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癌と免疫 2003 9 6 日(土) ORT 元気セミナー

癌と免疫 - 下津浦内科医院shimotsuura.web.fc2.com/meneki.pdf癌患者の免疫能 • 癌患者の免役能を調べると、ほとんどの場合、免役抑制状態にあり

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  • 癌と免疫

    2003 年 9 月 6 日(土)ORT 元気セミナー

  • 癌と免疫系

    • この写真は胃がんですが、このガン細胞の一つ一つにも血管が行き届き血液が酸素と栄養を送っています。

     それでガンは酸素と栄養を貰ってどんどん進行していくのです。 発ガンの引き金を引く因子には、種々の発ガン物質や放射線、発ガンウィルスなどです。

    •  人間の体は約60兆個の細胞が休むことなく細胞分裂を繰り返していますが、人の一生には10億回、2~3秒に1 回正常細胞が突然ガン細胞に変化する機会があると言われます。

    しかし実際にはガンが発病しない場合が多いですが、それはガン細胞と戦ってくれる免疫系があるからです。

  • 白血球は大きく「顆粒球」「リンパ球」「単球」の3つに分類されます。このうち「顆粒球」「リンパ球」で全体の95%を占め、両者は免疫においても重要な役割を果たします。それぞれについて詳しく見ていきましょう。● 顆粒球(白血球の 60%)原始的な機能である貧食能(異物を取り込んで処理する機能)がさらに発達した血球で、主に細菌処理を担当。体内に侵入した粒子の大きい細菌や死んだ細胞を食べて分解し、身体を守ります。体内に炎症(肺炎や虫垂炎等)が発症すると増え、白血球の90%以上を占めることになります。この状態が長く続くと細胞が破壊され、癌や胃潰瘍、臓器障害などの原因に。

  • リンパ球(白血球の 35 %)  細菌よりも小さな異物を処理するために進化した血

    球で、身体に侵入するウィルス等の異物を認識し、”抗体”をつくって処理する免疫の仕事を担当します。大きく次のように分類されます。< B 細胞> T 細胞の命令を受けて抗体をつくり、異物を集めて排除する。< T 細胞> B 細胞に働きを指示する指導者の役割を果たす。< NK (ナチュラルキラー)細胞>身体に侵入した異物に反射的にとびかかりこれを攻撃する。癌細胞を初期に発見し攻撃することで癌の発病を防ぐ大切な細胞

  • 細胞性免疫 液性免疫

    腫瘍

    細胞内感染体 

    ウィルス・結核。 etc

    N K

    ヘルパーTリンパ球

    インターロイキン2

    インターフェロンγ

    キラーTリンパ球

    1型 (Th1)

    細胞内感染体 

    (真菌、細菌)

    Bリンパ球(抗体)

    ヘルパーTリンパ球

    2型 (Th2)

    インターロイキン 4インターロイキン 5インターロイキン 6インターロイキン 10

    標的

    効果細胞

    調節細胞

    調節因子サイトカイン

  • 癌患者の免疫能• 癌患者の免役能を調べると、ほとんどの場合、免役抑制状態にあり

    ます。この傾向は、早期癌患者でも見られ、癌の進行とともにその傾向が強まります。癌患者では、さらに白血球総数が増加傾向(>6000/ μ1 )でリンパ球の比率が 30 %以下の人がほとんどです。

    進行癌では、リンパ球比率が 20 %以下で、末期癌では 10 %前後まで低下します。抗癌剤を投与された患者では、リンパ球が著しく減少します。抗癌剤によって痛が縮小しても、再発時に癌細胞の進行が著しく高まるのは、リンパ球が減少し、免疫系が抑制された影響が考えられます。

    一方で手術や抗癌剤治療後に数年以上も癌が再発しない人がいます。この人たちが持っている共通の現象があります。リンパ球が40 %以上持っているという特徴です。発癌した人でもリンパ球の比率の高い人やリンパ球の絶対数が多い人の方が予後がよいようです。リンパ球が 35 %以上、あるいはリンパ球の絶対数が 2000/μ1 以上の人たちの方が、治癒する傾向が高いことを経験しています。

  • 胸腺はリンパ球の大学?

