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簿記3級講座 2017 年 2 月 26 日 第 145 回検定試験 講評と解説 1/16 Z会キャリアアップコース(不許複製) 第 145 回 日商簿記3級 講評と解説 【全体講評】 簿記3級は基本的な内容の出題が続いています。ただし2級の難化を受け、3級も2級内容を引き継ぐ形で注 意が必要となってきています。 第3問試算表については、時間がかかったりケアレスミスをしたりした受験生も多かったかと思われます。ま ず、数字の桁数が多いので電卓のキー操作のミスが起こりやすかったことがあります。したがって例えば練習問 題なら最後の合計額まできちんと計算するなど日頃からキー操作に慣れておく必要があります。さらにもし合計 額の貸借が一致しない場合は、計算を繰り返すよりもどちらかの数字をいれてとりあえず合わせておく見極めも 大切でした。後で時間があれば再計算をするのがよいでしょう。次に、問題文の用語が難解であったことです。 『商品売上の対価』など固い表現が用いられ、簿記試験独特の言い回しがある文章の読解力とともに、経済用語 法律用語に用いられる単語力も不可欠となっています。最後に、商品売買に伴う諸掛の処理が繰り返されていた 点も注意が必要です。学習初期に学ぶ内容であり、忘れがちになる論点です。すべてが基本で成り立っていると いうことを忘れず、土台固めをしっかりとしておく必要があります。 第4問では、理論問題が出題されるようになりました。毎回というわけではありませんが、会計の基本的な考 え方の勘定科目や用語を答えさせられます。テキストの説明の部分も読み飛ばさずに説明内容を理解しておくこ とが必要です。 第5問では、計算される当期純損益が「損失」がとなります。収益-費用がマイナスになった場合についても、 計算が間違っていると思いこまないことです。暗記に頼らない柔軟に対応できる応用力が求められています。 【解 説】(単位:円) 第1問 仕訳問題(配点 20 点) 1.出張旅費と個人的旅費 テキスト第 11 章第1節 (1)支払いの処理 普通預金口座からの支払いとあるので、貸方「普通預金」勘定(資産の減少)である。 (2)店主の個人旅行の宿泊代金処理 旅費交通費を旅行代理店に支払っているが、店主の個人的な旅行の宿泊代金は、店の経費(費用)として 計上することはできない。この場合仕訳の勘定科目は、「資本金」勘定、または「引出金」勘定を用いる。 本問は指定勘定科目群に「資本金」勘定があり、「引出金」勘定がないので、借方「資本金」勘定(資本の 減少)で処理をする。 (3)店の業務にかかわる旅費 出張は、借方「旅費交通費」勘定(費用の発生)で処理する。 支払額 80,000-店主の個人旅行分 20,000=60,000 (1)(2)(3)を合わせた仕訳が解答の仕訳になる。 解答の仕訳 (借) 60,000 (貸) 80,000 (借) 20,000 類似 2016 年 11 月直前模試第1 回第 1 問 小問 3 小問 4

第145 回 日商簿記3級 講評と解説 【全体講評】第145回 日商簿記3級 講評と解説 ... この場合仕訳の勘定科目は、「資本金」勘定、または「引出金」勘定を用いる。

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【全体講評】

簿記3級は基本的な内容の出題が続いています。ただし2級の難化を受け、3級も2級内容を引き継ぐ形で注

意が必要となってきています。

第3問試算表については、時間がかかったりケアレスミスをしたりした受験生も多かったかと思われます。ま

ず、数字の桁数が多いので電卓のキー操作のミスが起こりやすかったことがあります。したがって例えば練習問

題なら最後の合計額まできちんと計算するなど日頃からキー操作に慣れておく必要があります。さらにもし合計

額の貸借が一致しない場合は、計算を繰り返すよりもどちらかの数字をいれてとりあえず合わせておく見極めも

大切でした。後で時間があれば再計算をするのがよいでしょう。次に、問題文の用語が難解であったことです。

『商品売上の対価』など固い表現が用いられ、簿記試験独特の言い回しがある文章の読解力とともに、経済用語

法律用語に用いられる単語力も不可欠となっています。最後に、商品売買に伴う諸掛の処理が繰り返されていた

点も注意が必要です。学習初期に学ぶ内容であり、忘れがちになる論点です。すべてが基本で成り立っていると

いうことを忘れず、土台固めをしっかりとしておく必要があります。

第4問では、理論問題が出題されるようになりました。毎回というわけではありませんが、会計の基本的な考

え方の勘定科目や用語を答えさせられます。テキストの説明の部分も読み飛ばさずに説明内容を理解しておくこ

とが必要です。

第5問では、計算される当期純損益が「損失」がとなります。収益-費用がマイナスになった場合についても、

計算が間違っていると思いこまないことです。暗記に頼らない柔軟に対応できる応用力が求められています。

【解 説】(単位:円)

