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1
研究用試薬
診断目的に使用しないでください。
IN VITROでのみご使用ください。
Transcriptor First Strand cDNA Synthesis Kit 製品番号 04379012001 50 回反応用
製品番号 04896866001 100 回反応用
製品番号 04897030001 200 回反応用
Ver.2010 年 9 月
-15~-25℃保存
1. 製品概要 このキットは、20μl の反応容量で 50、100、200回反応用にデザインされています。
保存と安定性
追加で必要となる 機器と試薬
バイアル/キャップ色 ラベル 容量/組成
1/ 赤 Transcriptor Reverse Transcriptase • 25μl(20U/μl)
• 50μl(20U/μl)
• 50μl×2(20U/μl)
2/ 無色 Transcriptor RT Reaction Buffer(×5) • 1ml
• 1ml
• 1ml×2
3/ 無色 Protector RNase Inhibitor • 50μl(40U/μl)
• 100μl(40U/μl)
• 100μl×2(40U/μl)
4/ 黄/紫 Deoxy nucleotide Mix • 100μl(黄)
• 200μl(紫)
• 200μl×2(紫)
5/ 青 Anchored oligo(dT)18 Primer • 100μl(50μM)
• 200μl(50μM)
• 200μl×2(50μM)
6/ 青 Random Hexamer Primer • 100μl(600μM)
• 200μl(600μM)
• 200μl×2(600μM)
7/ 緑 Control RNA • 20μl(50ng/μl)
8/ 緑 Control Primer Mix PBGD • 40μl(5μM)
9/ 無色 Water, PCR grade • 1ml
• 1ml×2
• 1ml×3
-15~-25℃保存
適切に保存した場合、ラベルに記載されている期限まで安定です。
Control RNAは-70℃で保存してください。
Transcriptor First Strand cDNA Synthesis Kitを使用する際、以下の機器と試薬が必要です。
・ 一般的な研究室の装置
-ヌクレアーゼフリー、エアロゾル防止のピペットチップ
-容積移送式のピペット
-マスターミックス調製用の滅菌済み反応チューブ
-一般的なデスクトップマイクロ遠心機
Transcriptor First Strand DNA Synthesis Kit
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2
アプリケーション
2. 使用方法 2.1 始める前に 注意点
サンプル調製
プライマー
・ 逆転写反応用
-一般的なブロックサイクラー
-テンプレート RNA
-反応容器(チューブ、プレートなど)
Transcriptor First Strand DNA Synthesis Kitは、様々な生物由来の RNAを逆転写する目的で設計されています。得られた cDNAは以下のアプリケーションで使用できます。
・ リアルタイム定量 RT-PCRを用いた遺伝子発現解析
・ cDNAライブラリー調製
・ クローン調製
このキットは cDNA 合成に必要なすべての試薬を含んでいます。また、50 回反応用包装は10回分のコントロール反応用 RNAテンプレートとコントロール用プライマーを含んでいます。
RNAを扱う際に特に注意する点
・ RNAを扱う場合は常にグローブを装着します。グローブを装着した後は、RNaseが除去されているものへの再汚染を防ぐため、出来る限り他のものへ接触しないように注意します。
・ RNA作業専用のエリアを決めます。
・ 卓上とガラス製品を市販の RNase 不活化剤で処理します。卓上は 100%エタノール等で清潔にします。
・ 市販の RNaseフリーの使い捨て滅菌プラスティック器具を用います。
・ RNaseフリーの試薬を購入します。RNA用の専用試薬を用意します。DEPC処理水を使用します。
・ 作業中は、全ての試薬を氷上で保存します。
・ サンプルを入手したら出来る限り早く RNA を抽出します。より良い結果のためには、新鮮なサンプル、あるいはすぐに液体窒素で凍結させて-60℃で保存したサンプルを用います。
テンプレート RNAとして、トータル RNA、mRNA、ウイルス RNAなどが使用できます。
クオリティの高い完全な RNA とは、ゲノム DNA や RNase、反応阻害物質を含まない RNA
です。以下の事に注意し、各精製ステップで RNaseのコンタミネーションを防止してください。
