14
資料:農林水産省「農業・食料関連産業の経済計算」 注:1)農業生産額は、農業生産活動の結果得られた生産物を農家庭先価格で評価した額及びサービスの合計 2)中間投入は、農業生産に投入された財・サービスの費用で、種苗、肥料、飼料、農薬、農機具修繕等の諸経費の合計 3)固定資本減耗等=固定資本減耗+間接税-経常補助金(控除) 4)農業純生産=農業生産額-中間投入-固定資本減耗等 兆円 14 12 10 8 6 4 2 0 5.8 6.1 5.7 5.4 5.0 5.0 5.2 1.3 1.6 1.8 1.6 1.3 1.1 12.1 13.7 13.7 12.3 10.6 9.9 9.7 1.9 中間投入 農業純生産 農業生産額 固定資本減耗等 1980年度 85 90 2000 05 07 4.9 6.0 6.1 4.0 3.6 3.3 5.1 95 資料:農林水産省「農業物価統計」 注:1)1995年度以降は暦年 2)農業の交易条件指数=農産物価格指数(総合)/ 農業生産資材価格指数(総合)×100 3)( )内の数値は対前年比増減率 指数 130 120 110 100 90 80 95.5 128.3 86.0 (▲6.4) 85.8 113.6 (+8.0) 111.3 農業生産資材価格指数(総合) 農産物価格指数(総合) 農業の交易 条件指数 1980年度 85 90 95 2000 05 09 (概算) 資料:農林水産省「経営形態別経営統計(個別経営)」(組 替集計)、「農業構造動態調査」を基に農林水産省で 推計 (単位:万戸、%) 農業所得 販売農家数 構成比 100万円 未満 124 68.5 100~ 200 21 11.4 200~ 300 11 6.3 300~ 500 13 7.1 500~ 1,000 9 5.1 25万戸 1,000万円 以上 3 1.6 (2) 農業経営の動向と農業生産を支える経営体・農地等をめぐる状況 農業所得に当たる農業純生産は、ピーク時の平成2年度( 1990 年度)から半減し、平 19 年度( 2007 年度)には3兆3千億円。これは、農産物価格の低下、生産量の減少、農 業生産資材価格の上昇が主な要因。農業の交易条件指数は、平成5年度( 1993 年度)の 128 から平成 21 年( 2009 年)には 86 と大きく低下。 農家1戸当たり総所得も減少傾向にあり、主業農家では、農業所得の減少等により、平 16 年( 2004 年)の 573 万円から平成 20 年( 2008 年)には 546 万円に減少。農業所得が 300 万~ 500 万円の販売農家は販売農家全体の7%( 13 万戸)、 500 万円以上の販売農家は同 7%( 12 万戸)。 3- 14 農業純生産等の推移 3- 15 農業の交易条件指数等の推移( 2005 年= 100 3- 16 販売農家の農業所得階層別の割合( 2007 年) 第3章 農業の持続的発展に向けて 37

(2) 農業経営の動向と農業生産を支える経営体・ …80 95.5 128.3 86.0 ( 6.4) 85.8 113.6 (+8.0) 111.3 農業生産資材価格指数(総合) 農産物価格指数(総合)

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資料:農林水産省「農業・食料関連産業の経済計算」 注:1)農業生産額は、農業生産活動の結果得られた生産物を農家庭先価格で評価した額及びサービスの合計2)中間投入は、農業生産に投入された財・サービスの費用で、種苗、肥料、飼料、農薬、農機具修繕等の諸経費の合計3)固定資本減耗等=固定資本減耗+間接税-経常補助金(控除)4)農業純生産=農業生産額-中間投入-固定資本減耗等

兆円14

12

10

8

6

4

2

0

5.8 6.1 5.7 5.4 5.0 5.0 5.2

1.3 1.6 1.8 1.6 1.3 1.1

12.113.7 13.7

12.310.6

9.9 9.7

1.9

中間投入

農業純生産

農業生産額

固定資本減耗等

1980年度 85 90 2000 05 07

4.96.0 6.1

4.0 3.6 3.35.1

95

資料:農林水産省「農業物価統計」注:1)1995年度以降は暦年2)農業の交易条件指数=農産物価格指数(総合)/農業生産資材価格指数(総合)×100

3)( )内の数値は対前年比増減率

指数130

120

110

100

90

80

95.5

128.3

86.0(▲6.4)

85.8

113.6(+8.0)

111.3

農業生産資材価格指数(総合)

農産物価格指数(総合)

農業の交易条件指数

1980年度 85 90 95 2000 05 09(概算)

資料:農林水産省「経営形態別経営統計(個別経営)」(組替集計)、「農業構造動態調査」を基に農林水産省で推計

(単位:万戸、%)

