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教育評価論(第 11 講) フィードバックの効果 (4) 文部科学省 国立教育政策研究所 総括研究官 やま もり こう よう (教育心理学) [email protected] 平成 27 12 16 この内容は個人的見解であり 国立教育政策研究所の公式見解ではありません

151216 教育評価論(三田)第11講

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教育評価論(第 11講)

フィードバックの効果 (4)

文部科学省国立教育政策研究所

文部科学省

国立教育政策研究所

総括研究官やま山もり森

こう光よう陽

(教育心理学)[email protected]

平成 27年 12月 16日

この内容は個人的見解であり国立教育政策研究所の公式見解ではありません

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はじめに

本日の出席とスライド

本日の出席

https:

//questant.jp/q/151216

本日のスライド

http://www.slideshare.net/

koyoyamamori/eduass151216

教育評価論(第 11 講) フィードバックの効果 (4) 平成 27 年 12 月 16 日 2 / 22

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取り組んだ課題の成果

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取り組んだ課題の成果

フィードバックの効果のメタ分析▶   Bangert-Drowns, et al. (1991)

▶ 40研究,58効果指標を統合▶ フィードバックの種類による効果の大きさの違いを検討

▶  Graham, et al. (2015)▶ 作文のフィードバックについて 39効果指標を検討▶ 誰がフィードバックを与えるかよる効果の大きさの違いを検討

▶  Hattie &Timperley (2007)▶ メタ分析の結果をさらにメタ分析▶ フィードバックに類するものの効果の大きさの違いを検討

▶   Kingston & Nash (2011)▶ 42効果指標を統合▶ 学年及び教科によるフィードバックの効果の大きさの違いを検討

▶   Lyster & Saito (2010)▶ 外国語学習における口頭フィードバック▶ フィードバックの内容による効果の大きさの違いを検討

教育評価論(第 11 講) フィードバックの効果 (4) 平成 27 年 12 月 16 日 4 / 22

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The Instructional Effect of Feedback

in Test-Like Event

Robert L. Bangert-Drowns, et al. (1991)

文責:

○FIGURE 1.○

feedback effect についての研究から得られた 58 効果指標の効果量の

分布を表した柱状図

★この FIGURE から★

・58 効果指標のうち 18 もの効果指標で効果量がマイナスに出てい

る(=効果なし)

・偏差の平均は 0.26

(これは 100 点満点の試験で 50 点から 59 点にするのと同じ効果量)

