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成長を続ける南米の新興石油会社～PRE、OGX、HRT～

2012年6月14日

石油調査部

舩木 弥和子

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2008年、Pacific Stratus EnergyとPetro Rubiales Energyが合併、Pacific Rubiales Energy(PRE) に

– Pacific Stratus Energy：2004年設立。探鉱に強い主な資産は天然ガス

– Petro Rubiales Energy：開発、生産に強い。2007年にRubiales油田のオペレーターMeta Petroleumを買収。主な資産は重質油

2008年にKappa Energy、2011年にMaurel & Prom買収

コロンビアの他、ペルー、ガイアナ、グアテマラ、パプアニューギニアに権益保有

PRE 生産量急増 PDVSA の元幹部が中心となって設立⇒ベネズエラでの重質油生産の知識や経験を生かし、生産増

生産量の92.4％が重質油、6.0％が天然ガス、1.6％が軽質油

2011年は給与、労働条件や環境問題等についてRubiales、Quifa油田の労働者や地元住民が抗議行動⇒生産量伸び悩み

出所：PREホームページより作成3

PRE Rubiales油田 原始埋蔵量46億bbl、API比重12.5度

1981年Exxonが発見

2002 年、Meta Petroleumが6坑掘削、1,000b/d 弱生産

2003 年、14 坑掘削、生産量3,800b/d に

2007 年、Petro RubialesによるMeta Petroleum買収で、生産量急増

2009年9月、ODLパイプライン

完成

2011年の生産量は165,446b/d

2012年は開発井160坑掘削、

生産量を年末までに20万b/dに 出所：PREホームページより作成

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PRE Quifa油田 原始埋蔵量28億bbl、API比重13.5度

2010年4月、開発着手

Quifa SW生産中、Quifa North開発中

Quifa SWで開発井62坑を掘削した結果、生産量は2010年の4,819b/dから2011年は36,496b/dに急増

2012年は開発井120坑を掘削予定。Quifa Northの生産開始もあり、65,000b/dを生産する計画

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PRE Guairuro油田

2011年2月、子会社Meta Petroleum がLlanos Basin、CPE-6鉱区北部で6坑の掘削を行い、原始埋蔵量40億bbl のGuairuro油田を確認

生産開始は2012 年下半期

2015 年のフル生産時には15 万b/d を生産可能

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PRE La Crecienteガス田 Lower Magdalena Valley、SSJN-7鉱区La Crecienteガス田の生産量は60MMcf/d、2013年には倍増の計画。140MMcf/dを生産可能。埋蔵量(2P)7700万boe

2012年3月、PREはExmar LNGと同ガス田のガスを利用した小規模LNGプロジェクトで合意

– ExmarがFLRSU(Floating Liquefaction, Regasification & Storage Unit、液化能力50万t/年)を建造、操業

– PREはLa Crecienteガス田～Coveñas間パイプライン(全長88km、当初輸送能力100 MMcf/d)建設、ガス69.5 MMcf/dを15年間にわたり供給

– 2014年第4四半期に操業開始

– 半分はコロンビアに供給、半分はカリブ海、中米に輸出 7

コロンビア主要鉱区図

(各種資料より作成)8

PRE 探鉱 埋蔵量(2P)は2010年末の

2.69億boeから2011年末は4.07億boeに52%増

2012年はQuifa、CPE-6鉱区を中心に60坑を掘削予定

（出所：PREホームページ）

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PRE パイプライン、港湾設備 ODLパイプライン：Rubiales油田-Montrrey間全長

235km。OCENSAパイプライン経由でCoveñasへ。2009年完成。2011年第4四半期に送油能力34万b/dに拡張。PRE35%、Ecopetrol65%

OBCパイプライン：Casanare県Araguaney-カリブ海岸Coveñasの輸出ターミナル間全長960km。送油能力45万b/d。建設コスト42億ドル。Phase1のAraguaney-Banadia間(送油能力12万b/d)は2012年下半期に完成予定。PRE32.88%、Ecopetrol55.97%

Puerto Bahia Port：輸出ターミナル。貯蔵施設(貯蔵能力300万bbl)、Coveñas間のパイプライン(送油能力30万b/d)建設。2014年完工予定

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出所：PREホームページ

PRE コロンビア以外の地域への進出 ペルー

– 陸上116、135、137、138鉱区で探鉱中

– 2012年4月、BPZ Resources からTumbes Basin、Z-1鉱区の権益49%取得。同鉱区にはCorvina油田とAlbacora油田があり、埋蔵量(2P)は9,400万bbl、2012年第1四半期は 3,880b/d生産

出所：PREホームページ12

PRE コロンビア以外の地域への進出 ガイアナ

– ガイアナの6鉱区中5鉱区に権益を保有するCGX Energyの株式を2011年10月に18%、2012年5月に17%取得

– 2012年はCorentyne鉱区でEagle1号井掘削

(各種資料より作成)13

PRE コロンビア以外の地域への進出

グアテマラ

– 2012年は２D地震探鉱を実施

パプアニューギニア

– 2012年4月、陸上PPL237 鉱区の権益の10%をInterOilから取得

出所：PREホームページ 14

PRE 成長の理由

得意分野を持った企業がお互いを補完しあう形で合併、得意分野に集中し事業展開

PDVSA等ベネズエラの石油産業で長期

間勤務した技術力、知識、経験を有する人材を中心に設立

2年以内に埋蔵量を倍増させることが目標

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2007年7月、Eike Batista氏が所有するEBXの石油･ガス探鉱部門の子会社としてOGX’s Petróelo e Gás設立

