63
-1- 社会科の指導における思考力・判断力・表現力を育む研究 -資料を活用した場面においての言語活動の充実を通して- 研究の概要 本研究は,小学校社会科学習において,言語活動の充実を図ることにより,子どもたちの思考力・ 判断力・表現力を育むことを目的とした研究である。具体的には,資料を活用した場面において,読 み取り,解釈,説明,論述の言語活動を取り入れた指導法について,児童の自己評価や学習カードか ら有効性を検証した。 キーワード 言語活動 思考力・判断力・表現力 資料の活用 学習カード 主題設定の理由 社会科における今日的課題から 子どもたちが,知識基盤社会を生きていくためには,確かな学力,豊かな心,健やかな体の調和を 重視する「生きる力」を育むことが,これまで以上に重要になっている。 調査や全国学力・学習状況調査において,わが国の児童生徒については,思考力判 OECD PISA 断力・表現力等の読解力を問う問題や記述式問題,知識・技能を活用する問題に課題が見られた (注 2・3)特に,全国学力・学習状況調査では,国語科,算数科とも 問題における知識・技能を活用 B する力すなわち,思考力・判断力・表現力等に課題があることが指摘された。具体的には,国語の問 題で,今回明らかになった課題が以下の3点である。 ・目的や意図に応じて必要な情報を関連付けて読み,理由を明確にして,説明すること。 ・伝えたいことと資料を関係付けて,資料を効果的に提示して話すこと。 ・資料や情報に基づいて自分の考えや感想を明確に記述すること。 この課題が,社会科にも関わりがあると考える。 また,平成22年度山梨県公立小中学校教育課程実施状況調査の社会科の平均通過率を見ると,山梨 県は 全国に比べ基礎・応用いずれの問題でも目標値 出題者が設定した通過率 には到達している しかし,その調査の詳細な分析結果をみると,資料を読み取り,理由や自分の考えを記述する問題の 無答率が高いことが明らかになった。資料の読み取りと読み取った内容を自分の言葉で表現する学習 の充実の必要性があると考えることができる (注4) さらに,平成22年度山梨県公立小中学校教育課程実施状況調査の質問紙調査では (参考資料1) ・社会の学習で疑問に思ったことについて,自分から調べようとしている。 ・社会の学習で新しく地名が出てきたら,地図で確認するようにしている。 ・図書館やコンピュータを利用して,資料を集め,活用している。 この三点が,全国平均を上回っているものの,他の質問から比べると肯定的に答えている割合が低 くなっていて,子どもたちが疑問に思ったことを調べたり,資料を活用したりする関心・意欲の部分 -小 社会-

社会科の指導における思考力・判断力・表現力を育 …...1 思考力・判断力・表現力について 社会科において,思考力・判断力・表現力の三つの力は,授業の中で,関わり合って育まれていく

  • Upload
    others

  • View
    1

  • Download
    0

Embed Size (px)

Citation preview

Page 1: 社会科の指導における思考力・判断力・表現力を育 …...1 思考力・判断力・表現力について 社会科において,思考力・判断力・表現力の三つの力は,授業の中で,関わり合って育まれていく

- 1 -

社会科の指導における思考力・判断力・表現力を育む研究

-資料を活用した場面においての言語活動の充実を通して-

研究の概要

本研究は,小学校社会科学習において,言語活動の充実を図ることにより,子どもたちの思考力・

判断力・表現力を育むことを目的とした研究である。具体的には,資料を活用した場面において,読

み取り,解釈,説明,論述の言語活動を取り入れた指導法について,児童の自己評価や学習カードか

ら有効性を検証した。

キーワード

言語活動 思考力・判断力・表現力 資料の活用 学習カード

Ⅰ 主題設定の理由

1 社会科における今日的課題から

子どもたちが,知識基盤社会を生きていくためには,確かな学力,豊かな心,健やかな体の調和を

重視する「生きる力」を育むことが,これまで以上に重要になっている。

の 調査や全国学力・学習状況調査において,わが国の児童生徒については,思考力判OECD PISA

断力・表現力等の読解力を問う問題や記述式問題,知識・技能を活用する問題に課題が見られた (注。

2・3)特に,全国学力・学習状況調査では,国語科,算数科とも 問題における知識・技能を活用B

する力すなわち,思考力・判断力・表現力等に課題があることが指摘された。具体的には,国語の問

題で,今回明らかになった課題が以下の3点である。

・目的や意図に応じて必要な情報を関連付けて読み,理由を明確にして,説明すること。

・伝えたいことと資料を関係付けて,資料を効果的に提示して話すこと。

・資料や情報に基づいて自分の考えや感想を明確に記述すること。

この課題が,社会科にも関わりがあると考える。

また,平成22年度山梨県公立小中学校教育課程実施状況調査の社会科の平均通過率を見ると,山梨

, ( ) 。県は 全国に比べ基礎・応用いずれの問題でも目標値 出題者が設定した通過率 には到達している

しかし,その調査の詳細な分析結果をみると,資料を読み取り,理由や自分の考えを記述する問題の

無答率が高いことが明らかになった。資料の読み取りと読み取った内容を自分の言葉で表現する学習

の充実の必要性があると考えることができる (注4)。

さらに,平成22年度山梨県公立小中学校教育課程実施状況調査の質問紙調査では (参考資料1),

・社会の学習で疑問に思ったことについて,自分から調べようとしている。

・社会の学習で新しく地名が出てきたら,地図で確認するようにしている。

・図書館やコンピュータを利用して,資料を集め,活用している。

この三点が,全国平均を上回っているものの,他の質問から比べると肯定的に答えている割合が低

くなっていて,子どもたちが疑問に思ったことを調べたり,資料を活用したりする関心・意欲の部分

-小 社会-

Page 2: 社会科の指導における思考力・判断力・表現力を育 …...1 思考力・判断力・表現力について 社会科において,思考力・判断力・表現力の三つの力は,授業の中で,関わり合って育まれていく

- 2 -

-小 社会-

で課題が見られる。これらの調査結果から,資料を活用した場面でさまざまな言語活動を工夫して取

り入れて,思考力・判断力・表現力を育んでいきたいと考える。

2 学習指導要領から

今年度から全面実施の小学校学習指導要領に「言語活動の充実」が示されたことは,大きな特色の

一つである(注5 。総則には 「児童に生きる力をはぐむことを目指し,創意工夫を生かした特色あ) ,

る教育活動を展開すること」の必要性が記されている。基礎的・基本的な知識及び技能を確実に習得

させ,これらを活用して課題を解決させるために必要な思考力・判断力・表現力の能力を育むととも

に,主体的に学習する態度を養い,個性を生かす教育の充実に努めなければならないのである。その

際に配慮しなくてはならないことが児童の発達段階に応じた言語活動に充実である 「生きる力」を育。

むことを目指して取り組むために必要な要素であると考えることができる。

言語活動の中心は,言語(言葉)であり,読むこと,話すこと,書くこと,聞くことなどの言語活

動の基礎は,国語科で培われるものであるが,国語科で身に付けた言語に関する能力を他教科におい

ても積極的に活用することが必要である。

小学校学習指導要領解説社会編にも「社会的事象に関する基礎的・基本的な知識や概念を確実に習

得させ,それらを活用する力や課題を探究する力を身に付けていくためには,習得すべき知識,概念

や技能を確実に習得し,各種の資料を効果的に活用し,社会的事象の意味を解釈したり事象の特色や

事象間の関連を説明したりする言語活動を重視する」と書かれている。具体的には,地図や統計など

, , ,の各種の資料から必要な情報を読み取ること 社会的事象の意味 意義を資料をもとに解釈すること

事象の特色や事象間の関連を説明すること,自分の考えを論述することである。

このように,社会科における活用する力や課題を探究する力,すなわち,思考力・判断力・表現力

を身に付けさせるための重要な役割として言語活動は位置付けられる。

3 これまでの実践から

今までの私の社会科の実践おいては,基礎的・基本的な知識・技能の習得に時間をかけていたこと

が多かった。地名や年号を暗記することを優先されてしまいがちだった。基礎的・基本的な知識・技

能の習得とこれらを活用する思考力・判断力・表現力の二つのことを相互に関連させながらのばして

いくことが,十分に共有されているとはいえない状況にあった。そのため思考力・判断力・表現力等

を育むための言語活動が十分でなかったと感じるのである。これまでの私の実践から以下の課題が挙

げられる。

・ペア学習やグループ学習で話合いを行ったり,学習カードを活用したりすることで,言語活動が

十分できたと考えてしまい,言語活動を教科の目標の達成に生かしてはいなかった。

・子どもが話したり書いたりした内容について,学習した用語や適切な言葉を使っていない時でも

「その子なりの考えだから」とか「たくさん書いたから」というようなあいまいな評価にとどまって

しまい,一人一人の見取りが不十分であった。

・発表の方法やそれにつながる学習カードの活用の方法が不十分であった。

また,子どもたちの学習の様子からは,

・自分の考えをどのように発表してよいのか分からない。

・自分の考えをどのような言葉で表してよいのか分からない。

Page 3: 社会科の指導における思考力・判断力・表現力を育 …...1 思考力・判断力・表現力について 社会科において,思考力・判断力・表現力の三つの力は,授業の中で,関わり合って育まれていく

- 3 -

-小 社会-

・文章や資料をどのように読み取っていくのか分からない。

などがあった。これまでの言語活動においては,教師が児童の自主性を尊重しすぎるあまり,教科や

単元の目標を意識せずに,教師の指導性が発揮されていなかった部分や子どもは,考えはもてている

が,どのように表現していいのかなど,言語活動に十分に取り組むことができていない様子が見られ

た。そこで,社会科の資料を活用する場面において,読み取り・解釈・説明・論述などの言語活動を

取り入れ,児童の思考の過程が分かる学習カードを活用することにより,思考力・判断力・表現力を

育てていきたいと考える (図 )。 1

(図1 言語活動のイメージ図)

言語活動の充実

教師 子ども

○単元・教科の目標を意識し,思考 ○課題に対して,話合いや書くこと,ま

力や判断力・表現力を育むための とめることなど学習カードを活用して思考

読み取り・解釈・説明・論述を取 したり判断したり表現したりする学習活動

り入れた指導

授 業

資料の読み取り 話合いのしかた

学習カードの活用など

(読み取り・解釈・説明・論述の活動)

これまでの言語活動に関する分析

○目的意識をもたず,指導性が発揮されていない言語活動を取り入れた授業(教師側)

○資料の読み取りや発表のしかた,話合いのしかたなどに不安がある言語活動を取り入れた

授業(児童側)

読み取り・・・円グラフ,折れ線グラフなど目盛りや数値の読み取り方が不十分であり,

文章資料の内容が読み取ることができていない。用語の意味が分からない。

解 釈・・・写真や統計などからの情報と学習した内容を関連付けて考えることができて

いない。

説 明・・・資料からの情報を学習した内容と結び付けて話したり,書いたりすることが

できていない。

論 述・・・資料からの情報と自分の生活との結び付きに理由を付けて話したり,書いた

りすることができていない。

Page 4: 社会科の指導における思考力・判断力・表現力を育 …...1 思考力・判断力・表現力について 社会科において,思考力・判断力・表現力の三つの力は,授業の中で,関わり合って育まれていく

- 4 -

-小 社会-

Ⅱ 研究の目標

, , ,社会科学習における 写真や地図 表や統計などの資料や社会科見学等の体験をする場面において

読み取り・解釈・説明・論述の四つの言語活動を取り入れることが,思考力・判断力・表現力の育成

につながることを明らかにしていく。

Ⅲ 研究の基本的な考え方

1 思考力・判断力・表現力について

社会科において,思考力・判断力・表現力の三つの力は,授業の中で,関わり合って育まれていく

ものである。岩田(注6)は『思考力とは,必要な情報をよく吟味し,それらを関連付ける中で自分

の考えを作り上げる力である。判断力とは,自主的に,今までの経験や収集した情報をもとに考え,

決断していく力である。その決断には,必要な情報をもとにして,自分なりの確かな根拠をもってい

ることが必要であると考える。その確かな根拠をもつには,自分で情報を解釈し,関連付けて,自分

の考えを作り上げる過程が必要であるので,思考力と判断力は関連し合っていると考える。表現力と

は,思考・判断したことを話したり書いたり,レポートにまとめたり,自分の考えを表していく力で

あり,習得した知識・技能を活用しながら考えたことを説明したり,自分の意見をまとめたりする力

である』と言っている。単元や授業において,基礎的・基本的な知識・技能を習得させながら,これ

らを活用して課題を解決するために必要とされる能力が,思考力・判断力・表現力である。三つの力

は,一つ一つ切り離して考えるのではなく関連する能力として,総合的に捉え育成していくことが重

要であると考える。

2 言語活動について

, 。 ,思考力・判断力・表現力を育んでいくために重要とされているのが 言語活動である 言語活動は

思考力・判断力・表現力を育むための道具と考えることができる。道具を使うときには,そのときの

状況や状態に応じて使い分けるものである。教師が児童にどのような道具を使わせるのか,また,初

めて使う道具のときには,その使い方を指導しなければならない。児童が,その道具を使う力が十分

でなかったら,より丁寧な指導が必要になってくる。このことを,児童の学習に当てはめると,児童

の実態や教科,単元,学習する場所などいろいろな要素を考慮して,適切な言語活動を選び,活用し

ていくことと同じになるのである。学習指導要領解説社会編では,記録・要約・説明・論述などの言

語活動を,例示して挙げている。これらの言語活動を学習において使い分けて指導することが大切で

ある。このような言語活動を充実させることが,思考力・判断力・表現力を育むために必要である。

また,平成20年1月の中央教育審議会の答申から,思考力・判断力・表現力を育む学習活動の例を

挙げてみると,

・体験から感じ取ったことを表現する。

・事実を正確に理解し伝達する。

・概念・法則・意図などを解釈し,説明したり活用したりする。

・情報を分析・評価し論述する。

・課題について,構想を立て実践し,評価・改善する。

・互いの考えを伝え合い,自らの考えや集団の考えを発展させる。

などが明記されている。このような学習活動を各教科において行っていくことが,記録・要約・説明

Page 5: 社会科の指導における思考力・判断力・表現力を育 …...1 思考力・判断力・表現力について 社会科において,思考力・判断力・表現力の三つの力は,授業の中で,関わり合って育まれていく

- 5 -

-小 社会-

。 , ,論述などの言語活動の充実につながるのである その際 言語活動を充実させることが目的ではなく

言語活動により課題解決のために必要な思考力・判断力・表現力を高めることが目的であることを常

に意識することが大切である。

3 社会科における言語活動について

小学校学習指導要領社会科の改善の基本方針に 「地図や統計などの各種資料から必要な情報を集め,

て読み取ること,社会的事象の意味,意義を解釈すること,事象の特色や事象間の関連を説明するこ

と,自分の考えを論述すること」などの活動を一層重視する方向で改善を図っていくことが明記され

ている。実際の授業においては,問題解決的な学習などを一層充実させることや観察・調査や資料活

用を通じて必要な情報を入手し的確に記録する学習,それらを比較・関連付け総合しながら再構成す

, ,る学習 考えたことを自分の言葉でまとめ伝えあうことによりお互いの考えを深めていく学習などに

読み取り・解釈・説明・論述の四つの活動を授業の中に取り入れて,言語活動の充実を図っていくの

である。読み取り・解釈・説明・論述の具体的な言語活動を考える際には,学習の方法についてだけ

を考えるのではなく,それぞれの言語活動の目的やその効果を明確にした上で,指導内容や授業形態

の構築を目指していくことが必要であると考える。

これら四つの言語活動を小原(平成20年 (注7)は以下のようにまとめている。四つの活動を意図)

的に取り入れ,思考力・判断力・表現力を育んでいきたい。

「読み取り・解釈・説明・論述」の具体的な内容 (小原友行 2008)

読み取り・・・社会的事象に関する事実を調査・見学や地図,統計などの各種の資料などを基に

読み取る活動

○資料から必要な情報を読み取る。

解 釈・・・社会的事象のもつ特色や意味,意義について各種の資料を基に考察する活動

○資料から読み取ったデータを分析する。

説 明・・・社会的事象の特色や事象間の関連を各種の資料を基に考察し,表現する活動

○社会的事象の特色を他の事象と比較したり,諸資料等を基に考察したりして,

表現する

論 述・・・社会的事象について自分なりの考えを各種の資料を根拠に表現する活動

○考えたことを自分の言葉でまとめたり,考えを話したり,書いたり,伝えあっ

たりする

4 資料について

(1)資料の活用

社会科の学習で使用する資料は,社会生活を身近にして捉えやすくするものであり,学習に不可欠

なものである。社会科における資料には,地図,写真,絵,図,文章,グラフなどがあり,その中で

も写真や絵などの画像から必要な情報を取り出す資料が多く見られる。また「~さんの話」というよ

Page 6: 社会科の指導における思考力・判断力・表現力を育 …...1 思考力・判断力・表現力について 社会科において,思考力・判断力・表現力の三つの力は,授業の中で,関わり合って育まれていく

- 6 -

-小 社会-

うに働く人の声が文章資料として掲載され,その資料から働く人の思いが読み取れるように工夫され

ているものもある。本研究における資料を活用するとは,資料を読み取ること,読み取ったデータを

分析し説明すること,さらには,自分の考えを作り出すことであると考える。社会科の学習をより充

実させるために資料を活用することを意図的に取り入れて,照らし合わせながら精選することが大切

である。

子どもたちは,社会科の学習で,様々な資料や見学や観察・調査活動などで,多くの情報を取り出

すことが求められる。その際には「何を 「どのように」読み取ったらよいのかといった明確な視点を」

示した上で,学習に取り組ませることが重要である。さらに,複数の資料を比較したり,関連付けた

りしながら情報を取り出すことも,資料を活用することと考える。教科書や資料集に掲載されている

資料を学習目標や学習内容と照らし合わせながら精選して提示していく。

(2)体験的な活動の言語化

学習指導要領では,体験的な活動を通しての表現活動の一層の充実を図ることを求めている。教室

で地名や年号などを学習したことよりも消防署や警察署・ゴミの収集場面の見学など,観察や見学な

どの体験的な学習の場面が記憶に残っている場合が多い。そこで体験的な活動を指導の中に位置付け

て,効果的に指導して,資料化することが大切である。本研究においても工場見学が体験的な活動と

して位置付けられている。まずは,社会科としての体験的な活動のねらいを明確にして,そのうえで

事前に必要な知識を習得させる。そして見学地においての学習の充実を図る。事後の学習においては

見学の要点を的確にまとめ,児童が実物や本物を直接見たり触れたりすることを通して,社会的事象

を適切に把握し,具体的,実感的に捉えることができるように指導していく。また,体験的な活動に

基づく表現活動については,観察や調査,見学,体験などによって分かったことや考えたことなどを

表現する力を育てるようにすることが必要である。安野(平成22年 (注8)は 「これまで社会科見) ,

学は,学習したことを確認するために行われていたことが多い。体験したことを記憶させて,資料化

させることが大切であり,そのためには 『体験の言語化』が必要であると考える」と言っている。体,

験したことに自分の感想や意見を加えながらレポートにまとめたり新聞にまとめる,みんなの前で発

表するなど,言語活動を今まで以上に一層重視する。このように言葉や文章で表現したりして,自分

, ,「 」 , ,の生活との結び付きを生かすことが 自覚化を促す学習となり 体験の言語化 につながり さらに

児童の知識として定着するのである。図や文章などの方法で言語化を図り,資料として活用すること

についても言語活動の充実の研究を進めていきたい(図2)。

(図2 体験の言語化のイメージ図)

(体験的な活動) (表現活動)

・観察 体験の言語化 ・分かったこと

・調査 ・考えたことを

・見学 (表現方法)

