6
182 1 はじめに 特許情報は、企業、大学等における研究活動の成果に 係る技術情報及び権利情報であり、この特許情報を多面 的に分析することは、今後の研究開発戦略や知的財産戦 略のために有益である。 特許庁では、市場創出に関する技術分野、国の政策と して推進すべき技術分野を中心に、今後の進展が予想さ れる技術テーマを選定し、技術全体を俯瞰すること及び 日本の技術・産業競争力、技術開発の発展状況・方向性 を把握することを目的とした分野別特許出願動向調査等 の調査を実施している。 これらの調査結果は、①産業界・学界においては、研 究開発戦略、知的財産戦略策定のため、②関係府省にお いては、産業政策、科学技術政策策定のため、③特許庁 においては、迅速かつ的確な審査処理のための基礎資料 として、それぞれ活用されている。 本稿では、平成 27 年度特許出願技術動向調査-情報 セキュリティ技術-の調査結果を紹介する。 2 調査背景と調査対象 情報セキュリティ技術は、今後の国家安全保障の機能 強化や、日本が強みを持つ産業の国際競争力の更なる向 上のため、日本のプレイヤーが技術競争力を保有してお くことが期待されている。 図 2 に情報セキュリティ技術における技術俯瞰図を 示す。本調査では、「 侵入検知、ウイルス・マルウェア 検知 」、「 ログ解析、リバースエンジニアリング 」、「 暗 情報セキュリティ技術の特許出願動向について ─平成 27 年度特許出願技術動向調査-情報セキュリティ 技術-の調査結果の紹介─ 特許庁 総務部企画調査課知財動向班技術動向係長  前原 義明 Trends of Patent Applications of Information Security Technology [email protected] 03-3581-1101(内線 2155) 平成 22 年 4 月特許庁入庁(特許審査第二部自動制御 配属) 平成 25 年 4 月審査官昇任 平成 27 年 10 月より現職 調 を踏まえて、技術開発の進展状況、方向 性を分析 新規参入企業・研究機関の動向等を分析 特許情報から国際競争力の分析、我が国がMA中国特許・実用新案文献の解析を 中心としたテーマも実施 図 1 特許出願技術動向調査の説明図

Trends of Patent Applications of Information Security ... · PDF fileすべき研究開発・技術開発の方向性 ... 投資を促し、その投資を回収できる仕組み・制度

  • Upload
    vokiet

  • View
    215

  • Download
    2

Embed Size (px)

Citation preview

182

1 はじめに

特許情報は、企業、大学等における研究活動の成果に

係る技術情報及び権利情報であり、この特許情報を多面

的に分析することは、今後の研究開発戦略や知的財産戦

略のために有益である。

特許庁では、市場創出に関する技術分野、国の政策と

して推進すべき技術分野を中心に、今後の進展が予想さ

れる技術テーマを選定し、技術全体を俯瞰すること及び

日本の技術・産業競争力、技術開発の発展状況・方向性

を把握することを目的とした分野別特許出願動向調査等

の調査を実施している。

これらの調査結果は、①産業界・学界においては、研

究開発戦略、知的財産戦略策定のため、②関係府省にお

いては、産業政策、科学技術政策策定のため、③特許庁

においては、迅速かつ的確な審査処理のための基礎資料

として、それぞれ活用されている。

本稿では、平成 27 年度特許出願技術動向調査-情報

セキュリティ技術-の調査結果を紹介する。

2 調査背景と調査対象

情報セキュリティ技術は、今後の国家安全保障の機能

強化や、日本が強みを持つ産業の国際競争力の更なる向

上のため、日本のプレイヤーが技術競争力を保有してお

くことが期待されている。

図 2 に情報セキュリティ技術における技術俯瞰図を

示す。本調査では、「 侵入検知、ウイルス・マルウェア

検知 」、「 ログ解析、リバースエンジニアリング 」、「 暗

情報セキュリティ技術の特許出願動向について─平成 27 年度特許出願技術動向調査-情報セキュリティ

技術-の調査結果の紹介─

特許庁 総務部企画調査課知財動向班技術動向係長 前原 義明

Trends of Patent Applications of Information Security Technology

[email protected] 03-3581-1101(内線 2155)

