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Tobacco-free Educational Campuses 学園をタバコフリーにする A tobacco-free futures action guide タバコフリーを実現するためのガイド 日本語翻訳 日本禁煙学会理事 松崎道幸 翻訳・出版を快くご許可いただいた、 Anne Jones 先生ならびに ASH Australia に感謝申し 上げます。

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Tobacco-free Educational Campuses

学園をタバコフリーにする

A tobacco-free futures action guide タバコフリーを実現するためのガイド

日本語翻訳 日本禁煙学会理事 松崎道幸 翻訳・出版を快くご許可いただいた、Anne Jones 先生ならびに ASH Australia に感謝申し

上げます。

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目次

1.このガイドの目的 2.タバコとは 3.「タバコフリー・キャンパス・ポリシー」とはなんですか? 4.タバコフリー・キャンパス・ポリシーの要点 5.屋外に喫煙区域を設置した時はどうするか? 6.包括的な対策を進める方が良い理由 7.三段階方式

第一段階:タバコフリーキャンパス・ポリシーを作る(サンプルの紹介) 第二段階:タバコフリー・ポリシーの徹底 第三段階:タバコフリー・ポリシ―を支え、モニターし、改善すること

8.よく出される質問 9.情報、資料 10.謝辞 11.参考文献 著者: Anne Jones

レビュー委員会: Fouad Aslam , Tara Singh Bam, John Bloom, Gihan El-Nahas, Burke Fishburn, Lara

Garrido Herrero, Ehsan Latif,Frances Luk, Mirta Molinari, Harley Stanton, Peter Ucko, Lin Yan.

ISBN: 978-2-914365-55-0

このガイドは、世界肺疾患基金(WorldLung Foundation)の援助を受け Bloomberg Philanthropies の出

資により作成された。

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1.このガイドの目的

タバコは毎年全世界で 500 万人の命を奪う最大の殺人者です。ですから、学びの場からタ

バコをなくすることは、すべての若者に与えられた人権の一つなどです。 世界中では、教育の場に何らかのタバコフリー・ポリシーを決めた教育機関は増えていま

すが、必ずしも包括的ではなく、最良の実践例をとりいれているとは言えません。 「ベスト・プラクティス」ポリシーとは、長い間、多くの人々に対して繰り返し実施した

結果、最小の費用と努力で最大の効果を挙げることが証明されたものです。 本ガイドでは、「タバコフリー・ポリシー」を、施設が完全禁煙であるとともに、いかなる

形のタバコの広告・販売促進・スポンサー活動・販売も禁止されていることと定義します。 多くの国々では、タバコフリーを推進する法律をこれから作る段階にあるため、受動喫煙

