22
QCWS 参考プロトコル 抗 HLA 抗体検査 QCWS 参考プロトコル 抗 HLA 抗体検査(FlowPRA) 2019 年度版 作成者 日本組織適合性学会 認定制度委員会 ワーキンググループ 抗 HLA 抗体 WG

抗HLA 抗体検査(FlowPRAjshi.umin.ac.jp/qcws/file/Proc_Ab_Flow PRA.pdf② 室温で 30分間、振とうしながら反応させ、15,000 rpmで5分間遠心する。 ③ 上清を、ビーズを吸わないように慎重に新しい別の1.5

  • Upload
    others

  • View
    0

  • Download
    0

Embed Size (px)

Citation preview

  • QCWS 参考プロトコル 抗 HLA 抗体検査

    QCWS 参考プロトコル

    抗 HLA 抗体検査(FlowPRA)

    2019 年度版

    作成者

    日本組織適合性学会 認定制度委員会 ワーキンググループ

    抗 HLA抗体 WG

  • QCWS 参考プロトコル 抗 HLA 抗体検査

    制定・改訂履歴

    制 定 日 制定理由

    作成

    責任者 施 行 日

    日本組織適合性学会が開催する QCWS での HLA 検

    査を実施する際に用いる QCWS 参考プロトコルと

    して制定した。

    WG

    改 訂 日 改訂理由 改訂内容

    改訂

    責任者 施 行 日

    2 2019 年 9月1日

    表記の統一

    記載ミス

    「HLA抗体」を「抗 HLA 抗

    体」の表記に変更

    DTT処理での回転数 WG

  • QCWS 参考プロトコル 抗 HLA 抗体検査

    目 次

    1.FlowPRA製品概要 ............................................................ 1

    1.1 FlowPRA の使用目的・原理 .............................................. 1

    1.2 FlowPRA の種類 ........................................................ 2

    2.検査の準備 .................................................................. 3

    2.1 検査機器の準備・キット内容・検体処理 .................................. 3

    2.2 検体の処理 ............................................................ 5

    2.3 検査の手順 ............................................................ 6

    3. FlowPRA Screening Test のフローサイトメーター条件設定 .................... 10

    3.1 FSC vs. SSC .......................................................... 10

    3.2 FL2 vs. FSC .......................................................... 10

    3.3 FL1ヒストグラム ..................................................... 11

    3.3.1 NC血清を流す意義 ................................................... 11

    3.3.2 PC血清を流す意義 ................................................... 11

    3.3.3 コントロールビーズを流す意義 ........................................ 11

    3.4 コンペンセーションの調整(蛍光補正) ................................. 12

    4. マーカー設定の考え方 ..................................................... 12

    5. FlowPRA Screening Test データ例 ......................................... 13

    5.1 Class I & II、コントロールビーズと NC血清を反応させた場合のヒストグラム

    ............................................................................. 13

    5.2 Class I ビーズに対する陰性 / 陽性検体のヒストグラム .................. 14

    5.3 Class II ビーズに対する陰性 / 陽性検体のヒストグラム ................. 15

    6. 機器設定の重要性 ......................................................... 16

    FlowPRA Screening Test ケーススタディー【1】 ................................... 16

    FlowPRA Screening Test ケーススタディー【2】 ................................... 17

    日本組織適合性学会 QCWS 参加施設のデータ例 .................................... 18

  • 1

    QCWS 参考プロトコル 抗 HLA 抗体検査

    1.FlowPRA製品概要

    1.1 FlowPRA の使用目的・原理