平成 22 年 4 月特許庁入庁(特許審査第二部自動制御 配属)平成 25 年 4 月審査官昇任平成 27 年 10 月より現職

特許出願技術動向調査

市場動向、政策動向、特許出願動向、論文発表動向等を踏まえて、技術開発の進展状況、方向性を分析

新規参入企業・研究機関の動向等を分析

特許情報から国際競争力の分析、我が国が目指すべき研究開発・技術開発の方向性等を提言

審査の基礎資料

新規な技術分野に関する基礎資料

産業政策・

科学技術政策

の基礎資料研究開発戦略

M&A戦略

知的財産戦略

の策定支援

産業界

大学

研究機関

特許庁 審査部

関係府省特 許 庁

中国特許・実用新案文献の解析を中心としたテーマも実施

図 1 特許出願技術動向調査の説明図

2016イヤーブック寄稿集-3.indb 182 2016/10/26 20:04:25

183YEAR BOOK 2O16

データによる分析と評価

3

号技術 」、「 認証技術 」 の4つの調査対象技術と、調査

対象課題、調査対象適用領域・用途を組み合わせた範囲

を、調査対象技術範囲とした。

なお、本調査では 2009 年から 2013 年に日本、

米国、欧州、中国、韓国及びイスラエルの 6 カ国(地域)

に出願された特許出願 50,390 件、及び、2009 年か

ら 2014 年に発表された論文 23,296 件を 1 件ずつ

読み込み、本調査の対象技術に含まれないノイズを除去

しつつ、あらかじめ本調査のために独自に設定した技術

区分に分類した。

3 市場動向

(1)�情報セキュリティ技術分野の市場規模と今後の推移

図 3 に、情報セキュリティ技術分野のグローバル市

場と日本市場の比較を示す。情報セキュリティ技術分

野の世界市場の動向についてみると、2015 年に約

12 兆円であったものが、2017 年には約 15 兆円に

達するものと見込まれている(2015 ~ 2017 年の

CAGR1 は 11.2%)。また、情報セキュリティ技術分野

の日本市場の動向についてみると、2015 年に 5,560

億円であったものが、2017 年には 6,275 億円に

1 年平均成長率

図 2 情報セキュリティ技術における技術俯瞰図

図 3 情報セキュリティ技術分野のグローバル市場と日本市場の比較

  注)グローバル市場の市場規模は、2016 年 1 月 30 日時点の為替レート(1 ドル= 121.05 円)を基に、日本円に換算している。  出所)Alix Partners Web site および野村総合研究所「IT ナビゲーター 2016 年度版」をもとに作成

システム技術的要素技術的

応用

基礎

セキュリティ運用技術

情報セキュリティ技術以外の技術のセキュリティへの応用

暗号技術 セキュア開発技術

認証技術 侵入検知技術、ウイルス・マルウェア検知技術

データ管理・保護技術 攻撃防御システム技術

データ解析・脆弱性検査技術 システムセキュリティ管理技術

攻撃等に対する防御能力の向上 効率的なセキュリティ運用の推進

人工知能(AI)・機械学習ビッグデータ解析

暗号化状態処理

暗号化強度の向上

匿名性強度の向上

登録

トークン

クレデンシャル管理

認証プロセス

アサーション(認可)

暗号利用モード暗号プリミティブ 安全性評価手法対実装攻撃対策

手口・感染経路

収集情報

予防・抑制(侵入・異常対策)