第1問 仕訳問題(配点 20点)

1.出張旅費と個人的旅費 テキスト第 11章第1節

(1)支払いの処理

普通預金口座からの支払いとあるので、貸方「普通預金」勘定(資産の減少)である。

(2)店主の個人旅行の宿泊代金処理

旅費交通費を旅行代理店に支払っているが、店主の個人的な旅行の宿泊代金は、店の経費(費用)として

計上することはできない。この場合仕訳の勘定科目は、「資本金」勘定、または「引出金」勘定を用いる。

本問は指定勘定科目群に「資本金」勘定があり、「引出金」勘定がないので、借方「資本金」勘定(資本の

減少)で処理をする。

(3)店の業務にかかわる旅費

出張は、借方「旅費交通費」勘定(費用の発生)で処理する。

支払額 80,000-店主の個人旅行分 20,000=60,000

(1)(2)(3)を合わせた仕訳が解答の仕訳になる。

解答の仕訳

(借) 旅 費 交 通 費 60,000 (貸) 普 通 預 金 80,000

(借) 資 本 金 20,000

類似 2016年 11月直前模試第1回第 1問 小問 3小問 4

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2.商品券による売上 テキスト第8章第4節

(1)商品売渡し

商品の売り渡しは、貸方「売上」勘定(収益の発生)である

(2)商品券の受取り

代金のうち 10,000は、他店が発行した商品券の受取りである。他店発行の商品券は、発行した店から商品

券代金を受け取る権利をもつので、借方「他店商品券」勘定(資産の増加)である。

(3)当店の商品券

当店発行の商品券は、売上 12,000-他店商品券 10,000=2,000である。当店発行の商品券の流れは以下と

なる。

①当店の商品券発行時(解答外)

商品券分の代金を受け取っているが、実際に商品を売り上げているわけではないため、一種の預り金とみ

なされ負債勘定となり、貸方に記入する。

(借) 現 金 預 金 等 ××× (貸) 商 品 券 ×××

②商品券の回収時(解答の仕訳)

商品を売り上げて、その代金として当店発行の商品券を受け取ったので、借方「商品券」勘定(負債の減

少)となる。

(1)から(3)をあわせたものが解答の仕訳になる。

解答の仕訳

(借) 他 店 商 品 券 10,000 (貸) 売 上 12,000

(借) 商 品 券 2,000

3.手形の割引き テキスト第6章第4節

(1)約束手形

約束手形を受け取ったときは「受取手形」勘定(資産)で処理されている。その手形を割引きにした時は、

手形額面 800,000を貸方「受取手形」勘定(資産の減少)と処理する。

(2)割引料

割引料は、借方「手形売却損」勘定(費用の発生)で処理し、計算は以下のように行う。

参考 800,000×0.9%の金額を 365で割ると割り切れない。このような場合は、800,000×0.9%の金額に 75

を先に乗じてから 365で割ると割り切れる金額になる。日商簿記試験独特の計算テクニックなので、

覚えておくとよい。

(3)手取金

約束手形 800,000から(2)で計算した割引料 1,440を差し引いた額を当座預金としているので、借方「当

座預金」勘定(資産の増加)となる。

当座預金に入金される額:約束手形 800,000-割引料 1,440=798,560

(1)から(3)の仕訳をあわせたものが解答の仕訳になる。

割引料:手形額面×割引利率(年率)× 割引日数

365日(1年)

割引料:800,000×0.9%× 73日

=1,440 365日

当たり 2016年 11月直前模試第 3回第 1問 小問 2

2016年 6月直前模試第 2回第 1問 小問 1

当たり 2016年 6月直前模試第1回第 1問 小問 5

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解答の仕訳

(借)

(借)

手 形 売 却 損

当 座 預 金

1,440

798,560

(貸) 受 取 手 形 800,000

4.土地の購入 テキスト第 10章第1節

(1)土地購入原価

営業用の土地購入は、借方「土地」勘定(資産の増加)を用いる。また購入手数料や整地費用などの土地

購入に関わる付随費用は、土地の購入代価に含める。これが、土地購入原価となる。

550㎡×@35,000/㎡=19,250,000

土地購入原価:購入代価 19,250,000+購入手数料 400,000=19,650,000

(2)支払い処理

後日払う土地の代金は、購入代価 19,250,000で、貸方「未払金」勘定(負債の増加)で処理する。

また、購入手数料 400,000は、現金の支払いなので、貸方「現金」勘定(資産の減少)である。

(1)(2)の仕訳をあわせたものが解答の仕訳になる。

解答の仕訳

(借) 土 地 19,650,000 (貸) 未 払 金 19,250,000

(貸) 現 金 400,000

5.従業員所得税の源泉徴収 テキスト第8章第2節

(1)給料からの差引(解答外)

