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加速するMVNO政策
2015年 1月
総務省 総合通信基盤局
事業政策課 企画官
富岡 秀夫
総務省はなぜMVNO政策を推進しているのか?
● モバイルサービスは、端末の普及台数が「1人1台」を優に超え、様々な形で利用さ
れており、国民生活や経済・社会活動に不可欠な基盤となっている
● 現在のモバイル市場は、電波の割当てを受けてサービスを提供する事業者(MNO)
3グループによる協調的寡占の色彩が強い市場
☞ MNO各社の料金は横並び
☞ 多額のキャッシュバック等による競争は、長期利用者に不公平
● 他方、電波の割当てを受けてサービスを提供することのできる事業者の数には限り
がある
MNOが割当てを受けた電波を利用してサービスを提供するMVNOがプレイヤーとして競争できるような市場環境の整備が必要
1
総務省の新たなMVNO政策
● SIMロック解除の推進
事業者の乗換えのコストを下げ、MVNOが使える端末を豊富に
● MVNOへのネットワーク開放の更なる促進
MVNOがMNOからネットワークをより円滑に借りられるように
● 訪日外国人の国内発行SIMへの差替え円滑化
MVNOのSIMを利用する機会を拡大
2
MVNOを取り巻く現状
3
MVNOの契約数は急成長?
268 359
484
578 642
717 810
888
976 万
12 69
215
513
615 657
723 789
1,010万
280
428
699
1,091
1,257
1,375
1,533
1,677 1,986万
0
200
400
600
800
1,000
1,200
1,400
1,600
1,800
2,000
10.3 11.3 12.3 13.3 13.9 13.12 14.3 14.6 14.9
(万契約)
(第2四半期)(第2四半期) (第3四半期) (第4四半期) (第1四半期)
携帯電話・PHSのMVNO契約数
BWAのMVNO契約数
MVNO契約数
携帯電話・PHS・BWAの全契約数は1億6,335万(2014年9月末時点)
(出典)総務省データ
4
「純粋な」MVNOもやはり成長中
● MVNO契約数のうち、57.7%は「MNOであるMVNO」のもの
● 「純粋な」MVNOの契約数は、840.2万
● 全契約数に占める比率は5.1%
610.9
669.5
738.5 791.9
840.2万
4.0 4.4
4.7 5.0 5.1 %
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
0
100
200
300
400
500
600
700
800
900
13.9 13.12 14.3 14.6 14.9
「純粋な」MVNOの契約数
全契約数に占める比率
(数字はいずれも2014年9月末時点)
(出典)総務省データ
(万契約) (%)
5
MVNOの認知度・利用状況
利用している
8% 利用していないが、よく知っている
11%
利用していないが、聞いたことはある
29%
利用もしていないし、知らない
52%
6
(出典)総務省「電気通信事業分野における競争状況の評価2013」利用者アンケート
MVNOの利用意向
音声のみ利用したい
13%
データのみ利用したい
26%
音声・データ共に利用したい
61%
7
(出典)総務省「電気通信事業分野における競争状況の評価2013」利用者アンケート
SIMロック解除の推進
8
SIMロック解除可能な端末
35種類
49種類
2.1
54.5
48.2
41.7%
0
10
20
30
40
50
60
0
20
40
60
80
100
120
140
160
2010年度 2011年度 2012年度 2013年度
SIMロック解除可能な端末の種類数 その他の端末の種類数
SIMロック解除可能な割合
「SIMロック解除ガイドライン」策定
(%)(種類数)
9
2010.6
(出典)総務省「電気通信事業分野における競争状況の評価2013」事業者アンケート
SIMロック解除ガイドラインの改正
● 電気通信事業者が正当な理由なくSIMロックの解除に応じないことにより、電気通信の健
全な発達又は利用者の利益の確保に支障が生じるおそれがあるときには、電気通信事業法に
基づく業務改善命令の対象になることを明示
基本的な考え方
● SIMロック解除の対象となる端末は、本年5月1日以降新たに発売される、汎用的に通話
やデータ通信を行うための全ての端末
☞ フィーチャーフォン、スマートフォン、タブレット、モバイルルーター及びUSBモデム
● SIMロック解除の手続は、可能な場合はインターネット経由や電話による手続を行うなど、
迅速かつ容易な方法によって、無料で行うことが原則
● 事業者は、SIMロック解除の対象となる端末や手続を定めた運用方針を予め定め公表
対象端末と手続
総務省は、昨年12月に「SIMロック解除ガイドライン」の改正を実施
10
SIMロック解除の認知度・利用状況
解除したことはないが、将来解除する予定がある
11.2%
解除したことはなく、これからも解除するつもりがない
61.0%
解除したことがある
2.6%聞いたことがない
25.2%
11
(出典)総務省「電気通信事業分野における競争状況の評価2013」利用者アンケート
SIMロック解除を行った理由
15.1%
26.2%
30.2%
42.5%
0 20 40 60(%)
現在利用している端末を国内の他社のSIMで利用するため
現在利用しているSIMを変更せず、回線契約と別に入手した端末を利用するため
海外の携帯電話会社のSIMを利用するため
その他
12
(出典)総務省「電気通信事業分野における競争状況の評価2013」利用者アンケート