⇒フィードバックは効果をもたらしているがそれは小さいものだ

・Figure1において極端な数値を示したのは以下のようなものであ

223ページ「1.42」Lhyle&Kulhavy,1987Study2

222ページ「1.24」Heald,1970Study2

222ページ「-0.83」Jacobs&Kulkarni,1966 Study2

221ページ「-0.58」Arnett,1985Study4

・224ページ2段落目から、この表についての説明がある。

○我々の直感とは異なる結果が出ている。時間をかけたり、繰り返

したりといったものも、一定の効果をもたらしている場合がある。

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○TABLE2.○

58の研究の様々な手段と、達成効果の大きさの標準

誤差。

数値は効果指標の平均の効果量。

フィードバックの種類

正解・不正解のみ -0.08

訂正する 0.22

正しい回答を提出するまで繰

り返す 0.53

解説する 0.53

フィードバックのタイミング

授業の後すぐ 0.19

テストの後すぐ 0.72

テストの後時間が経ってから 0.56

テスト内容の種類

作文 0.02

複数選択 0.48

穴埋め 0.29

混合 0.27

対象者

小学生 0.29

中学生 0.12

高校生 0.28

教科

算数 0.22

科学 0.32

社会 0.40

言語 0.10

その他 0.14

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○TABLE3.○

結果のパターンは研究間で異なる。

概して、必要な時には訂正を提供するフィードバックのほうが

効果が高い。

研究 正解・不正解の み 訂正する 正 しい 回答 を 提出

す る ま で 繰り返す

解説する

Arnett,1985

Study1 0.38 0.36

Study2 -0.58 0.05

Bumgarner,198

4

-0.19 0.49

Farragher &

Szabo, 1986

-0.24 0.18

Heald, 1970 0.81 1.24

Hirsch, 1952 -0.08 0.20

Roper, 1977 0.26 0.76

Sassenrath &

Gaverick, 1965

0.58 0.33

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作文のフィードバックにおける効果量と信頼区間

•  大人によるフィードバック (1)教師あるいは教師以外の大人による フィードバック .(2)書き方の学習の進行状況に対する 教師によるフィードバック .

•  生徒間のフィードバック(1)他の生徒と フィードバックを 与え合うこと .(2)他の生徒に フィードバックを 与えること を含む.

•  自己評価

生徒が自分で課題を フィードバックすること を含む.

•  コンピュータによるフィードバック

以上を次の表でまとめると・・・

Page 9: 151216 教育評価論(三田)第11講

Table2:作文のフィードバックにおける効果量と信頼区間

*1:アイディア,構成,声の調子,後の選別,文の流暢さ,様式,体裁などを含む.*2:信頼区間のマイナスなので,効果量は0と考えられる.

Page 10: 151216 教育評価論(三田)第11講

まとめ

•  最も効果があるのは,「大人によるフィードバック」である.→内容・構成に関しても評価される.

•  「学習者同士によるフィードバック」と「自己評価」の信頼区間を比較するとほぼ同じなので,効果量も等しいとみなせる.→同レベルの能力であるため,評価のレベルも同じ.

•  この4種類のフィードバックの方法の中では,「コンピュータによるフィードバック」は最も効果が薄い.→文法・語法上の正誤は判断できるが,内容・構成面や生徒の伸びを評価す 

    ることは困難.

作文のフィードバックにおいては,内容面の評価と生徒の伸びの評価が,効果量に大きく影響を与える.

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フィードバックの目的とは?

目的

生徒自身が行うフィードバック

先生が生徒へ行うフィードバック

現状と理想のギャップを埋めること

生徒自身がミスを見つける能力と自分でフィードバックを行う能力を身につける→しかし、なかなか難しい

適切な目標や課題を生徒に与えることや効果的な学習計画やフィードバックを行うこと

H班

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そもそも効果的なフィードバックとは?

目的はなにか?

どのように達成するか?

達成後どのような情報を与えられるか

4つの側面

Task level

Process level

Self-regulation

level

Selflevel

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4つのレベルとは?

Self level

Task level

Process level

Self-Regulation level

+

-生徒への賞賛は課題から注意が削がれ逆効果で彼らの能力への自らの評価にネガティブな結果をもたらす。生徒の頭の中での比較は偏りが出てしまい、それらは効果を低めてしまう。

フィードバックをするだけではなく細かく説明をしてあげることが効果的。

正しい手順をあたえ、より効果的な情報捜査、学習ストラテジーを導くものです。このプロセスは発展学習を促します。

自分の現状を知り、自分が今上手くいっているのかいないのかを自己評価すること。自己評価することで、進捗を確認することが出来る。

Page 14: 151216 教育評価論(三田)第11講

TABLE2

フィードバック効果に関する効果量の要約

変数 メタ分析の数 研究の数 効果の数 効果量

ヒント 3 89 129 1.10

フィードバック 74 4.157 5.755 0.95

補強 1 19 19 0.94

ビデオ・音声フィードバック 1 91 715 0.64

コンピューターアシスト 4 161 129 0.52

教育上フィードバック 8 640 121 0.46

学生評価フィードバック 3 100 61 0.42

矯正フィードバック 25 1.149 1.140 0.37

即時に対して遅い 5 178 83 0.34

報酬 3 223 508 0.31

遅いのに対して即時 8 398 167 0.24

罰 1 89 210 0.20

ほめる 11 388 4.410 0.14

計画された教授 1 40 23 -0.04

・作業について、そしてその作業をより効率的に行う方法についての情報を生徒が受け取る

と高い効果量を示す。

→ビデオや音声、コンピューターアシストの教育上のフィードバック、あるいは目的に関す

ることなどのヒント・補強を学習者に与えることがフィードバックの最も効率的な形。

・ほめる・報酬・罰に関することは低い効果量を示す。

→計画された教授、ほめる、罰、非本質的な報酬は高度の成功にとって効果が少ない。

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教育評価論 レポート課題:フィードバック効果(2)