所得税の源泉徴収とは、従業員個人が支払う所得税を、会社が給料から天引きして預かり、本人に代わっ

て税金を納める処理である。会社が預っているので、従業員に対する負債であることを理解しておく。天引

き時には「所得税預り金」勘定(負債)や「従業員預り金」勘定(負債)などが用いられることが多い。本

問では指定勘定科目群に「所得税預り金」があるので、この勘定科目を使用する。

(借) 給 料 等 2,000,000 (貸) 所 得 税 預 り 金 2,000,000

(2)源泉徴収の納税

預かった所得税を税務署へ納付する時には、借方「所得税預り金」勘定(負債の減少)となる。

現金での納付なので、貸方「現金」勘定(資産の減少)である。

解答の仕訳

(借) 所 得 税 預 り 金 2,000,000 (貸) 現 金 2,000,000

当たり 2016年 11月直前模試第 1回第 1問 小問 5

2017年 2月直前模試第 1回第 1問 小問 3

当たり! 2016年 6月直前模試第 1回第 1問 小問 4

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第2問 勘定記入 (配点 10点) テキスト第 16章第2節・テキスト第 18章第4節

費用(支払利息)の計上と、決算における未払いに関する勘定記入問題である。まず問題文の各日付の取引の

仕訳と利息の計算を行い、仕訳から支払利息勘定および未払利息勘定の空欄を埋めて解答する。

1.各日付の仕訳

支払利息の問題なので、いつ利息を払ったかについて言及していなくても、利息は計算しておくとよい。

1月 1日 借入先が取引先でも銀行でも、借入は、貸方「借入金」勘定(負債の増加)である。

普通預金口座への振込みは、借方「普通預金」勘定(資産の増加)である。

(借) 普 通 預 金 1,200,000 (貸) 借 入 金 1,200,000

●利息は、6月末日と 12月末日に、半年分ずつ支払う。

半年分の利息:1,200,000×年利率 1.5%×

6ヵ月 =9,000

12ヵ月

6月 30日

1月 1日に取引先から借り入れた 1,200,000の 1回目利息支払日である。借入金利息の支払

いは、借方「支払利息」勘定(費用の発生)になる。

普通預金口座からの支払いなので、貸方「普通預金」勘定(資産の減少)である。

(借) 支 払 利 息 9,000 (貸) 普 通 預 金 9,000

9月 1日 銀行からの新規の借入である。

(借) 普 通 預 金 2,000,000 (貸) 借 入 金 2,000,000

●利息は、元本返済時に一括して支払うとあるので、実際に支払うのは、1 年後の返済日 8

月 31日である。

返済時に支払う利息:2,000,000×1.2%=24,000

12月 31日 1月 1日に取引先から借り入れた 1,200,000の 2回目利息支払日である。

普通預金口座からの支払いなので、貸方「普通預金」勘定(資産の減少)である。

①(借) 支 払 利 息 9,000 (貸) 普 通 預 金 9,000

銀行からの借入金については、借入日の 9月 1日から決算日 12月 31日までの 3ヵ月が経過

している。経過している 3ヵ月分に対応する利息は、当期の費用として計上しなければなら

ない(費用の見越し)。ただし、実際に支払うのは返済時なので、貸方「未払利息」勘定(負

債の増加)で処理をする。

3ヵ月分の利息:2,000,000×1.2%×

3ヵ月 =6,000

12ヵ月

下線 24,000 9/1計算済

②(借) 支 払 利 息 6,000 (貸) 未 払 利 息 6,000

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2.勘定記入(解答は赤字・解答用紙空欄箇所は黒太字)

