看護学科長 教授

本講演では、医療・看護をとりまく世の中の変化を俯瞰し、筆者の経験をふまえながら、

社会のニーズに対応できる未来の人材教育をいかに行っていくか、特に看護師基礎教育の

あり方に焦点をあて、私見を述べる。 看護師基礎教育のあり方、主にその教育年限については 2003 年の「新たな看護のあり方

検討会報告書」以降も検討が重ねられ、筆者も 2008 年より「看護の質の向上と確保に関す

る検討会」の委員として議論に加わった。背景として、新人看護職の離職率の高さが大き

な問題であった。そこで当時、日本看護協会では、新人看護職員研修の努力義務化を推進

していった結果、離職率の低下がみられるようになった。筆者が協会長となってからは「看

護の将来ビジョン」の中で 2025 年に向けた看護職の役割を明確にし、それを実現するため、

基礎教育 4 年制の推進など教育のあり方を打ち出していった。 さらに協会長を経て、現在、看護系大学で実際に基礎教育や大学院教育に関わることに

なり、見えてきたことがある。専門性を磨く前に、まず人間教育であるということである。

なぜなら看護とは人と人が関わる仕事であり、看護師は援助の必要な人を援助する“対人

援助職”であるからだ。 今後、病院だけでなく地域のあらゆる場で人を支えることが求められる。多様なニーズ

に応えていくためには、その人の生きてきた背景や住まい、生活環境などをみて情報を集

め、「その人にとっての最善」を論理的に考え、他の職種とも力を合わせ、ケアを提供する

能力が求められる。これは一足飛びで一人前にできることではなく、段階を経て学び身に

つけていくものである。 そのためにも基礎教育においては、もっとリアルを感じる、実習の時間を増やす必要が

あると考えている。基礎教育の課程は多種多様である。しかし国試に受かれば、患者にと

っては同じ看護師である。教育機関側は技術とともに、どのように人間力を培っていくの

か、学ぶ方法にも変革を起こすべきと考えている。 ベースは「教養」である。すぐに役立つことでなくとも、自ら調べ、問いを立て答えを

追究する営みが大事だと考えている。そして「へこたれない力」。これまで出会ったことの

ない、多様な患者さんにどのように関わっていくか。答えのない課題にも果敢に挑戦し、

新しいケアを創造できる人が育つよう、1 教員として今後も力を尽くしたい。

Page 16: 特別企画 目次 - Japanese Nursing Association第50回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集(2019) ― 21 ― 第50回日本看護学会―看護教育―学術集会

― 44 ―

第 50 回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集 (2019) 第 50 回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集 (2019)

調

第1日

プロフィール

和歌山県出身。昭和 47 年和歌山県立高等看護学院保健助産学部卒業。和歌山県立

医科大学附属病院。昭和 51 年関東逓信病院(現・NTT東日本関東病院)入職。

平成元年、同産婦人科病棟婦長、平成 9 年~平成 18 年看護部長を務める。平成 18年東京医療保健大学看護学科学科長・教授就任。平成 20 年東京都看護協会副会長。

平成 21 年中央社会保険医療協議会専門委員。平成 23 年 6 月~平成 29 年 6 月、公

益社団法人日本看護協会会長。平成 29 年 6 月より現職。 平成 5 年日本看護協会看護研修学校管理コース終了。平成 8 年青山学院大学経営学

部経営学科卒業。平成 19 年埼玉大学大学院経済科学研究科博士課程修了。 平成 19 年から日本医療マネジメント学会理事としてクリティカルパスの導入を推

進するなど、医療・看護の標準化に尽力した。また、医療安全委員会委員長として

医療安全に関する研究や研修会の開催、書籍の編集・執筆を行っている。 主な研究としては、ICT と看護活動の関係や、看護師と患者、病院、地域など看護

をとりまく人と人の「連携」のあり方、医療安全管理者の業務や研修の実態に関す

る調査などに取り組んでいる。

Page 17: 特別企画 目次 - Japanese Nursing Association第50回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集(2019) ― 21 ― 第50回日本看護学会―看護教育―学術集会

第 50 回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集 (2019)

― 45 ―

第1日

第 50 回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集 (2019)

特別講演1 パンダの子育てを通して学ぶ人材育成

パンダの子育てを通して学ぶ人材育成

講師 熊川 智子 アドベンチャーワールド飼育部 セクションマネージャー

絶滅のおそれがあるパンダは個体数を維持するため、従来、生まれてすぐ母親から引き

離し、人の手で飼育されてきた。しかし、この場合は積極性に欠ける、母性に関心がない

などの課題があり、和歌山県白浜町のテーマパークでは母と子どもを引き離さず一緒に過

ごさせる飼育方法で、世界屈指の繁殖の実績をあげている。「育てる」という原点にたって

「人を育てる」という意味を考える。 パンダは出産後には疲労のため児に授乳しない時間が長く、児が危険な状態になること

もある。しかし、ここの飼育員は母親が持っている母性を信じ、自ら授乳するのを待つと

いう独特の飼育方法を実践してきた。人を育てることにおいても同様で、もてる力を見出

し、信じて待つことも人と人との関係性の構築に繋がる。 また、パンダの飼育はチームで取り組んでいることから、「組織で人を育てる」ことをメッ

セージとして伝えられる。 育てることの意味を考え、看護職育成の鍵を得ることができ、組織で育てることやチー

ムでの有効な人材活用のヒントが得られる。

プロフィール

1972 年東京都に生まれ、物心付いたときから動物が大好きで、

近所で犬や猫を拾ってきては親に怒られていた。動物好きが高じ

て、飼育員を目指して都内の専門学校に進学。恩師にアドベン

チャーワールドを勧められて即決した。専門学校卒業後の 1993年に株式会社アワーズ(アドベンチャーワールド)に入社、最初

は馬やポニー、小動物、カバなどを担当した。2003 年にパンダ担当となりますが、

3 年後に一旦現場を離れ、営業や企画、広報を担当し、2012 年に再びパンダを担当

するようになり、数名からなるチームを率いて、リーダーとして永明(えいめい)、

良浜(らうひん)をはじめとするアドベンチャーワールドのパンダたちを見守り続

け、ジャイアントパンダをはじめとする動物の繁殖に取組んでいます。

Page 18: 特別企画 目次 - Japanese Nursing Association第50回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集(2019) ― 21 ― 第50回日本看護学会―看護教育―学術集会

― 54 ―

第 50 回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集 (2019) 第 50 回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集 (2019)

交流集会(指定)1 看護基礎教育制度改革をふまえた保健師教育・助産師教育のあり方

看護基礎教育制度改革をふまえた 保健師教育・助産師教育のあり方

座長 鎌田 久美子 公益社団法人日本看護協会 常任理事 井本 寛 子 公益社団法人日本看護協会 常任理事

少子高齢化が進む中、地域医療構想に基づく医療提供体制の構築と地域包括ケアシステ

ムの推進にむけ、看護職の役割や活動の場は、ますます拡大し、多様な場において多職種

と連携し保健・医療・福祉を提供することが期待されている。また、住民・患者の多様性・

複雑性に対応したさらなる看護の専門性の発揮が求められている。 2018 年 4 月から厚生労働省に「看護基礎教育検討会(以下 検討会)」が設置され、地

域包括ケア時代を支える看護の実現にむけ、看護職に求められる能力と、基礎教育におい

て、習得すべき能力を養うために必要な教育内容・方法に関して議論が行われている。そ

のなかで、強化すべき役割や能力として、保健師においては、今後の医療提供体制を踏ま

えた地域包括ケアシステム等の構築に向けてシステム化・施策化する能力や、大規模災害

等の健康危機への予防策を講じ、発症時及び発症後に適切に対応する健康危機管理能力等

が求められている。また、助産師においては、合併症を持つ妊産婦等のハイリスク対象者

が増加していることから、対象者を適切にアセスメントするための臨床推論力や、リプロ

ダクティブヘルス/ライツに基づいた支援、ライフサイクル全ての対象者に適切に支援が

できるウイメンズヘルスケア能力の強化が求められている。 そこで、本セッションでは、検討会での議論を踏まえ、看護基礎教育を取り巻く環境や

国の動向について理解を深め、これからの保健師・助産師の基礎教育のあり方・方向性に

ついて、意見交換を行い、今後強化・拡大すべき保健師・助産師の基礎教育の実現と、課

題解決にむけた方向性を得る場としたい。

プロフィール

鎌田久美子 1978年保健師として福岡県庁入庁。保健所、精神保健福祉センター、本庁等での

勤務を経て、2014年県糸島保健福祉事務所副所長、2015年県保健医療介護部医

療指導課医師・看護職員確保対策室室長。2014~2015年には全国保健師長会の

会長を務めた。38年間勤務した県庁を2016年3月に定年退職し、同年4月から2年間、公益財団法人福岡県すこやか健康事業団福岡国際総合健診センター長。2018年6月から公益社団法人日本看護協会常任理事。

井本 寛子

1992年より日本赤十字社医療センター、1994年より柏原赤十字病院、1996年か

ら日本赤十字社医療センター助産師。この間、大学院で経営学研究科医療管理学

修士を取得。 2006年から看護師長、2010年から看護副部長、2017年4月から2018年5月まで周

産母子小児センター副センター長。同年6月から公益社団法人日本看護協会常任

理事。

交流集会(指定)1

第1日

Page 19: 特別企画 目次 - Japanese Nursing Association第50回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集(2019) ― 21 ― 第50回日本看護学会―看護教育―学術集会

第 50 回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集 (2019)

― 55 ―

第 50 回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集 (2019)

交流集会(指定)1

第1日

交流集会(指定)1 看護基礎教育制度改革をふまえた保健師教育・助産師教育のあり方

看護基礎教育制度改革をふまえた保健師教育のあり方

講師 岸 恵美子 東邦大学看護学部/大学院看護学研究科 教授 一般社団法人全国保健師教育機関協議会 会長

一般社団法人全国保健師教育機関協議会(以下、本法人)は、保健師教育の充実を図り、

公衆衛生の向上に寄与することを目的に活動する、保健師教育機関を会員校とする団体で

ある。 2009 年の保健師助産師看護師法の一部改正により、保健師国家試験受験資格のための教

育期間は 6 か月以上から 1 年以上に延長され、保健師教育は、多様な教育課程で展開する

ことが可能となった。また 2011 年には保健師助産師看護師養成所指定規則が改正され、保

健師国家試験受験資格取得に必要な単位数は、23 単位から 28 単位に増加し、そのうち実

習科目の単位数も 4 単位から 5 単位へと増加した。 しかし、少子高齢化の進展、健康格差の拡大、頻発する災害、国際的な感染症対策、虐

待予防、地域包括ケアシステムの構築など、保健師には、複雑で深刻な健康問題に対応で

きる公衆衛生看護の高度な実践能力がますます求められており、現在の教育では必ずしも

十分とは言えない。本法人が厚生労働省医政局看護課看護職員確保対策特別事業(2017 年度)として実施した保健師基礎教育調査の結果から、保健師課程の教育において、主体的

な実習が行われておらず、卒業時の到達度が低いことが明らかとなった。また、実習の主

体的な体験項目の割合、卒業時の到達度、国家試験合格率、就職割合など、すべてにおい

て、「大学院」、「1年課程養成所」が他の教育課程に比較して高い結果となり、質の高い保

健師を育成するためには、教育内容だけでなく、教育課程や教育環境の整備も検討すべき

喫緊の課題であることが示された。 本セッションでは、厚生労働省および文部科学省における検討会の議論を踏まえ、強化・

拡大すべき保健師基礎教育のあり方とその課題について、皆様と共有し議論したい。

プロフィール

日本赤十字看護大学大学院博士後期課程修了(看護学博士)。1982 年より東京都板

橋区・北区で 16 年間保健師として勤務した後、自治医科大学講師、日本赤十字看

護大学准教授、帝京大学教授を経て、2015 年より東邦大学看護学部/大学院看護学

研究科教授。 2010 年より一般社団法人全国保健師教育機関協議会 副会長(~2014 年 6 月) 2016 年より保健師助産師看護師国家試験委員会 副委員長(~2019 年 3 月) 2017 年 6 月より一般社団法人全国保健師教育機関協議会 会長(現在に至る)。 日本公衆衛生看護学会理事、日本地域看護学会理事。

Page 20: 特別企画 目次 - Japanese Nursing Association第50回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集(2019) ― 21 ― 第50回日本看護学会―看護教育―学術集会

― 56 ―

第 50 回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集 (2019) 第 50 回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集 (2019)

交流集会(指定)1 看護基礎教育制度改革をふまえた保健師教育・助産師教育のあり方

看護基礎教育制度改革をふまえた助産師教育のあり方

講師 井村 真澄 日本赤十字看護大学大学院国際保健助産学教授 前全国助産師教育協議会会長

わが国では、世界に類を見ない超少子高齢化、地域・家族機能の脆弱化が加速する一方

で、女性の職業生活における活躍推進(2015)が進められ、女性のリプロダクティブヘル

ス・ライツや子どもをはぐくみ育てる環境は著しく悪化しています。 そのような時代に、助産師は生涯にわたる女性の健康や、安全・安心・安楽な妊娠・出

産・産後と、新たな子どもと新たな家族の誕生と健全な成長を支える専門職として、高度

医療現場と地域・在宅の場を含む次世代育成包括ケアシステムにおいて、多職種と協働・

連携しながら多様な役割を果たしていくことが求められています。 助産師教育においては、昭和 26(1951)年以来約 60 年の長きにわたり 6 か月であった

修業年限が、2010 年から 1 年以上になりました。国際助産師連盟 International Confederation of Midwives: ICM が推奨している「看護の基礎教育修了者に関する助産教

育課程の最短期間 18 ヵ月間」には及ばないものの、保助看法制定時(昭和 23 年)の教育年

限 1 年以上に復帰した画期的な改正となりました。 この間、時代の要請に対応するカリキュラム改正が行われ、現在も、現行教育卒業時到

達レベルの過不足を判別した調査結果(全国助産師教育協議会,2016,2018,他)を踏ま

え、「看護基礎教育検討会」(厚生労働省)と「大学における看護系人材の在り方に関する

検討会」(文部科学省)にて、現在進行形で熱心な教育検討が行われ、令和 4(2022)年度

から新カリキュラムによる教育が開始される予定です。 全国助産師教育協議会では、国内外の動向を踏まえ、女性・子ども・家族・地域・社会

の健康と幸福に寄与できる助産師を育成するために、「将来ビジョン 2015」を策定してお

り、ビジョン 1 として「助産師教育期間は、看護基礎教育を基盤の上に 2 年とする。」を掲

げています。現在、「現行の助産師教育(1 年以上・28 単位以上)におけるコアカリキュラ

ム 2018」と「大学院における助産師教育モデル・コアカリキュラム 2018」をお示しし、

さらに新たな時代を見据えた「望ましい助産師教育(案)」の検討を進めています。 わが国の助産師養成は各種学校から専門職大学院を含む 8 種類の教育課程で行われてお

り、ビジョン 1 の実現に向けた道のりは険しく困難を伴います。しかし、高度化し広範化

する社会のニーズに対応できる質の高い助産実践能力を備えた助産師育成のため、このビ

ジョンの実現に向けて進んでいきたいと考えています。

プロフィール

学歴 2006 東京大学大学院医学系研究科博士課程修了 職歴 1979~ 聖路加国際病院、日本赤十字看護女子短期大学 1986~ 母子愛育会総合母子保健センター(愛育病院) 1993~ 聖路加国際病院 2010~ 現在:日本赤十字看護大学母性看護学・大学院国際保健助産学教授

東京大学大学院・東京医科歯科大学大学院・聖路加看護大学大学院非常勤講師 資格など 1979 看護師 保健師 助産師 1999 国際認定ラクテーション・コンサルタント IBCLC(2004、2009、2014 年

再認定) 2006~ ラクテーション・コンサルタント資格試験国際評議会 IBLCE 日本カント

リーコーディネーター

交流集会(指定)1

第1日

Page 21: 特別企画 目次 - Japanese Nursing Association第50回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集(2019) ― 21 ― 第50回日本看護学会―看護教育―学術集会

第 50 回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集 (2019)

― 63 ―

第 50 回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集 (2019)

第1日

交流集会1 チームサイエンス:医療安全教育における看護教員と臨床看護師の連携~研鑽支援モデル「コンテンツ共有システム」活用の可能性~

チームサイエンス: 医療安全教育における看護教員と臨床看護師の連携

~研鑽支援モデル「コンテンツ共有システム」活用の可能性~

企画代表者: 竹中 泉 大阪信愛学院短期大学看護学科

企画協力者: 衣川さえ子 東京医療保健大学東が丘・立川看護学部

岩本 郁子 東京医療保健大学東が丘・立川看護学部

安全で安心な医療を提供するため、医療安全に対する教育研修は不可欠です。医療安全

の課題は、エラーを起こさない知識と技術(Safety-Ⅰ)とマニュアル通りに行かない現場

への対応力(Safety-Ⅱ)を如何にうまく発揮するかという、新たなステージを迎えていま

す。Safety-Ⅱでの取り組みについて、エリック・ホルナゲルは事故やトラブルは危険につ

ながる要因を取り除く方策だけでは避けられないことから、「うまくいくこと」の理由を調

べ、それが起こる可能性を増大させることが必要と述べています。臨床の問題は、日常の

パフォーマンスが変動の予期しない組み合わせにより発生するので、日常のうまくいって

いる行動を理解し、パフォーマンスの多様性とその調整から学ぶことが本質であるといわ

れています。これからの看護安全を推進するには、看護学生から一貫した医療安全教育が

必須です。しかし、看護基礎教育機関および臨床で医療安全教育を担える人材が不足して

います。新たな担当者は、限られた時間内で必要な教育内容を理解し、適切な教材を準備

することは容易ではありません。そこで、企画者らは、看護教員と臨床看護師が医療安全

教育に関する教育実践知を共有でき、現場で仕事を通して研修できる新たな「研鑽支援モ

デル」の構築に取り組んでいます。モデルは、1)管理者(申請者ら)が医療安全教育の実践事

例を「コンテンツ共有システム」内で蓄積・管理する、2)利用登録者が閲覧し、ヒントを得

て医療安全教育を実施する、3)その実践事例を提供するという営みに加え、4)管理者が教育

実践上の疑問への示唆や教育方法に関する情報等を提供する、Web 上のコミュニケーショ

ンによる相互学習システムです。これは、異なる分野の研究者が協働して知的成果を産み

出すチームサイエンスとして、新たな方法を提案するものです。コンテンツ共有システム

の運用を 2019 年 5 月より開始しています。交流会では、具体的なコンテンツの活用方法を

紹介します。看護教員と臨床看護師との連携の実際を知っていただき、システム参加への

疑問点などの率直な意見交換を展開します。コンテンツ共有システムの活用により、看護

基礎教育および臨床研修に携わる皆様の医療安全教育の内容がより適切なものに向上する

ことを願っています。医療安全教育の推進に熱意ある参加者との活発な意見交換ができる

ことを期待しています。

Page 22: 特別企画 目次 - Japanese Nursing Association第50回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集(2019) ― 21 ― 第50回日本看護学会―看護教育―学術集会

― 64 ―

第1日

第 50 回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集 (2019) 第 50 回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集 (2019)

交流集会2 気になる学生のよりよい臨地実習指導方法の創造を目指して、一緒に考えてみませんか?

気になる学生のよりよい臨地実習指導方法の創造を 目指して、一緒に考えてみませんか?

企画代表者: 富 澤 弥 生 東北福祉大学健康科学部保健看護学科

企画協力者: 一ノ瀬 まきの 東北福祉大学健康科学部保健看護学科

高 田 昭 東北福祉大学健康科学部保健看護学科

<目的>発達障害の基本的知識をふまえたうえで、気になる学生の実例や対応、指導時の

気持ちと対処法、等をグループワークで話し合い、これからの臨地実習指導のヒントや問

題解決の糸口をみつけ、よりよい臨地実習指導方法の創造を目指します。 <概要>臨地実習において、ふだん通りの指導ではうまくいかないため、指導に困難を感

じ、気になる学生はいませんか。臨地実習指導において、コミュニケーションが苦手、こ

だわりが強い、人との適度な距離がわからない、落ち着きがない、忘れ物が多い、時間管

理ができない、等、発達障害の特徴をもつ学生に出会ったことがあると思います。看護基

礎教育において、発達障害のある学生への指導や支援方法が確立しているとはいえず、と

くに臨地実習においては、学生も指導者も教員も困難を感じているのが現状だと思われま

す。 今回の企画者は、小児看護学実習および精神看護学実習を指導している大学教員で、実

際に気になる学生の指導を経験してきました。さらに、小児看護 CNS として「(発達が気

になるこどもの)子育て支援(看護専門)相談室」での実践活動、保護者や支援者に対し

ての講演活動、6 年前から県の看護協会の実習指導者講習会において「看護学教育方法Ⅱ~

気になる学生の指導~」の講義を担当している教員がいます。講義後は具体的な質問が多

く、多くの指導者が困難を感じていることが伝わってきます。 今回、第一部として、その講義の中から、発達障害の基本的な知識、および発達障害の

あるこどもへの効果的な対応の基本をご紹介し、参加者とともに確認していきます。その

後、第二部として、実習指導者と教員が同じグループになり、両方の立場から意見交換を

行いたいと考えています。 意見交換のテーマは、①これまで経験した気になる(指導に困難を感じた)看護学生の

実例、②うまくいった対応・うまくいかなかった対応、③その際、自分が抱いた気持ち、

その原因と対処法、等です。 具体的な実例から、気になる学生のよりよい臨地実習指導方法の創造をみんなで目指し

たいと考えています。同時に、指導者や教員が抱く困難感に着目し、対処法を知ることに

つなげたいと考えています。企画者には、精神看護 CNS の教員もおりますので、一緒に考

えていきましょう。これからの臨地実習指導のヒントや問題解決の糸口をみつけてもらえ

たらと思います。是非ご参加ください。

Page 23: 特別企画 目次 - Japanese Nursing Association第50回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集(2019) ― 21 ― 第50回日本看護学会―看護教育―学術集会

― 66 ―

第 50 回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集 (2019) 第 50 回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集 (2019)

ランチョンセミナー1 相互接続防止コネクタに係る国際規格の導入について

相互接続防止コネクタに係る国際規格の導入について 講 師: 平田 勇貴 ニプロ株式会社企画開発技術事業部 国内商品開発・ 技術営業本部ホスピタルケア商品開発・技術営業部 二課 経腸栄養関連製品 製品担当者

座 長: 西 未知子 橋本市民病院 看護部長

共催企業: ニプロ株式会社

コネクタの誤接続による医療事故事例が国内外で報告されており、これまで経腸栄養ラ

インと輸液ラインが物理的に接続できないよう基準を改正する等の対応がなされてきまし

た(「医療事故を防止するための医療用具に関する基準の制定等について(注射筒型手動式

医薬品注入器基準等)」(平成 12 年 8 月 31 日付け医薬発 888 号通知))。 近年、ベッドサイドで起こりうるコネクタの誤接続を防止するため 6つの分野において、

国際規格の制定が進められてきました。本国においても、誤接続防止による医療安全の向

上や国際整合による製品の安定供給確保の観点から、国際規格の導入が検討されてきまし

た。 数年にわたる検討が続けられた結果、「相互接続防止コネクタに係る国際規格(ISO(IEC)

80369 シリーズ)の導入について」(平成 29 年 10 月 4 日付け医政総発 1004 第 1 号、薬生

薬審発 1004 第 1 号、薬生機審発 1004 第 1 号、薬生安発 1004 第 1 号通知)が発出され、

段階的な誤接続防止コネクタの国内導入が決定されました。 直近でコネクタの切替が行われる予定の 2 分野(神経麻酔、経腸栄養)について、背景

含む全体像から実際販売を予定されている製品についてご紹介いたします。

第1日

ランチョンセミナー1

Page 24: 特別企画 目次 - Japanese Nursing Association第50回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集(2019) ― 21 ― 第50回日本看護学会―看護教育―学術集会

第 50 回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集 (2019)

― 67 ―

第 50 回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集 (2019)

第1日

ランチョンセミナー2

ランチョンセミナー2 『良く眠れる眠りのお話し!?』~睡眠の質を上げるヒケツとは!?~

『良く眠れる眠りのお話し!?』 ~睡眠の質を上げるヒケツとは!?~

講 師: 青木 勝則 (社)日本睡眠教育機構認定睡眠健康指導士 東洋羽毛工業株式会社/営業開発部/マネージャー

共催企業: 東洋羽毛関西販売株式会社

高度に成熟した日本社会は、生活が便利・快適になり 24 時間眠らない社会となっていま

す。その中で、本来人間に備わっている体内時計が乱れ、睡眠トラブルや健康問題を抱え

ている人が国民の 1 人/5 人~3 人という状況になっています。 専門家による睡眠の研究が進み、睡眠トラブルが、子供の心身の成長や学力に影響した

り、成人でも生活習慣病などの因子となったり、また、重大な産業事故・交通事故のリス

クを高める要因であることが解明されてきました。 情報機器の急速な普及や24時間社会の中で、普通に生活しているだけで体内時計が乱れ、

それにより自律神経の働きやホルモンの分泌が乱れ、生活の質の低下をまねきやすくなっ

ています。 私たちは毎日、眠りますが、その間に営まれる様々な働きが、翌日の心身の状態を左右

させます。 その中で『成長ホルモン』は寝入ってから最初の深い眠りが訪れると、まとまって分泌

されます。 成長ホルモンは骨や筋肉、お肌や髪の毛にも影響を与え、若返りの効果がとても高い物

質のため出来るだけ多く分泌させたいものです。 疲れをとり、身体の修復作業をする成長ホルモンが出る最初の 3 時間に『質の良い睡眠』

を取れるかどうかが非常に大切なポイントとなります。 そして、看護職には避けては通れない夜勤。それによる睡眠の質の低下を少しでも補う

仮眠の効果のお話を通して、看護職の皆様がキラキラと輝いて生活・仕事をされるヒント

になれば幸いです。

プロフィール

株式会社ユニバーサルエンターテインメント(JASDAQ 上場) コナミホールディングス株式会社(東証 1 部上場) 上記で営業から管理職を通じてパチンコ・スロットメーカーとして日々売り込みを

しておりましたがどうしても入替の時間帯がパチンコ終了後に立会いや作業となる

ケースが大半でありました。 朝から夜中まで働く環境に自身の体内時計の乱れが生じ睡眠に異変を感じ疑問を持

ちました。 そんな状況で正しい睡眠知識の普及に携われる仕事がしたいと思い現在に至ります。 睡眠健康指導士とは

一般社団法人「日本睡眠教育機構」(JSES)が認定する資格です。JSES は「睡眠

学に関する教育を通じて正しい睡眠知識を社会の人々に伝え、国民の健康増進に

寄与することのできる人材を養成するために、睡眠健康指導士の養成と資格認定

をおこなっています。

Page 25: 特別企画 目次 - Japanese Nursing Association第50回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集(2019) ― 21 ― 第50回日本看護学会―看護教育―学術集会

一般演題 第1日

Page 26: 特別企画 目次 - Japanese Nursing Association第50回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集(2019) ― 21 ― 第50回日本看護学会―看護教育―学術集会

― 71 ―

第1日

第 50 回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集 (2019)

口演1-1

バイセクシュアルの看護学生の学校生活の様

相と支援

キーワード:バイセクシュアル 看護学生 TEM 図

○北出 千春1),上田 恵2),中村 乃利子3), 上野 由美4)

1) 田北看護専門学校 2) 新潟県立看護大学 3) 所属なし

4) 奈良県医師会看護専門学校

【はじめに】バイセクシュアルは、自己の性指向において

他者に理解されない苦しみを抱えながら学校生活を送っ

ている。【目的】バイセクシュアルの看護学生の学校生活

における問題と解決方法を調査し、その支援について検討

する。【方法】研究協力者はバイセクシュアルと自認して

いる看護専門学校卒業生 1 名(A学生)、分析方法は TEM(複

線径路・等至性モデリング)を用いた。【倫理的配慮】A県

看護教員研究会の倫理審査の承認(承認番号 29-4)を得た。

対象者から自由意思による承諾と不利益を回避するため

の配慮を行った。【結果】【考察】A学生は【入学前にリサー

チした制服と白衣 BFP】により【ユニセックスなユニホー

ム SD】であった看護学校を選択して【入学する】。【同性と

の恋愛 BFP】があったが【偏見を感じないクラスメイト SG】

と【性差別を感じない教師陣 SG】という学校環境の中で【自

分らしく振舞い隠さない】学校生活を送っていた。【戴帽

式 OPP】では【性の多様性に配慮されていない儀式 SD】で

あり【我慢を強いられる性別が強調されたキャッピング】

という経験をした。【性役割が強調された授業 OPP】では【性

の多様性を前提とした講義 SG】であったため【一般論とし

て受け止めていた母性の授業】となった。【バイセクシュ

アルの自分を認めてくれた母親のような姉の存在 SG】がア

イデンティティを支えた。【別れ話によるジェンダーアイ

デンティティの揺らぎ】があった。別れの原因は【愛しあっ

ていた人からの性差別 SD】であった。そこで【立ち直れな

い性差別を受けた別れ方】を経験した。このころ【臨地実

習 OPP】が始まった。【患者とのケアリング関係 SG】と【教

師の良い意味での甘さ SG】が支えとなった。しかし【自己

概念の支援不足 SD】により【傷つかない割り切った恋愛観】

を持ち【卒業 EFP】に至った。【結論】1.ユニホームや制

服についてリサーチし、自己のジェンダーアイデンティ

ティが脅かされない学校であるかどうか査定をしていた。

2.戴帽式には、性差別的要素が含まれている。3.性役割が

強調される授業科目でも、性の多様性が前提ならば、一般

論として受け止めることができる。4.信頼している人から

の性差別は、ジェンダーアイデンティティに大きく影響す

る。5.患者や家族・友人との関係性でアイデンティティは

保たれる。6.自己概念が肯定される支援が重要である。

口演1-2

看護職志望動機に関する文献検討

-看護系大学の学生を対象とした研究の分析-

キーワード:看護 志望 動機 看護系大学 学生

○山口 幸恵1),北島 元治1),細矢 智子1), 河津 芳子1)

1) 常磐大学

【はじめに】教員にとって学生の看護職志望動機の把握は,

学修やキャリア発達支援において重要な情報となる.本研

究は学生の看護職志望動機の調査に先立ち,学生が認識す

る看護職志望動機は何かを把握するため,看護系大学の学

生を対象に看護職志望動機を調査した文献を検討した.

【目的】看護系大学の学生を対象に看護職志望動機を調査

した文献を検討し,看護系大学に入学した学生の看護職志

望動機の類似性を明らかにする.【方法】1.文献収集・選

定:保健師助産師看護師学校養成所指定規則が制定された

1951 年から,直近の 2017 年までの文献を対象に,検索語

「看護」「志望」「動機」をかけあわせ,医中誌 Web 版およ

び CiNii Articles にて 61 件.国立国会図書館医学中央雑

誌や抽出文献の参考・引用文献等よりタイトルをもとに関

連文献 49 件.あわせて 110 件の重複整理,概観を経て文

献研究等を除外し 59 件を抽出.このうち看護系大学の学

生を対象とした 17 件を選定した.2.看護職志望動機の分

析:看護職志望動機を表す項目の意味内容の類似性を研究

者間で検討,集約し,カテゴリー名を付した.【結果】分

析対象とした文献は,1989 年~2017 年の間にあった.看

護職志望動機を表す 265 項目は,《1.選択の契機》《2.職

業の価値認識》《3.経済的能力の獲得》《4.看護職への関

心》《5.自己実現》《6.看護職への思い》《7.事象への関

心》《8.宗教観》《9.看護職志望以外の理由》《10.大学

志向》《11.看護学部・学科選択理由》の 11 カテゴリーと

なった.このうち,カテゴリー《3》を形成した看護職志

望動機は,全対象文献に存在した.【考察】《1.選択の契

機》が最も多く選択される動機であり,自身の体験や身近

なモデルの存在,職業適正に関する情報が,学生を看護職

へと動機付けることを示す.また,《3.経済的能力の獲得》

は,時代の変遷を経ても変わらず存在する看護職志望動機

と言える.さらに,《10.大学志向》《9.看護職志望以外

の理由》は,大学入学を優先とし,看護職への就業を意図

しない学生が存在する可能性を示す.【結論】看護職志望

動機には,《3.経済的能力の獲得》のように時代の変遷を

経ても変わらず存在する動機や大学入学を優先した動機

等が存在する.本研究結果は,多様化する学生の看護職志

望動機の把握を目指す調査の参考資料として活用可能で

ある.