・体験 ・図 ・記録する

などにおいて ・文章 ・まとめる

・調べたこと ・体験談(発表) ・伝えあう

・考えたこと ・新聞

・読み取ったこと などを使って 資料化

Page 7: 社会科の指導における思考力・判断力・表現力を育 …...1 思考力・判断力・表現力について 社会科において,思考力・判断力・表現力の三つの力は,授業の中で,関わり合って育まれていく

- 7 -

-小 社会-

5 評価について

(1)観点について

中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会において,平成22年3月24日に「児童生徒の学習

評価の在り方について(報告 」を取りまとめ,文部科学省はこれを受け平成22年5月11日「小学校,)

中学校,高等学校及び特別支援学校等における児童生徒の学習評価及び指導要録等について(通知 」)

を出した(注9 。それには,学習評価の基本的な考え方について次のように書かれている。)

小学校,中学校,高等学校及び特別支援学校等における

児童生徒の学習評価及び指導要録等について(通知)平成22年5月11日 抜粋

1 学習評価の改善に関する基本的な考え方について

(1)学習評価を通じて,学習指導の在り方を見直すことや個に応じた指導の充実を図ること,

学校における教育活動を組織として改善することが重要であること。その上で,新しい学習

指導要領の下における学習評価の改善を図っていくためには以下の基本的な考え方に沿って

学習評価を行うことが必要であること。

【1】きめの細かな指導の充実や児童生徒一人一人の学習の確実な定着を図るため,学習指導

要領に示す目標に照らしてその実現状況を評価する,目標に準拠した評価を引き続き着

実に実施すること。

【2】新しい学習指導要領の趣旨や改善事項等を学習評価において適切に反映すること。

【3】学校や設置者の創意工夫を一層生かすこと。

この三つの基本的な評価の考えを踏まえながら学習評価をしていくことが必要である。これまでの

評価の観点は各教科を通じて基本的には「関心・意欲・態度 「思考・判断 「技能・表現 「知識・」 」 」

理解」で構成されていた。今回新しく示された評価の観点は,従来の評価の四観点の枠組みを基盤と

しつつ,学校教育法第30条第2項で示された「基礎的・基本的な知識・技能の習得 「知識技能を活」,

用して課題を解決するために必要な思考力・判断力・表現力等 「主体的に学習に取り組む態度」の」,

, 「 」「 」 ,学力の三つの重要な要素を踏まえ 基礎的・基本的な知識・技能は 知識・理解 ・ 技能 において

これらを活用して課題を解決するために必要な思考力・判断力・表現力等は「思考・判断・表現」に

おいて,主体的に学習に取り組む態度は「関心・意欲・態度」においてそれぞれ評価を行うことと明

記された。また,小学校学習指導要領の完全実施により,四つの観点の評価については,国立教育政

「 , 」( ) ,「 , ,策研究所 評価規準 評価方法の作成のための参考資料 注10 を基にしながら 小学校 中学校

高等学校及び特別支援学校等における児童生徒の学習評価及び指導要録の改善等について」の「各教

科等・各学年等の評価の観点及びその趣旨」を活用していく (参考資料2,3,4)。

(2)思考力・判断力・表現力について

本研究は,資料を活用する場面で,言語活動を充実させることにより思考力・判断力・表現力を育

むことを目標としている。思考・判断・表現のような児童の変化を評価していく方法として,観察法

や作品法,質問法などがある。観察法とは,児童が学習している場面や課題に取り組んでいる場面を

教師が観察して評価するものである。作品として残らない学習活動やその成果を評価する場合に必要

である。実際に目的とする活動の中で評価するのであるから,評価の妥当性は高くなる。また通常の

授業の中で児童の発言や行動を観察して評価する場合は,指導と一体的に行われる点では,妥当性は

Page 8: 社会科の指導における思考力・判断力・表現力を育 …...1 思考力・判断力・表現力について 社会科において,思考力・判断力・表現力の三つの力は,授業の中で,関わり合って育まれていく

- 8 -

-小 社会-

高いがその場の状況に左右されるので評価の観点をしぼって重点的に行う。作品法とは,学習過程の

中で作成された製作物を用いて評価する方法である。ノートや学習カード・レポートなどを用いて,

。 ,児童の理解の程度や思考・判断したことをこれらの作品でチェックして評価していくのである また

質問法とは,言語を媒体として学習カードに配列された質問項目に対する回答者の反応を手がかりに

して評価していくものである。質問に対して自由記述,選択法などがあり,一度に多数の調査が短時

間で多くの評価が得ることができる長所がある(注12 。)

以上のように評価方法はあるが,今回の研究においても思考力・判断力・表現力を評価していくた

めに学習活動に沿った評価法を取り入れていきたい。その際には,下記のような「読み取り・解釈・

説明・論述の四つの言語活動の評価規準」表を活用していく。発言や行動のようす,学習カードの内

容を考慮して行うこととする。

四つの言語活動の評価規準表

言語活動 評価規準 評価基準

社会的事象に関する事実につい A 資料から必要な情報を的確に読み取り,記

読み取り ての調査・見学や地図,統計な 録している

ど各種の資料を基に読み取って B 資料から情報を読み取り,記録している

いる

社会的事象のもつ特色や意味, A 読み取った情報を基に複数の考えをもって

解 釈 意義について各種の資料を基に いる

考察している B 読み取った情報を基に考えをもっている

社会的事象の特色や事象間の関 A 読み取った資料の情報からキーワードを使

説 明 連を各種の資料を基に考察し, って分かりやすく,工夫して説明している

キーワードを使いながら表現し B 読み取った資料の情報からキーワードを使

ている って説明している

社会的事象について自分なりの A 情報を関連付けながら自分の考えをもち,

論 述 考えを各種の資料を根拠にキー キーワードを使って表現している

ワードを使いながら,発表した B 自分の考えをもち,キーワードを使って表

り,記述したりしている 現している

Ⅳ 研究の仮説

小学校5年生社会科「単元名 自動車会社をたずねて」の各授業における資料の活用の場面におい

て,読み取り・解釈・説明・論述の四つの言語活動を取り入れ,学習カードを活用することによって

思考力・判断力・表現力を育てることができるであろう。

Ⅴ 研究の方法と内容

1 研究の方法

(1)研究の方法 授業研究

(2)研究対象 公立小学校 第5学年

(3)研究単元 工業生産を支える人々 中単元名「自動車会社をたずねて」

(4)実施期間 平成23年10月上旬~11月中旬

Page 9: 社会科の指導における思考力・判断力・表現力を育 …...1 思考力・判断力・表現力について 社会科において,思考力・判断力・表現力の三つの力は,授業の中で,関わり合って育まれていく

- 9 -

-小 社会-

(5)授業時数 全15時間 (社会科見学 2時間)

(6)検証資料

ア 事前 社会科の学習についてのアンケート

イ 授業 学習カード,授業感想,発表資料,授業観察記録(協力研究員)

ウ 事後 社会科の学習についてのアンケート,協力員による評価

2 研究の内容

資料を活用した場面において,読み取りや解釈・説明・論述の言語活動を意図的に取り入れたこと

が,思考力・判断力・表現力を育む上で効果があったのかを検証していく。具体的には,地図や統計

などの各種資料から必要な情報を読み取ること,社会的事象の意味,意義について資料をもとに分析

すること,事象の特色や事象間の関連について資料をもとに考察すること,自分の考えを言葉でまと

めたり,考えを伝え合ったりする活動を通して,思考力・判断力・表現力等を育むことができたかを

研究していく。今回は,社会科見学を実施することができるので,体験的な活動を言語化して学習の

中に取り入れ,資料の一つとして活用する。また,学習カードを児童の基礎的・基本的知識や技能の

習得に活用しながらも,客観的に評価しにくい「社会的な思考・判断・表現」の評価の資料として活

用したい。思考力・判断力・表現力を高め,以下のことを明らかにしていきたい。

(1)読み取り・解釈・説明・論述などを資料活用の場面で取り入れたことは,思考力・判断力・表

現力を育む上で効果的か。

(2)自分や友達の考えを記入したり,学習の振り返りを記入したりする学習カードは,思考力・判

断力・表現力を育む上で効果的か。

3 検証授業について

(1)単元名 「自動車会社をたずねて」

(2)単元について

本単元は,社会科第5学年の目標の(2 「我が国の産業の様子,産業と国民生活との関連について)

理解できるようにし,我が国の産業の発展や社会の情報化の進展に関心をもつようにする (3 「社。」 )

会的事象を具体的に調査するとともに,地図や地球儀,統計などの各種の基礎的資料を効果的に活用

, , 。」し 社会的事象の意味について考える力 調べたことや考えたことを表現する力を育てるようにする

を受けて設定されている。

日本の基幹産業である自動車を教材化している。まずは,子どもたち自身に将来乗りたい自動車に

ついて言葉や図で表現させて 「自動車を作る」という物づくりについて主体的に考えさせる。この活,

, 。 , ,動を通して 人々の願いに応える自動車づくりに関心を高めさせる また 工場見学の学習を通して

生産の様子や働く人の工夫や努力,部品工場との関連について捉えさせていきたい。さらに,出荷さ

れた自動車の行方を追究する中で,運輸や貿易の働きに気付かせるとともに,これからの自動車づく

りの課題を考えさせていきたい。また,ハイブリット車や電気自動車を教材として扱う中で,環境に

配慮した自動車づくりについても単元を通して考えさせていきたい。

(3)児童の実態について

学級の児童は,明るく素直で,学習に対して意欲的に取り組もうとする児童が多い。学習中は,ほ

とんどの児童が,話を聞く姿勢が身に付いてきている。しかし,発表する場面では,自分の考えをも

っていても自信がもてずに周りの友達の様子をうかがったり,小さな声での発表になってしまったり

Page 10: 社会科の指導における思考力・判断力・表現力を育 …...1 思考力・判断力・表現力について 社会科において,思考力・判断力・表現力の三つの力は,授業の中で,関わり合って育まれていく

- 10 -

-小 社会-

する様子が見られる。また,ペアやグループでの話合いを発表する場面でも,特定の児童に頼りがち

な傾向がみられる。また,資料を読み取り,自分で根拠を考えたり,まとめたりする力は十分ではな

い。

事前調査において,社会科学習への興味・関心について質問したところ,全体の3分の2の児童が

「嫌い,どちらかといえば嫌い」と答えている。その理由を尋ねると 「言葉をいろいろと覚えるのが,

面倒 「調べることが大変 「発表するのがいや」などを挙げている。社会科の学習について児童は,」 」

地名や用語などの言葉を覚えたり,調べたりすることが面倒で大変であるイメージをもっている。ま

た,資料を読み取ることや発表することを苦手としている児童が多いことも分かる。

児童は,3年生では,校区探検やお店調べ,4年生では,消防署や環境センターなどの施設見学等

の体験的な身近な地域の学習を行ってきた。5年生の1学期には,日本全国の都道府県名とその場所

について触れ,自分が興味をもった都道府県を調べる学習を行っている。また「食料生産を支える人

々」の学習では,魚や野菜などの生鮮食品を届ける過程を学習し,そのための努力や輸送の仕組みに

。 , 。ついても学習した 調べる対象が身近な場所から離れる場合は 活用する力が不十分であると感じる

そのため児童に対しては,できる限り分かりやすい具体的な資料を提示することや疑似体験的な活動

を取り入れることを重視して学習を進めていく。

(4)単元の目標と評価規準

ア 単元の目標

○工業生産や工業が盛んな地域の様子を調べ,工業生産に携わる人々が生産を高める工夫や努力をし

ていることや,日本の工業の現状と課題を捉えることができる。

○工業生産に関する文章や写真からの情報,地図や地球儀,統計などの資料を収集・選択し,国民の

生活を支える工業生産の意味について,貿易・運輸のはたらきなどと関連させながら考えることがで

きる。

イ 単元計画(全15時間)

中・小単元名 時 数

1 社会科見学に向けて 5時間

(1) オリエンテーション (2時間)

(2)社会科見学 関東自動車工業株式会社 (2時間)

(3)見学のまとめ (1時間)

2 自動車会社をたずねて 時間10

(1)自動車づくりにはげむ人々 (6時間)

(2)自動車が届くまで (2時間)

(3)これからの自動車づくり (2時間)

ウ 単元の評価について(参考資料5)

社会的事象への関心・意欲・態度

・発言や調べ活動,行動観察を中心に評価していく。資料を活用する場面において,意欲的に活動

しているか,記録や発言をもとに評価する。

社会的な思考・判断・表現

・資料からの読み取りや記述を生かしながら,学習カードへの記述などをもとに評価する。

Page 11: 社会科の指導における思考力・判断力・表現力を育 …...1 思考力・判断力・表現力について 社会科において,思考力・判断力・表現力の三つの力は,授業の中で,関わり合って育まれていく

- 11 -

-小 社会-

観察・資料活用の技能

・資料の活用場面において,数値の読み取りや変化,写真や図などの読み取りなど,発言や記述を

もとに評価する。

社会的事象についての知識・理解

・これまでの学習内容を生かして,考えたことを記述したり,発表したりしているかなど記録や発

言をもとに評価する。

エ 本単元の評価規準

社会的事象への関心・意欲・態度

・日本の自動車産業や自動車工場の仕事に関心をもち,意欲的に調べようとしている。

社会的な思考・判断・表現

・自動車産業に携わる人々の生産を高める工夫・努力や自動車産業と人々の生活との関わりに

ついて考え,表現している。

観察・資料活用の技能

・自動車工場に関する写真や地図,統計などの資料を収集・選択し,読み取っている。

社会的事象についての知識・理解

・自動車工場の生産の特色と課題,働く人々の工夫と努力について理解している。

オ 指導と評価計画 中単元計画 自動車会社をたずねて(全15時間) (参考資料6)

(5)本時の学習

ア 日時 平成23年10月25日(火)5校時 14:00~14:45

イ 場所 5年教室

ウ 題材 輸送は船とキャリアカーで! (第3次1時)

エ 目標

・工場で生産された自動車の輸送について関心をもち,輸送方法の特徴について考え,表現する

ことができる。

(6)評価

(関心・意欲・態度)

・工場から販売店までの自動車の輸送の仕方に関心をもち,意欲的に調べようとしている。

(思考・判断・表現)

・輸送の方法ごとの長所,短所について考え,どのような利点を自動車づくりに生かしているのか,

自分の考えを表現している。

評価規準表

観点Ⅰ

評価の規準 十分できる(A) 努力を要する(C)への手立て

関心 ・自動車を工場から販 ・自動車を工場から販売店まで ・読み取る視点について,線を

意欲 売店までどのようにし どのようにして運ぶかに関心を 付けながら繰り返し指導し,大

態度 て運ぶかに関心をも もち,携わる人々の工夫や努力 切な部分を分かりやすく解説し

ち,運輸の仕事につい に着目しながら運輸の仕事につ て,助言をする。

て調べようとしてい いて調べようとしている。

る。

Page 12: 社会科の指導における思考力・判断力・表現力を育 …...1 思考力・判断力・表現力について 社会科において,思考力・判断力・表現力の三つの力は,授業の中で,関わり合って育まれていく

- 12 -

-小 社会-

観点Ⅱ(言語活動の評価規準をもとに作成)

評価の観点 十分できる(A) 概ねできる(B) 努 力 を 要 す る

☆言語活動 (C)

◎キーワード への手立て

,(思考・判断・表現) ・輸送方法ごとの特徴につ ・輸送方法ごとの特徴 ・資料を絞って

輸送の方法の特徴や人 いて,情報と関連付けなが について考え,どのよ 読み取る視点を

々の工夫や努力につい ら考え,どのような利点を うな利点を自動車輸送 示し,輸送の方

て考え,どのような利 自動車輸送に生かしている に生かしているのか, 法や工夫につい

点を自動車づくりに生 のか キーワードを使って キーワードを使って, て自分の考えが, ,

かしているのか,自分 自分の考えを表現して,友 自分の考えを表現して 説明できるよう

の考えを表現している 達に伝えている。 いる。 に助言する。。

☆説明

◎キャリアカー,運搬船,

費用と値段

(6)展 開

過 時 学習活動 資料・キー 教師の働きかけ(○) ◎評価【評価方法】

程 間 ワード 予想される児童の反応(・) ☆言語活動

・留意点

1.工場から出荷される 資料① ○この資料を見て気付いたこ ☆資料をもとに自分の

つ 10 自動車の資料から,生産 輸送待ちの とを発表しましょう。 考えをもつ

か 分 された自動車がどのよう 駐車してあ ・いろいろな車の種類の自動

む に消費者のところまで届 る自動車 車がある。

けられるのか考える。 (写真) ・きれいに並んで止まってい

る。

○これは完成した自動車で

す。この自動車は これから,

どうなるのでしょうか。

・注文した人の所へ届く。

・販売店に届く

2 学習課題を設定する ・児童の感想や疑問点. 。

資料② ○出荷された自動車は,私 を生かして,学習課題

全国の工場 たちのところまでどのよう を設定する。

の位置を示 にして,届くのだろうか。

す地図 考えてみましょう。 ◎観点 Ⅰ

資料③ (関心・意欲・態度)

Page 13: 社会科の指導における思考力・判断力・表現力を育 …...1 思考力・判断力・表現力について 社会科において,思考力・判断力・表現力の三つの力は,授業の中で,関わり合って育まれていく

- 13 -

-小 社会-

・運搬船 (全国各地の自動車工場から ・完成した自動車を工

・キャリア の輸送方法を考える ) 場から販売店までどの。

カー ・トラック(キャリアカー) ようにして運ぶかに関

で運ぶ。 心をもち,運輸の仕事

・船(運搬船)で運ぶ。 について調べようとし

・電車で運ぶ。 ている。・キーワード

・そのまま運転して運ぶ。 【発言・記録】キャリアカー

☆キーワードを押さえ運搬船

る。

3.自動車の輸送のしか ◎観点Ⅱ

広 25 たについて考える。 ○自動車の輸送のしかた (思考・判断・表現)

げ 分 には,おもに船とキャリ ・輸送の方法の特徴や

る アカーで運ぶ2つの方法 人々の工夫や努力につ

があります。それぞれの いて考え,どのような

良いところを考えてみま 利点を自動車づくりに

しょう。 生かしているのか,自

分の考えを表現する。

・船は一度にたくさんの自動 【発言・記録】

車を運ぶことができる。 言語活動(説明)

・キャリアカーは,注文した

場所にすばやく車を運ぶこと ☆ペアグループを使っ

ができる。 て考えを交流する。

・船で近くの港まできて,そ

の港からキャリアカーで運ぶ

ことが無駄がなくてよい。

・船の大きさとキャリアカー

の便利さを生かして自動車は

運ばれていく。

・自動車工場のある場所によ ☆全体に発表する。

って,キャリアカーと運搬船

を使い分けている。

◎文書資料は,大切な

4.自動車を運ぶ仕事に 資料④ ○さらに,船に自動車を 部分には線を引き,要

関わる人たちの努力や工 学習カード 積み込む運転手さんと 点をまとめる

夫について考える。 キャリアカーの運転手さ ・工夫しているところ

んについて調べましょう 努力しているところな

ど資料として提示す

・自動車が傷つかないように る。

していること。 ☆班を使って考えを深

Page 14: 社会科の指導における思考力・判断力・表現力を育 …...1 思考力・判断力・表現力について 社会科において,思考力・判断力・表現力の三つの力は,授業の中で,関わり合って育まれていく

- 14 -

-小 社会-

資料⑤ ・時間通りに船が出発できる める

インタビュ ようにしていること。 ☆全体に発表する。

ー テープ ・キャリアカーに6台積むの( )