・ Protector RNase Inhibitor(キット同梱)などの RNase Inhibitorを使用します。
・ 必要であれば、各精製ステップごとにゲル電気泳動を行い RNA の分解が無いことを確認します。
・ RNaseはガラス器具からも混入することに注意します。
RNAを調製するには、サンプルの溶解中の RNase活性を最小限に抑えることが必要です。
Transcriptor First Strand cDNA Synthesis Kitは、High Pure KitやMagNA Pure Kitなどの市販のRNA調製キットと併せてご使用いただけます。
実験に応じて様々なプライマーを使い分けることができます。3種類のプライマーについて、以下に解説します。
ランダムプライマー 一般的に、トータル RNA5μg を逆転写するのに、ランダムヘキサマープライマーは最終濃度 60μM程度で充分です。ランダムヘキサマープライマーの濃度を上げると、分子量の小さい cDNA産物が増加し、分子量の大きい cDNA産物は減少します。なお、ランダムヘキサマープライマーには特異性はありません。検出特異性は PCRプライマーに依存します。
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スタンダード RT-PCR の手順
アンカーオリゴ(dT)18プライマー アンカーオリゴ(dT)18プライマーは真核生物の mRNA(トータル RNA の 1~2%)のポリAテールに結合します。そのため、ランダムヘキサマープライマーを用いた逆転写反応に比べ逆転写産物は少なくなります。しかしながら、特異的なターゲット領域をランダムヘキサマーより効率的に逆転写することができます。
遺伝子特異的プライマー
遺伝子特異的プライマー(推奨濃度 2μM)は最も特異的な検出方法ですが、PCR でも働くことがあり失敗することがあります。その場合、cDNA 合成にはアンカーオリゴ(dT)18プライマーを使用します。
RT プライマータイプ 結合部位 利点
アンカーオリゴ(dT)18 ポリ Aテールの開始領域 ポリAテールの中心部でのプライミングを
避けられます。
完全長 cDNAを合成できます。
多くの 2ステップ RT-PCRで活用できる手
法です。
このキットに含まれます。
ランダムヘキサマー RNAの様々な箇所 mRNA中の全 RNA領域の cDNAを合成で
きます。
ポリ A テールを持たない RNAにも対応し
ます。
プライアー濃度に応じて cDNA長を調整で
きます。
短い cDNAを合成することで高次構造を持
つ逆転写困難な RNA 領域も逆転写できま
す。
配列特異的プライマー 相補的な配列のみに結合 RNAの一部のみを選択することで、その一
部を強力に増幅
プライマーは出来るだけエクソン上に設計します。イントロンを跨いだエクソン/エクソン結合領域に設計すれば、ゲノム DNA由来の PCR増幅産物を排除できます。また、プライマー同士は相補性を持たないよう注意します。
2種類の操作方法を提供します。
・ A:1種類のプライマー(アンカーオリゴ(dT)18プライマー、ランダムヘキサマープライマー、配列特異的プライマー)を用います。もっとも一般的な手法です。
・ B:アンカーオリゴ(dT)18 プライマーとランダムヘキサマープライマーを合わせて使用します。cDNA合成量を増やし感度が高くなります。しかし、アンカーオリゴ(dT)
18プライマーのみを使用した場合と比べて、特異性は低下します。
使用するプライマーに応じて、操作手順が変わります。配列特異的プライマーを用いる場合は手順 Aに従ってください。
使用するヒートブロックは、あらかじめ最初の反応温度に温めておきます。
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操作手順 A アンカーオリゴ(dT)18プライマー、あるいはランダムヘキサマープライマー、あるいは配列特異的プライマーを用いた cDNA合成
図 1に従って操作を進めます。
1反応か複数反応かで使い分けてください。
図 1:cDNA合成フローの概要
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ステップ 操作
1 ・ 使用前に必要な試薬を解凍します。
・ 簡単にスピンダウンしておきます。
・ 準備した試薬は氷上(あるいはクーリングブロック)で保存します。
2 ・ PCRチューブを氷上に置き、以下の表のとおりテンプレートとプライマーをミック
スします。
※RNAを扱う際は、常に手袋を装着してください。
テンプレートとプライマーのミックス(1反応分)
組成 容量 最終濃度
トータル RNA、または mRNA トータル RNA は 1μg、