検知・判定手法

アクション難読化強度の向上

攻撃等の早期発見・早期対処

多層防御、組合せ対策

被害・影響の局限化・高回復力

実装上の安全性向上

リスクマネジメントの高度化

リバースエンジニアリングログ解析 ポリシー管理・設定管理

適用領域・用途

国家安全保障に関わる情報システム 企業等の情報システム制御系システム・組込みソフトウェア ITセキュリティシステム

暗号危殆化対策

デジタル・フォレンジック

調査範囲

95,630105,314

117,419131,945

145,260

4,914 5,222 5,560 5,927 6,275

5.1%

5.0%

4.7%

4.5%4.3%

3.6%

3.8%

4.0%

4.2%

4.4%

4.6%

4.8%

5.0%

5.2%

0

20,000

40,000

60,000

80,000

100,000

120,000

140,000

160,000

2013 2014 2015 2016 2017

グローバル市場(A) 日本市場(B) (A)に対する(B)の割合

市場規模

(億円)

Aに対するBの割合

(年)

2016イヤーブック寄稿集-3.indb 183 2016/10/26 20:04:26

184

達するものと見込まれている(2015 ~ 2017 年の

CAGR は 6.2%)。

(2)情報セキュリティ技術の開発状況

現在、将来の市場として期待が寄せられているのが、

重要インフラや自動車、住宅、情報家電といった適用領

域・用途における情報セキュリティ技術分野の市場であ

る。これらの適用領域・用途では、これまでネットワー

クに接続されていなかったさまざまな機器がネットワー

クに接続される IoT(Internet of Things)を活用し

た取組みにおいて、グローバルでの技術開発競争や市場

競争が激しくなりつつある。重要インフラや自動車、住

宅、情報家電といった産業分野は、日本が強みを有する

産業分野である。このような産業分野での国際競争力の

更なる向上を図っていくうえで、IoT を活用した制御系

システムや各種機器の組込みソフトウェア等において適

用できるようなセキュリティ確保を実現することが重要

かつ必要不可欠である。

4 政策動向

(1)日本の政策動向

日本においては、内閣官房長官をトップとするサイ

バーセキュリティ戦略本部がサイバーセキュリティを

一元的に監督し、内閣サイバーセキュリティセンター

(NISC)がその事務局として、サイバーセキュリティ

政策に関する中長期計画の立案、各官庁との総合調整、

サイバーセキュリティに関する情報収集、国際連携等を

担当している。経済産業省、総務省などの各所管官庁も、

NISC を含めた内閣官房による総合調整の元、独自の予

算に基づいてサイバーセキュリティに関する研究開発を

実施している。

(2)海外の政策動向

海外各国においては、通信・交通等の重要インフラ保

護、IoT、モバイル、クラウドへの対応等が重点的な研

究開発分野として掲げられている。これは、IoT の進展

やスマートフォンの普及とそれに伴うモバイル環境での

サイバー攻撃の脅威の増大、クラウドサービスの進展等、

サイバーセキュリティが必要となる背景が共通している

ためと考えられる。

5 特許出願動向

図 4 に示すように、日本国籍の出願人による出願件

数は、欧州国籍の出願人による出願件数や韓国籍の出願

人による出願件数と共に、ほぼ横ばいの状態である。他

方、米国籍、中国籍の出願人による出願件数は増加傾向

日本国籍

6,536件24.4%

米国籍

6,085件22.8%欧州国籍

3,472件13.0%

中国籍

5,974件22.3%

韓国籍

3,214件12.0%

イスラエル国

158件0.6%

その他

1,300件4.9%

合計

26,739件

5,207 5,023

6,1055,526

4,878

0

1,000

2,000

3,000

4,000

5,000

6,000

7,000

2009 2010 2011 2012 2013

日本国籍 米国籍 欧州国籍 中国籍 韓国籍 イスラエル国籍 その他 合計

出願件数

出願年(優先権主張年)