農業所得

販売農家数

構成比

100万円未満

124

68.5

100~200

21

11.4

200~300

11

6.3

300~500

13

7.1

500~1,000

9

5.1

25万戸

1,000万円以上

3

1.6

(2) 農業経営の動向と農業生産を支える経営体・農地等をめぐる状況

○ 農業所得に当たる農業純生産は、ピーク時の平成2年度(1990年度)から半減し、平成19年度(2007年度)には3兆3千億円。これは、農産物価格の低下、生産量の減少、農業生産資材価格の上昇が主な要因。農業の交易条件指数は、平成5年度(1993年度)の128から平成21年(2009年)には86と大きく低下。○ 農家1戸当たり総所得も減少傾向にあり、主業農家では、農業所得の減少等により、平成16年(2004年)の573万円から平成20年(2008年)には546万円に減少。農業所得が300万~500万円の販売農家は販売農家全体の7%(13万戸)、500万円以上の販売農家は同7%(12万戸)。

3-14 農業純生産等の推移

3-15 農業の交易条件指数等の推移(2005年=100) 3-16 販売農家の農業所得階層別の割合(2007年)

第3章 農業の持続的発展に向けて

37

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資料:農林水産省「米及び小麦の生産費」、(財)全国米穀取引・価格形成センター「コメ価格センター入札結果」注:1)米価(農家手取り)は、それぞれの年産のコメ価格センターの平均価格から、相対価格との差額1千円と流通経費2

千円を引いたもので60kg当たりの価格2)経営費は、物財費、雇用労働費、支払利子・地代

(単位:円/60kg)

増減率(%)(1998年対比)

1998年 2003年 2008年

米 価(農家手取り)

経営費

所 得(米価-経営費)

16,645

8,510

8,135

19,296

8,466

10,830

13,099

8,215

4,884

▲ 21.3

▲ 3.5

▲ 40.0

資料:農林水産省「営農類型別経営統計(個別経営)」、厚生労働省「賃金構造基本統計調査」注:1)他産業における給与額は、手当等を含めた現金給与額と年間賞与等を含めた額で、所得税等を控除する前の額2)他産業におけるアルバイト以外の1時間当たり給与額は、所定内給与額を所定内実労働時間で除したもの3)アルバイトの給与額=1時間当たり所定内給与額×1日当たりの所定内実労働時間数×実労働日数×12+年間賞与等

円3,000

2,000

1,000

0

万円1,000

800

600

400

200

0

375

39

377

786

178

365

157216

266

419

106166

755

585

399282

441

82

501

485

1,328

2,539

2,355

708

643

885

810694

601

837

598

906

532

1,509

766

797

406

2,988

502

2,178

1,747

386

779

1,708

1,409

1,569

1,164

1,405

925

年間農業所得2008年

2008年

2004年

2004年

(参考)他産業における1時間当たり給与額

(参考)他産業における給与額

水田作販売農家

水田作主業農家

畑作(北海道)

露地野菜作

施設野菜作

果樹作

露地花き作

施設花き作

酪農

繁殖牛

肥育牛

養豚

採卵養鶏

ブロイラー

5〜9人の製造事業所

従業員(男性)

ホームヘルパー

営業用バス運転手

アルバイト

(飲食店給仕従業員)

1,401

(1時間当たりの農業所得の推移)

(年間農業所得の推移)

○ 稲作3ha以上層の農家においては、平成10年(1998年)と比べ米60kg 当たり経営費を3.5%削減している一方、米価が21.3%低下したため、10年間で農業所得が4割減少。○ また、営農類型別に経営状況をみても、多くの営農類型で農業所得が大きく減少するとともに、他産業と比べても家族農業労働時間1時間当たり農業所得が低い水準。

3-17 稲作3ha以上層の米60kg 当たり所得の推移

3-18 営農類型別農業所得・1時間当たりの農業所得の推移

38

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資料:農林水産省「農林業センサス」、「農業構造動態調査」注:1)増減戸数の内訳は、各類型別農家の1990~95年、1995~2000年、2000~05年の移動を下記により求めた合計

他農家移動等=(他農家からの移動-他農家への移動)+(不明世帯(入)-不明世帯(出))離農=新設農家-離農世帯

2)新設農家とは、調査時に農家でなかったが、次回調査時には農家であった世帯3)離農世帯とは、調査時に農家であったが、次回調査時には農家でなくなった世帯4)不明世帯とは、転居した世帯のうち、転居先及び転居元が不明の世帯5)*は2008年の数値

1990年

2005年

2009年

主業農家82万戸

準主業農家95万戸

副業的農家120万戸

自給的農家86万戸

土地持ち非農家78万戸

主業農家43万戸

準主業農家44万戸

副業的農家109万戸

自給的農家88万戸

土地持ち非農家120万戸

主業農家35万戸

準主業農家39万戸

副業的農家97万戸

自給的農家77万戸*

土地持ち非農家122万戸*

▲32万戸

▲7万戸

▲42万戸

▲9万戸

+32万戸

▲42万戸

+63万戸

▲61万戸

販売農家 297万戸

▲39万戸(▲48%)