mRNAは 10ng
プライマー
アンカーオリゴ( dT) 18 プライマー
(50pmol/μl)(バイアル 5)
1μl 2.5μM
ラ ン ダ ム ヘ キ サ マ ー プ ラ イ マ ー
(600pmol/μl)(バイアル 6)
2μl 60μM
配列特異的プライマー 可変 0.5-2.5μM
水 可変 合計容量が 13μl になる
ように調整
合計 13μl
ここで示した値は標準的な値です。テンプレート RNAの量は次の範囲で調整してくださ
い。トータル RNAは 10ng~5μg、mRNAは 1~100ng。
テンプレート RNA が低濃度(<10μg/ml)の場合、テンプレート RNA の安定化のため
にMS2 RNA(10μg/ml)を加えてください。
3 追加ステップ:
・ ヒートリッド付きのヒートブロックを用いて、65℃で 10分間インキュベートして、
テンプレート RNAとプライマーを変性します。このステップで高次構造を持つテン
プレート RNAを確実に変性します。
・ 簡単にスピンダウンして、氷上で冷却します。
4 テンプレートとプライマーのミックスが入ったチューブに以下の表の組成を加えます。
組成 容量 最終濃度
Transcriptor Reverse Transcriptase Reaction
Buffer, 5xconc.(バイアル 2)
4μl 1×(8mM MgCl2)
Protector RNase Inhibitor 40U/μl(バイアル
3)
0.5μl 20 U
dNTP 10mM(バイアル 4) 2μl 1mM
Transcriptor Reverse Transcriptase ,20U/μ l
(バイアル 1)
0.5μl 10U
20μl
5 ・ 丁寧に混和します(ボルテックス禁止)。
・ 簡単にスピンダウンします。
・ ヒートリッド付きのヒートブロックにセットします。
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6 以下の表のとおり反応条件をセットし、逆転写反応を行います。用いるプライマーや合
成する RNAの鎖長に応じて調整してください。
プライマー RNA の鎖長 反応温度と時間
アンカーオリゴ(dT)18プ
ライマー、あるいは配列特
異的プライマー
4kb未満 55℃で 30分
4kb以上 50℃で 60分
ランダムプライマー 4kb未満 25℃で 10分、その後 55℃で 30分
4kb以上 25℃で 10分、その後 50℃で 60分
7 ・ 85℃で 5分間インキュベーションし逆転写酵素を失活させます。
・ チューブを氷上に置きます。
・ 合成した cDNA は、冷蔵(+2~+8℃)で 1-2 時間、冷凍(-15~-25℃)で更に長期
間保存できます。
8 合成した cDNAは、精製せずにそのまま PCRに用いることができます。
・ 一般的には、50μl 反応あたり 1~5μl の cDNA を加えます。最初の実験では、50
μlあたり 2μlの cDNAから始めてください。
・ LightCycler®を用いた実験では、20μlあたり 2~5μlの cDNAで検討してください。
※ 逆転写反応液のMgCl2の最終濃度は 8mMです。そのため cDNA合成液の 1μlあたりの MgCl2量は 8nmolです。cDNAを PCRテンプレートとする場合、PCRに持ち込まれる cDNA合成液由来のMgCl2量を考慮する必要があります。
※ Transcriptor RTaseは RNase H活性を持っています。RNase Hは、DNA-RNA二本鎖の RNAを特異的に分解しますので、cDNA合成後の RNAテンプレートを分解します。cDNA合成後の RNAを分解することにより、PCR時にテンプレート cDNAにプライマーがアニールし易くなります(Polumurl et al., 2002)。
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操作手順 B: アンカーオリゴ(dT)18プライマーとランダムヘキサマープライマーを用いた cDNA合成
次に、アンカーオリゴ(dT)18プライマーとランダムヘキサマープライマーをミックスして使用する方法を示します。
ステップ 操作
1 ・ 使用前に必要な試薬を解凍します。
・ 簡単にスピンダウンしておきます。
・ 準備した試薬は氷上(あるいはクーリングブロック)で保存します。
2 ・ PCRチューブを氷上に置き、以下の表のとおりテンプレートとプライマーをミック
スします。
※RNAを扱う際は、常に手袋を装着してください。
テンプレートとプライマーのミックス(1 反応分)
組成 容量 最終濃度
トータル RNA、または mRNA トータル RNA は 1μg、
mRNAは 10ng
プライマー