各勘定の日付と、取引の日付を合わせながら、仕訳を勘定に記入する。

●支払利息勘定

支 払 利 息

6/30 普 通 預 金 ①9,000

参考 決算整理で行われる損益勘定に振り替える仕訳は以下である。

(借) 損 益 24,000 (貸) 支 払 利 息 24,000

6月30日 (借) 支 払 利 息 9,000 (貸) 普 通 預 金 9,000

① 12月 31日 (借) 支 払 利 息 9,000 (貸) 普 通 預 金 9,000

支 払 利 息

6/30 普 通 預 金 ①9,000

12/31 普 通 預 金 9,000

〃 未 払 利 息 6,000

② 12月 31日 (借) 支 払 利 息 6,000 (貸) 未 払 利 息 6,000

支 払 利 息

6/30 普 通 預 金 ①9,000 12/31 ③ 損 益 24,000

12/31 普 通 預 金 9,000

〃 未 払 利 息 6,000

②24,000 24,000

相手勘定科目を記入

金額および相手勘定科目を記入

②は支払利息勘定の借方合計額

9,000+9,000+6,000=24,000

借方合計額は当期の費用として、損益勘定に振り替えられる。

よって③に入る言葉は「損益」となる。

支払利息勘定の貸方については、問題文取引に書かれていないので、決算における費用の流れを考える

金額および相手勘定科目を記入

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●未払利息勘定

②12月 31日 (借) 支 払 利 息 6,000 (貸) 未 払 利 息 6,000

未 払 利 息

12/31 ④次期繰越 6,000 12/31 支 払 利 息 ⑤6,000

1/1 前 期 繰 越 6,000

未払利息は貸借対照表の負債項目なので、残高は借方に記入して

次期に繰り越される。よって④に入る言葉は「次期繰越」となる。

印刷済みの 1/1 前期繰越 からも、次期繰越になることは判断できる。

金額および相手勘定科目を記入

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第3問 合計試算表(配点 30点) テキスト第 17章

試算表を作成する問題である。

試算表は、仕訳の帳簿の転記が正しく行われているかどうかをチェックするために作成されるもので、

①各勘定の借方合計・貸方合計を集めた合計試算表

②各勘定の借方残高・貸方残高を集めた残高試算表

③①と②を合わせた合計残高試算表

という、3種類がある。

本問は、『試算表を完成しなさい』とあるが、解答用紙を確認すると、『11月 30日の合計』『12月 31日の合計』

とあるので、合計試算表であることがわかる。『残高試算表』『合計残高試算表』ではないので、残高まで計算す

る必要がないことに注意し、間違えないようにしたい。

解答手順としては、[12月中の取引]の仕訳を行ったうえで、各勘定科目ごとの仕訳合計額を計算し、さらに解

答用紙『11月 30日の合計』の各勘定科目金額に加算するという順序になる。

1.12月中の取引の仕訳

5日

・商品の仕入は、借方「仕入」勘定(費用の発生)。

・手付金は、支払った時に「前払金」勘定(資産)で処理されている。今回仕入代金と相殺されるので、

貸方「前払金」勘定(資産の減少)。

・仕入の掛けは、貸方「買掛金」勘定(負債の増加)。

買掛金:仕入 450,000-手付金 70,000=380,000

・引取運賃は、仕入勘定に含まれる。引取運賃であり、解答用紙に記入済の勘定科目「発送費」に引き

ずられて間違えないようにしたい。

仕入:仕入 450,000+引取運賃 1,000=451,000

・支払いは、貸方「現金」勘定(資産の減少)。

(借) 仕 入 451,000 (貸) 前 払 金 70,000

(貸) 買 掛 金 380,000

(貸) 現 金 1,000

8日

掛売りした商品が、返品されたときは、売上と売掛金をそれぞれ減少させる処理をする。

(借) 売 上 10,000 (貸) 売 掛 金 10,000

10日

・商品売上の対価とは、商品の売上代金のことである。売上代金として受け取っていた約束手形は「受