に1時間かかること。

・新車を販売店に届けたあと

も少しでも燃料を無駄にしな

いように何かを積んで帰るこ

と。

○キャリアカーを扱う販売店・キーワード

の人の話を聞いてみましょう費用と価格

・自動車の価格にいろいろな ☆キーワードを押さえ

費用が含まれていること。 る。

ま 10 5.自動車の輸送とその 学習カード ☆キーワードを取り入

と 分 仕事に携わる人々の工夫 ○自動車の輸送の方法とそ れながら,自分の考え

め や努力の関わりを考え の仕事に関わる人たちの努 を書く。

る る。 力や工夫には,どんなつな

がりがあるかキーワードを

使って考えてみましょう。

・車の輸送には,自動車がつ

くられる工場の場所によって

運搬船やキャリアカーを使い

分けて1台1台大切にリレー

のように運ばれていく。

・安全に,早く自動車を届け

るためにいろいろな工夫がさ

れている。

・運ぶ場所や届ける時間など

を考えて輸送の方法を使い分

けている。

・環境や費用を考えて輸送方

法を工夫している。

6.自己評価を行う 学習カード ・学習の振り返りをする。 ・学習感想を書き,

自己評価を行う。

Page 15: 社会科の指導における思考力・判断力・表現力を育 …...1 思考力・判断力・表現力について 社会科において,思考力・判断力・表現力の三つの力は,授業の中で,関わり合って育まれていく

- 15 -

-小 社会-

Ⅵ 研究の結果と考察

児童が,社会科学習において思考力・判断力・表現力を高めていくために,資料を活用した場面に

おける言語活動や学習カードの工夫を行ってきた。この活動が児童の思考力・判断力・表現力を高め

ることができたのかについて検証資料を基にしながら振り返る。

検証するにあたっては 「社会科学習における意識調査 「一単位時間ごとの自己評価 「学習カー, 」 」

ドの記述 「研究協力員による授業観察」の四つの結果を分析し考察した。」

1 社会科学習における意識調査から

社会科に対する児童の実態についてのアンケートは,7項目を設定して,社会科への関心・意欲,

授業における言語活動,資料の活用についての調査を実施した。実態調査は無記名で行った。

(1)社会科の学習は好きですか(図3)

事前調査では 「嫌い 「どちらかとい, 」

えば嫌い」の児童が,18人(58.1%)で

あった。その理由は 「言葉をいろいろ,

と覚えるからめんどう 「調べることが」

」,「 」大変だから 発表するのがいやだから

「いろいろな資料が出てくるから」など

が多くを占めていた 事後調査では 好。 ,「

き 「どちらかといえば好き」と答えた」

児童が19人(61.2%)となり 「嫌い,どちらかといえば嫌い」と答えた児童が12人(39.8%)となり割,

合が逆になった。好きになった理由としては 「資料の読み取りが少しできるようになった 「社会科, 」

見学で見たことが,授業の中で出てきて発言ができた 「班の中で発表するのが好きになった 「友達」 」

が資料の読み取りを教えてくれて分かるようになった」などがあった。これは,社会科が好きになっ

た理由からも読み取れるように,授業において資料の活用のしかたと四つの言語活動(読み取り・解

釈・説明・論述)の組み合わせを考えて学習を進めていったことや社会科見学の体験を学習の中に計

画的に取り入れたことが要因として考えられる。

(2)社会科の授業は分かりますか(図4)

事前調査では,24人(77.4% ,事後)

調査では26人(83.8%)の児童が社会科

の授業は分かる,どちらかといえば分か

ると答えている。事後調査の児童の理由

からは 「社会科見学で学習したことが,

授業に出てきて分かりやすかった 「資」,

料の読み取りができるようになり分かり

やすかった 「自分の考えが発表できて」

良かった 「友達の考えを聞いて分かるようになった」などがあった。社会科見学の体験を含めた資料」

の読み取りができたり,言語活動を学習の中に取り入れて自分の考えを記述や発表できたりしたこと

が要因として考えられる。特に社会科見学にむけての事前学習を設定したことで,社会科見学の必要

性を児童に理解させた上で体験させることができた。社会科見学の取組を重視し,学習を進めたこと

が成果としてあげられる。社会科の授業が分からない,どちらかといえば分からない児童の主な理由

図 4 社会の授業は分かりますか

21

22

4

4

1

3

5人

2人

0% 20% 40% 60% 80% 100%

事後

事前

分かる

どちらかといえば分かる

どちらかといえば分からない

分からない

図 3      社   会   科   の   学   習   は   好   き   で   す   か

13

7

8

14

4

46人

6人

0% 20% 40% 60 % 80% 100%

事 後

事 前好 き

どち ら か と い え ば 好 き

どち ら か と い え ば 嫌 い

嫌 い

Page 16: 社会科の指導における思考力・判断力・表現力を育 …...1 思考力・判断力・表現力について 社会科において,思考力・判断力・表現力の三つの力は,授業の中で,関わり合って育まれていく

- 16 -

-小 社会-

は,社会科の用語の習得や資料の読み取り,自分の考えを発表することなどであった。資料の読み取

り方を具体的に示したり,ペアやグループの中で考えを出し合ったりする学習形態が大切である。

(3)社会科の言語活動について(図5-1,2)

以下の6項目について調べた (詳細な調査結果については別冊補助資料参照)。

・図や地図から分かることを見つける ・地図帳や資料集を使って調べる

・新聞やポスターを作る ・友達やグループで話し合う

・調べたことを発表する ・分かったことをレポートに書く

すべての調査項目で「好き・どちらか

といえば好き」と肯定的に答えている割

。 ,合が増えている 特に変化が著しいのは

「図や地図から分かることをみつける学

」 「 」習 と 友達やグループで話し合う学習

である。今までの社会科は,児童の社会

科に対する実態調査からも分かるように

「用語を覚えて学習をする」という「暗

記する教科」に偏りがちだった。今回,

言語活動を充実させるために話合いの活

動を授業の中に取り入れたことや自分の

考えを思い通りに記述できる学習カード

を活用したことが,このような変化につ

ながっていると考える。さらに話合い活

動と同様にいろいろな種類の資料の読み

取りを学習に取り入れたことが,資料を

読み取るおもしろさや読み取り方に自信

をもつことにつながったと思われる。

(4)分からない言葉が出てきたらどう

しますか(複数回答)(図6)

調べる活動についての調査である。社

会科が嫌いな理由として 「調べること,

が大変」という理由があった。今回の授

業の中でも「自分の家で乗っている車の

会社名と車名を調べる」や「自動車を購

入するときに何が購入する決め手になっ

たか」など,インタビューを行うなどの

調べ活動を行った。調べる活動では,一般的にはパソコンや図書を活用することが多いが,今回は,

聞き取り調査を実施したことが言語活動の充実につながったと思われる。また,今回,社会科見学を

行う中で,事前学習での疑問点を見学によって解決することでできたことも,意味のある学習になっ

た。疑問や意見,思考したことをどのように伝え,表現していくのかを考えて学習を進めていくこと

ができるようになった。調査結果を見てみると家の人へのインタビューが増えている。インタビュー

をする対象が増えたことは,今後,様々な方法を活用して使い分けることができるようにしていきた

0

5

10

15

20

25

友達 家の人 先生 パソコン 本 調べない

図 6 調べる方法について

事前

事後

図 5-2 友達やグループで話し合う学習について

12

8

6

9

4

7

9人

7人

0% 20% 40% 60% 80% 100%

事後

事前

好き

どちらかといえばすき

どちらかといえば嫌い

嫌い

図 5-1 図や地図からわかることを見つける学習について

15

10

6

10

4

8

6人

3人

0% 20% 40% 60% 80% 100%

事後

事前

好き

どちらかといえばすき

どちらかといえば嫌い

嫌い

Page 17: 社会科の指導における思考力・判断力・表現力を育 …...1 思考力・判断力・表現力について 社会科において,思考力・判断力・表現力の三つの力は,授業の中で,関わり合って育まれていく

- 17 -

-小 社会-

。 「 」 。い また 調べない と回答した数が減ってきたことも調べ活動への意欲につながっていくと考える

(5)自分の考えを発表することは好きですか(図7)

検証授業を終えて,少しではあるが,

良くなっていることを読み取ることがで

きる 「嫌い 「どちらかといえば嫌い」。 」

( ) ,の回答が23人 74.1% であったものが

検証授業後18人(58.1%)となった。全

体の割合としては,まだ半数以上の児童

が,嫌い,どちらかといえば嫌いという

, 。回答であったが 15%以上改善している

事前調査での「嫌い」の主な理由としては 「発表することが恥ずかしい」や「発表をしたくない」と,

いう理由と「何を言っていいのか分からない 「発表の仕方が分からない」などの理由があった。今回」

の研究では,言語活動を充実させるために,授業の中に隣同士や班で話し合うことなどの活動を取り

入れた。事後の調査では 「友達の発表を聞いて言い方が分かった 「学習カードを見ながら自分の考, 」

えが言えるようになった 「初めは恥ずかしかったけど言ってみたら気持ちが良かった」という意見が」

多かった。しかし,まだ半数以上の児童が自分の考えを発表することに対して苦手意識をもっている

。 , ,ことは課題として残った 今回の研究においては 形式的な話合い活動のレベルで終わらないように

学習カードに自由に記入できる工夫も行った。自分や友達の考えを自由に書くことができるようにし

たのである。これからの社会科における言語活動は,資料を基にした根拠のある考えをもつことや発

表することができるようにしていく必要がある。今回の検証授業において大きな改善を図ることはで

きなかったが,今後も継続して取り組む必要がある。さらに,考えたことを表現しようとするこの課

題は,社会科の授業だけでなく全ての学習活動において時間をかけて取り組むことが必要であると考

える。

(6)資料を見て考えることは好きですか(図8)

「好き 「どちらかといえば好き」と」

答えた肯定的な答えが12人(38.7%)か

ら20人(64.5%)になった。好きになっ

た理由として「いろいろな資料が出てき

て,次にどんな資料が出てくるのか楽し

みになった 「資料を読み取ることは,」

資料に隠されているひみつを見付けるみ

たいで楽しくなった」などと回答してい

る。資料の読み取りから始まる学習の形態を継続して行う中で,児童が資料の読み取り方が分かって

きたと考えられる。また,話合い活動を資料の読み取りの場面に取り入れたことも成果としてあげら

れる。今まで一人で考え,不安だった部分を友達と考えを言い合ったりする中で資料を読み取る学習

に自信をもつことができた。さらに,写真・イラスト・文書・音声資料などの様々な種類の資料を活

用したこと,また電子黒板などのICT機器を活用したことも成果につながったと思われる。すなわ

ち,資料の内容を充実させるとともに提示の工夫が大切であると考える。

(7)社会科の学習は生活に役に立っていますか (図9)。

役に立っている,少し役に立っているという肯定的な答えが21人(67.7%)から26人(83.8%)に

図 7 自分の考えを発表することは好きですか

9

6

10

9

8

14

4人

2人

0% 20% 40% 60% 80% 100%

事後

事前

好き

どちらかといえばすき

どちらかといえば嫌い

嫌い

図 8 資料を見て考えることは好きですか

7

5

13

7

7

9

4

10

0% 20% 40% 60% 80% 100%

事後

事前

好き

どちらかといえばすき

どちらかといえば嫌い

嫌い

Page 18: 社会科の指導における思考力・判断力・表現力を育 …...1 思考力・判断力・表現力について 社会科において,思考力・判断力・表現力の三つの力は,授業の中で,関わり合って育まれていく

- 18 -

-小 社会-

なった。学習した内容と生活を関連付けて考えることができるようになってきたことが分かる。学習

の中に自分の考えを表現していく論述までの言語活動を取り入れたことで,社会科で学習した内容が

生活に役に立っていると答えた児童が増えていったと考えることができる。

社会科学習における意識調査を全体的

に捉えてみると,社会科の学習が好きに

なったことや社会科の授業がよく分かる

といった,児童の関心・意欲や態度に関

すること,自分の考えを話したり,グル

ープで話合いをしたりするといった,言

語活動に関すること,資料を使って調べ

たり,考えたりすることなど,資料の活

用に関することについての調査項目で肯定的な意見が増えたことが分かる。社会科における思考力・

判断力・表現力について考えてみると,すべての調査項目との関連が挙げられるが,特に(3 (5))

(6)の調査から考察することができる。資料をもとにした読み取り・解釈・説明・論述を通した言

語活動を意図的に取り入れたことが,児童の意欲や関心の面で大きな成果を上げることとなった。言

語活動に関係する項目と資料活用に関係する項目に肯定的な考えが高まったことは,どのように思考

・判断し,表現していったのかということに大きく関係しているのである。資料から読み取った情報

についてよく考えて自分の考えをもつこと,学習した内容を生活と結び付けて考えることができるよ

うになったことなどが意識調査から分かる。

2 一単位時間ごとの自己評価から

学習自己評価では,学習カードに,言語活動の読み取り・解釈・説明・論述の評価項目を設定し,

自己評価欄を作った。自己評価は,4段階の評価とした 「できた」を4 「だいたいできた」を3,。 ,

「あまりできなかった」を2 「できなかった」を1として授業ごとに評価を数値化していった (別, 。

冊補助資料参照)1時間ごとに四つの言語活動を分析するのではなく,単元を通しての四つのそれぞ

れの言語活動の自己評価はどうであったのかを分析した。さらに四つの言語活動と自己評価との関係

性について考えた。なお,授業の③,④は社会科見学のため自己評価をすることができなかったので

除外してある。

(1 「読み取り」ついて(図10))

学習を積み重ねるごとに自己評価が向

上していることが分かる。最初は,資料

を読み取る活動に自信がなく,自己評価

も低い傾向が見られた。そこで,基本的

な資料の読み取り方を指導し,資料の読

み取りの活動を繰り返すことで自己評価

が高まっていった。また,資料の選択で

は,写真や文書資料・グラフや表などの

資料を活用した。読み取りにおいて大切なことは,資料から何を読み取らせるのか,そのために,言

語活動を使って児童に思考・判断させることである。また,資料として社会科見学で学習した内容を

図 9 社会科の学習は生活に役立っていますか

14

16

5

8

0

2

12人

5人

0% 20% 40% 60% 80% 100%

事後

事前

役に立っている

少し役に立っている

あまり役に立ていない

役に立っていない

図10   読み取り

0.0

0.5

1.0

1.5

2.0

2.5

3.0

3.5

4.0

① ② ⑤ ⑥ ⑦ ⑧ ⑨ ⑩ ⑪ ⑫ ⑬ ⑭ ⑮

授業

評価

Page 19: 社会科の指導における思考力・判断力・表現力を育 …...1 思考力・判断力・表現力について 社会科において,思考力・判断力・表現力の三つの力は,授業の中で,関わり合って育まれていく

- 19 -

-小 社会-

見学シートに記入させ,それを授業に活用したことも評価が向上した要素と考える。さらに6時間目

からの資料の読み取りの場面では,読み取る視点を示しながら学習をしていった。文書資料やインタ

ビュー形式の資料については,読解力も必要となってくるので,ポイントを絞って学習を進めた。す

ると,学習が進むにつれ,読み取る内容がより詳しく細かくなっていった。自己評価からも読み取り

に自信をもつことができたことが分かる。

読み取りの言語活動は,授業を重ねるごとに自己評価が安定したが,うまくいかなかったのが13時

間目である。13時間目については,複数の資料を考察する中での共通点や相違点を見つける授業であ

った。たくさんの資料が提示されたが,指導者の資料の提示の仕方が不十分であったために読み取り

が正確にできず,児童からは「難しかった」という感想が多くあった。指導者の資料の扱い方が児童

に混乱を招いてしまい,自己評価の低い読み取りの授業になってしまった。複数の資料を関連付けて

読み取るときには,さらに,細かい読み取りの指導が必要になってくることを感じた。

(2)解釈について(図11)

, ,児童が 読み取った情報を考察して

ペアやグループ活動の「説明」につな

げるための学習段階である。実際の授

業では,読み取った内容をどのように

伝えていくのかを考えて,学習カード

に記述させるようにした。

第一次では,読み取ることはできて

いるが,解釈した内容をどのように表

現していいのか分からない児童が多くみられ,自己評価でもばらつきがみられた。思考・判断したこ

とを文章に書く難しさがあったと考えることができる。そこで,第二次1時間目(⑥)からは,解釈

の段階において,資料から分かることと,資料をもとに新たに自分が考え出したことを意識させなが

ら学習を行った。つまり,資料からの事実として分かることと,資料から考えたことを分けて学習を

進めていった。このように指導した段階で,少しずつ成果がみられるようになった。また,解釈は次

の言語活動の説明につながる大切な段階であり,資料を読み取って解釈するという一連の学習の流れ

の中に,常に資料に基づく意識をもたせることが大切であった。6時間目以降のグラフの動きをみる

と,自己評価が安定しているのがわかる。

(3)説明について(図12)

読み取りをして解釈した内容をどのよ

うに表現していくのかを考える段階であ

る。ペアやグループ活動の中で思考し判

断したことを表現していくのであるが,

意識調査から児童が最も苦手にしている

ことが分かった学習である。理由として

は 「恥ずかしいから,言いたいけれど,

言い方が分からない 「どんな言葉を使」

って話していいのか分からない」などが

多く挙げられている。そこで,今回は一時間ごとに授業の中心となるキーワードを設定した。キーワ

ードを示し黒板に書くことにより,学習の中心となるべき言葉が明確になった。表現の仕方が分から

図11   解釈

0.0

0.5

1.0

1.5

2.0

2.5

3.0

3.5

4.0

① ② ⑤ ⑥ ⑦ ⑧ ⑨ ⑩ ⑪ ⑫ ⑬ ⑭ ⑮

授業

評価

図12   説明

0.0

0.5

1.0

1.5

2.0

2.5

3.0

3.5

4.0

① ② ⑤ ⑥ ⑦ ⑧ ⑨ ⑩ ⑪ ⑫ ⑬ ⑭ ⑮

授業

評価

Page 20: 社会科の指導における思考力・判断力・表現力を育 …...1 思考力・判断力・表現力について 社会科において,思考力・判断力・表現力の三つの力は,授業の中で,関わり合って育まれていく

- 20 -

-小 社会-

ない児童にとっては,授業で大切な言葉が分かっているため,その言葉を使って話しをしたり,記述

することができるのでポイントが絞られ,分かりやすくなったという感想が多くあった。その反面,

キーワードを意識しすぎるあまり,言えなくなってしまったとか,言葉をつなぐことができなかった

という感想もあった。キーワードの提示については,表現するためのヒントとして重要であるので,

社会科の用語がキーワードというような安易な考えではなく,社会科の用語を入れながら,単元を通

して設定していくことが大切である。今回は,名詞が多かったが,名詞よりも短文のような形でキー

ワードを設定できたら,さらに表現がしやすくなるのではないだろうかと考える。

(4)論述について(図13)

論述は,説明の場面において,学習し

た内容と自分の生活との間にどんな結び

付きがあるのかを考え,発表したり記述

したりしていくことであるが,自分の考

えをもつことは,難しかったことがグラ

フから読み取れる。今回の自己評価にお

いては,ばらつきが見られるが,学習が

進むにつれて,少しずつ評価が上がって

きたのが分かる。学習カードの振り返りの欄に少しずつ記述が見られるようになっていった。これら

のモデルとなる記述内容や方法を児童に示す中で「論述」の内容を充実させることができるのではな

いかと考える。今までの私の授業では,知識の習得に力を入れてきた面が多く,事柄や用語を習得さ

せることが中心であった。今後は,基礎基本を定着させていく中で,思考・判断したことが表現でき

る学習場面を「論述」という形で取り入れていくことが必要である。しかし,どのように論述させて

いくのかについては,広げすぎるのではなく,焦点を絞って,指導していくことが大切であると考え

る。

(5)まとめ(図14)