    FlowPRA は、フローサイトメーターを使用して血清中の抗 HLA 抗体を検出する為の研究用試

    薬で、精製した HLA 抗原がコーティングされたマイクロビーズである。高感度に抗 HLA抗体

    を検出する事ができる。

    FlowPRAビーズと血清を反応後、FITC標識抗ヒト IgG 抗体で染色し、フローサイトメーター

    により蛍光強度を測定し、抗 HLA抗体を検出する。

    ※本図における「HLA抗体」とは「抗 HLA 抗体」の事を示す

  • 2

    QCWS 参考プロトコル 抗 HLA 抗体検査

    1.2 FlowPRA の種類

    FlowPRAは FlowPRA Screening、FlowPRA Specific、FlowPRA Single Antigen の 3種類のキ

    ットがある。FlowPRA Screening: 1ビーズに 1パネルセル由来の HLA 抗原が結合しており、

    抗 HLA抗体の有無及び%PRA*を確認できる。Class I、Class II用キットがあり、各 30種類

    のビーズで全 HLA 抗原を網羅している。

    1. FlowPRA Specific:1 ビーズに 1 パネルセル由来の HLA 抗原が結合しており、抗 HLA

    抗体の有無、%PRA とおよその特異性を確認できる。各 32 種類の抗原ビーズで全 HLA

    抗原を 100%網羅している。ClassI、ClassII 用キットがあり、8 色のビーズと 1 つの

    コントロールビーズが予め混合しているバイアルが 4本入っている。

    2. FlowPRA Single Antigen:1ビーズに対しリコンビナント HLA抗原が 1 種類のみ結合

    しており、抗 HLA 抗体の抗原特異性が分かる。

    * %PRA(Panel Reactive Antibody):全パネル細胞の何%が陽性となるかの値。%PRA が高い程、様々な抗原に対

    する抗体を保有している指標となる。

  • 3

    QCWS 参考プロトコル 抗 HLA 抗体検査

    2.検査の準備

    2.1 検査機器の準備・キット内容・検体処理

    2.1.1 検査器具・資材の準備

    機器 名称

    フローサイトメーター

    器具・資材 1.5 mL マイクロ遠心チューブ

    1.5 mL マイクロ遠心チューブ用高速遠心機 (8,000-10,000 g が出せるもの)

    ボルテックスミキサー

    シェーカー

    P-10 マイクロピペット・チップ

    P-20 マイクロピペット・チップ

    P-200 マイクロピペット・チップ

    P-1000 マイクロピペット・チップ

    50 mL ファルコンチューブ

    プラスチック製ディスポピペット(先端ができるだけ細いもの) ※参考商品 1-4654-05 ピペット E-231(アズワン)

    蒸留水(または精製水)

    タイマー

    アルミホイル

    キムタオル

    FACS チューブ

  • 4

    QCWS 参考プロトコル 抗 HLA 抗体検査

    2.1.2 キット内容と保存方法

    未開封のキットは、-65℃以下で有効期限まで保存できる。一度解凍したあとの保存方法と

    有効期限は下記のとおりである。

    商品コー

    ド キット内容 保存と有効期限

    1検体あたりのビーズ使用

    FL1-30

    FlowPRA Class I ビー

    10×Wash buffer

    100×FITC anti-human

    IgG

    受領後、キットの箱を開封せずに使

    用時まで-80℃~-65℃のフリーザー

    に保管。製品は、この状態で保存期

    間内は安定である(箱に記載された

    有効期限を参照)。初回使用後およ

    び/または製品の解凍後は、試薬を

    2℃~5℃に保管する。一度解凍した

    FlowPRA ビ ー ズ ま た は FITC

    conjugated F(ab')2 anti-human IgG

    は再凍結しない。解凍したビーズは、

    3 ヵ月、または有効期限が 3 ヵ月以

    内の場合はその有効期限まで 2℃~

    5℃に保管する。Wash Buffer または

    FITC conjugated F(ab')2 anti-

    human IgG は、12ヵ月、または有効

    期限が 12 ヵ月以内の場合はその有

    効期限まで 2℃~5℃に保管する。

    5 µL

    FL2-30

    FlowPRA Class II ビー

    10×Wash buffer

    100×FITC anti-human

    IgG

    5 µL

    FL12-60

    FlowPRA Class I ビー

    FlowPRA Class II ビー

    10×Wash buffer

    100×FITC anti-human

    IgG

    5 µL + 5

    µL

    2.1.3 他に必要な試薬

    商品コード 商品名 梱包単位 1検体あたりの血

    清使用量

    FL1-PC FlowPRAクラス IPC血清 10 tests 20 µL

    FL2-PC FlowPRAクラス IIPC 血清 10 tests 20 µL

    FL-NC FlowPRA クラス I & クラス IINC血

    10 tests 20 µL

    FLCNTBD FlowPRA コントロールビーズ 10 tests 1 µL

    製品コード 品名 容量 1検体の使用量

    LS-NC FlowPRA negative control serum 400 uL(20test) 20 uL

    LS-AB2 FITC conjugatedgoat anti human

    IgG

    0.5 mg

    (約 1000test)