取手形」勘定(資産)で処理されている。ちなみに同店振出の同店は、直前に出てくる商店名を指す

ので、この場合は岐阜商店振出しの約束手形を(売上代金の回収として)受け取っているという意味

になる。その手形について、入金の連絡があったので貸方「受取手形」勘定(資産の減少)。

・当座預金口座の入金は、借方「当座預金」勘定(資産の増加)。

(借) 当 座 預 金 190,000 (貸) 受 取 手 形 190,000

12日

・未払金は「未払金」勘定(負債)で処理されている。未払いの金額を支払ったので、借方「未払金」

勘定(負債の減少)。

・当座預金口座からの支払いは、貸方「当座預金」勘定(資産の減少)。

(借) 未 払 金 79,000 (貸) 当 座 預 金 79,000

当たり! 2017年 2月直前模試第 2回第 3問

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13日

・商品の売上は、貸方「売上」勘定(収益の発生)。

・同店振出しの同店は、直前に出てくる商店名を指すので、この場合は福島商店振出しの約束手形を(売

上代金の回収として)受け取ったという意味になる。約束手形の受取りは、借方「受取手形」勘定(資

産の増加)。

・売上の掛けは、借方「売掛金」勘定(資産の増加)。

売掛金:売上 100,000-約束手形での回収 40,000=60,000

・当店負担の発送費は、借方「発送費」勘定(費用の発生)。売上に関わる当店負担の運賃等は、「販売

費および一般管理費」という区分の費用となることを覚えておこう。27 日の取引との違いに注意した

い。

・現金での支払いは、貸方「現金」勘定(資産の減少)。

(借) 受 取 手 形 40,000 (貸) 売 上 100,000

(借) 売 掛 金 60,000

(借) 発 送 費 2,000 (貸) 現 金 2,000

15日

・水道光熱費、通信費はそれぞれ、借方「水道光熱費」勘定(費用の発生)、借方「通信費」勘定(費用

の発生)。

・当座預金口座からの引落しは、貸方「当座預金」勘定(資産の減少)。

当座預金:水道光熱費 40,000+通信費 500=40,500

(借) 水 道 光 熱 費 40,000 (貸) 当 座 預 金 40,500

(借) 通 信 費 500

17日

・買掛金は「買掛金」勘定(負債)で処理されているが、その支払いのために約束手形を振り出して、

買掛金を精算しているので、借方「買掛金」勘定(負債の減少)となる。

・約束手形の振出しは貸方「支払手形」勘定(負債の増加)。

(借) 買 掛 金 90,000 (貸) 支 払 手 形 90,000

19日

・『同店(兵庫商店を指す)に振り出していた』のは、当店である。『仕入れ代金として』という問題文

からも、振り出した時に「支払手形」勘定(負債)で処理されていることを把握する。その支払手形

の決済なので、借方「支払手形」勘定(負債の減少)。

・当座預金口座からの引落しは、貸方「当座預金」勘定(資産の減少)。

(借) 支 払 手 形 140,000 (貸) 当 座 預 金 140,000

20日

・家賃の支払いは、借方「支払家賃」勘定(費用の発生)。学習の深度がある受験生は、『来月分』とい

う言葉にひっかかってしまうかもしれないが、決算処理をしているわけではないので、特別な指示が

ない限りこのまま費用として計上して構わない。

・当座預金口座からの引落しは、貸方「当座預金」勘定(資産の減少)。

(借) 支 払 家 賃 21,600 (貸) 当 座 預 金 21,600

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21日

・旅費の概算払いは、まず借方「仮払金」勘定(資産の増加)で処理しておく。「旅費交通費」勘定(費

用)は旅費を精算し、確定した時に用いるので、この段階では用いない。

・現金で渡したときは、貸方「現金」勘定(資産の減少)。

(借) 仮 払 金 30,000 (貸) 現 金 30,000

22日

・売掛金 150,000の回収なので、売上処理をしないように気を付ける。売掛金は「売掛金」勘定(資産)