    • リンパ球のなかにある B 細胞と T 細胞は、いずれも骨髄でつくられますが、その関係はいわば上司と部下。というのも、 T 細胞のみが胸腺で「自己と非自己の認識」という特殊な教育を受け、 B 細胞の働きを指導する立場にまわるからです。胸腺は心臓にかぶさるようないちにあり、リンパ球の教育機関として機能しています。しかし、その組織は老化が早く、一般に10代をピークに萎縮していき、40代では容積が10分の1以下に。当然、免疫全体の司令塔である T 細胞の数も減少してしまいます。ただ、この他に胸腺外分化T 細胞の存在も肝臓で発見されました。腸や皮膚、子宮にも存在するといわれ、これによってたとえ胸腺が萎縮退化しても免疫能力が守られるのです。

  • 免疫担当細胞を支配する「自律神経」ここまでの説明で、顆粒球とリンパ球が免疫を担当する2大細胞郡であることがご理解いただけたと思います。さらにこれらを支配し、働きを調整する役目を果たすのが「自律神経」です。この自律神経には「交感神経」と「副交感神経」があり、顆粒球は交感神経、リンパ球は副交感神経の刺激で比率や数が増加します。つまり、それぞれに担当がはっきりと分かれているわけです。

  • ●交感神経

    • 「えさ取り神経」や「やる気の神経」とも呼ばれるのが交感神経。能動的、昼間、戦争などを意味し、活気に満ちています。顆粒球はこの交感神経からの支配を受けて活性化します。交感神経が理想的に働けば、組織の置き換えを進めて身体に有利な反応を続けますが、たとえば働きすぎなどの無理が続くと、交感神経の刺激(緊張)の持続のため顆粒球が増加することになります。このため顆粒球がもう貧食能が亢進し、再生上皮が破壊され、粘膜や組織の障害が引き起こされて癌の引き金になってしまいます。

  • ●副交感神経

    • 副交感神経は、「消化吸収の神経」や「お休みの神経」ともいわれています。交感神経とは対照的に受動的、夜、平和などを意味し、静寂の気に満ちています。リンパ球はこの副交感神経の支配を受けて活性化。正常に働くことで免疫力のアップにつながります。著しく多くなると、アレルギーやアトピーの原因となってしまいます。つまり自律神経はこの交感神経と副交感神経、どちらに偏っても病気になるということ。健康であるためには、両者のバランスが肝心なのです。

  • 癌を予防する生活とは?

    • 発癌を防ぐために何より大切なのは、交感神経の緊張を持続させるような生活をやめることです。働き過ぎの人は仕事の時間を短くし、趣味の時間や睡眠時間を増やすこと。大酒のみの人は酒量を減らす、悩みのある人は悩みを減らして副交感神経優位にもっていってやれば、病気にならないといえます。

    • 働き過ぎや心の悩みなど、過度のストレスが日常的な免疫不全状態をつくり出すメカニズムはおわかりいただけたでしょうか。交感神経優位の生活を自覚される方は、まず自分のライフスタイルをあらためる努力をしてください。

  • 癌と免疫の気になる関係

    • 癌細胞を癌化させない仕組みが「自然治癒能力」、すなわちもともと人体に備わっている免疫系であるというお話は、しっかりご理解いただけたと思います。これを裏づける事実として、一般に癌患者は、そのほとんどが免疫抑制状態にあります。この傾向は早期癌患者でも見られ、癌の進行とともに強くなります。癌患者では血液中の白血球数が増加気味で、特に免疫系の中心であるリンパ球比率は、30%以下の人がほとんどとなります。進行癌患者では約20%まで低下し、末期癌患者では10%前後まで低下しています。逆に、癌が再発しない人たちに共通の現象として、リンパ球が40%以上になっているという興味深いデータもあります。すなわち、免疫系を回復してやれば、癌細胞の癌化はもちろん、転移、再発も抑えることができるはずなのです。

  • 【抑うつ的な性格は乳ガンの再発を促進する】

    • 紀元2世紀のローマの医学者ガレヌスは「ガンは陰気なことを考える人に起こりやすい」といっています。特に乳がんの患者さんには、抑うつ的で暗い生活を送っている人が比較的多いようにも感じます。性格や精神状態とガン発生との関係を調査したでは、うつ病が乳ガンの発生率を高めることが報告されています。

