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マママママママママママママママママママ ママママママママママママ Japanese Internet Policy in the Multi- stakeholder Process ママママ ママママ [email protected] 6/17/20 14 Strengthening Multistakeholder Governance in Japan (June 17@GLOCOM) 1

日本のインターネット政策

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6月17日に国際大学GLOCOMで開催されたミーティングで使用しました。

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マルチステークホルダープロセスの下での日本のインターネット政策Japanese Internet Policy in the Multi-stakeholder Process九州大学 実積寿也

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そもそも政府の介入は?• 市場メカニズムの効率的活用を基本とする政策運営を行っている資本主義諸国において政府の介入が許容されるためには… .

I. 以下の二つの条件を満足すること1. 市場の失敗が存在すること

効率性の失敗(=狭義の市場の失敗) 既存の生産要素が効率的に生産物に転換されないのは「非効率」 生産物は必ずしも金銭的価値に容易に転換できるものだけではない。

公平性に関する失敗 社会で共有されている正当性の基準とは反する形で成果が分配されるのは「不公平」

2. 政府介入のためのコストを上回るベネフィットが予想されること コストが上回る場合、市場の失敗を甘受するほうが望ましい結果となる。

あるいは

II. 生産要素を注ぎ込むに足る強固な合意が存在すること 「神の名の下に… .」的なプロジェクト

火星探査もこの例?

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「インターネット政策」には二種類インターネット産業「育成・管理」政策1. 産業構造政策

産業育成、幼稚産業保護 インターネット部門というものを国内に育成

産業調整 インターネット部門を育成するために他部門に投入されている生産要素の転換を図る

2. 産業組織政策 参入規制(投資規制)や料金規制を通じた事前規制

効率的なインターネット供給体制を設計する 競争法による事後規制

非効率的なインターネット供給が観察された場合に事後的に介入する3. 戦略的貿易政策

輸出産業としてインターネット部門を他国に先駆けて育成する

インターネット利用「促進」政策4. インターネット利用産業育成

キーテナントとして政府調達5. 利用者保護、消費者保護、消費者教育

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白書にみる総務省の「インターネット政策」• 新たなドメインネーム管理体制確立提案へのコメント提出( 1999年)

• ICANN体制のGAC(Government at Advisory Committee)での活動( 2001年) 正式登録メンバーとして国際的な協力体制の確立に尽力( 2003、 2010、 2011年) 国際化ドメイン名等の確立にむけた働きかけ( 2003年、 2004年) 地理的名称保護、紛争処理手続き等、利用環境整備に向けた働きかけ( 2004年)

• ICANN一般会員としての登録勧奨( 2001年)

• わが国における IPアドレス・ドメイン名の適切な運営 政府機関専用のドメイン名の利用推進への積極的取組み( 2006、 2008年)

JPRSと「汎用 JPドメイン名における予約ドメイン名リスト」の現行化( 2007、 2009年) 情報通信審議会で新たな TLD( .日本)の導入及び管理運営形態の検討( 2009、 2010、 2011年)

• WSISをめぐる活動( 2002、 2003、 2004、 2005年) インターネットガバナンスに関する連絡会開催( 2004年) ユビキタスネット社会に関するWSISテーマ別会合の開催( 2005年) インターネットガバナンスに関する議論への積極参加( 2006年) インターネットガバナンスフォーラムへの参加( 2007、 2008、 2009、 2010、 2011、 2012年)

• 国際電気通信規則( ITR)の見直し( 2013年)

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「日本のインターネット政策」に関する仮説• 「日本のインターネット政策」=「インターネット利用政策」

電気通信政策の主務官庁である総務省は、インターネットの利用環境の整備やインターネットの利用が引き起こす問題への対処には多大の政策資源を投下してきたものの、「インターネット」自体に対しては直接的な影響を及ぼした経験はない ドメイン名の配布・管理を行う JPNIC/JPRSへの関与は唯一の例外

日本政府全体についても状況はほぼ同じ

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「高度情報通信ネットワーク社会形成基本法」( 2000年)【意義】

