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2018年上半期 集中治療最新論文10選 東京ベイ・浦安市川医療センター 救急集中治療科 片岡 惇 奈良県総合医療センター 集中治療部 岩永 航

2018年上半期 集中治療最新論文10選 - JSEPTIC1本目 敗血症性ショックに対しての ステロイド投与は死亡率を改善するか ADRENAL研究 N Engl J Med

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2018年上半期集中治療最新論文10選

東京ベイ・浦安市川医療センター 救急集中治療科

片岡 惇奈良県総合医療センター 集中治療部

岩永 航

Page 2: 2018年上半期 集中治療最新論文10選 - JSEPTIC1本目 敗血症性ショックに対しての ステロイド投与は死亡率を改善するか ADRENAL研究 N Engl J Med

多施設ジャーナルクラブ• 聖マリアンナ医科大学• 聖マリアンナ医科大学西部病院

• 東京ベイ・浦安市川医療センター• 練馬光が丘病院• 横須賀市立うわまち病院

• 東京女子医科大学

• 東京都立多摩総合医療センター

• 奈良県立総合医療センター

• 大阪市立総合医療センター

• 浦添総合病院

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多施設ジャーナルクラブ

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1本目

敗血症性ショックに対してのステロイド投与は死亡率を改善するか

ADRENAL研究

N Engl J Med. 2018;378:797-808.

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敗血症ストレス

相対的副腎不全

コルチゾール

HPA axis ※

生体

コルチゾール

生体

×

×

視床下部-下垂体-副腎 視床下部-下垂体-副腎

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相対的副腎不全

コルチゾール 血管収縮

コルチゾール 血管収縮

治療抵抗性ショックの原因では?

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ガイドライン

適切な輸液と昇圧剤で血行動態が安定しない場合、ヒドロコルチゾン200mg/日の投与を推奨する(弱い推奨, LOE 低)

Intensive Care Med. 2017;43(3):304-377.

初期輸液と循環作動薬に反応しない成人の敗血症性ショック患者に対して、ショックの離脱を目的として低用量ステロイドを投与することを弱く推奨する(2B)

日本版敗血症診療ガイドライン 2016

死亡率への寄与はエビデンス不足

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死亡率改善効果の検討

敗血症性ショックに対してのステロイド投与は死亡率を改善するか

ADRENAL研究

N Engl J Med. 2018;378:797-808.

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多施設 二重盲検比較試験

P 挿管を要する敗血症性ショック

I ヒドロコルチゾン投与※

C プラセボ投与

O 90日以内の死亡率

※200mg/200ml/日 24時間持続静注

最大7日間 or ICU退室 or 死亡まで投与漸減なし

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患者背景

ヒドロコルチゾン

n=1853

プラセボ

n=1860

年齢 62.3 ± 14.9 62.7 ± 15.2

外科系入院 576 (31.2%) 591(31.8%)

APACHE Ⅱ 24.0 23.0

APACHE Ⅱ≧25 847(45.9%) 800 (43.1%)

腎代替療法 228 (12.3%) 242 (13.0%)

Max Lac(mg/dl) 34.2±29.1 34.5±28.2

感染巣 肺/腹部 33.8/25.9 36.5/25.2

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患者背景

ヒドロコルチゾン

n=1853

プラセボ

n=1860

年齢 62.3 ± 14.9 62.7 ± 15.2

外科系入院 576 (31.2%) 591(31.8%)

APACHE Ⅱ 24.0 23.0

APACHE Ⅱ≧25 847(45.9%) 800 (43.1%)

腎代替療法 228 (12.3%) 242 (13.0%)

Max Lac(mg/dl) 34.2±29.1 34.5±28.2

感染巣 肺/腹部 33.8/25.9 36.5/25.2

60代

70% 内科系

APACHE Ⅱ 24程度

肺/腹部 感染 多い

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0

10

20

30

90日死亡率 28日死亡率

ヒドロコルチゾン

プラセボ

OR 0.95(0.82-1.10)

OR 0.89(0.76-1.03)

有意差なし 有意差なし

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0

2

4

6

8

10

12

14

ショック離脱 呼吸器離脱 ICU退室

ヒドロコルチゾン

プラセボ

p<0.001

p<0.001

p<0.001

日期間を有意に減らす

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ADRENAL研究敗血症性ショックに対するステロイド

人工呼吸器を要する敗血症性ショックに

ハイドロコルチゾン200mg/day持続投与

死亡率

ショック離脱までの時間

人工呼吸器期間

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敗血症性ショックに対してのステロイド投与は死亡率を改善するか

APROCCHSS研究

N Engl J Med. 2018;378(9):809-818.