Page 27: 特別企画 目次 - Japanese Nursing Association第50回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集(2019) ― 21 ― 第50回日本看護学会―看護教育―学術集会

― 72 ―

第 50 回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集 (2019) 第 50 回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集 (2019)

口演1-3

高齢者疑似体験における社会人基礎力の発揮

できた要素

キーワード:高齢者疑似体験 社会人基礎力 看護学生

○岡田 陽子1),福永 聖子1),菅原 睦子1), 塩川 優子1),五味 淳子1)

1) 昭和大学医学部附属看護専門学校

【はじめに】超高齢社会が進むわが国において、看護の対

象者は、様々なライフイベントを生き抜いてきた高齢者の

多様性に応える実践能力が求められている。その実践能力

を高める基盤として「高齢者疑似体験」は重要である。こ

の高齢者疑似体験は、実践での活用につながることは示唆

されており、さまざまな経験や活動を通して相互に影響し

合いながら高まっていく性質をもっている。この性質は、

社会人基礎力を意識づけていくうえでも重要である。社会

人基礎力は、「人との交流、異質な世界との出会いや評価

を体験する過程」が育成過程そのものだといわれている。

この育成過程は、看護基礎教育において入学して間もない

体験学習と重なる。先行研究では、高齢者疑似体験の学習

効果を示唆しているが、グループでリフレクションする学

習条件を含めた看護学生(以下、学生)の社会人基礎力に

ついて可視化されていない。また、新人教育や看護学生全

体の社会人基礎力の比較研究であり、入学間もない学生の

体験学習に関連した社会人基礎力の要素を明らかにして

いる研究は現在のところ見当たらない。【目的】高齢者疑

似体験のリフレクションをした看護学生の社会人基礎力

の発揮できた要素を明らかにする。【方法】データ収集期

間:20XX 年 5 月から 6月、A 専門学校1学年 179 名、調査

内容:社会人基礎力の発揮できた高齢者疑似体験の要素つ

いて調査した。分析は単純集計。【倫理的配慮】研究者が

学生へ研究目的、方法、研究参加の自由意思の尊重と不参

加でも不利益のない保障など、文書と口頭で説明し同意を

得た。なお、この研究は昭和大学の人を対象とする研究等

に関する倫理委員会の審査により承認を受け開始した(承

認番号 2537)。【結果】回収率 64.2%。学生の属性は、高

齢者体験の経験者が 62.7%、高齢者と触れ合う時間が月に

1回以上の者が 55.7%、模擬体験をとおして高齢者の気持

ちを理解できた者が 79.1%であった。社会人基礎力の発揮

できた要素には、12 の能力要素と倫理の全てが体験の中に

含まれていることが明らかとなった。【考察】高齢者疑似

体験は、看護学生の社会人基礎力を発揮できる体験であり、

高齢者を知りたいという内発的動機づけが関連している

ことが考えられる。【結論】入学間もない学生の高齢者疑

似体験には、社会人基礎力を発揮できる要素がある。

口演1-4

看護学生の学習活動と実習体験による陰性感

情およびレジリエンス得点の検討

キーワード:臨地実習 看護学生 陰性感情 レジリエンス

実習体験

○榎並 智子1),辰巳 多英子1)

1) 社会福祉法人恩賜財団済生会中和病院

【はじめに】臨地実習は看護学生にとって思考力と応用力、

さらに主体性が求められ強いストレスや困難を感じる場

所である。学生が実習中に体験した陰性感情に対してどの

ように乗り越えているのか、学習活動への態度や実際とど

のような関連があるのか、どのような支援が求められてい

るのか明らかにされていない。【目的】実習中に体験した

陰性感情の要因を明らかにし支援方法を見出す【方法】臨

地実習を修了した看護学生 120 名以上を対象に調査票を配

布し回収を行った。二次元レジリエンス尺度、学習活動自

己評価尺度は 5 段階評定で行い各項目の合計を尺度全体、

下位尺度の得点とした。また実習中の体験で感じた感情の

度合いを 4段階リッカート法で求め、感情が強度であるも

ののみ要因について回答を求めた。【倫理的配慮】研究の

目的と具体的な方法、研究協力の自由意思、個人情報は即

座にデーターとして数値化し個人が特定されないように

する事、本研究目的以外に使用しないことを調査票に明記。

さらに同意の意思確認は調査票の回収をもって同意され

たと判断する事、全国学会での公表を予定している旨を記

載し、済生会中和病院の倫理審査委員会において承認を得

た後、調査を開始した。【結果】調査票は 173 名に配布し、

回収数は168名で平均年齢は22.5歳、男性8.9%、女性91.1%、

社会経験を有するものが 20.2%だった。二次元レジリエン

ス尺度や学習自己評価尺度と実習体験で感じた感情の度

合いとの因果関係は明らかにならなかった。実習体験での

感情の度合いについて平均得点が一番高かったのが「つら

さ」であった。「つらさ」「悲しさ」「楽しさ」「うれしさ」

4 つの感情すべての中で病棟スタッフに関する要因が高く

見られた。【考察】基本属性から看護学生のダイバシティ

が認められており、個々に対応した実習指導が必要と考え

る。看護学生は実習の場で看護過程を学びつつ、看護師と

してどのように働いているのか、看護はどこにあるのか、

看護の喜びについてなど探索行動を繰り返し看護師とし

てのアイデンティティを確立していると考える。【まとめ】

関わりの多い実習指導者でなく病棟スタッフの与える影

響が大きい事からスタッフが指導者の一人として自覚し、

コミニュケーションが取りやすい雰囲気を心がけながら

実習環境を整えたり、指導する立場として看護師のモデル

となれるように意識し自己研鑚していく事が必要である。

Page 28: 特別企画 目次 - Japanese Nursing Association第50回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集(2019) ― 21 ― 第50回日本看護学会―看護教育―学術集会

第 50 回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集 (2019)

― 73 ―

第1日

第 50 回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集 (2019)

口演1-5

実習前半と後半の実習ストレスの比較

キーワード:看護実習 メンタルヘルス 実習ストレス

○堀米 美智枝1),板垣 惠子1)

1) 東北文化学園大学

【はじめに】A 大学看護学科の学生を対象とした先行研究

で、学生の心理特性は、ストレスをためやすい悪性ストレ

ス気質である執着気質と不安気質が該当気質であった。

【目的】メンタルヘルスが不良となる要因を知るため実習

前半(3 年次 11 月~12 月)と実習後半(4 年次 6~7 月)

に実習ストレス 14 因子を比較した。【方法】調査方法:無

記名自記式質問紙調査法調査対象:A 大学看護学科 3・4 年

生のべ 381 名調査期間:2012 年 6 月~2016 年 6 月までの縦

断的研究分析方法:Mann-Whitney-U-test(2 群間に対応な

し)調査内容:実習ストレス 14 因子【倫理的配慮】研究の

目的・方法を説明し、回答をもって同意とする、回答は自

由意思であり、回答しないことで不利益は生じない、個人

情報は保護されることを口頭と書面で説明した。A 大学倫

理審査委員会の承認を得ている。【結果】実習前半と実習

後半で実習ストレス 14 因子の合計点は、1%水準で有意に

低下していた。また、実習ストレス 14 因子の中の「患者

から拒否」が 1%水準で有意に低下、「授業と違う」が 5%水

準で有意に低下していた。他の 12 因子に有意な差は認め

られなかった。【考察】メンタルヘルスの指標としての主

観的健康度や GHQ12 は、ストレスの度合いを推測すること

ができるが、実習で感じる具体的なストレスの内容につい

て知ることはできない。実習ストレス 14 因子は、実習で

遭遇する具体的な内容を知ることができる。実習ストレス

因子「患者から拒否]は、実習後半は有意に低下している

ことが本調査で明らかになった。学生が受け持つ患者は、

疾患や障害を持ち、受け持ち同意後も、必ずしも学生の未

熟な看護技術を受け入れられる心身の状態ではないこと、

しかし、実習後半は、学生の看護技術の習熟により、実習

ストレス因子「患者から拒否」は低下したと考えられる。

また、実習後半には、看護技術は一様ではなく、個々の対

象にあった看護技術を行うことの必要性を理解できてき

たため実習ストレス因子「授業と違う」が低下していると

考えられる。いずれも実習への適応と考えられる。【結論】

実習前半と実習後半で主観的健康度と GHQ12 に有意な差は

なかったが、実習ストレス 14 因子の合計点は、1%水準で

有意に低下した。その中でも実習ストレス因子「患者から

拒否」、「授業と違う」が低下し、実習への適応が示唆され

た。

口演2-1

看護師養成所の卒業時、就職 6 ケ月時点の看護

技術到達度調査と今後の課題

キーワード:看護師養成所 卒業生 看護技術 看護基礎教

育 看護実践能力

○野崎 由美子1),水野 友紀1),上野 栄一2)

1) 富山市立看護専門学校 2) 福井大学学術研究院

【はじめに】A 校の教育目的の達成度を評価するため卒業

生の看護技術到達度を調査した。看護技術到達度に関与す

る影響要因を分析することで養成所および就職先での支

援について示唆を得たのでここに報告する。【目的】A校に

おける卒業時と就職 6ケ月時点の看護技術到達度とその影

響要因の実態を探り、今後の課題を明確にする。【方法】

対象2018年4月に入職した就職6ケ月時点の看護師36名。

方法 1)卒業時の看護技術到達度チェック表(A 校が厚生

労働省(2008)の示す技術項目 142 技術を基に 81 技術に

まとめた)の活用の同意を得た。2)就職 6 ケ月時点の看

護技術到達度について 4 段階(A 先輩看護師の指導で単独

での実施、B 先輩看護師の見守りで主体となり実施、C 先

輩看護師の指導で主体となり援助の一部を実施、D 知識と

してわかる)で作成調査した。プリセプター・同期からの

支援内容、自己学習の材料を調査した。【倫理的配慮】参

加は自由意思であり拒否しても不利益はないこと、研究以

外には使用しないことを説明。A 校の同設置主体である B

病院倫理委員会の審査を受けた(審査番号 2018-10)。【結

果】19 名回答(有効回答 16 名)。看護技術到達度は卒業時

より就職 6 ケ月時点で上昇した。そのうち 16 技術で有意

差を認めた。卒業時と就職 6ケ月時点の看護技術到達度の

変化とプリセプターからの支援で 8技術、同期からの支援

で 9技術に有意差を認めた。「見て学ぶ」「振り返る」など

で看護技術の想起を行っていた。【考察】卒業前に単独で

できなかった看護技術に関して、デューイの直接的経験の

必要性とショーンの反省的実践家の概念から就職後先輩

看護師を見て学び、経験後うまくいかなかった要因やエピ

ソードを振り返り、今後活用するため概念化した。そして、

何度も経験や省察を繰り返すことで看護技術の向上に繋

げたと考える。さらに同期との交流の際、学び合いや意見

交換を行うことで自分が経験した看護技術を振り返るリ

フレクションが直接的経験への意欲に繋がり、協同学習経

験が直接的経験を後押ししたと考える。【結論】1.就職 6

ケ月時点において全ての技術で到達度は上昇した。2.卒

業時までに単独でできなかった看護技術に関して就職後

に見て学び省察することで看護技術の向上に繋げたと示

唆された。3.同期との交流による学び合いや意見交換が

直接的経験への意欲に繋がる可能性のあることが示唆さ

れた。

Page 29: 特別企画 目次 - Japanese Nursing Association第50回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集(2019) ― 21 ― 第50回日本看護学会―看護教育―学術集会

― 74 ―

第 50 回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集 (2019) 第 50 回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集 (2019)

口演2-2

看護専門学校の新人看護教員が体験する教師

教育の実態

キーワード:教師教育 新人看護教員 GTA インタビュー

○梶谷 薫1)

1) 田北看護専門学校

【はじめに】看護専門学校の新人看護教員(以下、新人看

護教員)の教師教育の実態は明らかになっていない。新人

看護教員の就業上の困難は問題視されており、教師教育が

有効と考えられる。教師教育は学習の場により受動的、能

動的な学習があり、学習者である看護教員が教育実践を自

覚し自分の中に取り込んでいく事が重要であると述べら

れている。【目的】新人看護教員が体験する教師教育の実

態を明らかにする。【方法】データ収集:2014 年 10 月~11

月。新人看護教員 8名に対して半構造化面接をした。分析

方法:Grounded Theory Approach。データを各々逐語録に

し、プロパティ、ディメンションを見出し、ラベル名をつ

け、カテゴリー、関連図、ストーリーラインを作成した。

さらにすべての事例のカテゴリーを統合し、統合関連図と

ストーリーラインを作成した。【倫理的配慮】研究者所属

の倫理委員会の承認後、研究に着手した。対象者に研究の

主旨、自由意思、同意撤回の自由、匿名性保護を文書と口

頭で説明し、同意書の提出により研究同意と判断した。【結

果】8 カテゴリーが抽出された。新人看護教員は<自律を

奪う調和の乱れた組織>と<学びが実感できる、居心地の

良い組織>の組織特性が混在する環境に身を置き、<経験

に裏付けされた新人看護教員の力>と共に<戸惑いなが

らすすめる教員業務>を行っていた。そして新人看護教員

は<教員の価値ばかりが基準となる学生指導>により<

看護教員としての自分が崩れていく>ことになり、<ケア

リングが成立する学生指導>により<湧き起こる看護教

員としての意気込み>を得た。新人看護教員は主体的な行

動と意思決定と共にある、ケアリングが成立する学生指導

により教員としての意欲を高めた。【考察】新人看護教員

の教師教育は組織風土、他教員、看護学生が学習環境に

なっていた。組織風土や他教員から看護教育における価値

や方法を学び、この学びを実際に学生指導として活用する

ことで学習の成果を得ていた。満足度の高い学生指導は、

新人看護教員の主体性や意思決定が不可欠だった。学生と

のケアリング関係は新人看護教員の成長をも促し、看護教

員としての意志の形成に向かっていた。【結論】新人看護

教員の教師教育は、組織の特性、他教員の関わりや関係性、

新人看護教員による主体的で意思決定と共にある看護学

生への指導が影響していた。

口演2-3

新人看護師と指導看護師の評価に対する認識

の差

-社会人基礎力評価表を用いて-

キーワード:新人教育 社会人基礎力 クリニカルラダー

○吉富 英花1),岩丸 花奈1),古畑 彩華1), 花田 奈津実1),岡崎 恭子1)

1) 社会医療法人陽明会小波瀬病院

【はじめに】近年、若い世代の社会人基礎力が低下してい

ると言われており、新人看護師の職場適応困難や離職の問

題となっている。先行研究では新人看護師の自己評価は他

者評価に比べて高く自己の評価ができないと言われてい

る。指導看護師と新人看護師の評価に対する認識の差を明

らかにし、今後の新人教育や指導方法の課題を抽出するた

め本研究を行った。【目的】新人看護師と指導看護師の評

価に対する認識の差を明らかにする。【方法】新人看護師、

指導看護師各 19 名に対し、A 病院の新人看護師評価表をも

とに、社会人基礎力 12 項目の各項目に対し質問紙を作成

し入職後3ヶ月と6ヶ月に実施し評価。得られたデータは

単純集計し、2群に分けてノンパラメトック検定で優位水

準をp<0.05 として検定を行った。【倫理的配慮】社会医

療法人陽明会小波瀬病院倫理委員会の承認を得た後、調査

の協力は自由意思で参加の可否が個人の評価や勤務に影

響しない事、個人の特定はできない事を説明し同意を得た。

【結果】Ⅰ期の新人評価では傾聴力が高く創造力が低かっ

た。指導者評価では主体性が高く計画力が低かった。双方

の比較では柔軟性に有意差があった。Ⅱ期では、全ての項

目において差がみられた。【考察】Ⅰ期の新人評価で傾聴

力が高いのは看護教育課程における臨地実習の中でも求

められる力であり、入職時にはすでに身につけられている

能力と考えられる。創造力が低いのは、知識、技術などの

未熟さからではないかと考える。Ⅰ期各項目の比較で柔軟

性に有意差があったのは新人に期待されている役割に対

し、指導者は質問の内容を細かく評価していたが新人は大

まかに評価してあり解釈の違いがあったと考える。Ⅱ期各

項目の比較では全ての項目において差があった。Ⅰ期は入

職3ヶ月の評価で、指導者側の新人に求める社会性が高く

ない。Ⅱ期では入職し6ヶ月が経ち指導者が求める社会性

と新人の社会人としての認識に差が生じたのではないか

と考える。【結論】1.A 病院の新人看護師自己評価ではⅠ期

では傾聴力が高く、創造力が低かった。2.Ⅰ期指導者側評

価では主体性が高く、計画力が低かった。3.Ⅱ期では、全

ての項目において新人の評価が高く、指導者の評価は低

かった。4.社会人基礎力は身に付け、発揮できるような教

育が求められる為、教育する側の教育観も必要。5.今回の

研究は少人数で行った為、一概には言えない。

Page 30: 特別企画 目次 - Japanese Nursing Association第50回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集(2019) ― 21 ― 第50回日本看護学会―看護教育―学術集会

第 50 回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集 (2019)

― 75 ―

第1日

第 50 回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集 (2019)

口演2-4

新人看護師におけるインシデントの背景から

先輩看護師の教育の振り返り

-新人教育の今後の課題-

キーワード:新人看護師 インシデント 先輩看護師 医療

版失敗学

○佐藤 美佳1),田坂 悦子1)

1) 公益社団法人 地域医療振興協会 飯塚市立病院

【はじめに】B病棟新人看護師のインシデント発生要因は

「確認不足」が多く、濱口による医療版失敗学をもとに、

教育する側の関わり方の真実の原因を導き出し、その背景

を分析し今後の教育に役立てたいと考えた。【目的】新人

のインシデントの解読と新人、入職1年未満の看護師と先

輩の価値観の違いを明確にし、今後の教育の課題を明らか

にする。【方法】1.新人4名・入職 1 年未満の看護師4名・

先輩8名が対象。2.データー収集方法・新人のインシデ

ントレポートの解読・新人、入職1年未満の看護師と先輩

に仕事環境に伴うアンケート調査・新人への半構成面接 3.

データーは医療版失敗学の上位概念 11 分類で分析。【倫理

的配慮】A病院倫理委員会の承認を得た。対象は個人が特

定出来ないようにし、研究への参加は任意であり、不参加

に伴う不利益は生じない事を説明し、書面で同意を得た。

【結果】新人のインシデント発生要因の84%が「確認を

怠った」であり、その原因は緊急多重業務33%・真の

ヒューマンエラー29%・情報ミス14%・教育不良2

4%であり、先輩により指導が異なり困るという意見が

あった。新人アンケートから「聞くのが怖かった・忙しそ

うで聞けなかった」は 75%が確認を怠った真実の原因であ

り、先輩へのアンケートからは業務が多忙で自分のことで

精一杯・新人指導にストレスを感じるという回答だった。

【考察】緊急多重業務は、仕事中に先輩の手を止めて質問

する事は難しいが、自己判断せず先輩に相談し解決する責

任ある行動をとる事が求められる。真のヒューマンエラー

は、インシデントの共有で過去の事例の教訓が再発防止に

なると思われる。またインシデントレポートは、真実の原

因を書く必要がある。情報ミス・教育不良は、状況判断で

あり学習と経験で対応できると考える。マニュアルは仕事

の内容を理解した上で覚書として使用するべきである。ア

ンケート・面談の結果より、新人と価値観が違っても心を

開き、居場所を感じられるように褒める事を心がける。皆

で新人を育てるという意識をもつことが重要である。【結

論】1.確認不足の原因は「緊急多重業務」「ヒューマンエ

ラー」「情報ミス・教育不良」「聞くのが怖かった・忙しそ

うで聞けなかった」であった。2.新人は処置に自信がなく、

先輩は新人に気を配る心の余裕がない。3.今後は若者の特

徴を理解し新人の価値観に寄り添う。

口演2-5

教育担当者および新人看護職員に対する実地

指導者のアサーティブ度

キーワード:実地指導者 教育担当者 アサーティブ

○國分 さつき1),松崎 恵美1),髙橋 美希1)

1) 東京都立多摩総合医療センター

【はじめに】新人指導において実地指導者(対象者)の精神

的ストレスを減らすためには、教育担当者・新人(二者)

に対してアサーティブ(AS)なコミュニケーションが重要

であると言われている。先行研究では、対象者に対して二

者へのコミュニケーションに関する研究は殆どない。その

ため、対象者の AS 度を明らかにすることで、AS トレーニ

ング実施に関する示唆を得る。【目的】対象者の二者それ

ぞれに対する AS 度を明らかにする。【方法】A病院実地指

導者 31 名に留め置き法による無記名自記式質問紙調査を

実施。質問紙は、対象者の基礎情報と野末らが開発したア

サーション・インベントリー(AI)を著者の承諾を得て一部

置き換えて使用。AI は看護師が関わる重要他者(医師、患

者、教育担当者、同僚、新人)について、AS、攻撃的(AG)、

非主張的(NA)な自己表現を測定する質問紙である。AI のう

ち二者の値と基礎情報との回答の違いを、t 検定、一元配

置分散分析を実施。【倫理的配慮】A病院看護部倫理委員会

の承認を得た。説明書に参加は自由意思であり、不参加で

も不利益とならないことを記載。【結果】質問紙の有効回

答は 28 件、対象者は看護師 4 年目、新人指導初回、AS に

関連した研修未受講が多かった。AI の平均 AS 値 58.8、NA

値 40.1、AG 値 27.7 だった。重要他者の各平均 AS 値は、

教育担当者、患者、新人、同僚、医師の順で高かった。基

本情報と AI を分析した結果、対象者研修を受講した方が

教育担当者に対して、AG な自己表現はしなかった。他の基

礎情報と AI では差は無かった。【考察】対象者の新人に対

する自己表現に差はなかった。対象者の少なさ、調査が指

導に慣れた時期であったことが平均 ASの高値に繋がった。

教育担当者に対する自己表現では、重要他者の中で一番平

均 AS が高く、AS な自己表現ができていた。AI の平均 AS

値が高値だったのは、①対象者の 61%が新人時期に現支援

体制(教育担当者と対象者が同じ研修を受講)で指導を受

けた②AS の研修未受講だが、現支援体制を 4年実施し、病

院全体で指導する風土ができ、対象者の AS な自己表現に

繋がった。【結論】対象者は①概ね新人に対して AS な自己

表現ができていた。②概ね教育担当者に対して AS な自己

表現ができていた。③教育担当者と一緒に研修受講したこ

とで AS トレーニングを行わなくても AS な自己表現ができ

ていた。

Page 31: 特別企画 目次 - Japanese Nursing Association第50回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集(2019) ― 21 ― 第50回日本看護学会―看護教育―学術集会

― 76 ―

第 50 回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集 (2019) 第 50 回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集 (2019)

口演3-1

看護専門学校の新任期にある看護教員の主体

的学習行動とその影響要因

キーワード:看護教員 新任期 主体的学習行動

○川村 直子1),佐々木 真紀子2)

1) 学校法人二戸学院 岩手保健医療大学

2) 秋田大学大学院医学系研究科保健学専攻

【はじめに】看護教員の能力向上には、教員自身が主体的

に自己研鑽に努めることが重要であり、それには個人要因

に加え組織要因が影響を与える。しかし看護教員の能力向

上は、教員個人の努力のみに委ねられている現状がある。

そこで本研究は、看護専門学校の新任期にある看護教員の

主体的な学習行動に影響を与える要因を明らかにしたい

と考えた。【目的】看護専門学校の新任期にある看護教員

の主体的学習行動に影響を与える要因を明らかにする。

【方法】看護専門学校 3年課程 199 校に勤務する看護教員

経験 3年未満の 496 名を対象に、自記式質問紙調査を行っ

た。調査内容は個人・組織背景、主体的学習行動として自

己研鑽行動と自己成長主導性について調査した。データ分

析は、個人・組織背景と自己研鑽行動の関連性をχ2 検定

および残差分析で検討し、重回帰分析により自己成長主導

性への影響要因を分析した。【倫理的配慮】対象に研究の

趣旨、調査協力の自由や匿名性の保持等について文書で説

明し同意を得た。なお、本研究は秋田大学大学院医学系研

究科医学部倫理委員会の承認を得て実施した。尺度は開発

者の許可を得た。【結果】回答は 281 名より得られた(有

効回答率 51.6%)。平均年齢は 40.6±6.9 歳で、臨床経験

は平均 15.6±6.8 年、教員経験は 1.2±0.8 年だった。自

己研鑽行動には、自ら教員を志望した、教務事務、業務支

援、精神支援、新任期の教員のための教育プログラム、研

究指導者、専門誌購入費・研究費の助成が関連していた。

自己成長主導性では、年齢、臨床経験年数、看護基礎教育

への興味・関心、講義・演習・実習時間数、精神支援で有

意であった。【考察】年齢、臨床経験、看護基礎教育への

興味・関心、自ら教員を志望したことが関連していたのは、

自律性、有能性を満たし、内発的動機付けを維持したから

だと考える。また組織要因では精神支援が最も大切であり、

それには業務量の調整、精神的安らぎを感じ自律して仕事

に臨める組織風土が必要であると考えられた。【結論】看

護専門学校の新任期の看護教員が主体的学習行動をとる

には、経験豊かな看護教員がロールモデルを提示すること、

他施設と協力連携し研究環境・指導体制を整えること、業

務量を調整すること、組織全体で新任期の教員の視点に立

ち返り、精神的安らぎを感じながら自律して仕事に臨める

ような組織風土を作ることが必要であると考えられた。

口演3-2

シミュレーション教育に携わる指導者の前向

きな気持ちの変化

-新人看護師研修に携わった部署教育担当者

のインタビューを通して- キーワード:シミュレーション教育 指導者 部署教育担

当者

○水島 康1),岩間 小百合1),脇坂 恵美子1),矢野 えり子1)

1) 市立札幌病院

【はじめに】A 病院のシミュレーション研修では、指導統

一の為のガイドを作成するとともに、1 人の部署教育担当

者(以下指導者)がシミュレーションする一場面を担当し、

学習者がグループで回る方法(以下ステーション方式)に

変更した結果、指導者が自信を持って学習者と関わる姿勢

を感じた為、その変化を明らかにしたいと考えた。【目的】

シミュレーション研修に携わった指導者が、前向きな気持

ちの変化に繋がった体験を明らかにする【方法】研究デザ

イン:質的記述的研究対象:A 病院指導者のうちシミュレー

ション研修に携わった 10 名。データ収集方法:1)研修を

経験し感じたこと 2)研修に携わり上手くできたこと 3)指

導者としてやりがいに繋がると思ったこと等、独自のイン

タビューガイドを用い実施した。分析方法:収集したデー

タを質的帰納的に分析した。インタビュー内容を逐語録に

おこし、対象者の前向きな気持ちの変化を損わずに抽出し

コード化した後サブカテゴリー、カテゴリー化した。【倫

理的配慮】市立札幌病院倫理委員会の承認を得た。また研

究対象者に研究の目的・趣旨・自由意思での参加・プライ

バシーの保護等を説明し同意を得た【結果】自由意思によ

る同意を得た 5名から、撤回をしても不利益はないことを

説明した上でインタビューを行い、指導者の前向きな気持

ちの変化に関する 120 コードが得られた。指導者・学習者

に関する 31 のサブカテゴリーを抽出し、学習者の成長、

指導者のやりがい等 7カテゴリーに分類した。カテゴリー

は更に[指導者自身の言動・行動]と[指導者を取り巻く

環境]に分類できた。【考察】[指導者自身の言動・行動]

では、指導者が研修効果を直接感じたことが自信となり指

導者自身が成長を実感できた。[指導者を取り巻く環境]

では、同じシミュレーションを繰り返すことで学習者自身

が理解できたという実感を持てた他、ステーション方式に

より学習者の成長や達成感を客観的に感じることができ

た。これらが、研修に携わった指導者の前向きな気持ちの

変化に繋がったと考える。【結論】1ステーション方式への

変更と統一した指導の為のガイド作成が、不安や負担の軽

減に繋がった。2 指導者間で情報を共有しながら研修を進

めたことは、学習者の主体性を引き出し研修効果を実感し、

前向きな気持ちへと繋がった。3 デブリーフィングが、学

習者の積極的姿勢のみならず指導者にとっても有効な場

となった。

Page 32: 特別企画 目次 - Japanese Nursing Association第50回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集(2019) ― 21 ― 第50回日本看護学会―看護教育―学術集会

第 50 回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集 (2019)

― 77 ―

第1日

第 50 回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集 (2019)

口演3-3

コーチング教育を受けた新人担当看護師の新

人指導に関する意識の変化と行動の変化

キーワード:新人担当看護師 コーチング 新人指導

○渡邉 里香1),伊藤 友美1),深尾 亜由美1)

1) 岐阜大学医学部附属病院

【はじめに】新人担当看護師に、新人指導の役割を遂行す

るにあたり負担感やコミュニケーションの困難さによる

ストレスを感じていることが見受けられた。よって、コー

チング教育を導入し支援をしたいと考えた。【目的】新人

担当看護師にコーチング教育を導入し、新人担当看護師が

新人指導に関してどのような自己の意識の変化と行動の

変化を認知したかを明らかにする。【方法】1)対象:A 病院

消化器外科病棟の新人担当看護師 5 名。2)データ収集期

間:平成 29 年 11 月 1 日~平成 30 年 2月 28 日。3)方法:

平成 29 年 11 月~平成 29 年 12 月、計 6回体験学習を主体

としたコーチングの学習会を実施した。平成 30 年 2 月、

インタビューガイドを作成しインタビューを実施した。4)

分析方法:インタビュー内容を基に質的に分析した。【倫

理的配慮】本研究は所属施設の倫理委員会の承諾を得た。

研究対象者に対し研究の目的及び方法、参加は自由意思で

あること、参加を辞退しても不利益を生じないこと、情報

は研究目的のみ使用することを説明し同意を得た。【結果】

意識の変化では「コーチングスキル自体の獲得を意識す

る」、「内面への働きかけの重要性に気付く」、「自己の行動

や指導を振り返るようになる」、「自己や新人看護師の行動、

態度からコーチングの効果を実感する」、「コーチングを実

践して前向きになる」の 5 つのカテゴリーが、行動の変化

では「コーチングを実践するようになる」、「新人看護師へ

の対応が変化する」の 2つのカテゴリーが抽出された。【考

察】コーチングの学習会を受けた新人担当看護師はコーチ

ングを「使えそう」と思え実践していた。また、コーチン

グを実践する中で新人看護師の主体性を尊重する必要性

を認知し、自己の行動を振り返ることができた。更に、新

人看護師の反応からコーチングの効果を実感し新人指導

に対する自信の獲得や自己の成長を認知することでコー

チングの実践に対して前向きになるという変化を認知し

ていたことが示唆された。加えて、体験学習を主体とした

学習会を実施すること、新人担当看護師が新人指導に悩み

を生じやすい時期に学習会を実施したことがコーチング

の実践に繋がっていた。【結論】新人担当看護師にコーチ

ング教育を導入した結果、新人担当看護師の新人指導に関

する意識の変化の認知は 5 つのカテゴリー、行動の変化の

認知は 2つのカテゴリーが抽出された。

口演3-4

小児専門病院で働く新人看護師が子どもの立

場に立った看護を実践できるようになる変化

のプロセスとその要因

キーワード:小児 新人看護師 子どもの立場に立った看

護 成長プロセス ケアリング

○伊東 香織1),古川 香奈1),望月 泉1), 小泉 美紀1),長谷川 香1)