    ×100 Stock を

    1 uL

    ― PBS - -

  • 5

    QCWS 参考プロトコル 抗 HLA 抗体検査

    2.2 検体の処理

    2.2.1 検体前処理(必須)

    1. 血清は必ず凍結融解する。融解後は、しっかり転倒混和を行ってから遠心を行う。(8,000

    ~10,000 g、10分間以上)。不純物が多い検体は遠心速度、時間を増やす。バックグラウ

    ンドが高くなるため、血漿の使用は推奨しない。

    2. 遠心後、上層、下層および壁面に凝固物が存在する可能性があるので、慎重に中間層か

    ら検体を回収して使用する。

    2.2.2 再検査の為の検体処理(QCWS部会推奨)

    1. 非特異シフトが見られる場合:非特異物質の吸着操作

    使用する試薬:AdsorbOut(製品コード:ADSORB、One Lambda)

    AdsorbOut処理プロトコル(メーカープロトコル)

    ① (1テストあたり)血清 30 uLに対して Adsorb Out ビーズを 3 uL加え、ボルテックス

    する。

    ② 室温で 30 分間、振とうしながら反応させ、15,000 rpmで 5分間遠心する。

    ③ 上清を、ビーズを吸わないように慎重に新しい別の 1.5 mLチューブに移す。

    ④ もし検体に Adsorb Out ビーズが混入した場合には、再度超遠心し、上清を移す。

    2. ピークの波形がギザギザで、シフトしていない場合: DTT処理による IgM 抗体の除去

    使用する試薬:DTT (dithiothreitol、メーカー不問)

    DTT処理プロトコル(第 4回 アメリカ組織適合性学会 ASHI推奨プロトコル)

    ① DTT溶液(0.05 M) 10 uLに対して血清を 90 uL加える。(DTTの終濃度は 0.005 M)

    ② よく混ぜた後、37℃で 30-45分間反応させる。8,000-10,000 gで 10 分間遠心し上清を

    使用する。

  • 6

    QCWS 参考プロトコル 抗 HLA 抗体検査

    2.3 検査の手順

    2.3.1 操作の流れ

    •血清を凍結融解、転倒混和(血漿は不可)

    •8,000~10,000gで10分間、遠心前処理

    •NC血清、PC血清、サンプル血清とビーズを混合

    •遮光、室温(20-25℃)、振とうで30分間反応反応

    •洗浄バッファー1mL、遠心(9,000xg、2分間)

    •上清除去、ドライボルテックス洗浄(3回)

    •100倍希釈した二次抗体を100 uLずつ添加

    •遮光、室温(20-25℃)、振とうで30分間反応FITC標識

    •洗浄バッファー1 mL、遠心(9,000xg、2分間)

    •上清除去、ドライボルテックス洗浄(2回)