アンカーオリゴ( dT) 18 プライマー
(50pmol/μl)(バイアル 5)
1μl 2.5μM
ラ ン ダ ム ヘ キ サ マ ー プ ラ イ マ ー
(600pmol/μl)(バイアル 6)
2μl 60μM
水 可変 合計容量が 13μl になる
ように調整
合計 13μl
ここで示した値は標準的な値です。テンプレート RNAの量は次の範囲で調整してくださ
い。トータル RNAは 10ng~5μg、mRNAは 1~100ng。
テンプレート RNA が低濃度(<10μg/ml)の場合、テンプレート RNA の安定化のため
にMS2 RNA(10μg/ml)を加えてください。
3 追加ステップ:
・ ヒートリッド付きのヒートブロックを用いて、65℃で 10分間インキュベートして、
テンプレート RNAとプライマーを変性します。このステップで高次構造を持つテン
プレート RNAを確実に変性します。
・ 簡単にスピンダウンして、氷上で冷却します。
4 テンプレートとプライマーのミックスが入ったチューブに以下の表の組成を加えます。
組成 容量 最終濃度
Transcriptor Reverse Transcriptase Reaction
Buffer, 5xconc.(バイアル 2)
4μl 1×(8mM MgCl2)
Protector RNase Inhibitor 40U/μl(バイアル
3)
0.5μl 20 U
dNTP 10mM(バイアル 4) 2μl 1mM
Transcriptor Reverse Transcriptase ,20U/μ l
(バイアル 1)
0.5μl 10U
20μl
5 ・ 丁寧に混和します(ボルテックス禁止)。
・ 簡単にスピンダウンします。
・ ヒートリッド付きのヒートブロックにセットします。
6 以下の表のとおり反応条件をセットし、逆転写反応を行います。用いるプライマーや合
成する RNAの鎖長に応じて調整してください。
プライマー RNA の鎖長 反応温度と時間
アンカーオリゴ(dT)18プ
ライマー、あるいは配列特
異的プライマー
4kb未満 55℃で 30分
4kb以上 50℃で 60分
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8
cDNA 合成
7 ・ 85℃で 5分間インキュベーションし逆転写酵素を失活させます。
・ チューブを氷上に置きます。
・ 合成した cDNA は、冷蔵(+2~+8℃)で 1-2 時間、冷凍(-15~-25℃)で更に長期
間保存できます。
8 合成した cDNAは、精製せずにそのまま PCRに用いることができます。
・ 一般的には、50μl 反応あたり 1~5μl の cDNA を加えます。最初の実験では、50
μlあたり 2μlの cDNAから始めてください。
・ LightCycler®を用いた実験では、20μlあたり 2~5μlの cDNAで検討してください。
※ 逆転写反応液のMgCl2の最終濃度は 8mMです。そのため cDNA合成液の 1μlあたりの MgCl2量は 8nmolです。cDNAを PCRテンプレートとする場合、PCRに持ち込まれる cDNA合成液由来のMgCl2量を考慮する必要があります。
※ Transcriptor RTaseは RNase H活性を持っています。RNase Hは、DNA-RNA二本鎖の RNAを特異的に分解しますので、cDNA合成後の RNAテンプレートを分解します。cDNA合成後の RNAを分解することにより、PCR時にテンプレート cDNAにプライマーがアニールし易くなります(Polumurl et al., 2002)。
50回包装(04379012001)には、コントロール用のテンプレートとプライマー(PBGDの 151bp
を増幅する)が含まれています。
以下にコントロール反応の条件を示します。
使用するヒートブロックは、あらかじめ最初の反応温度に温めておきます。
ステップ 操作
1 ・ 使用前に必要な試薬を解凍します。
・ 簡単にスピンダウンしておきます。
・ 準備した試薬は氷上(あるいはクーリングブロック)で保存します。
2 ・ PCRチューブを氷上に置き、以下の表のとおりテンプレートとプライマーをミック
スします。
※RNAを扱う際は、常に手袋を装着してください。
テンプレートとプライマーのミックス(1反応分)
組成 容量 最終濃度
コントロール RNA 2μl 100ng
アンカーオリゴ(dT)18プライマー 1μl 2.5μM
水 10μl
合計 13μl
3 さらに以下の表の組成を加えます。
組成 容量 最終濃度
Transcriptor Reverse Transcriptase Reaction
Buffer, 5xconc.(バイアル 2)
4μl 1×(8mM MgCl2)