1) 東京都立小児総合医療センター

【はじめに】新人指導の中で子どもの立場に立って援助で

きていない場面を時折見かけるが、看護経験を積む中で子

どもの立場に立った看護を実践しようと変化していく。こ

の変化の要因を知り今後の指導に活かしたいと考えた。

【目的】小児専門病院で働く新人看護師が子どもの立場に

立った看護を実践できるようになる変化のプロセスとそ

の要因を明らかにする。【方法】研究デザインは質的記述

研究。対象者は A病院の新人看護師 5名。半構成的面接を

4月、6月、9 月、12 月、3 月に実施し、内容を逐語録に起

こしカテゴリー化した。ケアリングは看護の中心概念であ

り子どもの立場に立った看護を実践する上で必要と考え、

6 月以降ケアリング行動質問紙(以下 CBI)を用いた測定

を行った。【倫理的配慮】A病院の研究倫理委員会の承認を

得た。対象者から自由意思による承諾を得て、不利益を回

避するための配慮を行った。【結果】子どもの立場に立っ

た看護のカテゴリーは、4 月はコミュニケーション・治療

の 2 項目。6 月は尊重と説明・技術の向上等の 8 項目で

CBI154 点。9月は安心感を与える対応・子どもの立場に立っ

て看護できていない等の 9 項目、CBI161 点。12 月は必要

性を考えてケアを行う・チーム医療等の 12 項目、CBI162

点。3 月は命に関わることを最優先に考える・寄り添う等

13 項目、CBI168 点であった。変化の要因のカテゴリーは

14 項目で、主な要因は子ども・家族・先輩からの影響であっ

た。【考察】理想を抱き入職した新人看護師は、多重課題

や技術・知識が追いつかずジレンマを抱く時期を経て、

徐々に必要な治療や看護を提供できるよう変化し、子ども

の頑張りを認め気持ちに寄り添いながら子どもにとって

の最善を考えられるようになった。子どもや家族との関わ

りの中で自己の課題に気づき、振り返りや先輩の行動等か

ら学びを得ることが、時期を問わず重要な変化の要因で

あった。また、CBI の点数は経時的に上昇しておりケアリ

ング行動の向上が見られたことから、子どもの立場に立っ

た看護を実践できるように変化したと考える。【結論】1.A

病院の新人看護師 5名は、ジレンマを抱く時期を経て徐々

に子どもの状態に合わせて、子どもにとっての最善を考え

られるようになった。2.時期を問わず子ども・家族・先輩

からの影響が重要な要因であった。3.CBI は経時的に上昇

し、ケアリング行動は向上した。

Page 33: 特別企画 目次 - Japanese Nursing Association第50回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集(2019) ― 21 ― 第50回日本看護学会―看護教育―学術集会

― 78 ―

第 50 回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集 (2019) 第 50 回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集 (2019)

口演3-5

新卒訪問看護師が入職時に期待される看護実

践能力

-訪問看護ステーションの管理者とスタッフ

および在宅看護担当教員の立場から-

キーワード:新卒訪問看護師 看護実践能力 訪問看護ス

テーション

○鬼頭 浩美1),土屋 八千代2)

1) 大阪医療看護専門学校 2) 滋慶医療科学大学院大学

【はじめに】少子高齢多死社会を迎えている我が国では、

地域包括ケアシステムの構築が推進されている。その中で

重要な役割を期待されている訪問看護師の人材確保が課

題とされ、新卒訪問看護師の育成に向けた取り組みが始

まっている。【目的】新卒訪問看護師が入職時に期待され

る看護実践能力を明らかにし、それを習得するための基礎

教育について提言する。【方法】近畿圏で承諾が得られた

看護師常勤換算 5 人以上の訪問看護ステーション 43 ヶ所

の管理者 43 人、スタッフ 134 人と、看護基礎教育機関 68

校の在宅看護担当教員(以下、在宅教員)118 人を対象に

無記名自記式質問紙調査を行った。看護実践能力について、

厚生労働省が提示している卒業時の到達目標を基に実践

能力と看護技術力各 30 項目に関して、新卒訪問看護師へ

の期待度(教員は必要度)を調査し、管理者、スタッフ、

在宅教員の3群間の比較検討を行った。自由記載は、類似

項目をまとめカテゴリ化した。【倫理的配慮】研究協力の

任意性、個人情報の匿名化、データ管理について文書で説

明。滋慶医療科学大学院大学研究倫理委員会の承認

(2017-2 号)を得て実施した。【結果】185 人(62.7%)から調

査票を回収し、有効回答の得られた管理者 30 人、スタッ

フ 78 人、在宅教員 63 人を分析対象とした。在宅教員の 8

割以上は、ほぼすべての項目を「必要」と回答したが、管

理者とスタッフで 8割以上が「期待する」と回答した項目

は少なかった。実践能力で 3者の期待度が高い項目は、基

本的マナーを守る、判断に困った時には速やかに相談する

などのヒューマンケアの基本に関する項目と自己研鑽に

関する項目であった。看護技術力ではバイタルサインの正

確な測定、清潔援助などであった。【考察】ヒューマンケ

アの基本能力は、訪問看護において信頼関係の構築のため

に必須であることが示唆された。バイタルサインの測定や、

速やかな相談が求められたのは、訪問看護が単独訪問であ

るという特徴を反映していた。これらの能力を育成するに

は、看護基礎教育の初期から領域横断的に対人関係の基本

や報告・連絡・相談の重要性を学ぶことと、多様なフィー

ルドでの学習機会とが求められる。【結論】在宅教員の必

要度より管理者とスタッフの期待度は低かったが、ヒュー

マンケアの基本はともに期待度が高かったことから早期

より地域での体験を含む教育プログラムが必要である。

口演4-1

看護専門基礎科目「人間工学」の臨床看護師に

よる受講の効果

キーワード:人間工学 看護専門基礎科目 学び直し

○石田 陽子1),鈴木 ひとみ2),斉藤 律子2)

1) 山形大学医学部看護学科

2) 山形大学医学部附属病院看護部

【はじめに】近年,看護師には高い判断能力が求められ,

学部教育においてはフィジカルアセスメントや病態生理

学などの基礎教育の強化,卒後継続教育においては「学び

直し」の機会の充実が必要とされるようになった。A 大学

では平成 29 年度より医学部附属病院看護部と医学部看護

学科の教育連携の一環として専門基礎科目を附属病院看

護師が受講するという新たなプログラムが開始された。

【目的】臨床看護師による看護専門基礎科目「人間工学」

の受講の効果を講義の振り返りから明らかにし,本プログ

ラム継続上の課題を見出す。【方法】看護学科 2 年次後期

開講科目「人間工学」を受講した附属病院看護部所属の看

護師 56 名にアンケート調査を実施し,内容の集計を行っ

た。当科目で開講した授業単元は《運動の機構》《加齢に

伴う運動器の構造・機能的変化》《排泄機構》《体温調節機

構》《皮膚の創傷治癒過程》《褥瘡管理》《痛みの受容機構

と情報伝達機構》の計 7 回である。【倫理的配慮】本研究

は,所属施設の倫理審査委員会相当の機関から承認を得て

実施した。対象者から自由意思による承諾を得,不利益を

回避するための配慮を実施した。回答は匿名化し,個人が

特定されないよう十分に配慮した。【結果】受講者はのべ

91 名で,アンケート回答者は 56 名(回答率 100%)であっ

た。受講後「看護実践に活かせる学びが得られたか」の問

いに対し,37 名(66%)が十分思う,18 名(32%)が思

う,1名(2%)が少し思うと回答していた。学びが得られ

た具体的理由について,基礎的知識の復習が図れたと回答

するとともに,普段の看護実践へのつながりを結び付けて

理解できたと回答していた。また,受講によって得た学び

を実践での観察・アセスメントに活かしたいとの回答が多

かった。【考察】受講後のアンケート調査では,概ねの回

答者が「学びが看護実践に活かされる」と回答していた。

実践の現場から大学での看護専門基礎科目の講義を受講

することは,基礎の「学び直し」ならびに実践の「振り返

り」の機会となる。また学生と共に学ぶことは,看護師に

とっては学生のレディネスを正確に把握する機会となる

こと,学生にとっては学習の動機づけにつながり,その後

の臨地実習に向けて双方のよいモチベーションの機会に

なると考えられた。【結論】本調査の結果より,看護専門

基礎科目の受講は卒後継続教育として役割を果たせるこ

とが明らかとなった。

Page 34: 特別企画 目次 - Japanese Nursing Association第50回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集(2019) ― 21 ― 第50回日本看護学会―看護教育―学術集会

第 50 回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集 (2019)

― 79 ―

第1日

第 50 回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集 (2019)

口演4-2

救急看護認定看護師におけるレジリエンス特性

-救急看護師と他の領域看護師との比較-

キーワード:認定看護師 レジリエンス 他の領域比較

○西林 百合1),大野 太郎2)

1) 大阪府看護協会 2) 大阪人間科学大学

【はじめに】生死に関わる緊急性の高い対応が求められる

救急看護では、過酷ともいえる職場ストレスが存在する。

救急看護認定看護師(Certified Nurse:以下 CN)はそのよ

うな職場においても深く職務にコミットし、学びと実践を

深めようとする有資格者である。その行動には困難な状況

を克服する意思と行動力を表すレジリエンス(resilience)

の高さがうかがえる。【目的】CN のレジリエンス特性の特

徴を明らかにする。【方法】中規模病院 8 施設の看護師 300

名(CN112 名、救急看護師 99 名、他の領域看護師 89 名)

に無記名自記式質問紙として、尾形ら(2010)の看護師レ

ジリエンス尺度を使用し、SPSS Ver.24 を用い分散分析を

行い検討した。【倫理的配慮】大阪人間科学大学倫理審査

の承認を得た(院 2017-3)。調査は各病院看護部長の許可

を得た。また CN には各個人へ直接郵送し「対象者から自

由意思による承認を得ていること」、「不利益を回避するた

めの配慮を実施した」のち依頼し、研究協力は自由意思で

決定され調査票の回答をもって同意を得られたとした。

【結果】レジリエンスの 4 因子のうち「肯定的な看護への

取り組み」(F(2,252)=6.58,p<.01)、「対人スキル」(F

(2,252)=6.78,p<.01)、「新奇性対応力」(F(2,252)

=14.17,p<.01)で CN と救急、他の領域で有意差を認め

た。職位では「新奇性対応力」(F(3,80)=1.51,p<.05)

で師長以上とスタッフで有意差を認めた。経験年数では

「肯定的な看護への取り組み」(F(3,82)=5.42,p<.05)

で 15 年以下と 15-20 年、20-25 年で有意差を認めた。「新

奇性対応力」(F(3,82)=3.11,p<.05)で 15 年以下と 20

-25 年、25 年以上で有意差を認めた。【考察】CN は救急、

他の領域看護師と比べレジリエンス特性が高いことが示

された。その要因は患者に質のよいケアを提供したいとい

う動機づけと教育課程を修了できた自己効力感、そして 15

年以上の看護師経験と職位による職責が影響していると

推察された。【結論】CN のレジリエンス特性が高い要因が

教育によるものかは教育課程入学前後の調査が必要であ

り、資質的にレジリエンスが高い人が CN になっている可

能性があるためさらなる調査が必要である。

口演4-3

術後せん妄予防ケアに対する看護師の認識

-アンケートを用いた実態調査-

キーワード:術後せん妄 予防ケア 実態調査

○藤山 かな1),安田 奈穂美1),高橋 真美1),中木 里美2)

1) 大和高田市立病院 2) 山陽学園大学

【はじめに】術後せん妄は術後に生じる一過性の認知の変

化を伴う意識障害で高齢者ほど発症率は高いと先行研究

で述べられており、高齢者手術の増加に伴い大きな問題と

なってきている。せん妄の予測・判断は経験から得られる

ものが多く、臨床経験による違いを指摘している。【目的】

病棟看護師の術後せん妄をアセスメントする知識と予防

に対する経験等について現状把握し課題を明らかにする

ことを目的とした。【方法】65 歳以上の術後患者の看護経

験がある A病院病棟看護師を対象に、術後せん妄の知識及

び対策等を自由記述含め 9 項目の質問紙調査をし、単純集

計・χ2検定を行った。有意水準は 5%未満(P<0.05)とし

た。【倫理的配慮】所属施設の倫理審査委員会で承認を受

け、研究の趣旨及び方法と参加の自由、不利益はなくデー

タは研究にのみ使用し終了後は破棄し情報が公表される

ことはなく、対象者のプライバシーの保護・配慮、秘密厳

守を徹底することを明記し同意を得て実施した。【結果】

94 人中 70 人(有効回答率 100%)から回答を得られ、1-3 年

目 15 人、4-15 年目 40 人、16 年目以上 15 人であった。知

識については発症しやすい要因に脳血管障害や内科的疾

患等の直接因子は少なく、環境の変化等の誘発因子が多く

挙げられていた。せん妄指標を使用しているのは HCU 病棟

6人、外科病棟3人であり挙げられた指標はICDSC等であっ

た。術後せん妄患者の看護経験がないのは 2人であり 1 年

目であった。術後せん妄患者の看護経験を病棟別に比較す

ると HCU 病棟が一番多かった。経験年数による違いをみる

ため徴候数を比較すると、1-3 年目より 16 年目以上の方が

挙げられた項目が多かった。【考察】16 年目以上は捉えて

いる徴候数が多く患者の全体像を観察しアセスメントし

ていると考えられる。先行研究ではせん妄指標が術後せん

妄評価に有用であり、予防経験のある看護師は表情などの

非言語、注意力低下等の認知的側面からせん妄を捉えられ

ると報告している。HCU 病棟は術後患者をみる機会が多く

術後せん妄患者の看護経験が豊富であるため知識が一般

病棟より高いと考えられる。【結論】直接因子の認知度は

低く、指標等の客観的知識を十分に使用することなく看護

経験から術後せん妄を予知し対応する傾向にあった。今後

はせん妄指標の認知度も含め更なる知識の向上に向けて

教育の機会を持ち、看護の質向上が課題である。

Page 35: 特別企画 目次 - Japanese Nursing Association第50回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集(2019) ― 21 ― 第50回日本看護学会―看護教育―学術集会

― 80 ―

第 50 回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集 (2019) 第 50 回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集 (2019)

口演4-4

病棟看護師のストーマケアに対する苦手意識

の軽減を目指した取り組み

キーワード:ストーマケア 勉強会 苦手意識

○古田 恵理1),日高 由衣子1),池田 千尋1),山根 静香1),関野 尚子1)

1) 山口県済生会下関総合病院

【はじめに】急性期病院のA病棟は,ストーマケア(以後

ケアとする)に携わる機会が多い。しかし,経験年数 5年

未満や部署異動の看護師も多く,ケアの経験がない看護師

もいる。知識や経験の不足から,ケアへの不安や苦手意識

を持つ看護師も多い。そこでケアの看護実践能力を向上さ

せ,自信をもって行えるための取り組みを行った。【目的】

ストーマの知識と技術の向上にむけた取り組みを行い,ケ

アの苦手意識の軽減を図る。【方法】平成 30 年 3 月から 7

月にA病棟の看護師 35 名を対象に行った。①ストーマ看

護実践能力尺度を参考に,〈アセスメント〉〈ストーマ技術〉

〈計画立案〉の 3カテゴリー,16 項目のアンケートを独自

に作成した。②ストーマ装具選択のフローチャートと排泄

物漏れ時の対応手引き(以後手引きとする)を作成した。③

ケアの基礎知識と合併症の勉強会,ストーマサイズの計測,

手引きの活用の 3 点を行った(以後介入とする)。④介入

前後にアンケートを行い,評価は 4 段階評定尺度とした

(3:そう思う~0:思わない)。⑤アンケートは項目別にウ

イルコクソンの符号付順位和検定で分析した。【倫理的配

慮】山口県済生会下関総合病院の看護部倫理委員会で承認

を得て,看護師に研究の目的,参加は自由意思であり,断っ

ても不利益は生じないことを書面で説明し同意を得た。

【結果】介入後,ストーマ技術の「ストーマの計測」「ス

トーマ周囲の皮膚の状態を観察」が有意(p<0.01)に上昇

し,「ストーマケアへの苦手意識がある」が有意(p<0.01)

に減少した。〈アセスメント〉と〈計画立案〉は,有意差

はなかった。【考察】勉強会でストーマについて学び,皮

膚の観察力が向上し,ケアへの自信につながった。また,

ストーマの状態を把握する点において,実技指導により正

確なストーマ計測が可能となった。知識と技術を習得し手

引きを活用したことで,ケアへの苦手意識が軽減できたと

考える。今回,〈アセスメント〉や〈計画立案〉で有意差

がなかったのは,ケアの習得に向けた知識や技術面への介

入が重点的であったためと考える。今後は,社会復帰後の

生活を視野に入れた看護ができるよう教育を行う必要が

ある。【結論】勉強会,実技指導,ストーマ装具選択のフ

ローチャートや排泄物漏れ時の対応手引きの活用により,

看護師のストーマ周囲の皮膚観察力や計測手技が向上し,

ストーマケアに対する苦手意識の軽減に繋がった。

口演4-5

与薬業務の中断に関する実態調査

キーワード:与薬業務 中断 誤薬防止

○森 厚憲1),若林 淳1),中山 優1), 井上 志保1)

1) 神奈川リハビリテーション病院

【はじめに】A 病院では医療安全推進室より、誤薬防止を

目的とした環境作りの 1つとして、与薬を行う看護師 1 名

にタスキ着用が義務付けられている。しかし、たびたび与

薬業務の中断を余儀なくされている。【目的】与薬業務の

中断の実態を明らかにする。【方法】①与薬時のタスキ着

用、与薬業務の中断に関する質問紙を作成し平成 30 年度 A

病院 B 病棟に勤務している看護師 25 名に実施。②①の結

果を元に作成した与薬業務の中断に関する調査票の記入

を、各勤務の与薬業務を行う看護師に依頼、回収、単純集

計した。調査期間は 2018 年 7 月~8月の 2 か月間【倫理的

配慮】本研究の実施に際し、A 病院看護部の承認を得た。

対象者には研究の目的、趣旨、自由意思での参加、プライ

バシー保護等を説明したことと同時に、無記名による質問

紙、調査票の提出をもって同意とし、データは A病院所定

の方法で処理した。【結果】①病棟看護師 25 名中、23 名か

ら回答を得た。タスキ着用の目的の認識は「与薬業務に集

中する為の患者へのアピール」20 件「その他」6件の回答

があった。病棟看護師が考える中断要因は、自由記載の回

答から 6 カテゴリーに分類し「看護師からの報告・相談」4

件、「患者の日常生活援助」29 件、「ナースコール対応」12

件、「その他」5 件であった。②調査期間中の中断は 444 回

あり「看護師からの報告・相談」113 回、「日常生活援助」276

回、その内、患者からの依頼は 179 回、与薬実施者が自ら

行動したものは 97 回であった。【考察】タスキ着用の目的

は、患者への働き掛けという認識が大半であった。与薬業

務の中断要因は、患者ケア・対応によるものが多いと認識

していたが、看護師の報告・相談による中断が 444 回中 113

回であり、認識と実際の頻度にずれがあった。看護師から

の報告・相談と、与薬実施者が自ら行動した日常生活援助

を合わせると 210 回となる。このことから、看護師自身が

集中できる環境作りを妨げていることが分かった。本研究

結果を周知し、看護師による要因を認識し、行動を見直す

ことで与薬業務に集中できる環境作りができることが示

唆された。【結論】1.看護師による中断要因に関して、認

識と実際にずれがあり、看護師の行動が中断要因のほぼ半

数を占めていた。2.看護師自身が中断要因となっている

ことを認識し、行動することで、誤薬防止のための環境作

りに繋げる事が出来る。

Page 36: 特別企画 目次 - Japanese Nursing Association第50回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集(2019) ― 21 ― 第50回日本看護学会―看護教育―学術集会

第 50 回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集 (2019)

― 81 ―

第1日

第 50 回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集 (2019)

口演5-1

TeamSTEPPS 学習会が及ぼすチームワークに対

する認識の変化

キーワード:TeamSTEPPS 学習会 認識の変化

○坂上 真未1),上田 陽美1),金川 裕美1), 森 真理子1)

1) 徳島赤十字病院

【はじめに】急性期病院 A 病棟で昨年発生したインシデン

ト・アクシデントの要因は約 3割がコミュニケーションエ

ラーによる連携不足であった.そこで,TeamSTEPPS(以後,

TS)を導入することでチームワークが高まり,安全な医療

を提供できるのではないかと考えた.しかし,TS 導入には

事前準備状況の把握が重要であり,成功に大きく影響する

と言われていることから,現状分析と TS 学習会が及ぼす

チームワークに対する認識の変化を明らかにして,今後の

TS 導入に活かすために本研究に取り組んだ.【目的】TS 学

習会を行って,チームワークに対する認識の変化を,質問

紙を用いて分析し明らかにする.【方法】対象:A 病棟に勤

務する看護師で研究の同意を得られた 26 名,収集方法:

学習会前後で,AHRQ の質問紙による調査を実施した.部署

内のチームワーク状況を測定するための質問紙(以後,

T-TPQ),個人のチームワークに対する考え方を測定するた

めの質問紙(以後,T-TAQ)をチーム構成と 4 つのコンピテ

ンシー(リーダーシップ,状況観察,相互支援,コミュニ

ケーション)に分類し,5 段階で評価した.項目の最後は

自由記載とした.分析方法:質問紙を基に学習会前後で結

果を比較し記述統計と t 検定を実施した.p<0.05 を有意

差ありとした.【倫理的配慮】徳島赤十字病院倫理委員会

の承認を得た.質問紙の使用に関しては出版社著作権管理

機構の使用許可を得た.【結果】26名に配布し,回収率 100%,

有効回答率 100%であった.学習会前後ではチーム構成と

4 つのコンピテンシー全てで合計点数が増加した.T-TPQ

では,チーム構成と 4つのコンピテンシー全てと状況観察

と相互支援で p<0.05 となり有意差がみられた.T-TAQ で

は,チーム構成と 4 つのコンピテンシー全てにおいて p<

0.05 となり有意差がみられた.【考察】学習会前後で合計

点数が増加したのは,学習会を通じて 4 つのコンピテン

シーを体感したことが認識の変化に繋がったと考える.ま

た,自由記載では TS の取り組みについて賛同する意見が

あり,TS 導入に向けて働きかけることが可能だと推測され

る.【結論】TS の学習会後では看護師のチームワークに対

する認識や互いのニーズを考えながら援助する気づきが

向上した.TS のチームトレーニングを継続して行っていく

ことで,職場環境の改善への認識が高まる.

口演5-2

急性期病院における病棟看護師の道徳的感性

の現状

-日本語版道徳的感性尺度(MST)の質問紙を

用いた実態調査研究-

キーワード:道徳的感性 急性期病院 病棟看護師 質問紙

○志村 彩代1),大塚 敦子1),柳田 麻希1), 庄村 雅子1)

1) 東海大学医学部付属病院

【はじめに・目的】本研究は急性期医療を提供する A 大学

病院において、病棟看護師の道徳的感性の現状および、そ

の年齢および経験年数による相違の実態を明らかにする

ことを目的とした。なお、道徳的感性を場面や行為の基準

に対する個人の考え方や感受性と定義した。【方法】一般

病棟看護師を対象に日本語版道徳的感性尺度(Moral

Sensitivity Test:MST)を用いて無記名自記式調査を実

施した。(2018 年 9 月~2019 年 3 月)【倫理的配慮】東海

大学医学部臨床研究審査委員会の承認を得て行った。【結

果】450 名に MST を配布し回答が得られた 238 名(回収率

52.8%)を解析した。対象看護師の年齢中央値 26 歳、勤

務年数中央値 5年であった。本研究での MST の信頼性を計

るクロンバックα係数では有効数221名で、全34項目0.73、

それぞれの要素は 0.72~0.74 と良好だった。MST の 11 の

下位項目と年齢および経験年数との関連では、経験年数が

5年以上で「葛藤」が有意に少ない傾向を示した。他の 10

の下位項目に年齢・経験年数による有意な関連は認めな

かった。34 の質問項目の最低点は問 34「回復する見込み

のない患者への看護は難しい」の 2.3 で、最高点は問 2「広

く患者状態を理解することは専門職の責任」の 5.3 であっ

た。各質問項目の 1-3 点を低得点群、4-6 点を高得点群と

し、年齢および経験年数との関連を比較した結果、年齢に

より有意差があった項目は 11 項目で、経験年数により有

意差があった項目は 12 項目であった。26 歳未満あるいは

経験年数 5年未満の方が倫理的な状況への対応に困難感を

抱きやすく、規則や医師に頼り、患者へ最善な援助ができ

ず申し訳なさを感じていた。また、看護への不十分さを感

じていたが相談する人は多い傾向が示唆された。【考察・

結論】西田らの先行研究では「患者の意思の尊重、適性へ

の自信のなさは、施設や経験年数による差はなかった」と

述べていた。本研究では MST 調査 34 項目中、3分の 1の高

い割合で有意差を認め、経験年数や年齢による相違は実在

する可能性がある。経験年数が低いまたは年齢の低い看護

師は、臨床現場における倫理的問題に対し葛藤を抱きなが

ら働く傾向にあり、相談したいと思う時に周囲が援助でき

る風土、教育的な関わりを提供できるスタッフの育成や環

境を築く必要性が見出せた。

Page 37: 特別企画 目次 - Japanese Nursing Association第50回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集(2019) ― 21 ― 第50回日本看護学会―看護教育―学術集会

― 82 ―

第 50 回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集 (2019) 第 50 回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集 (2019)

口演5-3

訪問看護入門研修を受講した看護師に対する

研修の効果

キーワード:訪問看護入門研修 訪問看護 訪問看護ス

テーション研修

○矢出 装子1),平岡 桃重2)

1) 訪問看護ステーションなだい

2) 訪問看護ステーション騏驎

【はじめに】訪問看護師数は、看護師全体の約 4%で 24 時

間 365 日を支えるには十分な数とはいえない。A 県におい

ても訪問看護師の質と数の増大は喫緊の課題である。A

県・A県看護協会で「訪問看護入門研修」(以下研修会)が

企画された。研究者は、研修実施の依頼を受け、日本看護

協会が作成した「訪問看護入門プログラム」に準じた内容

と研究者が体験した療養生活の実際を加味し作成した。訪

問看護入門研修に関する研究報告は確認できなかった。

【目的】研修会の効果を明らかにし、今後の効果的な研修

につなげる。【方法】研究期間と対象者:平成 30 年 10 月に

開催した「訪問看護入門研修」の受講生 20 名。訪問看護

の知識と実際についての講義、紙上事例での演習と訪問看

護ステーションでの実習の3日間の構成。データの収集・

分析方法:受講生に研修初日と研修最終日に、質問紙を用

い、「研修前後の考え」「看護についての思い」「その他」

の項目を自由記載してもらった。その結果を意味内容ごと

にコード化・類型化し、カテゴリーに分け内容分析した。

【倫理的配慮】本研究は、所属施設の倫理審査委員会相当

の機関の審査を受けて実施した。対象者へは、研究目的で

利用することを説明し、自由意思により承諾を得た。不利

益を回避するための配慮を実施した。【結果】研修を受け

た動機は、〈訪問看護の実際を学びたい〉28、〈退院支援に

活かしたい〉14、〈対象者に寄り添ったケアをしたい〉10、

〈訪問看護をしたい〉5 コードを得た。研修後の変化につ

いて、〈訪問看護の実際の学び〉29、〈看護観への影響〉24、

〈訪問看護の魅力〉13、〈多職種協働に関連する事〉10、〈社

会資源の活用方法〉2コードを得た。【考察】受講生は退院

支援に取り組んでおり自己課題を認識していることがわ

かる。また、受講生は研修会が対象者に寄り添ったケアを

学ぶ機会と捉えている。研修後の変化より、〈訪問看護の

実際の学び〉から研修内容が訪問看護の実際を学びたいと

いう課題を達成する内容であった。〈訪問看護の魅力〉よ

り、研修会が訪問看護の楽しさや魅力を伝えるものであり、

訪問看護師への転機のきっかけになると期待される。【結

論】本研究は、訪問看護の知識や退院支援など受講生の自

己課題を達成できる内容であり、看護観へも影響の与える

ものであった。また、訪問看護師の増加に寄与できるもの

であることが示唆された。

口演5-4

卒後2年目看護師の業務遂行の困り事と相談

支援体制

キーワード:卒後 2年目看護師 困り事 相談支援体制

○鈴木 由香1),荒浪 千春1)

1) 市立島田市民病院

【はじめに】卒後 2 年目となる看護師(以下,2 年目看護

師)は,就職後の 1年間に綿密な教育を受けた後、一人前

とみなされ自立した業務遂行を期待される。そのため周囲

からの支援の認識が低下し、負担感や孤独感によりリアリ

ティショックが生じる。そのような状況における 2年目看

護師の看護実践能力の向上のための具体的な支援は、いま

だ十分に検討されていない。【目的】2年目看護師の業務遂

行における困り事および支援ニーズを明らかにすること。

【方法】調査期間は 2018 年 10 月~2019 年 2 月。基幹病院

の 2年目看護師 19 名を対象とした。自記式質問紙調査で、

属性、相談支援体制(相談相手や指導係、1 対 1 の指導者

の必要性)、看護業務上の困り事に関する自作の質問 14 項

目。回答を単純集計し,自由記載は質的に分析した。【倫

理的配慮】対象者に研究の概要,研究参加の自由および研

究参加による負担や不利益が生じないこと,研究結果の公

表,個人情報の保護,情報の厳重な管理について説明し同

意を得た。本研究は所属施設の倫理審査委員会の承認を得

た。開示すべき利益相反関係はない。【結果】困り事は、

急変時の対応、重症患者の管理、3年目でリーダー研修を

行うプレッシャーにおいて 80%以上であった。相談支援体

制に関しては相談相手「あり」100%、内訳は「所属部署内

外の同期の看護師」41%であった。所属部署内の指導者「あ

り」は 89%であったが、そのうち半数は部署内の 2 年目全

看護師の指導担当者であった。1 対 1 の指導者「あり」は

14%であったが、その必要性は約半数の者が感じていた。

その理由は、1 年目とさほど変わらずまだまだ学ぶことが

あり不安が強い、1対 1は安心で相談しやすい、であった。

一方で必要と感じない理由は、相談窓口さえあればよい、

聞きやすい先輩がいる等であった。【考察】2年目看護師は

まだ看護実践経験が不足している部分が多く、新卒看護師

同様、業務遂行において種々の困り事を抱えている。所属

部署内外に相談先があると認識しており、相談相手や支援

体制はあると考えられるが、1 対 1 といった個別的な対応

の必要性が高いことも明らかになった。研究対象者が 19

名と少ないため、一般化することは難しい。【結論】看護

師 2年目の困り事は、自己の看護実践や組織的役割遂行の

内容において高い割合であった。相談支援体制はあるが、

個別的な対応も必要である。

Page 38: 特別企画 目次 - Japanese Nursing Association第50回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集(2019) ― 21 ― 第50回日本看護学会―看護教育―学術集会

第 50 回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集 (2019)

― 83 ―

第1日

第 50 回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集 (2019)

口演5-5

転倒転落対策における精神科看護師への教育

的介入

-インタビューから導き出されたシャドー研

修の効果-

キーワード:転倒転落 シャドー研修 教育

○吉永 あかり1),山崎 さおり1),永迫 智子1)