すべての国民が、高度情報通信ネットワークを容易にかつ主体的に利用する機会を有し、その利用の機会を通じて個々の能力を創造的かつ最大限に発揮することが可能となり、もって情報通信技術の恵沢をあまねく享受できる社会を実現

【基本的視点】• 経済構造改革の推進(電子商取引の促進、新規事業の創出)• ゆとりと豊かさを実感できる国民生活の実現(低廉・多様な情報サービス)• 個性豊かで活力に満ちた地域社会の実現• 適切な官民の役割分担• 情報通信技術の利用の機会及び活用能力の格差の是正(デバイド対策)• 雇用等新たな課題への対応

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主要なインターネット「利用」政策パッケージ 6/1

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e-Japan戦略(2001年1月)

e-Japan戦略Ⅱ(2003年7月)

IT新改革戦略(2006年1月)

i-Japan戦略2015(2009年7月)

新たな情報通信技術戦略(2010年5月)

世界最先端IT国家創造戦略(2013年6月)

5年以内に世界最先端のIT国家となることを目指す

IT利活用により「元気・安心・感動・便利」社会を目指す

いつでも,どこでも,誰でもITの恩恵を実感できる社会の実現

7分野での利活用先導1. 医療2. 食3. 生活4. 中小企業金融5. 知6. 就労・労働7. 行政サービス

新しいIT社会基盤整備1. 次世代情報通信基盤の整備

2. 安全・安心な利用環境の整備

3. 研究開発の推進4. 人材育成と学習振興

5. 新たな国際展開

国民主役の「デジタル安心・活力社会」の実現

情報通信技術による国民主導社会への転換

四つの重点政策分野1. 超高速ネットワークインフラ整備および競争政策

2. 電子商取引ルールと新たな環境整備

3. 電子政府の実現4. 人材育成の強化

2020年までに世界最高水準のIT利活用社会の実現

ITの構造改革力追求1. 医療構造改革・環境問題への対応

2. 安全・安心な社会の実現

3. 電子行政の実現,企業競争力強化,豊かな生活の実現

IT基盤の整備1. デジタル・ディバイドの克服

2. 安心してITを使える環境の整備

3. 人材育成・教育4. 研究開発

世界への発信1. プレゼンス向上2. 国際貢献

三大重点分野1. 電子政府・電子自治体

2. 医療・健康3. 教育・人材

産業・地域の活性化と新産業の育成1. 産業革新・活性化2. デジタル技術による新市場創出

3. 地域の活性化4. グローバル展開・連携の推進

デジタル基盤の整備1. 超高速インフラの高度化

2. 利用環境の整備3. クラウド環境整備

三つの重点戦略1. 国民本位の電子行政の実現

2. 地域の絆の再生3. 新市場の創出と国際展開

取り組み1. 新産業・新サービスの創出と全産業分野の成長促進

2. 世界一安全で災害に強い社会の実現

3. ワンストップ公共サービスの実現

利活用の裾野拡大のための基盤強化1. 人材育成・教育2. 世界最高のITインフラ環境の確保

3. サイバーセキュリティ

4. 研究開発の推進,研究開発成果との連携

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インターネット政策が存在しなかったメリット• 少なくともこれまではインターネット政策が存在しなかったことによるメリットを享受してきたのではないか?

1. 政策をしないことによる直接的なメリット 市場の失敗は存在していたかもしれないが、その規模はあまり大きくなかった。 インターネットが日常生活のインフラになったのはつい最近 政策をしないことによって市場成果の不公平な配分が多くのベンチャー企業を呼び寄せ、活発な技術開発を実現してきたことは否定できない

2. 情報の非対称性による政府の失敗の回避 法改正のペースでインターネットの技術進歩により引き起こされる問題に対処することは不可能 政策が「インターネット利用促進」に特化していたことで、インターネットそのものに関する技術開発に政策バイアスが発生することが避けられた。 競争中立性、技術中立性が結果的に確保された。

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ただし、インターネットの普及期を過ぎ、社会インフラと化した今日では、別の政策アプローチがあってしかるべきという議論は成立しうる。

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もしインターネット政策に踏み込むとすれば…政府が関与できそうな「市場の失敗」の例

1. インターネット資源に関する市場支配力の濫用 or支配力のレバレッジ 市場支配力の濫用が存在し、それを制約することによるメリットが政策コストを上回るのであれば、政府の介入を正当化できる余地はある。 ただし、 .comなどの他の TLDとの競合関係にあると想像される jpドメインについて濫用といえるほどの事態が存在しているのかについては、慎重な検討が必要 一方で、市場支配力の濫用がないことを証明するための「透明性確保」は不可避

2. インターネット利用のダウンサイドリスクへの対処 サイバー攻撃などが発生する有事への備え

緊急時の管理権剥奪?