Protector RNase Inhibitor 40U/μl(バイアル
3)
0.5μl 20 U
dNTP 10mM(バイアル 4) 2μl 1mM
Transcriptor Reverse Transcriptase ,20U/μ l
(バイアル 1)
0.5μl 10U
20μl
・ ピペッティングでミックスします。
・ 簡単にスピンダウンしておきます。
4 55℃で 30分インキュベーションします。
5 ・ 85℃で 5分間インキュベーションし逆転写酵素を失活させます。
・ チューブを氷上に置きます。
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PBGD の PCR
一般的なサーマルサイクラーでの PCR
LightCycler®(キャピラリ)での PCR
6 合成した cDNAは、冷蔵(+2~+8℃)で 1-2時間、冷凍(-15~-25℃)で更に長期間保存
できます。
以上のコントロール RNA の逆転写反応で得られた一本鎖 cDNA をテンプレートにして、キットに付属のコントロール用プライマーで PBGD遺伝子の 151bpを増幅できます。この PCR
は一般的な PCRや LightCycler®で実施できます。
・ 一般的な PCRの場合、50μlの PCR反応液に対して、5μlの cDNA溶液を用います。
・ LightCycler® 2.0や LightCycler® 480の場合、20μlの PCR反応液に対して、2μlの cDNA
溶液を用います。
各 PCRの詳細は、使用する PCR酵素キットの説明書をご参照ください。
以下は一般的な 50μlの PCR反応に関する説明です。
cDNAを含むPCRと並行して、テンプレートを含まない陰性コントロール反応も実施します。 ステップ 操作
1 ・ 使用前に必要な試薬を解凍します。
・ 簡単にスピンダウンしておきます。
・ 準備した試薬は氷上(あるいはクーリングブロック)で保存します。
2 以下の表のとおりテンプレートとプライマーをミックスします。
組成 容量 最終濃度
FastStart Buffer with 20 mM MgCl2(10×) 5μl 1×
PCR Nucleotide Mix(10mM) 1μl 0.2mM
Control Primer PBGD(5μM) 2μl 0.2μM
cDNA 5μl
FastStart Taq DNA Polymerase(5U/μl) 0.4μl 2U
Water PCR Grade 50μl
合計
3 必要であれば、反応液の上にミネラルオイルを重層し、以下の通り PCRを行います。
1サイクル Initial denaturation 94℃ 5分
35サイクル Denaturation
Annealing
Elongation
94℃
50℃
72℃
10秒
20秒
30秒
1サイクル Final elongation
Cooling
72℃
4℃
7分
4 3%アガロースゲルに 15μlをロードして電気泳動します。
結果は図 2のようになります。
50回包装(04379012001)に含まれる PBGDコントロールプライマーを用いて 151bp断片を増幅し SYBR Green Iで検出できます。cDNAを含む PCRと並行して、テンプレートを含まない陰性コントロール反応も実施します。
ステップ 操作
1 ・使用前に必要な試薬を解凍します。
・簡単にスピンダウンしておきます。
・準備した試薬は氷上(あるいはクーリングブロック)で保存します。
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LightCycler® 480 キャピラリでの PCR
2 以下の表のとおりテンプレートとプライマーをミックスします。
組成 容量 最終濃度
FastStart Buffer with 20 mM MgCl2(10×) 5μl 1×
Control Primer PBGD(5μM) 2μl 0.5μM
MgCl2(25mM) 2.4μl 4mM
Water PCR Grade 11.6μl
合計 18μl
3 ・ ピペッティングで丁寧にミックスします(ボルテックス禁止)。
・ 18μlの PCRミックスをキャピラリに移します。
・ 2μlの cDNA、あるいは 2μlの水(陰性コントロール)を加えます。
・ ・各キャピラリにキャップをします。
4 ・ キャピラリーアダプタにキャピラリをセットし、遠心機にセットします。
・ 700×gで 5秒間遠心します。
・ LightCycler® Carousel Centrifugeを用いることもできます。
5 LightCycler® Sample Carouselにセットします。
6 以下のプロトコールをセットします。
Denaturation
Temp.(℃) 95