1) 公益財団法人 慈愛会 谷山病院

【はじめに】精神科医療における転倒転落事故においては、

他の領域に比べると介入困難な事例が多い。加えて精神科

病院に入院している患者の転倒による有害事象は医療安

全の側面からも注目されている。そこで精神科看護師を対

象に転倒転落対策における教育を行い、その効果を明らか

にするために研究に取り組んだ。【目的】精神科看護師を

対象に転倒転落対策におけるシャドー研修を通した教育

効果を明らかにする。【方法】研究対象は精神科病棟で勤

務する看護師10名、准看護師1名。研究期間は2018

年5月1日~6月30日。対象者へせん妄に対する学習会

を行い、精神科急性期病棟及び認知症疾患治療病棟での

シャドー研修を実施。研修を受け入れる看護師においては、

部署長が選任し、A病院のクリニカルラダーⅢ以上の看護

師とした。研修終了後に①急性期病棟での学び②認知症病

棟での学び③自病棟の強み、弱み④取り組みたいこと⑤感

じたことの5項目の質問を半構成的面接で行った。【倫理

的配慮】本研究は、所属施設の倫理委員会の承認を受けた。

調査の目的・意義・方法と匿名性の保持、調査は自由意思

であり協力できなくても不利益は被らないこと、院内外の

学会においてデータを使用する可能性があることについ

て文章で説明し同意を得た。また、不利益を回避するため

の配慮を実施した。【結果】転倒転落対策における学びに

ついて、8サブカテゴリ<安全な環境の提供><個別的ケ

ア介入><多職種連携><看護師間の連携><治療的か

かわり><せん妄へのかかわり><看護体制・方式><機

能分化>と3カテゴリ≪安全確保への取り組み≫≪連携≫

≪専門的な治療の提供≫に分類された。【考察】≪安全確

保への取り組み≫は既知の知識として備わっていたと考

える。さらに新しい学びとして≪連携≫≪専門的な治療の

提供≫というカテゴリが抽出されたことから、転倒転落防

止に対して多職種で協働することの必要性や、精神看護の

専門職者として対象を理解しながらケアすることを、シャ

ドー研修を通して学ぶことができた。看護の実際を自己の

目で見て体験することで、自身の看護を振り返り、転倒転

落対策において包括的な視点を習得できた。【結論】精神

科急性期病棟及び認知症治療疾患病棟でのシャドー研修

を行うことで、対象を理解しながら治療環境を整えること

が、転倒転落対策には必要であることを習得することがで

きた。

口演6-1

中堅看護師が PNSⓇにおいて若手看護師から期

待されること

キーワード:中堅看護師 PNSⓇ 若手看護師 期待

○佐藤 幸菜1),長田 正志1),川野 未来1), 石田 広大1)

1) 市立甲府病院

【はじめに】近年、パートナーシップ・ナーシング・シス

テム(以下 PNSⓇ)が開発され全国へ普及された。若手看護

師とペアを組み業務を行う中で中堅看護師の存在が重要

な役割であると再認識した。PNS における中堅看護師に対

して若手看護師の抱く思いを明らかにしていく必要があ

る。【目的】PNS において中堅看護師が若手看護師からどの

ようなことを期待されているか明らかにする。【方法】PNS

を導入した病棟の若手看護師(経験年数2~4年目)6 名

にインタビューガイドを用いて中堅看護師に対し具体的

にどう関わってもらいたいか、望むことなど質問し、内容

を分析しカテゴリーを抽出した。【倫理的配慮】研究対象

者へ文章と口頭で説明し、同意を得た。市立甲府病院倫理

委員会の承認を得てから行った。【結果】インタビューの

結果から、5 カテゴリー《話しかけやすい雰囲気を期待し

ている》《自分の意見を聞き出す様な関わりを期待する》

《業務を行いながら学ぶことを期待している》《リードし

てくれることを期待している》《安心感がある中で業務を

行うことを期待する》が抽出された。【考察】若手看護師

は、経験が浅く未熟な面も多いため看護することへの不安

を抱えている。自分に自信が持てずパートナーの意見に頼

りがちになるため、若手看護師が自分の意見に自信が持て

るようなコミュニケーションや関わりを意識していくこ

と、学びや経験の場を作り意見を伝えやすいようにしてい

くことが必要である。また若手看護師の多くは、経験を重

ねた中堅看護師の存在を心強く頼りになる存在として捉

えており、PNS でお互いの看護を近くで見ることにより知

識・技術が向上し視野が広がると言える。しかし中堅看護

師の接し方によっては、若手看護師が意見を言える環境に

あるかが大きく変わる。そのため気兼ねなく自分の意見を

言えるような話し掛けやすい声掛けや接し方を望んでい

る。日頃から業務や看護が中堅看護師主体になりやすいた

め意見交換を行う時は、若手看護師からの意見を引き出せ

るような関わりを中堅看護師は意識していく必要がある。

【結論】若手看護師が中堅看護師に対して期待しているこ

ととして、話しかけやすい雰囲気を期待している、自分の

意見を聞き出す様な関わりを期待する、業務を行いながら

学ぶことを期待している、リードしてくれることを期待し

ている、安心感がある中で業務を行うことを期待するとい

う事が明らかになった。

Page 39: 特別企画 目次 - Japanese Nursing Association第50回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集(2019) ― 21 ― 第50回日本看護学会―看護教育―学術集会

― 84 ―

第 50 回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集 (2019) 第 50 回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集 (2019)

口演6-2

JNA ラダー活用の推進

-集中治療室におけるリフレクションシート

導入後の現状と評価-

キーワード:JNA ラダー リフレクションシート 評価表

○八田 大1),中嶋 武広1)

1) 医療法人澄心会 岐阜ハートセンター

【はじめに】A病院では 2017 年より看護師のクリニカルラ

ダー(日本看護協会版)(以下 JNA ラダーとする)を導入した。

JNA ラダー評価表作成時に、自己の目標を明確にして実践、

評価を行うと同時に、看護介入の足跡を残し成長の指標と

することを目的にリフレクションシート(Reflection

Sheet:以下 RS とする)も導入した。今回、以前より医学

的知識を中心に考える傾向が強いことが課題であった A病

院集中治療室を対象に、RS 導入後の現状と評価を行う。【目

的】JNA ラダー活用における RS 導入後の現状と効果を明ら

かにする。【方法】2018 年 7 月から 12 月の A病院集中治療

室看護師 15 名の RS、評価表から、RS 記入数の推移、RS の

記入と評価表との相関について分析を行った。また、ス

タッフへ紙面によるアンケート(RS 導入により看護の視点

の拡がりを感じるか、JNA ラダーを日常の目標として意識

するようになったか等)を行った。【倫理的配慮】本研究は

岐阜ハートセンター看護部臨床倫理委員会の承認を得た。

調査対象者への研究の開示と拒否権、拒否した場合も不利

益を被らないことを文書化し、口頭で説明、書面にて同意

を得た。また、データは連結不可能匿名化し、鍵のかかる

場所で保管を行った。また、得られたデータは本研究以外

に使用せず、研究終了とともに破棄する。【結果】RS 記入

数は導入後 1 か月あたり 1 件、31 件、41 件と増加した。

研究期間の前半と後半でリフレクションを行った項目の

比較ではⅠ(ニーズをとらえる力)18%、Ⅱ(ケアする

力)68%、Ⅲ(協働する力)14%、Ⅳ(意思決定を支える力)0%

がⅠ44%、Ⅱ16%、Ⅲ16%、Ⅳ25%と変動した。評価表自己評

価の前後比較ではⅠ10%、Ⅱ5%、Ⅲ3%、Ⅳ0%の増加が見

られた。アンケートの結果(回収率 100%)、RS を導入し、

80%の看護師が看護の視点の拡がりを感じ、全員が JNA ラ

ダーを意識するようになったと回答した。【考察】当初ケ

アする力に偏っていたリフレクション項目が他の項目へ

と偏移していること、同時にアンケート結果からも看護の

視点が拡がったと考える。リフレクションを行った項目と

評価表の増加は関連が見られ、RS の導入は JNA ラダーの活

用に有効であると考える。【結論】RS 導入後、リフレクショ

ン項目の偏りが減少し、評価表の前後比較では RS の記入

内容に関連し増加が見られた。

口演6-3

急変時シミュレーションの反復学習後の看護

師の意識調査

キーワード:急変時シミュレーション 反復学習 学習効

果 意識調査

○森濱 明恵1),高月 利枝1)

1) 尾道総合病院

【はじめに】A 病院整形外科病棟では急変時シミュレー

ション教育への参加は主に新人にしか行われていない現

状があった。そのため、技術の底上げの目的で同一シナリ

オでの急変時シミュレーションを全スタッフに反復して

行い、シミュレーションに対する苦痛度や学習効果に対す

る意識調査を行った。【倫理的配慮】A病院看護科倫理審査

委員会の承認を得た。アンケートは無記名で個人が特定さ

れないように配慮した。【目的】急変時シミュレーション

を反復して行った事でシミュレーションのイメージ変化

や学習効果を明確にする。【方法】期間:H30 年 7 月~H31

年 2 月対象:病棟看護師 28 名を 4 人 1 グループの構成で

同一シナリオでの急変時シミュレーションを 8 回行った。

シミュレーション終了後に主研究者2名を除いた看護師26

名にアンケート調査後、単純集計による分析および経験年

数別に分析を行った。【結果】アンケート回収率は 100%で

あった。事前学習は 76%の看護師が実施していた。〈シミュ

レーションが急変時に役立つと思う〉は 96%であり、どの

経験年数においても差はなかった。〈毎月行う事が効果的

だと思う〉が 74%であり、復習でき習慣化するため効果的

であるという理由であった。一方、経験年数別に見るとラ

ダーⅠ.Ⅱでは 100%であったのに対し、20 年以上のベテ

ラン看護師では 64%であった。〈シミュレーションを苦痛

に思う〉は全体で 72%であった。経験年数別ではラダーⅠ

では 33%であったのに対し、20 年目以上になると 90%で

あった。また、シミュレーションを行う前のイメージは自

信がない、失敗が怖い、緊張するという負のイメージが 73%

という結果であった。シミュレーション後〈イメージに変

化があったか〉は、72%が良いイメージに変化したと回答

があった。〈シミュレーションを行って良かったと思う〉

は 96%であった。【考察】経験年数の違いにより、シミュ

レーションへの苦痛度は差があり、ベテランほど苦痛が強

かった。教育を受けてきた背景の違いや、経験がある故に

失敗への恐怖心等が関連していると示唆された。また、シ

ミュレーションを経験する前までは、負のイメージが強

かったが、反復して行うことでイメージがプラスな方向へ

変化し、主体的に事前学習を行う等の学習効果も得られた。

【結論】同一シナリオでの急変時シミュレーションを反復

することは学習効果があったと考える。

Page 40: 特別企画 目次 - Japanese Nursing Association第50回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集(2019) ― 21 ― 第50回日本看護学会―看護教育―学術集会

第 50 回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集 (2019)

― 85 ―

第1日

第 50 回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集 (2019)

口演6-4

卒後 2 年目看護師への支援体制に関する実態

調査

キーワード:卒後 2 年目看護師 支援体制 不安・ストレ

スの認識

○矢野 真奈美1),沖田 あゆみ1),森本 悦子2)

1) 高知県・高知市病院企業団立高知医療センター

2) 高知県立大学看護学部

【はじめに】A 病院において卒後 2 年目看護師(以下、2

年目看護師)は実地指導者の手を離れ、系統的な支援は薄

くなる一方、業務上の責任や求められるものは増している

ことが予測され心理的負担が大きくなっていると考える。

【目的】2 年目看護師への支援体制の実態を把握すること

により、院内教育や病棟支援の見直しに活かす。【方法】2

年目看護師と 2年目看護師支援に携わっている経験 5年目

以上の看護師(以下、先輩看護師)で研究に同意が得られた

ものに支援に関わる自記式質問紙調査を実施した。統計解

析は Excel による単純統計、自由記載については質的に分

析した。【倫理的配慮】所属施設の倫理審査委員会の承認

を得て実施した。研究対象者に研究の主旨、匿名性、協力

の任意性や途中辞退の保証、不参加や途中辞退による不利

益を被ることがないこと、質問紙の回答・回収をもって同

意とすること等を文書で説明した。【結果】質問紙は 144

部配布し 123 部回収(回収率 85.4%)、有効回答 110 部(有

効回答率 89.4%)であった。2年目看護師の現状と思いの

12項目において2年目看護師と先輩看護師の認識に乖離が

あり、2 年目看護師支援については 2 年目看護師、先輩看

護師とも回答の傾向に差はみられなかった。一般病棟では

定期的な振り返りを行っていないと回答した部署が多く、

特殊病棟では全部署で年間計画や部署別ラダーを活用し

た支援を行っており、特殊部署の 2年目看護師の全員が現

在の指導方法が自分に合っていると回答していた。理想と

する支援体制については 2項目で 2年目看護師と先輩看護

師間での認識の違いがみられた。【考察】2年目看護師は自

信がなく、緊張感や疲労感は先輩看護師の認識より高い状

態にあり、不安やストレスに対し支援不足となっている可

能性がある。しかし 2 年目看護師は病棟で看護業務やコ

ミュニケーションへの必要な支援を得られていると感じ

ており、病棟での支援体制は概ね整えられているといえる。

また 2年目看護師の多くが理想とする看護観を持ちながら

も自己の目標や課題を明確にすることができていないこ

とから、それらへの取り組みに困難さを感じていることが

示唆された。【結論】2年目看護師は先輩看護師の認識より

も不安やストレス、疲労感を強く感じている傾向にあり、

年間計画の見直しや部署別ラダーを活用した振り返りの

機会の設定が個々の成長を促すために有効である。

口演6-5

遺体への医療的処置、情報提供に関する教育内

容の検討

-看護師への実態調査から-

キーワード:遺体トラブル 情報提供 葬儀担当者 死後の

ケア 看護師

○堀 奈津紀1),柏本 真希1),上腰 久美1)

1) 浅ノ川総合病院

【はじめに】先行研究によると葬儀担当者は 7割以上が遺

体トラブルを体験しており、そのリスクについての情報提

供を希望している。A 病院ではエンゼルケア研修を行って

いるが、医療的処置や情報提供をメインとしておらず、死

後処置の院内マニュアルも H21 年度から改定されていない。

そこで、看護師による遺体への医療的処置、葬儀担当者・

遺族への情報提供の実態を明らかにし、今後の教育内容を

検討したいと考えた。【目的】A病院病棟勤務の看護師によ

る遺体への医療的処置、葬儀担当者・遺族への情報提供の

実態を明らかにし、今後の教育内容を検討する。【方法】

2018 年 5~7 月に A 病院看護師 202 名を対象に自記式質問

紙による調査を行い、データ分析はエクセル統計を用いて

カイ二乗検定を行った。【倫理的配慮】対象者へ研究の趣

旨、個人情報の取り扱いについて説明し、質問紙の提出を

もって調査への同意とした。質問紙は無記名とした。浅ノ

川総合病院の臨床倫理委員会で承認を得た。【結果】有効

回答数 159 枚で、医療的処置の経験がある対象者は 126 名、

学んだことがある対象者は 71 名だった。処置方法は、末

梢点滴抜去部で「保護なし」、その他では「ガーゼ+テー

プ、フィルム」が多く、配慮している内容は、できるだけ

保護しない等の見た目を意識した回答が多かった。情報提

供は葬儀担当者へは 40 名、遺族へは 76 名が行っていた。

【考察】処置時にできるだけ保護しないという回答が多く、

出血や体液漏出などの遺体トラブルに繋がっている可能

性がある。葬儀担当者との情報交換により遺体トラブルの

少ない方法を検討し、医療的処置をメインとした研修を

行っていくことで遺体トラブルの軽減に繋げられるので

はないかと考える。情報提供は葬儀担当者・遺族ともに半

数以下であり、看護師の守秘義務や故人の尊厳に対する配

慮、遺族を不安にさせたくないという思いがあるのではな

いかと考える。家族の同意を事前に得ておくことなども含

め、情報提供について院内でマニュアル化していく必要が

ある。【結論】医療的処置は見た目を意識した方法が多く、

情報提供は葬儀担当者・遺族ともに半数以下だった。医療

的処置は葬儀担当者と情報交換を行い、遺体トラブルの少

ない方法を検討した上で研修を行っていく。情報提供につ

いては院内でマニュアル化していく必要がある。

Page 41: 特別企画 目次 - Japanese Nursing Association第50回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集(2019) ― 21 ― 第50回日本看護学会―看護教育―学術集会

― 86 ―

第 50 回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集 (2019) 第 50 回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集 (2019)

口演7-1

A校における入学前授業(プレスクール)で協

同学習を体験した学生の学び

-卒業年次学生へのアンケート調査から-

キーワード:プレスクール 協同学習 学び

○久志 篤子1),照喜名 則子1)

1) 那覇市医師会那覇看護専門学校

【はじめに】A 校における入学前授業(以下,プレスクー

ル)は,取組み開始 4年を経過した。プレスクールで協同

学習を体験することにより,学習者として自ら学ぶ学習へ

の転換や入学後に期待されるチームワーク力等を培うこ

とを目的に実施してきた。しかし,目的が達成できたのか

不明確であり,卒業年次学生の評価を得る必要があると考

えた。【目的】プレスクールで協同学習を体験した卒業年

次学生の学びを明らかにする。【方法】1)対象:プレスクー

ルで協同学習を体験した A 校の卒業年次学生,2)方法:無

記名自記式の質問紙票を配布,収集し分析。3)内容:プレ

スクールにおける協同学習で特に学べたこと、身についた

ことについて。4)分析:学び及び身についたことについて

書かれている文脈を抽出し,意味・内容ごとに分類,カテゴ

リー化した。分析にあたっては,研究者間の意見が一致す

るまで話し合いを重ね,信頼性と妥当性を確保した。【倫理

的配慮】所属機関の倫理審査委員会相当の機関の承認を得

て実施した。研究への協力は自由意思であり参加の拒否や

途中辞退の場合も不利益は生じないことを口頭にて説明

し同意を得た。発表に関連し開示すべき利益相反関係はな

い。【結果】学びの内容の文脈単位は 103 の初期コードか

ら 17 のサブカテゴリー,「主体的な発進力をつける」「話

し合って考えることの大切さ」等 5つのカテゴリーが抽出

された。身についたとの文脈単位は 74 の初期コードから 9

つのサブカテゴリー,「何事にも主体的に関わる」等 3 つ

のカテゴリーが抽出された。【考察】先行研究では,「プレ

スクールで専門学校での学び方の違いを認識させ,自立し

た学習者への変身を促進させることでスムーズな教育へ

の移行を図る」と述べられている。学生はプレスクールで

協同学習を体験することで主体的,能動的な学習へ転換す

る大切さを学べたと推察された。他者へ関わろうとする関

心が高まり主体的になったことは,A 校が目指すチーム

ワークを培う力に繋がったと推察された。【結論】卒業年

次学生の学びとして「主体的な発信力をつける」「話し合っ

て考えることの大切さ」「何事にも主体的に関わる」事な

どを学んでいた。研究の限界と課題は,卒業年次に調査を

行っているため,プレスクールの体験以外の影響・成長関

与や在学中の因果関係等もあると考えられるが,その関与

についての質問や分析は行っていないため,検討が必要で

ある。

口演7-2

アクティブラーニングを取り入れた急性期看

護方法の授業における学習行動と学習意欲の

評価

キーワード:アクティブラーニング 学習行動 学習意欲

○髙橋 由起子1),三枝 聖美1),阿部 誠人1),西本 裕1)

1) 岐阜大学医学部看護学科

【はじめに】アクティブラーニング(以下 AL)は,能動的学

習を促すために近年多くの大学で取り入れられている(松

下:2015)。また,大学教育における授業は,授業前後に 3

倍の学習時間が必要とされており,学習者の学習行動や自

律的に学習できる学習モチベーションを上げる方策が必

要とされている(国立教育施策研究所:2016)。【目的】本

研究は,AL を取り入れた授業「急性期看護方法Ⅱ」の学習

行動と学習意欲を評価する目的で行った。【方法】研究期

間:2017 年 10 月~2018 年 12 月。研究対象:4年制大学看

護学科の 2 年生 157 名(2017 年度:75 名,2018 年度:82

名)。研究方法:急性期看護方法Ⅱの授業計画として,2017

年度は原則ブレンディッドラーニングを取り入れた授業

を実施(BL群)し,2018年度はALを取り入れた授業(AL群)

とした。各群の授業終了時に学習行動と学習モチベーショ

ンに関する質問紙調査(7 段階リッカートスケール)を行っ

た。質問項目は独自に作成した学習行動に関する 6項目(連

絡事項の確認,予習,教材確認,資料印刷,確認テストの

実施,復習)と学習意欲に関する 3項目(学習意欲,理解

状況,学習満足)とした。分析方法:SPSS Ver.25 を用い

て 2 群間でt検定を行った。【倫理的配慮】質問紙は無記

名,提出は任意,統計処理され個人が特定されない,提出

の有無により成績に関係がないことを説明し,質問紙の提

出をもって研究への同意とした。本研究は岐阜大学大学院

医学系研究科医学研究等倫理審査委員会の審査・承認を得

た(承認番号 28-292)。本演題で開示すべき利益相反関係に

ある企業等はない。【結果】質問紙の回収は 55 名(35.0%)

であった。学習行動で最も低かったのは「予習」で

4.64(±1.31)点で,最も高かったのは「連絡事項の確認」

で 6.29(±0.88)点であった。「予習」に関する項目は,BL

群が 4.26(±1.29)点,AL 群が 5.00(±1.25)点で,AL

群の得点が有意に高かった(F:0.457,P=0.035)。学習意欲

に関する項目はどの項目も 2 群間で有意な差はなかった。

【考察】AL 群の授業は,BL 群の授業と学習意欲では有意

な差はなく,学習行動として「予習行動」を高めることが

できることが示唆された。【結論】AL を取り入れた授業計

画の積極的な導入が望まれる。

Page 42: 特別企画 目次 - Japanese Nursing Association第50回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集(2019) ― 21 ― 第50回日本看護学会―看護教育―学術集会

第 50 回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集 (2019)

― 87 ―

第1日

第 50 回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集 (2019)

口演7-3

安全な静脈注射を実施するために

-ヒヤリハットの現状分析アンケート-

キーワード:静脈注射 ヒヤリハット 継続教育

○安藤 美紀子1),荒川 直子1),池田 香緒里1),世良田 麻衣1),中山 美智子1),中山 郁子1),中村 ヒトミ1),渡邉 いづみ1)

1) 公立阿伎留医療センター

【はじめに】看護師等による静脈注射は診療補助行為の範

疇であるとの行政解釈変更(H14 年 9 月 30 日医政発第

0930002 号)後、医療機関における研修、施設内基準や看

護手順の作成・見直し、個々の看護師等の能力を踏まえた

適切な業務分担が重要となった。A院ではH25 度に静脈注

射ライセンス制度を導入。H29 年度の全インシデント報告

1,897 件のうち、薬剤関連のインシデント報告は 133 件

(7.0%)で、レベル 0 は 32 件と少なく、ヒヤリハット体

験の看過・非報告の可能性が推察できた。この非報告ヒヤ

リハット体験の分析が重要であると考えた。【目的】イン

シデントレベル 0報告の現状把握による問題の明確化。【方

法】H29 年度の A 院のインシデント報告書記載内容を参考

に、レベル 0(エラーや医薬品・医療用具の不具合が見ら

れたが、患者には実施されなかった)を、薬剤間違い、患

者間違い、与薬忘れ、与薬量間違い、投与速度間違い、与

薬時間・日付間違い、与薬方法間違い、与薬技術間違いと

8 分類し、それぞれの原因・背景を問う自記式アンケート

(無記名)を作成。静脈注射ライセンスⅡ取得者 193 人に

配布し同意者 150 人に留置(H30/9/1~25)した。【倫理的

配慮】研究概要を依頼文書に記し非参加による不利益の非

発生を保証した。A 院倫理委員会の承認獲得済み。【結果】

58 人(38.7%)がヒヤリハット経験 0回と回答。ヒヤリハッ

ト経験を有する 92 人(61.3%)から 208 場面の情報を得

た。最多は投与速度間違い(49 場面)で、その原因は“思

い込み”(52.1%)、“時間的切迫”(27.1%)、“業務プレッ

シャー”(20.8%)等であった。背景は「他の看護師が忙

しそうで確認しづらかった」(21.3%)、「ダブルチェックの

相手が見つからなかった」(20.7%)、「医師が指示変更を看

護師に伝えなかった」(18.0%)が多かった。【考察】ヒヤ

リハット経験の原因回答の最多の“思い込み”には、業務

への慣れ、行動省略、パターン化が影響する。思い込み起

因のインシデント発生には業務過多が影響する構図が浮

かんだ。今後一層準備及び投与方法の標準化、業務調整、

重複確認の徹底を図りたい。【結論】ヒヤリハットを認識

できない看護師が多かった。分類では投与速度間違い、原

因は思い込みが多かった。今後リスク認知の感受性と知

識・技術を高める継続学習が必要である。

口演7-4

西胆振地域におけるチーム医療を意識した緩

和ケア研修の効果

キーワード:緩和ケア チーム医療 研修

○鶴見 紘子1)

1) 総合病院 伊達赤十字病院

【はじめに】がん患者とその家族に関る西胆振地域の医療

職の困難感の研究により、基本的な緩和ケアの知識不足だ

けでなくチーム医療の難航により生じる困難感が明らか

になった。【目的】西胆振地域におけるチーム医療を意識

した緩和ケア研修の効果を明らかにすることを目的とし

た。【方法】西胆振地域の医療機関に所属している医療職

を対象に、臨床で遭遇する事例を用いたグループワークと

ミニ講義を組み合わせた研修会を 2 回行なった。2 回参加

し同意の得られた 8名を対象に、研修前と研修 1ヵ月後に

調査用紙を配布した。調査用紙は、5 項目のストレス対処

によるセルフ・エフィカシー尺度(平井,2005)と 26 項目の

チームアプローチ評価尺度(飯岡,2016)、自由記載による

研修参加後の自覚した変化から構成した。調査票の配布と

回収は手渡しと郵送で行なった。介入前後のセルフ・エ

フィカシーとチームアプローチの項目得点の中央値の差

の分析には、SPSS for ver.18 を用いて Wilcoxon の符号付

順位和検定を行い、統計的有意水準は 5%とした。【倫理的

配慮】伊達赤十字病院倫理委員会の承認を得て実施した。

書面にて本研究の目的と意義、匿名性の保証、自由意思の

尊重等の説明をし、郵送による調査票の回答をもって調査

に同意したものとした。【結果】調査票の回収率は 87.5%

で、対象者の平均年齢は 42.1 歳、がん分野の平均経験年

数は 8.2 年、職種は看護師、理学療法士、薬剤師、MSW で

あった。介入前後の比較では、セルフ・エフィカシー尺度

の統計的有意差は認められなかったが、全項目の得点が介

入後に上昇する傾向がみられた。チームアプローチ評価尺

度では「チームメンバーの役割は明瞭である」の項目で統

計的有意差を認め、介入前後の平均値はそれぞれ 2.33、

3.33 であった。自由記載から、自身の役割や協働を意識し

た行動に変化していた。【考察】多職種構成のグループワー

クにより問題解決の糸口を見つけ緩和ケアの学びを深め

ることで、セルフ・エフィカシーの向上に繋がり、また、

チームによる問題解決の重要性を実感し、自身の役割を意

識した行動に変化したことで、チームメンバーの役割が明

瞭になっていたと考える。【結論】チームアプローチ評価

尺度の「チームメンバーの役割は明瞭である」で統計的有

意差を認めた。本研究は、笹川記念保健協力財団地域啓発

活動助成を受けたものである。

Page 43: 特別企画 目次 - Japanese Nursing Association第50回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集(2019) ― 21 ― 第50回日本看護学会―看護教育―学術集会

― 88 ―

第 50 回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集 (2019) 第 50 回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集 (2019)

口演7-5

看護師2年課程通信制学生の倫理的行動に関す

る考察

キーワード:看護師2年課程通信制 倫理的行動 教育課題

○高見 清美1)

1) 学校法人 大阪滋慶学園

【はじめに】看護師 2年課程通信制(以下通信制)は看護

職の資質向上を図る方策で創設された課程である。専門職

として質の高い看護を提供するためには知識・技術ととも

に高い倫理性が不可欠となる。【目的】本研究は通信制学

生の倫理的行動の傾向と教育課題について考察する。【方

法】対象:通信制学生(1年生 248 名、2年生 193 名)。調

査期間:2019 年 1 月。調査方法及び内容:自記式質問紙調

査。属性(経験年数、就業施設種、年齢)、倫理的行動尺

度 3 因子 22 項目 6 件法(大出.2014)を尺度使用許可を

得て実施。分析:記述統計、t 検定および分散分析(SPSS

Ver25 を使用)。【倫理的配慮】研究意義・目的・方法、匿

名性、参加任意性、不参加でも成績に影響しないことを口

頭及び文書で説明し回収をもって同意とした。本調査は日

本看護学教育学会の倫理審査委員会の承認を得た

(2018-01)。【結果】調査の有効回答数 240 名(有効回答

率 54.4%)。倫理的行動尺度は自律尊重尺度 M=4.36、

SD=0.862、公正尺度 M=3.96、SD=0.922、無危害善行尺度

M=4.59、SD=0.703 であり、年齢、経験と相関はなく、学年

及び就業施設種と自律尊重尺度及び公正尺度でそれぞれ

有意差がみられた(P<0.05)。病院看護師を対象とした先

行研究(安藤.2017)との比較では各因子ごとの平均値は

ほぼ同じような得点となった。しかし項目ごとでは対象の

意思表示を促したりチームワーク等に関する内容で通信

制学生の得点が高く、ケア計画の展開、ケアの説明等に関

する項目で低い傾向を示した。【考察】経験年数、年齢と

倫理的行動尺度は今回の調査では関連はみられず就業施

設種で有意差があったことより、単に経験を積むだけでな

くどのような経験を積んできたかが影響すると推察され

た。また学年比較で 2年生の得点が有意に高く通信制教育

の効果と考えられたが、今回は別集団での調査であり今後

縦断的な検討が必要となる。病院看護師との比較では、対

象やチームに対する関わりの点で得点が高く長い臨床経

験で身に付けた技術の反映と考えられた。しかし判断・決

定・説明に関連する項目で得点が低く、これまでの准看護

師としての立場や思考のあり方の反映と推察された。【結

論】通信制学生の倫理的行動の傾向より、今後専門職とし

て自律的思考能力、説明能力を強化していく必要が示唆さ

れた。

口演8-1

エビデンスに基づく精神科看護を促進する要

因の基礎的調査

キーワード:エビデンス 精神科看護 促進要因 基礎的調査

○奥村 智志1),小久保 知由起1)

1) 独立行政法人国立病院機構東尾張病院

【はじめに】近年、「エビデンスに基づく看護」の重要性

が説かれているが、精神科看護師は看護モデルやエビデン

スよりも、臨床経験で培った知識を重視する傾向にある。

エビデンスに基づく精神科看護の促進要因が明らかにな

れば、臨床における現任教育の充実につながり、看護対象

への質の高い看護の提供に結びつくと考える。【目的】精

神科看護師の看護実践や研究意識に影響する要因を探り、

エビデンスに基づく精神科看護を促進するための示唆を

得る。【方法】精神科単科の A 病院に勤務する看護師 134

名を対象に自記式質問紙調査を実施した。質問紙は先行研

究を参考に、基本属性(年齢、看護師経験、学術的活動経

験等)、効果的な看護実践を導く行動特性、研究に対する

意識を尋ねる内容で作成した。分析には統計解析 SPSS を

用い、学術的活動経験を基準に分類した 2群間の行動特性

および研究意識の平均値を比較するため、Mann-Whitney U

検定を実施した。有意水準は 5%とした。【倫理的配慮】本

研究は東尾張病院倫理審査委員会の承認を得た上で実施

した。対象者には、研究目的、不参加による不利益がない

こと、研究者の守秘義務、無記名自記式の質問紙調査で個

人情報漏洩の心配がないこと、学会・専門誌等への発表に

ついて書面にて説明し、質問紙の回収をもって研究参加へ

の同意とした。本研究において開示すべき利益相反は存在

しない。【結果】対象者 134 名のうち 102 名(回収率:76.1%)