    • ジョンズホプキンス大学の公衆衛生学部のガロ博士らは、バルチモアの約二千人の住民を13年間追跡調査して、その間に新たにガンが診断された203人について、うつ病とガン発生との関連を検討しています。うつ病がガン全体の発生率を高めることは認められていませんが、うつ病をもった女性では乳ガンになる危険度がうつ病でない人の 3.8倍であるという結果が得られています。

    • 乳がんはホルモンの影響を受けるので、抑うつ的な精神状態がホルモンバランスやさらに免疫力に影響して乳がんの発生に関与しているのかもしれません。

    • Major depression and cancer: the 13-year follow-up of the Baltimore epidemiologic catchment area sample (United States). (Gallo JJ, Armenian HK, Ford DE, Eaton WW, Khachaturian AS.)Cancer Causes Control 2000;11(8):751-758

  • • こころが癌をどのように受け止めるかによって、癌の再発率が変わることを、イギリスのベッチンゲールたちは乳がん患者で、告知を受けた人の予後調査を行うことによって、明らかにした。患者はその精神状態によって、4つのグループに分けられた。A群は病に対して積極的に対応しようという患者、B群は診断を軽視したり、無視したりする患者、C群は病気を冷静に受け止めたが、治療に対しては医師に任せきりであり、自分から積極的には行動しない患者、D群は告知を受けて絶望してしまった患者である。その結果はA群が最も、再発が少なく、B,C,Dの順に再発率が高かったのである。こころの持ち方で、癌からの生還が左右される一つの事例である。

    • これらの事実から、癌に対しても、こころの持ち方一つでその後の運命も変わってくることが明らかになってきた。こころだって、癌に闘うことが出来るのだ。(神庭重信「こころと体の対話」文芸春秋社、川村則行「自己治癒力を高める」講談社より)

  • 癌性格(タイプC 性格)• 癌の患者に共通する性格として、対人関係に傷つきやすく

    、孤独に逃げ込みやすい傾向、悲しみや不安などの不快感情を無理やり押さえ込もうとして、不平、不満を言わず、周囲に自分を合わせようとする傾向、慢性的に抑うつ的で、幸福感が低く、社会的に孤立しがちな傾向などが指摘されたのである。心理学者のリディア・テモショックはこのような性格の持ち主を「タイプC性格」 と呼んだ。ここでCとはタイプA,タイプBの性格とは別の性格という意味なのだが、癌を意味する cancer の頭文字でもあるのだ。因みに「タイプA性格」とは、生活の中心は仕事で、負けず嫌い、支配欲や成功への欲求が過度に強く、攻撃的な行動をとる場合を指し、「Bタイプ性格」とはタイプAとは対極にあるもので、競争的、敵対的ではなく、ゆったりとした行動パターンをとる性格のことであり、「タイプA性格」の人は虚血性心疾患に罹る危険性が高いことが知られている。

  • ストレスが続くと病気になりやすくなる • 常時ストレスが強い生活を強いられていると、血中に「インタ-ロイキン6」

    ( Interleukin-6 )が急速に増え、これが体を病気になりやすくしているということがわかった。 報告したのは、米オハイオ州立大学のジャニス・キーコルトグレーサー教授(心理学、精神医学)で、彼女らの研究チームはこんな研究を行った。夫、または妻が痴呆症にかかったために介護を強いられている人119人を対象に、介護ストレスのない暮らしをいている人と比べてみた。その結果、介護ストレスが強い人たちの血液中には、血液内の細胞がつくりだす物質の一つであるインターロイキン6が極端に増加していることがわかった。インターロイキン6は、これまでの研究により、心臓病、関節症、骨粗しょう(鬆)症、糖尿病(タイプ2)、ある種のガンと関連があることがわかっている。 血中の高濃度のインターロイキン6は、介護していた配偶者が死亡して、介護の必要がなくなったあとも、少なくとも3年間は、高濃度のままの状態が続いていた。「夫、または、妻の介護に当たっている人は、常に、自分自身が病気で倒れる危険がある。近縁者や医療関係者は気をつけてほしい」と研究者たちは警告している。

    • 日経へルス ニュース&トピックス [2003/07/10]

