Upload
others
View
1
Download
0
Embed Size (px)
Citation preview
中央検査部 村上 裕絵
モーニングレクチャー 2018.12.20
本日の内容
T&Sとは
当院のT&Sの現状
まとめ
本日の内容
T&Sとは
当院のT&Sの現状
まとめ
T&Sとは
Type&Screenの略
Type:血液型
Screen:不規則抗体スクリーニング
T&Sの定義
待機的手術例を含めて、直ちに輸血する可能性が少ないと予測される場合、受血者のABO型血液型、Rh(D)抗原および意義のある不規則抗体の有無をあらかじめ検査し、Rh(D)陽性で不規則抗体が陰性の場合は事前に交差適合試験を実施せず輸血を行うこと。
緊急に輸血が必要となった場合はオモテ試験により血液製剤がABO同型血であることを確認するか、あるいは生理食塩液法による主試験が適合の血液製剤を輸血する。
当院のT&S適応条件
術中輸血の可能性が少ないと予測される待機的手術例
血液型検査を2回実施し、血液型の確定がされている
Rh(D)抗原が陽性である
不規則抗体が陰性である
3か月以内に輸血歴が無い場合:30日間有効
3か月以内に輸血歴・妊娠歴がある場合:3日間有効
(当日含む)
当院のT&Sのながれ血液型検査(2回) 不規則抗体検査+
↓
T&S輸血依頼
↓
↓
製剤を発注
検査部へ連絡
生食法のみで払い出し
↓
輸血実施
輸血が必要となった場合
T&Sのメリット
①血液製剤の有効利用
②輸血オーダー後の迅速な払い出し
③経費の削減
④余裕ある検査時間
⑤業務の省略化
①血液製剤の有効利用
通常輸血の場合、輸血の依頼があった時点で製剤を購入して院内に在庫しています。T&Sの場合、依頼を受けてすぐに発注するのではなく本当に輸血が必要になった時点で製剤を発注するので出血量が少なく輸血が不要であった場合でも製剤が無駄になりません。
②経費の削減必要のない製剤を購入しなくて済み、製剤を無駄にすることが
ありません。
また不要な検査を省くことで検査にかかる費用も削減できます。
③輸血オーダー後の迅速な血液の払出し
製剤が到着すれば交差適合試験を行うことなく払出しができますので迅速に輸血を行う事が出来ます。
④余裕ある検査時間事前に血液型の確定(血液型検査2回実施)と不規則抗体の検査を行うため、Rh(D)陰性や不規則抗体保有の患者様にも抗原陰性血を事前に確保することができ、より安全な製剤を準備できることにもつながります。
⑤業務の省略化交差適合試験を行わずに輸血できます。また緊急時、輸血依頼を立てていただくという作業も省かれます。
当院の不規則抗体検査自動機器を使い、ゲルカラム凝集法(間接クームス法)で不規則抗体スクリーニング検査を行っています。
当院の不規則抗体検査件数
633594
418
20 11 11
0
100
200
300
400
500
600
700
2015年度 2016年度 2017年度
不規則抗体検査件数と陽性件数
検査件数 陽性件数
不規則抗体オーダー画面
不規則抗体陽性時の抗体推測①4種類のスクリーニング血球を用いて検査をしています。陽性、陰性のパターンより「可能性の高い抗体」と「否定できない抗体」を推測します。
Rh‐hr Duffy Kidd Xg Lewis MNSs P 結果
D C E c e Fya Fyb Jka Jkb Xga Lea Leb M N S s P1 IAT
Ⅰ + + 0 0 + 0 + 0 + + + 0 0 + 0 + + 0
Ⅱ + 0 + + 0 + 0 + 0 0 0 + + 0 + + 0 2+
Ⅲ 0 0 0 + + + + + + + + 0 + 0 + 0 + 0
Ⅳ + + + + + + 0 + + + 0 + + 0 + + 0 2+
「+」は抗原の存在、「0」は抗原の欠如を意味します
不規則抗体陽性時の抗体推測②
Rh‐hr Duffy Kidd Xg Lewis MNSs P 結果
D C E c e Fya Fyb Jka Jkb Xga Lea Leb M N S s P1 IAT
Ⅰ + + 0 0 + 0 + 0 + + + 0 0 + 0 + + 0
Ⅱ + 0 + + 0 + 0 + 0 0 0 + + 0 + + 0 2+
Ⅲ 0 0 0 + + + + + + + + 0 + 0 + 0 + 0
Ⅳ + + + + + + 0 + + + 0 + + 0 + + 0 2+
このスクリーニング血球のパターンでは可能性の高い抗体は抗E、抗Leb
まず、可能性の高い抗体を考えます。反応を縦で見て凝集のパターンが一致するものを探します。
不規則抗体陽性時の抗体推測③
Rh‐hr Duffy Kidd Xg Lewis MNSs P 結果
D C E c e Fya Fyb Jka Jkb Xga Lea Leb M N S s P1 IAT
Ⅰ + + 0 0 + 0 + 0 + + + 0 0 + 0 + + 0
Ⅱ + 0 + + 0 + 0 + 0 0 0 + + 0 + + 0 2+
Ⅲ 0 0 0 + + + + + + + + 0 + 0 + 0 + 0
Ⅳ + + + + + + 0 + + + 0 + + 0 + + 0 2+
否定できない抗体の検索(消去法)
/ / //
× × × × × × × × ×
× × × × × × ×
×× × × × × × × × ××××
否定できない抗体は抗Fya、抗Jka
赤血球抗原情報検索システムの活用日本赤十字社の提供している赤血球抗原情報検索システムを使い、
交差適合試験が不適合であった場合抗原の絞り込みを行う事もできる。
日本赤十字社HPより
製剤番号を入力するとその製剤に含まれている抗原が表示される
先ほどの不規則抗体スクリーニングの結果より、可能性の高い抗体は抗E、抗Leb、否定できない抗体は抗Fya、抗Jkaであった。製剤番号4304233033で不適合となった場合、製剤に含まれる抗原より抗E抗体の可能性が高いと考え、E抗原陰性血を発注する。
不適合
適合
日本赤十字社HPより
本日の内容
T&Sとは
当院のT&Sの現状
まとめ
T&S依頼件数と輸血実施件数
47 48
37
30
2 30 0
0
10
20
30
40
50
60
2015年度 2016年度 2017年度 2018年度
依頼件数 輸血実施件数 2018.11月までの統計
T&S依頼単位数と輸血実施単位数
121119
112
62
6 6
0 00
20
40
60
80
100
120
140
2015年度 2016年度 2017年度 2018年度
依頼単位数 輸血実施単位数
まとめ
輸血の可能性が低い場合T&Sオーダーにより血液製剤が有効に使用できる。
事前に不規則抗体スクリーニング検査をしておく事で安全な輸血が実施できる。
輸血が必要な場合、迅速に血液製剤の払出しができる。
ご清聴ありがとうございました