  • 7

    QCWS 参考プロトコル 抗 HLA 抗体検査

    2.3.2 標準プロトコル

    注意

    FlowPRA Screening Test で Class I と Class II を同時にスクリーニングする場合は、1

    検体あたり Class I、Class II ビーズを各 5 µL、コントロールビーズ 1 µL をあらかじ

    め必要検体数分混合しておき、混合したビーズを 1 テストあたり 11 µL 使用する。

    操作

    1. FlowPRAビーズを使用前によくボルテックスする。各 1.5 mL チューブに NC 血清、PC 血

    清(Class I & II)、サンプル血清 20 µL を分注する。

    2. 下記の量のビーズを入れてピペッティングで混合する。ビーズをチューブから取る際、

    不均一になるのを防ぐために、ピペッティングしながら一定の動作で取る。検体の入っ

    たチューブに血清を加える際にもピペッティングし混合する。

    Class I ビーズ量 Class II ビーズ

    コントロールビー

    ズ量

    Class Iのみ 5 µL - 1 µL

    Class IIのみ - 5 µL 1 µL

    Class I + Class

    II

    5 µL 5 µL 1 µL

  • 8

    QCWS 参考プロトコル 抗 HLA 抗体検査

    3. シェーカーでゆっくりシェイクしながら暗所 20 - 25℃で 30 分間反応する。シェーカー

    がない場合は、反応の間に数回軽くボルテックスする。

    4. 10x Wash buffer を蒸留水(または精製水)で希釈し、1× Wash buffer を調製する。

    5. 各チューブに 1x Wash buffer を 1,000 µL 加えてボルテックスし、9,000 gで 2分間遠

    心後、先の細いピペットで上清をしっかり除去する。 ビーズを吸わないように注意する。

    ≪洗浄 1 回目≫

    6. 上清を除いたペレットをほぐすために、2 秒~5 秒程度ボルテックスする。(ドライボル

    テックスは、長くかけすぎ無い様に注意する。以下同様。)各チューブに 1x Wash buffer

    を 1,000 µL 加えてボルテックスし、9,000 g で 2分間遠心後、先の細いピペットで上清

    をしっかり除去する。 ≪洗浄 2回目≫

  • 9

    QCWS 参考プロトコル 抗 HLA 抗体検査

    7. 上清を除いたペレットをほぐすために、ドライボルテックスする。

    8. 各チューブに 1x Wash buffer を 1,000 µL 加えてボルテックスし、9,000 g で 2分間遠

    心後、先の細いピペットで上清をしっかり除去する。 ビーズを吸わないように注意する。

    ≪洗浄 3 回目≫

    9. 上清を除いたペレットをほぐすために、ボルテックスする。(ドライボルテックス)

    10. 洗浄 3回目の遠心時に、1テストあたり 100x FITC anti-human IgG 1 µL を Wash buffer

    99 µL で希釈し、1×FITC anti-human IgG を調製する。

    11. 1x FITC anti-human IgG 100 µL をビーズに加えてボルテックスし、シェーカーでゆっ

    くりシェイクしながら暗所、20-25℃で 30 分間反応する。シェーカーがない場合はイン

    キュベーションの間に 1 回軽くボルテックスする。

    12. 各チューブに 1x Wash buffer を 1,000 µL 加えてボルテックスし、9,000 g で 2分間遠

    心後、先の細いピペットで上清をしっかり除去する。 ビーズを吸わないように注意する。

    ≪洗浄 1 回目≫

    13. 上清を除いたペレットをほぐすために、ボルテックスする。(ドライボルテックス)

    14. 各チューブに 1×Wash buffer を 1,000 µL 加えてボルテックスし、9,000 g で 2分間遠

    心後、先の細いピペットで上清をしっかり除去する。ビーズを吸わないように注意する。

    ≪洗浄 2 回目≫

    15. 上清を除いたペレットをほぐすために、ボルテックスする。(ドライボルテックス)