学習自己評価の言語活動の「読み取り・解釈・説明・論述」の変化をみると「読み取り」の自己評

価の変化に伴って 「解釈・説明・論述」の自己評価も同じような変化をたどっている傾向がある。こ,

れは,読み取りが学習を進める中で他の活動に影響を与えていることを裏付けていることが分かる。

読み取りが自己評価においては重要となっていることが考えられる。

しかし,読み取りと解釈と説明の自己評価の差がない授業がいくつかある。その理由は,児童の学

習感想から分かる。

「初めは,読み取りができなかったけれど,友達に教えてもらって分かった 「自分の考えに自信が。」

なかったけれどが友達と話をする中で,学習カードに書くことができた 「学習カードにメモしたこと」

を発表することができた」という内容であった。解釈や説明の段階においてペア学習やグループ学習

を行うことにより,差が縮まった。この結果からペア学習やグループ学習の有効性が解釈や説明の段

階において見られ,自己評価も全体的に下がらずに維持されていったのである。またこの結果は,学

習カードが自由記述方式で,自分の考えや友達の考えも自由に書くことができるという工夫もあり,

お互い話したり聞き合ったりしながら何でも書くことができた。毎時間の授業に四つの言語活動を意

図13   論述

0.0

0.5

1.0

1.5

2.0

2.5

3.0

3.5

4.0

① ② ⑤ ⑥ ⑦ ⑧ ⑨ ⑩ ⑪ ⑫ ⑬ ⑭ ⑮

授業

評価

Page 21: 社会科の指導における思考力・判断力・表現力を育 …...1 思考力・判断力・表現力について 社会科において,思考力・判断力・表現力の三つの力は,授業の中で,関わり合って育まれていく

- 21 -

-小 社会-

図的に取り入れ,自己評価

,をさせて意識化したことが

社会科の四つの言語活動の

評価から社会科における思

考力・判断力・表現力を高

めるために有効であると思

われる。

以上が児童の学習自己評

価をもとにした言語活動の

分析である。自己評価は,

児童の一人一人の評価の尺度や考えに左右される面もあるが,教師評価とは違った児童の内面を見る

ことができる。さらに四つの言語活動を評価項目に設定することにより,単元を通しての言語活動の

評価をすることができた。また 「読み取り・解釈・説明・論述」を分けて分析していくことと四つの,

。 ,言語活動を1時間ごとに分析していくことでに思考・判断・表現 全体的に4段階で評価してみたが

, , 。 , , ,読み取り 解釈 説明においては成果が見られた 論述においては 自己評価は ばらつきが見られ

成果があったというまでにはいかないが,論述まで意識して取り組むことが児童にとって力となって

いることを感じた。このように社会科の学習に論述を取り入れていくことで,社会科が生活に結び付

いているものとなっていくと考えられる。

3 学習カードの記述から

学習カードの記述内容を思考・判断・表現の評価の観点に沿った評価規準表(別冊補助資料参照)

をもとに評価をした。児童のすべての学習カードの評価を数値化して,授業の平均を出した。 評価A

を3, 評価を2, 評価を1としてグラフに表した(図 。B C 16)

第一次(①~⑤)は,社会科見学について,見学の目標やめあてなどを設定して,見学への意識を

高める学習や,見学したことをこれからの学習に生かしていくことを考える学習であった。まず,は

じめに自動車づくりに対する事前調査として「あったらいいと思う車,将来どんな車に乗ってみたい

か」について,自由に児童がイラストや言葉を使って表現する学習を行った。児童の作品は,今まで

自動車を利用している生活経験から「かっこいい自動車」や「速く走る自動車 「テレビを見ること」,

ができる自動車」など見た目や乗り心地などを考えたものを表現していた。自動車は生活に密着した

図14 言語活動

0.0

0.5

1.0

1.5

2.0

2.5

3.0

3.5

4.0

① ② ⑤ ⑥ ⑦ ⑧ ⑨ ⑩ ⑪ ⑫ ⑬ ⑭ ⑮

授業

評価

読み取り

解釈

説明

論述

図16 学習カード

0.0

0.5

1.0

1.5

2.0

2.5

3.0

① ② ③

 ⑤ ⑥ ⑦  ⑧ ⑨ ⑩ ⑪ ⑫ ⑬ ⑭ ⑮

授業

評価 学習カード

Page 22: 社会科の指導における思考力・判断力・表現力を育 …...1 思考力・判断力・表現力について 社会科において,思考力・判断力・表現力の三つの力は,授業の中で,関わり合って育まれていく

- 22 -

-小 社会-

ものであり,自分にとって楽しさや便利さを考えて表現しているものが多く見られた。しかし,学習

カードの記述は,教師が書いた黒板の字を写すだけのものが多かった。イラストや言葉で表現したこ

とが,学習カードには,文章で表現ができなかった。考えたことを文章として表現することの難しさ

を感じたと思われる。そこで,この学習カードの工夫の一つであるフリースペースの使い方を再度確

,「 , 」 。認して 資料から読み取った内容は どんなことでも書いていこう という方針で取り組んでいった

また,自分の考えをどのように記述していいのか不安もあったので自分の考えがもてないときや書け

ないときには,友達に聞いたことを書いていこうと指導をした。しかし,フリースペースに工夫した

学習カードに,資料からの読み取ったことやいろいろな記述が少数ではあるが,見られるようになっ

てきた (図17 。。 )

また,第一次では,体験学習としての自動車工場の社会科見学を充実したものにするために,見学

シートを作成して学習を進めた。見学場所や見学の日程などを説明する映像資料を見学場所の協力の

もとに作り,見学のめあてや見学内容の意識を高めた。また,見学シートに見学する前の自分の予想

の欄を作り,見学のイメージをもって活動ができるように工夫をした。その結果,見学の視点が決ま

って,見学した内容を詳しく書くことができていた。また,見学のまとめにも自分の考えを表現して

いる児童も多く見ることができた (図18)児童にとっては,考えたことをどのように表現していくの。

か,またどのように書くのかなど初めて学習することが多かった。また,表記のしかたにも個人差が

見られたが,見学を取り入れた学習により, や 評価が増えて,児童の学習に対する取組方に変化A B

が見えてきた。社会科見学の経験が学習に生かされていることを児童の見学カードや学習カードから

読み取ることができた。

(図 社会科見学の児童の感想)18

0% 20% 40% 60% 80% 100%

③④ 

図17 第1次の評価

A

B

C

C 5 5 3 3

B 21 21 20 15

A 4 4 7 12

① ② ③④ ⑤

Page 23: 社会科の指導における思考力・判断力・表現力を育 …...1 思考力・判断力・表現力について 社会科において,思考力・判断力・表現力の三つの力は,授業の中で,関わり合って育まれていく

- 23 -

第二次(⑥~⑪)は,社会科見学で見たことや聞いたことを生かしたり,教科書や資料集の資料を

使ったりして,自動車づくりの学習を深めていった。全体的に評価が良くなっていることがグラフか

ら読み取れる。その要因として資料の種類や提示の方法が挙げられる。

まず,教科書の写真や図表などの資料,パソコンからのホームページの資料,自動車の部品を使っ

た実物などいろいろな種類の資料を使用した。特に社会科見学で学習したことを資料として扱ったこ

とは,実際に体験したことであるので,児童にとっては思考・判断する力を高めるもととなった。さ

らに,読み取りや解釈などの言語活動を取り入れたことで読み取ったことや考えたこと,友達の考え

など自由に書いている様子が学習カードから読み取れる。体験した内容を資料にすることや実物を提

-小 社会-

Page 24: 社会科の指導における思考力・判断力・表現力を育 …...1 思考力・判断力・表現力について 社会科において,思考力・判断力・表現力の三つの力は,授業の中で,関わり合って育まれていく

- 24 -

-小 社会-

示することにより,児童の

思考・判断する力は高まっ

ていった。また,記述内容

も今までの学習したことも

,入れながら書くようになり

表現する力も高まったこと

が読み取れる(図 。20)

また,資料の提示の方法

にも工夫をした。電子黒板

を使った資料提示である。

児童の事後アンケートでも電子黒板での資料が分かりやすかったという感想が多くあった。電子黒板

。 , 。を使用したのは第7・10・11時間目である C評価が少なくなり A評価が増えていることが分かる

電子黒板を使った学習では,社会科見学をした工場のホームページを映して,もう一度見学した内容

を思い出させたり,自動車工場周辺の土地がどのように利用されているのか地図を提示して確認して

みたりすることができた。さらに,日本の各都市の人口密度や日本の地形図を映し出したりすること

もできた。児童が思考・判断し,表現をするときに,実際に見て確認したい資料を提示することがで

きた。電子黒板を使用したことが,児童の読み取りや解釈・説明・論述の言語活動を充実させること

につながった。学習カードからも自分の考えやキーワードを使った記述を見ることができる(図21,2

2 。)

(図21 資料から自分の考えが表れている学習カード記入例)

0% 20% 40% 60% 80% 100%

図20 第2次の評価

A

B

C

C 7 0 1 3 1 2

B 16 23 21 20 18 21

A 7 7 8 7 11 7

⑥ ⑦ ⑧ ⑨ ⑩ ⑪

Page 25: 社会科の指導における思考力・判断力・表現力を育 …...1 思考力・判断力・表現力について 社会科において,思考力・判断力・表現力の三つの力は,授業の中で,関わり合って育まれていく

- 25 -

-小 社会-

(図22 資料から自分の考え・気持ちが記述された学習カード記入例)

第三次は,複数の資料を比較して,共通点や相違点などを見出し,思考・判断していく学習であっ

た。第二次までは,一つの資料を個や集団で思考・判断して理解を深めていった。第三次では,複数

の資料の思考・判断にかかわる読み取り・解釈の活動において違いが見られた。具体的には,第三次

の第1時(⑫)では,自動車の輸送について運搬船とキャリアカーのそれぞれの特徴を資料から読み

取って相違点について考える学習であった。第2時(⑬)では,日本国内にある高速道路や航空路,

鉄道路線,航路の交通網の広がりについてそれぞれどのような特徴があるか考える学習であった。第

1時(⑫)では,自動車の

輸送ということで,これま

での自動車づくりの学習内

容と関わらせながら,また

社会科見学の体験をもとに

しながら資料の読み取りや

解釈の活動を行った。今ま

で学習したことを生かすこ

とができるので,学習カー

ドも具体的な記述がみられ

て評価も良くなっていることが分かる。第2時(⑬)では,自動車づくりと日本の交通網とのつなが

りを見出すことができなかった。そのため資料の読み取りや解釈の活動が不十分で,説明や論述につ

, , 。ながらなかったことが 学習カードへの記述ができなかったことが考えられ 評価も低くなっている

また,指導者からの資料の提示方法や今までの学習との関連を思考できる授業の工夫もできていなか

った(図24 。改善としては,資料の活用場面においての資料の扱い方について,児童の思考を促す手)

0% 20% 40% 60% 80% 100%

図24 第3次の評価

A

B

C

C 2 9

B 19 20

A 9 1

⑫ ⑬

Page 26: 社会科の指導における思考力・判断力・表現力を育 …...1 思考力・判断力・表現力について 社会科において,思考力・判断力・表現力の三つの力は,授業の中で,関わり合って育まれていく

- 26 -

-小 社会-

立てが必要であることが分かった。また,思考する手立てのためキーワードを設定したが,読み取り

や解釈においての思考・判断が,キーワードから発展ができなかったことが原因になったと考える。

複数の資料を比較したり関連付けたり思考・判断する活動において課題が見られたが,学習カードに

は,キーワードを意識して使った記述が増えてきていることは,これまでの思考・判断の積み重ねの

成果であり,表現力の向上が見られる結果となった(図25 。)

(図25 自分の考えに友達の考えを加えながら記述することを表現している学習カード記入例)

第四次は,まとめの学習

を行った。まずはじめに,

テーマについては,今まで

学習カードや資料をもとに

「環境,安心,快適」を設

定した。さらに,第一次で

取り組んだ「あったらいい

と思う車,将来どんな車に

乗ってみたいか」という同

じ課題で,児童の自動車づ

くりに対する考えの変容を探っていった。この活動は,児童の自動車づくりの学習においての思考力

0% 20% 40% 60% 80% 100%

図 26  第 4 次 の 評 価

A

B

C

C 1 1

B 17 10

A 12 19

⑭ ⑮

Page 27: 社会科の指導における思考力・判断力・表現力を育 …...1 思考力・判断力・表現力について 社会科において,思考力・判断力・表現力の三つの力は,授業の中で,関わり合って育まれていく

- 27 -

-小 社会-

・判断力・表現力が,どのように変容したのかを見る機会となった。自動車づくりの学習に入る前の

児童の考えでは,かっこいい車や速く走る車など見た目や乗り心地を重視した考えが多かった。

1次から3次の学習の自動車づくりに関わる様々な社会的事象や自動車づくりに関わる立場の人た

ちの思いや気持ちを学習した。また,その過程において自動車を利用する環境を考えたことや,自動

。 ,車選びの家庭への取材などを行った このような学習からデザインやスピードにこだわることよりも

環境にやさしい自動車やだれにでもやさしい自動車などを考える児童の思考に変化を見ることができ

た(図27-1 。また,実態調査アンケートでも見た目や乗り心地を重視する考えから安心や安全,環)

境を重視する考えに変わったのが分かる(図27-2 。この結果から環境や安全性に関して児童の思考)

・判断の変容が見られた。また,学習カードの評価は,A評価が増えてきたことが分かる。これは,

今までの自動車づくりを学習カードを使って振り返り さらに未来の自動車づくりを考えるために 環, 「

, , 」 , ,境 安心 快適 のテーマに取り組んだ結果 今までの学習カードや見学カードの記述を参考にして

児童の考えや表現を豊かにすることができるようになった結果である。

( 図27-1 第1次の学習カードと第4次の学習カードの児童の思考・判断の変化)

学習カードの記述を評価規準

表に基づいて評価し,社会科に

おける思考力・判断力・表現力

が育まれたのかについて分析を

行った。

資料を活用して思考・判断す

る言語活動を通して,充実させ

て,書くことにより,振り返る

キーワードを設定したことは,児童のアンケートからも分かるように思考・判断したことを表現する

上で有効であったと言えることができる(図28 。言語活動の充実の「説明」でも述べたが,学習カー)

ドの記述の内容がキーワードを設定することにより成果が出てきていると考えることができる。キー

ワードが,言語活動を充実させるための力となった。 また,今回作成した学習カードが社会科の思

図 27-2  自 動 車 を選 ぶ とき の 理 由 は 何 で す か

1

3

10

7

12

9

8人

12人

0% 20% 40% 60% 80% 100%

事 後

事 前

か っ こ い い

 安 い

安 心 ・安 全

環 境

Page 28: 社会科の指導における思考力・判断力・表現力を育 …...1 思考力・判断力・表現力について 社会科において,思考力・判断力・表現力の三つの力は,授業の中で,関わり合って育まれていく

- 28 -

-小 社会-

考力・判断力・表現力を育むための要素となった。資料の活用場面においての自分や友達の考え,ま

た学習の振り返りなどの場面において,自由に記述できるようになった。学習カードは思考力・判断

力・表現力を育む上で効果があったと言うことができる。また,体験の言語化として,今回は社会科

見学で経験したことを資料として扱った。経験したことを記録することにより,振りかえることがで

き,その積み重ねが自信につながり,より思考・判断し表現できる力になった。自分が,思考・判断

したことに自信をもたせることが,学習カードに記述する表現力を高めることにつながったと分析す

ることができる。児童の事後調査からも学習カードの有効性を読み取ることができる(図29 。)

4 検証授業から

目標に関わって設定した討議の柱の3つの視点から検証授業を振り返って見ると以下のような意見が

あった。

討議の柱その1

資料から自動車の輸送について関心をもち,輸送方法の特徴について考え,表現することができ

ていたか。

(参観者の意見から)

・資料については,写真,文書,地図,インタビューとそれぞれの資料の特徴を生かして,児童に提

示して自動車の輸送方法についての興味・関心を高めていく工夫がみられて良かった。

・学習課題に対して,関心をもたせ,思考させ,最後に表現をさせる資料として,インタビューは児

, , 。童の学習の様子から見て効果があったと思うが 写真や文書 地図などはさらに工夫がほしかった

・輸送方法の特徴を思考させる資料としては,言葉だけでなく地図やグラフなどを使って具体的に示

した方が良かった。

・インタビュー形式の資料は,生の声ということで資料として価値が高く,児童の取り組む姿勢に変

化が見られた。

・ キャリアカーで運ぶ」と「運搬船で運ぶ」のキーワードに関わる資料の提示は,児童の考えがスム「

ーズに出ていて良かったが,2つの輸送方法を組み合わせて運ぶことを押さえていくことが,それ

ぞれの良さについて考える動機づけになるのではないか。

・既習事項からの考えを広げることができるので,今回は輸送方法の面では,運搬船の長所と短所を

確認することができた。単元を点で見るのではなく,線の中の一部として見ることができると児童

への言葉かけも変わってくると考える。

・インタビューの資料の聞き取りが難しいので,文書資料の準備や事前のインタビューの内容の説明

などをすると児童に分かりやすくなる。

・トヨタの工場分布地図の提示の仕方や読み取る内容など事前に見学するポイントをわかりやすくし

て提示してあると充実した学習になる。

図 28 キーワードについて

71%

29%

わかりやすかった

わかりにくかった

図 29 学習カードは書きやすかったですか

74%

26%

書きやすかった

書きにくかった

Page 29: 社会科の指導における思考力・判断力・表現力を育 …...1 思考力・判断力・表現力について 社会科において,思考力・判断力・表現力の三つの力は,授業の中で,関わり合って育まれていく

- 29 -

-小 社会-

・九州から山梨までの輸送のルートについて,教師側から提示してしまったが,資料の提示の仕方に

に工夫する場面があった。

.社会科見学で学習したことを生かしながら,思考している様子が見られた。

討議の柱その2

資料を活用した場面での言語活動(説明)は思考力・判断力・表現力を高める上で,効果的で

あったか。

(参観者の意見から)

・ 読み取り」や「解釈」の活動場面については,児童が落ち着いて考えていて,今までの学習の積み「

重ねが表れていた。

・資料から分かることとその資料から自分が考えたことを書くことができていた。

・ 説明 「論述」の活動場面では,話し合う視点をはっきりさせた方が良かった。「 」

・教科書の資料をどのように扱っていくのかが重要になる。学習の積み重ねが大切であるが,事前に

教科書の資料を見せておくのか,それとも見せないでおくのかなど児童の関心や意欲にもつながっ

てくると思うので,確認する必要がある。

・いろいろな資料を児童に提示する中でどの資料をポイントとして考えさせるのかが重要である。今

回の授業では,いろいろ資料は提示されたが,資料のつながりが見られなかった。1つ1つが単発

なように感じた。資料の絡み合いが言語活動に生かされてくる。

・自分の考えをもつ→ペアで意見交換をする→ペアで深めたことをメモするという流れは大切であっ

たが,グループ活動では,時間配分がうまくできなかったので考えを深めることが十分にできなか

ったことは残念であった。

・グループ活動については,司会者の役割が大切である。話す順番や話した内容をまとめることなど

日常の活動との関わりが出てくる。話合いができていたグループもあったが,十分に指導する必要

がある。

討議の柱その3

自分の考えや友達の考えを記入したり,学習の振り返りを記入したりする学習カードは,思考力

判断力・表現力を高める上で有効であったか。

(参観者の意見から)

・ 読み取り 「解釈 「説明 「論述」の授業の流れの中で学習カードの記述ができていて,児童の思「 」 」 」

考の様子が分かりやすく判断できていた。

・自分が資料から思考して読み取った記述であるのか,友達との話合いから判断して記述したもの

であるのか,思考・判断した過程が学習カードに表れていた(図30 。)