MVNOへのネットワーク開放の更なる促進
13
MVNOへのネットワーク開放についての現行ルール
● MVNOは、MNOから「卸電気通信役務」又は「接続」によりネットワークを借りる
ことが可能
● 「接続」の場合、MNOは請求に応じる義務がある
● 更に、「二種指定設備制度」により、NTTドコモ、KDDI/沖縄セルラー電話、ソ
フトバンクモバイル(二種指定事業者)には、接続料や接続条件の公平性・透明性、
接続の迅速化などを確保するための義務が課されている
☞ 接続料や接続条件について接続約款を作成し、総務大臣に事前に届け出る
義務
☞ 他事業者と接続協定を締結する際、一律に接続約款を適用する義務
● ただし、MVNOがネットワークの必要な部分のみを細分化して利用できるように
する「アンバンドル」については、法令ではなくガイドラインで一定のルールが定めら
れている
● また、接続請求に係る手続等も法令では規定されていない
14
携帯電話のデータ接続料(レイヤ2)の推移
0
200
400
600
800
1000
1200
1400
2008年度 2009年度 2010年度 2011年度 2012年度 2013年度
NTTドコモ
KDDI
ソフトバンクモバイル
(万円/10Mbps・月)
(出典)総務省データ
レイヤ2接続
MVNOが運営・管理するパケット交換機をMNOのネットワークに接続する形態。MVNOが認証、セッション管理機能等を担うことにより、MVNO独自のサービス設計(低料金・低容量サービス等)が可能
15
前年度実績値に基づく接続料。なお、2013年度適用接続料より、データ接続料の算定に用いる入力値を「前年度実績値」から「当年度実績値」に変更したため、2013年度接続料は今後改定が予定される。
352万円275万円
123万円
MVNOへのネットワーク開放促進に向けた今後の取組
● ネットワークの多機能化・高機能化が進展する中で、MVNOが技術の進展に合わ
せて発展していくためには、今後とも、多様なサービスに対応する多様な機能が二種
指定事業者によって迅速かつ確実に開放され、利用可能となることが必要不可欠
● 事業者間協議では基本的な機能が迅速にアンバンドルされない場合に、ガイドラ
インではなく法令により迅速に機能の開放が実現されるよう規定を整備
● 接続請求に係る手続等が接続約款に規定されない場合に接続の迅速性を確保
するための対応が可能となるような規定等、MVNOがMNOのネットワークを適正な
料金で迅速かつ確実に利用できるようにするための規定も整備
電気通信事業法の改正を検討
16
MVNOがHLR/HSSを独自に保有すると
● HLR/HSS※とは、携帯電話番号、端末の所在地、顧客の契約状況といった顧客
情報を管理するデータベース
※ HLR: Home Location Register HSS: Home Subscriber Server
● MVNOが独自HLR/HSSを運用することで、次のようなことが可能に
・ MVNOが複数のMNOネットワークに対応したSIMを発行・管理
災害時にも対応した冗長性の高いMVNOサービスの実現
・ さらに、MVNOが携帯電話番号を直接割当てを受けることが可能になった上で、
MVNOが独自に音声サービスを管理
家族割や定額料金制等の柔軟な音声サービスの実現
・ 顧客管理システムとSIMカード発行機能をMVNOが独自管理
より最適化された販売方式(MNPの際の端末即日受取、独自SIM発行な
ど)や端末機能(SIMカードからAPN自動設定など)の実現
17
MVNOのHLR/HSS独自保有に関連する今後の取組
● MVNOとMNOとの間で事業者間協議を進め、協議の状況も踏まえ、今後、MV
NOが保有するHLR/HSSをMNOのネットワーク上で利用するために必要な機能
を「注視すべき機能」としてガイドライン上位置付けるかどうかを検討
● 技術的な課題等の解決に向けた事業者間協議の状況等を踏まえつつ、携帯電
話番号をMVNOに直接割り当てるかどうかを検討
18
訪日外国人の国内発行SIMへの差替え円滑化
19
訪日外国人の国内SIM利用の課題
● 訪日外国人が、我が国の通信インフラを低
廉かつ一定のセキュリティを確保しつつ利用す
るには、国内発行SIMの利用が有力な選択肢
● 現状では空港の売店や自動販売機といった
場所でのSIM販売が諸外国と比較して限定的
● 訪日外国人にとって、MVNO等の販売する
SIMを利用する際の障害の一つは初期設定手
順の煩雑さ
● また、海外から持ち込まれる、我が国の技術
基準を満たすことを予め確認していない端末の
利用について整理が必要
海外携帯端末
例:関西国際空港の国内SIM自動販売機
国内発行SIM
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課題に対応するための取組
● MVNOの販売するSIMの利用開始手続の改善等、訪日外国人が迅速かつ容易
に国内発行SIMを利用できる環境の整備
☞ MVNOサービスの利用開始時に利用者が端末上で行う初期設定(APN設定)の方法が煩雑で分かりにくい問題などを検討
● パスポートによる本人確認等、訪日外国人がSIMを円滑に利用できるようにする
ための方策の周知
● 一時的に国内に持ち込まれた、我が国の技術基準を満たすことを予め確認してい
ない移動通信端末の利用について整理
テレコムサービス協会MVNO委員会を中心に議論
総務省において検討
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2016年 MVNO契約数 約1,500万※へ!
総務省「モバイル創生プラン」(2014年10月公表)より
※ 2013年末の契約数(約670万)の2倍2014年9月末の契約数:約840万