優先権主張

2009-2013年

出願人国籍

注)2012年以降は、データベース収録の遅れ、PCT出願の各国移行のずれ等で全出願データを反映していない可能性がある。

図 4 出願人国籍別出願件数推移及び比率(出願先:日米欧中韓イスラエル、2009 - 2013 年の出願)

2016イヤーブック寄稿集-3.indb 184 2016/10/26 20:04:26

185YEAR BOOK 2O16

データによる分析と評価

3

が見られる。

図 5 に、技術区分別-出願人国籍別出願件数を示す。

これを見ると、情報セキュリティ技術分野における日本

国籍の出願人による特許出願の特徴として、暗号技術や

認証技術に関わる特許出願への偏重傾向が分かる。巧妙

化・複雑化する攻撃手法に対する継続的な対策技術開発

の必要性を考慮すると、侵入検知、ウイルス・マルウェ

ア検知やログ解析、リバースエンジニアリングといった

情報セキュリティ技術についても、暗号技術や認証技術

とほとんど遜色がないレベルで特許出願が可能となるよ

う技術開発の強化をより一層強力に推進していく必要が

ある。

図 6 に、適用領域・用途における技術区分別-出願

人国籍別出願件数を示す。これをみると、日本国籍の出

願人は、他国籍の出願人と比べて、重要インフラの保護

や自動車の保護に関わる出願件数が多く、当該分野の情

報セキュリティ技術に一定の強みが見られることが分か

る。

6 提言

本調査においては、特許出願動向調査等の結果を踏ま

えて、今後我が国が取り組むべき課題、目指すべき研究

開発、技術開発の方向性について提言をまとめた。

(提言1)

日本のプレイヤーに対して、情報セキュリティ分野の

国産技術・製品の技術開発、研究開発に対する積極的な

投資を促し、その投資を回収できる仕組み・制度を併せ

て提示し実装していくことが必要である。

(提言2)

情報セキュリティ分野の技術・製品の利用者側におい

て、国家安全保障や国内の重要情報保全の強化のために

国産技術・製品を採用・実装することが重要であるとい

う意識を持つとともに、それによって国産技術・製品の

権益を保護していくことが必要である。

図 5 技術区分別-出願人国籍別出願件数(出願先:日米欧中韓イスラエル、2009 - 2013 年の出願)

718 182 3777 2259

1,954 350 2286 2235

542 38 2161 1124

1,294 161 2155 2842

805 127 913 1627

76 17 44 39

259 40 584 578

出願人国籍

日本国籍

米国籍

欧州国籍

中国籍

韓国籍

イスラエル国籍

その他国籍

優先権主張 2009-2013年

技術区分

侵入検知、

ウイルス・マルウェア検知

ログ解析、

リバースエンジニアリング

暗号技術 認証技術

2016イヤーブック寄稿集-3.indb 185 2016/10/26 20:04:26

186

(提言3)

来たるべき IoT を活用する社会や産業において、日

本が競争優位性を確立できるように、制御系システムや

組込みソフトウェアの領域のセキュリティに対する知識

や経験を持つセキュリティ人材の育成・確保や、制御系

システム等のセキュリティに対する重要インフラや自動

車等の関連企業、情報セキュリティ技術に携わる企業等

の双方の理解の溝を埋める取組みを通じて、IoT を活用

した制御系システム等において求められる情報セキュリ

ティ分野の技術・製品に関する技術開発、研究開発を、

これまで以上に強力に推進していくことが必要である。

(提言4)

IoT を活用した制御系システム等のセキュリティ分野

に精通した知財支援人材の育成・確保や、日本のプレイ

48 7 16 16 10 2 8140 87 22 7 14 194 25 35 13 11 3 1

422 152 149 54 42 5 2990 79 55 48 46 15144 238 138 316 226 10 826 5 144 39 34 12 17 8