・キーワードは,教師から設定していくのか,児童から考えを出させて設定していくのか,授業が進

むにつれて,児童の考えからキーワードを作っていくことが,思考力・判断力・表現力を育む上で

も大切ではないかと考える。学習カードにはキーワードを使って思考した記述があった。

・学習カードは,児童の思考し判断した結果の表れである。自分の考えと友達の考えを融合した表現

が見られると 学習は深まっていくと思う。

・キーワードの提示の仕方にもひと工夫できたのではないかと考える。いつも教師側からの提示であ

ると児童が受け身なってしまいがちなので,授業が深まってきたら,児童から「授業の大切なこと

とか頭の中に残っている言葉は何か」などの投げかけでキーワードが児童の中に入っていくもので

ある(図31 。)

Page 30: 社会科の指導における思考力・判断力・表現力を育 …...1 思考力・判断力・表現力について 社会科において,思考力・判断力・表現力の三つの力は,授業の中で,関わり合って育まれていく

- 30 -

-小 社会-

(図30 資料を読み取って自分の考えと友達の考えを分けて書いてある学習カードの記入例)

(図31 キーワードを使った表現ができている学習カードの記入例)

以上が検証授業の三つの討議の柱にかかわる参観者の意見であった。

検証授業において,児童の思考力・判断力・表現力を育んでいくための要素が示された。

資料については,今回は,キャリアカーと運搬船の二つの輸送方法の長所と短所を読み取り,読み

取ったことをどのように表現することが重点であった。研究会の中で「最初の写真の資料は,児童の

」「 , 」 。思考を高めるもので良かった だれでもが 考えをもてる資料であった というな意見をいただいた

資料の選択が重要であり,提示する資料の選び方や資料の提示方法についての意見だった。資料の選

択と提示には成果が見られ,児童の思考・判断・表現を促す要素となった。課題としては,授業で提

示された一つ一つの資料の読み取りを生かしたまとめる力を付けることが大切であることが指摘され

た。まとめる力は,資料の読み取りの積み重ねが基本となるため,資料からわかることを表現できる

Page 31: 社会科の指導における思考力・判断力・表現力を育 …...1 思考力・判断力・表現力について 社会科において,思考力・判断力・表現力の三つの力は,授業の中で,関わり合って育まれていく

- 31 -

-小 社会-

ことが重要である。

言語活動については,読み取りや解釈の活動が,今までの学習の成果として表れていた。ペアまた

はグループでの意見交換では,読み取ったことや考えたことを表現することができていた。資料を読

み取ることに自信をもっているような様子が見られた。課題は,児童それぞれの読み取ったことを総

合的に捉えて考えがもてるようにすることであった。話合い活動を取り入れていたが,読み取った個

々の考えをどのように全体に広げていくのか重要である。

学習カードについては,フリースペースを生かして,意欲的に書いていた様子が見られた。読み取

ったこと,考えたこと,友達の考えなど自由に書いていることが成果としてあげられる。実態調査か

ら「書くこと」を苦手とする児童が見られたが,検証授業では,社会的事象から読み取ったことや考

えたことを書こうとする気持ちをもって学習に取り組んでいる姿が見られ,成果としてあげられる

Ⅶ 研究のまとめ

1 研究の成果

本研究は,小学校5年生社会科「工業生産を支える人々」の「自動車会社をたずねて」において,

資料を活用した場面における言語活動の充実を通して,児童の思考力・判断力・表現力を育むことを

目的とした研究であった。

資料を活用した場面における言語活動の充実については,教科書や資料集からの写真やグラフ,図

などの資料や社会科見学で経験した資料を使って学習場面を設定した。この場面で資料の読み取り・

解釈・説明・論述の四つの言語活動を意図的に取り入れた。その結果,児童の言語活動の自己評価や

教師の評価から,読み取り・解釈が全体的に良くなったことがわかる。課題に対して思考・判断する

力が付いた。また,説明や論述については,学習カードの記述から学習内容や自分の考えと資料を結

びつけて表現できるようになってきたことが分かる。思考・判断し表現する力を育むことにつながっ

たと考えることができる。また,児童意識調査からも「資料の読み取り方が分かり,いろいろなこと

を考えるようになった 「自分の考えを言えるようになった」など資料を活用した場面においての読み」

取り・解釈・説明・論述の四つの言語活動が授業の中に関わったことが成果となったことが分かる。

学習カードについては,児童が思考・判断する過程が表現できるもの,また教師が児童の活動の様

。 , ,子を評価できるものとして活用してきた 資料から読み取れるどんな細かなことや 小さなことでも

何でも気付いたことを学習カードに書いていく中で,児童一人一人が,自分の考えや友だちの考えを

少しずつではあるが,自由に記述し表現できるようになった。事後アンケートでも「いろいろな考え

」 。 ,を書くことができた という考えの変化が見られた 児童が記述したことを教師が受け入れることで

表現する力の向上につながったと考えることができる。これは,学習カードを通して言葉のコミュニ

ケーションと考えることができるのではないだろうか。また,学習カードを自由記述にしたことも成

果の要因として挙げられる。考えたことを少しでも書こうとすることや友だちから聞いたことを書く

ことなどの指導を重ねていく中で,書く量より学習した内容を活用した表現,また社会的事象をもと

にした表現ができるようになった。自由記述の学習カードの良さを生かしながら,児童の実態に合っ

た学習を進めていったことが思考力・判断力・表現力を育むことになったと考えられる。

資料の活用や提示方法については,教科書や資料集に載っている資料を活用したり社会科見学での

経験を学習に生かすことを考えた。社会科見学での体験したことを言語化し,さらに資料化をして提

示した。その結果,見学前の取組と関わらせながら,実際に体験したことをもとに思考・判断し,表

。 , 「 」現を高めることができた また 資料の活用に関わるアンケートにおいても 資料の見方がわかった

Page 32: 社会科の指導における思考力・判断力・表現力を育 …...1 思考力・判断力・表現力について 社会科において,思考力・判断力・表現力の三つの力は,授業の中で,関わり合って育まれていく

- 32 -

-小 社会-

とか「資料をみるのが楽しくなった」という意見があった。思考のもととなる資料を読み取る能力が

身に付けたことが成果としてあげられる。

キーワードを設定したことは,言語活動における説明や論述の場面において,有効なものであった

と言える。学習が進むにつれて多くの児童が,キーワードについて思考したり,キーワードを使った

表現ができるようになった。ペア学習やグループ学習の中でも,キーワードがあることで,話合いの

ポイントがずれずに,学習内容にあった話合いができるようになっていった。事後調査からも「キー

ワードがあったので授業のポイントが分かりやすかった 「キーワードを使うと話しやすかった」とい」

う意見が多かった。どんな言葉をキーワードに設定するのかは,児童にどのような言語活動を行って

いくのかに関わりがあり,大切なことである。キーワードは,それぞれの場面において思考力・判断

力・表現力を育む上で効果的だった。

社会科見学の経験が資料として有効に活用することができたことも思考力・判断力・表現力を育む

。 , 。のに有効であったと考える 見学場所との事前の打ち合わせをして 見学のポイントを絞っておいた

そして,事前・事後の見学シートに記録をしたことが,体験の言語化につながり,児童の思考・判断

を高める要因となった。

今回の研究を通して,社会科における思考力・判断力・表現力を育む上で教材に対する思いが,児

童の思考力・判断力・表現力の変容に関わってくることを感じた。思考力・判断力・表現力をいくつ

かの検証資料を基に分析して研究を進めてきた。児童の変容が見られた一つの例として「将来,大人

になって自動車を選ぶときの理由は」の質問に自動車づくりの学習前の児童は,デザイン性や機能性

を中心に選ぶ理由が多かったが,学習後は,排気ガスを出さない,事故を起こさない,けがをしない

。 ,など環境や安全・安心につながるような考えに多くの児童が変わった この単元に対する思いや願い

児童との関わり合いを通して、社会科における思考力・判断力・表現力に変化が見られたのである。

2 今後の課題

社会科における思考力・判断力・表現力とはどういうものなのかを児童の実態を考慮して,学習を

進めることが大切である。今回,検証授業を進めるにあたり,資料の活用や体験学習,調べ学習など

の教科の特性が大きく関係していることを感じた。その中で社会科における思考力・判断力・表現力

を育んでいくために言語活動や学習カードを活用したが,一つの方法として考えることができる。他

にも思考力・判断力・表現力を育む要素はある。児童の学習の様子や実態などの考慮して進めること

が大切である。

また,言語活動を支える基礎知識や技能及び表現力の個人差にどのように対応していくのか課題と

なった。今回も事後調査で「伝えたい気持ちはもっていたが,どのように伝えていいのか分からなか

った 「どのように書いていいのか分からない」という児童の感想がまだ見られた。社会科における言」

語活動の説明や論述を自分の考えを伝える場面として位置付けたが,自分の考えと友達の考えを比較

してさらに考えを深めていくまでには至らなかった部分があった。児童は本来,思考したことをを伝

えたい気持ちをもっていると実態調査や学習カードの記述,また言語活動の自己評価を通して感じる

。 , ,ことができた 言語活動を充実させることにより基礎・基本の定着が図られ 知識が読み取りや解釈

説明,論述の言語活動で活用され,児童が,自分の考えや気持ちを記述したり,発表したりできるよ

うになるのである。その時に大切なことは,社会科においては,社会的事象に関する資料を活用しな

がら学習が行われることである。社会的事象について,どのように思考・判断し表現していくのかを

考えていかなければならないのである。

Page 33: 社会科の指導における思考力・判断力・表現力を育 …...1 思考力・判断力・表現力について 社会科において,思考力・判断力・表現力の三つの力は,授業の中で,関わり合って育まれていく

- 33 -

-小 社会-

本研究は,社会科における思考力・判断力・表現力をどのようにして育んでいくのかについての研

究であった。言語活動や学習カードを充実させ,評価を数値化することで,思考力・判断力・表現力

を客観的に捉え、結果をその後の指導に生かすことができた。今回作成した「四つの言語活動の評価

規準表」を教育現場で生かして欲しいと願う。

最後に,本研究は,一単元の実践によるものであったが,本来は,社会科学習全体の指導計画を見

, , ,通しての指導 また 他教科との関連を考慮して言語活動を計画的に意図的に組み入れていく指導が

社会科における思考力・判断力・表現力をさらに育むことにつながっていくと考える。

この研究に関わり,指導していただいた先生方,協力してくださった研究協力員の先生方,研究協

力校に感謝したい。

【引用 参考文献】

1)小学校学習指導要領解説社会編(平成20年) 平成21年度研究紀要神奈川県総合教育センター

文部科学省 平成22年度研究紀要香川県総合教育センター

2)経済協力開発機構が実施した生徒の学習到達度

調査(平成22年) 文部科学省発表 【研究協力校】

3)全国学力・学習状況調査(平成22年) 笛吹市立石和西小学校 校長 極楽寺 眞理子

文部科学省 【研究協力員】

4)山梨県小学校教育課程実施状況調査 霜村 文晴 笛吹市立石和南小学校教諭

(平成22年度)山梨県教育委員会 久保田 勲 甲斐市立双葉東小学校教諭

5)小学校学習指導要領(平成20年) 文部科学省 矢竹 亮 南アルプス市立落合小学校教諭

6)岩田一彦『社会科授業研究の理論 (平成15年) 原 善信 笛吹市立富士見小学校教諭』

明治図書 内藤 健 笛吹市立石和西小学校教諭

7)小原友行『思考力・判断力・表現力」をつける

社会科授業デザイン(平成21年) 明治図書 【研究指導者】

8)安野功 『思考力を育む社会科ノートの活用』 森本 清 教育指導部 主幹・研修主事

(平成20年) 明治図書 (主担当)

9 「小学校,中学校,高等学校及び特別支援学校等 星野 徳一 研究開発部 主幹・研修主事)

における児童生徒の学習評価及び指導要録の改 石田 浩一 相談支援部 主幹・研修主事

善にいて(通知 (平成22年5月)文部科学省 諏訪 桂一 教育指導部 主幹・研修主事)」

10 「評価規準の作成,評価方法の工夫改善のため 立川 武 教育指導部 副主幹・研修主事)

の参考資料(報告 」 国立教育政策研究所 内田 浩恵 教育指導部 主査・研修主事)

11)寺本潔『小学校指導法 社会 (平成23年) 中村 弘和 情報教育部 主査・研修主事』

玉川大学出版部

12)山森光陽・鈴木秀幸『観点別学習状況の評価規準 平成23年度 山梨県総合教育センター

と判定基準 社会 (平成23年) 図書文化社』

WEB資料 一般留学生研究報告書

平成21年度研究紀要京都市総合教育センター

執筆者 一般留学生 山口 正

Page 34: 社会科の指導における思考力・判断力・表現力を育 …...1 思考力・判断力・表現力について 社会科において,思考力・判断力・表現力の三つの力は,授業の中で,関わり合って育まれていく

- 34 -

-小 社会-

〈参考資料〉

(資料 1)

平成22年度山梨県公立小中学校教育課程実施状況調査(小学校社会 質問紙調査)

質問内容 山梨県

全 国

日本のいろいろな町や場所のことを 86.7

もっと知りたいと思う 77.6

社会の学習で疑問をもったことについて,自分から調 63.3

べるようにしている 56.0

地域や国土のよさを大切にしようと思う 91.1

82.2

社会の学習で新しく地名が出てきたら,地図で確認す 68.5

るようにしている。 58.9

図書館やコンピュータなど利用して,資料を集め活用 62.3

している。 55.5

ニュースや新聞に出てくるできごとに興味をもってい 79.9

る 74.8

地域や国土の自然を守るために,自分にできることを 80.5

見付け,実行している。 64.5

(資料 2) 参考資料 国立教育政策研究所

評価の観点及び趣旨

観 社会的事象への 社会的な 観察・資料活用の 社会的事象について

点 関心・意欲・態度 思考・判断・表現 技能 の知識・理解

社会的事象に関心を 社会的事象から学習 社会的事象を的確に 社会的事象の様子や

趣 もち,それを意欲的 問題を見いだして追 観察,調査したり, 働き,特色及び相互

に調べることを通し 究し,社会的事象の 各種の資料を効果的 の関連を具体的に理

旨 て,社会の一員とし 意味について思考・ に活用したりして, 解している。

て自覚をもって,よ 判断したことを適切 必要な情報をまとめ

りよい社会を考えよ に表現している。 ている。

うとする。

Page 35: 社会科の指導における思考力・判断力・表現力を育 …...1 思考力・判断力・表現力について 社会科において,思考力・判断力・表現力の三つの力は,授業の中で,関わり合って育まれていく

- 35 -

-小 社会-

(資料 3)

学年・分野別の評価の観点の趣旨(5学年)

社会的事象への 社会的な 観察・資料活用の 社会的事象について

関心・意欲・態度 思考・判断・表現 技能 の知識・理解

我が国の国土と産業 我が国の国土と産業 我が国の国土と産業 我が国の国土と産業

の様子に関する社会 の様子に関する社会 の様子に関する社会 の様子,国土の環境

的事象に関心をもち 的事象から学習問題 的事象を的確に調査 や産業と国民生活と,

それを意欲的に調べ を見いだして追求し したり,地図や地球 の関連を理解してい, ,

国土の環境の保全と 社会的事象の意味つ 儀,統計など各種の る。

自然災害にの防止の いて思考・判断した 基礎的資料を活用し

重要性,産業の発展 ことを適切に表現し たりして,必要な情

や社会の情報化の進 ている。 報を集めて読み取っ

展に関心を深めると たりまとめたりして

ともに,国土に対す いる。

る愛情をもとうとす

(資料 4)

我が国の工業生産 評価規準例

社会的事象への 社会的な 観察・資料活用の 社会的事象について

関心・意欲・態度 思考・判断・表現 技能 の知識・理解

・我が国の工業生産 ・我が国の工業生産 ・地図や地球儀,統 ・様々な工業製品が

の様子に関心をもち の様子について,学 計などの資料を活用 国民生活を支えてい,

意欲的に調べている 習問題や予想,学習 して,我が国の工業 ることを理解してい。

・国民生活を支える 計画を考え,表現し 生産の様子や様々な る。

我が国の工業生産の ている。 工業製品について必 ・我が国の各種の工

発展を考えようとし ・工業生産の様子と 要な情報を集め,読 業生産や工業地域の

ている。 国民生活とを関連付 み取っている。 分布などを理解して

けて,工業生産が国 ・調べたことを白地 いる。

民生産を支える重要 図や作品などにまと ・工業生産に従事し

な役割を果たしてい めている。 ている人々の工夫や

ることを考え適切に 努力,工業生産を支

表現している。 える貿易や運輸など

の働きを理解してい

る。

・我が国の工業生産

は国民生活を支える

重要な役割を果たし

ていることを理解し

ている。

Page 36: 社会科の指導における思考力・判断力・表現力を育 …...1 思考力・判断力・表現力について 社会科において,思考力・判断力・表現力の三つの力は,授業の中で,関わり合って育まれていく

- 36 -

-小 社会-

(資料 5)

評価の観点

関心・意欲・態度 思考・判断・表現 技能 知識・理解

自動車づくりの疑問に思っ 自分が「あったらいいな」 資料を見て会場の様子や人1-1

オ リ エ たことや調べたいことを具 と思う自動車を考え,その 々の気持ちなどを想像して

ン テ ー 体的に挙げている。 理由を友達に分かりやすく 読み取ろうとしている。

ション 伝えている。

自動車づくりの不明な点や 自動車づくりの作業につい1-2

オ リ エ 疑問点を洗い出し,意欲的 て予想して,問いをもち表

ン テ ー に工場見学にのぞもうとし 現している。

ション ている。

それぞれの生産工程を見学 見学を通して考えたことや3,4

自 動 車 して,分かったこと,分か 思ったことを書き,表現し

工 場 を らなかったこと(新たに気 ている。

見 学 し 付いたことや疑問に思った

よう こと)を捉え,新たな問い

としてメモに書き留めよう

としている。

進んで自分の考えを言った 自分の考えや友達の考えを1-5

自 動 車 り友達の考えを聞いたりし シートに書き,表現してい

見 学 を て話合いに参加しようとし る。

ま と め ている。

よう

・自動車の設計やデザイン 。 自動車の開発には,多く2-1

ど ん な に関わる人々の思いや工夫 の人のアイディアが結集

車 を 作 を捉えて表現している。 されていることを理解し

ろ う か ている。

な?