の害から人々をしっかり守るための法令は作られていません。 タバコ使用が心身の健全な発達を妨げることが明らかになっているため、すべてのキャン

パスからタバコ使用と受動喫煙をなくしてタバコの害を除去することには、何人も否定で

きない健康上および倫理的根拠があります。 本ガイドでは、包括的タバコフリー・キャンパス・ポリシーを作り、実施し、サポートす

る方法を 3 段階に分けて述べます。

屋内と人の多く集まる屋外区域を禁煙にして受動喫煙をなくし、学生と職員の健

康を守る キャンパス内でのあらゆる形のタバコ宣伝、販売促進、スポンサー活動、販売行

為を禁止する 教育機関、教職員、学生が、タバコ産業と金銭的物質的につながりを持つ事態が

生じないように、倫理的社会的責任を果たすための義務規定あるいは基本方針を

確立する このガイドは、若者が学ぶ総合大学、単科大学をはじめとしたすべての教育機関の学生と

教職員の健康、生産性、パフォーマンスを高める上で大きな役割を果たす事が出来ます。

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2.タバコとは

1. 毎年世界中で 500 万人がタバコによって死亡しています。今後、低~中所得国の国民

が主な犠牲者となります。受動喫煙は、ガン、心臓病、乳幼児突然死症候群、呼吸器

疾患、喘息発作等の原因となります。1 2. Global Youth Tobacco Survey によると、通学している 13~15 児の半数が家庭で受動

喫煙にさらされていることが分かりました。2 3. 受動喫煙は、換気、空気清浄機、分煙ではなくすことができません。屋外でも、濃厚

な受動喫煙によって健康が損なわれる恐れがあります。 4. 従業員を守るため、最低限屋内を禁煙とする全国レベルの受動喫煙防止法を制定する

ことが、世界的トレンドとなってきました。しかしながら、国民を受動喫煙から守る

法律の制定に手をつけ始めた段階にとどまっている国が多いのも事実です。 5. タバコ産業は、長い間、政府、科学界、一般市民にウソをつき続けて、多くの人命を

犠牲にしてきました。タバコ産業は数十年にわたり、大学に資金を提供してタバコの

健康被害に関する医学研究結果を否定する活動を行い、受動喫煙防止法の制定をでき

るだけ遅らせてきました。4 6. タバコの販売は、しばしば学生組織あるいは学校当局の事業として行われてきました。

タバコ産業は、タバコが合法的な商品だと言いますが、その消費者の半数を早死させ

る依存性薬物を売ることは倫理に反しています。 7. 162 カ国が批准したタバコ規制枠組み条約(FCTC)には、受動喫煙のない状態が正常

な状態であること(第 8 条)5、保健政策をタバコ産業の妨害から守る条項(第 5 条 3項)があります。6

3.「タバコフリー・キャンパス・ポリシー」とは何ですか?

すべてのキャンパスは、包括的で最良の実践によって証明されたタバコフリー・ポリシー

を、その組織の正式方針として実施すべきです。これによって、教職員と学生ならびに訪

問者の受動喫煙被害を防止できます。また、いかなるタバコの宣伝、販売促進、スポンサ

ー活動、タバコ販売も禁止できます。また、タバコ産業とその代理人から金銭的物質的援

助を受けることもなくすることができます。 私たちが推奨するサンプル・ポリシーは次のようなものです:すべての屋内と多くの人の

集まる屋外、通路、学生寮などの居住施設、学内の公共交通機関などを完全禁煙とする。

あらゆる形のタバコの宣伝、販売促進、スポンサー活動、商品販売を禁止する。学生及び

教職医向けの禁煙法を解説した教育資料の頒布。就職入学に際して、このポリシーへの遵

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守を誓約させること。 さらに、タバコフリー・ポリシーが学生と教職員の全般的健康推進の一環であることを認

識する必要があります。 4.タバコフリー・キャンパス・ポリシーの要点

このポリシーには以下の要点を含むことが必要です。 1. 禁煙区域

屋内と多くの人の利用する屋外区域などすべてのキャンパス施設は完全禁煙とするこ

とが必要です。何らかの理由でそれが実施できない場合、建物の出入り口、通路、換

気口から十分離れた場所に、受動喫煙が生じないようにしっかり配慮した屋外喫煙所

を設置することを考えます。 アメリカの260以上のキャンパスを含め、禁煙ポリシーを実行しているキャンパスは国

際的に増えています。(http://www.no-smoke.org/pdf/smokefreecollegesuniversities.pdf) 例えばスタンフォオード大学医学部はキャンパス全体と交通手段をすべて禁煙とする

方針を実施しています。(http://med.stanford.edu/tobaccofree/policy/) また、ニューメキ

シコ大学、香港大学、マレーシア科学大学、(南アフリカ)プレトリア大学、台湾国

立彰化師範大学もスモークフリー・ポリシーを実施しています。

2. タバコの宣伝・販売促進・スポンサー活動・商品販売の禁止 売店あるいは自動販売機によるいかなる形のタバコの宣伝、販促、スポンサー活動、

タバコ販売も禁止する必要があります。 オーストラリアのマッコーリー大学、南オーストラリア州のカーチン工科大学、南オ

ーストラリア大学などの主要な大学では、学内のタバコ販売を最終的になくしました。

3. 学生の就職活動 タバコ製品の製造販売にかかわる企業は学生の就職勧誘活動イベントへの参加を拒否

すること。 多くの大学はタバコ産業との連携を明確に拒否しています。たとえば、オーストラリ

アのディーキン大学は「…タバコ産業からの資金も、いかなる連携活動も契約も拒否

する」と述べています。[ここで言う「連携活動と契約」には、研究契約、コンサルタ

ント業務、教授法の開発、大学施設の利用が含まれます。こうすることによってタバ

コ産業が大学が主催する就職活動に参入することを阻止できます。]