▲51万戸(▲54%)

▲11万戸(▲9%)

+2万戸(+2%)

▲9万戸(▲20%)

▲5万戸(▲12%)

▲13万戸(▲12%)

▲12万戸(▲13%)

+2万戸(+2%)

+43万戸(+55%)

販売農家 170万戸(▲43%)

うち他農家  移動等に  よるもの

  離農に  よるもの

資料:農林水産省「農林業センサス」(2005年)、「平成18年経営形態別経営統計(個別経営)」注:主副業別の割合の推計を示したもので、自給的農家、土地持ち非農家等の割合は除く。

麦   類豆   類い も 類工芸農作物

野   菜

果   樹花   き酪   農肥 育 牛

豚 92 52

9

15

6

8 9

91 4

主業農家38%

副業的農家38%

準主業農家24%

78 9 1378 148

87 5795 32

67 18

82

6851181 8

○ 販売農家の数、特に主業農家の数は大きく減少し、平成2年(1990年)の82万戸から平成21年(2009年)には35万戸と6割減少。この増減を事由別にみると、離農や準主業農家等への移動。○ 主な品目別に、産出額に占める農家類型別の割合をみると、畑作物、野菜、果樹、畜産物では主業農家が大部分。一方、米では、主業農家の割合が4割弱であり、準主業農家等が過半。今後は、農業者の減少・高齢化等が進むなか、主業農家だけでなく兼業農家も含めた地域農業の担い手が規模拡大等に取り組める環境を整えていくことが重要。

3-19 農家類型別の農家数等の推移

3-20 主な品目別農業産出額の農家類型別割合(2008年)

第3章 農業の持続的発展に向けて

39

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41.5

49.4

23.3

45.5

56.9

13.118.8

35.6 34.1

56.649.8

57.350.9

42.6

63.2 63.0 62.1 64.1 65.3

55.863.0 64.2 63.4 63.8 63.3 66.6 64.3 62.2

資料:農林水産省「農林業センサス」(2005年)、「集落営農実態調査(2009年2月1日現在)」(組替集計結果含む)注:1)東山は山梨県、長野県を指す。2)農業地域類型区分は、2008年6月改定のもの3)農業者の平均年齢は、2005年農林業センサスにおける農業就業人口の数値

%(農業地域類型・農業地域別)

農業者の平均年齢(右目盛)

稲作1位経営の主業農

家・集落営農が不在の

集落の割合

全国

都市的地域

平地農業地域

中間農業地域

山間農業地域

北海道

東北

北陸

関東・東山

東海

近畿

中国

四国

九州

70

60

50

40

30

20

10

0

歳70

60

50

40

30

20

10

0

13.5(9,527集落)

34.5(24,346集落)

10.5(7,391集落)

41.5(29,326集落)

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100%

稲作1位経営の主業農家・集落営農とも存在している集落

稲作1位経営の主業農家が存在し集落営農が不在の集落

(全国)

稲作1位経営の主業農家が不在で集落営農が存在する集落

稲作1位経営の主業農家・集落営農が不在の集落

3.848.1 37.7 85.8 7.4

資料:農林水産省「特定農業法人・特定農業団体に関するアンケート調査結果」(2009年6月実施)注:1)全国の地域担い手育成総合支援協議会を対象として実施したアンケート調査(有効回答数999件)2)地域農業(農地利用)の将来の見通しに関する単一回答。無回答の138件を除く。

全国

(担い手が確保済みなので心配なし)

0 20 40 60 80 100

(地域の全般または一部で耕作されない農地が増加)

%全国

0 20 40 60 80 100%

全国

0 20 40 60 80 100%

全般で増加一部で増加

(集落営農があるが心配)

○ 全国にある水田集落7万1千のうち、稲作中心の主業農家や集落営農が不在の集落は4割存在し、都市的地域や中山間地域、東海以西の地域で多い状況。○ 地域農業(農地利用)の将来の見通しについては、「地域の全般または一部で耕作されない農地が増加」とする地域担い手協議会が86%ある一方、「心配なし」はわずか4%。地域における今後の担い手確保の方法については、「地域内に農業者組織を設立」とする協議会が最も多いほか、「農協・市町村主体の法人が耕作」や「地域内外企業が耕作」とする割合も多く、どの地域においても、将来に向けて多様な農業者の育成・確保が重要と考えている状況。

3-21 水田集落における主業農家・集落営農の確保状況

3-22 地域農業(農地利用)の将来の見通し

40

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資料:米国農務省「2007 CENSUS OF AGRICULTURE」、フランス農業・食料・漁業・農村省「Enquêtes structure 2007」、ドイツ連邦消費者保護・食料・農業省「Ausgewählte Daten und Faken der Agrarwirtschaft 2010」、農林水産省「農林業センサス」(2005年)

