24
インソール型足底荷重計測による 腰痛リアルタイム評価システム 産業医科大学 医学部 整形外科学 講師 中村 英一郎 黒崎播磨(株) 統括産業医 筒井 隆夫 医学部合同新技術説明会 2013/11/26

インソール型足底荷重計測による 腰痛リアルタイム …...インソール型足底荷重計測による 腰痛リアルタイム評価システム 産業医科大学

  • Upload
    others

  • View
    6

  • Download
    0

Embed Size (px)

Citation preview

インソール型足底荷重計測による腰痛リアルタイム評価システム

産業医科大学 医学部 整形外科学 講師 中村 英一郎黒崎播磨(株) 統括産業医 筒井 隆夫

医学部合同新技術説明会 2013/11/26

腰痛とは

日本では医療機関を受診する愁訴として腰痛が最も多い。

日本人の8割以上が腰痛を経験している。 腰痛患者の85%は原因が特定しきれていない。

非特異的腰痛とは

非特異的腰痛とは、腰椎での神経根や馬尾由来の症状がなく、あるいは骨折、感染症や悪性腫瘍など重篤な外傷、疾患による症状を含んでいない腰部の痛み

原因を特定できない理由頻度、程度、症状のある期間などが個々でかなり異なる。患者の記憶、陳述によって発症時の状況を把握することしかできず、客観的なエビデンスを得ることが難しい。日常診療では、患者の動作や姿勢をみることは短時間しかできない。

職場における腰痛の要因

リアルタイム腰痛評価システム開発への医療現場のニーズ

腰痛発症時の状況の客観的把握勤務中や日常生活の動作・姿勢の長時間把握

厚生労働省基発第547 号「腰痛予防指針」

従来技術と課題

OWAS法 (Ovako Working Posture Analysing System)腰痛のリスクを評価するための作業姿勢評価方法

体の各部分のコードと重量のコードを組み合わせたマトリックスから健康障害のリスクを評価

手作業であり、日常生活の長時間記録はできない。

荷重記録は、0.05秒毎に足圧を測定し、1秒毎にその平均値と最大値を記録。14時間ほど記録可。

インソール型足底荷重記録装置の開発

動作・姿勢判別技術の検証

「歩行」「立位」「座位」「脱靴」時の足圧の推移両足の靴に装置を装着した。1秒毎の踵側、つま先側の平均値、最大値の推移を示す。図は、両足の結果。

日常動作の例各基本動作の平均値および最大値を基準値として、実際の行動を1分間隔で各基本動作に判別した。

動作・姿勢判別技術の検証

各基本動作の判別「走行」「歩行」「静止した立位」「静止した座位」「動きのある立位」「動きのある座位」「脱靴」を各10分間3回実施した場合の各動作に判別された時間。「動きのある立位」は、他の動作より標準偏差が大きかった

動作・姿勢判別技術の検証

各基本動作の判別「走行」と「歩行」を「歩行」に、「静止した立位」と「動きのある立位」を「立位」に、「静止した座位」と「動きのある座位」を「座位」に統合した場合の各動作に判別された時間。「動きのある立位」を「静止した立位」と統合して「立位」とすれば、他の動作と同程度の標準偏差になった。

動作・姿勢判別技術の検証

検証試験のまとめ

インソール型足底荷重記録装置を使用して、「歩行」「立位」「座位」「靴を脱ぐ」という基本動作の足圧の基準値を求めると、実際の行動を足圧のパターンによって各基本動作に判別できた。

「歩行」 「立位」 「座位」 「靴を脱ぐ」

腰痛評価システムの検証

目的インソール型足底荷重計を使用し、勤務中や日常生活に

おける基本的な動作を経時的に判別し、腰痛出現と姿勢との関連を客観的に調査すること。

「歩行」 「立位」 「座位」 「靴を脱ぐ」

評価システムインソール型足底荷重記録装置(左)痛み計測装置(右)2つの装置を同期させ動作・姿勢と痛みの出現時間を一致させる。

• 荷重記録は、0.05秒毎に足圧を測定し、1秒毎にその平均値と最大値を記録。14時間ほど記録可。

• 痛みは10段階評価(0を除く)のボタンを押し記録。

腰痛評価システムの検証

腰痛評価システムの検証

立位作業者と座位作業者の「歩行」「立位」「座位」「脱靴」の労働時間に占める割合立位作業者では、「立位」が、労働時間の約60%を占めており、座位作業者では、「座位」が、労働時間の約60%を占めていると判別された。

腰痛評価システムの検証

座位作業者と立位作業者の姿勢と腰痛出現との関係の例

立位作業者1

Oswestry Disability Index:6%(3/50)

両足

左足

右足

腰痛 × 4回

70分

立位作業開始

40分

初回腰痛出現まで70分立位作業2時間における腰痛回数は4回

立位作業者2

Oswestry Disability Index:22%(11/50)

両足

左足

右足

腰痛 × 36回

重心移動が頻回に行われており、動きのある立位状態または歩行と認識

多少動きはあるものの立位を保っている

立位作業開始後4分で腰痛出現

検証試験のまとめ

立位作業、座位作業などのstaticな作業に伴う腰痛の場合、その姿勢の持続時間と腰痛出現との関係が客観的に把握できる。

想定する事業展開

作業姿勢の判別

腰痛出現の予測

腰痛リアルタイム評価システムの構築

本技術により動作・姿勢データをリアルタイムに取得

スマホや専用器に荷重データや痛みの程度を経時記録

データ保管と診断支援のための腰痛出現パターンの解析

スマホや専用器にデータ送信

スマホや専用器による腰痛防止のための予防医学的介入

技術的課題と企業への期待

無線内蔵の足底荷重計測インソールの開発

スマートフォン向けアプリや専用データ送受信機の開発

クラウドや専用サーバー上のデータ管理・介入システムの構築

本技術に関する知的財産権

• 発明の名称: 足底圧計測装置及び行動姿勢判別方法

• 登録番号 : 特許5301807号• 出願人 : 産業医科大学• 発明者 : 筒井隆夫・筒井保博

お問い合わせ先

産業医科大学 産学連携・知的財産本部産学連携・知的財産担当教員 橋本正浩

TEL 093-603-1611FAX 093-602-5482E-mail [email protected]

医療現場・研究現場には、その他にもたくさんのニーズがありますので、ご遠慮なくお問い合せ下さい。

医学部合同新技術説明会 2013/11/26