K班

【Table 2】

この論文の冒頭にあるように、しばしば発達評価の有効性を目指す効果量として.40-.70

が要求されているけれども、既存の研究土台からそれを支持できるわけではない。数多く研

究がある中で実際 13 の研究(論文?)だけが効果量算定に有意な情報を提供してくれている

に過ぎない。それらの研究からは 42の個別の効果量が析出されている。そして、その 42の

効果量の具体的数値内容と分布を同時に示したのが Table2 の"Stem and Leaf Plot of 42

Effect Sizes(※図表上部の表題には「41」とあるが、論文本文では「42」また図表上にも 42

の効果量が数えられる為、改めた。)"すなわち茎葉図と呼ばれるものである。Stem の縦列

を数値の幹(小数第 1位)とし、Leafの横列にある数字をそれぞれ葉(小数第 2位)として読ん

でいく。42 の独立した効果量の数値内容をそこから得ることができる。更に、この図表を

左に 90度倒してみると、度数分布表としての機能を果たすことがわかる(図参照)。論文冒

頭に中央値.25とあるが、この図表からもその周辺に多く数値が集まっているのが認められ

るであろう。以後、ここに示された数値を元に様々な分析が進められる。ただし、この内、

1つだけ Art科目の評価を対象とした数値が含まれており、それは以後用いられない。詳し

くは、以下〈Table4-6〉を参照のこと。

Table 2 分布表としての見方

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教育評価論 レポート課題:フィードバック効果(2)