Hold(s) 600
dT/dt(℃/s) 20
Acq. Mode None
Amplification:45 cycle
Temp.(℃) 95 60 72
Hold(s) 10 10 10
dT/dt(℃/s) 20 20 20
Acq. Mode none none single
Melting
Temp.(℃) 95 55 95
Hold(s) 0 30 0
dT/dt(℃/s) 20 20 0.05
Acq. Mode none none Continuous
Cooling
Temp.(℃) 40
Hold(s) 30
dT/dt(℃/s) 20
Acq. Mode None
一般的な結果は図 3のようになります。
50回包装(04379012001)に含まれる PBGDコントロールプライマーを用いて 151bp断片を増幅し SYBR Green Iで検出できます。cDNAを含む PCRと並行して、テンプレートを含まない陰性コントロール反応も実施します。
ステップ 操作
1 ・ 使用前に必要な試薬を解凍します。
・ 簡単にスピンダウンしておきます。
・ 準備した試薬は氷上(あるいはクーリングブロック)で保存します。
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2 以下の表のとおりテンプレートとプライマーをミックスします。
組成 容量 最終濃度
LightCycler® 480 SYBR Green I Master(2×) 10μl 1×
Control Primer PBGD(5μM) 2μl 0.5μM
Water PCR Grade 6μl
合計 18μl
3 ・ ピペッティングで丁寧にミックスします(ボルテックス禁止)。
・ 18μlの PCRミックスを LightCycler® Multiwell Plateに移します。
・ 2μlの cDNA、あるいは 2μlの水(陰性コントロール)を加えます。
・ プレートにシールをします。
4 ・ プレートを遠心機にセットします。
・ 1500×gで 2分間遠心します。
5 プレートを LightCycler® 480にセットします。
6 以下のプロトコールをセットします。
Setup
Detection format Block type Reaction vol.
SYBR Green (483-533nm) 96 20μl
Program
Program Name Cycles Analysis Mode
Pre-Incubation 1 None
Amplification 45 Quantification
Melting Curve 1 Melting Curves
Cooling 1 None
一般的な結果は図 3のようになります。
Program Target(℃) Acquisition
Mode
Hold(s) Ramp
rate(℃/s)
Acquisition
(per ℃)
Pre-Incubation 95℃ None 600 4.4 -
Amplification
Segment 1 95℃ None 10 4.4 -
Segment 2 60℃ None 15 2.2 -
Segment 3 72℃ Single 15 4.4 -
Melting
Segment 1 95℃ None 5 4.4 -
Segment 2 55℃ None 30 2.2 -
Segment 3 95℃ Continuous - - 2
Cooling 40℃ None 10 1.0 -
7 一般的な結果は図 4のようになります。
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3. 結果
図 2:FastStart Taq DNA Polymeraseを用いてコントロール反応の PBGDを増幅しました。
LS = Molecular weight marker VIII, 250 ng
1 = RT step with 100 ng Control RNA
2 = RT step with 10 ng Control RNA
3 = negative control of PCR
4 = RT step w/o Transcriptor RT
5 = RT step w/o RNA; 15 μl of each reaction were loaded on a 3% agarose gel
図 3: LightCycler® FastStart DNA Master SYBR Green Iを用いてコントロール反応の PBGDを増幅しました。cDNAは複数種類に希釈しています。
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4. トラブルシューティング cDNA 産物が得られない、あるいは非常に少量の産物しか得られない