で処理されているので、貸方「売掛金」勘定(資産の減少)。

・同店振出しの同店は、直前に出てくる商店名を指すので、この場合は広島商店振出しの約束手形を(売

掛金の回収として)受け取ったという意味になる。約束手形の受取りは、借方「受取手形」勘定。

・当座預金の入金は、借方「当座預金」勘定(資産の増加)。

当座預金:売掛金 150,000-約束手形での回収 50,000=100,000

(借) 受 取 手 形 50,000 (貸) 売 掛 金 150,000

(借) 当 座 預 金 100,000

24日

・21日旅費概算払いの精算である。出張費は、借方「旅費交通費」勘定(費用の発生)。

旅費交通費:仮払金 30,000-現金返済 2,000=28,000

・仮払金は全額、貸方「仮払金」勘定(資産の減少)。

・受け取った現金は、借方「現金」勘定(資産の増加)。

(借) 旅 費 交 通 費 28,000 (貸) 仮 払 金 30,000

(借) 現 金 2,000

25日

・給料は、借方「給料」勘定(費用の発生)。給料の全額が費用となる。

・所得税の源泉徴収分は、貸方「所得税預り金」勘定(負債の増加)。

・当座預金口座からの支給は、貸方「当座預金」勘定(資産の減少)。

当座預金:給料 300,000-源泉徴収額 30,000=270,000

(借) 給 料 300,000 (貸) 所 得 税 預 り 金 30,000

(貸) 当 座 預 金 270,000

27日

・商品の売上は、貸方「売上」勘定(収益の発生)。

・当座預金口座に振込みがあったときは、借方「当座預金」勘定(資産の増加)。

・売上の掛けは、借方「売掛金」勘定(資産の増加)。

・先方負担の発送費は、当店が支払っていても費用処理を行わない。処理の方法には「立替金」勘定を

用いる場合と、「売掛金」勘定に含める場合がある。ここでは問題文の指示どおり、売掛金に含めて処

理をする。13日の取引との違いに注意したい。

売掛金:売上 600,000-当座預金口座への振込み 350,000+先方負担の発送費 2,000=252,000

・現金での支払いは、貸方「現金」勘定(資産の減少)。

(借) 当 座 預 金 350,000 (貸) 売 上 600,000

(借) 売 掛 金 252,000 (貸) 現 金 2,000

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29日

・前年度の売上にかかる売掛金には、貸倒引当金の処理がされている。そこで、前年度の売上にかかる

売掛金が貸し倒れたときには、まず貸倒引当金を取り崩す。借方「貸倒引当金」勘定(資産のマイナス

の取崩)。

参考 貸倒引当金の残高よりも貸し倒れた売掛金額の方が大きかった場合は、取崩できなかった分を借

方「貸倒損失」勘定(費用の発生)とする。当問題では、貸倒引当金残高 60,000>貸し倒れた売掛

金 50,000なので、貸倒引当金を取り崩すだけでよい。

・売掛金が貸し倒れたときは、貸方「売掛金」勘定(資産の減少)。

(借) 貸 倒 引 当 金 50,000 (貸) 売 掛 金 50,000

2.集計

以上の仕訳を、各勘定科目ごとに、借方合計、貸方合計を計算する。何回も出てくる勘定科目は、簡易型の

T字勘定にまとめるとよい。学習が慣れてくれば、仕訳のかわりにT字勘定にまとめながら解答することで、

解答時間の短縮が可能となる。通常、現金・当座預金・売掛金・買掛金・受取手形・支払手形が取引に多くで

てくるので、問題文を一読して取引が多そうな勘定科目の目安をつけることができるようになれば、第3問は

得意分野とすることができるだろう。

現 金 売 掛 金

24日 2,000 5日 1,000 13日 60,000 8日 10,000

13日 2,000 27日 252,000 22日 150,000

21日 30,000 29日 50,000

27日 2,000 借方計 312,000 貸方計 210,000

借方計 2,000 貸方計 35,000

受取手形

当座預金 13日 40,000 10日 190,000

10日 190,000 12日 79,000 22日 50,000

22日 100,000 15日 40,500 借方計 90,000 貸方計 190,000

27日 350,000 19日 140,000

20日 21,600 買 掛 金

25日 270,000 17日 90,000 5日 380,000

借方計 640,000 貸方計 551,100

仕 入 支払手形

5日 451,000 19日 140,000 17日 90,000

売 上

8日 10,000 13日 100,000

27日 600,000

借方計 10,000 貸方計 700,000

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3.解答用紙への記入

①仕訳の集計を記入

12月中の取引の仕訳を、勘定科目の借方貸方ごとに加算し、『12月中の取引高』欄にそれぞれに記入する。

最後に縦の合計を行い、貸借の金額が一致していれば集計に間違いがないことが確認できる。

②12月 31日の合計欄の記入

『11月 30日の合計』欄の金額と『12月中の取引高』欄の金額の合計を計算し、借方・貸方それぞれに記

入する。ここで、「貸倒引当金」「売上」のように、『11月 30日の合計』に残高がなく、『12月中の取引

高』に借方の発生があった場合は、取引高を『12 月 31 日の合計』欄に記入する。貸方残高から取引額を差

し引いてしまわないように気をつけたい。

③動きがない勘定科目

『11月 30日の合計』欄の金額を、そのまま『12月 31日の合計』に記入する。最後に縦の合計を行い、貸

借の金額が一致していれば計算に間違いがないことが確認できる。

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借 方

勘 定 科 目

貸 方

12月 31日の

合 計 12月中の取引高

11月 30日

の合計

11月 30日

の合計 12月中の取引高

12月 31日の

合 計

950,650 集計より 2,000 948,650 現 金 413,250 集計より 35,000 448,250

15,087,300 集計より 640,000 14,447,300 当 座 預 金 8,799,500 集計より 551,100 9,350,600

3,190,000 集計より 90,000 3,100,000 受 取 手 形 2,300,000 集計より 190,000 2,490,000

7,059,400 集計より 312,000 6,747,400 売 掛 金 4,197,400 集計より 210,000 4,407,400

513,000 513,000 前 払 金 243,000 5日 70,000 313,000

130,000 21日 30,000 100,000 仮 払 金 100,000 24日 30,000 130,000

623,000 623,000 繰 越 商 品

2,400,000 2,400,000 備 品

2,240,000 19日 140,000 2,100,000 支 払 手 形 2,850,000 17日 90,000 2,940,000

6,926,100 17日 90,000 6,836,100 買 掛 金 7,488,800 5日 380,000 7,868,800

1,007,000 12日 79,000 928,000 未 払 金 1,807,000 1,807,000

152,000 152,000 所得税預り金 274,100 25日 30,000 304,100

50,000 29日 50,000 貸倒引当金 60,000 60,000

減価償却累計額 1,600,000 1,600,000

資 本 金 8,000,000 8,000,000

10,000 集計より 10,000 売 上 9,577,000 集計より 700,000 10,277,000

5,597,300 5日 451,000 5,146,000 仕 入 50,000 50,000

3,041,000 25日 300,000 2,741,000 給 料

402,800 15日 40,000 362,800 水 道 光 熱 費

237,600 20日 21,600 216,000 支 払 家 賃

27,000 13日 2,000 25,000 発 送 費

208,000 24日 28,000 180,000 旅 費 交 通 費

194,000 15日 500 193,500 通 信 費

50,046,150 2,286,100 47,760,050 47,760,050 2,286,100 50,046,150

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第4問 穴埋め知識(配点 8点)