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4. 研究資金と学生の奨学金

タバコ産業が、リサーチ・プロジェクトへの資金提供、グラント、スタッフのポスト

提供、学生への奨学金を直接的間接的に提供することは禁止する必要があります。 主要な研究機関では、直接間接を問わずタバコ産業からの資金提供を禁止しています。 例えば、オーストラリアニュー・サウス・ウェールズ大学は「意志決定プロセスにお

いて、政府による課徴金、料金、税金を除いて、タバコ産業あるいはタバコ産業の影

響下にあるいかなる組織または基金からの直接間接のいかなる資金援助あるいは物質

的支援を受けることは拒否する」と言明しています。

5. 教職員 大学職員、スタッフ、アドバイザー、学生組織の担当者等の大学を代表する職員は、

直接的にも間接的にも、タバコ産業の代表者から贈答を受け取ったり、約束を交わし

たり、協力関係を持つことがあってはなりません。 例えば、オーストラリアのエディス・コーワン大学は「直接間接を問わず、タバコ製

品の使用を支持奨励するいかなる行為も行わず、金銭やそれ以外の利益の提供による

後援を受けず、直接的資金提供、宣伝、スポンサー活動、金銭や物品の贈答あるいは

貸与を受けて、タバコ製品の使用を支持奨励するいかなる人物との協力関係を結ぶ、

あるいは約束を行うようなことはしない」と述べています。 6. 資金的つながり

タバコ産業への投資は、直接間接を問わず、直ちに禁止あるいは期限を決めて終了さ

せなければなりません。 例えば、カナダのトロント大学の運営評議会は、諮問報告書が列挙したガイドライン

に抵触する企業に対する大学の投資を中止するように提言した、タバコに関する諮問

委員会報告を採択しました。(www.businessaffairs.utoronto.ca/Assets/Tobacco.pdf)

7. 学内での禁煙サポート 学生と教職員に対して、効果の確かめられた禁煙法に簡単にアクセスできるようにす

る必要があります。これは保健サービスの一環として推進する必要があります。 例えば、ニュージーランドのカンタベリー大学では、大学の方針として、学生と教職

員に無料で禁煙カウンセリングを行い、自助資料を渡しています。

5.屋外に喫煙区域を設置した時はどうするか?

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屋内の喫煙室も部分開放の喫煙室も危険であり、受け入れがたいものです。したがって、

大学の管理者は、屋外に喫煙区域を設置するかどうか、そして、設置後、いつまでにそれ

を廃止するかどうかを決める必要があります。屋外に喫煙区域を作った場合、以下に示す

やり方によって喫煙区域から漏れだすタバコ煙のリスクを減らすように管理する必要があ

ります。 喫煙許可区域の数をできるだけ減らす 喫煙区域を、人通りの多い道路、エアコン開口部、建物の出入り口からでき

るだけ離して設置する 喫煙区域が喫煙以外の目的で使えないこと、キャンパスの他の場所は禁煙で

あることを管理者名入りで目立つ看板で表示する 吸い殻入れの設置 定期的に喫煙区域の見直しを行う

6.包括的な対策を進める方が良い理由

包括的対策が望ましい理由を以下に示します。 喫煙者と非喫煙者双方により安全で健康的な環境を保証できる 学生と教職員のフィットネス、生産性、パフォーマンスを向上させる 健康的な環境を作るための政府の努力と既存の健康政策をサポートする ゴミと火災の危険を減らすことで、より安全でクリーンな環境を作る タバコ産業の商業的利益よりも学生と教職員の健康を優先させる姿勢を示すことに