注:1)法人・組合等には、1戸1法人や家族経営の発展形態としての共同・集団経営(例えば、フランスの共同経営農業集団(GAEC))等が含まれている。

2)( )内は構成比3)米国、フランス、ドイツはいずれも2007年の数値

米国 フランス ドイツ 日本

全体

個人・家族経営

法人・組合等

平均経営耕地面積(ha)

(単位:万経営体、%)

220.5

190.6

29.8

(100.0)

(86.5)

(13.5)

50.7

36.4

14.2

(100.0)

(71.9)

(28.0)

37.5

35.0

2.4

(100.0)

(93.5)

(6.5)

200.9

197.6

3.3

(100.0)

(98.4)

(1.6)

169.2 54.0 45.3 1.8

資料:農林水産省「集落営農実態調査」、「地域就業等構造調査」

 注:東山は山梨県、長野県を指す。

14,000

12,000

10,000

8,000

6,000

4,000

2,000

0

組織

2000年 05 07 08 09 10

10,0639,961

12,095

13,062 13,43613,577

北海道

東北

北陸

関東・東山東海近畿

中国四国

九州沖縄

資料:農林水産省調べ 注:1)各年1月1日現在の数値2)特例有限会社とは、2005年5月の「会社法」施行以前に有限会社であった会社。1985~2005年については有限会社の数値

法人12,000

10,000

8,000

6,000

4,000

2,000

0

8,412

5,889

1,324 1,626 1,335 1,496 1,782 1,841 2,1982,694

2,8551,825

2,167 2,797

4,366

5,961 6,3456,818

6,8966,878

832

120180

3851,200

1985年 90 95 2000 05 06 07 08 09

合名・合資・合同会社

特例有限会社

株式会社(特例有限会社 除く)

11,06410,519

9,466

7,904

4,1503,816

3,168

農事組合法人

○ 家族農業経営は、我が国の農業経営体の大部分を占め、今後も地域農業の中心的存在。我が国よりも経営規模が大きい欧米諸国でも、家族農業経営の割合は、米国87%、フランス72%、ドイツ94%。今後、家族農業経営が一層発展できる方策・環境づくりが重要。○ 集落営農は、高齢化や兼業化が進んだ地域等において、農地を維持・管理する、地域ぐるみで経営発展を目指す取組として全国的に展開され、平成22年(2010年)では1万3,600。集落営農の運営体制の整備状況、目的、経営状況等は様々であるが、さらなる経営改善に向けた活動を後押ししていくことが必要。○ 農業生産法人数は、平成21年(2009年)には1万1千となり増加傾向。

3-23 欧米諸国における家族農業経営の割合等

3-24 農業地域別集落営農数の推移 3-25 農業生産法人数の推移

第3章 農業の持続的発展に向けて

41

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資料:農林水産省作成

農地についての権利

農業生産法人の要件を満たす必要

【農地法の特例】

見直し内容

多様な農業者の農業参入が可能

2003年の構造改革特区制度(地域限定の規制緩和制度)により、農業生産法人以外の法人でも、農地のリース方式での参入が可能となり、2005年に全国展開されたが、リース方式や参入区域に制限。

貸借であれば、農業生産法人の要件を満たさずとも一定の条件のもとで可能に

所有については、農業生産法人の要件を維持しつつ、農業経営の強化に資する出資の制限を緩和

①すべて効率利用②役員の1人以上が農業に常時従事

③利用しなくなったら契約解除することを契約に明記

・会社、NPO等が参入しやすくなる。・農村集落において、非農家も含めた構成員による集落営農法人をつくりやすくなる。・外部からの出資制限がなくなる。

農業生産法人の要件を満たす必要農業生産法人への出資について、農外との連携による経営発展に資するよう、外部からの出資規制を緩和(1/ 10以下の廃止、農商工連携事業者等の場合1/2未満)

従来の制度 改正後

貸借

所有

貸借・所有(共通)

廃止

資料:(株)日本政策金融公庫「食品産業からの農業参入に関する調査結果(平成22年1月調査)」注:全国の食品関連企業(製造業、卸売業、小売業、飲食業)6,823社を対象にしたアンケート調査(回収率35.8%)

2007年

2010年 10.5

7.7

5.6

3.5

27.8

26.3

54.4

61.6

1.7

0.8

0 20 40 60 80 100%

既に参入している

参入を検討または計画している参入への関心はあるが、検討していない

参入を検討したが、断念した参入への関心がない

○ 会社等が農地を利用して農業に参入する場合、農業生産法人の設立が求められていたが、平成21年(2009年)12月施行の改正農地法により、農地を適正に利用していない場合に貸借を解除するなど一定の条件を満たせば、農業生産法人以外でも貸借による農地の権利取得が可能。○ 農業生産法人以外の法人等の農業への参入意向について、例えば、食品関連企業についてみると、平成22年(2010年)1月現在、農業に「既に参入している」11%、「参入を検討または計画している」6%、「参入への関心はあるが、検討していない」は28%と、いずれも3年前より増加し、農業への関心は高まっている状況。今後、これら農業生産法人以外の法人等も含め、多様な農業者の参入を促進していく必要。