K班 田畑安結 井村俊介 小山諒佳 今井一貴

南須原一歩 高城渉 山崎かれん カジ川諒

【Table 2】

この論文の冒頭にあるように、しばしば発達評価の有効性を目指す効果量として.40-.70

が要求されているけれども、既存の研究土台からそれを支持できるわけではない。数多く研

究がある中で実際 13 の研究(論文?)だけが効果量算定に有意な情報を提供してくれている

に過ぎない。それらの研究からは 42の個別の効果量が析出されている。そして、その 42の

効果量の具体的数値内容と分布を同時に示したのが Table2 の"Stem and Leaf Plot of 42

Effect Sizes(※図表上部の表題には「41」とあるが、論文本文では「42」また図表上にも 42

の効果量が数えられる為、改めた。)"すなわち茎葉図と呼ばれるものである。Stem の縦列

を数値の幹(小数第 1位)とし、Leafの横列にある数字をそれぞれ葉(小数第 2位)として読ん

でいく。42 の独立した効果量の数値内容をそこから得ることができる。更に、この図表を

左に 90度倒してみると、度数分布表としての機能を果たすことがわかる(図参照)。論文冒

頭に中央値.25とあるが、この図表からもその周辺に多く数値が集まっているのが認められ

るであろう。以後、ここに示された数値を元に様々な分析が進められる。ただし、この内、

1つだけ Art科目の評価を対象とした数値が含まれており、それは以後用いられない。詳し

くは、以下〈Table4-6〉を参照のこと。

Table 2 分布表としての見方

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【Table 4,5】

Table4は各教科についてのモデレーター分析である。(音楽については含まれていないため、

n の総数は 41 となっている。)数学の平均効果量は.17、科学は.09 であるのに対し、国語

は.32であり形成的評価においてもっとも効果が高い。

但し化学は効果量が-.11から.25と間に効果量 0を含むため信頼度に誤差が出る。

次に、Table5は各学年についてのモデレーター分析である。K-4は幼稚園〜第 4学年、5-7

は第 5〜7学年(小学校)、8-9は第 8〜9学年(中学校)、10-12は第 10〜12学年(高校)を表す

ため、Table5からは学年の区分間での効果量にほとんど差はなく、また Sig.levelの Total値

が.4880であることからもそれがわかる。

全学年平均の効果量が.27 と信頼出来る数値だが幼稚園~第 4 学年は n の数が 2 とサンプ

ル数が少ないため誤差が大きいといえる。

【Table 7】

学年区分別モデレーター分析

教科領域別モデレーター分析

教科領域

学年段階

※1つ「音楽」に分類されている研究はこの分析に用いられない

数学

英文芸

科学

合計

効果量 (信頼区間.95)

下方 平均 上方

効果量 (信頼区間.95)

下方 平均 上方

有意

水準

有意

水準

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【Table 4,5】

Table4は各教科についてのモデレーター分析である。(音楽については含まれていないため、

n の総数は 41 となっている。)数学の平均効果量は.17、科学は.09 であるのに対し、国語

は.32であり形成的評価においてもっとも効果が高い。

但し化学は効果量が-.11から.25と間に効果量 0を含むため信頼度に誤差が出る。

次に、Table5は各学年についてのモデレーター分析である。K-4は幼稚園〜第 4学年、5-7

は第 5〜7学年(小学校)、8-9は第 8〜9学年(中学校)、10-12は第 10〜12学年(高校)を表す

ため、Table5からは学年の区分間での効果量にほとんど差はなく、また Sig.levelの Total値

が.4880であることからもそれがわかる。

全学年平均の効果量が.27 と信頼出来る数値だが幼稚園~第 4 学年は n の数が 2 とサンプ

ル数が少ないため誤差が大きいといえる。

【Table 7】

学年区分別モデレーター分析

教科領域別モデレーター分析

教科領域

学年段階

※1つ「音楽」に分類されている研究はこの分析に用いられない

数学

英文芸

科学

合計

効果量 (信頼区間.95)

下方 平均 上方

効果量 (信頼区間.95)

下方 平均 上方

有意

水準

有意

水準

Page 19: 151216 教育評価論(三田)第11講

Table 7の示すところは、各効果量における、目標達成基準を満たした生徒へ改善された度

合いの割合 と言える。

テーブル 7 から分かったことは、例えば生徒が 100 人いて、目標達成基準を満たしている

生徒たちが元々50 人いた場合を見てみると、効果量が.20 のとき 8 人の生徒が改善され、

効果量が.25のときは 10人の生徒が改善されている。また効果量が.30のときは 12人、効

果量が.40 のときは 16 人の生徒が改善されており、効果量が大きければ大きいほど改善さ

れる生徒も多いことがわかる。これは、目標達成基準を満たしている生徒たちが始めにどれ

だけいたか異なっていても同じような傾向が見られる(ただし、最初にそのような人たちが

少なければ少ないほど改善される割合が高くなるといった単調増加の傾向は見られない)。

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Figure.1 と Figure.3 のまとめ(1)フィードバックの効果のメタ分析(L班)

PROMPTS(学習者への働きかけ)

生徒に間違いを見つけさせる① Clarification requests:明確化の要求② Repetition:反復③ Elicitation:情報の引き出し④ Metalinguistic clues:メタ言語によるフィードバック⑤ : ②、③、④をすべて行う

Figure.1(補正フィードバックの種類分け)

REFORMATIONS(再構築)

先生が間違いを指摘する⑥ Recasts:言い直し、聞き返す⑦ Explicit correction:明確な訂正

Page 21: 151216 教育評価論(三田)第11講

Figure.3Figure.1 と Figure.3 のまとめ(2)

第二外国語のクラスで効果量を比較する

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指導の具体的な例結論 Figure.3 の効果量の表から見ても分かるとおり、一番効果的な補正フィードバックはPrompts である(Between-GroupにおいてもWithin-Groupにおいても一番効果量が大きかった)。

学力に一番寄与するフィードバックの方法は

生徒がHe have a book.と言ったとき(誤:have 正:has)

Recast : No, “he has a book” .Prompt : “have” ??EC : Not “have” but “has” .