図 4: LightCycler® 480 SYBR Green I Masterを用いてコントロール反応の PBGDを増幅しました。cDNAは複数種類に希釈しています。
テンプレート RNAが少な過ぎ
る
・ テンプレートの純度と濃度を確認します。
・ 変性ゲルを用いてテンプレート RNAを確認します。純度が低か
ったり分解が見られた場合、再度 RNAを精製します。
・ 増幅することが確認されている既知のプライマーで RT-PCR を
行います。
・ A260を測定し、RNA濃度を確認します。
・ ターゲットが mRNAの場合、トータル RNAから mRNAに変更
します。
・ トータル RNA の場合は 10ng~5μg で、mRNA は 1~100ng で
cDNA合成反応に加える RNAテンプレートを調整します
・ RNAが低濃度の場合、10μg/mlのMS2 RNAを加えます。
テンプレート RNAが多過ぎる ・ 過剰なテンプレート RNA は RT-PCR 反応を阻害します。RNA
テンプレートの量を減らします。
テンプレート RNAが分解され
ている
・ RNaseに注意して、新たに RNAテンプレートを調製します。
・ ゲル電気泳動によって RNAを確認します。
・ cDNA合成反応に Protector RNase Inhibitorを加えます。60U以下
では逆転写反応に影響しません。
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PCR産物が得られない
テンプレートの二次構造が第
一鎖 cDNA合成を阻害する
GC含量 70%までは逆転写可能です。
・ 逆転写反応温度を 65℃まで高くします。
・ 逆転写反応前に、テンプレート RNAとプライマーを 65℃で 10
分間変性します。
・ ランダムヘキサマープライマーか配列特異的プライマーを使用
します。
・ 逆転写反応温度を 65℃にします。
逆転写酵素濃度が適当でない ・ 20μl で 1μg の RNA を逆転写するための逆転写酵素量は 10U
を超えないようにします。
・ 5μg 以上の RNA を逆転写する場合、反応液量を増やすか、反
応容器を分けます。
・ テンプレート量が少ない場合、酵素量も減らします。
反応温度が適当でない ・ 4kb以下の場合、42~65℃で 30分間インキュベートします。
・ 4kb以上の場合、42~60℃で 60分間インキュベートします。
配列特異的プライマーが適当
でない
・ プライマー配列を変更します。
・ アンカーオリゴ(dT)18プライマーに変更します。
ランダムヘキサマープライマ
ーが適当でない
RNA とランダムヘキサマープライマーの比率を調整します。ランダ
ムヘキサマープライマーの比率が高い場合、cDNAは短くなります。
長い cDNA が必要な場合、ランダムヘキサマープライマーの濃度を
1.5μMまで下げます。
逆転写反応阻害物質が含まれ
る
RNA をエタノール沈殿し、70%エタノールで洗浄します。洗浄後再
懸濁します。
※再懸濁前にエタノールを完全に除去します。エタノールが残ってい
た場合、逆転写反応を阻害します。
ゲノム DNAが混入している ・ PCR プライマーのデザインを変更します。複数のエクソンを跨
ぐようにプライマーをデザインすることで、ゲノム DNA由来の
PCR産物の合成を防止することができます。
・ 逆転写反応をしていないサンプルを陰性コントロールとして使
用します。
MgCl2濃度が適当でない ・ PCR反応のMgCl2濃度を最適化します。
・ テンプレートごとに、プライマーごとに、MgCl2 濃度を最適化
する必要があります。
※cDNA合成反応液のMgCl2濃度は 8mMです。そのため、1μl
あたり 8nmolのMgCl2が含まれています。
アニーリング温度が適当でな
い
プライマーごとに最適なアニーリング温度に調整します。
PCR プライマーのデザインが
適当でない
・ プライマーデザインを変更します。
・ 両側のプライマーがほぼ同じ融解温度を示すようにデザインし
ます。
PCR プライマー濃度が適当で
ない
・ 両側のプライマー濃度が同じになるように調整する。
・ プライマー濃度を最適化する(0.1~0.6μM)。
過剰な cDNAが PCRを阻害す
る
cDNA量は、PCR反応液量の 10%以下にします。
プライマーダイマーを形成す
る
・ FastStart試薬(ホットスタート PCR)を使用します。
・ プライマーデザインを変更します。
・ cDNA 合成の最後に変性ステップ(85℃で 5 分間のインキュベ
ーション)を行っているか確認します。
Transcriptor First Strand DNA Synthesis Kit