    16. 1×Wash buffer 500 µL をチューブに加え、スポイトでフローサイトメーター用のチュ

    ーブに移す。

    17. すぐに測定する。あるいは遮光して 2-5℃で 24 時間までは保存可能。

    初期設定時などゆっくり長く流したい時は、この最終液量は 500 µL 程度まではフレキシブ

    ルに変更可能(また、機種によっても最低液量が異なることがあるので注意)。

    翌日読む場合は Fixing solution: PBS with 0.5% formaldehyde (add 1.35 mL 37%

    formaldehyde to 100 mL PBS)を使用すると良い。

  • 10

    QCWS 参考プロトコル 抗 HLA 抗体検査

    3. FlowPRA Screening Test のフローサイトメーター条件設定

    FlowPRA の測定では正しいデータをとるために、最初にフローサイトメーターの条件設定を

    正しく行うことが非常に重要。この設定を保存し、以降呼び出して使用すれば、基本的には

    微調整のみで測定できる。

    FlowPRA Screening Test を読み取るためには、陰性コントロール血清、Class I 陽性コント

    ロール血清、Class II 陽性コントロール血清、コントロールビーズを検体血清と同時に流す

    必要がある。

    3.1 FSC vs. SSC

    3.2 FL2 vs. FSC

    Class II ビーズ

    Class I ビーズ

    コントロールビーズ

    Class I ビーズ

    Class II ビーズ

    コントロールビーズ

    FlowPRA Screening Test Class

    I、Class II、コントロールビーズ

    の FSC vs. SSC ドットプロット

    ビーズの半径は約 2 ~4 µm のた

    め、「リンパ球向けのモード」で解

    析している場合は感度を上げる。

    FlowPRA Screening Test Class

    I、Class II、コントロールビーズ

    の FL2 vs. FSC ドットプロット

    Class II ビーズおよびコントロ

    ールビーズにはビーズに色素が

    含まれているため、PEの蛍光強度

    により領域を分けることができ

    る。

  • 11

    QCWS 参考プロトコル 抗 HLA 抗体検査

    3.3 FL1ヒストグラム

    3.3.1 NC血清を流す意義 NC 血清を検体と同時に流す目的は、陰性血清を基準に陽性領域と陰性領域を決めるため。

    Class I Class II

    3.3.2 PC血清を流す意義

    PC 血清を検体と同時に流す目的は、二次抗体が働いているかを確認するため。

    Class I Class II

    3.3.3 コントロールビーズを流す意義

    コントロール

    ビーズ

    Class II ビーズ

    Class I ビーズ

    陰性コントロール血清に

    Class I 、Class II とコン

    トロールビーズを反応させ

    た際の FL1 ヒストグラム

    コントロールビーズを他の

    ビーズと混合して流す目的

    は、血清中の非特異反応の有

    無を確認するため。抗 HLA抗

    体陰性の検体にも関わらず

    非特異反応によりヒストグ

    ラムが右側にシフトする場

    合があり、コントロールビー

    ズのヒストグラムを基に非

    特異か陽性反応かを判断す

    る。

  • 12

    QCWS 参考プロトコル 抗 HLA 抗体検査

    3.4 コンペンセーションの調整(蛍光補正)

    コンペンセーションとは、2 種類以上の蛍光の測定において、それぞれの蛍光の波長が重な

    り合う場合(例:FITC と PE)、互いの検出器にいわゆる「光漏れ」が起きるため、電気的に

    補正するもの。

    1:Class I ビーズ + NC 血清(FL-NC)、2:Class I ビーズ + Class I PC 血清(FL1-PC)、

    3:Class IIビーズ + PBS を混合したビーズをフローサイトメーターに流し、集団の位置を

    調整する。

    集団 2 は上にずれる傾向なので、下に寄せて集団 1 と 2 が X 軸と並行な位置に来る

    ように調整(FL2-%FL1 の値を上げる)

    集団 3 は右にずれる傾向なので、左に寄せて集団 1 と 3 が Y 軸と並行な位置に来る

    ように調整(FL1-%FL2 の値を上げる)

    4. マーカー設定の考え方

    Class I ビーズ・ Class II ビーズ・コントロールビーズと血清を反応させた場合の

    Class I ヒストグラム

    検体血清が図のようにネガティブピークがはっきり分かる形状の場合、NC 血清で設定し

    た M1 をそのまま用いるのではなく、ネガティブピークのすぐ横のピーク谷間に合わせ

    て M2 を再設定して%PRA を求める。

    凡例

    集団 1: Class I ビーズ + FL-NC (1)

    集団 2: Class I ビーズ + FL1-PC (2)

    集団 3: Class II ビーズ + PBS (3)

    ネガティブ

    コントロール血清

    被検血清

  • 13

    QCWS 参考プロトコル 抗 HLA 抗体検査

    5. FlowPRA Screening Test データ例

    5.1 Class I & II、コントロールビーズと NC 血清を反応させた場合のヒストグラム

    NC Class I

    NC Class II

    Cont.