の回答が得られ、欠損値のない 84 名(有効回答率:62.7%)

を分析対象とした。行動特性では文献閲読頻度(p<0.01)、

研究活動経験(p<0.01)で有意差がみられた。研究意識で

は文献閲読頻度(p<0.05)、研究活動経験(p<0.01)、学会

発表経験(p<0.05)で有意差がみられた。【考察】精神科看

護師として効果的な看護実践を導き出すためには、日頃か

ら文献に目を通し、研究活動を経て学会発表をするという

一連の経験を積むことが有用である。そのためには、院内

教育体制や研究支援体制の見直しを視野に入れながら、臨

床の精神科看護師が自主的に学術的活動に携わることが

できるよう、組織的な環境を整える必要がある。【結論】

エビデンスに基づく精神科看護を促進するためには、看護

師が文献に親しめる機会を確保し、適切なアドバイスを受

けながら研究活動を遂行できる環境を整える必要がある。

Page 44: 特別企画 目次 - Japanese Nursing Association第50回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集(2019) ― 21 ― 第50回日本看護学会―看護教育―学術集会

第 50 回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集 (2019)

― 89 ―

第1日

第 50 回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集 (2019)

口演8-2

看護専門学校教員の臨地実習におけるカン

ファレンス教授活動と教師効力感との関連

キーワード:看護専門学校教員 実習カンファレンス 教

師効力感 実習カンファレンス教授活動

○寺島 公江1),吉田 文子2),八尋 道子2)

1) 整形外科 安藤クリニック 2) 佐久大学

【はじめに】臨地実習指導に関する研究では教授活動に焦

点をあてたものが多く、特に看護専門学校の教員は実習カ

ンファレンスでの教授展開を模索している現状にある。教

員がカンファレンス教授を自己評価できる尺度はあるが、

学生の学修効果との関連についての研究は見当たらない。

学生の学修効果促進に影響するものには教師効力感があ

り尺度も開発されている。これらの関連を明らかにするこ

とで学生の学習効果促進の視点で実習カンファレンスを

検討する。【目的】看護専門学校の実習カンファレンスの

実態を把握し、実習カンファレンス教授活動自己評価と教

師効力感との関連を検討する。学生の学修効果に焦点を当

てた実習カンファレンス教授活動のあり方の示唆を得る。

【方法】看護専門学校(3 年課程)を 140 校抽出し研究同

意が得られた 64 校(445 名)の看護教員を対象にして教員

の個人属性、実習カンファレンスの実態、「実習カンファ

レンス教授活動自己評価尺度」、「教師効力測定尺度」を調

査し尺度間の相関分析を行った。教師効力感の高い教員の

傾向を回帰分析で探索した。【倫理的配慮】対象者に個人

情報の保護、不利益が被らないこと、自由意思を尊重する

ことを書面で説明し同意を得た。佐久大学研究倫理委員会

の承認を得ている。【結果】252 名を分析対象とした(有効

回答率 56.6%)。教授活動自己評価尺度得点と教師効力測定

尺度得点には正の相関がみられた。教師効力測定尺度得点

の高さには、カンファレンス教授活動の 2つの下位尺度の

得点が優位に寄与していた。【考察】実習カンファレンス

教授活動自己評価と教師効力感には関係性があることか

ら、教員が自己評価する実習カンファレンスの尺度得点が

上がるように努めることは教師効力感の向上につながり、

学生の学修効果促進に影響を与えているといえるかもし

れない。教師効力測定尺度の高い教員の特徴として「看護

現象の解説と原理への統合」、「目標達成の査定によるカン

ファレンス展開方法の決定」を重視して教授活動を行って

いることが推察された。【結論】学生の学修効果促進を考

えた実習カンファレンスを行うために教員は、学生の体験

した看護現象を解説し原理を意味づけること、学生の学修

状況に応じたカンファレンスの展開方法を決定すること、

自己評価を続け教授方法の見直しをはかることが大切で

あると示唆された。

口演8-3

「術後1日目の患者の離床」のシミュレーショ

ン教育の効果

-臨地実習での活用に焦点をあてて-

キーワード:周手術期看護実習 シミュレーション教育

準備教育

○平野 ゆき子1),佐藤 佳代1)

1) 千葉県立野田看護専門学校

【はじめに】学生は周手術期患者の術後観察や離床場面に

おいて、戸惑いや緊張から看護実践に至らないことが多い。

そこで、周手術期看護実習の準備教育として「術後1日目

の患者の離床」のシミュレーション教育を導入した。【目

的】周手術期看護実習の準備教育として実施した「術後 1

日目の患者の離床」のシミュレーション教育での学びが臨

地実習に活用できたのか明らかにする。【方法】対象者は A

看護専門学校3年生 37 名。周手術期看護実習の前週に実

習グループ単位で教員が模擬患者となり大腸がんの術後 1

日目の離床を実施。その後、デブリーフィングを行い再度

シミュレーションを実施。調査方法は無記名自記式の質問

紙調査。内容はシミュレーション教育の学びの活用に関す

る 10 項目について 4 件法(とてもそう思う~全く思わな

い)及び自由記述とした。分析は単純集計及び臨地実習前

半と後半での有意差をマンホイットニー検定、自由記述は

類似性からカテゴリー化した。【倫理的配慮】結果は研究

目的以外には使用せずいかなる利益・不利益を被らないこ

と、提出をもって同意を得たものとすることを文書と口頭

で説明した。また、千葉県立野田看護専門学校倫理審査委

員会の承認を得ている。【結果】回収率 100%、有効回答率

97%。『術後看護を理解する上で役立った』『離床が可能か

判断するための観察に活かすことができた』等の 6項目で

は、全員が「とてもそう思う」「まあままそう思う」と回

答し、「イメージがついた」「演習を思い出してできた」「患

者にあった方法を具体的に考えられた」の理由が多かった。

『離床の必要性の説明』『痛みや負担が少なくなる方法で

の離床の介助』等の 4項目では約 9割の学生が「とてもそ

う思う」「まあまあそう思う」と回答した。また、すべて

の設問において臨地実習前半と後半での有意差はなかっ

た。シミュレーション演習に対する自由記述では[イメー

ジ化できた][不安が軽減し安心して実習ができた]等4

つのカテゴリーが抽出された。【考察】教員が模擬患者と

なったことで、緊張下でよりリアルな経験をすることがで

きた。そして、経験を客観的に振り返ったことで知識と技

術を統合して学ぶことができ、臨地実習時に具体的に活用

することができたと考える。また、不安が軽減し安心した

実習にも繋がった。【結論】シミュレーション教育での学

びを術後の観察や離床介助などの看護実践に活用できた。

Page 45: 特別企画 目次 - Japanese Nursing Association第50回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集(2019) ― 21 ― 第50回日本看護学会―看護教育―学術集会

― 90 ―

第 50 回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集 (2019) 第 50 回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集 (2019)

口演8-4

“書くこと”での気付きから始まるプロセスレ

コードの学習効果

-精神看護学実習におけるプロセスレコード

に関する実態調査からの示唆-

キーワード:精神看護学実習 プロセスレコード 外在化

○安藤 馨1)

1) 神奈川県立精神医療センター

【はじめに】プロセスレコードの「感じたこと考えたこと」

の過程が十分に表現されていないように感じたのは、検討

会が実習前半にあることで、場面の選択肢が少ないことの

影響と考えた。先行研究では検討会の時期について十分に

検討されていなかった。【目的】プロセスレコードの学習

効果に影響を及ぼす要因を明らかにし、今後の実習指導に

活かすための示唆を得る。【方法】調査期間 2018 年 5 月~

12 月。A病院でプロセスレコードをおこなった学生 148 名

を対象に自作質問紙を使用し調査した。基本属性の他 1)

実習前学習 2)個人ワーク 3)検討会の 3 場面で、異和感

の明確化や自己の感情、コミュニケーションのずれ等、学

習効果の実感をそれぞれ 4 件法で調査した。基本属性は単

純集計を行った。学習効果に影響を及ぼす要因を明らかに

するため Mann-Whitney の U 検定、Wilcoxon の符号付順位

検定を行い、有意水準は 5%とした。【倫理的配慮】本研究

は神奈川県立精神医療センター倫理審査委員会の承認を

受けて実施した。(承認番号 201712)。実習前に学校の同意

を得た後、実習初日に学生に説明した。学生の不利益を回

避するための配慮として、同意・非同意が他学生にわから

ないよう、封緘して学生控室内のポストへ投函とした。発

表者に開示すべき利相反関係にある企業などはない。【結

果】実習中 1 回おこなった 75 名の結果から、基本属性、

検討会の時期、検討時間の学習効果に有意差は認めなかっ

た。個人ワークで学びを実感した群に、検討会での学習効

果に有意差がみられた。検討会に満足した群に、個人ワー

クの“異和感の明確化”、検討会の“コミュニケーション

のずれ”に有意差がみられた。社会生活に活かせた群に、

個人ワークの“自分の感情”に有意差がみられた。【考察】

プロセスレコードの学習効果は実習後半に検討会を行な

うことで場面の選択肢が増え、「感じたこと考えたこと」

の過程が充実し学習効果に繋がると考えていた。しかし個

人ワークで学びを実感した群に有意差がみられたことで、

個人ワーク=“書くこと”でプロセスレコードの学習効

果を実感していることが分かった。“書くこと”=自己理

解であり、個人ワークによる自己理解が、プロセスレコー

ドを行う目的達成に向けた第一歩と考える。【結論】個人

ワークで“書くこと”を促していくことがプロセスレ

コードの学習効果につながる可能性がある。

口演8-5

中学生に対する精神障害啓発活動

-啓発パンフレットを用いた講習前後での意

識調査-

キーワード:中学生 精神障害啓発活動 講習

○岩佐 真奈美1),林 清高1),雑賀 敬司1), 湯原 弘喜1),田中 博也1)

1) 国保野上厚生総合病院

【はじめに】現在の精神保健医療福祉施策では、精神障害

にも対応した地域包括ケアシステム構築が求められてい

る。精神障害の多くは思春期・青年期に発症するが、日本

の学校教育要領には精神障害について学ぶ機会がないの

が現状である。また精神障害者に対する偏見は根強く残っ

ており、世界保健機関、国際早期精神病学会においても早

期教育が必要であると言われている。そこで、学生らに精

神障害を正しく理解してもらう必要があると考え、パンフ

レットを用いた啓発活動を行った。【目的】学生の精神障

害への意識・知識の現状を明らかにし、講習前後での変化

を検証する。【方法】X年 5月~X+1年 2月にかけて、A圏

域に在籍している中学生 13 名を対象に啓発パンフレット

を用いて講習を実施し、講習前後にアンケート調査を行い

意識・知識の変化を比較した。【倫理的配慮】国保野上厚

生総合病院倫理委員会の承認を得た上で実施した。アン

ケート調査に拒否された場合でも、学校成績等の不利益に

ならないことを説明した。調査は無記名で行い、提出にて

同意を得られたこととした。本研究に関連して開示すべき

利益相反関係にある企業等はない。【結果】精神障害や精

神疾患という言葉を聞いたことがある 62%、ない 38%であっ

た。精神障害や精神疾患という言葉をどこで聞いたかはテ

レビが最も多く、次いで家族であった。聞いたことがある

精神障害では認知症が最も多く、統合失調症とてんかんが

少なかった。身近に精神障害のある人がいる・いたでは学

校が最も多く、次いで自分自身又は親族であった。これま

で障害や疾患について学ぶ機会は 77%が無かったと答え

た。障害や疾患について学びたいと思うかは、学びたいが

増えた。共生社会の考え方や障害者差別解消法、精神障害

罹患時に使用できる制度や法律を知っているかの質問で

は、知っているが増えた。精神障害のある方と関わること

については抵抗がないが増えた。【考察】認知症はメディ

アの出現機会が多く、啓発・教育活動も組織的に行われて

いるが、統合失調症等は教育プログラムがないため認知が

低かったと考える。精神疾患が身近なものであることを知

る機会が、正しい知識や関わり方等を学ぶ意欲に繋がった

と考える。また、学習の機会を得たことが抵抗感の軽減に

繋がったとも考える。【結論】精神障害を正しく理解して

もらうために、今後も教育機関と連携し啓発活動を継続し

ていきたい。

Page 46: 特別企画 目次 - Japanese Nursing Association第50回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集(2019) ― 21 ― 第50回日本看護学会―看護教育―学術集会

第 50 回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集 (2019)

― 91 ―

第1日

第 50 回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集 (2019)

口演9-1

看護師学校養成所二年課程(通信制)の学生の

看護実践能力の現状と技術教育の課題

キーワード:二年課程(通信制) 看護技術 看護実践能力

技術教育

○島田 恵子1),土屋 八千代2)

1) 大阪保健福祉専門学校 2) 滋慶医療科学大学院大学

【はじめに】2025 年問題に際し厚労省は看護師の質向上と

量不足を補うため、2004 年看護師学校養成所二年課程(通

信制)(以下二年課程(通信制)と略す)による看護基礎教

育を開始したが、多くの学校で技術教育が実施されていな

い。井部は学習環境の整備を提言したが実施できる技術教

育方法について言及していない。【目的】二年課程(通信

制)の学生の看護実践能力及び技術教育の現状を明らかに

し、制約された教育環境の中で技術教育について提言する。

【方法】二年課程(通信制)A校の平成 30 年度入学生 255

名に質問紙を配布。調査内容は厚労省の「実践能力と卒業

時の到達目標」「技術項目と卒業時到達度」をできる、指

導・援助を受けながらできる、できないで回答を求めた。

二年課程(通信制)の同意を得た 14 校に勤務する専任教員

99名に質問紙を郵送し技術教育の実施とその内容等9項目

の回答を求めた。上記の「技術項目」を療養上の世話と診

療の補助に分けその合計点を目的変数とし重回帰分析を

行い、技術教育が必要な学生を明らかにし教育方法を検討。

【倫理的配慮】滋慶医療科学大学院大学研究倫理委員会の

承認(第 2017-22 号)を得た。学生には研究趣旨及び拒否に

よる不利益を被らないこと等を説明。教員は無記名とし返

送をもって同意とした。【結果】学生240名(回収率94.1%)

教員 44 名(回収率 44.4%)を分析対象とした。学生の実

践能力『できる』が少なかったのは解剖生理、発達段階等

患者を捉える力が必要な項目で、技術項目『できる』が少

なかったのはアセスメントや観察が必要な項目であった。

重回帰分析結果から療養上の世話合計点は外来経験者の

み有意に負の関係があった。技術教育を必要と考える教員

は 8割だが、実施者は 5割以下であった。内容はフィジカ

ルアセスメントや看護過程が多かったが、実施者の 7割は

教育内容に不十分さを感じていた。【考察】学生は解剖生

理、観察を基にしたアセスメントができない。それを教員

も認識しているが技術教育を実施している施設は少なく、

実施していても不十分さを感じている。これらから制約の

ある二年課程(通信制)で実施できる教育を検討するため

に重回帰分析を行った結果、外来のみの経験者を強化すべ

きことが示唆された。【結論】手順に従うものはできるが

考える技術はできる割合が低く、そのことを教員は認知し

ているが技術教育は十分行えていない。

口演9-2

手指衛生遵守率の向上・維持を目指したインス

トラクショナル・デザインを用いた教育プログ

ラム キーワード:インストラクショナル・デザイン 手指衛生

多職種 シミュレーション OJT

○北村 佳津江1),城 誠1),細谷 有加1), 嶋根 宣子1),長倉 芳徳1),前田 留美2)

1) 東京医科歯科大学医学部附属病院

2) 東京医科歯科大学大学院

【はじめに】手指衛生は医療関連感染防止の為の重要な制

御方法と考えられている。A 病院血管撮影室において手指

衛生遵守率は 25%であった。今までにも講義形式の研修が

行われ、その直後には遵守率は一次的に高まったが、時間

の経過と共に低下した。これは手指衛生の知識と技術の定

着が不十分であることが要因の一つとして考えられた。そ

こで、従来の講義形式の学習に、教育活動の効果と効率と

魅力を高めるためのシステム的な方法論である、インスト

ラクションナル・デザイン(以下 ID)を取り入れ教育プログ

ラムの設計と形成的評価を行ったので報告する。【目的】A

病院血管撮影室における手指衛生遵守率の向上と維持。

【方法】研究デザインは介入前後での比較対照研究である。

血管撮影室に勤務する多職種に対してシミュレーション

研修と On-the-Job Training(以下 OJT)を基盤とした教育

プログラムを実施した。ID の基本原理である ADDIE モデル

に基づき設計を行い、形成的評価として手指衛生遵守率の

調査と目視による行動変容の観察を行った。【倫理的配慮】

東京医科歯科大学医学部附属病院倫理審査委員会の承認

を得た。対象者には同意説明文書をもって研究目的・意

義・研究協力の任意性・匿名性の保持・結果の公表につい

て明記し、同意書の返信をもって研究協力の承諾とみなし

た。【結果】シミュレーション研修は全職種 69 名中 30 名

の参加であった。遵守率は研修前 25.9%から研修直後

37.5%と上昇した。しかし、半年後 39.4%と僅かな上昇に留

まり、一部の職種では 30.3%と低下した。低下した要因を

ADDIE モデルに基づき改正を行い、シミュレーション研修

後に学習者に働きかけ OJT を導入した。導入から 9ヶ月後

遵守率は 58.8%と向上した。【考察】手指衛生遵守率が向上

した要因として、学習者がシミュレーション研修により、

手指衛生を行うタイミングと必要性を学び現場に転移さ

せた為と考えられる。職種により一時、遵守率の低下を認

めたが、ADDIE モデルのサイクルを回し OJT を導入するこ

とで、学習者の行動変容の促進と学習の継続性が得られ、

一層の遵守率の向上と維持に繋がったと考えられる。【結

論】ID 理論を用いた教育プログラムの実践において、形成

的評価を行い ADDIE モデルのサイクルを回すことで、学習

者の行動変容は促進され手指衛生遵守率は向上・維持を認

めた。

Page 47: 特別企画 目次 - Japanese Nursing Association第50回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集(2019) ― 21 ― 第50回日本看護学会―看護教育―学術集会

― 92 ―

第 50 回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集 (2019) 第 50 回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集 (2019)

口演9-3

2 年課程(通信制)教育における看護過程授業

化の教育的効果

キーワード:2年課程(通信制) 准看護師 看護過程 授

業化 紙上事例演習

○中村 栄子1),豐田 智子1)

1) 鹿児島中央看護専門学校 2年課程(通信制)看護科

【はじめに】2018 年度の 2年課程(通信制)入学要件の見直

しにより、准看護師の就業経験年数が 10 年から 7 年へ短

縮され、対面による授業日数が 10 日追加された。A校で

は看護過程の学習を重視し紙上事例演習の授業化を決定

したが、通信制教育における看護過程授業の教育的効果に

ついての先行研究は少ない。【目的】紙上事例演習の学習

過程における達成状況を調査し、授業化による効果と課題

を明らかにする。【方法】対象:A校の 2018 年度入学生 127

名。期間:2018 年 10 月~2019 年 3 月。調査方法:専門分

野Ⅱ全 5 科目の事例授業及び紙上事例演習の後に、5 つの

看護過程の段階に沿った全 16 項目の自己評価(5 段階

Likert 法)による無記名自記式質問紙を用いて学習達成度

を調査した。分析方法:専門分野Ⅱの 1 科目目と 5科目目

演習後の平均値の差の検定には、対応のないt検定を行っ

た。分析には SPSS Ver.24 を用い、有意水準は 5%とした。

【倫理的配慮】研究の目的と方法、本研究への参加は自由

で成績と無関係であること、個人が特定できないように

データ処理を行うことを文書と口頭で説明し、回答をもっ

て研究協力の同意とした。また鹿児島県看護協会研究倫理

委員会の審査・承認を得た。【結果】調査紙の有効回収率

は 91%(116 名)。5 段階の看護過程の Cronbach の α 係数

は 0.90~0.94 を示し内的整合性は確保された。提出 1 科

目目と 5 科目目の間で〈情報の収集・整理〉の学習目標 3

項目(対象の成長・発達段階の把握、健康障害に関連した

情報の収集、対象や家族の意思や感情への気づき)で、自

己評価の平均値が有意に下がっていた。しかし「看護問題

の優先度の決定」を含む〈問題の明確化〉については、自

己評価が上昇傾向にあった。【考察】〈情報の収集・整理〉

において自己評価が下がっていた要因としては、専門分野

Ⅱにおける科目特有の対象者理解や対象理解のための看

護の視点で情報収集することへの困難さが考えられる。一

方、〈問題の明確化〉の自己評価の上昇は、演習の回数を

重ねることで、情報の分析、問題の本質を見極める力の向

上につながった可能性がある。【結論】通信制教育におけ

る看護過程授業化による明らかな教育的効果は得られな

かった。しかし、学生が対象理解のための情報を集める力

の向上に向けて、授業内容の検討をすべきことが今後の課

題として明らかになった。

口演9-4

外国人医療コーディネーター看護師、文化人類

学講師、看護教員での異文化看護のコラボレー

ション授業の試み

キーワード:異文化看護 外国人医療コーディネーター看

護師 コラボレーション 文化人類学 看護教員

○金井 美香1),武居 尚子2),川村 三加子1),高橋 幸恵1),中山 富子2)

1) 都立広尾看護専門学校 2) 元 都立広尾看護専門学校

【目的】近年、臨地実習において学生が外国人患者を受け

持つ機会は増加し、看護教育においても外国人患者や異文

化に対する理解を学ぶ必要があると感じている。今回「異

文化看護」の授業を外国人医療コーディネーター看護師、

文化人類学講師、看護教員によるコラボレーションで実施

した。そこでの学生の学びを明らかにし、今後の異文化看

護授業の在り方について示唆を得たいと考えた。【方法】

平成 30 年 10 月、A看護専門学校 3年課程 3年生 77 人に無

記名自記式アンケート調査を実施。【倫理的配慮】研究者

所属の倫理審査委員会の承認を得て実施(承認№14)。研

究対象者に調査書を配布し研究の趣旨、成績に影響しない

ことの保障等を説明し一度退室。回収箱への調査書の投函

をもって同意を得たこととした。この研究による利益相反

なし。【データ分析】自由記述以外の回答は単純集計し、

自由記述部分から授業を受けてわかったこと、学んだこと

についての記述部分を抽出しコード化した。【結果】回答

のあった学生のうち 9人(13%)がこれまでの実習で外国

人患者を受け持っていた。自由記述からは 120 コード、18

のサブカテゴリー、7 つのカテゴリーが抽出された。学生

はこの授業を受け、[グループワークで「気づき」「気にな

る」の視点の広がり]があったとし、外国人患者と接する

時、[相手の当たり前を受け入れることが大切]ということ

や、[自分の常識は必ずしも人の常識ではない]ことを学ん

でいた。具体的な接し方としては、[相手に伝える努力や、

どう理解しているかの確認が大切]ということや、[相手の

文化を知りたい、近づきたい気持ちから相互理解が始ま

る]としていた。一方で、授業後は、[自分に差し迫ってい

る外国人患者への看護]や[外国人の対応に気後れする気

持ち]を学んだともあった。【考察】本授業において、外

国人患者事例に対する看護について、グループディスカッ

ションをしたことにより、学生は多くの「気付き」「気に

なる」が生じている。このことが異文化看護に対する関心

の高まりとなっているのではないかと考える。更に生じた

疑問や現場での実際の看護について、文化人類学講師や外

国人医療コーディネーター看護師、看護教員からタイム

リーに話を聴くことで、外国人患者の理解や対応の在り方

を学ぶことができ、看護現場で起こっている現象と文化人

類学で学んだ知識とを結びつけることにつながったと考

える。

Page 48: 特別企画 目次 - Japanese Nursing Association第50回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集(2019) ― 21 ― 第50回日本看護学会―看護教育―学術集会

第 50 回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集 (2019)

― 93 ―

第1日

第 50 回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集 (2019)

口演9-5

学習方法のプロジェクト学習による学びのプ

ロセスと成果

キーワード:学習方法 プロジェクト学習 看護学生

○野上 聡子1),佐藤 美恵子1),岡本 亜希1)

1) 北里大学保健衛生専門学院

【はじめに】プロジェクト学習は課題発見力や問題解決力

を育成する手法として、看護基礎教育でも盛んに採り入れ

られている。本校では、高校までの暗記中心の学習方法を、

自己を成長させる効果的な学習方法に転換することを

狙って、プロジェクト学習を実施しており、終了後のアン

ケートで、ほとんどの学生が「成果があった」と回答して

いる。そこで、学生がどのようなとり組みや体験によって、

どんな成果を得ているのか直接インタビューによって探

り、本プロジェクト学習の学びのプロセスと成果を明らか

にしたい。【目的】看護学生一年次のプロジェクト学習に

よる学びのプロセスと成果を明らかにする。【方法】調査

実施期間は 2018 年 3 月、研究対象者は 2017 年度に保健看

護科のプロジェクト学習を一年次に受講した学生のうち、

研究協力に同意した学生 9 名。面接は、研究協力者ごとに

一回ずつおこない、許可を得て IC レコーダーで録音し、そ

の内容を逐語録としてデータ化し質的帰納的に分析した。

【倫理的配慮】所属施設の倫理委員会で承認を得た。研究

対象者には、研究目的、方法、自由意思での参加および中断

が可能なこと、データの取り扱い、研究成果の公表につい

て説明し、同意を得た。【結果】28 の概念、10 のカテゴリー

が生成された。学生は、<きっかけを与えられて取り組み

>を開始するが、何をするのか<理解しないままのスター

ト>であった。その後、<友人との切磋琢磨>や<教員に

よるサポート><危機感>に後押しされ取り組む中で、<

学習方法に関する自己の変化、成果を感じる><自分の傾

向に気づく>等の体験をする。それが自己の<主体的課題

認識>となり、結果<学習の習慣化>につながっていた。

また、この過程で、他者との関わり合いが促進され学生の

<対人関係能力へ波及>していることが分かった。【考察】

プロジェクト学習というきっかけ作りにより、学習の習慣

化につながることが分かった。その過程で体験を、学生が

主体的に認識できるような支援が重要である。しかし、坂

下1)らは看護のイメージがない学生に対し最初に提供す

る科目について「重要性が認識されないまま有効に学習さ

れない可能性がある」と述べている。開始時に、取り組み

の有用性を学生が納得できれば、さらに成果につながるだ

ろう。【結論】プロジェクト学習による学習方法の転換に

ついて、学生の主体性を引き出すかかわりの重要性が示唆

された。

示説10-1

看護学生の背景及び認知症高齢者イメージと

関わり時に抱く気持ちとの関連

キーワード:看護学生 認知症 高齢者 イメージ 気持ち

○髙野 真由美1)

1) 川崎市立看護短期大学

【はじめに】認知症高齢者に対し看護学生(以下、学生)

は否定的な気持ちを抱くことがある。一方、自然体で楽し

さを感じながら関わる学生もいる。学生背景や認知症高齢

者に対するイメージ(以下、イメージ)が関わり時の気持

ちに影響すると推察された。【目的】学生背景及びイメー

ジと認知症高齢者への関わり時に抱く気持ち(以下、気持

ち)との関連を明らかにする。【方法】A看護短期大学 3

年次の老年看護学実習履修後 77 名の学生に平成 29 年 5月

~11 月まで無記名自記式アンケートを実施し 54 名(回収

率 70%)を分析した。調査票は予備調査から作成した、気

持ち 23 項目、学生背景として福祉施設での就労経験の有

無、認知症高齢者との関わり経験に関する 3項目、イメー

ジ 12 項目である。分析はイメージの因子分析をし、学生

背景と気持ちの関連について相関係数を算出した。【倫理

的配慮】学生には本研究の主旨と方法、協力は自由意思で

あり成績等の影響がないこと、提出をもって同意とするこ

とを記載した文章と調査票を配布しボックスで回収した。

尚研究者所属施設倫理委員会の承認を得て実施した。【結

果】イメージの因子分析の結果 2因子が抽出され「評価的」

「活動的」と命名した。学生背景と気持ちについて、以下

の項目に有意な相関が認められた。福祉関係の就労経験有

と「ショック」の気持ちに(γ=-.373,p<.05)、認知症

高齢者から世話を受けた経験有と「驚いた」(γ=-.560,p

<.05)「難しかった」(γ=-.546,p<.05)、認知症高齢

者の世話をした経験有と「驚いた」(γ=-.469,p<.05)、

評価的イメージと「意味を感じる」(γ=.344,p<.05)「受

け入れられる」(γ=.356,p<.05)「癒された」(γ=.576,p

<.05)、活動的イメージと「難しかった」(γ=-.428,p

<.01)「悩んだ」(γ=-.357,p<.05)「驚いた」(γ=

-.509,p<.05)。【考察】福祉関係の仕事や認知症高齢者

との関わり経験の有る学生が、否定的な気持ちにならない

のは認知症高齢者の状態を理解できているためと考える。

またイメージが良いと、認知症高齢者との関わり時に否定

的な気持ちにならないだけでなく、癒された気持ちがもて

るため自然体で楽しく関わることに繋がると考える。【結

論】認知症高齢者との関わり経験及びイメージが気持ちに

関連する。

Page 49: 特別企画 目次 - Japanese Nursing Association第50回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集(2019) ― 21 ― 第50回日本看護学会―看護教育―学術集会

― 94 ―

第 50 回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集 (2019) 第 50 回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集 (2019)

示説10-2

子どもの環境に関する看護学生の認識

-小児看護学実習後の調査-

キーワード:小児看護学実習 子どもの環境 看護学生 認識

○宮良 淳子1),井野 恭子2),角谷 あゆみ1)

1) 中京学院大学看護学部 2) 椙山女学園大学看護学部

【はじめに】子どもは環境から影響を受けやすく、環境を

整えることは健やかな成長や健康の回復の促進において

重要となる。小児看護学実習後の学生が子どもの環境で重

要と考えることを明らかにし、今後の指導に活かす基礎的

資料としたい。【目的】看護学生が子どもの環境で重要だ

と考えることを学生の言葉から把握する。【方法】小児看

護学実習後の研究協力の承諾の得られた学生 74 名を対象

とし、子どもの環境で重要だと考えることについて自由記

述式調査を実施した(2017 年 2 月)。収集したデータは、

記述内容により類似した意味内容を持つものをグループ

化しサブカテゴリーとし、サブカテゴリーの内容の類似性

に沿ってカテゴリー化し名称をつけた。信頼性・妥当性を

確保するため、研究者間で合意が得られるまで繰り返し検

討を行った。【倫理的配慮】対象者には、研究の目的、方

法、意思決定、自由意思とその確認、個人情報の保護、研

究成果の公表することについて書面と口頭で説明し、同意

書にて同意を得た。所属機関研究倫理審査会の承認を得て

実施した。【結果】以下、カテゴリーは≪≫、サブカテゴ

リーは<>で表す。子どもの環境として≪温かな人的環

境≫≪安全で安心な養育環境≫≪社会からの影響≫≪育

児へのサポートシステム≫の 4つのカテゴリーが形成され

た。≪温かな人的環境≫は<母親や家族の存在>や<関心

を寄せてくれる周囲の人>から構成され、≪安全で安心な

養育環境≫は<安全・安楽な環境><安心な環境><清潔

な環境><楽しい環境>から構成された。≪社会からの影

響≫は<自然気候>や<家族の生活スタイル><文化・教

育>から構成され、≪育児へのサポートシステム≫は<子

育ての相談場所><保育園や幼稚園の存在>から構成さ

れた。【考察】学生は、子どもにとって重要な環境として、

母親をはじめとする温かな人的環境を捉えていた。安全・

安心の視点でも環境を捉え、物理的・情緒的に快適な環境

が重要であることを認識していた。また社会環境が子ども

の生活や成長に影響を及ぼすことを捉えており、少子化を

背景とする保護者の育児不安等に関するサポートシステ

ムに関しても重要な環境であると認識していた。【結論】

子どもは母親等の重要な他者とのかかわりのなかで安心

を得るが、医療関係者や学生も重要な人的環境になる。今

後は学生自身の子どもへかかわりを振り返り、望ましいか

かわり方を身につける必要がある。

示説10-3

看護大学生における入学前課題学習への取り

組み

キーワード:看護大学生 推薦入試・AO 入試 入学前課題

学習

○釜屋 洋子1),段ノ上 秀雄1)

