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平成29年12月26日号-4
「ニュース」
1.平成29年度 農業技術功労者 6名が表彰
12 月 8 日、東京都港区赤坂の三会堂ビル石垣記念ホールにおいて農業技術功労者の表彰式および祝賀会が催された。農業技術功労者表彰は、農業技術の研究もしくは普及指導又は農業
経営関係の研究もしくは改善指導に顕著な功績
があった者に対し、農林水産省農林水産技術会
議より会長賞を授与するもので、戦時下の昭和
19年からはじまり、今年で 73回目を迎える由緒ある表彰制度である。全国から推薦された
23名に対し大学等の有識者 10名で構成される選考委員会による厳格な選考の結果、6名が受賞の栄に浴された。受賞者は、品種改良・土壌
診断等、農業のあらゆる分野から選定され、植
物防疫分野では熊本県農業研究センター生産環 表彰を受ける行徳氏
境研究所長の行徳裕氏が選ばれた。行徳氏は、熊本県において果樹・水稲・野菜の害虫防除技
術の開発を中心に広く活躍されており、今回は、「タバココナジラミ媒介性ウイルス病の発生
生態解明と防除技術の確立」が業績対象となった。それぞれの立場で深い見識を活かし、多く
の関係者と協働して素晴らしい業績を残されている方々の中で、行徳氏の受賞は誠に喜ばしい
ことである。 祝賀会では、受賞者それぞれから挨拶があり、行徳氏は、「私はウイルスの専門
家ではありませんが、今回海外から侵入した二つのウイルスは、熊本県の農業の大きな柱であ
るトマト・ウリ類に大打撃を与えるものであることから、病害・虫害のみならず多くの関係者
とネットワークを構築して連携することにより、総力で対応したことで沈静化に貢献できた。
今回の受賞は関係する研究者・職員さらにはその家族も含めて喜びを分かち合いたい。」と挨
拶した。
平成29年度 農業技術功労者表彰 受賞者一覧
受賞者名 業績名 所属名等
木野 勝敏 地域特産鶏名古屋コーチンの改良と普及 愛知県農業総合試験場畜産研究部
養牛研究室長
行徳 裕 タバココナジラミ媒介性ウイルス病の発生生態 熊本県農業研究センター
解明と防除技術の確立 生産環境研究所長
志賀 弘行 地域観測衛星情報を活用した農耕地の広域 地方独立行政法人北海道立総合研
生産力評価技術の開発 究機構 農業研究本部長
矢ヶ崎 和弘 ダイズの用途別加工適正品種育成と貯蔵蛋 長野県野菜花き試験場
白質の質的改良 研究技監兼野菜部長
矢野 隆 溶液授粉と新優良台木によるキウイフルーツ 愛媛県農林水産研究所
省力安定生産技術の開発 果樹研究センター長
八槇 敦 畑地の窒素溶脱低減を進める土壌診断の迅 千葉県農林総合研究センター
速・低コスト化とICTを活用した見える化 水稲・畑地園芸研究所長
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2.第23回病害虫防除フォーラム 開催 -農林水産省-
~農林水産業におけるドローンの利活用推進について~
最近急速に技術発展しているドローンについて、周辺環境等に対する安全性を確保し適正な
利用推進のため、12 月 13 日、関係メーカーや団体等を参集し、「病害虫防除フォーラム」が開催された。ドローンは多様な場面での利用が見込まれることから約 300名が参加した。会場となった農林水産省講堂では各種のドローンが展示され、また、地下会場では各社の関
連資料配布や質疑対応などが行われた。
フォーラムでは、まず農水省植物防疫課より、ドローンによる農薬散布を行う場合に必要な
手続きや安全対策などを説明、今後、利用促進に向け手続きの簡素化や農薬登録への支援など
についての見直しを行うなどが話された。
次に、丸山製作所より散布装置の開発について、(株)エンルート、ヤマハ発動機(株)からは、
主にオペレーター教習の体制や内容について説明があった。ヤマハでは現在ドローンは扱って
いないが、来年上市するとのことである。生産現場からの声として、(株)あぐり三和、日本農
業法人会より、圃場での使用実績や運用上の課題などが紹介された。
ドローンメーカーである東光鉄工(株)、TADA(株)、DJI JAPAN(株)より、開発している機種の性能や特徴などについて紹介された。東光鉄工では、青森県の農業高校との協同研究で、
リンゴの受粉散布の結果も紹介された。また、(株)ナイルワークスは、「ドローン等小型の無
人航空機に関する安全性確保策検討事業」を受託しており、安全性確保の具体的方策の提案や
自動ドローン安全性確保ガイドラインの素案を来春までに作成するとしている。また、開発し
ている農業用自動運転ドローンの性能の紹介や防除上の課題も提示した。
各社説明の後、参加者からの質問に対しパネルディスカッション形式にて意見交換を行った。
機器の技術関係では、園芸作物、果樹園、マツクイムシ防除対策への活用の可否等の質問に対
し、技術的には可能だが、販売マーケットや基準などが不明であるが方向性がわかれば開発で
きるとのことである。低コスト化については、現在は可能な機能を全搭載しているが、用途に
よっては機能を制限することにより低コスト化は可能との回答であった。制度関係では、機種
多様により、機種毎の免許が必要なのか、事故の発生率も多くなることが予想される中、その
責任はメーカーとなるのか、などの質問が出された。農薬登録については、農薬対策室より、
高濃度少量散布は登録申請が必要となるが、通常の希釈液であれば地上散布と同様とするなど、
登録上必要な事項を検討している、との話であった。
なお、生産者側からは価格への要望が強くあり、生産者の状況を念頭に開発などに取り組ん
でほしいと、フォーラムは纏められた。
3.2017年の「農業技術10大ニュース」
この1年間に新聞記事となった民間、大学、公立試験研究機関及び国立研究開発法人の農林
水産研究成果のうち、内容に優れるとともに社会的関心が高いと考えられる成果10課題を農業
技術クラブ(農業関係専門紙・誌など28社加盟)の加盟会員による投票を得て選定され公表さ
れた。 選定されたニュース項目は次のとおり、作業の省力化による開発が多くなっている。
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1.ICTによる水田の自動給排水栓を開発-スマホでらくらく・かしこく水管理2.自動運転田植機を開発3.イネいもち病菌の感染の要となる遺伝子を発見-いもち病の新しい防除法開発に期待4.ウェブで使える「全国デジタル土壌図」を公開5.米粉 100%パンの製造技術を開発6.受粉しなくても実がなるトマトをゲノム編集で開発7.作業精度が高く高能率な軟弱野菜調製機を開発-ホウレンソウの調製作業の省力化8.キクに青い花色を付与する技術を開発9.水田防除用ラジコンボートのロボット化-遠隔操縦をロボットにより自動化10.青切りタマネギの新省力収穫・調製体系を開発-フレコン利用で人力による運搬が不要
詳細は農水省hpから見ることができる。(概要一覧は以下のとおり-hpより-)http://www.affrc.maff.go.jp/docs/press/171220.html
一年間ご愛読いただきありがとうございました。「植防コメント」平成29年の最終発信となります。
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改善してまいりますが、皆様のお声も是非お寄せいただきますようお待ちしております。
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