同年11月、ブラジルの第9次ライセンスラウンドでCampos、Santos盆地等の浅海の鉱区を中心に21鉱区を取得

その後も権益取得を進め、現在、ブラジル、コロンビアの34鉱区に権益を保有

2008年6月、IPO

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OGX 探鉱

2009年8月から掘削を開始

リグ9基を確保

90坑以上(Campos Basin60坑以上、Santos Basin10坑以上、Parnaíba Basin10坑以上)を掘削

成功率約90％

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OGX Waimea油田 2012年1月末、Campos Basin、BM-C-41鉱区

Waimea(OGX-26HP、Tubarão Azul)油田生産開始

– 可採埋蔵量1.1億bbl。API比重20度

– 発見から25か月で生産へ

– FPSO OSX-1(生産能力6万b/d、貯蔵能力90万bbl)を用い、1万～1.3万b/dを生産中

– 2012年末までに生産量を4～5万b/dに引き上げる計画

– 同油田で生産された原油60万bblを3月にShellに売却 18

OGX Waikiki油田

Campos Basin、BM-C-39、40鉱区のWaikiki (Tubarão Martelo)油田、2013年末までにFPSO（OSX-3及びWHP-2）を設置予定

– 可採埋蔵量2.85億bbl。API比重23度

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OGX Parnaiba Basin 2009年以降、Parnaiba Basinで10坑掘削

PN-T-68鉱区のGavião Real（Fazenda São José）、Gavião Azul（Califórnia）ガス田の開発開始。2013年1月から生産開始、2013年生産量5.7MMm3/d期待。生産されるガスはMPXとPetra Energiaが建設中(建設コスト14億ドル)の発電所で利用予定

BatistaCEOによる、埋蔵量は10～15Tcf、15MMm3/dを生産できる見通し

OGXのParnaiba Basinへの総投資額は4.5億ドル 20

OGX プレソルト 2012年2月、リオデジャネイロ沖合102kmに位置するSantos Basin、BM-S-57鉱区で1-OGX-63-SPS（Fortaleza）井を掘削、原油を確認

– ネットペイ110m

– 水深155m

– 掘削長6,135m

– Santos Basin、Campos Basin大水深のプレソルトと同じタイプの貯留岩

– 現時点では埋蔵量18億bblと推定

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OGX 主要鉱区図

(各種資料より作成) 22

OGX 成長の理由

親会社EBXの巨大な資金力に加え、株式公開(2008年)、社債発行(2011年4月)により資金を確保

Petrobrasで30年以上勤務しGeneral ManagerやManagerを務め、ブラジルの石油産業で最も経験

を有する地質や地球物理学の専門家、エンジニアを多数採用

プレソルト以外の有望な鉱区に着目

2019年の生産目標140万b/d

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2004年、コンサルタント、サービス会社High Resolution Technology & Petroleum (HRT Petroleum)設立

2009年、HRT Oil & Gas設立。Solimões Basinの21の鉱区の権益取得

2010年、ナミビア沖合鉱区の権益取得

2010 年10月、IPO実施

Solimões Basinとナミビア以外にも、Recôncavo Basin2鉱区、Espírito Santo Basin1鉱区、Rio do Peixe Basin1鉱区の権益を保有

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HRT Solimões Basin HRTはSolimões Basinの21鉱区(総面積48.5 km²)の権益の55%を保有、オペレーター

2011年、地震探鉱実施。試掘井4坑を掘削、2坑で出油出ガス、2坑で出ガスに成功

資材、機材、人材輸送のため子会社Air Amazônia設置

アマゾンの環境保護と社会プロジェクト実施のため「HRT Green Barrel」を開始、同地域で生産される原油1bblにつき1 レアル(0.63 ドル)を寄付

2011年、パートナーのPetra Energiaがこれらの鉱区の権益の45%をTNK-BPに売却

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Solimões Basin主要鉱区図

出所：HRTホームページ

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HRT ナミビア 沖合12鉱区(総面積68,800 km2)の権益を保有。3D地震探鉱実施中

出所：HRTホームページ27

HRT 成長の理由

PetrobrasやANPで長期間勤務した経験を持ち、

ブラジルの陸上・沖合での探鉱・開発について専門的な知識や技術を有する地質学者やエンジニアを中心に設立

Solimões Basinとナミビアを中心に活動

2010 年10 月にIPO を実施し、約15 億ドルを集める

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終わりに 設立後わずか3~5年の間に急成長を遂げたPRE、

OGX、HRTの共通点

– 高度な技術、知識、経験を有する人材の確保

– 得意分野、地域への集中

– 資金の確保

1980～1990年代の生産量急増時に国営石油会

社の手が回らない穴を埋める形で新興企業が出現した北海の状況に類似。国営石油会社の独占を排除し、新興企業の活動を認めることで、相乗効果を生み生産量の伸びに拍車

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