1) 和洋女子大学

【目的】A大学では平成30年度看護学科が開設となったが、

受験生や保護者からは、大学の授業についていけるかと心

配する声が多く聞かれる。そこで、入学後の学習に対する

不安を少しでも軽減できればと考え、推薦入試、AO 入試、

一般入試(A 日程)による入学予定者に対し、入学前の課

題として、“看護学生プレトレーニング”(メヂカルフレ

ンド社)に取り組むことを勧めた。本研究の目的は、その

取り組みを調査することにより、今後の適切な入学前学習

課題の検討材料とすることである。【方法】入学直後に、

学習状況と学習効果について質問紙調査を実施し、結果を

excel により項目別に単純集計し内容を検討した。【倫理的

配慮】所属施設の倫理審査委員会の承認を得た。また、対

象者から自由意思による承諾を得た。【結果】“看護学生

プレトレーニング”は、「計算と数字」、「看護に生かす理

科」、「言葉と文章」で構成されたテキストである。入学予

定者 94 名のうち 90 名が自己学習した。1.「開始時期」に

ついては、「購入後 2 週間以内」の回答が全体の 7 割弱で

あった。2.「始めてから終えるまでの期間」については、

「2 週間以内」と「1 か月以内」の回答を合わせると 7 割

近くを占め、少数ながら「2 か月以上」や「まだ終わって

いない」という回答もあった。3.「取り組む姿勢」につい

ては、「計画を立てて学習した」と回答した者は 4 割に満

たなかったが、「休日だけ学習した」、「思いついた時だけ

学習した」の回答を合わせるとおよそ 9 割であった。4.他

に、「できるところとできないところがわかった」や「人

体の仕組みについて勉強になった」などの意見があった。

【考察】本テキストには難解な問題はなく実質 73 ページ

で、短期間で終えることも可能な分量であったと考える。

しかしながら、中には自身の学習方法が確立していないも

のもいたと思われ、入学予定者の同一課題に対する進度に

はかなりの個人差があるものと推察する。「取り組む姿勢」

については、たとえ断続的な実施であったとしても、ほぼ

全員が大学入学までの期間を課題学習にあてることがで

きていたと考える。【結論】今回の課題学習を通して、対

象者は、「簡単」や「難しい」など受け止め方に差はあっ

たものの、課題に取り組みながら自身の知識の再確認がで

きたと推察できた。本演題発表に関連し、開示すべき COI

関係にある企業はありません。

Page 50: 特別企画 目次 - Japanese Nursing Association第50回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集(2019) ― 21 ― 第50回日本看護学会―看護教育―学術集会

第 50 回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集 (2019)

― 95 ―

第1日

第 50 回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集 (2019)

示説10-4

実習カンファレンスを看護過程の展開に活か

すための要因

キーワード:基礎看護学実習 カンファレンス 学生自己

評価

○香川 里美1),名越 民江2)

1) 香川大学医学部看護学科

2) 東京医療保健大学和歌山看護学部

【はじめに】臨地実習でのカンファレンスは、学生が自ら

の行動を振り返り、対象理解や看護について考えを深める

機会となる。【目的】基礎看護学実習中のカンファレンス

での学生自己評価から、カンファレンスを看護展開に活か

すための要因を明らかにする。【方法】看護学生 59 名を対

象に、カンファレンスでの学生自己評価(カンファレンス

での気づきを活用、メンバーの協力、対象特性の難易度、

教員の指導、臨床指導者の指導:以下学生自己評価)、ディ

スカッションスキル尺度(4 因子:以下 DS 尺度)、看護過

程展開モデルの理解度(18 項目)について質問紙調査を

行った。【倫理的配慮】所属施設の倫理委員会の承認を得

た。対象者には研究目的、参加の自由、成績とは無関係、

匿名性、研究結果の公表について説明した。【結果】回答

のあった49名の内、欠損値のない45名(有効回答率91.8%)

を分析した。学生自己評価では、「メンバーの協力」が最

も得点が高く、「対象特性の難易度」が最も低かった。DS

尺度では、「他者への配慮と理解」因子が最も得点が高く、

「場の進行と対処」因子が最も低かった。看護過程展開モ

デル(5段階評価)の理解度平均得点は4.11±0.68点であっ

た。学生自己評価の「カンファレンスでの気づきを活用」

を従属変数とし、学生自己評価の残り 4 項目、DS 尺度、理

解度得点を独立変数に重回帰分析した結果、「対象特性の

難易度」と「他者への配慮と理解」が影響因子として抽出

された。「対象特性の難易度」と看護過程展開モデルの理

解度(18 項目)の関連について相関係数を用いて分析した

結果、「対象特性を表現する意味」と「プロセスレコード

を活用する意味」の理解に関連が認められた。【考察】初

めての看護過程展開にあたり、カンファレンスでの気づき

は大きな意味をもつ。しかし、病態理解が不十分な時は意

見交換や積極的発言が困難となり、カンファレンスで得ら

れる気づきが少ないものとなる。カンファレンスを有効に

活かすには、対象特性を十分に理解して実習に臨むととも

に、プロセスレコードの活用法の習熟、他者の意見を取り

入れる学習姿勢の習得が重要である。【結論】カンファレ

ンスを看護展開に活かすためには、「対象特性を表現する

意味」や「プロセスレコードを活用する意味」が理解でき

るよう、さらに重点的に指導することが重要である。

示説10-5

看護系大学生 1 年生の入学時におけるキャリ

ア発達に関する実態調査

-保健師、助産師、認定看護師、専門看護師に

関する認識-

キーワード:看護系大学生 1 年生 キャリア発達 看護職

種 認定・専門看護師

○石井 俊行1)

1) 兵庫大学

【はじめに】看護基礎教育において職業観や労働観の育成、

自己の個性を理解し主体的に進路を選択する能力や態度

を育てる「キャリア教育」の重要性が高まっている。【目

的】看護系大学生 1年生の入学時における保健師、助産師、

認定看護師、専門看護師に対する認識を明らかにすること。

【方法】1.対象:「看護ゼミナール」で担当した 1 年生 11

名にアンケート用紙を配布した。1)希望する看護職種、2)

認定看護師、専門看護師に関する認識について自記式アン

ケート調査を行い回収はアンケート用紙を封筒に封入後、

回収箱への投函による留め置き法とした。3)調査の内容:

希望する看護師、保健師等の職種、認識について等、4 項

目を「良く知っている」から「全く知らない」の 5段階か

ら、それぞれ一つのみ選択とし、各項目に自由記載欄を設

けた。4)分析方法:4 項目に対する 5 段階の回答を集計、

自由記載内容をまとめた。【倫理的配慮】所属施設の倫理

委員会の承認を得た。対象学生に口頭と文書で、研究目的、

方法、プライバシー保護、研究参加や撤回の自由等により

不利益が生じないことを説明、回収箱への投函をもって研

究への同意とした。【結果】対象 11 名全員より回答があっ

た。1.希望する職種:看護師とともに保健師希望 6名、助

産師希望 2 名。2.認定看護師に対する認識、「良く知って

いる」5 名「やや知っている」6 名。3.専門看護師に対す

る認識、「良く知っている」2名、「あまり知らない」9名。

4.キャリア教育の重要性について、「とてもそう思う」10

名、「どちらともいえない」1 名。5.自由記載では、「大学

入学時より自分のキャリアを考えることが大切」「相談で

きる人が重要」「就職決定の際には病院の卒後キャリアも

重要視して考える」他、キャリア発達に必要と考えられる

意見が記載されていた。【考察】調査時期が入学約 1 ケ月

後であり、学生は職業選択の段階で看護職の役割について

理解したことが高い認識につながっていると考えられた。

また同じく入学当初のため専門職に対する認識が高いこ

とから認定看護師に対する関心が高いが、専門看護師の役

割についてはあまり理解していない。【結論】本研究対象

学生は、看護師以外に保健師、助産師の資格取得を目指し

ている。学生の認定看護師への認識は高いことより、必要

な情報の提供、教員自身が学生の将来のキャリア発達を意

識した関りを持つことが重要である。

Page 51: 特別企画 目次 - Japanese Nursing Association第50回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集(2019) ― 21 ― 第50回日本看護学会―看護教育―学術集会

― 96 ―

第 50 回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集 (2019) 第 50 回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集 (2019)

示説10-6

看護学生のメンタルヘルスリテラシーの現状

調査(第 1報)

-精神看護学受講前後のメンタルヘルスリテ

ラシーの変化- キーワード:メンタルヘルスリテラシー 精神看護学 心

の健康教育

○原田 佳織1),曽谷 貴子1),清水 登紀子1),河畑 匡法1),名木田 恵理子1)

1) 川崎医療短期大学

【はじめに】平成 29 年度 15 歳~39 歳の死因第 1位が自殺

である状況から看護学生の Mental Health Literacy(以下

MHL と略す)の修得意義を考え現状調査した。【目的】精神

看護学受講による心の健康状態及び MHL の変化を分析する。

【方法】同意を得た A短期大学看護科 1 年に質問紙調査を

実施し有効回答 134 名。研究期間 2018 年 4 月 17 日~2019

年 3月31日。MHL評価は先行研究を参考に(1)予防方法(2)

抑鬱気分や不安な気持ちになった時の対処法・関わり方

(3)軽い鬱病になった時自分でできる対処法(4)他者を支

援するための初期援助について項目を作成し実施。分析は

各項目を受講前後で比較し Pearson のカイ二乗検定を用い、

有意水準は p<0.05 とした。【倫理的配慮】対象者に参加

における自由意思の尊重、参加の有無による不利益がない

こと、記入は無記名とし匿名性は保たれることを明示。本

研究は川崎医療短期大学倫理審査委員会の承認を得た

(2018-01)。【結果】精神看護学受講前後の WHO-5 精神的健

康状態は受講前 14.81±5.04、受講後 15.99±4.90 と有意

差はない。MHL の知識は「他の人よりかなりあると思う」

「どちらかといえばあると思う」を合わせ受講前 20.1%、

受講後 72.6%と有意差を認める(p<.00)。MHL 評価の(1)

~(4)項目において、(1)では有意差は認めない。(2)では

「親しい友達と関わる」「対処行動の本を読む」(p<.05)

が有意に増加し「カウンセラー」「カウンセリング」(p

<.05)は有意に減少した。(3)では「カラオケに行く」(p

<.00)が増加し「支えてくれる人に感情を話す」(p<.00)、

「友人や家族に知らせ気づいてもらう」(p<.00)が有意に

減少した。(4)では「批判やコメントをせずしっかり聞く」

(p<.02)が有意に増加し「支援の手を差し伸べる」は有意

に減少した。【考察】精神看護学受講で心の健康への知識

が増すのは当然だが MHL が向上しないのは知識が増加した

一方、曖昧さを自覚しこれから学ぶ知識を正しく理解する

重要性を認識したためと考える。【結論】精神看護学受講

後、心の健康について知識が増え他者支援や自分自身の対

処行動について慎重になった状態は学修を進める上での

出発点としての意義があり、精神看護教育の展開が求めら

れる。

示説10-7

老年看護学実習におけるポジティブ体験から

得られた2つの成長

キーワード:ポジティブ体験 ポジティブ感情 看護学生

老年看護学実習

○岡本 さゆり1),一ノ瀬 公美2),澤田 和子1),古城 幸子3)

1) 吉備国際大学 2) 医療法人天和会松田病院

3) 吉備国際大学非常勤講師

【はじめに】A大学の老年看護学実習は1グループ4~5

人で医療機関と高齢者施設にて9日間の実習後、学生が実

習中に感じた高齢者ケアに関する学びの記述について学

内カンファレンスを実施し、体験の共有と意味づけを行っ

ている。このうち高齢者ケアへの肯定的な体験いわゆるポ

ジティブ体験1)を分析し、今後の課題を明らかにした。

【目的】老年看護学実習中に看護学生が体験したポジティ

ブ体験を分析し、その意味内容や指導上の課題を明らかに

する。【方法】実習最終日の記録として、体験内容をプラ

ス面とマイナス面で整理した実習記録の中でポジティブ

体験の内容を一文一意味でコード化し、生成的コーディン

グの手法を用いて分析した。【倫理的配慮】吉備国際大学

研究倫理審査委員会において承認された(承認番号 17-32)。

学生に本研究の目的、実習記録はデータ化し個人が特定さ

れない事、匿名性の保持、研究への協力の有無によって成

績等への不利益は被らない事を説明し同意を得た。関連実

習施設へは研究の目的および匿名性について説明を行い、

同意を得た。【結果】ポジティブ体験は2側面に分類され

「専門職としての成長」では老年看護学の知識の理解、日

常生活の支援の重要性、コミュニケーションの重要性、関

わりの大切さ、個別性のある看護、包括ケアへの視点、信

頼関係、レクリエーションの効果、学習者としての視点の

9カテゴリー、「人間としての成長」では受容と共感、高齢

者の力、高齢者への倫理観という3カテゴリーが抽出され

た。【考察】学生はポジティブ体験を記述する事で自己の

感じた喜び、充実感等を再認識でき、ネガティブ体験の意

味づけを行う事でポジティブ体験と再認識し、高齢者の強

みに焦点をあてる事ができていた。ポジティブ感情は他者

への援助、寛大さ等を促進し看護学生にとって必要な思考

であると考える。今後老年看護観や倫理観の育成に繋がる

よう実習体験のリフレクションができるカンファレンス

の機会を大切に指導していきたい。【結論】1.老年看護

学実習におけるポジティブ体験から専門職としての成長

と人間としての成長の2側面の成長がみられた。2.ポジ

ティブ体験を語り、意味づけすることで高齢者の強みに焦

点をあてることができていた。1)近藤浩子他、精神看護

学実習における学生のポジティブ体験とその要因に関す

る研究、東京医療保健大学紀要 8.19-19、2013

Page 52: 特別企画 目次 - Japanese Nursing Association第50回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集(2019) ― 21 ― 第50回日本看護学会―看護教育―学術集会

第 50 回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集 (2019)

― 97 ―

第1日

第 50 回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集 (2019)

示説10-8

専門用語に対する看護学生の理解と臨地実習

での使用経験

-看護行為に関する専門用語に焦点をあてて-

キーワード:看護学生 看護行為 専門用語

○皆川 敦子1),三吉 友美子1),梅村 慶子1),廣瀬 大輔1)

1) 藤田医科大学

【はじめに】提供する看護を患者にわかりやすく説明する

ためには、専門用語を正しく理解する必要がある。【目的】

「看護行為に関する専門用語」の看護学生の理解と臨地実

習での使用経験(以降、使用経験とする)を明らかにする。

【方法】2012 年 11 月~2013 年 5 月に、調査協力が得られ

た東海三県下の看護系大学 4年生 393 名を対象に無記名自

記式質問紙調査を行い、郵送法で回収した。調査する用語

は看護基礎教育での到達度が示されており、かつ日本看護

科学学会が示す看護行為用語分類で定義されている 71 項

目の中から 20 項目を選定した。それらについて、「聞いた

ことがない」から「言葉の意味を説明できる」の 4段階で

用語の理解の程度と、使用経験を調査した。さらに、「言

葉の意味を説明できる」を回答した場合は、その用語の意

味を自由に記述し説明してもらった。用語の理解の程度と

使用経験については単純集計を行った。用語の意味の説明

は、自由記述内容に必須キーワードを全て含む場合を正答

とし、共同研究者間で検討のうえ正答者の割合を算出した。

【倫理的配慮】書面にて、研究の趣旨と研究協力の諾否に

よる不利益を受けないことを説明し、回答をもって同意と

した。本研究は藤田医科大学医学研究倫理審査委員会の承

認を得て実施した。また、開示すべき利益相反関係にある

企業等はない。【結果】136 名から質問紙を回収し(回収率

34.6%)、131 名から有効回答を得た(有効回答率 33.3%)。

用語の理解の程度では全項目で「言葉の意味を説明できる」

の回答者が最も多かった。具体的には「ベッドメーキング」、

「全身清拭」、「陰部洗浄」が 90%以上と高く、それらは使

用経験があると答えた者が多い用語でもあった。一方、「採

尿」、「体位ドレナージ」は 60%台と低く、使用経験も低かっ

た。用語の意味の説明では、「移送」の正答率が 88.8%と最

も高く、「体位ドレナージ」が 11.9%と最も低かった。【考

察】実習で繰り返し用語を使用することで理解が促進され

たと考える。また、実習で使用し、意味を説明できると思っ

ている専門用語でも、その意味の説明では、意味を示す重

要なキーワードを的確に捉えられていないことが示唆さ

れた。【結論】使用経験のある用語については意味を説明

できると回答した者が多かったが、その正確性は必須キー

ワードを的確に捉えているかで違いがみられた。

示説10-9

看護学生の統合実習における看護師に対する

イメージ変化(第 1 報)

-統合実習前後の看護師に対するイメージ変

化-

キーワード:看護学生 統合実習 看護師に対するイメージ

○林 裕子1),古市 清美1),桐生 由美子2)

1) NHO 高崎総合医療センター附属高崎看護学校

2) 前 NHO 信州上田医療センター附属看護学校

【はじめに】統合実習は、看護学生として行う学生最後の

実習であり、そのなかで学生が描く看護師像は今後仕事を

していくうえでの大きな心の支えとなることが予測され

る。【目的】統合実習前後で学生が感じる看護師イメージ

の変化を明らかにする。【方法】看護専門学校 3 年生で統

合実習に参加し、研究の趣旨に同意を得られた学生の調査

用紙の分析を対象とした。看護師のイメージ調査には、SD

法を用いた 27 項目を設定し形容詞対は 7 段階での評価を

行い得点化し、得点が高いほどポジティブなイメージを示

した。統計処理には SPSS Ver21.0Jfor windows を使用し

た。検定はすべて両側検定とし、統計学的有位水準を 5%

とした。【倫理的配慮】対象者には、研究の目的・意義並

びに研究参加は自由意思であること、研究に参加せずとも

成績には一切影響がないこと、研究目的以外にはデータを

使用しないことやプライバシーへの配慮を文章および口

頭で説明し同意を得た。また、高崎総合医療センター臨床

研究倫理委員会の承認を受けて実施した。本演題発表に関

連して、開示すべき利益相反関係にある企業等はない。【結

果】統合実習に参加した学生 129 名中研究協力を表明した

107 名のデータを分析対象とした。統合実習前の看護学生

は看護師に対して「冷たい」「不親切な」「つまらない」「暗

い」「魅力のない」などネガティブなイメージを持ってい

た。しかし、実習後には「温かな」「親切な」「面白い」「明

るい」「魅力的」などポジティブなイメージになっていた。

また、t 検定の結果、27 項目中「清潔な-不潔な」など 5

項目以外で有意差(p<0.05)がみられた。【考察】今回の

研究で看護師に対するイメージの変化が大きかった項目

は、魅力的、面白いという職業観に関する項目であった。

これは、統合実習が臨床に近い形での実習方法であり、複

数患者を受け持つことや夜間実習を行うことなどを通し、

専門職業人として働くことを意識でき、また職業として身

近に感じたことによりポジティブなイメージへ変化した

と考える。さらに、同じく変化が大きかった温かなや明る

い、親切ななど内面性に関する項目は、シャドーイングを

行い、そこで患者に対する看護師の態度をみて、看護師と

して必要な本質的な内面性に触れることができたからで

はないかと考える。【結論】統合実習前後で学生は、看護

師に対するイメージがポジティブに変化した。

Page 53: 特別企画 目次 - Japanese Nursing Association第50回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集(2019) ― 21 ― 第50回日本看護学会―看護教育―学術集会

― 98 ―

第 50 回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集 (2019) 第 50 回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集 (2019)

示説10-10

看護学生の統合実習における看護師に対する

イメージ変化(第 2 報)

-看護師に対するイメージ変化に影響を与え

る要因- キーワード:看護学生 統合実習 看護師に対するイメー

ジ 変化の要因

○古市 清美1),林 裕子1),桐生 由美子2)

1) NHO 高崎総合医療センター附属高崎看護学校

2) 前 NHO 信州上田医療センター附属看護学校

【はじめに】看護専門学校 3年次生を対象に統合実習前後

の看護師に対するイメージ変化を、SD 法を用いて調査した。

結果、ポジティブ傾向に有意な変化がみられた。また、「明

るい」「温かな」「親切な」」「面白い」という内面的な項目

が、他項目より得点上昇が大きかった。【目的】学生の統

合実習における看護師に対するイメージ変化に影響を与

える要因を明らかにする。【方法】統合実習に参加し研究

の趣旨に同意を得られた 3 年生の調査用紙(実習前と実習

後の看護師の印象の変化に影響を与えた出来事に関する

自由記述)を分析対象とした。記述内容については、抽出

した文脈を1つの内容で区切り、1内容を1データとした。

1 データ毎に要約コード化しサブカテゴリー、カテゴリー

化した。分析は、研究者間の意見が一致するまで話し合い

を重ね信頼性と妥当性を確保した。【倫理的配慮】高崎総

合医療センター臨床研究倫理委員会にて倫理審査を受け

承認を得た。質問紙への回答は無記名とし研究への参加・

協力は自由意思で行うもので、拒否しても成績等に不利益

を被ることは一切きたさないこと、研究結果を公表するこ

とを説明し、質問紙の提出をもって同意が得られたとした。

本演題発表に関連して、開示すべき利益相反関係にある企

業等はない。【結果】129 名中研究協力を表明した 107 名の

データを分析対象とした。データは、215 コード、20 サブ

カテゴリーが抽出された。カテゴリーは、<専門知識の習

得のために学び続ける場面><医療スタッフと連携し協

力している場面><安全に対する意識が高い場面><患

者中心に看護を提供している場面>等が抽出された。【考

察】学生は、領域別実習では受け持ち患者に合わせた実習

をしているためベッドサイドにいる時間が多い。しかし、

統合実習では、看護師と行動を共にする機会が多い。学生

は統合実習にて看護管理者やチームリーダーおよびチー

ムメンバーのシャドウイングを通し、看護師の患者に対す

る対応やチームで協力する姿勢等を間近に感じたことで、

看護師に対するイメージの「明るい」「温かな」「親切な」

など内面的な項目が上昇したと推察される。【結論】看護

師に対するイメージ変化に影響を与える要因として、<専

門知識の習得のために学び続ける場面><医療スタッフ

と連携し協力している場面><安全に対する意識が高い

場面><患者中心に看護を提供している場面>等が抽出

された。

示説11-1

救急センターにおける災害学習会の学習効果

についての検討

キーワード:災害医療 学習効果 アクティブラーニング

○加納 春洋1),久湊 めぐみ1)

1) 富山市民病院

【はじめに】A病院は地域災害拠点病院に認定されており、

大規模災害時には被災地域における医療提供の中心的役

割を担うことが期待される。赤エリアの円滑な運営には携

わるスタッフの災害知識と経験知の向上が必須であると

考え、平成 29年度に災害に関する学習会を企画実施した。

学習会の指導内容を振り返り、受講者への質問紙の結果を

元に能力向上のための効果的な教育・指導内容について検

討した。【目的】講義と指導内容の振り返り、受講者への

質問紙を用いたテストの結果を元に能力向上のための効

果的な教育・指導内容について検討する。【方法】平成 29

年度救急センター災害学習計画に沿って、5 月から 2 月に

かけて講義・机上訓練・実動訓練等学習会を実施。救急セ

ンター看護師正職員 13 名を対象に学習会施行前の 5 月と

施行後の 3 月に災害発生時の対応についてテストを実施。

各項目の正答率を比較した。【倫理的配慮】アンケートは

無記名とし回収をもって了承を得たこととした。研究は所

属施設の倫理審査会にて了承を受けて開始し、アンケート

に回答しなくても何ら不利益がないことを明記した(承認

番号:2017-030)。【結果】アンケート回収率は 5月実施分

が 100%、3 月は 76%であった。5 月配布分のアンケート正

答率は問 1:54%、問 2:85%、問 3:69%、問 4.100%、問 5.100%、

問 6:77%、問 7:77%、問 8:62%、問 9:82%、問 10:100%であ

り 3月配布分のアンケート正答率は、問 1:91%、問 2:91%、

問 3:100%、問 4:100%、問 5:100%、問 6:64%、問 7:82%、問

8:100%、問 9:82%、問 10:100%であった。【考察】成人の学

習には学ぶ動機が必要であるといわれている。その一方で、

臨床とはすぐに直結しない災害医療は優先順位が低くな

りがちであり、学ぶ動機付けが難しい事が先行研究におい

て明らかになっている。今回の研究では講義形式の学習会

よりも机上訓練や実働訓練でのアクティブラーニングに

そった実体験を伴った学習に関して学習内容の定着がよ

く学習効果が高いという結果が得られた。【結論】1.講義

形式の学習よりもアクティブラーニングにそった、実体験

を伴った学習が学習内容の定着がよく学習効果が高い。2.

動機づけしやすくなる環境を整えること、学習者が主体

的・能動的に参加できる学習会を企画していく必要がある。

Page 54: 特別企画 目次 - Japanese Nursing Association第50回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集(2019) ― 21 ― 第50回日本看護学会―看護教育―学術集会

第 50 回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集 (2019)

― 99 ―

第1日

第 50 回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集 (2019)

示説11-2

看護記録および電子カルテの多職種参加型学

習会の効果

-電子カルテ導入に伴い学習会を実施して-

キーワード:介入研究 参加型学習プログラム 電子カル

テ 看護記録

○本吉 美也子1)

1) 名寄市立大学

【はじめに】電子カルテ(以後電カル)は院内の多職種間

で様々な情報を瞬時に共有できる有効なシステムである

が、各部署の相互理解がないとその機能を充分活用出来な

い。本研究では看護記録方法の変更と電カル導入を予定の

施設に多職種参加型学習会という形で介入しその効果を

検討する。【目的】学習会の効果を明らかにする。【方法】

対象:A 病院の看護師、臨床工学技師、作業療法師、薬剤

師、臨床検査技師、MSW、医療事務、計 35 名。研究方法:

介入研究。10 ヶ月間全 4回実施。調査方法:参加者に毎回

の感想についてアンケート調査。終了半年後に各部署で主

たる役割を担っている看護師 3名、医療事務 1名にインタ

ビュー調査。分析方法:各アンケートの記述およびインタ

ビューの逐語録から学習会による効果や変化と判断でき

る内容を抽出。【倫理的配慮】対象者から自由意思による

協力の承諾を得、不利益が生じないことを説明し、名寄市

立大学倫理審査委員会の承認を得た。【結果】第 1・2回目

(平成 29 年 6・7月:電カル導入前)希望する看護記録お

よび電カルの基本的知識と活用方法の情報共有し、記録す

る上で困難に感じることをグループワーク(以後 GW)で意

見集約したところ、各記録形式のメリットおよび他部署ス

タッフの記録に対する考えの理解につながっていた。第 3

回目(平成 30 年 1 月:電カル導入 2 か月後)看護記録の

実例について紹介し、電カル使用で不便なこと等について

GW を実施したところ、各部署のスタッフが同種の困難を抱

えていることがわかり、解決に向けての対策を考えるきっ

かけとなっていた。第 4回目(平成 30 年 3月)希望のあっ

た「SOAP の書き方」について知識を共有し、電カル使用で

改善したいことについて GW をしたところ、各部署間で電

カル使用の問題点について情報を共有でき、解決に向けて

の方向性も見いだせていた。終了半年後インタビュー(平

成 30 年 9月):看護記録は効率的に正しく書けるようにな

り、電子カルを用いて各部署間で情報共有がなされ、合理

的な活用方法が浸透していることが示された。【考察】対

象者のニーズに応じた知識を提供し、現場での問題点を明

確化し、その解決策を多職種交えて考える場を提供するこ

とで記録への理解が進み、当初活用に苦慮していた電カル

のスムースな活用につながった。【結論】本研究により記

録の理解が進み、多職種間での有効な電カル活用につな

がった。

示説11-3

臨床助産師が母性看護学の講義を行う効果

キーワード:母性看護学 講義 臨地実習 臨床助産師

○大場 景子1),山田 久美子1),横濱 幸恵2)

1) 岩手県立釜石病院 2) 岩手県立二戸病院

【はじめに】少子高齢化、医療の高度化に伴い看護基礎教

育において質の高い教育が期待され、有意義な講義・臨地

実習が重要とされている。A 病院では臨床助産師が看護学

生に母性看護援助論の講義を行い、実習指導も行っている。

講義から実習までの継続した指導は学生にどのような意

義があるのか明らかにしたいと考えた。【目的】母性看護

学において臨床助産師が講義を行い実習まで継続した指

導を行う意義、指導の現状と課題を知り今後の指導の一助

とすること。【方法】質的帰納型研究。平成 27 年度に母性

看護援助論の講義を受け、A 病院で母性看護学実習を行っ

た学生 32 名を対象。参考文献をもとに作成した自由記述

式質問紙を配布。記述内容から講義・実習での学びや感じ

たことの内容を抽出したものを 1内容 1項目としてコード

化、意味内容の類似性に基づきカテゴリー化する。【倫理

的配慮】研究依頼する学校長に主旨を説明し同意を得る。

研究対象者には個人は特定されず、プライバシー保護の配

慮、研究参加は自由意思で途中で中断・拒否できる権利が

あり、A 病院倫理委員会審査の承認を得て開始し問い合わ

せできることを文書で説明する。【結果】質問紙配布 32 枚

に対し回収 26 枚。抽出された 272 コードから 59 サブカテ

ゴリーに集約。継続した指導の意義として「講義から実習

で学びが結びついた」「講義を受け実習のイメージがつき

理解できた」等のコードから<講義から実習へのイメージ

や結びつきを感じたこと>、「講義では大変だと思ったが

実習は楽しかった」等から<母性実習で学び感じたこと>、

他<臨床助産師が講義を行う利点>に集約。また今後の指

導課題となる<講義・実習での臨床助産師への要望>など

8コアカテゴリーに集約された。【考察】講義や実習で感じ

たこと、要望が明らかになり学生理解につながった。教員

と連携し講義と実習とリンクする教授方法、実習で講義で

の学びを再認識する細やかな関わり、理解度に合わせた指

導方法の模索が必要である。また学生は実習は楽しかった、

学びが結びついたと感じていた。学生が充実感、達成感を

感じることで指導者のモチベーション向上、看護の自信に

も繋がるため指導能力の向上や指導内容の統一など再検

討の必要があると考える。【結論】分析内容から臨床助産

師が講義を行う利点、効果や指導の改善点の示唆を得た。

今後も臨床と結びつく臨床助産師ならではの指導の検討

が必要である。

Page 55: 特別企画 目次 - Japanese Nursing Association第50回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集(2019) ― 21 ― 第50回日本看護学会―看護教育―学術集会

― 100 ―

第 50 回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集 (2019) 第 50 回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集 (2019)

示説11-4

基礎看護教育で行われているシミュレーショ

ン教育に関する文献レビュー

キーワード:シミュレーション 基礎看護教育 文献レ

ビュー

○大和 広美1),永井 菜穂子1),椙田 広明1)