進んで自分の考えを言った 自分が記したメモから自動2-2

自 動 車 り友達の考えを聞いたりし 車工場の生産工程の様子に

が で き て話合いに参加しようとし ついて,自分の考えを表現

るまで ている。 している。

自動車工場で働く人の「速 自動車づくりが分業など2-3

自 動 車 く,正確に,安全に」自動 によって,効率的に進め

づ く り 車を作るための工夫や努力 られていることを理解し,

の く ふ 思いを捉え表現している。 ている。

う を イ

ン タ ビ

ュー

Page 37: 社会科の指導における思考力・判断力・表現力を育 …...1 思考力・判断力・表現力について 社会科において,思考力・判断力・表現力の三つの力は,授業の中で,関わり合って育まれていく

- 37 -

-小 社会-

地域の環境を守りながら自 工場の人が働きやすいため2-4

働 く 人 動車生産を行っていくこと の工夫や,地域の環境を守

に や さ の意味を考え,表現してい るための取組みについて,

し く 環 る。 写真や資料を関連付けて読

境 に も み取っている。

や さ し

シートの生産や出荷の様子 地図やグラフなどの資料を2-5

部 品 は からシート工場と自動車工 使って,様々な観点からシ

ど こ か 場との結び付きについて考 ート工場と自動車工場との

ら? え,表現している。 結び付きを捉えることがで

きる。

自動車づくりを支える人々 関連工場で働く人たちが注2-6

工 場 を の協力や関連工場の働きを 文通り部品を納めるために

支 え る 捉え,表現している。 工夫や努力していること,

工場 よい品質を保つために気を

付けていることを資料を見

ながら読み取ることができ

工場から販売店までの自動 輸送方法ごとの特徴につい3-1

輸 送 は 車の輸送の仕方に関心をも て考え,どのような利点を

船 と キ ち,意欲的に調べようとし 自動車輸送に生かしている

ャ リ ア ている。 のか,自分の考えを表現し

カーで! ている。

交通網の特色について,利 地図を基にして,交通網の3-2

遠 く へ 便性,経済性,環境への影 広がりと地形や人口分布と

早 く 運 響などの視点から捉え,そ の関係を読み取ることがで

ぶ れぞれの特徴について表現 きる。

している。

ホームページや広告チラシ 自分が「あったらいいな」4-1

要 望 に などから,消費者の要望を と思う自動車について理由

こ た え 調べ,テーマを決めようと を考えて表現している。

て している。

これからの自動車づくりに これからの自動車づくり4-2

地 球 環 ついて 自動車に乗る立場 には快適性,利便性だけ, ,

境 を 考 自動車を作る立場の両面か でなく,環境や資源,福

え た 自 ら考え,自分の考えを表現 祉について考えることも

動 車 づ している。 重要であることを理解し

くり ている。

Page 38: 社会科の指導における思考力・判断力・表現力を育 …...1 思考力・判断力・表現力について 社会科において,思考力・判断力・表現力の三つの力は,授業の中で,関わり合って育まれていく

- 38 -

-小 社会-

(資料 6)

指導と評価計画(指導時間15時間)

思考力・判断力・表現力にお段 時

学習のねらい 学習活動 ける評価規準階 間

【評価方法】重要な言葉

1 ○オリエンテーション ○将来,どんな自動車に乗ってみたい 思考・判断・表現

・どんな自動車が登場するとうれしい のか話し合う。 ・自分が「あったらいいな」と思う自1

か,話合い,自動車に関心をもち自動車 ・自動車工場の写真・映像やパンフレ 動車を考え,その理由を友達に分かり

づくりを調べる意欲をもつことができる ットなどの資料から,自動車づくりへ やすく伝えている。自

ようにする。 の疑問を見付ける。 【観察・記録】動

安全 デザイン 環境車

2 ・工場見学ができることを伝え,見学す ○自動車はどのように作られているか ・自動車づくりの作業について予想し工 ,

るときの学習のめあてや見学のマナーを どんな部品からできているのかなど予 て,問いをもち適切に表現している。場

作り,守ることができるようにする。 想したり発表したりしてカードに書く 【観察・記録】見 。

・自動車工場の写真や会社のホームペー ・バーチャル工場見学を見る 開発 製造工程 働く人の様子学

ジや地図を読み取る活動から,工場施設 ・今までの工場見学の学習を思い出しの

の工夫に気付くとともに工場が造られた てどんなことを質問したり見学してく取

わけを考えることができるようにする。 るのかを一人一人考えをもつ。り

・質問は事前にまとめて,確認してお組

く。み

3 ○自動車工場を見学しよう ○実際に自動車工場に行って自分の調 思考・判断・表現

・自動車工場を見学して,自動車ができ べたいことや予想したことを確かめる ・見学を通して,考えたことや思った五 。

4 るまでの工程や働く人たちの作業の様子 ・見学して新たに気付いたことや疑問 ことを書き,表現している。時

を捉えることができるようにする。 に思ったことについてメモをしたり, 記録 工場内の施設 作業の順番 プ間 【 】 (

・見学のマナーを守ることができる。 質問したりする。 レス 溶接 塗装 組み立て 検査)

○自動車工場の写真やパンフレットな 働く人の様子

どの資料から,さらに,自動車づくり

への疑問を見付ける。

・社会科見学で調べたいことをメモに

書く。

5 ○自動車見学をまとめよう ○見学で印象に残っていることを話し 思考・判断・表現

・自動車工場を見学して学習の自分のめ 合い,言葉や絵などにまとめる。 ・自分の考えや友達の考えをシートに

あてを振り返ったり,見学の感想をまと 見学メモをもとにして見学の感想を 書き,表現している 【観察・発言・・ 。

める。 書く 記録】

・みんなの疑問や気付いたことを分類 作業の順番(プレス 溶接 塗装 組

して,これからの学習のめあてをもつ み立て 検査) ライン ロボット作

・資料を保管してまとめておく。 業

1 ○どんな車を作ろうかな? ○自動車のデザインや設計について調 思考・判断・表現

・自動車のデザインを考えたり設計した べる。 ・自動車の設計やデザインに関わる人2

Page 39: 社会科の指導における思考力・判断力・表現力を育 …...1 思考力・判断力・表現力について 社会科において,思考力・判断力・表現力の三つの力は,授業の中で,関わり合って育まれていく

- 39 -

-小 社会-

りする様子を社会科見学した資料をもと ・資料を見て自動車のデザインや設計 々の思いや工夫を捉えて表現してい

に調べ,自動車づくりについて理解でき について気づいたことや疑問に思った る。自

るようにする。 ことを言葉にまとめ伝え合う。 【観察・発言・記録】動

デザイン 協力 コンピュータ車

2 ○自動車ができるまで ○実際に見学してきたメモをもとに, 思考・判断・表現づ

・自動車工場を見学したことを思い出 自分が調べてきたことや予想したこと ・自分が記したメモから自動車工場のく

し,自動車ができるまでの工程や働く人 を確かめる。 生産工程の様子について,自分の考えり

たちの作業の様子を捉えることができる ・見学して新たに気付いたことや疑問 を表現している 【観察・記録】に 。

ようにする。 に思ったことについてグループで話し 生産工程 ロボット作業 手作業は

合ったり,メモをさせる。げ

3 ○自動車づくりのくふうを ○自動車ができるまでの工程や,ロボ 思考・判断・表現む

インタビュー ットと人の作業の様子をもとに,疑問 ・自動車工場で働く人の「速く,正確人

・自動車づくりが分業などによって効率 に思ったことや確かめたいことを話し に,安全に」自動車を作るための工夫々

的に進められていることを理解するとと 合う。 や努力 思いを捉え表現している 観六 , 。【

もに,働く人の工夫や努力,思いなどを ・写真やインタビュー資料を見て工場 察・記録】時

捉えることができるようにする。 ではどんな工夫が行われているのか考 速く・正確に・安全に ライン ロボ間

え,伝え合う。 ット作業

4 ○働く人にやさしく, ○工場で働く人が働きやすいために, 思考・判断・表現

環境にもやさしく どんな工夫があったらよいと思うか話 ・地域の環境を守りながら自動車生産

・自動車工場では 働く人の環境を整え し合う。 を行っていくことの意味を考え,表現, ,

地域の環境も守りながら自動車を生産し ・写真や資料を手がかりに働く人や地 している 【観察・記録】。

ていることを捉えることができるように 域の環境について考える。 環境 資源ステーション リサイクル

する。 ・自分の考えを発表したりグループで

話し合う。

5 ○部品はどこから? ○自動車を組み立てるための部品につ 思考・判断・表現

・自動車のシートを作る工場について調 いて,気が付いたことや疑問に思った ・シートの生産や出荷の様子からシー

べ,シートの生産や出荷の様子から自動 ことを話し合う。 ト工場と自動車工場との結びつきにつ

車工場との結び付きに気付くことができ ・シートが届くまでの写真の資料を見 いて考え,表現している。

るようにする。 てシート工場と自動車工場の結びつき 【発言・記録】

について考える。 関連工場 万個の部品 流れ作業3

6 ○工場を支える工場 ○自動車工場と関連工場のがどのよう 思考・判断・表現

・関連工場で働く人たちの工夫や思い・ に結び付きについているのかを考える ・自動車づくりを支える人々の協力や。

努力について調べ,自動車づくりを支え ・自動車づくりを支える人々の協力や 関連工場のはたらきを捉え,表現して

る。 関連工場の働きについてキーワードを いる 【観察・記録】。

・人々の協力や関連工場のはたらきを捉 使ってまとめて,伝え合う。 ジャストインタイム 関連工場 協力

えることができるようにする。 ・自分の考えを発表したりグループで

話し合う。

1 ○輸送は船とキャリアカーで! ○どのようにして 作られた自動車が 思考・判断・表現3 , ,

・工場で生産された自動車の輸送につい 自分たちの住むところに届くのか考え ・輸送方法ごとの特徴について考え,自

Page 40: 社会科の指導における思考力・判断力・表現力を育 …...1 思考力・判断力・表現力について 社会科において,思考力・判断力・表現力の三つの力は,授業の中で,関わり合って育まれていく

- 40 -

-小 社会-

て関心をもち,積み込む仕事の様子や働 る。 どのような利点を自動車輸送に生かし動

く人たちの工夫や努力を捉えることがで ・輸送の様子表す写真を見てそれぞれ ているのか,自分の考えを表現してい車

きるようにする。 の輸送の方法の長所と短所について考 る 【観察・記録】が 。

える。 価格・費用 運搬船 キャリアカーと

2 ○遠くへ早く運ぶ ○高速道や鉄道・航空など交通網の広 思考・判断・表現く

・全国各地に広がる交通網について調 がりにはどのような特色があるか考え ・交通網の特色について利便性,経済ま

, ,で べ,人や物を運ぶ運輸の仕事が果たす役 る。 性 環境への影響などの視点から捉え

割に気付くことができるようにする。 ・交通網を表す資料を見て,いろいろ それぞれの特徴について表現してい

な交通機関の長所と短所について考え る 【発言・記録】二 , 。

伝え合う。 交通網 人口 太平洋側時

1 ○要望にこたえて ○自動車づくりには,どのような要望 思考・判断・表現4

・自動車に乗る人たちの願いが,自動車 にもとづいて作られているのか考える ・自分が「あったらいいな」と思う自こ 。

づくりにどのように生かされているのか ・今までまとめてきた資料をもとに消 動車について理由を考えて表現していれ

について調べる。 費者の要望をふまえ,これからの自動 る【観察・記録】か

車づくりについて伝え合う。 安心 デザイン 環境ら

・将来,どんな自動車に乗ってみたいの

のか考える。自

2 ○地球環境を考えた自動車づくり ○これからの車づくりにはどのような 思考・判断・表現動

・自動車会社では,環境にも人にもやさ ことが求められるのか考える。 ・これからの自動車づくりについて,車

しい車づくりに取り組んでいることに気 ・モーターショーの資料から再度,開 自動車に乗る立場,自動車を作る立場づ

づき これからの自動車づくりについて 催される意味や価値・効果について考 の両面から考え,自分の考えを表現しく , ,

意見をもつことができるようにする。 え,伝え合う。 ている 【観察・記録】り 。

安心・安全 環境二

人にも環境にもやさしい車時

Page 41: 社会科の指導における思考力・判断力・表現力を育 …...1 思考力・判断力・表現力について 社会科において,思考力・判断力・表現力の三つの力は,授業の中で,関わり合って育まれていく

- 41 -

-小 社会-

(資料 7)

社会科アンケート1 社会科の学習は好きですか。

(1.好き 2.どちらかといえば好き 3.どちらかといえばきらい 4.きらい)

その理由

2 社会科の授業はわかりますか。

(1.わかる 2.だいたいわかる 3.あまりわからない 4.わからない)

その理由

3 どんな社会科の勉強が好きですか。あてはまるところのマスに丸を付けてください。

好き どちらかといえ どちらかといえ きらい

ば好き ばきらい

・図や地図から分かることを

見つける

・地図帳や資料集を使って調べ

・新聞やポスターを作る

・友達やグループで話し合う

・調べたことを発表する

・分かったことをレポート

(作文)に書く

4 分からない言葉が出てきたらどうしますか (当てはまるものに○をいくつでも です )。 。OK

( 1 友達に聞く 2 家の人に聞く 3 先生に聞く 4 パソコンで調べる

2 本で調べる 6 そのままにしておく)

Page 42: 社会科の指導における思考力・判断力・表現力を育 …...1 思考力・判断力・表現力について 社会科において,思考力・判断力・表現力の三つの力は,授業の中で,関わり合って育まれていく

- 42 -

-小 社会-

5 自分の考えを発表することは好きですか

(1.好き 2.どちらかといえば好き 3.どちらかといえばきらい 4.きらい)

理由

6 資料を見て考えることは好きですか

(1.好き 2.どちらかといえば好き 3.どちらかといえばきらい 4.きらい)

理由

7 社会科の学習は,生活に役立っていますか

(1.役に立っている 2.どちらかといえば 3.どちらかといえば 4.役に立っていない)

役に立っている 役に立っていない

理由

Page 43: 社会科の指導における思考力・判断力・表現力を育 …...1 思考力・判断力・表現力について 社会科において,思考力・判断力・表現力の三つの力は,授業の中で,関わり合って育まれていく

補助資料

社会科の指導における思考力・判断力・表現力を育む研究-資料を活用した場面においての言語活動の充実を通して-

1~131 学習指導案

2 思考力・表現力・表現力と社会科における14~17四つの言語活動との関わりを示す評価規準表

183 社会科学習における意識調査結果194 学習カード

Page 44: 社会科の指導における思考力・判断力・表現力を育 …...1 思考力・判断力・表現力について 社会科において,思考力・判断力・表現力の三つの力は,授業の中で,関わり合って育まれていく

- 1 -補助資料

1 単元名「自動車会社をたずねて」学習指導案(全15時間)1.自動車工場見学の取組み (オリエンテーション① 1次1時)(1)本時の目標 自動車に関心をもち,自動車づくりを調べる意欲をもつことができるようにする。(2)事前準備 学習カード イラストカード 資料写真(3)キーワード 安全,デザイン,環境(4)展開

学 習 活 動 資 料 教師の働きかけ(・) 評価 【評価方法】予想される児童の反応(○) ☆言語活動キーワード

つ ①資料を見て自動車のつく 資料①写真 ・資料を見て,会場には多くの人が展示されたいろ 技能か り方について関心をもつ。 いろな自動車をみています。会場にきている人々の 資料を見て,会場の様子や人々の気持ちなむ 気持ちを考えてみましょう どを想像し,記述している。

○未来の車を早くみてみたい。 【観察・学習カード】1 0分 ○どんな新しい工夫のある車が作られたのか見てみ

たい。②「将来,どんな自動車に

ひ 乗りたいですか」をテーマ 将来,どんな自動車に乗ってみたいか,ろ に,未来の自動車の姿を想 考えてみましょう。げ 像する。 イラストる カード ・自分が「将来乗りたいな」と思う自動車を

考えイラストや言葉で表してみましょう2 5分 ○かっこいい車がいいな

○少ない燃料で走る車がいいな(安全性・デザイン性・経済性・環境面・利便性な 思考・判断・表現どに視点を置く) 自分が「あったらいいな」と思う自動

車を考え,その理由を友達にわかり③自分が 将来乗りたい車 ・自分が将来乗ってみたい自動車について,考えた やすく伝えている。「 」について発表し,自動車に わけをみんなにわかりやすく説明してみましょう。 【観察・記録】対する様々なニーズがある (グループ形態)ことを理解する。 資料② ○ぶつかっても壊れない車がいい。理由は… ☆安全・デザイン・環境

未来の車の ○排気ガスが出ない車がいいです。理由は…ま 写真 関心・意欲・態度と ④新しい自動車はどのよう ・みんなが考えたように自動車には様々なニーズが 自動車づくりの疑問に思ったことや調べため にして作られているか予想 求められています 「自動車づくり」について学習 いことを具体的にあげている。。る する。 していきましょう。疑問に思ったことや詳しく調べ 【観察・学習カード】

学習カード てみたいことを考えていきましょう。1 0分 ⑤自己評価をする。 ・今日の学習の振り返りをする。

Page 45: 社会科の指導における思考力・判断力・表現力を育 …...1 思考力・判断力・表現力について 社会科において,思考力・判断力・表現力の三つの力は,授業の中で,関わり合って育まれていく

- 2 -補助資料

1.自動車工場見学の取組み (オリエンテーション② 1次2時)(1)本時の目標 自動車づくりに関心をもち,社会科見学の目標を立て,意欲的に参加できるようにする。(2)事前準備 見学シート 資料 関東自動車工場 紹介資料 電子黒板PC HP(3)キーワード 開発,製造工程,働く人の様子(4)展開

学 習 活 動 資 料 教師の働きかけ(・) 評価 【評価方法】予想される児童の反応(○) ☆言語活動キーワード

つ ①資料を見て工場見学に学 資料① ・資料を見て,社会科見学の内容について話し合っ 関心・意欲・態度PPか ぶ意欲をもつ。 社会科見学 ていきましょう。 自動車づくりの不明な点や疑問点を洗い出

, 。む 電子黒板 ○関東自動車工業はどんなところなのか早く行って し 意欲的に工場見学にのぞもうとしているみたい。 【観察・記録】1 0

。分 ○自動車をつくっていることころを早くみてみたい

②資料をみて,印象に残っ 見学シートていることは何かについて 資料を見てわかったことや考えたことを

ひ 考える。 話合いましょう。ろげ ○車のつくり方について(工程)る ○見学の場所や見学の順番について

○働く人の様子について2 5分 ○見学のマナー

思考・判断・表現③社会科見学の目標を立 見学シート ・今の資料から,社会科見学の目標を一人一人立て 自動車づくりの作業について予想して,て,見学のルールやマナー てみましょう。自動車づくりについてと働く人につ 問いをもち,表現している。をグループごとに話し合 いての2つの面からです。 【観察・記録】う。 ・グループごとに目標を発表し合いましょう。

・みんなが考えたように社会科見学では,学校では ☆開発,製造工程,働く人の様子体験できないことがたくさんあります。いろいろな

④全体で見学するポイント 資料②関東 お話を聞いて,しっかり見て,見学シートのたくさ。をまとめて,確認する。 自動車工場 んのことを書くことができるようにしてきましょう

HPまと 電子黒板める

自己評価をする。 学習カード ・今日の学習の振り返りをする。1 0分

Page 46: 社会科の指導における思考力・判断力・表現力を育 …...1 思考力・判断力・表現力について 社会科において,思考力・判断力・表現力の三つの力は,授業の中で,関わり合って育まれていく

- 3 -補助資料

1.自動車工場見学の取組み (自動車工場を見学しよう①② 1次3・4時)(1)本時の目標 自動車工場の作業を実際に見て,自動車が作られていく順番や流れについて考える。(2)事前準備 見学シート 見学セット ぼうし 探検セット(3)キーワード 工場内の施設,作業の順番(プレス・溶接・塗装・組立て・検査)(4)展開

学 習 活 動 資 料 教師の働きかけ(・) 評価 【評価方法】予想される児童の反応(○) ☆言語活動キーワード

つ ①一人一人が立てた社会科 工場見学か 見学の目標や見学の仕方や ・社会科見学の目標や見学のマナーなどをしむ マナーについて確認する。 っかり守りましょう。また,説明していただ

く工場の方のお話を聞きましょう。 関心・意欲・態度10分 ②見学の順番に従って,自 見学シート それぞれの生産工程を見学して,分かったこ

動車がつくられる工程につ ・自分が作った社会科見学のめあてを確認しましょ と,分からなかったこと(新たに気付いたこいて考える。 う とや疑問に思ったこと)を捉え,新たな問い

○自動車がつくられる工程 としてメモに書きとめようとしている。(プレス 車体 塗装 組立て 検査 配送など)

ひ ○ロボットがあったことろ ③工場で働く人の様子につ 見学シート ○工場の機械の大きさや音げ いて考える。 ○ラインの動きる ○働く人たちの服装や動きなど7 0分 ・見学のマナーの確認をしましょう。