より、その教育機関が社会的責任をしっかり果たしているというイメージアップを

はかることが出来る

7.三段階方式

第一段階:タバコフリー・キャンパス・ポリシーを作る それぞれの教育施設が適用しているポリシーに沿うなら、タバコフリー・ポリシーを十分

に実施するには最大 6 カ月が必要と考えられます。必要だと思われる対策を以下に示しま

す。 委任 タバコフリー・ポリシーの検討と実施をコーディネートする全責任を一人の管理者に与え

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ること。学生代表、喫煙者、非喫煙者を含むスモークフリー・ワーキング・グループを組

織し、責任を明示すること。大学副総長あるいは公衆衛生学教授などの高い地位の人物か

らのサポートが受けられるようにすること。 現状の分析 以下の項目について現状を調査する:タバコ宣伝・販促・スポンサー活動・商品販売;喫

煙規制状態;タバコ産業との資金的つながり;これらの項目を、このガイドに紹介されて

いる現時点の最良の実践と比較する。学生と教職員への調査;タバコの害に関する知識と

認識度;喫煙率;タバコ規制ポリシーの腫瘍点に対する賛否。 ポリシーの改善 調査結果を踏まえて、改善すべき項目を挙げ、それを実現する方法を考える。 禁煙区域が少ないあるいは禁煙がきちんと守られていない場合、法律上やらなければなら

ない事項はなにか、禁煙にすべき区域はどこか、どこに禁煙サインを表示するか、このポ

リシーを徹底させる方策、違反に対する罰則、スタッフの訓練(例えばセキュリティーや

清掃スタッフ)、屋外の喫煙区域をどこに設定するかなどを明らかにしたステートメント案

を作成する。 広報計画と実現に向けた行程表を加え、ポリシー・ステートメント案をサポートする全般

的実施プランを練る。 ポリシー改革に向けた準備 タバコフリー・ポリシーとその実施計画は大学の運営機関あるいは担当部局の承認を得な

ければなりません。スタッフに新しいポリシーを公表する前に、上級担当者に以下の事項

を伝えておく必要があります。 このポリシーを実行するためにどのような手順を踏むか 教職員と学生にどのように伝えるか(標識・告知文・ウェブサイト・ニュースレ

ター等) 教職員と学生の果たすべき責任は何か 従業員に対して発信すべき目セージの要点は何か

タバコ・フリー・キャンパス実現のためのポリシー例 ○○[組織名]タバコ・フリー・ポリシー 本ポリシー提案理由

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○○[組織名]は、学生とスタッフに安全で健康的な環境を提供する責任があると認識してい

る。受動喫煙は健康に有害であり、○○[法令名]によって、本学の建物とキャンパスを○○

[期日]までに完全禁煙とすることが義務付けられている。われわれは、タバコの煙のない環

境を提供することが学生とスタッフの健康を守るという社会的責任を果たすために必要で

あると認識している。 このポリシーは誰に適用されるか このポリシーは、○○[組織名]に出入りするすべての人々、管理者、スタッフ、学生、業者、

地権者ならびにすべての訪問者に適用される。 すべてのキャンパス施設はタバコフリーである 以下に示すキャンパス施設はすべてタバコフリーである(このリスト以外の施設もタバコ

フリーである) 職場、講義室、事務室、渡り廊下、キャンパス内の乗り物 学生寮 食事・娯楽施設 トイレ、更衣室 競技場など屋外の人の集まる場所 建物の出入りに使う屋外の歩道ならびに玄関

[禁煙区域と指定喫煙区域が分かりやすく表示された地図を載せる] 例外措置 ○○[組織名]はタバコフリーである。例外はない。[もし屋外に指定喫煙区域を設置する場

合、人目に触れない場所に設定し、「ここは指定喫煙区域。この場所以外での喫煙は禁止さ

れている。違反すると罰則あり」と明示すること。] 周知徹底方針 研修を受けたスタッフとボランティアがこのポリシーの周知徹底のために活動する。喫煙

を行っている方には、丁寧に喫煙中止を要請し、本学のタバコフリー・ポリシーを説明す

る。ポリシー違反が続く場合、再度口頭による注意が行われる。この再度の注意が無視さ

れた場合、罰則が科される。適切な対応を推進するため、違反の通告あるいは遵守状況に

ついての情報を受け取るための連絡用電話番号と電子メールアドレスの表示も行われる。 タバコ製品の宣伝、販促、スポンサー活動、販売 ○○[組織名]は、施設内あるいは、主催するイベントにおいて、タバコ製品の宣伝、販促、