Figure.3 効果量を比較した表

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取り組んだ課題の成果

Bangert-Drowns, et al. (1991)

分析対象としたメタ分析の結果から▶ Bumgarner (1984): 正誤 -0.19<正答・訂正 0.49▶ Hirsch (1952): 正誤 +0.08<正答・訂正 0.20▶ Roper (1977): 正誤 0.26<正答・訂正 0.76

メタ分析を統合した結果から▶ 正誤: -0.08▶ 正答・訂正: 0.22▶ 解説: 0.53

▶ 正誤フィードバックの効果の低さ▶ 正誤<正答・訂正<解説教育評価論(第 11 講) フィードバックの効果 (4) 平成 27 年 12 月 16 日 5 / 22

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取り組んだ課題の成果

Graham, et al. (2015)

評価者による効果の違い▶ 大人 (教師)によるフィードバック (d = 0.87) >学習者どうし

(peer),自己評価 (self),コンピュータ▶ 学習者どうし (peer)≈自己評価 (self)▶ コンピュータ<adult, peer, self

▶ ピアフィードバックや自己評価の効果がけっこう高い▶ 作文のような課題では,コンピュータによる機械的なフィードバックの効果は低くはないが,人が行うフィードバックと比べて効果が低い。

▶ 著者らは「以前と比べてどういうことが出来るようになったか」「改善されたか」をフィードバックすることが重要と考察している。教育評価論(第 11 講) フィードバックの効果 (4) 平成 27 年 12 月 16 日 6 / 22

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取り組んだ課題の成果

Hattie &Timperley (2007)

よくある

あまりない

自己

課題

過程

自己調整

「がんばりましたね」(単なる褒め)

「正解です」「間違いです」「これが正解です」(正誤・正答)

「●●なので間違いです」「なぜこの正答を導いたのですか」(理由・手がかり)

「▲▲と結びつけて考えましょう」「■■な学習方法を取り入れてみましょう」(頭の使い方)

効果量0.1程度

正答できる

理由付きで正答できる

自分で学習を進める

教育評価論(第 11 講) フィードバックの効果 (4) 平成 27 年 12 月 16 日 7 / 22

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取り組んだ課題の成果

Kingston & Nash (2011)

教科によるフィードバックの効果の違い▶ 数学: d = 0.17 (95%CI[0.14, 0.20])

▶ 国語: d = 0.32 (95%CI[0.30, 0.34])

▶ 理科: d = 0.09 (95%CI[−0.11, 0.25])

▶ 国語>数学>理科

学年によるフィードバックの効果の違い▶ 就学前-4年生≈5-7年生≈8-9年生≈10-12年生

▶ 教科によってフィードバックの効果に違いがあることを示唆。▶ 学年による違いは見られない。

教育評価論(第 11 講) フィードバックの効果 (4) 平成 27 年 12 月 16 日 8 / 22

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取り組んだ課題の成果

Lyster & Saito (2010)

Gain

 scor

e

Recast  (Recall,  modifica3on,  addi3on)  

Lo Hi

Metalinguis3c  feedback  (Explicit,  gramma3cal,  syntac3c)

Working  memory  capacity

外国語学習におけるフィードバックの違いと作動記憶容量(Goo, 2012)