○説明をしている時は,目を見てしっかり聞く。無駄口,おしゃべりはしない

○鉛筆や消しゴムは使わない 思考・判断・表現○帽子をかぶる 見学を通して,考えたことや思ったこと○工場内にある部品などさわらない。など を書き表現している。

【観察・記録】④見学して分かったことを 見学シートメモしたり,分からなかっ ・自分が調べたいところを見ることができたり,分 ☆作業の順番たことは質問したりする。 からないときには質問することができたか確認しま (プレス・溶接・塗装・組立て・検査

ま しょう。 工場内の施設とめる

・今日の学習の振り返りをする。1 0分

Page 47: 社会科の指導における思考力・判断力・表現力を育 …...1 思考力・判断力・表現力について 社会科において,思考力・判断力・表現力の三つの力は,授業の中で,関わり合って育まれていく

- 4 -補助資料

1.自動車工場見学の取組み (自動車見学をまとめよう 1次5時)(1)本時の目標 自動車工場見学の学習のめあてについて振り返り,見学の感想をまとめる。(2)事前準備 みつけたよシート(青色の付箋)パンフレット,見学時の写真,メッセージシート(ピンクの付箋)(3)キーワード 作業の順番(プレス・溶接・塗装・組立て・検査 ,ライン,ロボット作業)(4)展開

学 習 活 動 資 料 教師の働きかけ(・) 評価 【評価方法】予想される児童の反応(○) ☆言語活動キーワード

つ ①それぞれのシートに分か 見学シート ・工場見学で発見したことを見学シートを見ながらか ったこと・分からなかった 見つけたよシートに分かったことを書いてみましょむ ことを書く (そのときの う。。

自分の気持ちや考えも ○ロボットがいろいろなところで動いていた。 関心・意欲・態度5分 書く) 資料① ○工場の中は油のようなにおいがした。 進んで自分の考えを言ったり友達の考えを聞

, 。パンフ ○ラインに乗って車が作られていた。 いたりして 話合いに参加しようとしているレット ○働く時間は 交代で行われていた。2

ひろ ・自動車のつくる工程の順にわけて,友達と話げ ②「自動車ができるまで」 し合ってみましょうる の掲示板に順番に貼ってい 思考・判断・表現

く わからなかったことは 自分の考えや友達の考えをシートに書3 0 。 ,分 メッセージシートに書いて き表現している。

黒板に貼る。 【観察・記録】自分の予想との相違が分かるようにする。 ☆作業の順番

(プレス・溶接・塗装・組立て・検査)ライン,ロボット作業

・それぞれのメッセージシートや見つけたよシート③みつけたよシートやメッ メッセージ をみて,自分が調べたことと同じところ違うところセージシートを見ることを シート を確認してみましょう。知らせる。 付箋紙

ま ④メッセージカードから見 原稿用紙 ・関東自動車工業の方に手紙を書いてみましょう。と 学させていただいた会社とめ のつながりをもつ。る

⑤自己評価をする。 学習カード1 0分 ・今日の学習の振り返りをする。

Page 48: 社会科の指導における思考力・判断力・表現力を育 …...1 思考力・判断力・表現力について 社会科において,思考力・判断力・表現力の三つの力は,授業の中で,関わり合って育まれていく

- 5 -補助資料

2.自動車づくりにはげむ人々 (どんな車をつくろうかな? 2次1時)(1)本時の目標

自動車のデザインを考えたり,設計したりする様子を社会科見学の資料をもとに調べ,自動車づくりについて理解できるようにする。(2)事前準備 写真資料 学習カード 見学シート(3)キーワード デザイン,協力 コンピュータ(4)展開

学 習 活 動 資 料 教師の働きかけ(・) 評価 【評価方法】予想される児童の反応(○) ☆言語活動キーワード

つ ①自動車のデザインや設計 資料①写真 ・資料を見て自動車のデザインについて気付いたこか について調べる。 とや疑問に思ったことを発表してみよう。む10分 自動車のデザインや設計はどのように行われて

いるのだろうか。いろいろな資料をもとにしながら調べてみましょう。

○かっこいい車がたくさんあります。②自動車を設計する人たち ○多くの人がデザインをみている。の仕事や思いについて調べる。 資料②写真 ・デザイナーの話を読んで,いろいろな資料から自 知識・理解

ひ 1~6 動車の設計にかかわる人の仕事や思い願い工夫や努 自動車の開発には多くの人のアイディアが結ろ 力について考え,話合ってみましょう。 集されていることを理解している。げる ○要望に応えるだけでなく,それらの要望を超える

資料③文書 ような車を作ってきた。25分 「デザイナ ○コンピュータを使って設計をしている。

③自動車づくりについて調 ーの」話 ○話合いをして一緒に作業している。べたいことをまとめる。 思考・判断・表現

資料④ ・自動車を設計する人たちの仕事の様子や工夫や努 自動車の設計やデザインに関わる人々資料集 力など調べてわかったことを発表してみましょう。 思いや工夫を捉えて表現している。64 ② ○自動車を設計する人は,お客さんの要望をとても 【観察・記録】

ま 大切にしていることが分かりました。 ☆デザイン,協力,コンピュータと ○自動車のデザインは何人かで協力して,話合いなめ がらしていることが分かりました。る ④自己評価をする。 ○デザインされた車は,どのようにして作られるの

か知りたくなった。10分 学習カード ・今日の学習の振り返りをする。

Page 49: 社会科の指導における思考力・判断力・表現力を育 …...1 思考力・判断力・表現力について 社会科において,思考力・判断力・表現力の三つの力は,授業の中で,関わり合って育まれていく

- 6 -補助資料

2.自動車づくりにはげむ人々 (自動車ができるまで 2次2時)(1)本時の目標 自動車できるまでの工程や働く人たちの作業の様子を捉えることができるようにする。(2)事前準備 見学シート パンフレット 電子黒板(3)キーワード 生産工程,ロボット作業,手作業(4)展開

学 習 活 動 資 料 教師の働きかけ(・) 評価 【評価方法】予想される児童の反応(○) ☆言語活動キーワード

つ ①自動車工場に行った自分 ・自動車ができるまでの生産の工程を確認してみまか たちの見たことや体験した 見学シート しょう。む ことを振り返る。 資料① ○生産工程や工場の様子は,資料などから予想して

パンフレッ いたものとはどう違ったのだろうか。1 0分 ト ○それぞれの生産工程を見ながら,自動車のどこの

資料② 部分をどのように作業していたのか見つけてみよう資料集 ○ロボットはそれぞれの工程でどのような役割を果

ひ ②それぞれの工程で,人の 65③ たしていたのかもう一度見てみよう。ろ 受け持つ仕事のロボットのげ 役割を捉えるる

資料③2 5分 関東自動車 ・それぞれの生産工程をみて,ロボッ 思考・判断・表現

工業HP トや人がどんな作業をしているのか, 自分が記したメモから自動車工場の生産気づいたことを話し合ってみましょう。 工程の様子について,自分の考えを表現

している。見学シート ○ロボットの作業は,プレス工場,車体工場,塗装 【観察・記録】

工場に多く見られました。 ☆生産工程,ロボット作業,手作業○組立て工場では,人とロボットが一緒に働いていました。○人の代わりに無人の車が通していました 関心・意欲・態度

進んで自分の考えを言ったり,友達の考えを③自動車づくりを見学して ・さらに調べてみたいことをメモしていきましょう 聞いたりして,話合いに参加しようとしてい。

ま 新たに気付いたことや疑問 ○働く人が,作業しやすくするためにどんなことを る。と に思ったことについてメモ しているのだろうか。め をさせる ○「検査」や「出荷」とは,どんなことをしているる のだろうか。1 0分

④自己評価をする。 学習カード ・今日の学習の振り返りをする。

Page 50: 社会科の指導における思考力・判断力・表現力を育 …...1 思考力・判断力・表現力について 社会科において,思考力・判断力・表現力の三つの力は,授業の中で,関わり合って育まれていく

- 7 -補助資料

2.自動車づくりにはげむ人々 (自動車づくりの工夫をインタビュー 2次3時)(1)本時の目標 自動車づくりが分業によって効率的に進められていることを理解するとともに,働く人の工夫や努力,思いなどを捉えること

ができるようにする。(2)事前準備 文書資料,写真資料,(3)キーワード 速く・正確に・安全に,ライン,ロボット作業(4)展開

学 習 活 動 資 料 教師の働きかけ(・) 評価 【評価方法】予想される児童の反応(○) ☆言語活動キーワード

つ ①自動車ができるまでの工 資料① ・工場で働く人はどんなことに気をつけて作業をしか 程やロボットと人の作業の 113 ていると思いますか。資料を見て考えてみましょうPむ 様子をもとに,疑問に思っ インタビュ ○1台の完成に約20時間,工場全体では,1分か

たことや確かめたいことを ー資料 ら2分に1台の割合で自動車ができている。1 0。分 話し合う ○ロボットを使って作業しているところがあります

働く人が安全で無理なく作業できるような工夫があるのではないでしょうか。

・工場では「速く正確に安全に」自動車をひ ②自動車づくりの工夫を確 資料② ③ 作るためにどんな工夫をしているでしょうか。ろ かめる

, ,げ ○車体工場では 溶接する場所にロボットを使ってる 大切なところは人がやって,安全と速さに気をつけ 思考・判断・表現

て作業を行っている。 自動車工場で働く人の「速く,正確に2 5分 ○いろいろな種類の車をつくるため,コンピュータ 安全に」自動車を作るための工夫や努

で作業を管理し,作業内容を示す紙を見て正確に組 力,思いを捉え表現している。み立てを行っています。 【観察・記録】・働く人はどんな気持ちをもち,工夫や努力をして ☆速く・正確に・安全に,ライン,

③ラインの作業を調べ,働 資料④ ⑤ いるのでしょうか。 ロボット作業く人の工夫や努力を考える ○働く人は速く,正確に,安全に作業したいという

気持ちでチームで話合いながら作業をしている。。・チームの分業によってどんなよい点がありますか

○一人が部品を全部取り付けるのでなく,分業を行ま って効率よく作業を進め,注文に応えた生産ができ 知識・理解と る。 自動車づくりが分業によって,効率的に進めめ られていることを理解している。る

④自己評価をする。 学習カード ・今日の学習の振り返りをする。1 0分

Page 51: 社会科の指導における思考力・判断力・表現力を育 …...1 思考力・判断力・表現力について 社会科において,思考力・判断力・表現力の三つの力は,授業の中で,関わり合って育まれていく

- 8 -補助資料

2.自動車づくりにはげむ人々 (働く人にやさしく,環境にもやさしく 2次4時)( ) , , , 。1 本時の目標 自動車工場では 働く人の環境を整え 地域の環境も守りながら 自動車を生産していることを捉えることができようにする(2)事前準備 写真資料,文書資料(3)キーワード 環境,資源ステーション,リサイクル(4)展開

学 習 活 動 資 料 教師の働きかけ(・) 評価 【評価方法】予想される児童の反応(○) ☆言語活動キーワード

つ ①工場で働く人が働きやす 学習カード ・工場の人は,どんな工夫があると働きやすくなるか いために,どんな工夫があ のでしょうか。前の時間を振り返って考えてみましむ ったらよいと思うか話し合 ょう。

い,調べる計画を立てる。 ○長時間の作業は疲れてしまうので,休憩をとるよ1 0分 うにする。

○休憩や食事が快適にできるような工夫や,工場以外の他の場所でも気持ちよく過ごせるようにする。

働く人や地域の環境のために,ひ ②写真や資料を手がかり 資料①文書 どんな工夫をしているのだろうろ に,工場の人たちが働きや 資料②写真 ・写真や案内係の佐藤さんの話などから,げ すくするための工夫につい 資料③表 工場の人が働きやすくなるようにどんな工る て調べる。 夫があるか調べましょう。 技能

工場の人が働きやすいための工夫や,地域の2 5分 ○見晴らしの良い所に食堂を作り,働く人がゆった 環境を守るための取組みについて,写真や資

りした気分で食事や休憩をする。 料を関連付けて読み取っている。○冷暖房の設備や空気をきれいにする機械が付けられている。○ロボットの周りには柵が作られている。

③地域環境を守るために取 資料④写真り組みについて調べ,その 資料⑤イラ ・工場では地域の環境のことを考えてどのような取工夫の意味を考える スト図 組みを行っているでしょうか。資料をもとに考えて 思考・判断・表現

みましょう 地域の環境を守りながら,自動車生産○工場から出た燃やせるゴミは燃やして廃棄物を減 を行っていくことの意味を考え,表現し

ま らし,金属はリサイクルをする。また廃水は魚が住 ている。と めるほどきれいにする。 【観察・記録】め ○環境や資源を大切にして,自動車づくりをしてい ☆環境,資源ステーション,リサイクルる く。1 0分 ④自己評価をする。 学習カード ・今日の学習の振り返りをする。

Page 52: 社会科の指導における思考力・判断力・表現力を育 …...1 思考力・判断力・表現力について 社会科において,思考力・判断力・表現力の三つの力は,授業の中で,関わり合って育まれていく

- 9 -補助資料

2.自動車づくりにはげむ人々 (部品はどこから? 2次5時)(1)本時の目標 自動車のシートを作る工場について調べ,シートの生産や出荷の様子から自動車工場との結びつきに気付くことができるよう

にする。(2)事前準備 工場周辺地図 写真資料 電子黒板(3)キーワード 関連工場, 万個の部品,流れ作業3(4)展開

学 習 活 動 資 料 教師の働きかけ(・) 評価 【評価方法】予想される児童の反応(○) ☆言語活動キーワード

つ ①自動車を組立てるための ・ 台の自動車を作るためには約2~3万個の部品1か 部品について気がついたこ が必要です。そうした部品はどこで作られているのむ とや疑問に思ったことを話 でしょうか。

し合う。 ○全ての部品を作ることはできなので,別の工場で1 0分 作っている。自動車のシートは,どのようにして届

くのだろう

②シートがどのように生産 自動車工場 ・シートはどこで作られ,どのようにして届 思考・判断・表現ひ され,出荷されているか調 周辺地図 けられるのでしょうか。写真や資料の流れを シートの生産や出荷の様子からシートろ べる 資料①写真 もとに調べましょう 工場と自動車工場の結び付きについげ 資料②文書 て考え,表現している。る ○シート工場は,自動車工場の近くにあり,たくさ 【観察・記録】☆関連工場,

んのシートを自動車工場に届けていることが分かる 万個の部品,2 5 3。分 ○多いときには1日で2000組のシートをトラッ 流れ作業

クで自動車工場に納めている。。・シートをたくさん作れば問題はないのでしょうか

班ごとに話し合ってみましょう 技能○いつも同じ数の自動車を生産するとは限らず,ニ 地図やグラフなどの資料を使って,様々な観ーズに応えて作られているので 数は変わってくる 点からシート工場と自動車工場の結びつきを, 。置く場所もない。 捉えることができる。

③シート工場と自動車工場 資料③ ・グラフからどんなことが読み取れますかの結びつきについて考える グラフ ○ 年以降シートの生産が大きく減少している。2005

電子黒板 数が安定しないのでシート工場でも悩みがある。ま ・シート工場と自動車工場は,どんな関係なのでしと ょうめ ○シートの生産は自動車工場の生産の流れはとてもる ④自己評価をする。 強く結びついていて,お互いが協力し合って生産を

学習カード していることが分かる。5分 ・今日の学習の振り返りをする。

Page 53: 社会科の指導における思考力・判断力・表現力を育 …...1 思考力・判断力・表現力について 社会科において,思考力・判断力・表現力の三つの力は,授業の中で,関わり合って育まれていく

- 10 -補助資料

2.自動車づくりにはげむ人々 (工場を支える工場 2次6時)(1)本時の目標 関連工場で働く人々の工夫や努力,思いについて調べ,自動車づくりを支える人々の協力や関連工場の働きを捉えることがで

きるようにする。(2)事前準備 工場周辺図,ハンドル・ミラー(実物)電子黒板(3)キーワード ジャストインタイム,協力,関連工場(4)展開

学 習 活 動 資 料 教師の働きかけ(・) 評価 【評価方法】予想される児童の反応(○) ☆言語活動キーワード

つ ①シート工場を手がかりに 資料① ・自動車工場へ時間通りに部品を届けるのは,シーか 他の関連工場についても目 周辺地図 ト工場だけなのでしょうか。他の関連工場は,どうむ を向け,自動車づくりの中 資料②実物 でしょうか。

の関連工場の役割をおさえ 車の部品 ○関連工場の殆どが,部品を運びやすいように自動1 0分 る ハンドル 車工場の周りに作られている。

ミラーなど ○どの関連工場も自動車生産にうまく合わせるよう電子黒板 に速さと正確さに気を付けている。グーグルアース ・関連工場が自動車工場から注文された数を作

ひ ②関連工場で働く人の工夫 資料③関連 って時間通りに部品を届けるとどんなよいこ 技能ろ や努力思いについ調べる 工場の資料 とがあると思いますか。 関連工場で働く人たちが注文通り部品を納めげ 資料④ るために工夫や努力をしていること,良い品る 勤務表 ○注文された数だけ作るので,余ることがなく無駄 質を保つために気をつけていることを資料か

な部品を作らなくてすむ ら読み取っている。2 5分 ○決まった時間に部品が届き,作業時間に無駄がな

く,速く自動車をつくることができる。・このように必要な部品の数を決められた時間に自動車工場に届けて無駄をなくす仕組みを「ジャスト・イン・タイム方式」といいます。では関連工場で

③自動車づくりを支える人 資料⑤文書 働く人々の工夫や努力・思いについて資料から調べ々の協力や関連工場の働き 資料⑥文書 ましょう。 思考・判断・表現についてまとめる。 ○不良品を出さないで,注文に応えるようにする。 自動車づくりを支える人々の協力や関

資料⑦ ・自動車工場と関連工場は,どのように結びついて 連工場の働きを捉え表現している。ま 関連工場の いるか「自動車工場 「関連工場 「ジャストインタ 【観察・記録】」 」と 関係資料 イム 「協力」の言葉を使って説明してみましょう。 ☆ジャストインタイム,」め ④自己評価をする ○自動車工場では,ジャストインタイム方式を使っ 協力,関連工場る て,生産ラインが部品工場までリレーしながら結び

学習カード ついている。多くの関連工場に支えられ,協力し合1 0分 って自動車がつくられる。

Page 54: 社会科の指導における思考力・判断力・表現力を育 …...1 思考力・判断力・表現力について 社会科において,思考力・判断力・表現力の三つの力は,授業の中で,関わり合って育まれていく

- 11 -補助資料

3.自動車が届くまで (遠くへ早く運ぶ 3次2時)(1)本時の目標 全国各地に広がる交通網について調べ,人や物を運ぶ運輸の仕事が果たす役割に気付くことができるようにする。(2)事前準備 交通網図(高速道路,鉄道,航空路 ,地形図,人口分布図(電子黒板))(3)キーワード 交通網,太平洋側,人口(4)展開

学 習 活 動 資 料 教師の働きかけ(・) 評価 【評価方法】予想される児童の反応(○) ☆言語活動キーワード

つ ①主な高速道路の名前と場 資料① ・自動車輸送に利用されていた高速道路の広がりにか 所を調べる 交通網 ついて,主な高速道路の名前を調べて,資料に書きむ 高速道路 込んでみましょう

○主な高速道路は 本あります。1 0 10分 ○同じ都市を結んでいるのにそれぞれ違うコースを

通っている道路もあります。

・高速道路以外の交通網の広がりについても調べてみましょう。鉄道・航空路や航路はど

ひ ②鉄道や航空路,航路の広 資料② うでしょうか。ろ がりについて資料をもとに 鉄道路線げ 調べる 資料③ ○鉄道は高速道路と同じように走っている。新幹線る 航空路路線 は東京を中心にいろいろな方向に走っている。多く