販売をいかなる形でも行わない。

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研究資金と奨学金 ○○[組織名]は、直接的間接的を問わず、タバコ産業からの研究費、グラント、奨学金など

の物質的報酬を受け取らない。 教職員 本学の役員、スタッフ、顧問をはじめとした本学に所属する教職員は、直接的間接的を問

わず、タバコ産業からの贈答の受領、タバコ産業関係者との約束、協力関係を結ぶことは

拒否する。 タバコ産業との金銭的結びつき タバコ産業への直接的間接的投資計画は禁止される。また既存の投資は○○[期日]までに終

了しなければならない。 就職活動 タバコ製品を製造販売する企業は、本学での就職活動イベントや他の人材募集活動をさせ

ない。 禁煙支援 喫煙者に有効性が証明された禁煙法を紹介する 本ポリシーの施行日 ○○[日付]から本ポリシーが施行される ポリシーの見直し 本ポリシー施行の 6 ヶ月後に見直しを行う。その後 1 年毎に有効性と継続性を踏まえた見

直しを行う。 ○○[組織名]代表者の署名・署名年月日 第二段階:タバコフリー・ポリシーの徹底 ポリシーの内容と施行スケジュールをスタッフ、学生、学内業者、出入り業者、地権者等

に周知する。ポリシーを徹底させる過程で出た意見をくみ上げ、それに対する管理者とス

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タッフの対応がなされるよう適切な仕組みを作っておくこと。 周知計画を作ること。その内容を以下に示す。

ポリシーの必要な理由;受動喫煙の害、能動喫煙・受動喫煙の経済と社会に及ぼ

す悪影響。 ポリシー施行スケジュール 禁煙サポートの内容;禁煙のための自助資料および低コストの禁煙アドバイスな

ど 必要なアイテムの例 1. タバコフリー・キャンパス・ポリシー例文(上記) 2. ポリシーに違反した喫煙者に渡すリーフレット 3. 禁煙ポリシー掲示場所を表示したキャンパスマップ 4. タバコフリー・キャンパスの表示看板 5. 屋外指定喫煙区域の看板 6. キャンパス利用者向けのタバコフリー・キャンパス・ポリシーを簡潔に説明した告知

文。「タバコフリー・キャンパスにようこそ」で始まり、禁煙サポート相談をオリエン

テーション、特定のイベント、新学期開始時等に受け付ける旨も記述しておくこと キー・ポイント キャンパス・マップを活用してポリシーの周知作戦を行うこと。敷地内の各建物のど

こに、どのような大きさで、何カ所表示板を設置するかを考える。特に違反の起きや

すい出入り口、トイレ、非常口、飲食スペース、屋外、学生寮などの「ホットスポッ

ト」に重点的に設置すること。 見た目の良いはっきりした表示の方がポリシーを遵守させる効果がある。 タバコ・フリー・キャンパス・ポリシーは、大きな看板、大学のハンドブック・パン

フレット、大学の公式発表、ウエブサイトを通じて周知させることが出来る。

タバコフリーの○○[組織名]にようこそ

本学のポリシー([ウェブサイトアドレス]ある

いは告知板参照)へのサポートをよろしく

(裏面に禁煙支援の電話番号、禁煙のコツ、

指定喫煙区域の場所等を表示)

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指定喫煙区域

ここは指定喫煙区域です。 ここ以外での喫煙は禁止されています。

違反すると罰則が科されます。 ○○[管理代表者名]

禁煙

違反すると罰則が科されます

第三段階:タバコフリー・ポリシ―を支え、モニターし、改善すること 1.学生とスタッフから意見感想を募る 学内の保健担当部局と共同で、ポリシーの主要項目に対する、学生、教職員、非喫煙者、