3-26 新たな農地制度による農地の利用規制の見直し

3-27 食品関連企業の農業参入に関する意向

42

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資料:欧州委員会統計局「EUROSTAT」、米国農務省「CENSUS OF AGRICULTURE」、農林水産省「農林業センサス」、「農業構造動態調査」

注:1)農業就業者は、EU諸国は「Agricultural holders being a natural person」、米国は「principal operator」、日本は「基幹的農業従事者」 2)EU諸国の平均年齢は、各年齢階層のデータの中央値をそれぞれ加重平均したもの3)*1は2003年、*2は1997年の数値4)ドイツの1990年の数値は旧西ドイツ地域の数値5)英国は、2003年に統計の定義を変更(2000年までは6ha以上の経営者を対象。2003年からは小麦換算で1.5ha以上の経営者を対象)したことにより、農業就業者(農業経営者)数が約5万人増加していることに留意

6)農地は、耕地及び永年作物地の計であり、放牧・採草地を含まない。ドイツは2008年の数値、日本・イタリア・フランス・米国は2007年、英国は2004年の数値

農業就業者数(万人)

1990年 2007年増減数

(増減率)

平均年齢(歳)

1990年 2007年 上昇幅

日  本 293 202 ▲91 56.7 64.6 +7.9 6.2人

イタリア 265 166 ▲99 57.3 60.4 +3.1 1.7人

フランス 53 43 ▲10 50.7 51.6 +0.9 0.2人

ド イ ツ 65 37 ▲28 48.0 48.8 +0.8 0.3人

英  国 23 28 +5 53.6 58.1 +4.5 0.4人

米  国 222 221 ▲ 1 54.0 57.1 +3.1 0.1人

(参考)

農地10ha当たり

農業就業者数

*1

*2

(▲31%)

(▲37%)

(▲19%)

(▲43%)

(+22%)

(0%)

○ 農家戸数の減少とともに、農業就業者数も減少傾向。この傾向は、欧米諸国等でも共通してみられるが、我が国の場合、減少と高齢化が同時に大きく進行しているのが特徴。○ 我が国では、平成2年(1990年)から平成19年(2007年)にかけて、基幹的農業従事者の数は3割減少し202万人になるとともに、平均年齢は8歳上がり65歳。一方、例えば、ドイツの場合、農業就業者(農業経営者)の数は4割強減少しているが平均年齢はわずか1歳上昇の49歳。イタリアの場合、農業就業者(農業経営者)の数は4割弱減少しているが平均年齢はわずか3歳上昇の60歳。

3-28 欧米諸国における農業就業者数と平均年齢の推移

第3章 農業の持続的発展に向けて

43

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資料:農林水産省「新規就農者調査」

出身・就農形態 39歳以下 40~59歳(単位:人)

60歳以上 計 新規学卒 1,940  0   0   1,940  

自営農業 離  職 6,380  14,600   26,710   47,700  

農 家 子 弟 新規学卒 300  0   0   300  

雇用就農 離  職 690  350   90   1,110  

9,310  14,950   26,800   51,050   新規学卒 990  0   0   990   非農家出身

雇用就農 離  職 3,550  2,010   430   5,990  

4,540  2,010   430   6,980   580  800   580   1,960   14,430  17,760   27,800   60,000  