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PCR産物が得られない
陰性コントロールでシグナルが検出される
5. 追加情報 製品原理
リファレンス
テンプレートが高次構造をも
っている
・ FastStart Taq DNA Polymerase に含まれる GC-RICH Resolution
Solutionを使用します。
・ FastStart High Fidelity PCR Systemを用いる場合は、DMSOを用
います。
・ ターゲット配列の 3’末端に近い領域で増幅します。
コンタミネーション ・ あらゆる試薬を検証します。
・ ピペッティングはクリーンベンチ内で行います。
・ 使用した試薬バイアルはすぐにキャップします。
・ UNGを用いたキャリーオーバーコンタミネーション防止手順を
行います。
Transcriptor First Strand cDNA Synthesis Kit の主要構成分である Transcriptor Reverse
Transcriptaseは, E. coliで発現させた新しい組み換え型逆転写酵素です。酵素は RNA依存的 DNAポリメラーゼ,DNA依存的 DNAポリメラーゼ,巻き戻し活性,そして RNA:DNA
ハイブリッド中の RNAを分解する RNase H活性を示します。RNase H活性は,逆転写反応後の RNase Hインキュベーションステップの省略を可能にします。これにより、反応時間を短縮しコスト抑える事ができます。
この酵素は,高い熱安定性をもち,高感度であるために,RT-PCRに最適です:長鎖の cDNA
転写産物(14 kbまで)を合成し,最高 65℃の温度で使用できます。その高い熱安定性により,添加剤を加えずに高い二次構造を持つ GC-rich テンプレートに使用できます。このキットには第一鎖 cDNA合成反応に必要なすべての試薬が含まれています。プライミングには 3種類のプライマーが使用できます。キットには 2種類の cDNA合成プライマー(ランダムヘキサマープライマーとアンカーオリゴ(dT)18 プライマー)が含まれます。後者は,完全長 cDNA
を合成するために poly(A)テールの開始部分にアニーリングし,poly(A)テールの中間部からのプライミングを防止するようにデザインされています。ランダムヘキサマープライマーは,すべての RNAシークェンスを均一に表すために,RNA全体にわたりプライミングが可能で,poly(A)テールを持たない RNAの逆転写を可能とします。
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Transcriptor First Strand DNA Synthesis Kit
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品質管理
商標
Transcriptor First Strand cDNA
Synthesis Kit は各ロットで機能試験を行っています。この機能試験は一般的なブロックサイクラーを用いた PCRおよび LightCycler®を用いたリアルタイム PCRで行われています。またTranscriptor Reverse Transcriptaseや Protector RNase Inhibitorなどの各構成品に関してもヌクレアーゼフリーなどが検証されています。
・ 一般的なブロックサイクラーを用いた 2ステップ RT-PCRによる検証
ヒト骨格筋由来の 2μgのトータル RNAをテンプレートに、10Uの Transcriptor Reverse
Transcriptase と 50pmol のアンカーオリゴ(dT)18プライマーを用いて、20μl で逆転写反応を行います。50℃で 60分インキュベーションし、得られた cDNAの内の 5μlを用いて 10kbのジストロフィン断片を増幅し、アガロースゲル電気泳動で可視化します。
・ LightCycler® 2.0と LightCycler® 480を用いた 2ステップ RT-qPCRによる検証
キット(04379012001)に添付の K-562 細胞由来の RNA をテンプレートに、10U のTranscriptor Reverse Transcriptaseとアンカーオリゴ(dT)18プライマーとランダムヘキサマープライマーを用いて、20μlで逆転写反応を行います。55℃で 30分インキュベーションし、得られた cDNAを用いて、 LightCycler® 2.0と LightCycler® 480で PBGDを増幅して検証します。
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