同時期に、同テーマの大規模研究が発表された

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APROCCHSS研究敗血症性ショックに対するステロイド

NAD 0.25γを要する敗血症性ショックに

ハイドロコルチゾン50mg 6時間おき

フルドロコルチゾン50μg/day 経管投与

死亡率

ショック離脱までの時間

人工呼吸器期間

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ADRENAL APROCCHESS

N=3658 患者数 N=1241

ハイドロコルチゾン(持続投与) 試験

薬剤

ハイドロコルチゾン(間欠投与)

+フルドロコルチゾン

APACHEⅡ 24点 重症度 SAPSⅡ 56点SOFA 11-12点

NAD 0.35γ 昇圧剤 NAD 1γ

①肺炎(35%)②腹部(25%)

③血流感染(17%)

感染源 ①肺炎(60%)②尿路感染(17%)

③腹部(11%)

28%90日

死亡率 46.1% 17

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まとめ

NAD 0.25γを要する敗血症性ショックでは

ショックの早期離脱

人工呼吸器期間の短縮

(死亡率の改善)

を期待して

ハイドロコルチゾン 200mg/日を投与する

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2本目

重症患者への生理食塩水投与は腎障害を含めたアウトカムを悪化させるか?

SMART研究

N Engl J Med 2018;378:829-839.

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晶質液の種類と組成

成分(mEq/L

血漿 生食0.9%NaCl

乳酸リンゲル

酢酸リンゲル

重炭酸リンゲル

Plasma-Lyte A

Na 131-145 154 130 130 130 140

K 4.5-5.0 4 4 4 5

Ca 2.2-2.6 3 3 3

Mg 0.8-1.0 2 1.5

Cl 94-111 154 109 109 109 98

乳酸 1-2 28

酢酸 28 27

その他 重炭酸28クエン酸4

グルコン酸23mmol/L

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Clの腎臓への影響

緻密斑:Cl濃度増加

輸入細動脈収縮

糸球体濾過量減少

生体反応を逸脱した生理食塩水によるCl負荷は、腎機能障害の要因となる可能性がある

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単施設 非盲検化 クラスターRCT

P 18歳以上のICU入室患者

I 調整晶質液

C 生理食塩水

O 30日以内の主要有害腎イベント※

※死亡、新規透析導入、Cr ≧ 200%

高K血症 頭部外傷は除外

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患者背景

調整晶質液

N=7942

生食

N=7860

平均年齢 58 (44-69) 58 (44-69)

CKD ≧ 3期 1388 (17.5%) 1360(17.3%)

透析 384 (4.8%) 402 (5.1%)

人工呼吸器使用 2723 (34.3%) 2731 (34.7%)

血管収縮薬使用 2094 (26.4%) 2058 (26.2%)

元のCre 0.89 mg/dl 0.89 mg/dl

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10

12

14

16

18

20

調整晶質液 生食

14.3%15.4%

主要有害腎イベント

調整オッズ比0.90(0.82-0.99)p=0.04

%

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10

12

14

16

18

20

調整晶質液 生食

1139(14.3%)

1211(15.4%)

主要有害腎イベント

調整OR0.90(0.82-0.99)調整晶質液は生食に比べ

主要有害腎イベントが1.1%少ないNNT=91

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0

10

20

30

40

内科ICU 神経内科ICU 敗血症 非頭部外傷 維持透析中

調整晶質液

生食

主要有害腎障害イベントの割合

%

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主要有害腎イベント輸液量が多いほど差が大きい

100

80

60

40

20

0

主要有害腎イベント

輸液量1000 2000 3000 4000 5000 60000

0.20

0.15

0.10

0 500 1500 2500

% ml

生食

調整晶質液

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注意点

• ICUごとのランダム化

• 複合アウトカム(死亡・腎障害)

→現在、死亡率をアウトカムとしたRCT進行中

• ICUでの平均輸液量は2L

→輸液量は多いほど、差は大きい

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N Engl J Med 2018;378:829-39

SALT-ED研究非重症患者における生食VS調整晶質液

N=13000

調整晶質液は、生食と比較して

死亡・透析施行・腎障害残存

NNT=111

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各晶質液のコスト

179円 200円 130円 224円

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まとめ

生理食塩水はわずかだが腎障害と関連

重症患者においては

調整晶質液を用いる

あえて用いるとすれば

頭蓋内圧亢進、致死的高K血症

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3本目

クロストリジウム・ディフィシル感染症-2017年 IDSA/SHEAガイドライン-

Clin Infect Dis. 2018;66:987-994.