1) 防衛医科大学校

【はじめに】シミュレーション教育は、機械や模型を使用

した疑似体験的な教育だけでなく、模擬患者(以下 SP)を活

用するなど現場の状況判断を踏まえた学習が実施されて

いる。【目的】これまでの文献を基に、大学等の基礎教育

の現場でどのようなシミュレーション教育が研究されて

いるのか動向を知ることを目的とした。【方法】2019 年 1

月までの間に発表されている論文を医学中央雑誌 Web 版

(ver.5)のデータベースを用いて検索を行った。「シミュ

レーション教育」、「学生」をキーワードとし、絞り込み条

件に「原著文献」、「看護文献」を入れ検索した 36 件から、

研究対象が学生のみでない文献、取り寄せが困難な文献、

動物看護を対象とした文献を除外した 17 文献を対象とし

た。【倫理的配慮】文献を取り扱う際には、著作権を侵害

することがないよう配慮した【結果】研究目的では、授業

改善や教育効果を検討するものは 9件であり、シミュレー

ション教育の学びを明らかにするものは 5件、その他 3 件

であった。シミュレーション教育の学習時期では、大学 3

年生が 8件、次いで大学 2 年生 3件であった。学習領域で

は、成人看護領域が 6件、次いで小児看護領域が 3件であっ

た。シミュレーション教育の実施内容では、シミュレータ

を使用したもの 7 件(人体型シミュレータ 4 件、高機能型

シミュレータ 3 件)、SP を配置したものが 5 件、学生間の

ロールプレイが 2 件、その他不明なものは 3 件であった。

シミュレーション教育実施後、デブリーフィングを実施し

ているものは 10 件であり、その実施時間は最短 15 分であ

り、最長 60 分であった。【考察】学習時期では、大学 3 年

生が多く、学習領域では、成人看護領域が多かった。これ

は解剖生理や病態・疾病の学習が終了した時期と予測でき、

それらを応用し実践できる時期にシミュレーション教育

を取り入れている学校が多いのではないかと考える。また、

デブリーフィングの時間は 15 分から 60 分と大きな差が

あった。シミュレーション教育では、シミュレーション教

育実施後のデブリーフィングが学習の核となる部分であ

るため、デブリーフィングの内容や方法を具体的に整理し、

検討していく必要があると考える。【結論】デブリーフィ

ングの時間には差があり、デブリーフィングの具体的な内

容を今後検討していく必要があることが示唆された。

示説11-5

看護職員クリニカルラダーの評価からみた現

状と課題

-教育研修の再構築にむけて-

キーワード:JNA ラダー クリニカルラダー 教育研修

○西井 由紀子1),畠山 綾子1), 大久保 久美子1),田中 広美1),肥塚 直美1)

1) ジャパンメディカルアライアンス東埼玉総合病院

【はじめに】A 病院看護部は、JNA ラダーを標準的指標と

したクリニカルラダーに修正した。2017 年度に運用を開始

し初めてクリニカルラダー評価表を活用した。A 病院のク

リニカルラダーの目的として、「組織として看護職員人材

育成のための教育ツールとする」としている。その為、看

護職員の看護実践能力の現状を把握した上で、今後強化す

べき教育内容を明らかにする必要があると考えた。【目的】

クリニカルラダー評価表の看護実践能力の評価項目毎の

平均値から再構築にむけての課題を見出す。【方法】対象

は、2017 年度にクリニカルラダーの対象者であり、2018

年 8 月に在籍していた看護職員 148 名。調査内容は、看護

実践能力の「ニーズをとらえる力」「ケアする力」「協働す

る力」「意思決定を支える力」「看護倫理」のラダーレベル

毎の評価点の平均値を出す。評価は 5 段階とし、3 を標準

評価基準とした。【倫理的配慮】研究の目的、協力の自由

性と途中辞退の権利と不利益の無さ、匿名性の保持を説明

し同意を得た。東埼玉総合病院看護部倫理委員会の承認を

得た。【結果】回答数 137 名中ラダー1は 9 名、ラダー2は

64 名、ラダー3 は 46 名、ラダー4は 15 名であった。ラダー

1の「ニーズをとらえる力」の平均値は 3.2、「ケアする力」

は 3.0、「協働する力」は 3.0、「意思決定を支える力」は

2.8、「看護倫理」は 2.7 であった。ラダー2 は 3.0、3.0、

3.0、3.0、2.9、ラダー3は 3.3、3.2、3.0、3.0、2.8、ラ

ダー4は 3.3、3.2、3.2、3.0、2.8 であった。【考察】ラダー

1 は「意思決定を支える力」が低値であった。ラダー1 の

目標は「基本的な看護技術を習得し、指導を受けながら患

者に安全な看護が実践できる」である。知識や技術の習得

と安全な看護実践に重点を置いており、患者にとっての最

善を考える力が弱い為と考える。ラダー2 は、看護観が深

まり実践力が付き「看護倫理」以外の平均値が 3以上になっ

たと考える。ラダー3 は、直接的な看護の提供の中心とな

り「ニーズをとらえる力」「ケアする力」が高値になった

と考える。ラダー4 は、指導する側に立場が変わり、より

深く患者を取り巻く全体が把握でき「協働する力」が高値

になったと考える。【結論】全ラダーレベルで「看護倫理」

の平均値が 3 以下の為、今後ラダーレベル到達にむけ看護

倫理に関する教育を強化する。

Page 56: 特別企画 目次 - Japanese Nursing Association第50回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集(2019) ― 21 ― 第50回日本看護学会―看護教育―学術集会

第 50 回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集 (2019)

― 101 ―

第1日

第 50 回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集 (2019)

示説11-6

サッカークラブチームに所属する中学生を対

象とした BLS 研修の効果(第1報)

-BLSに関する知識の研修前後および3か月後

の比較- キーワード:BLS シミュレーション 中学生

○杉原 真裕子1),小幡 明香1),小野 加奈子1),上田 純也2),上田 小百合3),馬目 恵美子4)

1) 茨城キリスト教大学 2) 医療法人桜丘会 水戸ブレインハートセン

ター 3) 日本赤十字社 水戸赤十字病院 4) 国立病院機構 茨城東病院

【はじめに】突然死の発生は入浴・排便・スポーツ中が高

く、スポーツ中の突然死では 10 代での発生が最も高いこ

とが先行研究で明らかになっている。また、2002 年に小中

高等学校の学習指導要領が改訂され、BLS 教育が追加され

たが、十分に実施されていないことが指摘されている。【目

的】中学生の BLS に関する知識(以下、知識)に、BLS 研

修(以下、研修)が及ぼす効果を検討する。【方法】A市の

サッカークラブチームに所属する中学生 19名を対象とし、

研修を行った。研修は、傷病者の発見から救急隊員に引き

継ぐまでの一連の流れを、シミュレーションし、実践する

ものであった。研修前/後/3か月後に、知識を問う全 22

項目の質問紙を実施した。回答を点数化し分析した。【倫

理的配慮】本研究は茨城キリスト教大学倫理審査委員会の

承認を得て実施した。対象者および保護者、クラブチーム

の監督者に対しては、口頭及び書面にて研究の目的・方法

について説明し、質問紙は無記名として匿名性を守ること、

参加は自由意思であること、回答せずとも不利益は無いこ

とを保証し、同意書への署名にて同意を得た。本演題発表

に関連して開示すべき利益相反関係にある企業等はない。

【結果】研修前および後は 19 名から回収、3か月後は 18

名から回収し、全てを有効回答とした。研修前に学校等で

BLS 教育を受けた経験がある者は 9 名であった。知識を問

う内容を1項目1点として計算したところ、研修前は

15.3±1.5 点、研修後は 21.3±2.1 点、3か月後は

18.9±3.4 点であった。Friedman 検定にて有意差が認めら

れたため(p<.01)、Bonferroni の多重比較検定を行った。

研修前と研修後(p<.01)、研修後と3か月後(p<.05)、

研修前と3か月後(p<.01)の全てにおいて有意差が認め

られ、研修が知識の獲得に有効であったことが示された。

【考察】傷病者の発見から救急隊員に引き継ぐまでの一連

の流れを、シミュレーションし、体験的にトレーニングす

ることにより、より真剣に取り組むことができ、それが知

識の獲得に有効に働いたと考えられる。しかし、研修から

3か月後には得点の低下がみられたため、定期的に研修を

行う必要性が示唆された。【結論】研修は、知識の獲得に

有効であるが、定期的に実施する必要性がある。

示説11-7

サッカークラブチームに所属する中学生を対

象とした BLS 研修の効果(第2報)

-BLS自己効力感の研修前後および3か月後の

比較- キーワード:BLS シミュレーション 中学生 自己効力感

○小野 加奈子1),小幡 明香1),杉原 真裕子1),上田 純也2),上田 小百合3),馬目 恵美子4)

1) 茨城キリスト教大学 2) 医療法人桜丘会 水戸ブレインハートセン

ター 3) 日本赤十字社 水戸赤十字病院 4) 国立病院機構 茨城東病院

【はじめに】2002 年に小中高等学校の学習指導要領へ BLS

教育が追加されたが十分に実施されていない。また、先行

研究では児童・生徒が実際の現場で BLS を行うことができ

るという自己効力感を測定する必要性が指摘されている。

【目的】中学生の BLS 自己効力感(以下、自己効力感)に、

BLS 研修(以下、研修)が及ぼす効果を検討する。【方法】

A市のサッカークラブチームに所属する中学生19名を対象

とし研修を行った。研修は、傷病者発見~救急隊員に引き

継ぐまでの流れをシミュレーションし実践するもので

あった。研修前/後/3か月後に自己効力感、研修後/3か

月後に自己効力感に影響するであろう研修への満足感に

関する調査を実施し分析した。【倫理的配慮】本研究は茨

城キリスト教大学倫理審査委員会の承認を得て実施した。

対象者および保護者、クラブチームの監督者に対しては、

口頭及び書面にて研究の目的・方法について説明し、質問

紙は無記名として匿名性を守ること、参加は自由意思であ

ること、回答せずとも不利益は無いことを保証し、同意書

への署名にて同意を得た。本演題発表に関連して開示すべ

き利益相反関係にある企業等はない。【結果】研修前/後は

19 名から回収、3か月後は 18 名から回収した。自己効力

感について、Friedman 検定を行ったところ有意差が認めら

れたため(p<.01)、Bonferroni の多重比較検定を行った。

研修前(18.8±3.1)より研修後(24.0±3.2)の得点が高

く(p<.01)、研修前より3か月後(22.3±4.3)の得点が

高かった(p<.05)。研修後および3か月後では有意差が

認められなかった。満足感について Wilcoxon の符号付順

位検定を行ったところ、研修後(7.1±2.2)および3か月

後(7.3±2.5)で有意差は認められなかった。【考察】研

修により自己効力感が高まり、また、研修後と3か月後の

自己効力感および満足感に有意差がないため、研修から3

か月後も自己効力感および満足感が充分に保たれている

ことが考えられる。BLS の知識を有していても、自己効力

感がなければ、実行されないため、シミュレーションを用

いた研修は、有効であったと考えられる。【結論】研修は、

自己効力感の向上に有効であり、また、一定期間後も満足

感や自己効力感が維持されることが示された。

Page 57: 特別企画 目次 - Japanese Nursing Association第50回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集(2019) ― 21 ― 第50回日本看護学会―看護教育―学術集会

― 102 ―

第 50 回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集 (2019) 第 50 回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集 (2019)

示説11-8

看護大学生の対人関係能力の育成を目指した

EQ 教育プログラムの効果に関する研究

キーワード:対人関係能力 EQ教育プログラム 看護大学生

○直正 恵津子1),日下 和代2)

1) 江戸川看護専門学校 2) 共立女子大学看護学研究科長

【はじめに】看護者には、様々な場面で人々の身体状況を

観察・判断し、状況に応じた適切な対応ができる看護実践

能力が求められている。看護実践能力は、対人関係能力の

育成が関連し、効果的なコミュニケーションを図り、感情

をコントロールすることが重要である。【目的】看護大学

生を対象とした EQ(Emotional Intelligence Quotient)

教育プログラムの対人関係能力育成の効果について検討

する。【方法】1.対象者:看護大学 1 年生 100 名のうち、

学籍番号 1~50 番の 50 名を介入群、51~100 番の 50 名を

対照群とした。2.調査方法:EQ 教育プログラム(感情を

コントロールする能力を育むプログラム)を質問紙調査の

EQS(情動知能尺度)を使って、EQ 効果を受講前後で比較

して検証する。EQ 教育プログラムは、授業科目「人間関係

論」講義 7回の内 2回行われ、介入群は質問紙調査を初回

講義の EQ 教育プログラム受講前、2回目受講後 5週間、受

講 13 週後の 3 回実施した。対照群は人間関係論の 3 回目

講義前、講義 5 週後の 2 回行った。3.分析方法:質問紙

調査によるデータは、対応ある t検定など統計的に分析し

た。有意水準は 5%以下とした。【倫理的配慮】研究への参

加は自由意思であり、研究に参加しないことで、学生の成

績等に不利益は被らないこと、データは匿名化すること等

を説明し、倫理的に配慮した。研究は共立女子大学・共立

女子短期 大 学研究倫 理 審査委員 会 (承認番 号 :

KWU-IRBA#17140)を経て実施した。【結果】1.属性:A看

護大学 1 年生 100 名を対象に、有効回答を得た調査 1・2

回目 99 名(回収率 99%)、調査 3 回目:介入群 45 名(回

収率 90%)を分析対象とした。2.介入群における EQS 領

域は、調査 1 回目と 2回目の比較では、「自己対応」と「状

況対応」が、2 回目と 3 回目の比較では「対人対応」が有

意に上昇していた。対照群においては有意な差は認められ

なかった。3.EQS 領域の介入群と対照群の比較では、有意

差はなかった。【考察】介入群における EQS 領域は EQ 教育

プログラムを受講し、「EQ 開発トレーニング」の実施によ

り、「自己対応」「対人対応」「状況対応」の 3 領域全ての

能力が鍛えられて、それらが有意に上昇したと考えられる。

【結論】看護大学生の対人関係能力の育成における、EQ 教

育プログラムの有効性が示唆された。

示説11-9

A病棟における夜間急変時シミュレーション

学習の評価

キーワード:急変 シミュレーション訓練 急性期病院 意

識調査

○三上 遥奈1),萬木 春菜1)

1) 岡山済生会総合病院

【はじめに】A病棟は急性期病院(473床)の外科病棟(42床)

である。急変時に安全で質の高い医療が求められる為、

2004 年から年 3 回夜間シミュレーション学習(以下、学習

とする)を実施している。2015 年の先行研究では学習の必

要性が理解出来ていたが、急変対応の自信が低かった。【目

的】現行の学習内容や方法を再検討する【方法】対象:A

病棟所属の看護師 27 名と 3 年以内に学習を受けた他部署

の看護師 6名の計 33 名。研究方法:A病棟の急変事例を元

に 5年目以上の看護師がシナリオを作成し学習を企画。夜

勤 4名(新人看護師 1名含)の設定で無作為にメンバーを抽

出し 2回実施。振り返りを含む学習を協働している救急科

医師と共に実施した。学習終了後に①技術 12 項目②知識 4

項目③役割 6項目④設備 4項目⑤心理 2項目について独自

に作成した質問紙を作成し、4件法で調査した。分析方法:

学習体験者(以下、体験者とする)と見学者、シナリオ作成

経験者(以下、シナリオ作成者とする)について各項目を

PASW Statistics17.0 を使用し統計解析した。【倫理的配慮】

所属施設の看護部倫理審査委員会の承認を得た。対象者に

調査の目的と趣旨、参加への自由意思の尊重について口頭

で説明し同意を得た。【結果】28 項目の平均点はシナリオ

作成者及び体験者が見学者より高値であった。25 項目にお

いて見学者が有意(P<0.05)に低かった。特に③役割の理

解度のうち、医師への状況伝達内容の平均点が見学者 2.5、

体験者 3.7、シナリオ作成者 3.8 と見学者が有意に低かっ

た。体験者とシナリオ作成者に有意に差は無かったが体験

者 1項目、シナリオ作成者 7 項目が全員 4 点であった。【考

察】シナリオ作成者は学習を企画する為に急変時の基礎知

識や技術を統合し、自ら勉強し考える機会を得ている為、

対象者を 5年目未満に下げる事で学習の企画を通して急変

時の適切な対応へ繋がると考える。状況の伝達内容や、応

援が駆けつけた後の手順は患者の状況によって複雑化す

る。その為多くの事例を経験し看護実践力が向上できるよ

う学習の内容を定期的に見直す事が今後の課題である。

【結論】1.見学者は、体験者とシナリオ作成者と、医師へ

の状況伝達内容において有意に低値だった 2.学習の企画

が急変時の適切な対応に繋がる 3.シナリオ作成者の経験

年数を5年未満とする4.学習定期的に見直し継続する事が

望ましい

Page 58: 特別企画 目次 - Japanese Nursing Association第50回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集(2019) ― 21 ― 第50回日本看護学会―看護教育―学術集会

第 50 回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集 (2019)

― 103 ―

第1日

第 50 回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集 (2019)

示説11-10

看護基礎教育における多重課題シミュレー

ション演習の教育効果

-卒後 3 か月が経過した卒業生へのアンケー

ト調査から- キーワード:看護基礎教育 多重課題 シミュレーション

演習 卒後 3か月

○山田 ひづる1),野々川 陽子2)

1) 独立行政法人国立病院機構名古屋医療センター附属名古屋

看護助産学校 2) 名古屋学芸大学看護学部看護学科

【はじめに】統合分野が新設され、多重課題場面を想定し

た演習が教育内容に盛り込まれ、看護基礎教育での意義は

明らかとされているが、臨床との乖離を埋める効果につな

がっているのか、研究報告は少ない。【目的】多重課題シ

ミュレーション演習(以下、多重課題演習とする)を経験

した卒業生が、臨床での看護実践において演習の経験がど

のように役立っているのかを明らかにし、看護基礎教育に

おける教育方法の示唆を得る。【方法】A看護師養成所 3 年

次の 2017 年 12 月に多重課題演習を経験し、2018 年 4 月か

ら新人看護師として入職し 3 か月が経過した卒業生 80 名

を対象に、自記式質問紙を用いて調査した。演習に対する

11 の項目に、実践での役立ちについて 5 件法(5.非常に当

てはまる~1.当てはまらない)での回答を記述統計処理し、

要望や意見の自由記述内容は質的記述的に分析した。【倫

理的配慮】名古屋学芸大学倫理審査委員会の承認(承認番

号 238)を得て、質問紙の回答の返送をもって同意とみな

した。【結果】回収率は 80 名中 28 名(35%)、対象者の勤

務病棟は、外科系 9名(32.1%)内科系 8 名(28.5%)混

合病棟 7 名(25%)その他 4 名(14.2%)であった。多重課

題演習が役に立っていると「大変そう思う」「ややそう思

う」と回答した割合が 85%以上だったのは、「相談の必要性

(92.8%)」「応援依頼の必要性(89.3%)」「優先度の判断

(89.3%)」など 8 項目であった。一方「応援依頼の実施

(78.5%)」「自分の能力の判断(64.3%)」は低い結果であっ

た。自由記述は 7つのカテゴリに分類され『臨床に即した

演習で生かされた』『優先順位を考えた対応を学んだ』と

いう教育効果がある反面、『応援依頼の判断や方法を学び

たかった』『情報収集・時間処置・患者対応など臨床の忙

しさとは違う』など演習が生かされない評価も明らかと

なった。【考察】臨床場面を想定し、同時に対応が必要と

なる多重課題場面での優先順位の判断や、応援依頼の必要

性を考える演習内容の学びが臨床実践で役立っていると

推察される。しかし、自分の能力の判断や依頼すべきか否

かの判断、さらに何を依頼すべきかなども学べる演習内容

の工夫が必要である。【結論】看護基礎教育での多重課題

演習の経験は、臨床実践において優先順位の判断、応援依

頼の必要性の認識に役立っている。

示説11-11

リフレクションシャトルカードの学習への効

-ID 学習ツールを活用して-

キーワード:ID シャトルカード 学習効果

○富山 美佳子1),杉原 喜代美1)

1) 足利大学看護学部

【はじめに】大学の教育では生涯学び続け、主体的に考え

る力を育成することが求められる。専門職の看護職ではこ

とさら主体的な学習力の獲得を目指すところである。学び

の「効果・効率・魅力」の向上を目指したインストラクショ

ナルデザインにおいて、学びやすさのツールとして紹介さ

れている双方向性とリフレクションを合わせ、リフレク

ションシャトルカード(以下 RS カード)を活用しその効

果の検証を試みた。【目的】RS カード活用の効果を検討す

る。【方法】対象者:私立大学看護学部 1 年生 83 名。2018

年 4 月~7月に 30 時間 15 回を履修し、RS カードを使用し

た者を対象とした。データ収集方法:全講義終了後、二分

法での質問項目と自由記載からなるアンケートを実施し、

研究同意を得た 46 名分の検討を行った。分析方法:二分

法回答は集計しアンケートの自由記載は記述された内容

をコード化し、意味内容の類似に基き分類〈カテゴリ〉し

た。【倫理的配慮】対象者に研究の目的・趣旨、自由意思

での参加についての説明を実施し、データは個人が特定さ

れぬように処理することで同意を得た。また当該大学の倫

理審査会の承認を得た。【結果】アンケートの結果 RS カー

ドは学習意欲に効果(80%)があり、学びのまとめとして

の効果(98%)があった。また教員からの返信は学習意欲

を高める効果(87%)があり、学びを深めることへの効果

(87%)があった。返信が「好意的な記述」な場合、47 の

学習効果を表すコードが 3 つのカテゴリに分類された。ま

た「非好意的な記述」の場合 25 のコードのうち 12 が〈考

えを深化させる契機となった〉のカテゴリであった。RS

カード活用の利点は 65 のコードが 7 つのカテゴリに分類

され、欠点は 25 のコードが 4 つのカテゴリに分類された。

【考察】RS カードの活用は学習意欲・学びのまとめとして

効果的であった。教員の返信は全般的に学習意欲を高め、

学びを深める効果があった。返信内容は「非好意的な記述」

な場合でも学習効果が得られた。活用の利点で分類された

7カテゴリは J.M.ケラーの ARCS モデルの注意(A)に〈意欲

が高まる〉、関連性(R)に〈理解の深化〉〈学びの自己検討〉、

自信(C)に〈振返りの効果〉〈考えや要点の生理〉満足感(S)

に〈肯定感〉〈コミュニケーションの感覚〉が適応してい

た。【結論】RS カードの活用は学習意欲を高める教育方法

であると考えた。

Page 59: 特別企画 目次 - Japanese Nursing Association第50回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集(2019) ― 21 ― 第50回日本看護学会―看護教育―学術集会

― 104 ―

第 50 回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集 (2019) 第 50 回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集 (2019)

示説11-12

看護技術習得におけるフィードバック方法の

検討

-ビデオ映像と口頭フィードバックの比較

(第 2報)-

キーワード:看護技術 フィードバック ビデオ 看護学生

○小倉 久美子1),山内 麻江1)

1) 了德寺大学

【はじめに】看護技術習得においてビデオ映像を用いた学

生へのフィードバックが教育効果を高めることが報告さ

れている。第1報では学内での技術練習場面を録画したも

のを学生に視聴させる方法と教員による口頭フィード

バックを比較した結果、看護学生の技術習得に有意差はな

かった。【目的】フィードバック方法の違いが半年後の技

術習得状況に影響を及ぼすかを明らかにする。【方法】対

象:A 大学 2 年次生 30 名方法:①技術習得自己評価表は 28

項目 4段階評価で独自に作成した。②対象者を映像群、口

頭群(各 15 名)を無作為に抽出した。③臥床した患者役

学生のシーツと寝衣交換技術を実践後、自己評価表を記載

し各フィードバックを受けた。④半年後に再度実施した。

データ分析:ノンパラメトリック検定を行い有意水準は

5%とした。【倫理的配慮】研究対象者へ研究の趣旨、匿名

性の確保、自由意思による参加であり成績評価には影響し

ない旨を口頭と文書で説明し、同意書への署名をもって承

諾を得た。本研究は所属機関の倫理審査委員会の承認を得

て実施した(承認番号 2910)。開示すべき利益相反関係に

ある企業等はない。【結果】自己評価表の1回目・2回目

の平均値は、映像群 93.4(SD±8.6)、101(SD±6.2)口頭群

86.9(SD±9.3)、87.5(SD±13.5)であり映像群に上昇がみ

られ有意差が確認された(p=0.04)。評価項目別にみると回

数間比較では映像群で「患者への声掛け」「実施中の患者

の観察」などの 4項目が、口頭群で「シーツの足元を整え

る」「袖を抜くために肘までおろす」の 2 項目で有意差が

確認された。群間比較(2 回目)では「古い寝衣を丸めて

入れ込む」「入れ込んだシーツを引き出す」などの 5 項目

に有意差が確認された。【考察】映像群は口頭群に比べ、

自らの気づきによる自己内省を促進したことや映像によ

る視覚効果によって記憶の定着に影響を及ぼした可能性

がある。また、本研究では映像群では情意的行動が、口頭

群では経験の中で学ぶ技術面の技術習得へ影響する可能

性が示唆された。初学者ゆえに自己内省だけでは気づくこ

とのできない技術に対しては口頭での指導が有用である

と考える。【結論】映像からのフィードバックは自己内省

を促し半年後の技術習得に影響を及ぼした。学生の技術習

得においては両フィードバックを学習目的に応じてバラ

ンスよく活用することが有用である。

示説12-1

PNSⓇ自己評価と、看護経験年数・病棟特徴との

関連

キーワード:パートナーシップ・ナーシング・システム

PNSⓇ 新人教育

○柴 裕子1),木下 初美2),大山 孝子2)

1) 中部学院大学看護リハビリテーション学部看護学科

2) 総合病院中津川市民病院

【はじめに】パートナーシップ・ナーシング・システムⓇ

(以下、PNSⓇ)は、福井大学医学部付属病院で、高度医療

の現場ニーズから看護師の自発性を基盤に開発された看

護方式である。PNS は、新人看護師には安心感や安全面な

どメリットが顕著であるといわれているが、ペアで動くた

め、先輩主導となり中堅看護師が疲弊することも懸念され

ている。看護師が PNS の看護をどのように評価しているの

か明らかにすることが必要である。【目的】PNS の看護に対

する自己評価と、看護経験年数や病棟特徴との関連を明ら

かにする。【方法】A病院の看護師 181 名に無記名自記式

調査を行った。調査内容は、属性、文献検討から独自に作

成した PNS 自己評価項目とした。分析は、PNS 自己評価項

目の各平均値を基準とし、低値群と高値群にわけた。PNS

項目(高値・低値)と、看護経験年数(3年未満、3~9年、

10 年以上)、病棟看護経験年数(3年以下と、3年より長期)・

病棟(包括ケア・混合・急性期)で、クロス表を作成し、

χ2 検定を行った。統計解析は、IBM SPSS Statistics

Subscription で行い、有意水準は両側 5%とした。【倫理的

配慮】研究者所属倫理委員会で審査を受け許可を得た。【結

果】PNS 項目と看護経験年数による比較では、看護経験 10

年以上の看護師は、「PNS は判断が難しい状況において適切

に判断できると思う」「一人ひとりの継続看護にいかされ

ている」「インシデントが減った」の項目で低値の回答が

多かった。看護経験3年未満の看護師は、「一人ひとりの

継続看護にいかされている」「インシデントが減った」「身

体的に楽になった」の項目で高値の回答が多かった。病棟

看護経験年数が 3 年より長い看護師は、「新人には、実際

にやらせてみて学んでもらうようにしている」で高値の回

答が多かった。PNS 項目と病棟特徴による比較では、急性

期病棟の看護師は、「一人ひとりの継続看護にいかされて

いると思う」の項目で低値の回答が多かった。【考察】看

護経験 10 年以上と 3 年未満において、その場の判断や継

続看護、安全面において差がみられた。病棟経験が 3 年よ

り長いと、新人にやらせてみるという教育的なかかわりが

ペアでの看護にいかされる可能性が示唆された。【結論】

PNS の自己評価は、看護経験の違いにより、その場の判断

や継続看護、安全面において対照的な結果が得られた。

Page 60: 特別企画 目次 - Japanese Nursing Association第50回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集(2019) ― 21 ― 第50回日本看護学会―看護教育―学術集会

第 50 回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集 (2019)

― 105 ―

第1日

第 50 回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集 (2019)

示説12-2

小規模病院における新人看護職員研修に対す

る新人看護師の思い

キーワード:小規模病院 新人看護師の思い 新人看護職

員研修

○湯山 通世1),滝口 明子1),杉山 奈美1)

1) 公益社団法人有隣厚生会富士小山病院

【はじめに】A病院は、99床のケアミックス型病院である。

新人看護師の応募、採用は少ないが、A 病院においても新

人看護職員研修を実施している。しかし、その研修はまだ

一度も評価されていなかったことから本研究への取組と

なった。先行研究では、小規模病院における新人看護師の

新人研修に対する思いに焦点を当てた研究は見当たらな

かった。【目的】新人研修に対する新人看護師の思いを知

る。【方法】研究対象:直近 5 年間に A 病院の新人研修を

受けた看護師 4 名。研究方法:無記名自記式質問紙調査。

分析方法:記述文より思いをコード化し、類似性でカテゴ

リー化した。【倫理的配慮】本研究は所属施設の倫理委員

会の承認を得た。対象者へは、自由意思に基づく参加であ

ること、参加拒否による不利益が生じないこと、匿名性の

遵守、データ管理、研究結果の公表について書面で説明し、

返信をもって同意を得たものとした。なお、本研究におい

て開示すべき利益相反関係にある企業はない。【結果】新

人看護師の思いは 52 コード抽出された。そこから<研修

期間と時間に問題あり><研修直後に評価してほしい>

<若年の看護師の指導が良い><当院で多い症例につい

て学びたい>の<中カテゴリー>と、大カテゴリー≪課題

要素≫が抽出された。【考察】<研修期間と時間に問題あ

り>は、多くの看護技術を 5日間で再習得することに無理

があったことからでた思いであると考える。さらに、新人

看護師にとっては、一方的に研修を受けても現場の症例を

見ていないことから現実性がなかったのではないかと考

える。<研修直後に評価してほしい>は、総合評価しかし

ておらず、研修直後に項目別の評価をしていなかったこと

から生じた思いであると考える。次に<若年の看護師の指

導が良い>は、新人により近い立場の先輩からの指導が過

度の緊張感もなく、受け入れられたのではないかと考える。

<当院で多い症例について学びたい>は、始めての現場で

何から覚えればよいのかと戸惑う新人看護師の率直な思

いであると考える。【結論】A病院で行っている新人看護職

員研修に対して、研修期間と時間、評価方法、研修項目や

指導者に関して、新人看護師の思いが課題要素として明ら

かとなった。A 病院では、新人看護師が複数名採用される

ことは稀である。他者と比較することもできず、相談しあ

える同期もいない新人が、不安なく成長過程を過ごせるよ

うに支援していきたい。

示説12-3

新人看護師ローテーション研修における効果

的な指導

-技術演習を取り入れた指導案作成-

キーワード:新人研修 指導案作成 技術演習

○河田 清美1),中野 真由美1),熊野 麻弥1)