小  計

小  計新 規 参 入

資料:農林水産省作成

非農家出身者

【体験学習等による農業キャリア教育】

【就農に関する情報収集】

雇用就農希望者

雇用就農の推進

【農業技術等の取得】

【農業法人等への就業】 

•雇用志向•求職者

•独立志向•明確な営 農計画

•親の経営継承

農家子弟

農業法人等を支える人材

認定農業者等新たな担い手

新規参入希望者

自営就農希望者県農大等での実践的な研修教育

県農大等における職業訓練の推進

【マッチング支援】•求人情報等の提供、個別相談•就業相談会の開催•農業法人等での農業就業体験

【他産業従事者の就農準備】•就農準備校での技術研修

【機械・施設の調達や農地の確保】 

独立

【独立就農の実践支援】•機械施設にかかる初期投資の軽減支援•就農準備、施設整備への無利子融資 (就農支援資金)•農地情報の提供

【経営の継承支援】•後継者不在農家からの技術習得等による経営継承を支援

【技術・ノウハウの習得】•農業法人等が就農希望者を雇用して実施するOJT研修•研修環境の整備支援•女性の就業環境の整備推進

独立・自営農業への展開

○ 新規就農者は、近年6万~8万人で推移。平成20年(2008年)の新規就農者6万人のうち、農家子弟は5万1千人、非農家出身者は7千人等であり、年齢別にみると39歳以下の就農者は1万4千人。○ 今後は、農家子弟だけでなく、非農家出身者の新規就農も促進することが重要。このためには、それぞれの事情に応じながら、就農時の情報提供、相談対応、技術習得等の研修機会の充実、農地確保に向けた情報提供や機械・施設等の導入に際しての負担軽減等の支援策を講じていく必要。○ また、近年は、農業法人等に雇用される形で就農する者が増加傾向。この形態は、営農開始時のリスクや負担が少なく、今後、就農の主要ルートになっていくものと考えられるところ。平成20年度(2008年度)からは、農業法人等への就業を促進し、就農者の確保と育成を図ることを目的として、「農の雇用事業」を実施。平成20年度(2008年度)から平成21年度(2009年度)にかけて、3,597人(延べ2,747法人)を採択。

3-29 出身・就農形態・年齢別新規就農者数(2008年)

3-30 新規就農者に対する主な支援

44

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資料:農林水産省「食品及び農業・農村に関する意識・意向調査」(2010年4月公表)注:農業者モニター2,500人を対象としたアンケート調査(回収率78.9%)

自家の農地を守っていく必要があるため

十分な収入が得られるため

子どもが望んでいるため

他に仕事がないため

その他

農業では十分な収入が得られないため

休みが少なく、労働時間も長いため

子どもが望んでいないため

他に仕事があるため

その他

(子どもに農業を継いでもらいたいと思う(69.7%)理由)

12.6

18.3

8.4

68.5

72.9

47.9

31.3

(子どもに農業を継いでもらいたいと思わない(29.8%)理由)

%19.4

38.4

29.3

16.3

14.6

55.1

83.8

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90

%0 10 20 30 40 50 60 70 80 90

農業は工夫次第で休みが多く、労働時間も短くできるため

集落のリーダー、一員として仲間とともに、地域の農業・農地を守っていく必要があるため

自家の農地を守っていく必要はないと思っているため

集落内の他の農家、集落営農等に農業を任せればよいため

○ 平成21年(2009年)12月の調査によると、自分の子どもに「農業を継いでもらいたい」と思う農業者は70%。その主な理由は、農業・農地の維持が多数。「農業を継いでもらいたい」とは思わない農業者は30%であるが、その理由は「農業では十分な収入が得られない」が8割強であり、今後、家族農業経営の後継者を確保していくためには、所得対策が重要。

3-31 「子どもに農業を継いでもらいたい・もらいたくない」理由(複数回答)

第3章 農業の持続的発展に向けて

45

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資料:文部科学省「学校基本調査」(組替集計結果含む)、農林水産省「新規就農者調査」、農林水産省調べ、全国農業大学校協議会調べを基に農林水産省で作成

注:1)農学系の学部とは、農学・林学・畜産学・水産学・生物資源学・食料環境経済学等の学科を有する学部のこと

2)大学・短大は修士・博士課程を含み、道府県農業大学校は研究課程を含む。3)農業高校、大学・短大の就農者には林業関係も含む。 4)2009年3月現在、秋田県、東京都、富山県、石川県、福井県は農業大学校を設置していない。 5)新規学卒就農者数は2008年度中に就農した者のうち、その直前まで学生であった人数

583人

34人

18人

894人

578人

農業関係の学校等からの就農者2,107人

(参考)新規学卒就農者3,240人

道府県農業大学校 42校1,733人卒業

農業者大学校 1校19人卒業

民間研修教育機関 3校71人卒業

農業高校 333校27,738人卒業

大学・短大 66校(農学系の学部を有するもの)

22,586人卒業

○ 若い農業者育成には、農業経営や技術を十分習得させるための農業教育が重要。平成20年度(2008年度)には、農業関係の学校等からの就農は2千人であり、新規学卒就農の主要ルート。内訳は、農学系の学部を有する大学・短大、農業高校からそれぞれ600人弱、道府県農業大学校から900人弱等。今後、就農支援の強化に加え、実践研修や進路指導の充実等が重要。○ このほか、就農までの各段階において教育支援を実施。例えば、農業に興味がある学生・社会人を対象に、農業就業体験を実施する農業インターンシップでは、平成20年度(2008年度)実施人数は365人(うち35人が就農)。

3-32 農業関係の学校等からの就農者数(2008年度)

ちゅうおう し

農業インターンシップ(山梨県中央市)

46

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資料:農林水産省「耕地面積及び作付面積統計」 注:拡張面積及びかい廃面積は、共に田畑転換を除く。

万ha840-4-8-12

万ha6506005505004500

耕地面積ピーク時609万ha(1961年)

拡張面積累計111万ha(1960~2009年)

かい廃面積累計260万ha(1960~2009年)

461万ha(2009年)