は太平洋側に走っている。2 5分 ○航空路は東京と大阪を中心に各都市と結ばれてい 技能

る 距離の長い航空路がたくさんの人を運んでいる 地図をもとにして,交通網の広がりと地形や。 。③交通網や地形の広がりや 資料④ ○東京に交通網が集中しているのはなぜか。 人口分布との関係を読み取ることができる。人口分布との関係について 地形図 ・交通網の広がりの特色について,地形図や人口分話し合う。 資料⑤ 布図をもとに班ごとに考えてみましょう。

人口分布 ○東京や大阪に交通網が集まってるのは人口が多い電子黒板 からです。

④いろいろな交通機関の長 ○航空路も航路も大きな都市を結んでいます。 思考・判断・表現所と短所を考える。 ・それぞれの交通機関の長所・短所を考えてみまし 交通網の特色について利便性,経済性

ょう。 環境への影響などの視点から捉え,それま ○人を運ぶときには,飛行機は移動距離が長いとき ぞれの特徴について表現している。と に速くて便利で 短いときには鉄道や自動車が便利 【観察・記録】, 。め ○物を運ぶときには,船が一度にたくさん運ぶこと ☆交通網,太平洋側,人口る ができるので便利で,目的地に直接運ぶときにはト

⑤自己評価をする。 ラックが便利です。1 0分 学習カード ・今日の学習の振り返りをする。

Page 55: 社会科の指導における思考力・判断力・表現力を育 …...1 思考力・判断力・表現力について 社会科において,思考力・判断力・表現力の三つの力は,授業の中で,関わり合って育まれていく

- 12 -補助資料

4.これからの自動車づくり (要望にこたえて 4次1時)(1)本時の目標 自動車に乗る人たちの願いが,自動車づくりにどのように生かされているのかについて調べることができるようにする。(2)事前準備 イラストカード,電子黒板,新聞広告・チラシ・パンフレット,(3)キーワード 安心,デザイン,環境(4)展開

学 習 活 動 資 料 教師の働きかけ(・) 評価 【評価方法】予想される児童の反応(○) ☆言語活動キーワード

つ ①家の人がどんな自動車に 資料① ・家の人はどのような自動車に乗りたいと思ってい 関心・意欲・態度か 乗りたいか話し合う。 家からのイ ましたか 内容ごとにもう一度整理してみましょう ホームページやテレビの ,広告のチラシ。 。 CMむ ンタビュー ○安全な車 ○かっこいい車 ○安い車 などから,消費者の要望を意欲的に調べ,追

○燃費の良い車 ○環境にやさしい車 など 究するテーマを決めようとしている。5分

②自動車に乗る人がどんな 資料② ・自動車は,どのような要望にもとづいて作られて要望をもっているか調べる 自動車会社 いるのだろう 。ホームページや本,チラシ広告,パ

ひ (調べ活動) HP(PC ンフレット,などから調べてみましょうろ 室) ○環境に優しい車げ (図書室) ○ハイブリット車る ③乗ってみたい車について ○前に障害物があると,自動的にブレーキがかかる

今までの学習を振り返りな 車3 0分 がら考える。 資料③

イラスト ・ 自分が将来乗ってみたい車」について,「カード 今までの学習したことを振り返りながら,もう 思考・判断・表現

一度,一人ひとり考えてみましょう。 自分が「あったらいいな」と思う自動車について理由を考えて表現している

それぞれのテーマごとに考えをまとめていく。○環境にやさしい車づくり 【観察・記録】排気ガスを出さない車 ☆安全,デザイン,環境燃料をあまり使わない車○だれにでもやさしい車づくりお年寄りが乗りやすい車車いすのまま乗ることができる車

ま ○安心・安全な車づくりと 車にぶつからない車め 飲酒運転をさせない車 などる ○快適な車づくり

道案内を自動でしてくれる車1 0分 ④自己評価をする。 学習カード ・今日の学習の振り返りをする。

Page 56: 社会科の指導における思考力・判断力・表現力を育 …...1 思考力・判断力・表現力について 社会科において,思考力・判断力・表現力の三つの力は,授業の中で,関わり合って育まれていく

- 13 -補助資料

4.これからの自動車づくり (地球環境を考えた自動車づくり 4次2時)(1)本時の目標 自動車会社では,環境にも人にもやさしい車づくりに取り組んでいることに気付き,これからの自動車づくりについて,意見

をもつことができるようにする。(2)事前準備 イラストカード 学習カード 新聞(3)キーワード 安心・安全・環境,人にも環境にもやさしい車(4)展開

学 習 活 動 資 料 教師の働きかけ(・) 評価 【評価方法】予想される児童の反応(○) ☆言語活動キーワード

つ ①消費者の要望に応える自 イラスト 知識・理解か 動車づくりについて,発表 カード ・これからの自動車づくりは,どのようなこ これからの車づくりには,快適性や便利さだむ を聞いてわかったことをま とが求められるのだろうか。友達の調べたこ けでなく,環境や福祉について考えることも

とめる。 学習カード とを聞いて,分かったことをまとめてみよう。 重要であることを理解している。1 0分

・環境にやさしい車づくり○電気自動車は,排気ガスが出ないガソリンなどの

ひ ②これからの自動車づくり 資料① 燃料を使わない車です。ろ について話し合う。 資料集 ○地球の温暖化や空気の汚れ,石油などの資源の減

。げ 図書 少などの問題を解決するために自動車づくりがあるる ・みんなにやさしい車づくり

○体の不自由な人でも簡単に運転できる車が作られ2 5分 ています。

○車いすに乗ったままでも運転できる車が作られています。・安全・安心な車づくり○暗闇でも歩行者を見つけて運転できる車。○お酒を飲んでいると,車のエンジンがかからない車づくり・快適な車づくり 思考・判断・表現○道に迷わないナビシステムが付いた車づくり これからの自動車づくりについて,自○車の中で楽しく過ごせる車づくり 動車に乗る立場,自動車をつくる立場・これからの自動車づくりは,どのようなことが求 の両面から考え,自分なりの考えを表

ま められるのだろう。 現している。と 学習カード ○便利さや快適さだけを求めるだけでなく,地球の 【観察・記録】め 環境のことを考えた車づくりが必要です。 ☆安心・安全,環境,る ○どんな人でも気軽に車に乗って移動することがで 人にも環境にもやさしい車

きる,安心な安全な車づくりが必要1 0分 ③自己評価 学習カード ・学習の振り返りをする。

Page 57: 社会科の指導における思考力・判断力・表現力を育 …...1 思考力・判断力・表現力について 社会科において,思考力・判断力・表現力の三つの力は,授業の中で,関わり合って育まれていく

- 14 -補助資料

2 社会科における四つの言語活動との関わりを示す評価規準表

評価規準段階 時間 ○ 観点 【評価方法】 評価基準(読み取り・解釈・説明・論述の言語活動との関わり) 努力を要する児童への手だて

☆ キーワード十分満足できる状況( ) 概ね満足できる状況( )A B

1時 オリエンテーション① ・自分があったらいいと思う自 ・自分があったらいいと思う自 ・今での生活における自動車の一次 思考・判断・表現 動車を自分や友達の考えや今ま 動車を考え,キーワードを使っ 役割や使い方について(買い物

○自分が「あったらいいな」と での知識や経験をもとに理由を て,発表したり記述したりして ・旅行・学校の遠足など)考え思う自動車を考え,その理由を 考え,キーワードを使って発表 伝えている。 させ,発表や記述ができるよう友達に分かりやすく伝えている したり記述したりして伝えてい に助言する。。【観察・記録】 る。☆安全,デザイン,環境

2時 オリエンテーション② ・自動車づくりの作業について ・自動車づくりの作業について ・自動車の材質は何であるのか思考・判断・表現 予想して,問いをもち,その情 予想して,問いをもち,キーワ 考えさせたり,図で表示されて○自動車づくりの作業について 報を資料を使いながらキーワー ードを使って説明している。 いる資料集や作業帳などから探予想して,問いをもち,表現し ドを入れて,友達に分かるよう して説明ができるように助言すている。 に説明している。 る。【観察・記録】☆開発,製造工程,

働く人の様子

3 社会科見学に行こう ・見学を通して,自分が作った ・見学を通して,自分が作った ・自分が作っためあてを確認さ・ 思考・判断・表現 めあてについて,読み取った情 めあてについて,キーワードを せ,見るポイントをしぼって見4 ○見学を通して考えたことや思 報をもとにして,キーワードを 使って,考えたことや思ったこ 学して,説明ができるようにな時 ったことを書き 表現している 使って,考えたことや思ったこ とを説明している。 るように助言する。, 。

, 。【観察・記録】 とを書き表して 説明している☆作業の順番(プレス・溶接・

塗装・組立て・検査)工場内の施設,働く人の様子

5時 社会科見学をまとめよう ・自分に必要な情報を友達の考 ・自分や友達の考えを見学した ・メモやパンフレットに記述さ思考・判断・表現 えや図やイラストを取り入れな 内容をもとにシートに書き表し れている内容をもう一度確認さ○自分の考えや友達の考えをシ がら,見学した内容の順番に従 ている。 せ,読み取りができるように助ートに書き,表現している。 って読み取り,シートに書き表 言する。【観察・記録】 している。

☆作業の順番(プレス・溶接・

Page 58: 社会科の指導における思考力・判断力・表現力を育 …...1 思考力・判断力・表現力について 社会科において,思考力・判断力・表現力の三つの力は,授業の中で,関わり合って育まれていく

- 15 -補助資料

塗装・組立て・検査 ,)ライン,ロボット作業

二次 1時 どんな車を作ろうかな ・自動車の設計やデザインには ・自動車の設計やデザインには ・資料の読み取りに視点を与え思考・判断・表現 多くの人々の思いや願い,工夫 多くの人々の思いや願い,工夫 て,わかることをもう一度確認○自動車の設計やデザインに関 や努力があることを資料から読 や努力があることを資料から読 させ,説明ができるように助言わる人々の思いや工夫を捉えて み取り キーワードを使って友 み取り キーワードを使って自 する。表現している。 達にわかるように自分の考えを 分の考えを表現している。☆デザイン,協力,コンピュー 表現している。タ

2時 自動車ができるまで ・自分が記したメモや自分が集 ・自分が記したメモから自動車 ・自動車の作り方について,工思考・判断・表現 めた資料から,自動車工場の生 工場の生産工程の様子について 程を教科書や資料集などから資,○自分が記したメモから自動車 産工程の様子について,キーワ キーワードを使って,自分の考 料として取り出し,見学したと工場の生産工程の様子について ードを使って,自分の考えがわ えを説明している。 きの様子などについて振りかえ,自分の考えを表現している。 かるように工夫して説明してい させ,説明ができるように助言【観察・記録】 る。 する。

☆生産工程,ロボット作業,手作業

3時 自動車づくりの工夫をインタビ ・自動車工場で働く人の 速く ・自動車工場で働く人の 速く ・資料を絞って,読み取る視点「 , 「 ,ュー 正確に,安全に」自動車を作る 正確に,安全に」自動車を作る を示し,考えがもてるように助思考・判断・表現 ための工夫や努力,思いなどを ための工夫や努力,思いを資料 言する。○自動車工場で働く人の 速く 資料や友達の考えなど複数の資 から捉えて,表現している。「 ,正確に安全に」自動車を作るた 料から捉えて,表現している。めの工夫や努力,思いを捉え,表現している。【観察・記録】☆速く・正確に・安全に,

ライン ロボット作業

4時 働く人にやさしく,環境にもや ・地域の環境を守りながら,自 ・地域の環境を守りながら,自 ・友達の意見や資料などから読さしく 動車生産を行っていくことの意 動車生産を行っていくことの意 み取るポイントを絞って考え,思考・判断・表現 味を考え,読み取った情報をも 味を考え,読み取った情報から 地域の環境について説明できる○地域の環境を守りながら,自 とにしてキーワードを使って, キーワードを使って説明してい ように助言する。動車生産を行っていくことの意 友達に分かるように説明してい る。味を考え,表現している。 る。【観察・記録】☆環境,資源ステーション,

リサイクル

Page 59: 社会科の指導における思考力・判断力・表現力を育 …...1 思考力・判断力・表現力について 社会科において,思考力・判断力・表現力の三つの力は,授業の中で,関わり合って育まれていく

- 16 -補助資料

5時 部品はどこから? ・シートの生産や出荷の様子か ・シートの生産や出荷の様子か ・友達の意見や資料などから読思考・判断・表現 らシート工場と自動車工場の結 らシート工場と自動車工場の結 み取るポイントを絞って考え,○シートの生産や出荷の様子か び付きについて考え,読み取っ び付きについて考え,読み取っ 説明できるように助言する。らシート工場と自動車工場の結 た情報をもとにしてキーワード た情報からキーワードを使ってび付きについて考え,表現して を使って,友達に分かるように 説明している。いる。 説明している。【観察・記録】☆関連工場, 万個の部品,3

流れ作業

6時 工場を支える工場 ・自動車づくりを支える人々の ・自動車づくりを支える人々の ・友達の意見や資料などいくつ思考・判断・表現 協力や関連工場の働きを資料か 協力や関連工場の働きをキーワ かの資料から読み取るポイント○自動車づくりを支える人々の ら読み取り,読み取ったいくつ ードを使って,友達に説明して を絞って発表や記述ができるよ協力や関連工場の働きを捉え, かの情報からキーワードを使っ いる。 うに助言する。表現している。 て,友達に分かるように伝えて【観察・記録】 いる。☆ジャストインタイム,協力

関連工場

三次 1時 輸送は船とキャリアカーで ・輸送方法ごとの特徴について ・輸送方法ごとの特徴について ・資料を絞って,読み取る視点,思考・判断・表現 情報と関連付けながら考え,ど 考え,どのような利点を自動車 を示し,輸送の方法について自○輸送方法ごとの特徴について のような利点を自動車輸送に生 輸送に生かしているのか,キー 分の考えが説明できるように助考え,どのような利点を自動車 かしているのか,キーワードを ワードを使って,自分の考えを 言する。輸送に生かしているのか,自分 使って 自分の考えを表現して 表現している。, ,の考えを表現している。 友達に伝えている。【観察・記録】☆運搬船,キャリアカー,

価格・費用

2時 遠くへ早く運ぶ ・交通網の特色について,利便 ・交通網の特色について,利便 ・資料を絞って,読み取る視点思考・判断・表現 性や経済性,環境への影響など 性や経済性,環境への影響など を示し,交通網の特色について○交通網の特色について利便性 の視点からの読み取った情報を からキーワードを使って説明し 自分の考えが説明できるように,経済性環境への影響などの視点 キーワードを使って分かりやす ている。 助言する。から捉え,それぞれの特徴につ く説明し,それぞれの特徴について表現している。 いて説明している。【観察・記録】☆交通網,太平洋側,人口

Page 60: 社会科の指導における思考力・判断力・表現力を育 …...1 思考力・判断力・表現力について 社会科において,思考力・判断力・表現力の三つの力は,授業の中で,関わり合って育まれていく

- 17 -補助資料

四次 1時 要望に応えて ・自分があったらいいと思う自 ・自分があったらいいと思う自 ・今での生活における自動車の思考・判断・表現 動車を自分や友達の考えや今ま 動車をキーワードを使って考え 役割や使い方について(買い物○自分が「あったらいいな」と での知識や経験をもとに理由を をもち,発表したり記述したり ・旅行・学校の遠足など)また思う自動車について理由を考え 考えながらキーワードを使って して伝えている。 今まで行ってきた学習を考えさて表現している。 発表したり記述したりしている せ,発表や記述ができるように。【観察・記録】 助言する。☆安心,デザイン,環境

2時 地球を考えた自動車づくり ・これからの自動車づくりにつ ・これからの自動車づくりにつ ・今までメモや学習カード・キ思考・判断・表現 いて,自動車に乗る立場,自動 いて,自動車に乗る立場,自動 ーワードなどから,読みとる視○これからの自動車づくりにつ 車をつくる立場の両面から,資 車をつくる立場の両面から,キ 点を示し,発表や記述ができるいて,自動車に乗る立場,自動 料をもとにして考え,キーワー ーワードを使って発表したり, ように助言する。車をつくる立場の両面から考え ドを使いながら自分なりの考え 記述したりしている。,自分なりの考えを表現している を発表したり,記述したりして。【観察・記録】 いる。☆安心・安全,環境,

人にも環境にもやさしい車

Page 61: 社会科の指導における思考力・判断力・表現力を育 …...1 思考力・判断力・表現力について 社会科において,思考力・判断力・表現力の三つの力は,授業の中で,関わり合って育まれていく

- 18 -補助資料

3 社会科学習における意識調査 結果調査1 調査2

○「好き,どちらかといえば好き」と肯定的に回答している ○「好き,どちらかといえば好き」と肯定的に回答している割合が38.7%から48.3%となっている。 割合が51.6%から64.5%となっている。

・地図帳の使い方が分かった ・写真を見るのが楽しくなった。 ・イラストや表などを入れると分かりやすくなった。。・資料の見方がわからない。 ・どんなことを書いていいのか分からない。

・言葉の意味がわからない。

調査3 調査4

○「好き,どちらかといえば好き」と肯定的に回答している ○「好き,どちらかといえば好き」と肯定的に回答している割合が29.0%から41.9%となっている。 割合が16.1%から48.3%となっている。

・発表の方法が分かったのでいうことができた。 ・社会科見学でいろいろな発見があり,見学シートに書くことがで・はずかしい気持ちがあるので全体では言うことができない。 きた。

・どんなことを書いていいのかわからない。

地 図 帳 や 資 料 集 を使 っ て 調 べ る こ と

5

4

1 0

8

1 1

1 4

5

5

0 % 2 0 % 4 0 % 6 0 % 8 0 % 1 0 0 %

事 後

事 前

好 き

どち ら か とい え ば す き

どち ら か とい え ば 嫌 い

嫌 い

新 聞 や ポ ス ター を作 る こ と

9

8

1 1

8

3

8

8

7

0 % 2 0 % 4 0 % 6 0 % 8 0 % 1 0 0 %

事 後

事 前

好 き

どち ら か とい え ば す き

どち ら か とい え ば 嫌 い

嫌 い

調 べ た こ とを発 表 す る こ と

6

3

7

6

8

1 0

1 0

1 2

0 % 2 0 % 4 0 % 6 0 % 8 0 % 1 0 0 %

事 後

事 前

好 き

どち ら か とい え ば す き

どち ら か とい え ば 嫌 い

嫌 い

調 べ た こ とをレ ポ ー トを書 くこ と

5

3

1 0

2

8

1 2

8

1 4

0 % 2 0 % 4 0 % 6 0 % 8 0 % 1 0 0 %

事 後

事 前

好 き

どち ら か とい え ば す き

どち ら か とい え ば 嫌 い

嫌 い

Page 62: 社会科の指導における思考力・判断力・表現力を育 …...1 思考力・判断力・表現力について 社会科において,思考力・判断力・表現力の三つの力は,授業の中で,関わり合って育まれていく

- 19 -補助資料

5年( )組 ( )番 名前( )社会科学習カード( / )

キーワード(大切な言葉)について学習すること

学習メモ今日の学習の振り返り① ②わかったことやわからなかったこと,もっと調べてみたいことを自由に書いてみましょう。

今日の学習の様子(当てはまるものに○をつけましょう)①資料を読み取ることができたか (できた だいたいできた あまりできなかった できなかった)②資料をもとにして,自分の考えをもつことができたか (できた だいたいできた あまりできなかった できなかった)③キーワードを使って話したり書いたりすることができたか(できた だいたいできた あまりできなかった できなかった)④キーワードを使って発表することができたか (できた だいたいできた あまりできなかった できなかった)

Page 63: 社会科の指導における思考力・判断力・表現力を育 …...1 思考力・判断力・表現力について 社会科において,思考力・判断力・表現力の三つの力は,授業の中で,関わり合って育まれていく

- 20 -補助資料