1) 香川県済生会病院

【はじめに】H29 年度より新人看護師の早期職場適応とリ

アリティーショック緩和、早期離職防止を目的とし、配属

前のローテーション研修を実施している。先行研究では新

人に焦点を当て効果が得られた。今回、指導者にも焦点を

当て指導案の作成と体制づくりを行い、その効果が得られ

たので報告する。【目的】部署の特徴を活かした技術演習

を取り入れた指導案を作成し活用することでローテン

ション研修の体制を整える。【方法】1)対象:H30 年度指

導者 20 名(指導経験初:14 人 2回目:6人)2)期間:H30

年 4 月~H31 年 3 月 3)方法:①研修前に目的や指導案作

成方法(部署特徴、目標、技術演習内容)を周知し指導案

提出、研修時の指導ポイント・注意点等の直前周知会を

行った②研修終了後にアンケート調査を実施【倫理的配慮】

本研究は所属病院看護部倫理委員会の承認を得て実施【結

果】研修期間は適正であったかは「はい」が 60%、研修前

に指導案の説明をしてよかったかは「はい」が 85%で、「は

い」の回答に「計画が立てやすかった」「目的がはっきり

して指導しやすかった」という意見がみられた。部署の特

徴を伝えられたかは「はい」が 70%、風土やスタッフ間で

の協力体制があったかは「はい」が 75%、指導案に技術演

習を取り入れてよかったかは「はい」が 65%、研修最終日

にカンファレンスを行いよかったかは「はい」65%とそれ

ぞれ全体の 2/3 が肯定的な意見であった。しかし、指導案

通りに指導ができたかは「はい」35%と他の項目に比べ低

かった。【考察】新人が部署の特徴がわかるよう、研修前

に目的や指導方法を明確にした指導案を作成して共通理

解を促した事により、指導の方向づけや統一が図られ指導

しやすかったと考える。加えて今回 7割の指導者が初めて

であったが、その指導者にとっても効果的であった。また、

カンファレンス効果は新人の反応を直接感じる事ができ、

指導者の意欲向上ややりがいに繋がっていると考える。一

方、指導案通りの指導ができたかで「どこまで技術演習を

させるのかが難しい」という意見があり、今後は部署内で

の指導内容の情報共有を図り、部署の特徴を活かした効果

的な研修が必要である。【結論】技術演習を組み込んだ指

導案が作成できたので、今後は効果的に活用できるような

取り組みが必要である。

Page 61: 特別企画 目次 - Japanese Nursing Association第50回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集(2019) ― 21 ― 第50回日本看護学会―看護教育―学術集会

― 106 ―

第 50 回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集 (2019) 第 50 回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集 (2019)

示説12-4

新人看護職員への思考過程を中心とした多重

課題シミュレーション研修

-評価と今後の課題-

キーワード:多重課題 シミュレーション 思考過程 新人

看護職員

○吉城 民恵1),佐々木 雅美1)

1) 岡山赤十字病院

【はじめに】新人看護職員を対象に、場面が変わっても安

全に看護を実践できるように、優先順位を選択する思考過

程の学習を中心とした多重課題シミュレーション研修を

実施した。その報告をする。【目的】実施した研修を評価

し今後の課題を明らかにする。【方法】対象:2018 年 10 月、

11 月に実施した多重課題シミュレーション研修に参加し

た新人看護職員 47 名。調査方法:研修中の研修生の発言

内容をホワイトボードへ記し、思考過程がわかる内容を抽

出した。研修終了後に、研修内容の理解度に関する無記名

自記式質問紙を研修生に配布し回答を依頼した。回答は単

純集計し、自由記載は内容をカテゴリー化した。【倫理的

配慮】所属施設の倫理審査委員会の承認を得た。調査目的

と方法、個人を評価するものではないこと、質問紙へは自

由意思で回答できることを文章と口頭で説明し質問紙の

提出をもって同意とみなした。データは所属部署内で厳重

に管理し情報の保護に努めた。本演題に関連して開示すべ

き利益相反関係にある企業はない。【結果】1.研修方法:

1回の研修生は 7~9名、指導者は 2名。E ラーニングを教

材とし、4 人部屋での出来事をシミュレーションした。デ

ブリーフィングでは、思考プロセスの「検知→認知→判断

→行動」の枠組みを用いた。2.研修生の発言内容:事前

情報から『転倒するかも』、『痰が貯留しているかも』など

があった。デブリーフィングでは、時系列にそった出来事

を述べ、その中で同時に起きた出来事を捉えていた。多重

課題として[不安]と[不満足感]、[不満足感]と[転倒リス

ク]、[転倒リスク]と[呼吸状態の悪化]の 3場面を認知し、

それぞれの場面で優先順位を判断した。3.質問紙は 47 名

より回答があった。5段階で回答を求め、「よく理解できた」

の割合は、『どんな多重課題が発生したか捉えることがで

きたか』は 72.3%、『多重課題になった場合の優先順位の

考え方』は 70.2%だった。【考察】研修生は、これまでの

知識と経験をもとに事前情報からの予測と合わせて起こ

りうる問題や危険を捉え、実際に見たことや体験したこと

を言語化し可視化することで多重課題を認知できていた。

生命を守ること、安全確保、苦痛の回避の順に優先順位を

考え判断基準を確認できていた。【結論】思考過程を言語

化、可視化し振り返ることで優先順位の選択ができた。今

後は OJT と連動した研修評価が課題である。

示説12-5

A病院の新人看護職員が抱えるストレスを可

視化し職場適応を支援する取り組み

キーワード:ストレスチェック 新人看護師 職場適応

○佐藤 由貴1),薄井 恵1),渡邉 朋美1)

1) 社会医療法人博愛会菅間記念病院

【はじめに】A 病院は新人看護職員の教育プログラムを実

施し、新人看護職員の1年以内の「離職者ゼロ」を 8 年更

新している。近年は社会人経験のある新人看護職員も増え

ており、年齢や家庭環境など個人の社会背景によりストレ

スを感じる要因や時期も異なっている。多様な社会背景を

もつ新人看護職員がどのようなストレスを抱えているの

か可視化することによりその要因を把握し、緩和する事で

職務が遂行できるのではと考え取り組んだ結果を報告す

る。【目的】ストレスを可視化するツールを作成し、面談

に活用することでその効果を明らかにする。【方法】6月よ

り部署配置。7月よりフォローアップ研修(1回/月)。職

業性ストレス簡易調査票(労働省「作業関連疾患の予防に

関する研究班」)を基に、オリジナルのストレスチェック

用紙を作成。フォローアップ研修時に事前に記載したスト

レスチェック用紙を基に新人教育担当の主任2名・新人看

護職員1名ずつで面談を実施。新人看護職員 18 名を対象

にアンケート調査を行い、データを単純集計した。【倫理

的配慮】対象者へ研究参加・不利益が生じないよう配慮し

同意を得た。A 病院の倫理委員会においても承認を得てい

る。【結果】「ストレス反応」の尺度では、部署配置後の6

月が最も高く、抑うつ感 38%、不安感 94%・疲労感 66%

であった。アンケート調査では「面談で悩みや不安を表出

できる」と回答したのが 95%、「面談は必要だ」と回答し

たのが 94%であった。「悩みを相談できて、また一カ月頑

張ろうと思えた」という回答もあった。また、面談時に「悩

みはない」と答えた新人看護職員でも、ストレスチェック

用紙で反応が高く出ている項目に対して詳細に質問を

行ったところ悩みを表出することができた。配属部署との

連携が必要と判断された場合は迅速に部署責任者と対応

を協議し、継続支援を行うことでストレスの高い状態は長

期化しなかった。【考察】ストレスチェック用紙を活用す

ることで客観的にストレスの状況やその原因を把握でき

たのではないかと考える。また、ストレスを可視化するこ

とで個々にあった支援が早期に行えるようになり、ストレ

スの緩和に繋がったのではないかと考える。【結論】1、

ストレスチェック用紙を活用して面談を行うことでスト

レスを可視化でき継続支援に繋がった。2、オリジナルの

ストレスチェック用紙はストレスを可視化するツールと

して有効であった。

Page 62: 特別企画 目次 - Japanese Nursing Association第50回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集(2019) ― 21 ― 第50回日本看護学会―看護教育―学術集会

第 50 回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集 (2019)

― 107 ―

第1日

第 50 回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集 (2019)

示説12-6

ストレスコントロール力の向上に向けた取り

組み

キーワード:社会人基礎力 ストレスコントロール力

ストレスコーピング

○野田 彩1),八木沢 仁美1)

1) 社会医療法人博愛会菅間記念病院

【はじめに】A病院は新人教育により「新人離職者ゼロ」

を8年更新した。A病院の先行研究で新人に必要とされて

いる社会人基礎力の3つの能力、12能力要素のうちスト

レスコントロール力が弱く介入する必要性があった。その

結果「ストレスコントロール力」を強化する研修を実施し

た。そこから得られた成果と課題を報告する。【目的】先

行研究を基にストレスコントロールに特化した教育の成

果と課題を明確にする。【方法】新人看護職員18名を対

象に、社会人基礎力講義を4月、配属3ヶ月後(9月)ス

トレスコントロール術研修、その後アンケート実施し質的

調査を行った。社会人基礎力チェックシートを入職直後、

9月、3月に自己評価の量的調査を行った。【倫理的配慮】

対象者へ口頭と文書にて研究の目的、趣旨、自由意思での

参加、プライバシー保護等の説明を行い同意を得た。対象

者には不利益が生じぬよう配慮した。A病院の倫理委員会

においても承認を得た。【結果】研修後のアンケート調査

にて「同期同士でストレスについて話し合うきっかけに

なった」「自分のストレスの傾向が理解できた。他者との

関わり方の見直しを行っていきたい」「仕事の中でストレ

スを感じることが多くなってきたが、ストレスコントロー

ル術を活用したい」などの意見が聞かれた。入職直後と3

月の社会人基礎力チェック結果では、社会人基力3つの能

力全てにおいて低下しなかった。「ストレスコントロール

力」は入職直後と比較し9月は上昇し、3月は9月と同値

であった。【考察】アンケートから、ストレスコントロー

ル術研修はストレスコーピング能力を養う動機づけにな

り、ストレスコントロール力は低下しなかったと示唆する。

前年度の新人看護師の傾向では、配属後3ヶ月頃(8月頃)

にストレスを強く感じる傾向にあったが、今年度の新人看

護師は配属後1ヶ月(6月)でストレスを訴える傾向が強

かった。時期を見極める必要性がある。【結論】1.スト

レスコントロール術研修はストレスコーピング能力を養

う動機づけになる。2.ストレスコントロール術研修は新

人に合わせた時期を検討する必要性がある。3.ストレス

コントロール力の低下を防止するためストレスコント

ロール術研修は有用であった。

示説12-7

急変対応を体験した後の新人看護師のリフレ

クションからの学び

キーワード:急変対応 リフレクション 反省的実践

○新村 智宏1),細海 加代子1)

1) 砂川市立病院

【はじめに】一般的に急変対応など危機状態は、ネガティ

ブなものとして受け取られやすい。新人看護師の離職に関

する先行研究においても、急性期病院の新卒看護師の職場

適応を困難にする要因で最も多いのが、「急変時の対応」

「重症患者への対応」である。【目的】本研究の目的は、

急変対応した新人看護師へのリフレクションがもたらす

効果を明らかにすることである。【方法】対象:平成 28 年

度採用新人看護師 28 名の中から抽出した急変場面に遭遇

した看護師 4 名データ収集方法:急変対応に遭遇した新人

看護師に対しインタビューを実施した。意味内容別にカテ

ゴリ化した。【倫理的配慮】A病院看護部倫理審査委員会の

承認を得て実施した。研究への協力は自由意思であること

の説明を行い、データは個人が特定されないよう処理を

行った。【結果】【リフレクションからの学び】のカテゴリ

は<先輩との振り返り>と<次の急変に活かす>の 2サブ

カテゴリで構成された。【考察】<先輩との振り返り>で

は新人看護師は、「行動を振り返ってもらえた」「できてい

た部分を言ってもらえた」という語りから行為についての

リフレクションにおいて、先輩との振り返りの中で、自分

の判断でできたことや指示に従い実践できたことを自覚

することが学びの深さとなったと考える。<次の急変に活

かす>では、「自分もあたったら準備して駆け付けたい」

「判断の仕方を教えてくれるので次に活かせる」という語

りから急変当初は、振り返ることができないものの、行為

のあとのリフレクションを通して急変対応が転換期とな

り急変をネガティブにとらえず次に活かそうとする語り

が聞かれた。したがって急変対応を行った新人看護師に対

しては、先輩との振り返りの場を設けて実践の承認や行動

を振り返ることで次の急変に活かすことができると考え

る。

Page 63: 特別企画 目次 - Japanese Nursing Association第50回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集(2019) ― 21 ― 第50回日本看護学会―看護教育―学術集会

― 108 ―

第 50 回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集 (2019) 第 50 回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集 (2019)

示説13-1

回復期リハビリテーション病棟で終末期へ移

行した患者の看護

-院内 認定看護師間での協働を振り返って-

キーワード:終末期 看取り 褥瘡予防

○木部 由紀1),木内 さゆり1),前田 千保子1)

1) 医療法人 協和会 協和会病院

【はじめに】回復期リハビリテーション病棟(以下、回リ

ハ病棟とする。)は、集中的なリハビリテーション(以下、

リハビリとする。)を実施し、自宅や社会へ戻ることを目

的とした病棟である。今回、間質性肺炎を発症し終末期に

移行した患者の看護を振り返り、脳卒中リハビリテーショ

ン看護認定看護師(以下、SRCN とする。)、と皮膚・排泄ケ

ア認定看護師(以下、WOCN とする。)の協働から課題を見

出したので報告する。【目的】回リハ病棟で終末期へ移行

した患者の看護を通し、認定看護師の協働によって一般病

棟の看護師がどう影響を受けたのかを振り返り課題を見

出す。【方法】①電子カルテ内の記録をもとに A氏の経過、

ケアを振り返る。②一般病棟で担当した看護師 2名にイン

タビューを依頼し、SRCN と WOCN と看護師 2 名で対面式に

インタビューを実施する。【倫理的配慮】入院の詳細を伏

せ、個人が特定化できないよう配慮する。インタビューを

依頼した看護師には情報を学会等に使用する可能性を説

明し同意を得た。研究者所属施設の倫理委員会で承認を得

た。【結果】A 氏、80 歳代。脳出血後のリハビリ目的で回

リハ病棟へ入院となった。転院から 3ヶ月後に間質性肺炎

を発症し、家族との話し合いにより看取りのため、一般病

棟へ移動した。SRCN は WOCN に褥瘡予防のためにエアマッ

トの使用に関してコンサルテーションを行った。その後、

A 氏は一般病棟でご家族の見守る中、息を引き取られた。

一般病棟の看護師は褥瘡に関してのケアは意識的に行え

ていたが、バイタルサインの値や急変時にどのタイミング

でご家族を呼び出ししたらいいのか不安を感じていた。

【考察】A 氏の事例を振り返る中で、回リハ病棟で看取り

に転換した時点で「看取り」のケアを統一することができ

ていなかった。回リハ病棟ではリハビリが行われていたが、

一般病棟に移動するにあたり終末期リハビリでの視点や

病棟移動後の「安楽」という視点でリハビリの働きかけが

行えていなかった。普段、SRCN と WOCN はリハビリや褥瘡

に関して予防を意識しているが、今回の事例を通して、認

定看護師自身が自分の専門性での終末期看護を深く考え

ることができていなかったことに気付いた。【結論】認定

看護師自身が自分の専門性での終末期看護を深く考える

ことができていなかった。SRCN・WOCN としての看取りの視

野を広げ、看取りのケアを考えていきたい。

示説13-2

終末期がん患者・家族の感情表出を促すコミュ

ニケーション研修の評価

-がん看護に関する看護師の困難感に着目し

て-

キーワード:コミュニケーション研修 NURSE 終末期がん

看護 困難感 ロールプレイ

○矢野 沙織1),西山 美穂子1)

1) 香川県立中央病院

【はじめに】A病院では入院患者の約 25%ががん患者であ

り、2015 年から「看護師に対する緩和ケア教育」の標準テ

キストを用いた研修を開催しているが、終末期がん患者と

のコミュニケーションの難しさを訴える看護師の声が多

く聞かれている。そこで、2017 年はがん患者へのコミュニ

ケーションアプローチとして有用とされているスキル

(NURSE)を用いて、終末期がん患者、家族とのコミュニ

ケーションに特化したロールプレイ研修を実施した。研修

が、がん看護実践における困難感の軽減につながったかに

ついて検討したので報告する。【目的】終末期がん患者と

のコミュニケーションに重点を置いた研修ががん看護実

践における困難感の軽減につながったかについて検討す

る。【方法】1.対象者:終末期がん患者・家族とのコミュ

ニケーションに関心のある看護師 8 名。2.研修内容:①

ギアチェンジを迎えた患者と今後について話し合う面談、

②終末期の療養場所の意思決定に関する面談の 2場面につ

いてロールプレイを実施した。3.調査方法:小野寺らの「看

護師のがん看護に対する困難感尺度」(6 ドメイン 49 項目

で構成され、点数が高いほど困難感が高い)を用い、研修

前、研修 2か月後に無記名自記式質問紙を用いて調査した。

4.分析方法:「まったくそう思わない」を 1点、「非常にそ

う思う」を 6 点として点数化し、各項目の研修前、研修 2

か月後の平均点について t 検定を行った。【倫理的配慮】

香川県立中央病院看護研究委員会倫理審査会の承認後実

施。研究目的、公表についてアンケート紙面にて説明し、

無記名の回答紙の提出をもって同意を得た。【結果】1.対

象者属性:看護師経験平均年数 12.75±10.47 年。2.アン

ケート結果:研修前ではコミュニケーションに関すること

の全項目において 4.5 点以上であった。研修 2か月後では

「患者と十分に話をする時間がとれない」(p=0.02)、「家

族から不安や心配を表出された場合の対応に困難を感じ

る」(p=0.01)の項目で困難感が有意に軽減した。【考察】

終末期がん患者、家族に意思決定を求める場面を NURSE を

用いたロールプレイを体験することで、患者、家族との関

わり方やコミュニケーションを見直すことができ、その気

づきを研修後に実践で活用することで困難感の軽減につ

ながったと考えられた。

Page 64: 特別企画 目次 - Japanese Nursing Association第50回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集(2019) ― 21 ― 第50回日本看護学会―看護教育―学術集会

第 50 回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集 (2019)

― 109 ―

第1日

第 50 回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集 (2019)

示説13-3

中途採用看護師に必要な教育支援の検討

-新しい職場環境に抱く感情と行動から考え

る-

キーワード:中途採用看護師 教育支援の検討 新しい職

場環境に抱く感情と行動

○亀川 久美子1),原田 純子1)

1) 重工記念長崎病院

【はじめに】A 病院は中途採用看護師(以下、中途者)にプ

リセプター制度を導入し、実務日誌の記録で知識・技術の

向上を図っている。研究者はプリセプターを経験したが、

指導する戸惑いと中途者が安心して業務出来ているか疑

問を感じた。そこで中途者が A病院に抱く感情と行動の傾

向を調査し、支援方法の課題を見出せないかと考えた。【目

的】中途者が A病院に抱く感情と行動の傾向を調査し、支

援方法の課題を見出す。【方法】対象:A 病院で勤務 3 年未

満の中途者 18 名。期間:平成 30 年 4 月~12 月。データ収

集内容:属性は記載回答。A病院に抱く感情と行動は、先行

研究を参考に 24 項目の自記式質問紙作成し 4 段階評価。

評価理由と再就職感想は自由記載。無記名回答で各部署管

理者にて配布・回収。データ分析方法:属性は単純集計。

24項目の評価は点数化し、単純集計後平均点数をt検定(有

意水準 5%未満)。【倫理的配慮】研究対象者に、参加と中断

の自由・不利益が生じない・プライバシー保護・データは本

研究以外使用しない事を書面説明し同意を得た。研究実施

は、A病院看護部倫理委員会の承認を得た。【結果】質問紙

回収率・有効回答率 100%。属性は、平均 28.4 歳・入職まで

の看護師経験平均 4 年 7 ヶ月・離職平均 1.4 回。平均点数

でみた 24 項目の 1 位は「自信がないと自分から伝えた」。

検定結果、30 歳代・入職までの看護師経験 5年以上・離職 2

回以上で「任せられる事が多かった」の項目に有意差あり

(P≦0.05)。評価理由と再就職感想は、スタッフが親切・手

順書が古い・暗黙ルールが多い・実務日誌は不要等があっ

た。【考察】プリセプター制度とスタッフのアプローチで

人間関係が良好となり、中途者自ら不安を表出していた。

しかし「任せられる事が多かった」の項目で有意差があり、

任せられる期待が中途者の不安を増大させる可能性があ

る事を認識しなければならない。また、経験年数等に関係

なく手順書の不備や暗黙ルールの存在を捉えており、経験

者の気付きを意見交換し手順書整備・暗黙の明文化を行う

必要がある。指導への意見は様々だが、これは実践能力に

個人差があるためではないか。その為、客観的に能力評価

出来るツールの作成を検討しなければならない。【結論】

1.中途者は自信がないと伝えていた。2.任せられる事が多

かったと感じていた中途者がいた。3.手順書整備と能力評

価のツール作成が必要。

示説13-4

看護職者の仕事と家庭との間で生じる葛藤と

仕事に対するキャリア意識の実態

キーワード:役割葛藤 仕事 家庭 キャリア意識

○森 雄太1)

1) 国際医療福祉大学福岡看護学部

【はじめに】看護職は職場や働き方を選ぶ上で「家庭生活

と両立できること」を重視しているが、不規則な勤務形態

や職務遂行のための心身の消耗が大きく、ワーク・ファミ

リー・コンフリクト(仕事役割と家庭役割とが相互にぶつ

かり合うことから発生する役割葛藤:以後 WFC と略す)が

発生しやすいと言われている。一方、女性が多い看護職で

は結婚や出産等により、キャリア形成や職業継続が困難な

現状が指摘されている。【目的】看護師が家庭と仕事の両

立しながらキャリア形成を支援するために、病院で勤務す

る看護職者の WFC とキャリア意識の実態を明らかにする。

【方法】A 県内の病床数 200 床以上の病院から無作為に抽

出し、同意の得られた施設へ調査用紙を郵送し、個別返信

にて回答を得た。対象者は独居者を除外した。調査内容は

基本属性や「WFC 尺度」及び「職業キャリア成熟尺度」を

用い調査した。得られたデータは統計ソフト SPSS 及び

Excel を使用し、集計・分析を行った。本研究は国際医療

福祉大学の研究助成を受け実施した。【倫理的配慮】国際

医療福祉大学倫理審査委員会の審査を受けた上で実施し

た(承認番号 17-Ifh-063)。【結果】看護職員 325 人へ調査

用紙を郵送し、209 人より回答得た(回収率 64%)。平均

年齢は 39.2 歳、看護師の平均経験年数は 15.3 年、現在の

職場の平均在職年数は 8.9 年だった。全体の 50%が離職経

験あり、理由は「結婚」「育児」「家族の転勤」が多かった。

94%が婚姻あり、87%が子どもありだった。家事に費やす

時間は平均 2.8 時間、自由に使える時間は 1.8 時間だった。

WFC 尺度得点は「時間に基づく仕事から家庭への葛藤」と

「ストレス反応に基づく仕事から家庭への葛藤」が高く、

職業キャリア成熟尺度は「職業キャリア自立性」が高く、

「職業キャリア計画性」が低かった。【考察】全体の約 9

割が結婚し、子育てをしながら就業していた。5 割が離職

を経験し、家庭状況に合わせ職業選択をしていると考えら

れる。また仕事から家庭への役割葛藤が高いことが示唆さ

れ、職業へのキャリア意識を高めるためには、家庭生活の

状況に応じた勤務形態の整備や職場の柔軟な対応、家族か

らの支援・協力を得ることが必要であると思われる。【結

論】対象者の多くが結婚、子育てしながら働き、仕事から

家庭への役割葛藤が高く、職業に対するキャリア計画が難

しい現状があった。

Page 65: 特別企画 目次 - Japanese Nursing Association第50回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集(2019) ― 21 ― 第50回日本看護学会―看護教育―学術集会

― 110 ―

第 50 回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集 (2019) 第 50 回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集 (2019)

示説13-5

新卒看護師の就職 6 か月後の職場適応状況に

影響する要因(第 1 報)

-職場適応を促進させる要因の検討-

キーワード:新卒看護師 就職 6か月 職場適応 職業的ア

イデンティティ

○佐野 友美1),増田 誠一郎1)

1) 地方独立行政法人静岡県立病院機構静岡県立総合病院

【はじめに】新卒看護師の就職 6か月後は夜勤が独り立ち

となり,常にプリセプターと一緒に働ける状況ではなくな

る。支援・指導体制の変化により業務の負荷や不安感が増

大し,離職願望が高まり,職業的アイデンティティの発達

が停滞する。よって新卒看護師の職場適応促進の要因を検

討したい。【目的】新卒看護師の就職 6 か月後の職場適応

度の上昇に影響する要因を明らかにする。【方法】研究デ

ザイン:前向きコホート研究。調査期間:2018 年 4 月~10

月。対象者:基幹病院に就職した新卒看護師 57 名。デー

タ収集方法:自記式質問紙調査。調査項目:属性,社会背

景,看護基礎教育,職場環境,職場適応状況,支援状況・

看護技術・患者からの肯定的反応の認知,職業的アイデン

ティティ。分析方法:χ2検定,Mann-Whitney U 検定,ロ

ジスティック回帰分析。統計解析は SPSS ver.25 を使用,

有意水準は 5%とした。【倫理的配慮】対象者に研究の概要,

研究参加の自由および研究参加による負担や不利益が生

じないこと,研究結果の公表,個人情報の保護,情報の厳

重な管理について説明し同意を得た。既存の尺度は開発者

に使用許可を得た。本研究は静岡県立総合病院臨床研究倫

理審査の承認を得た(SGHIRB#2017089)。開示すべき利益相

反関係はない。【結果】分析対象 48 名中、就職後 6か月間

で職場適応度が上昇した者は 26 名(54.2%)にとどまった。

職場適応度上昇には職業的アイデンティティの上昇(調整

済みオッズ比[OR]20.36,95%信頼区間[CI]1.46~284.52),

患者からの感謝の反応の認知の上昇(OR9.39,95%CI1.83~

48.27),看護技術における自己成長の実感の上昇(OR6.87,

95%CI1.11~42.46)が影響していた。【考察】就職 6か月後

の新卒看護師はまだ十分に職場適応が促進されていない。

職場適応には職業的アイデンティティや患者からの感謝

の反応,看護技術における自己成長の実感が非常に強く影

響する。よって患者や上司・同僚等との相互作用により,

看護ケアの洗練や成果の可視化,職業的アイデンティティ

上昇の支援が必要である。【結論】就職 6 か月後の新卒看

護師における職場適応促進には職業的アイデンティティ,

患者からの感謝の反応の認知,看護技術における自己成長

の実感に働きかける支援が重要である。

示説13-6

新卒看護師の就職 6 か月後の職場適応状況に

影響する要因(第 2 報)

-就職 3 か月後時点での予測因子の検討-

キーワード:新卒看護師 就職 6か月後 職場適応 職業的

アイデンティティ

○増田 誠一郎1),佐野 友美1)

1) 地方独立行政法人静岡県立病院機構静岡県立総合病院

【はじめに】新卒看護師の就職 6か月後は離職願望が高ま

る他,職業的アイデンティティの発達が停滞する時期であ

り,その後の勤務継続意思に大きな影響を及ぼす。新卒看

護師の離職は職場適応状況に左右されるため,事前に対策

が必要であるが,具体的な原因は十分に明らかになってい

ない。よって就職 6か月後の職場適応状況に関連すると予

測される要因を検討することで支援・対応が可能となると

考える。【目的】就職 6 か月後の新人看護師の職場適応状

況に影響する予測因子を明らかにする。【方法】研究デザ

イン:前向きコホート研究。調査期間:2018 年 4 月~10

月。対象者:基幹病院に就職した新卒看護師 57 名。デー

タ収集方法:自記式質問紙調査。調査項目:<共変量>属

性,社会背景,看護基礎教育,職場環境,<アウトカム>

職場適応状況,<要因>就職後 3か月間の支援状況・看護

技術・患者からの肯定的反応の認知および職業的アイデン

ティティの変化量。分析方法:相関分析,重回帰分析。統

計解析は SPSS ver.25 を使用,有意水準は 5%とした。【倫

理的配慮】対象者に研究の概要,研究参加の自由および研

究参加による負担や不利益が生じないこと,研究結果の公

表,個人情報の保護,情報の厳重な管理について説明し同

意を得た。既存の尺度は開発者に使用許可を得た。本研究

は静岡県立総合病院臨床研究倫理審査の承認を得た

(SGHIRB#2017089)。開示すべき利益相反関係はない。【結

果】分析対象は 48 名。職場適応状況の予測因子は,職業

への肯定的イメージの上昇(標準化回帰係数[β]=0.38,

p=0.002),患者からの感謝の反応の認知の上昇(β=0.29,

p=0.014)であった。【考察】就職 6 か月後の新卒看護師の

職場適応を促進させるには,就職直後から 3か月間に職業

への肯定的イメージが高まるように働きかけ,職業的アイ

デンティティを上昇させること,また患者からの感謝の反

応の認知が上昇するように,自己や看護チームのケアの成

果が患者からの肯定的な反応に基づいて評価されるよう

支援することが必要である。【結論】就職 6 か月後の新卒

看護師の職場適応状況の予測因子は,就職直後から 3 か月

間に職業への肯定的イメージが上昇すること,患者からの

感謝の反応の認知が上昇することである。上司・同僚等が

新卒看護師の職場適応促進の好機を逃さず,的確に働きか

けることが重要である。

Page 66: 特別企画 目次 - Japanese Nursing Association第50回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集(2019) ― 21 ― 第50回日本看護学会―看護教育―学術集会

第 50 回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集 (2019)

― 111 ―

第1日

第 50 回日本看護学会―看護教育―学術集会 抄録集 (2019)

示説13-7

整形外科病棟における術後せん妄に対する教

育的介入後の看護師の意識変化

-アクティブラーニングを用いて-

キーワード:術後せん妄 看護師への教育 アクティブ

ラーニング

○中神 莉菜1),金島 朱里1)

1) 総合病院三原赤十字病院

【目的】せん妄に対する基礎知識や、せん妄に有効とされ

ている予防的な疼痛管理方法についてアクティブラーニ

ングを行い、調査前後のせん妄に対する看護師の意識の変

化を明らかにする。【方法】1.研究デザイン:量的記述的

研究 2.対象:整形外科病棟の新人看護師を除いた看護師

18 名 3.調査期間:平成 30 年 8月~平成 30 年 12 月 4.デー

タ収集方法:依頼文書と無記名の選択式・自由記述式質問

調査票を配布し、回収袋に投函してもらった。5.データ分

析方法:せん妄に関する教育的介入の前後で行った質問調

査票で得られたデータをもとに、せん妄に対する理解がど

の程度深まったか分析。【倫理的配慮】当院の医療倫理委

員会の了承を得た。研究協力者に匿名性、研究目的、方法、

協力の有無によって不利益は生じないこと、得られたデー

タは外部に流出しないこと、調査票の回収をもって同意と

することを文書で説明した。【結果】〈知識に関すること〉

〈技術・ケアに関すること〉〈倫理的な視点について〉3 つ

のカテゴリーに分類し、調査前後で平均値を割り出した。

ほとんどの項目で調査後に点数が高い結果を得たが、せん

妄予防に対する情報共有や実際の対応では点数が低い結

果を得た。自由記述については、調査後にはせん妄患者に

対して具体的にどんな薬剤を使用するかが記されていた。

【考察】せん妄に関する教育的介入前後の意識調査結果か

ら、せん妄の知識は身に付いていることがわかる。一方、

事前に予防策のカンファレンスをするといった情報共有

をする意識が低いことが示唆された。個別性のあるせん妄

対策を行うためには、複数の看護師の意見を踏まえて対応

していく必要がある。倫理的な視点より苦痛緩和を優先す

るように意識が向いていた。一方、必要以上の身体拘束を

しないような努力が出来ていないことが示唆された。病院

運営においては安全管理が最優先されているため、看護師

はリスク回避を優先する現状があり、必要以上の身体抑制

を減らす共通の判断基準を設けることが今後の課題であ

る。対象者がそれぞれ可能な時間帯で能動的学習が出来る

ように資料提示をしたことで、内容の濃い学習が出来、調

査後の意識変化に繫がったと考える。【結論】1.アクティ

ブラーニングは看護師のせん妄に関する意識向上に効果

的であった。2.せん妄の知識を実践に活かし、看護師のみ

ならず多職種を含め、チームとしてせん妄と向き合う必要

がある。