教育評価論(第 11 講) フィードバックの効果 (4) 平成 27 年 12 月 16 日 9 / 22

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どのようなフィードバックが有効か

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どのようなフィードバックが有効か

検討した先行研究群に対する考察

▶ 検討した 5本のメタ分析による研究の知見から,どのようなフィードバックを行うことが学力の伸長に寄与すると考えられるかをまとめる。

▶ 座席が近い塾生どうしで話し合い,その結果を答案用紙にまとめる。

▶  答案用紙は片面だけを使い,話し合った塾生の名前を明記すること。

▶ 答案用紙を提出したら終了。

教育評価論(第 11 講) フィードバックの効果 (4) 平成 27 年 12 月 16 日 11 / 22

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最終課題について

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最終課題について

最終課題と評価の概要最終課題の内容

▶ 「学習者の達成状況を的確に把握し学習を促進するための学習評価の手法」というタイトルをつけて,指示された内容を満たすように執筆し,提出してください。

▶ 箇条書きの列挙など,文章になっていないものは受理しない。

提出▶ 平成 28年 1月 16日 (土)23:00〆切厳守▶ 教職ログブックに提出▶ 全員に提出を求めた授業内課題 5回中 3回以上提出し,かつ 1月 6日までに行った 12回の講義のうち 8回以上出席した塾生が最終課題を提出できる (実習に重なった場合は出席または提出扱いとするが事前に届け出ること)。教育評価論(第 11 講) フィードバックの効果 (4) 平成 27 年 12 月 16 日 13 / 22

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最終課題について

最終課題の様式

▶ 様式は以下の通りです。なお LaTeXで書く場合には jsarticleドキュメントクラスを用いればよい。

▶ A4判用紙縦置き▶ 上下それぞれ 20mm,左右それぞれ 20mmの余白▶ フォントは 10.5ptの明朝体▶ 1行 40文字,1ページ 40行▶ 1ページ 1行目に右寄せで学籍番号を入力▶ 1ページ 2行目に右寄せで学部・学年・名前を入力▶ 1ページ 3行目に中央寄せでタイトルを入力▶ 1ページ 4行目を空ける▶ 1ページ 5行目から書き始める。

▶ 提出はPDFファイルに限る。

教育評価論(第 11 講) フィードバックの効果 (4) 平成 27 年 12 月 16 日 14 / 22

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最終課題について

最終課題の要件

▶ 「学習者の達成状況を的確に把握し学習を促進するための学習評価の手法」というタイトルをつけて,以下の内容を満たすように執筆し,提出してください。

▶ レポートは以下 3つの節で構成してください。なお,文章になっていないもの(箇条書きの列挙など)は受理しません。

教育評価論(第 11 講) フィードバックの効果 (4) 平成 27 年 12 月 16 日 15 / 22

Page 34: 151216 教育評価論(三田)第11講

最終課題について

最終課題の要件:第1節▶ 第 1節には「評価に用いる情報の適切な取得」というタイトルをつけて執筆しなさい。

▶ 講義中に演習を担当した教科,あるいは自身の取得予定免許教科について,具体的な一単元を設定し,例示的に論じなさい。

▶ 小節立ては自由だが,以下の内容を必ず含めること。評価項目 11 評価規準に対して「十分満足」「おおむね満足」「努力を要す

る」の三段階で評価する,観点別評価を行うためのテスト冊子とテスト項目の作り方を,講義内容に基づいて概説すること。

評価項目 12 この節で扱うこととした具体的な単元についての「単元の評価規準」を国立教育政策研究所の資料にもとづいて設定する手順を解説しながら,この節で扱うこととした具体的な単元についての「単元の評価規準」を設定しなさい。