穴埋め形式の知識問題である。3級にしては珍しいが、136回(平成 26年 2月)、141回(平成 27年 11月)な

ど、定期的に出題されてきている。選択できる語群が用意されているので簡単に解答できそうだが、問題文を丁

寧に読み解かないと思わぬミスをおこしやすいので気をつけたい。

1.簿記3級テキスト 第 11章第3節 個人企業の税金

個人企業の税金は、「費用として認められる税金」と「費用と認められない税金」がある。

すでに事業で使用している自動車にかかる自動車税は、会社の経費となるため、納付したさいの仕訳の借方

は(① イ 租税公課)勘定(費用の発生)である。

個人企業の事業から生じた所得は、会社の利益ではなく個人事業主個人に課税されるため、費用計上が認

められない。そこで、資本の引出しとなり、借方「資本金」勘定(資本の減少)もしくは借方「引出金」勘定

(資本の引出しにともなう仮の勘定科目)のどちらかで処理を行う。ここでは指定勘定科目群に「引出金」勘

定があり、「資本金」勘定がない。そこで、個人企業の事業から生じた所得にかかる所得税を納付した場合は

(② オ 引出金)勘定を用いる。

今回の試験問題、第1問仕訳問題の1との違いについても確認しておこう。

2.有形固定資産の修繕処理

建物の機能の回復や維持のために修繕と、修繕によって機能が向上して価値が増加するような修繕の違いは、

今まで3級では取り上げられていなかった。日本商工会議所の出題意図(3月 21日発表)で言及しているよう

に、修繕費の資本的支出については出題されたことがなかったが、税金処理に影響があるため、今回は3級で

もその理解を問われることになった。

法人税法で定められている「資本的支出」「修繕費に含まれる費用」を簡単に示しておく。2級以降では基

礎的な処理となるために、これを機会に覚えておくと良い。

資本的支出:

固定資産の修理、改良のための金額のうち、固定資産の価値を高め、その耐久性を増すことになる部分

は、資本的支出となり、当該固定資産の価額を増やす処理を行う。例えば、建物の増築などは、費用で

はなく、建物の取得にあたる。

修繕費に含まれる費用:

固定資産の修理、改良のための金額のうち、通常の維持管理のため、または壊れた固定資産につき、そ

の原状を回復するために要したと認められる部分の金額は、修繕費となる。

問題文『建物の機能の回復や維持のために修繕を行った場合の仕訳の借方は(③ ク 修繕費)』となり、

『修繕により機能が向上して価値が増加した場合は(④ ア 建物)勘定』である。『機能の回復や維持の

ために修繕』や『価値が増加した場合』という記述がポイントとなる。

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第5問 精算表(配点 32点)

精算表作成の手順としては、『未処理事項・決算整理事項』を仕訳し、解答用紙の『修正記入』欄に記入する。

次に修正記入にもとづいて、各勘定科目の残高を算出し、勘定科目の属性に合わせて『損益計算書』欄または『貸

借対照表』欄に記入する。

未処理事項・決算整理事項の仕訳

1.有価証券の売却

①有価証券は「有価証券」勘定(資産)である。売却処理の未記帳であるから、貸方「有価証券」勘定(資

産の減少)を行う。すべての有価証券とあるので、残高試算表「有価証券」450,000をすべて取り消す。

②売却代金 435,000は後日の受取りなので、借方「未収入金」勘定(資産の増加)。なお、解答用紙に「未

収入金」勘定がなく、指定勘定科目もないため、勘定科目欄の( )には「未収入金」または「未収金」

が記入される。

③有価証券残高金額(帳簿価額)と売却代金の差額を計算し、売却損益を出す。

売却代金 435,000-残高試算表金額 450,000=△15,000 …有価証券売却損

解答用紙の( )には「損」が記入される。

(借) (未 収 入 金) 435,000 (貸) 有 価 証 券 450,000

(借) 有価証券売却( 損 ) 15,000

2.売掛金の回収

売掛金が振り込まれていたので、貸方「売掛金」勘定(資産の減少)。普通預金口座への振込みは、借方「普

通預金」勘定(資産の増加)。

(借) 普 通 預 金 40,000 (貸) 売 掛 金 40,000

3.現金過不足の処理

①残高試算表「現金過不足」借方 35,000のうち、原因の判明したものは、仮受け処理を行っていた金額で

ある。仮受金は残高試算表「仮受金」貸方 30,000となっているので、現金過不足と相殺する。

(借) 仮 受 金 30,000 (貸) 現 金 過 不 足 30,000

②仮受金と相殺した処理によって、現金過不足は、借方 35,000-貸方 30,000=借方 5,000が原因不明分と

なる。借方の残高ということは、費用の発生を意味するので、不明費用の計上として雑損扱いとし、「現金

過不足」勘定を減少させ、借方「雑損」勘定(費用の発生)へ振り替える。解答用紙の( )には「損」

が記入される。

(借) 雑 ( 損 ) 5,000 (貸) 現 金 過 不 足 5,000

※現金過不足欄は横 1行しかないので、修正記入欄の貸方には 30,000+5,000=35,000を記入する。

4.売上原価の計算

問題文『売上原価は「仕入」の行で計算する』より、残高試算表「繰越商品」借方 370,000を「仕入」勘定

へ振り替える。期末商品棚卸高 340,000は、「仕入」勘定から「繰越商品」勘定へ振り替える。

(借)