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重症度の定義

2010 2017

軽症中等症

WBC ≦15000かつ

Cr. ベースの1.5倍以下

非重症 WBC ≦15000かつ

Cr. 1.5mg/dL以下

重症 WBC ≧15000または

Cr. ベースの1.5倍以上

重症 WBC ≧ 15000または

Cr. 1.5mg/dL以上

重症複雑 ショックイレウス巨大結腸

劇症型 ショックイレウス巨大結腸

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治療(初発)

2010 2017

非重症 MNZ(10-14日)

VCM (10日) or

FDX (10日)

重症 VCM (10-14日)

VCM (10日) or

FDX (10日)

劇症型 VCM+MNZ(静注) VCM+MNZ(静注)

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治療(再発 1回目)

2010 2017

初期治療MNZの場合

MNZ (10-14日)

VCM (10日)

初期治療VCMの場合

VCM (10-14日)

VCM 漸減パルスor

FDX (10日)

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VCM 漸減パルス(一例)tapered and pulsed regimen

125

mg

4回/日

2週間

125

mg

2回/日

1週間

125

mg

1回/日

1週間

125 mg

1回/2日

2-8週間

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治療(再発 2回目以上)

2010 2017

VCM 漸減パルス

VCM 漸減パルスor

FDX (10日)

3回以上の場合

便移植

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注意点

• 日本では強病原性株はまれNAP1/BI/027株(治癒率↓、再発率↑)

• フィダキソマイシンは7月に遂に承認

• 糞便移植は普及していない

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メトロニダゾール(MNZ)

バンコマイシン(VCM)

フィダキソマイシン(FDX)

投与 500mgX3回10日間

125mgX 4回10日間

200mgX 2回10日間

治療効果

VCMに劣る特に重症例

MNZに優る特に重症例

VCMと同等

再発リスク

VCMと同等 MNZと同等 最も少ない

費用(10日)

2130 円 先発:25360 円後発:11130 円

78860 円

副作用 末梢神経障害脳症

通常は吸収されない

吸収されない

コメント

FDA未承認 VREのリスク 日本でもついに承認

CDI治療薬

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まとめ(初回治療)

非重症

重症

劇症型

メトロニダゾールバンコマイシン

バンコマイシンフィダキソマイシン?

バンコマイシン ±メトロニダゾール IV

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まとめ(再発治療)

メトロニダゾール

バンコマイシン

バンコマイシン

バンコマイシン漸減パルス療法

フィダキソマイシン?

初回治療レジメン

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4本目

脳梗塞発症後6-24時間における血管内治療DAWN研究

N Engl J Med. 2018;378:11-21.

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脳梗塞に対する血管内治療

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脳梗塞に対する血管内治療

MR CLEAN

EXTENDA-IA

ESCAPE

SWIFT PRIME

REVASCAT

発症6-8時間以内の

ICA, MCA M1領域の

脳梗塞

t-PAに加えて血管内治療

再開通率

90日後のmRSを改善する

N Engl J Med. 2015;372:11-20.

N Engl J Med. 2015;372:1009-18.

N Engl J Med. 2015;372:1019-30.

N Engl J Med. 2015;372:2285-95.

N Engl J Med. 2015;372:2296-306.

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発症6時間以内ICA, MCA-M1

t-PA施行例NIHSS≧6

ASPECT≧6(Class 1, LOE A)

AHA/ASAガイドラインでは以下の症例に血管内治療を推奨

Stroke. 2015;46:3020-35.

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発症6時間以降の脳梗塞に血管内治療は効果あるのか?

脳梗塞発症後6-24時間における血管内治療DAWN研究

N Engl J Med. 2018;378:11-21.