3. 表現の自由の確保という意味での「ネットワーク中立性」の確保 コンテンツ事業者にとってのユニバーサルサービス?

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いずれにしても、市場経済の下では、市場の失敗の存在(あるいはそれが存在する高い蓋然性)を確認した上でのケースバイケースの検討が必要

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政策を展開するなら、政府の失敗を抑制する工夫が必要 6/1

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政府

民間ビジネス

技術エリート

一般利用者

• 情報の非対称性による政府の失敗を最小限にするための工夫としては、衆知を結集するマルチステークホルダープロセスは一つの解

• プロセスの参加者としての政府に期待される役割は三つ1. ルール設定・プロセスの運営2. 「声無き声」の代弁者3. プロセスが機能しなくなった場合のセーフティーネットの提供

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マルチステークホルダープロセスの実質化• マルチステークホルダー関与の実質化

関連情報の公開、共有 一般利用者の実質的な関与を求めるのであれば適切な利用者教育は必須の前提 欧米諸国においてネットワーク中立性問題が技術者コミュニティの枠を超える社会的関心を集めているのに対し、日本においては話題に上ることが殆どないのは、基本的なリテラシー(←その中身はさておくとして)の水準が大きくことなっていることを示唆?

情報を公開することが情報保有者のメリットにつながるような仕組みが必須 情報を提供することが情報提供者自体のメリットになることを保証しないと、そもそも情報がでてこない

情報提供者自体が自主的に関与する仕組みがないと、公開された情報の内容の適切性・十分性を中立的第三者が審査し保証するというとてつもなく厄介な作業も発生

• マルチステークホルダープロセスの権限の実質化 決定事項の形骸化を防止するためには遵守状況の監視と、違反者へのペナルティが定まっていることが望ましい

もちろん、政府の直接的行動や司法システムを通じた遵守の保証は一案ではあるが、日本だけが突出するとボーダレス環境の下では制度間競争の敗者となりかねない。

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一つの提案:ドメインの品質競争• .JPドメインが「最も安全なドメイン」としてその高品質なオペーレションが世界的に高く評価されているのであれば、その情報をもっと公開し、ドメイン間の単なる価格競争に陥る必要性をなくすことが一般利用者の利益につながる

• そのために、マルチステークホルダープロセスの中で各 TLD(あるいは SLD以下)の品質や運営体制、提供条件についての情報を認定・開示するシステムがあれば良い?

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.jpドメインは、管理運用体制が整備されていて(海外の様な無法地帯になっていない)かつ安定していて(システム障害がない)非常に信頼性が高い。利用を日本国内のユーザに限定していることも信頼性が高い理由となっている。

(ドメイン名政策委員会での田中社長 [さくらインターネット㈱ ]コメント)

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最後に: FIRST DRAFTの誤謬• P.13, 2nd paragraph“ インフラはもはや参入障壁となる要件ではなく、デジタル送信は既存周波数帯のより効率的な利用を可能とする。これまでのような、少数の認可された巨大な独占体の維持と規制を中心とした国家の IT政策は、急激に意味を失いつつある。 .”

• もしこの主張が事実なら、ネットワーク中立性問題は発生していない。 確かに被規制対象は変化してはいるものの… . インターネット利用が普遍化し、サービス提供者の数が増え、競争が活発化すればするほど、ボトルネックを保持する「超巨大事業者」の市場支配力が増大し、効率的資源配分が損なわれる余地が生まれる。 物理的な回線設備 周波数資源 一部のドメインネーム(?) 検索エンジン

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