  • 14

    QCWS 参考プロトコル 抗 HLA 抗体検査

    5.2 Class I ビーズに対する陰性 / 陽性検体のヒストグラム

    Class I抗体 陽性検体のヒストグラム例

    ①、②、③は波形が右側にシフトしており、明らかに多峰性を示している。

    ②は一番左側のピークの横に新たなライン(―線)を引き直し、%PRA を変更する。

    ④は小さい山が右側にシフトしており、弱陽性の抗 HLA 抗体があると思われる。

    98.4%

    0.9%

    陰性検体

    陽性検体

    Class I の NC 血清(P14)のヒ

    ストグラムと比較して、波形が

    ほぼ同一の位置にあり、形状も

    同一。

    Class I の NC 血清(P14)のヒ

    ストグラムと比較して、波形が

    右側へシフトしており、多峰性

    を示している。

    ① ②

    ③ ④

  • 15

    QCWS 参考プロトコル 抗 HLA 抗体検査

    5.3 Class II ビーズに対する陰性 / 陽性検体のヒストグラム

    Class II 抗体 陽性検体のヒストグラム例

    ①は波形が右側にシフトしており、明らかに多峰性を示している。

    ②は小さい山が右側に見える。また、ピークの右側の部分が少し膨らんでいる。

    99.8%

    0.3%

    陰性検体

    陽性検体

    Class II の NC 血清(P14)の

    ヒストグラムと比較して、波形

    がほぼ同一の位置にあり、形状

    も同一。

    Class II の NC 血清(P14)の

    ヒストグラムと比較して、波形

    が右側へシフトしており、多峰

    性を示している。

    ① ②

  • 16

    QCWS 参考プロトコル 抗 HLA 抗体検査

    6. 機器設定の重要性

    添付文書と同じプロットが描けているか、確認する。

    添付文書より

    FSC vs. SSC FSC vs. FL-2

    機器の設定が出来ていない例

    FSC vs. SSC FSC vs. FL2

    (日本組織適合性学会 HP 第 12 回 QCWS 報告書データ 引用)

    Class I

    Class II

    Control

  • 17

    QCWS 参考プロトコル 抗 HLA 抗体検査

    FlowPRA Screening Test ケーススタディー【1】

    同一検体(HLA Class I 抗体陰性の検体)を、FlowPRA Screening Test Class I で測定した

    もの。異なる施設およびフローサイトメーターで測定した例を下図に示す。

    説明:

    ヒストグラムのパターンが大きく 2パターンに分かれた。すなわち、ネガティブコントロー

    ルと同じ位置に検体血清のピークが出た施設、ネガティブコントロールよりも右側にシフト

    した施設があった。さらに検体血清が右側にシフトした場合、陰性と判定した施設や陽性と

    判定した施設があった。検体血清のヒストグラムは右側にシフトしているが、波形がシン

    グルピークで、かつ NC 血清とほぼ同形のため陰性と判断する。検体血清が右側にシフトし

    た原因として、①コンペンセーション調整が合っていない、②洗浄が悪い、③機器の差な

    どが考えられる。

    (日本組織適合性学会 HP 第 12 回 QCWS 報告書データ 引用)

    陰性と判定した施設 陽性と判定した施設 ヒストグラムは 右側へシフトしているが 陰性と判定した施設

  • 18

    QCWS 参考プロトコル 抗 HLA 抗体検査

    FlowPRA Screening Test ケーススタディー【2】

    同一検体(HLA Class II 抗体弱陽性の検体)を、FlowPRA Screening Test Class II で測定

    したもの。

    異なる施設およびフローサイトメーターで測定した例を下図に示す。

    説明:

    陰性と判定とした 2施設について、「施設 I」は機器の適切なコンペンセーション調整が出

    来ていない。「施設 II」はシングルピークのため陰性と判断している。「施設 II」はサンプ

    ル調製の手技に問題があると考えられる。使用する血清をよく遠心し、ビーズと血清との反

    応を行った後、洗浄や二次抗体のラベリングを正確に行うことをおすすめする。

    保留と判定した「施設 III」、「施設 IV」、「施設 VI」は、右側に見られる小さなピークを陽

    性と判断して構わない。

    「施設 V」は多施設と比べてほとんど右側のピークがほぼ見えず、二次抗体のラベリングが

    出来ていない可能性がある。洗浄時(特に二次抗体の添加前)は、上清をしっかり除去す

    る。再度検査することをおすすめする。

    (日本組織適合性学会 HP 第 12 回 QCWS 報告書データ 引用)

    陰性と判定した施設 (2 施設) 正しいヒストグラム

    陽性と判定した施設 (5 施

    設)

    保留と判定した施設 (4 施設)

    施設 II 施設 I

    施設 III 施設 IV 施設 V 施設 VI

  • 19

    QCWS 参考プロトコル 抗 HLA 抗体検査

    日本組織適合性学会 QCWS 参加施設のデータ例

    同一検体を用いて FlowPRA Screening Test Class I を行った際の、QCWS 参加施設のヒスト

    グラム(raw data)。同一の血清を用いたにもかかわらず、様々なヒストグラムが得られ

    る。

    各施設の機器においてピークの出方や波形の傾向を把握することによって、弱陽性の抗 HLA

    抗体反応や非特異反応を見つけることができ、検査の精度を上げることができる。

    (日本組織適合性学会 HP 第 12 回 QCWS 報告書データ 引用)