評価項目 13 設定した「単元の評価規準」に対して B(おおむね満足)に相当する実現状況レベルを記述しなさい。

評価項目 14 設定した「単元の評価規準」に対して A(十分満足)に相当する実現状況レベルを記述しなさい。

評価項目 15 記述した「Bに相当する実現状況レベル」と判断するための項目を作成し示しなさい。

評価項目 16 記述した「Aに相当する実現状況レベル」と判断するための項目を作成し,示しなさい。

評価項目 17 テスト冊子とテスト項目の作り方は,実際の教科,単元,テスト項目の具体例を挙げながら,図表を用いて概説すること。

教育評価論(第 11 講) フィードバックの効果 (4) 平成 27 年 12 月 16 日 16 / 22

Page 35: 151216 教育評価論(三田)第11講

最終課題について

最終課題の要件:第2節

▶ 第 2節には「学力の伸長に寄与する評価結果の戻し方」というタイトルをつけること。

▶ 小節立ては自由だが,以下の内容を必ず含めること。評価項目 21 評価結果の戻し方に関するメタ分析による研究でど

のようなことが明らかとなっているかを,文献を引用して概説しなさい。

評価項目 22 どのように評価結果を戻すことが学習者の学力の伸長に寄与すると考えられるかを,文献を引用した概説の内容から適切に論じなさい。

評価項目 23 この節において議論を展開するにあたっては,図表を 2つ以上用い,実証的に論じなさい。

教育評価論(第 11 講) フィードバックの効果 (4) 平成 27 年 12 月 16 日 17 / 22

Page 36: 151216 教育評価論(三田)第11講

最終課題について

最終課題の要件:第3節▶ 第 3節には「学習評価とは」というタイトルをつけて執筆しなさい。

▶ 小節立ては自由だが,以下の内容を必ず含めること。評価項目 31 単に正答数を積み上げて数値化するのではなく,第 1

節で論じたような,評価規準に対して「十分満足」「おおむね満足」「努力を要する」の三段階で評価することのできるテスト冊子を用いることの利点を,第 2節で論じた「学力の伸長に寄与する評価結果の戻し方」の内容と関連づけながら説明しなさい。

評価項目 32 評価のための情報の取得,評価の実施,評価結果の戻しの在り方を,実際の単元に位置づけ,図表を用いながら具体的に示しなさい。

評価項目 33 このレポートの内容を総括し,「学習評価とは何か」を暫定的に定義しなさい。

教育評価論(第 11 講) フィードバックの効果 (4) 平成 27 年 12 月 16 日 18 / 22

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最終課題について

最終課題の要件:引用文献

評価項目 41 この講義で扱った文献と,これ以外の文献を含めて,5本以上の文献を引用すること。

評価項目 42 引用文献には,講義で扱ったもの以外の文献を 2本以上含めること。

評価項目 43 指定されたスタイル,または自身の専門のスタイルシート (MLAやChicago, APAなど)に沿って,一貫性のある方法で本文における引用を行い,また引用文献一覧を作成すること。

▶ 引用が正しくされていないレポートは剽窃と見なされるので十分に注意すること。

教育評価論(第 11 講) フィードバックの効果 (4) 平成 27 年 12 月 16 日 19 / 22

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最終課題について

評定

▶ 上記 16の評価項目中,10項目満たしてC,13項目満たしてB,15項目満たしてAの標語を与える。

▶ 1月 20日の講義で評価結果をフィードバックする。1月 20日の講義を欠席した塾生は評価結果に対して納得したものとみなし,疑義申し立ては受け付けない。

教育評価論(第 11 講) フィードバックの効果 (4) 平成 27 年 12 月 16 日 20 / 22

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最終課題について

Aをとるための手掛かり

▶ 最終課題の内容は,これまで取り組んだ講義内課題の総まとめとして位置づけられるものである。

▶ 評価項目を全て満たせば Aとなる。執筆中および提出前に自身で確認するとよい。

▶ 1月 13日の休講分の補講を 1月 12日 (月)に行う。内容はレポートの相談受付とするので,出席して指導を受けると,より高い評価になる可能性が高くなると思われます。

教育評価論(第 11 講) フィードバックの効果 (4) 平成 27 年 12 月 16 日 21 / 22

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出席の登録

本日の出席とスライド

本日の出席

https:

//questant.jp/q/151216

本日のスライド

http://www.slideshare.net/

koyoyamamori/eduass151216

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