1960年 65 70 75 80 85 90 95 2000 05 09

資料:農林水産省「農林業センサス」

万ha40

30

20

10

0

9.9 9.2 9.715.1 16.2

21.0

22.33.2 3.1 3.8

6.68.3

13.3 16.2

1975年 80 85 90 95 2000 05

13.1 12.3 13.5

21.724.4

34.3

38.6

土地持ち

非農家所有

農家所有

資料:農林水産省「土地管理情報収集分析調査」注:1)譲受面積及び譲渡面積は、「農地法」及び「農業経営基盤強化促進法」による自作地有償所有権移転(交換を除く)

及び賃借権の設定による権利移動面積を合計した値2)純移動面積は、譲受面積から譲渡面積を引いたもの3)純集積率は、譲受面積から譲渡面積を控除してネット(純)で当該階層に集積した面積を求め、これを全階層の移動面積で除すことにより得られる指標。この指標がある経営規模層でプラスになる場合には、農地がその層に集積されていることを表す。4)経営規模は権利移動前のもの5)不耕作の層には農地保有合理化法人が含まれる。

50

25

0

25

50

千ha

▲10.8 ▲33.6 ▲13.1 ▲5.4 4.3 13.1 45.5

▲9.3 ▲28.8 ▲11.2 ▲4.6 3.7 11.2 39.0

▲35.2 ▲9.3 ▲1.6 ▲0.2 3.1 4.0 39.2

▲46.4 ▲12.3 ▲2.1 ▲0.2 4.1 5.2 51.6

10.82.8 2.1 2.2 1.7

8.6

12.61.5 1.2 1.9 5.3 5.7

47.8

47.8

不耕作 5ha未満 5~7.5 7.5~10 10~15 15~20 20ha以上

譲受面積

譲渡面積

譲受面積

譲渡面積

純移動面積

(北海道)

純移動面積(千ha)

純集積率(%)

50

25

0

25

50

千ha不耕作 0.5ha未満 0.5~1 1~2 2~3 3~5 5ha以上

(都府県)

純移動面積(千ha)

純集積率(%)

28.337.6

19.1 18.26.9 3.7 2.8

17.54.0 6.0

12.9 11.2 16.8

48.3

純移動面積

○ 耕地面積は、昭和36年(1961年)をピークに一貫して減少し続け、平成21年(2009年)には461万 ha。また、耕作放棄地は、平成17年(2005年)には39万 ha に増加。○ 農地の利用集積の状況を経営規模別にみると、都府県では2ha未満の層で譲渡面積が超過し、それ以上の層で譲受面積が超過。また、5ha以上層への純集積率は年々増加傾向にあり、平成19年(2007年)には39.0%。北海道では10ha 以上層が分岐点となっており、20ha 以上層への純集積率は51.6%となっているなど、大規模層への農地集積が一定程度進展。

3-33 耕地面積等の推移 3-34 耕作放棄地面積の推移

3-35 経営規模別の農地集積状況(2007年)

第3章 農業の持続的発展に向けて

47

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資料:農林水産省「耕地及び作付面積統計」  注:耕地利用率は、耕地面積に対する作付延べ面積の割合

万ha7006005004003002001000

%140130120110100900

1965年 70 75 80 85 90 95 2000 05 08

96 93 105 112 117 120 119 118 116 116

647538

470 451 448 415 373 339 322 311

10195 98 99 99 99

99 99 100 100

128

112105 104 107 103

97 93 91 90

都府県

北海道

北海道

(耕地利用率)

(作付延べ面積)

都府県

資料:農林水産省「耕地及び作付面積統計」、農林水産省調べを基に農林水産省で作成注:1)多毛作の境界線は、2007年産田麦の後作における水稲の作付け有無により引いた。

 なお、2年3作は「稲-麦-大豆」の作付体系2)境界線の上下であっても気象条件等により、多毛作が可能な地域、不可能な地域がある。3)沖縄県の1965年の数値は存在しないため、1973年の数値を基に作成

(1965年)

耕地利用率120%以上110~120100~11090~10080~9080%未満

(2008年)

2年3作

1年2作

○ 耕地利用率は、北海道では100%前後で横ばいで推移しているのに対し、都府県では128%から90%へと大幅に低下。これは、兼業化の進行や水稲作付けの早期化等により、多毛作が行われなくなったことが主な要因。農地資源が限られた我が国にとって、農地の有効活用は、食料自給率の向上にも重要であり、今後、各地における取組を促進していく必要。○ 改正農地法等では、農地の貸借についての規制、農地の転用規制等が見直されるとともに、農地の利用集積を図る事業の創設等の措置がなされたところ。今後、農地の確保・有効利用等の取組をさらに進めていく必要。

3-36 北海道・都府県の作付延べ面積と耕地利用率の推移

3-37 都道府県別耕地利用率(田畑計)の変化

48

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資料:農林水産省「耕地及び作付面積統計」、区画整備済排水良好面積割合は農林水産省調べ