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多施設 非盲検化 RCT

P最終未発症から6-24時間ICA or MCA M1閉塞梗塞巣※と臨床像(NIHSS)の乖離大

I 血管内治療 N=107

C 標準治療のみ N=99

O 90日後のUW-mRS平均値

※MRI-DWIまたはperfusion CTをもとに自動解析ソフトを用いて計算した

Page 48: 2018年上半期 集中治療最新論文10選 - JSEPTIC1本目 敗血症性ショックに対しての ステロイド投与は死亡率を改善するか ADRENAL研究 N Engl J Med

90日後のUW-mRS平均値

0

5

10

血管内治療 標準治療

5.5

3.4

障害なし

死亡

寝たきり

Adjusted Difference (95% CI)

2.0(1.1-3.0)

Page 49: 2018年上半期 集中治療最新論文10選 - JSEPTIC1本目 敗血症性ショックに対しての ステロイド投与は死亡率を改善するか ADRENAL研究 N Engl J Med

機能的自立(mRS 0-2)の割合

0

25

50

血管内治療 標準治療

49%

13%

Adjusted Difference (95% CI)

33(21-44)

NNT=3

Page 50: 2018年上半期 集中治療最新論文10選 - JSEPTIC1本目 敗血症性ショックに対しての ステロイド投与は死亡率を改善するか ADRENAL研究 N Engl J Med

脳梗塞発症後6-16時間における血管内治療DEFUSE-3研究

N Engl J Med. 2018;378(9):809-818.

同時期に、同テーマのRCTが発表された

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多施設 非盲検化 RCT

P最終未発症から6-16時間ICA or MCA M1閉塞CT/MRI perfusionと梗塞巣の乖離大

I 血管内治療 N=90

C 標準治療のみ N=92

O 90日後のmRS

Page 52: 2018年上半期 集中治療最新論文10選 - JSEPTIC1本目 敗血症性ショックに対しての ステロイド投与は死亡率を改善するか ADRENAL研究 N Engl J Med

機能的自立(mRS 0-2)の割合

0

25

50

血管内治療 標準治療

45%

17%

NNT=4

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発症6-16時間以内ICA, MCA-M1

DAWN, DEFUSE-3のinclusion criteriaを

満たす患者(Class 1, LOE A)

これらの結果を受けてAHA/ASAガイドラインでは

以下の症例にも血管内治療を推奨

発症6-24時間以内ICA, MCA-M1

DAWNのinclusion criteriaを

満たす患者(Class 2a, LOE B)

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以下の症例に血管内治療を強く推奨(グレードA)

• 最終未発症から6-16時間

• ICA or MCA-M1閉塞• 発症前mRSが0 or 1• NIHSS≧10 かつ

DWI-ASPECTS(MRI)≧7点

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まとめ

血管内治療は6時間以降の施行でも神経学的予後を改善する可能性

MRI-DWIでの梗塞範囲の割に神経所見が重い

ICA, MCA-M1閉塞の症例

最終未発症確認から24時間以内であれば血管内治療の施行を考慮

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5本目

横隔膜エコーで評価した人工呼吸器による横隔膜萎縮と機能不全は

人工呼吸器期間に影響するか

Am J Respir Crit Care Med. 2018;197:204-213.

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人工呼吸器管理に伴う横隔膜萎縮・機能不全

→人工呼吸器期間延長と関連

N Engl J Med 2008;358:1327-35.

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どのように横隔膜機能不全を評価?

横隔膜エコー

右第9-10肋間前〜中腋下線上エコーを当てる

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呼気終末薄くなる

吸気終末厚くなる

横隔膜の厚さ(呼気終末)で萎縮を評価Tdi

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呼気終末薄くなる

吸気終末厚くなる

吸気・呼気の変化/最大吸気努力時の径TFdi, max

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横隔膜エコーで評価した人工呼吸器による横隔膜萎縮と機能不全は

人工呼吸器期間に影響するか

Am J Respir Crit Care Med. 2018;197:204-213.

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カナダ2施設 観察研究

P急性呼吸不全によって挿管・人工呼吸器管理をされている患者 191名

I エコーで連日Tdi, TFdiを評価

O 人工呼吸器離脱

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-40% -20% 0% +20% +40%

ベースラインからのTdiの変化率

人工呼吸器離脱の可能性

1.0

0.5

Tdiが低下していると人工呼吸器

離脱の可能性↓HR=0.69

/Tdi 10%↓

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ベースラインからのTdiの変化率

>-10% <-10%

TFdi ,

最大値

20

40

60

P=0.032Tdiが

10%以上低下していると

TFdi, 最大値が有意に低い

横隔膜萎縮↓

横隔膜機能不全

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最初の3日間のTFdi平均値

人工呼吸器期間 5

10

15

吸気努力強い

吸気努力弱い

TFdiが高くても低くても

人工呼吸器期間延長

TFdi 20-25%

最も短い可能性

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まとめ

横隔膜エコーで評価した

横隔膜萎縮は横隔膜機能不全と関連人工呼吸器アウトカム悪化と関連

TFdiをモニタリングしながら

呼吸器補助を行うことで

横隔膜萎縮を防げないか?