喫煙者の知識、認識、賛同状態に関する調査を行う。施行の 6 ヶ月後に見直し作業の一環

として調査を行い、改善点と新たな問題点のチェックを行う。 2.サポートとフォロー 禁煙電話相談、無料自助資料の配布、保健センターでの禁煙カウンセリングによる禁煙サ

ポートが出来るようにすること。 世界禁煙デー、学生健康デーなどの注目をひくイベントを通じて、禁煙ポリシーの普及を

はかる。

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禁煙ポリシー実施で必要となるタバコ販売停止や禁煙区域からの灰皿撤去の期日を決めて

おくこと。違反喫煙の行われる恐れのある場所には煙感知器の設置も考慮。 ポリシーの見直し作業は重要である。ポリシー施行の 6 ヶ月後に最初の見直しを行い、そ

ののちは 1 年毎に評価と意見を募り、改善する。 新規職員の求人票、学生の募集要項に、キャンパスがタバコフリーであり、タバコを吸わ

ないのが常識と言う文章を必ず入れること。 3.研修 セキュリティ、清掃、接遇、管理、指導に携わる主要スタッフには最低 2 時間の個別研修

プログラムを行う必要がある。 研修のキー・ポイント すべてのスタッフは、タバコ・フリー・ポリシーをしっかり理解する必要がある。施

行に直接携わるスタッフは、それを如何に周知実行させるかについてポリシーに沿っ

た研修を受けること。特に必要な事項:周知施行の方法。誰が行うか。キャンパスが

タバコ・フリーであることを知らせ守らせる上で、スタッフがどのような責任と義務

を持っているか。 特別な働きかけなしにポリシーが守られることが理想である。しかし、喫煙率が高い

場合、違反や苦情が起きた時、誰がどのような手順で解決するかについて明確にして

おく必要がある。警告や禁煙の表示に対する違反が改められない場合、まず口頭で警

告し、従わなければ罰則を科すという段階的やり方が望ましい。 苦情やポリシーに対する意見を受け付ける電話番号や電子メールアドレスを公表して

おくこと。 4.モニターと見直し 特にポリシーの制定実施プロセスについて、学生、スタッフ、訪問者から寄せられた意見

感想をモニターすること。違反や混乱が見られた場合、ポリシーが公平に適用されるよう

努める。 カギとなる調査項目と評価項目 利用者層別の遵守状態。学生、スタッフ、管理者はポリシーを守っているか?看板は

効果的か?トイレや更衣室での喫煙はないか? ポリシーに対する満足度。例えば、違反対策は効果的か?ポリシーに対する満足度は、

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非喫煙者と喫煙者で増加しているか?違反防止係のトレーニングは十分なされている

か?クレームは適切に処理されているか? ポリシーの実効性の確認。例えば、禁煙に挑戦あるいは禁煙に成功した喫煙者の比率

は?学生とスタッフのタバコの害に関する理解は深まったか?タバコフリー環境に対

する支持は高まったか?キャンパスでの受動喫煙やタバコ製品使用率は減ったか? タバコ・フリー・ワーキング・グループから報告を求め、モニタリングと評価計画を継続

することを含めた今後の活動の責任分担を行うこと。 8.よく出される質問

Q1:受動喫煙は本当に害があるのですか? A1:受動喫煙が非喫煙者に重大な健康被害をもたらす事は医学的に疑いようのない証拠が

あります。受動喫煙には、それ以下なら安全だという許容レベルはありません。 Q2:なぜタバコ・フリーにしなければいけないのですか? A2:私たちには、学生、職員、訪問された方に安全な職場を提供する責任があります。タ

バコ・フリー・キャンパスを実現することによって、環境をより健康的なものにし、学生

と職員の心身の健康を増進させることが出来ます。 Q3:キャンパスの外で簡単にタバコを買えるのですから、キャンパスの中でタバコの販売

を禁止しても意味がないと思いますが? A3:学内でタバコを売らないことに決めたことで、タバコが有害であり、学生の健康を守

る本学のポリシーと義務に反していると言う明確なメッセージを学生に届けることにつな

がるため、タバコ販売を禁止するのです。 Q4:しっかり換気をすれば、分煙でも良いのではないですか? A4:換気と空調だけでタバコ煙のすべての有害物質を除去することは不可能です。タバコ