注:1)田面積は2008年7月15日時点、大豆作付面積は2008年産、30a程度以上区画整備済排水良好面積は2008年3月31日時点の数値2)排水良好とは、おおむね4時間雨量4時間排除の地表排水条件を有し、かつ地下水位がおおむね70cmより深い田をいう。

25

20

15

10

5

0

0 20 40 60 80(30a程度以上区画整備済排水良好面積割合)

(大豆作付面積割合)

資料:農林水産省「農業水利施設整備状況調査」、「農業基盤情報基礎調査」

 注:施設の耐用年数は、用排水路はおおむね40年、用排水機場はおおむね20年

1987年

2008年

(用排水路)

4,296

12,030

600

1,801

0 2,000 4,000 6,000 8,000 10,000 12,000km

1987年

2008年

(用排水機場)

0 200 400 600 800 1,000 1,200 1,400 1,600 1,800か所

14,000

2,000

資料:農林水産省作成

現行 今後

取水堰取水堰

ダム ダム

:更新する部分

用水路 用水路

:機能診断の実施範囲:簡易な工事で施設機能を回復し継続使用:補強工事により更新までの期間を延長既設水路の取り壊し 水路の造成

地区全体を一体的に更新整備標準耐用年数を念頭において、損傷した部分が増加した時点で地区全体を更新

補修 補修

補強

部分更新

ストックマネジメントへ転換施設の機能診断と予防保全計画に基づき、劣化の状況に応じた適切な対策を実施

継続使用

:継続使用:更新する部分

○ 水田のほ場整備や畑地かんがい等の農業生産基盤の整備は、耕地利用率の向上、耕作放棄の抑止、麦・大豆等の生産拡大、営農の効率化等に寄与しているが、都道府県によって整備率に差がある状況。○ 農業生産に必要不可欠な農業用水の利用を支える農業水利施設は、ダム等の基幹水利施設が7千か所、農業用水路は総延長40万 km、うち基幹的水路は4万9千 km。○ しかし、基幹的施設の多くは、標準的な耐用年数が超過するなど老朽化が進行。こうしたなか、施設機能診断に基づき、補修や必要な部分からの更新整備といった効率的・効果的な対策を選択実施する「ストックマネジメント」の取組が進められている状況。

3-38 田の区画整備済排水良好面積の割合と大豆の作付面積割合(2008年、都道府県別)

3-39 基幹水利施設の耐用年数超過状況

3-40 ストックマネジメントによる農業水利施設の機能保全対策(イメージ図)

第3章 農業の持続的発展に向けて

49

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資料:農林水産省調べ、(株)日本政策金融公庫調べ、沖縄振興開発金融公庫調べ、都道府県調べを基に農林水産省で作成

1,600

1,400

1,200

1,000

800

600

400

200

0

億円

1998年 99 2000 01 02 03 04 05 06 07 08

農業経営基盤強化資金(スーパーL資金)

農業近代化資金(認定農業者向け)

604513 587 581 638 605 598 652

524

1,009

1,410

24 51 62 66 109 204 260 219 171312 328

資料:(株)日本政策金融公庫「平成20年度業務統計年報」、農林中央金庫「農林漁業金融統計 2009」等を基に農林水産省で作成

 注:1)(株)日本政策金融公庫は、土地改良区等に対する農業基盤整備向けの貸出しを除く。2)農協系統からの制度資金には、農業改良資金・就農支援資金の転貸による貸付分を含んでいる。3)一般金融機関の貸出残高は農業近代化資金のみを集計したもの

うち近代化資金等22.0%

うち日本公庫日本公庫転貸資金転貸資金8.6%8.6%

うち日本公庫転貸資金8.6%

うち直貸13.9%

うち系統委託22.1%

うち銀行委託3.2%3.2%

うち銀行委託3.2% 系統窓口

81.0%

制度資金71.7%

農協系統58.9%(株)日本政策

金融公庫39.2%

総額2兆2千億円

地方公共団体1.7%

一般金融機関0.2%

○ 自然条件により生産が不安定等の農業の特性を踏まえ、様々な制度資金による融資を措置。農業生産全体が縮小するなか、農業経営向けの融資は全体的に減少傾向にあるが、「補助から融資へ」という政策転換の方向もあり、今後ますます重要。○ 農業経営向け融資残高総額は平成20年度(2008年度)末には2兆2千億円であり、うち7割の1兆5千億円が制度資金。とりわけスーパー L資金は、平成19年度(2007年度)から平成21年度(2009年度)までの間、実質的な無利子化措置が実施されたことにより、貸付実績は大きく増加。○ 今後は、意欲ある多様な農業者が、その特性に応じて必要となる資金を円滑に調達できるようにするための方策が必要。

3-41 スーパー L資金等の貸付実績の推移

3-42 農業経営向け融資残高と貸付供給先の内訳(2009年3月末)

50