2 1 3

4

110 37 10 8 12 4219 122 114 161 95 8 45

39 10 45 5 2191 73 75 50 44 823 17 210 2 4

6 1 16 3 4151 69 28 6 21 10

217 113 45 20 32 1 1419 63 17 9 5 2 3

10 7 6 4 3

1338 630 256 209 234 8 84744 849 327 560 555 14 155

118 39 18 170 193 5 7

149 20 38 80 91 1498 78 56 104 51 5 4

596 344 262 89 142 5 6681 78 7 52 37 1 6

216 217 59 51 50 11 1817 22 27 9 6 33 49 22 13 23 2 7

2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016

技術区分

優先権主張 2009-2013年

出願人国籍

日本国籍 米国籍 欧州国籍 中国籍 韓国籍 イスラエル その他国籍

国籍

図 6 技術区分別(適用領域・用途)-出願人国籍別出願件数(出願先:日米欧中韓イスラエル、2009 - 2013 年の出願)

ヤーが開発した当該分野の技術・製品の海外輸出の加速

によるデファクトスタンダードの獲得など、知的財産が

果たすべき効用を活かしつつ、日本の競争優位性を確立

していくことが重要である。

国家安全保障に関わる情報システム

企業等の情報システム(PC、サーバ等)

個人情報・営業秘密情報の保護

コンテンツの保護(ファイル送付、文書管理等)

DRM、著作権の保護

決済・課金の保護

内部統制、ガバナンス、証憑の管理、国内外拠点管理

提供サービス、オンライン手続の保護

リスク管理、コンプライアンス

その他(企業等の情報システム)

制御系システム、組込みソフト

重要インフラの保護

交通関連事業者(道路交通、鉄道)のインフラの保護

エネルギー関連事業者(電力、ガス、石油)のインフラの保護

金融関連事業者(銀行、証券、保険、クレジット)のインフラの保護

情報通信関連事業者(電気通信、放送)のインフラの保護

公共サービス関連事業者(政府・行政サービス、医療、水道)のインフラの保護

化学・石油化学事業者のインフラの保護

物流関連事業者のインフラの保護

その他(重要インフラの保護)

住宅、情報家電の保護

自動車の保護

医療機器の保護

航空宇宙関係の保護

ファクトリーオートメーション関係の保護

その他(制御系システム、組込みソフト)

ITサービス、IT機器

セキュアなデバイス(PC、サーバ等)

セキュアなモバイルコンピューティング(スマートフォン、タブレット等)

セキュアなセキュリティ機器

その他(セキュアなデバイス(PC、サーバ等))

セキュアな入退管理システム

セキュアなクラウドコンピューティング

セキュアな通信

セキュアなサービスプラットフォーム

セキュアなアプリケーション

セキュアなリモートアクセス(TV会議、在宅勤務等)

その他(ITサービス、IT機器)

その他(適用領域・用途)

2016イヤーブック寄稿集-3.indb 186 2016/10/26 20:04:27

187YEAR BOOK 2O16

データによる分析と評価

3

7 結び

本稿では、平成 27 年度に調査を実施した特許出願技

術動向調査のテーマの中から、情報セキュリティ技術の

調査結果を紹介した。

平成 27 年度においては、本稿で調査結果を紹介した

情報セキュリティ技術を含め、計 20 の技術テーマにつ

いて調査を実施している。興味のあるテーマについては

是非ご一読いただければ幸いである。

なお、特許出願技術動向調査の要約版は特許庁ウェブ

サイトに掲載しており、報告書については、国立国会図

書館、特許庁図書館、各道府県の知財総合支援窓口等で

閲覧可能である。

(http://www.jpo.go.jp/shiryou/gidou-houkoku.

htm)

我が国の企業や研究開発機関等が、これらの出願動向

調査を有効に活用することにより、効率的な技術開発を

進め、結果として我が国の国際競争力強化につながれば

幸甚である。

2016イヤーブック寄稿集-3.indb 187 2016/10/26 20:04:27