  • 癌を攻撃する急先鋒、 NK 細胞  実は癌細胞にとって最大の脅威とい

    われる免疫細胞があります。その名もNK (ナチュラルキラー)細胞。リンパ球の一種ですが、同じリンパ球の B細胞や T 細胞に比べても、腫瘍細胞に対する反応が早く、強力です。しかも顆粒球とともに交感神経の支配下にあり、交感神経優位の癌患者では増加するという特徴をもっています。しかしその大切な武器となる「細胞殺傷たんぱく質」(パーファリン、グランザイム)の分泌を支配しているのは副交感神経。このため、癌患者ではNK細胞の数が増えても実際の機能は低下していることになり、癌を攻撃することができないのです。いいかえれば、副交感神経を優位にしてやればNK細胞の活性も高まり、癌をやっつけてくれるのです。

  • 免疫強化で癌に打ち勝つ• できてしまった癌も、免疫力を高める、つまり副交感神経優位にも

    っていくことで、進行が止まったり退縮することがあります。具体的には、次のような方法があります。1.自分の生活を振り返り交感神経の緊張を強いてきた原因(働き過ぎや心の悩みなど)を取り除く。2.免疫力を高めれば癌に勝てることを知り、癌に対する恐怖心を取り除いて前向きの明るい姿勢で生活する。3.針治療などで副交感神経を刺激し、免疫機能を高めてやることもひとつの方法です。

  • 自分の本来の力を信じて• 交感神経優位により引き起こされた血流障害と顆粒球

    の増加は癌になってからも改変が可能で、その原因を取り除くと元に戻ることが証明されています。そのために、癌の自然退縮も期待できるのです。また、リンパ球が白血球の35%以上、絶対数で2000以上ある人は、抗癌剤や放射線が充分でないにもかかわらず免疫力で癌がさらに縮小したり延命が起こったりすることがあります。免疫力は、人間が本来もっているすばらしい機能。決して希望を失わず、リラックスして病と向き合うということが、治癒への大切な一歩なのです。

    • 「病は気から」。心身が豊かで満ちたりていれば、容易には癌にはかかりにくいし、かかったとしてもその症状は進行しにくいのです。一度きりの人生、自分を大切に明るく心豊かに生きましょう。

  • サイトカインネットワーク

    細胞性免疫 液性免疫液性免疫腫瘍 細 菌

    攻撃

    抗原 提示

    Th1 Th2

    M φ

    IL - 2

    INF γ

    NK

    Tc 抗 体

    IL - 12

    キラーT

    マクロファージ

    1型ヘルパーT 2型ヘルパーT

    IL - 10

    IL - 4

    IL - 5

    IL - 6

  • NITC(新免疫療法 ) はキラー T 細胞や NKT 細胞を活性化してがんを攻撃する事とがんの広がりを進める新生血管阻害をする療法です。 血液検査でキラー T 細胞や NKT 細胞の活性度を知るために Th1/Th2 のバランス、 NKT 細胞 / パーフォリン、 Th1型サイトカインである IL-12 、 INFγ 、 TNFα や Th2型サイトカインである IL-10 を測定します。また VEGF( 血管内皮増殖因子 ) を測定して新生血管阻害の状態を知ります。

  • NK 細胞•

    • ▲ガン細胞を攻撃する NK 細胞  ▲NK 細胞に破壊されたガン細胞

  • 腫瘍移植後 10 日目までは腫瘍の増量に平行して IL-12 の産生は増量するが、それ以後は IL-12 の産生が低下し移植時点より低下する。ヒト進行・末期癌はこの時点を示すものと考えられる。

  • βグルカンを多く含む健康食品• アガリクス• メシマコブ• 鹿角霊芝• カバノアナタケ(チャーガ)

    • マイタケ

    http://bdort.net/li/pdaga.htmhttp://bdort.net/li/pdreisisou.htmhttp://bdort.net/li/pdchaga.htm

  • 免疫力を上げる健康食品

    • プロポリス• E-cocci乳酸菌(死菌体)• アガリクス十全大補湯

    • 冬虫夏草• メシマコブ• 六君子湯(りっくんしとう)• 霊芝

    http://bdort.net/li/pdpropo.htmhttp://bdort.net/li/pdecocci.htmhttp://bdort.net/li/pdaga.htm

  • 血管新生阻害作用( VEGF を抑制する物)

    • サリドマイド• サメ軟骨• ルミン

  • NK活性を上げる食品の研究