煙には 4000 種類以上の化学物質が含まれており、目に見える粒子成分が除去されたとして

も、有害なガス、蒸気、ごく微小な粒子成分は工学的に取り除くことができません。 Q5:タバコを吸う人の権利は守られなくてもいいのですか? A5:このポリシーは、他人の健康を害さないで喫煙できる場所を定めたものです。タバコ

煙に含まれる発がん物質などの有害な化学物質に汚染されないきれいな空気を吸う基本的

権利はすべての人に保証されなければなりません。

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Q6:禁煙区域でタバコを吸うとどうなるのですか? A6:喫煙者が禁煙の表示を無視してタバコを吸った場合、担当者が、口頭でその場所が禁

煙であり、喫煙をやめるよう注意します。もし喫煙者がそれに従わなかった場合、苦情対

応電話等で大学のセキュリティ担当スタッフが呼び出され、さらに対応が行われます。喫

煙者には、禁煙電話相談の番号、禁煙のコツ、指定喫煙区域の地図を印刷したカードが渡

されます。 Q7:学生寮に入っている大人の学生や寮を訪問した大人の大学関係者は寮の自室でタバコ

吸ってもかまわないのではないでしょうか? A7:すべての屋内施設は禁煙です。学生寮も同じです。いくら換気をしても、タバコ煙は

通路や寮全体に漏れてしまうので、他人の健康が守れません。自室でタバコを吸うと他人

の健康をおかすだけでなく、火災の危険もあります。 9.情報、資料

キャンパスの禁煙に関するサイト:www.tobaccofreeu.org/policy/index.asp 禁煙の 260 大学リスト:http://www.no-smoke.org/pdf/smokefreecollegesuniversities.pdf タバコの有害性説明資料 • Tobacco Control Resource Center: http://globalink.org/factsheets/en/ • Framework Convention Alliance (FCA): http://www.fctc.org • International Union Against Tuberculosis and Lung Disease (The Union) : www.theunion.org • World Health Organisation (WHO) Tobacco-free Initiative :www.who.int/tobacco/en/ global smokefree partnerships : http://www.globalsmokefree.com/gsp/index.php FCTC 第 8 条ガイドライン: http://www.who.int/fctc/cop/guidelines_art8/en/index.html 10.謝辞

The Union のレビュアーおよびオーストラリアの大学調査から得られた例証を提供いただ

いた ASH オーストラリアに感謝する。 11.参考文献

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1. The health consequences of involuntary exposure to tobacco smoke: a report of the Surgeon General. Atlanta, GA: Dept of Health and Human Services, Centers for Disease Control and Prevention, National Centre for Chronic Disease Prevention and Health Promotion, Office of Smoking and Health; Washington, DC: 2006. http://www.cdc.gov/tobacco/data_statistics/sgr/sgr_2006/ www.surgeongeneral.gov

2. Partners’ health resource. Global Smokefree Partnership http://www.globalsmokefree.com/gsp/index.php?section=article&artigo=33

3. Smokefree policies. Factsheet 2. The Union 2008. http://www.tobaccofreeunion.org/content/en/10/2.-Smokefree-policies

4. Chapman S. The Ethics of the cash register – taking tobacco research dollars. Tob Control 2001;10:1-2 (Spring) http://tobaccocontrol.bmj.com/cgi/content/full/10/1/1

5. Guidelines for the implementation of Article 8 “Protection from exposure to tobacco smoke”. WHO Framework Convention on Tobacco Control. http://www.who.int/fctc/cop/guidelines_art8/en/ndex.html

6. Framework Convention on Tobacco Control :www.who.int/fctc/en/

連絡先 International Union Against Tuberculosis and Lung Disease (The Union) 10 Queen Street, Edinburgh EH2 1JQ, UK Tel: +44 131 226 2428 Fax: +44 131 220 0529 [email protected] www.theunion.org www.tobaccofreeunion.org

以上