(借)

仕 入

繰 越 商 品

370,000

340,000

(貸)

(貸)

繰 越 商 品

仕 入

370,000

340,000

当たり! 2017年 2月直前模試第 1回第 5問

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5.固定資産の減価償却

備品の減価償却であるが、問題文指定の定額法だけでなく、記帳方法が直接法か間接法かも確認する。当問

題では、解答用紙に「備品減価償却累計額」勘定が用いられているので、間接法で処理を行う。また残存価額

0であるから、計算は単に耐用年数で割ればよいだけある。

備品減価償却費:1,200,000÷8年=150,000

(借) 減 価 償 却 費 150,000 (貸) 備品減価償却累計額 150,000

6.貸倒引当金の設定

貸倒引当金を下記のように計算し、設定する。なお、売掛金の残高が 40,000減少(2.売掛金の回収で処理

したもの)していることに注意する。

貸 倒 引 当 金:(売掛金 590,000-売掛金の回収 40,000)×2%=11,000

貸倒引当金繰入:11,000-残高試算表「貸倒引当金」7,000=4,000

(借) 貸倒引当金繰入 4,000 (貸) 貸 倒 引 当 金 4,000

7.貸付金の利息処理

お金を貸し付けているので、利息は「受取利息」勘定(収益の発生)になる。問題文では『利息は返済時に

全額受け取り』とあるが、10月 1日から決算日 12月 31日までの 3ヵ月を実際に貸しているので、3ヵ月分に

対応する利息は、当期の収益として計上しなければならない(収益の見越し)。ただし、実際に受け取るのは

返済を受ける時なので、借方「未収利息」勘定(資産の増加)で処理をする。

貸付金 500,000×年利 3%× 3ヵ月

=3,750 12ヵ月

解答用紙の( )には「未収」が記入される。

(借) ( 未 収 )利 息 3,750 (貸) 受 取 利 息 3,750

8.給料の未払い(費用の見越し)

当期に対応する給料を借方「給料」勘定(費用の発生)とし、未払いは貸方「未払給料」勘定(負債の増加)

とする。解答用紙の( )には「未払」が記入される。

(借) 給 料 10,000 (貸) ( 未 払 )給 料 10,000

9.受取地代の修正(収益の繰延べ)

『奇数月の月末にむこう 2か月分を受け取っている』という内容を確認する。決算日 12月は偶数月なので、

最後に地代を受け取った日は、奇数月 11月 30日である。『むこう 2か月』はその日から未来に向けての 2ヵ

月を意味しているので、12月および次期にあたる 1月分を、11月 30日に 6,800受け取っているという意味に

なる。次期にあたる 1月分は、次期の収益として当期分より減少させ、前受けとする処理をする。

「受取地代」勘定(収益)の減少なので、借方「受取地代」勘定(収益の取消)、前受は貸方「前受地代」

勘定(負債の増加)である。解答用紙の( )には「前受」が記入される。

前受地代:11月末の受取地代 6,800÷2ヵ月=3,400

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(借) 受 取 地 代 3,400 (貸) ( 前 受 )地 代 3,400

以上の仕訳を『修正記入』欄に記入し、各科目の金額を加減し、『損益計算書』または『貸借対照表』に移

記する。勘定科目が、費用・収益・資産・負債・資本金(2級では資本・純資産)のどの項目に属しているか、

しっかりと覚えておこう。

※現金過不足、仮受金は、決算整理において処理され、次期に繰り越すことはない勘定科目である。

損益計算書 貸借対照表

借 方 貸 方 借 方 貸 方

仕 入 売 上 現 金 買 掛 金

給 料 受 取 地 代 現 金 過 不 足 ※ 仮 受 金 ※

支 払 保 険 料 受 取 利 息 普 通 預 金 貸 倒 引 当 金

支 払 家 賃 受 取 配 当 金 有 価 証 券 備品減価償却累計額

支 払 手 数 料 繰 越 商 品 資 本 金

有価証券売却損 貸 付 金 未 払 給 料

雑 損 備 品 前 受 地 代

減 価 償 却 費 土 地

貸 倒 引 当 金 繰 入 未 収 入 金

未 収 利 息

★当期純( )の計算

損益計算書欄の貸方合計(収益)と借方合計(費用)の差額により、当期純損益を計算する。

損益計算書貸方(収入)合計 3,779,550-損益計算書借方(費用)合計 3,879,000=△99,450

…当期純(損失)

解答用紙の( )には「損失」が記入される。

99,450は貸方に記入し、損益計算書の合計貸借を一致させる。

さらに、貸借対照表の借方「当期純(損失)」欄へ 99,450を移記し、合計貸借が一致することを確認する。

以上

当期首1/1

前受分 1ヵ月

むこう 2ヵ月分の受取

11/30 受取

期末 12/31

1/30